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2015.1.11 公害は、地球温暖化だけが問題なのではない ← フクシマ原発事故がもたらした放射線公害は深刻であること
   
  *5より         *5より                  電気自動車関係
(1)公害を地球温暖化しか思いつかない経産省は思考停止状態
 *1-1のように、経済産業省が審議会で「2050年の目標として原発を世界の地球温暖化対策に不可欠と位置づける」とい事務局案を示したところ、委員から「世界の地球温暖化対策に不可欠なゼロエミッション電源として、(原発が)重要なオプションとなることを目指す」などと批判が相次いだそうだが、原発は地球温暖化よりも深刻な放射能公害を引き起こし、核燃料も外国から輸入しているため、ゼロエミッション電源ではない。本物のゼロエミッション電源は、国内の自然エネルギー由来電力である。

 そのため、*1-2のように、東京新聞は新年の社説に、「福島の事故などなかったかのように3.11以前にも勝る原発過保護が始まったが、原発ゼロへ再出発すべきだ」と書いており、全くそのとおりだ。

(2)佐賀県知事選は重要な選択になる
 九州の地元紙である西日本新聞が、*1-3のように、「玄海再稼働、オスプレイ…民意、割れる賛否 候補者語らぬ賛否、佐賀県知事選」という記事を書いているとおり、今回の佐賀県知事選は、重要政策をテーマに争っているが、国がこのような状態であるため、知事選は重要になる。川内原発再稼動に対する鹿児島県知事の判断は、他の原発の雛形にはならないため、佐賀県知事の対応は重要であり、全国規模で*1-4のようなブログも出ている。

(3)フクシマの原発汚染水と水産物
 フクシマでは、今でも一日300トンの汚染水が流され続けており、*2-1のように、韓国は、現在、福島県などの水産物の輸入を禁止している。そして、*2-2のように、韓国政府は、2014年12月に続いて、1月に再び専門家を日本に派遣して岩手県や青森県などで現地調査を行うことになり、一連の調査結果を踏まえて輸入禁止措置を継続するか否かを判断することにしているそうだ。つまり、原発事故は、これだけ水産業や観光にも悪影響を与えているのだ。

(4)放射線公害をなかったことにする日本は、ロシアより人権侵害の国ではないのか
 *3-1、*3-2に、月刊宝島が「WHO『福島県でガン多発』報告書” 国と記者クラブが無視!」「汚染地域に暮らしていた(もしくは暮らし続けている)若年層における甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの多発を予測するWHO報告書はなぜ無視され続けるのか?」という記事を書いている。そして、結果から見てWHO報告書の方が現実に近く、しばらくすれば、こうして隠せなくなることは初めからわかっていたのである。

(5)日本は資源がない国というのは嘘であり、エネルギーは自給できる
 「日本のエネルギー自給率は5%程度にとどまるため、日本は資源がない国」と言うような人は多いが、*4-1のように、日本は、排他的経済水域内にメタンハイドレートを多く埋蔵している。それにもかかわらず、「昨年12月27日に初めて、政府がメタンハイドレートの開発促進を閣議決定した」というのがおかしいのである。

 また、*4-2のように、発電、給湯、暖房から車や船の動力源まで、水素を暮らしや産業に使う社会を作り、脱化石燃料になれば、資源枯渇問題と地球温暖化防止の両方が解決でき、日本のエネルギー自給率を100%にするエネルギー革命を起こすことができる。この水素は、自然エネルギーから作った電力を使えば、日本国内において無公害でいくらでもできるため、この水素をサハリン、アラスカ、アイスランドなどで作り、化石燃料を使い燃料費をかけて輸入するなど、何を考えているのかということだ。

(6)無公害の燃料、水素へ
 *5のように、日経新聞が「水素社会元年が到来」としているように、トヨタの「ミライ」ほか、東京ガスが首都圏初の商用水素スタンドを開いた。水素そのものは燃焼すれば水しか出ないため無公害だが、多くの自動車が水素燃料になると、トンネルの中で酸素が不足して息苦しくなる事態も出るだろう。そのため、水素は、やはり水を電気分解して作り、副産物としてできた酸素も使えるようにしておくべきである。

