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2015,02,17, Tuesday
2015.2.17 2030年度の電源構成案と原発回帰は、人間と環境を無視し過ぎだ。[この頃、殺人事件の報道ばかりで、原発事故の報道が少ないと思ったら・・] (2015.2.21、3.23に追加あり)
2014年8月 2014.5.24 *1-2 海流 中国の原発 パブリックコメント 朝日新聞 (1)経産省の電源構成案 *1-1のように、日経新聞は2015.2.16に、2030年時点の原子力、火力、再生可能エネルギーなどのエネルギーミックスの議論を政府が始め、「①原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え電気料金上昇」「②エネルギー自給率は主要国で最低水準」「③企業も経営環境を見通しにくい」「④現実的な電源比率を決めるときである」「⑤エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるべき」とした。 しかし、これまでこのブログで詳しく書いてきたように、①は原発のコストを電力会社が負担する運転コストだけに限っており正しくなく、②は太陽光、風力、水素、メタンハイドレートなどの日本にあるエネルギーを開発してこなかったこれまでの経産省の不作為にほかならず、③は原発が再稼働すれば新しいエネルギーにチャレンジしている有為な会社の経営が見通せなくなることなどから、④⑤で原発を重要な電源として位置付けるこじつけのために、①②③を使うのは論理的におかしく無理がある。 そのような中、*1-7のように、日本学術会議(大西会長)が、「原発から出る核のごみ対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべき」「高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢は将来世代に対する無責任」「新増設も容認できない」とする政策提言案をまとめたのは、世論形成や国の政策に影響を与えそうでよかった。ただ、公平性の観点から暫定保管の施設を原発立地地域以外で建設するのが望ましいなどとしているのは、放射能管理区域をいたずらに増やすことになり賛成できない。 (2)中国の行動と日本のふがいなさ *1-4では、朝日新聞が、「①中国政府は福島原発事故から5日後の2011年3月16日に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した」「②中国は原発大国化に大きくカジを切ろうとしており、発電能力を5年で3倍にする計画」「③高効率で安全性も高いとされる第4世代の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工している」「④実用炉は最先端の第3世代の原発も数基、建造する計画」「⑤世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と記載している。 つまり、①のように、中