<公害は地球温暖化しか考えない経産省は思考停止状態>
*1-1:http://mainichi.jp/select/news/20150109k0000m020135000c.html
(毎日新聞 2015年1月9日) 温暖化対策:経産省「原発不可欠」 審議会委が批判次々
 原発の安全性向上などを議論する経済産業省の審議会の8日の会合で、2050年の目標として原発を「世界の地球温暖化対策に不可欠」と位置づける事務局案を同省が示したところ、委員から「国民の視点に立っていない」などと批判が相次ぎ、案を作り直すことになった。原発利用拡大を図りたい経産省の姿勢に待ったがかかった。この審議会では、原発の安全技術や人材育成の目標を定めたロードマップを5月までに策定する。経産省は日本原子力学会に協力を求め、20年、30年、50年の目標案をこの日の会合で示した。案では、50年の原発の姿として「世界の地球温暖化対策に不可欠なゼロエミッション(無排出)電源として重要なオプション(選択肢)となることを目指す」とした。しかし、複数の委員から「原子力関係者が『あるべき姿』として作っているとしか見えない」「50年もこれだけ前のめりに原子力を使うのが大前提なのか」などと批判が続出。経産省の担当者は「5月までに再検討する」と釈明した。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015011002000176.html (東京新聞社説 2015年1月10日) 年のはじめに考える 原発ゼロへの再出発
 3・11以前にも勝る原発過保護が始まったのか。福島の事故など、なかったように。後ろ向きに時代の坂を駆け降りる、そんな新年にしてはいけません。やっぱりゼロが焦点でしょう。新年六日、東京電力の広瀬直己社長が新潟県庁を訪れ、泉田裕彦知事と一年ぶりに会いました。柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求める広瀬社長に、泉田知事は、政府の事故調査・検証委員会による調書のうち、勝俣恒久会長ら当時の東電役員分を公開するよう要求した。広瀬社長は「同意するかどうかは個人の問題」と、それをはねつけました。
◆なぜ公開を拒むのか
 勝俣氏らは、なぜ、かたくなに公開を拒むのでしょう。口を閉ざせば閉ざすほど、原発の安全性に疑念が募るというのに、です。泉田知事は「それでは、安全性の議論はスタートラインに着けない」と断じています。事故のさなかに、東電トップが何を考え、どんな判断を下して、どのような指示を出したか。そんなことも分からないまま、知事として県民に、原発の安全性を説明できるわけがありません。再稼働に同意できるわけがない。全性の議論は、まだ始まってもいない-。泉田知事の立ち位置は、新潟県民だけでなく、国民の多くが抱く不安の代弁だと言えるでしょう。原子力規制委員会は、九州電力川内原発や関西電力高浜原発が、3・11後の新たな規制基準に適合するとは言いました。しかし、安全を保証してくれるという人は、まだ誰もいないのです。政府は原発から三十キロ圏内の自治体に、避難計画を策定するよう義務付けました。どこへどうやって逃げるのか。ほとんどの市や町が、苦慮しています。そもそも、本当に安全なら、どうして避難計画が必要なのか。原発事故は二度と起こしてはならないものではないですか。昨年夏の電力需要期は、原発なしで支障なく乗り切った。この冬も電気が不足する気配はありません。それなのに、政府と電力業界は、再稼働への道のりをひたすら急ぎます。年末の衆院選の前後から、その足取りは加速しました。四月に閣議決定された国の新たなエネルギー基本計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた。一方で「原発依存については、可能な限り低減させる」と明記しました。将来的には、できるだけゼロに近づけるという意味ではなかったでしょうか。
◆安全配慮というよりは
 ところが自民大勝に終わった衆院選後、「重要なベースロード電源」だけが独り歩きし始めます。原発ゼロをめざすどころか、原発神話の復活と永続を意図したような、政府のあからさまな“原発びいき”が目立ちます。暮れに開かれた原子力政策の方向性を議論する経済産業省の小委員会では、老朽原発を廃炉に導く一方で、敷地内で建て替え(リプレース)を進めるべきだとの意見が多く出ました。四十年を超えて原発を運転するには、規制委の特別点検を受ける必要があり、安全対策を含めて一基一千億円以上の費用がかかるとされています。電力各社は、日本原電敦賀原発1号機など、五基の廃炉を検討しています。出力三十五万キロワットから五十五万キロワットという小型のものばかりです。安全配慮というよりは、もうけの少ない小型を整理して、大型に置き換え、効率よく利益を生み出そうとの考え方が基本にある。その先には新増設さえ、見え隠れし始めました。これでは原発依存を解消できるはずがありません。このほかにも原発の優遇策は、小委員会の話題になりました。たとえば価格保証です。来年、家庭用電力の小売りが自由化され、原発を擁し、地域独占を謳歌(おうか)してきた電力会社も競争にさらされる。原発の電気が消費者に支持されず、市場価格が一定の水準を下回った場合には、差額を補填(ほてん)する仕組みを設けるべきだという。原発の運転コストは安いはずではなかったか。なりふり構わぬ原発過保護ではないか。3・11被災者の悲哀を忘れ、福島の事故など初めからなかったかのような原発依存への急旋回は、一体誰のためでしょう。
◆国民的議論がないと
 逆流する時間を止めて、私たちは何をすべきでしょうか。泉田知事の言うように、まずは事故原因の徹底的な究明です。そして情報公開です。それに基づく科学的判断と国民的議論です。安全か、安全ではないか。最後に決めるのは、私たち国民です。人は痛みを忘れることで過ちを繰り返す。新しい年を忘却と後戻りの年にしてはなりません。

*1-3:http://qbiz.jp/article/53190/1/ (西日本新聞 2015年1月7日) 玄海再稼働、オスプレイ…民意、割れる賛否 候補者語らぬ賛否、佐賀県知事選
 11日投開票の佐賀県知事選は、九州電力玄海原発の再稼働や自衛隊の新型輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画という国策への対応が争点の一つだ。新知事の判断が重みを持つ国政課題だが、有権者はこの二つの国策をどう考えているのか。期日前投票をした有権者への調査では、同じ候補者に1票を託した人でも賛否が分かれている実情が浮き彫りになった。西日本新聞社は期日前投票が始まった昨年12月26日から県内7カ所の投票所で出口調査を実施。今月6日までに392人から回答を得た。原発再稼働については、「賛成」17・9%、「どちらかといえば賛成」24・8%で、計42・7%が支持。一方で反対派は、「反対」35・0%、「どちらかといえば反対」16・1%で計51・2%。反対派が賛成派をやや上回った。投票先との比較では、再稼働を進める与党が推薦する元佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏(45)に投票した人の50・3%が賛成、43・3%が反対の考えを示した。再稼働を容認する元総務省官僚の山口祥義(よしのり)氏(49)に投票した人も、賛成は41・3%、反対は52・0%と意見が分かれた。オスプレイ計画への賛否は、賛成派が「どちらかといえば」を含め計46・3%。反対派は計46・3%。賛否が真っ二つに分かれた。計画を「条件付き賛成」とする樋渡氏を選んだ人でも反対が35・1%いた。賛否を明確にしていない山口氏を選んだ人は賛成44・7%、反対48・6%と意見がきっこうしている。また、再稼働にもオスプレイ計画にも反対を掲げる九州大大学院教授の島谷幸宏氏(59)を選んだ人は、ほとんどが反対の立場を示した。農業の飯盛(いさがい)良隆氏(44)の投票者は、どちらも賛否が50%ずつだった。他方、再稼働反対派の25%がオスプレイ計画には賛成だった。佐賀市の20代男子学生は「どこかが負担を引き受けないといけない」と同計画を支持したが、「危険だ」として再稼働には反対。同市の20代会社員女性は「説明不足のオスプレイ計画は反対」と回答し、再稼働については「経済が回らなくなる」として賛成の考えを示した。重視する施策は、「景気・雇用問題」を選んだ人が30・4%で最も多かった。「玄海原発再稼働の可否」は7・7%、「オスプレイ配備計画の可否」は9・2%だった。

*1-4:http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-18794
(中村隆市ブログ 「風の便り」 2015/1/10) 原発問題 神様知恵をください 9歳の小学生の願い
    
福島県の死因ワーストランキング 福島県の慢性リウマチ性心疾患死亡率(増加と全国比較) 

   
 福島県の急性心筋梗塞死亡率  福島県の甲状腺検査結果   チェルノブイリの基準
 
 佐賀県の皆さんに大事なお願いがあります。原発の再稼働について、9歳の小学生が新聞に投稿した「声」に耳を傾けてほしいのです。そして、絶対に明日の県知事選挙を棄権しないでほしいのです。あなたが持っている1票が子どもたちの人生を左右します。通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人か2人、未成年の甲状腺がんも100万人に数人と言われていました。しかし、福島県では38万人に84人もがんが見つかっています。「がんの疑い」28人を加えると112人にもなります。手術した54人のうち8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人は肺にがんが転移していました。特に心配なのは、検査をするほどに2次検査(精密検査)をしなければならない子どもたちが増えていることです。福島原発事故後、3年間の子どもの甲状腺検査で分かったことは、表を見るとよくわかりますが、甲状腺がんが増えただけでなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増していることです。5ミリ以上の結節が、0.5% → 0.7% → 0.9% と、この2年で1.8倍に急増し、のう胞も、36.2% → 44.7% → 55.9% と激増(3人に1人が2人に1人以上に)そして、2次検査(精密検査)が必要な子どもも1.8倍になっています。そして、福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。2013年の統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍)、皮膚がん(1.42倍 )、脳血管疾患(1.44倍)、糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍)、結腸がん、腎臓病、消化器系の疾患などは、原発事故後に急増しています。
   (表は宝島から拝借)
そして、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気は、急性心筋梗塞の死亡率が2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍で、どちらも全国1位になっています。
*2010年以前から全国1位。原発事故が起こった2011年から急増。2014年1~3月 福島の477人は、3か月間に急性心筋梗塞で亡くなった人の実数。全国の実数は、12,436人。福島県の人口は、全国の1.53%なので、12436×0.0153=190人 全国平均なら福島は190人ですが、その2.51倍の477人が亡くなっています。原発事故以前から全国1位という数字を見て思い出すのは、原発周辺では事故を起こさなくても白血病やがんが多いというドイツ政府やフランスでの発表と福島には原発が10基もあったこと、そして、2011年の原発事故前から「小さな事故」が多発していたこと、さらに事故の隠ぺいが日常化し、29年間も臨界事故が隠されていたことです。同じ心臓病の「慢性リウマチ性心疾患」は、急性心筋梗塞より1年遅れの2012年から死亡率が急増しています。グラフにするとその急激な増加がよくわかります。赤色が全国平均、紺色が福島県です。こうした状況にありながら日本政府は、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアが制定している被ばく線量を減らすための法律(「チェルノブイリ法」)をつくろうとしません。年間1ミリシーベルト以上は「避難の権利」があり、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があることを柱としている「チェルノブイリ法」は、移住のための費用や医療費などの手厚い補償があります。移住を選んだ住民に対して国は、移住先での雇用を探し、住居も提供。引越し費用や移住によって失う財産の補償なども行われています。日本でもできるだけ早く「チェルノブイリ法」をつくる必要があります。
————————————-
◆原発問題 神様知恵をください
小学生 藤澤 凛々子 (東京都武蔵村山市 9 )
(2012年7月14日 朝日新聞 投稿欄)
この前、ギリシャ神話を読みました。
人間に火を与えた神プロメテウスに、全能の神ゼウスは言いました。
「人間は無知で、何が幸せで何が不幸かわからないからだめだ」
私はずっと人間は他の動物よりかしこいと思っていました。
火を使い、便利で幸せな生活を送っているのは人間だけだからです。
でも、大い原発が再稼働したというニュースに、
ゼウスの言う通り人間は無知なのかもと思いました。
福島第一原発事こは、まだ終わっていません。
放しゃ能で大変な事になってしまうのに、
この夏の電力や快てきな生活を優先したのです。
大い原発は幸せな未来につながるのでしょうか。
私が大人になるまでに日本も地球もだめになってしまうのではないかと心配です。
神様、どうか私に目先の事だけでなく未来のことまで考えて
何が幸せで何が不幸かわかる知恵をください。
その知恵で人も他の動物も幸せにくらせるようにしたいです。
————————————
佐賀県の皆さん
知事選の候補者で原発再稼働に反対している候補者は一人だけです。どうか大切な1票を子どもたちのために生かして下さい。「自分にとって損か得か」でなく「子どもや孫たち世代の幸せ」のために、そして、「人も他の動物も幸せにくらせるように」投票する人が増えることを願っています。
◆原発は事故を起こさなくても周辺住民の病気を増やしている
「原発は事故を起こさなくても(日常的な放射性物質の放出によって)周辺住民の病気を増やしている」ということが、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、韓国などでの調査でわかっています。ドイツ政府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、 小児白血病は2.19倍となっており、フランス国立保健医学研究所の発表では、15歳以下の子どもは白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高くなっています。韓国の調査では、原発から5キロ以内に住む女性の甲状腺がんの発生率は、全国平均の2.5倍になっています。また、原発は、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、鉱山作業員と住民に被曝させ、原発で働く人たちの被曝労働や海の生態系を破壊する温排水吸水の問題。核燃料再処理工場からの膨大な放射能の排出問題。さらに、100万年後まで毒性が消えない「放射性廃棄物」の問題などがあります。(全文はコチラ)
◆佐賀県知事選:オスプレイ、原発再稼働…全国級の争点も
(2014年12月25日 毎日新聞)
◇25日告示に新人4人が出馬
 25日に告示された佐賀県知事選(来年1月11日投開票)は、自民党推薦の候補に対抗し、自民の有力支持団体である県農政協議会が別の候補を推薦する異例の展開となった。加えて県有明海漁協も県農政協に同調、保守分裂が激しさを増し、自民に危機感が漂う。一方、県内は陸上自衛隊の新型輸送機オスプレイ配備計画や原発再稼働など重要課題を抱えるが、保守分裂のあおりで争点がぼやけかねないとの懸念が出ている。 「首長は独善的であってはならない。政策も必要だが、その前に人柄だ」。県農政協が推薦した元総務官僚、山口祥義(よしのり)氏(49)の出陣式。集まった多久市長ら県内の首長や自民県議の一部、農漁協、商工会関係者らを前に、総括責任者を務める佐賀市の秀島敏行市長が自民、公明両党推薦の樋渡(ひわたし)啓祐氏(45)を暗に批判した。樋渡氏は同県武雄市長時代、市図書館運営の民間委託や市立小学校への学習塾の指導法導入など個性的な政策を実現させ、武雄の名を全国区に押し上げた。しかし、「樋渡流」といわれる行政運営が「強引」などとして自民の身内が反旗を翻し、山口氏を擁立。自民支持の県有明海漁協も24日、推薦を決め、民主県連も表向きは自主投票だが一部で支援する。農業県・佐賀で県農政協の支援が得られず、さらに衆院選佐賀1区で民主に敗れた自民党は穏やかでない。樋渡氏の出陣式には、県連会長の福岡資麿氏や前知事の古川康氏ら国会議員が並んだ。福岡氏は「人間ですから欠点はありますが、この突破力はまねできません」と樋渡流への批判を意識しつつ、「安倍(晋三)首相が自信を持って推薦している」と自民の本命候補であることを強調。28日には菅義偉官房長官の応援も予定に入った。しかし、両候補の出陣式は樋渡流への是非に終始し、政策論に乏しかった。オスプレイ配備計画がある佐賀空港(佐賀市)近くに住む会社員の石丸泰男さん(73)は「オスプレイ問題をあいまいにすべきではない。争点はオスプレイ1本に絞ってもいいくらいだ」。反原発の市民団体代表を務める佐賀市の石丸初美さん(63)も「佐賀は原発当事県であり、原発問題の議論を活発にしてほしい」と注文する。これに対し、立候補した九州大学院教授の島谷幸宏氏(59)は出陣式で「原発も再稼働も止めましょう。オスプレイ導入も軍事基地につながる可能性が非常に高く、阻止していきたい」と反原発、反オスプレイの立場を鮮明にした。安全性の高い原子炉などに限って原発再稼働容認を唱える農業、飯盛(いさがい)良隆氏(44)も立候補した。
◆福島の子どもの甲状腺がんが転移している報道
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1793
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG2803U_Y4A820C1CR8000/

<フクシマ汚染水と水産物>
*2-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150109/k10014555401000.html
(NHK 2015年1月9日) 日韓 水産物禁輸協議も具体的進展なし
 8日、日本と韓国の外務次官級の協議が行われ、協力関係を強化することを確認したものの、韓国が福島県などの水産物の輸入を禁止している問題では、具体的な進展はありませんでした。外務省で経済問題を担当する長嶺外務審議官は、8日、ソウルを訪れて韓国外務省のアン・チョンギ(安總基)経済外交調整官と協議を行いました。協議では、ことしが日韓の国交正常化から50年になることに関連して、エネルギー分野などで共同プロジェクトを第三国で行うことや、双方の観光客誘致などについて両政府が支援していくことを確認しました。一方で、日本側は、福島県など8つの県の水産物に対する輸入禁止の措置を早期に解除するよう求めましたが、韓国側は安全だという国民の認識が得られることが重要だとして、来週行われる韓国側の専門家による2回目の現地調査への協力を求めるにとどまり、具体的な進展はありませんでした。さらに、戦時中に動員や徴用された韓国人労働者などが日本企業に対し損害賠償を求めている裁判で、支払いを命じる判決が韓国で相次いでいることについても話し合われました。これについて長嶺審議官は協議後、「日韓の経済、ビジネス関係にも悪影響を及ぼしかねないと従来から指摘しており、日韓の経済関係にマイナスにならない対応を求めている」と述べて韓国政府に対処を求めましたが、韓国側は司法手続きを見守る必要があるという従来の立場を繰り返したということで、双方の溝は埋まりませんでした。

*2-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150109/t10014567211000.html
(NHK 2015年1月9日) 水産物輸入禁止の韓国 岩手などで再調査へ
 東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題で、東北などの水産物の輸入を禁止している韓国政府は、先月に続き、来週再び専門家を日本に派遣し、岩手県や青森県などで現地調査を行うことになりました。農林水産省の発表によりますと、今回、韓国政府が行う調査は、今月13日から4日間の日程で行われます。9人の専門家が、輸入を禁止している8つの県のうち、岩手県久慈市と青森県八戸市の卸売市場などを訪れて、水産物が販売されている様子や放射性物質の検査の状況などを視察することにしています。また、韓国の専門家は、輸入禁止の対象となっていない北海道も訪問し、札幌市と室蘭市の卸売市場などで水産物の輸出手続きの状況や水揚げの様子を視察します。韓国政府は、福島第一原発の汚染水問題を理由に、おととし9月から東北と関東の8つの県の水産物の輸入を禁止しており、この措置を継続するかどうかを検討するため、先月、専門家が来日し、福島第一原発などを視察しており、今回の調査は2回目となります。韓国政府は、一連の調査結果を踏まえて、輸入禁止の措置を継続するかどうか判断することにしていますが、時期については明らかにしていません。

<国土をも喪失させる放射線公害>
*3-1:http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1940402.html
(月刊宝島 2014年12月14日) 【告発スクープ】 “WHO「福島県でガン多発」報告書” 国と記者クラブが無視! ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第3回 前編】~ガンのアウトブレイクに備えよ――汚染地域に暮らしていた(もしくは暮らし続けている)若年層における甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの多発を予測するWHO報告書はなぜ無視され続けるのか?
■日本の「専門家」はなぜWHO報告書を嫌った?
 10月20日、環境省が所管する「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下、専門家会議)の第12回会議が東京・港区で開かれた。この日、専門家会議は、世界保健機関(WHO)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の2つの国際機関から出されていた線量評価報告書のうち、「福島での被曝によるガンの増加は予想されない」というUNSCEAR報告書のほうが「より信頼性が高い」として絶賛。そして、
●福島第一原発事故の被曝線量はチェルノブイリ原発事故よりもはるかに少ない
●懸念されるのは甲状腺(こうじょうせん)ガンだけであり、そのリスクも疫学的にかろうじて増加するかどうかという程度としたUNSCEARの健康リスク評価について「同意する」と表明した。これぞ“我が意を得たり”ということのようだ。一方、WHOの健康リスク評価に対しては、昨年2月の同報告書公表以来、専門家会議は「過大評価の可能性がある」と敵視し続けてきた。そしてこの日、WHO報告書を事実上無視する構えを鮮明にしたのだった。そのWHO報告書はこれまで、「がん疾患の発症増加が確認される可能性は小さい」(『毎日新聞』2013年2月28日)「大半の福島県民では、がんが明らかに増える可能性は低いと結論付けた」(『朝日新聞』同年3月1日)などと報じられてきた。報道を見る限り、UNSCEAR報告書の内容と大差はなく、専門家会議がそこまで嫌う理由が全くわからない。そこで、WHO報告書の原文を取り寄せ、精読してみたところ、驚くべき「評価内容」が浮かび上がってきた。
■WHOは若年層での「ガン多発」を明言していた
 WHOは昨年2月28日、東京電力・福島第一原発事故で被曝した福島県民たちには今後、健康面でどのようなリスクがあるのかを検証した『WHO健康リスク評価報告書』(注1)を発表していた。英文で160ページ以上にも及ぶ同報告書では、ガンと白血病の発症リスクを詳細に評価。その結果、深刻な放射能汚染に晒(さら)された原発近隣地域の住民の間で、甲状腺ガンをはじめとしたガンが増加し、特に若い人たちの間でガンが多発すると明言している。この報告書をまとめるにあたり、主な「評価対象」とされたのは、避難が遅れた浪江町と飯舘村の「計画的避難区域」に暮らしていた住民たちだ。評価では、汚染地帯から避難するまでに4カ月かかったと仮定。他にも、汚染された福島県産の食材を食べ続けたと仮定するなど、過小評価を避けるための仮定を積み重ねたうえで、住民の推定被曝線量を弾き出している。WHO報告書によると、多発が極めて顕著なのは小児(注2)甲状腺ガン。被災時に1歳だった女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は9倍(被曝前の発症率0.004%→影響を考慮した発症率0.036%)に増え、飯舘村でも15年間で6倍(同0.004%→同0.024%)に増えると予測した(同報告書64ページ。【図1】)。もともと幼少期の甲状腺ガン発症率は非常に低い。従って、幼少期に被曝した場合のリスクを、原発事故発生からの15年間に絞って計算すると「小児甲状腺ガンと被曝との関係性がより明白になる」と、WHO報告書は言う。ひょっとするとこの部分が、原発事故による健康被害は「ない」とする評価を続ける環境省や専門家会議の癇に障ったのかもしれない。多発が予測されたのはそれだけではない。小児甲状腺ガンほどではないにせよ、小児白血病も多発するという。被災時に1歳だった男児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.8倍(同0.03%→同0.055%)に増え、飯舘村では15年間で1.5倍(同0.03%→同0.044%)に増える。1歳女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.6倍(同0.03%→同0.047%)に増え、飯舘村では15年間で1.3倍(同0.03%→同0.04%)に増える(同報告書62ページ。【図2】)。そして、乳ガンも増える。被災時に10歳だった女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.5倍(同0.01%→同0.015%)に増え、飯舘村では15年間で1.3倍(同0.01%→同0.013%)に増える(同報告書63ページ。【図3】)。さらには、固形ガンも増える。被災時に1歳だった男児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.14倍(同0.08%→同0.091%)に増え、飯舘村では15年間で1.08倍(同0.08%→同0.086%)に増える。1歳女児の場合、浪江町では事故発生からの15年間で発症率は1.24倍(同0.08%→同0.099%)に増え、飯舘村では15年間で1.14倍(同0.08%→同0.091%)に増える(同報告書62~63ページ。次ページ【図4】)。つまり、福島県の若年層におけるガンは、甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの順に増加すると、WHO報告書では予測している。
(注1)同報告書の英語名は『Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami』。URL はhttp://apps.who.int/iris/bitstream/10665/78218/1/9789241505130_eng.pdf?ua=1
(注2)本稿中の「小児」の定義は、0歳から16歳までとする。
■「過大評価」したのか?それとも「過小評価」か?
 WHOの健康リスク評価では、原発事故発生からの1年間に被曝したと思われる推定線量をもとに、地域を4つのグループに分けている。12~122ミリシーベルトの被曝とされた浪江町と飯舘村が「グループ1」。3~48ミリシーベルトの被曝とされた葛尾村、南相馬市、楢葉町、川内村、伊達市、福島市、二本松市、川俣町、広野町、郡山市、田村市、相馬市が「グループ2」。1~31ミリシーベルトの被曝とされた他の福島県内の自治体や福島県以外の都道府県が「グループ3」。そして、0.01ミリシーベルト(=10マイクロシーベルト)以下の被曝とされた近隣国が「グループ4」だ。問題は、福島第一原発の立地自治体である双葉町と大熊町、そして大熊町に隣接する富岡町の3町が、どのグループにも入っておらず、評価の対象から外されていることである。これらの町の住民は「速やかに避難」したからなのだという。しかし、3町の住民もまた、避難開始前から環境中に漏れ出していた放射能によって相当な被曝をしていた。具体例を挙げよう。福島第一原発の直近から避難してきた一般市民が被曝していることが判明し始めた2011年3月12日、放射線測定器で1万3000カウント(CPM。1分ごとのカウント)以上を計測した人のすべてを「全身の除染が必要な被曝」とみなし、シャワーで体を洗い流していた。この日、全身の除染が必要とされた住民は3人。そして翌3月13日、福島県は、原発の3キロメートル圏内から避難してきた19人にも放射性物質が付着していたと発表する。住民の被曝は22人となった。だが、翌3月14日、福島県は突然、除染基準を引き上げる。国が派遣したという「放射線専門家」の意見を聞き入れ、基準を7倍以上の「10万CPM以上」としたのだ。そしてこの日以降、「今日は何人の市民を除染」といった類いの情報が、報道から消えていた──。コントロール不能に陥っていた原発から、事故発生からの数日間だけで77京ベクレル(77×10の16乗ベクレル)にも及ぶ放射能が漏れ出す中、防護服もゴーグルも防塵マスクも着けずに避難していた彼らを評価に加えていないところが、この健康リスク評価における「過小評価」部分であり、最大の欠点でもある。人によっては、前掲の「発ガンリスク」以上の健康リスクを背負わされている恐れがある。しかも、放射線被曝による健康被害はガンばかりではない。甲状腺疾患(機能低下や良性結節など)や視覚障害(水晶体混濁や白内障など)、循環系疾患(心臓や脳血管の疾患)、生殖器官の機能不全、催奇性(さいきせい)リスク、遺伝子への影響、高線量の被曝に伴う急性放射線障害などもある。だが、これらの疾患は「発生の増加は予想されない」として、WHOの報告書では詳細評価の対象外としていた(注3)。つまり、専門家会議が危惧する「過大評価」どころか、その正反対の「過小評価」に陥っている懸念さえあるのだ。(注3)WHOが詳細評価の対象外としていたからといって、ガン以外の疾患を舐(な)めてかかってはならない。飯舘村の高汚染地域に調査目的で何度も滞在した後、白内障に罹(かか)っていた人が相当数いることを、筆者は具体的に知っている。高レベルの汚染が判明している地域に立ち入るのを極力控えるか、それとも防護服姿で訪問するかしないと、こうした疾患のリスクは減らしようがない。
(全文は『宝島』2015年1月号に掲載)

*3-2:http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1940410.html
(月刊宝島 2014年12月15日) 【告発スクープ】 “WHO「福島県でガン多発」報告書” 国と記者クラブが無視! ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第3回 後編】~ガンのアウトブレイクに備えよ――汚染地域に暮らしていた(もしくは暮らし続けている)若年層における甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガンの多発を予測するWHO報告書はなぜ無視され続けるのか?(後編)
■甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガン……
 にもかかわらずWHOは、ガンに関してだけは「若年層で多発する」との評価を下していた。報告書のサマリー(要約版)には、次のような一文がある。「市民の健康監視のため、今後数年間で(注意を払うべき病気や地域の)優先順位を設定するために貴重な情報を提供します」。WHO報告書がまとめられた一義的な目的は、被曝した市民の健康被害対策において何を優先すべきかを決める際の参考資料として活用してもらうためだった。従って、WHO報告書の正しい読み方は、そこに挙げられている推定被曝線量やガン発症率の数字だけに目を奪われるのではなく、評価を通じて炙(あぶ)り出された病気や地域に着目し、対策を取ることなのだ。ガン以外の健康被害が詳細評価の対象外とされたのも、WHOなりに「優先順位」を考えた末の話なのだと割り切れば、腑(ふ)に落ちる。どうしてもガン以外の健康被害が気になるのであれば、WHOに過度な期待など抱かず、日本国民が自らの手で「詳細評価」すればいいのである。ともあれ、今後、私たちが最大限の注意を払うべき対象は、WHOでも心配していた、「汚染地域に暮らしていた(もしくは暮らし続けている)若年層における甲状腺ガン、白血病、乳ガン、固形ガン」ということになる。ここで言う「汚染地域」とは、何も浪江町や飯舘村の「グループ1」地域だけに限らない。3~48ミリシーベルトの被曝とされた「グループ2」地域と、1~31ミリシーベルトの被曝とされた「グループ3」地域も、れっきとした「福島第一原発事故による汚染地域」である。対策地域を1ミリシーベルト以上の「グループ3」地域まで広げておけば、健康被害対策としてはとりあえず及第点をもらえるだろう。
■「子どものガン多発」に目をつぶる大人たちの罪
 今年7月16日に開かれた第8回の専門家会議では、このWHO報告書の提言を健康被害のアウトブレイク対策に積極的に活かそうという重大な提案があった。発言したのは、疫学と因果推論などが専門の津田敏秀・岡山大学大学院教授。津田氏はこの日、専門家会議の場に講師として招かれていた。同日の議事録によると、津田教授発言の要旨は次のようなものだ。
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 米国のCDC(疾病管理予防センター)は、甲状腺ガンの潜伏期間は大人で2.5年とし、米国科学アカデミーは、子どもにおいては最短の潜伏期間は1年であるとしている。1歳未満の乳児が甲状腺ガンになった症例の報告もある。従って、原発事故の翌年から甲状腺ガンの多発が起こったところで何の不思議もないし、これだけ大規模に被曝した人がいれば、その中には被曝に対する感受性の高い(=ガンになりやすい)人もいる。WHO報告書も、甲状腺ガン・白血病・乳ガン・固形ガンの多発が、特に若年層で起こるということに言及している。事故3年後の福島でも、甲状腺ガンの多発が明瞭に観察されている。多発に備える対策とその準備が、早急に必要だ。白血病は、累積ガンマ線被曝が5ミリグレイ(ミリシーベルトとほぼ同じ)を超えると、統計的有意差が出てくる。白血病を除く全ガンも、15ミリグレイの累積被曝によって多発してくる。妊娠中に放射線を浴びたために小児ガンが多発するという調査報告も、世界各国で相次いでいる(注4)。病院のX線撮影室の入ロに表示してある「妊娠している可能性がある方は、必ず申し出てください」という表示は、こうした調査報告を根拠にしたものだ。福島県では今もなお、妊婦を含む全年齢層が被曝している状態であるということを、きちんと考えていただきたい。今、福島第一原発事故に絡んで語られている「100ミリシーベルト以下ならガンが出ない」というような話は、必ず撤回させる必要がある。(除染を完了したとされる地域への)帰還計画も延期すべきだと思う。
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 この提案に対し、長瀧重信座長(長崎大学名誉教授)をはじめとする専門家会議委員は、「福島ですでにガンは増えている」という見方が委員会の結論となるのを断固阻止すべく、いっせいに反発を示す。会議の司会を務める長瀧座長は、津田教授に反論するよう委員らを焚(た)きつけつつ、自身は疫学の専門家でないにもかかわらず、津田教授の見解を「非常にユニーク」だとして切り捨てようとする。だが、津田教授も負けておらず、「私は、オックスフォード大学出版局から出ている『フィールド疫学 第3版』という教科書にもとづいて話している。(ユニークだと言う)先生のほうがユニークです」と切り返す。WHO報告書をめぐる議論は、ここで打ち切られた。そして、その後の専門家会議でもWHO報告書にもとづく健康被害対策が検討されることはなく、10月20日の第12回会議で、ついにWHO報告書は正式に無視されるまでに至っていた。津田教授にコメントを求めたところ、こんな答えが返ってきた。「特に感想はないですが。もともと、あの委員会の先生方には、健康影響を論じるのは無理な話なのですから」
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 推定被曝線量の高低や、予測された発症率の高低ばかりに気を取られ、「過大評価か否か」に固執する環境省や専門家会議。そして、「がんが明らかに増える可能性は低い」などと報じていたマスコミ。そのどちらも、WHO報告書の意味を180度取り違えていた。その結果、WHO報告書の提言は福島県民の健康被害対策に生かされず、そのことを批判するマスコミ報道もない。こうして「若年層でのガン多発」というアウトブレイクに備えた対策は、今日まで何も取られていない。かわいそうなのは、こんな大人たちにこれからの人生を翻弄される、子どもたちである。(注4)妊婦の腹部への被曝が生誕後の小児ガンの原因となるということは、半世紀ほど前から知られていた医学的知見でもある。研究自体は1950年代から世界的に行なわれており、子宮内で胎児が10ミリグレイ(=10ミリシーベルト)程度のX線被曝を受けると、小児ガンのリスクが必然的に増加するという結論がすでに出ている。(全文は『宝島』2015年1月号に掲載)

<燃料は自給できる>
*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150103&ng=DGKKASDF27H19_S5A100C1NN1000 (日経新聞 2015.1.3) メタンハイドレート 採取調査10カ所超に、経産省、来年度に埋蔵量把握 23年以降の商業化にらむ
 経済産業省は2015年度に、次世代の国産エネルギー資源として期待されるメタンハイドレートの調査を本格化させる。海底表層の調査に北海道周辺の2海域を新たに加え、8海域に拡大する。採取を伴うサンプル調査も14年度の2海域3カ所から新たな海域も含めた10カ所超に増やす。23年以降の商業化をにらみ、エネルギーの輸入依存からの脱却を目指す。政府は昨年12月27日に閣議決定した経済対策に「メタンハイドレートの開発促進」を明記した。今後、具体的な採取カ所を選び、追加費用として20億円弱を14年度補正予算案に計上する。メタンハイドレートには海底の表層付近で取れる「表層型」と海底からさらに地下深くの地層に含まれる「砂層型(深層型)」がある。経産省は13年3月に太平洋側の愛知県沖で砂層型のサンプル採取に成功したが、技術やコストの面で課題が多い。一方、13年度以降に始まった「表層型」の埋蔵量調査では14年12月25日に上越沖、秋田県・山形県沖の2海域3カ所の掘削でサンプルの採取に成功したと発表した。将来的には「砂層型」に比べ低いコストで回収できるとの見方が多い。そこで15年度は北海道周辺の2海域などへ表層型の調査海域を広げることに加え、上越沖や隠岐周辺など日本海側の有望海域でサンプル採取を本格化させることにした。より正確な埋蔵量が確認できれば、日本のメタンハイドレート開発は大きく前進することになる。太平洋側に眠るメタンハイドレートも含め、15年度以降は資源を低コストで採掘する技術開発などを加速させる。経産省は米アラスカ州政府と連携し、同州でメタンハイドレートの低コスト掘削技術を向上させる試験もこのほど始めた。日本のエネルギー自給率は5%にとどまる。原油や天然ガスを輸入に頼っていた米国がシェール革命で純輸出国に転じたように、政府はメタンハイドレートを中長期的な日本の自給率向上の切り札として開発を加速させる方針だ。

*4-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HAV_X11C14A1TJ2000/
(日経新聞 2014/11/20) 胎動、水素社会 東芝、エネルギー革命先導へ名乗り
 発電、給湯、暖房から車や船の動力源まで――。水素を暮らしや産業に活用する社会の実現に向け、日本企業の勢いが増してきた。化石燃料依存からの脱却は資源枯渇問題と地球温暖化防止の両面で世界的課題だ。供給量確保やコスト低減といった壁を越えエネルギー革命を起こせるか。「水素で強じんなエネルギーシステムをつくる」。東芝の田中久雄社長は約50人体制で今春発足させた次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームに号令する。火力、原子力発電に強い同社が次に狙うのは水素だ。チームにはサハリン、アラスカ、アイスランドなど水素製造の適地を洗い出した資料がある。風力発電の電気で水を電気分解して水素を量産し、船で日本に運び発電に使う。この流れを2020年代に確立する構想だ。水素は一般に石炭や天然ガスから得ているが、これなら環境負荷も低い。日本のエネルギー自給率は6%(12年)。経済協力開発機構(OECD)加盟国で2番目に低い。東日本大震災後の原子力発電所停止で電力の火力依存度は9割近い。化石燃料輸入額(発電用以外も含む)も震災前より10兆円増えた。13年度の二酸化炭素(CO2)排出量は過去最高だった。東芝は15年度に再生可能エネルギーを利用した水素発電の第一歩を踏み出す。太陽光発電の電気を使って水から得た水素を燃料電池に送り発電する実証試験を川崎市と始める。想定出力は30キロワット程度と小規模だが、実証と並行して「災害時用として(新システムの)販売を始めたい」(田中社長)と実用化を急ぐ。水素の源は水だけではない。大阪市では下水処理場で汚泥をメタン発酵させて得た水素を燃料電池に使う実験が進む。実験に参加する水処理大手のメタウォーターは「エネルギーを自給自足できる下水処理場も実現可能だ」(宮田篤新事業技術部担当部長)とみる。水素は「燃える空気」として248年前に英国の化学者が発見した。水素と酸素を反応させ発電する燃料電池の原型は1839年に英国で生まれた。水素エネルギーの歴史は古い。だが石炭や石油の世紀が続き、その陰に長く隠れてきた。水素を直接燃やす発電技術も進む。当面は天然ガス火力に水素を混ぜる混焼が軸だが、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)の発生量は多くなる。川崎重工業は燃焼制御技術を駆使。6割を水素にしてもNOx発生量を天然ガスだけの場合と同程度に抑えられるタービンを開発中だ。15年度の市場投入を狙う。資源エネルギー庁の試算では、100万キロワットの水素専焼の発電所で1年に使う水素は燃料電池車223万台分にあたる。発電での利用が進めば量産効果で、石炭や天然ガスより割高な水素価格を下げる道が見えてくる。「水素社会についての包括的な検討を進めるべき時期に差し掛かっている」。政府は4月に閣議決定したエネルギー基本計画でこう宣言した。世界に先駆けて水素の可能性を解き放てたとき、日本は「次世代社会」のデザイナーになれる。

<無公害の燃料へ>
*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO81696140X00C15A1TJ1000
(日経新聞 2015.1.8) 燃料電池車 「水素社会元年」が到来
 「数年前まで1台1億円といわれていたので縁遠いと思っていたが」。トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」。水素と酸素の反応で生み出した電気で走り、二酸化炭素(CO2)を排出しない。昨年12月中旬、発売直前に公道を試走した30代男性は名残惜しげに運転席を離れた。国の補助金を合わせた実質価格は約520万円。まだ高価だが、手が届く範囲に近づいてきたことを実感したようだ。トヨタは「ずっと待っていても前に進まない」(加藤光久副社長)と世界初の市販に踏み切り、FCV関連特許の無償公開で他社の参入も促す。ホンダは2015年度中にFCVを投入する方針。車選びに新たな選択肢が加わるとともに、水素関連の部材・機器開発や新事業を呼ぶ「水素社会元年」が到来する。ミライの心臓部となる発電装置「燃料電池スタック」。電極基材には炭素繊維を使った厚さ数百マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの「カーボンペーパー」を用い、発電効率を高めた。供給する東レの日覚昭広社長は「炭素繊維は戦略製品。自動車メーカーのニーズに応えていく」と意気盛んだ。50年来開発してきた素材が新たな舞台に立つ。トヨタ紡織は特殊なプレス技術を駆使し、軽くて強いが延ばしにくいチタンを「セパレーター」と呼ぶ燃料電池の板状部品に仕上げた。FCVという革新的製品が企業の技術力を鍛える。水素は口紅やマーガリンなど身近な製品の製造にも使われるが、なじみは薄い。FCVが日常の中に水素を連れてくる。昨年暮れ、東京・練馬にある都内最大級の「光が丘団地」のすぐ近くに、東京ガスが首都圏初の商用水素スタンドを開いた。都内ではJX日鉱日石エネルギーも1月に八王子市、2月に杉並区に開設する。都は25年までに官民連携で80カ所にする目標を掲げる。等距離に設置されると仮定すると、10分程度走ればスタンドが見つかる計算だ。調査会社の富士経済は、FCV向けの国内水素燃料市場だけでも15年度の約4億円から25年度には1千億円近くに拡大すると予測する。川崎重工業が気体の水素を運びやすい液体に変えるプラントを開発するなど、連動した動きも出てきた。FCV普及は緒に就いたばかりだが、暮らしの風景や企業戦略を変える可能性を秘めている。

| 資源・エネルギー::2014.10~2015.4 | 11:32 AM | comments (x) | trackback (x) |

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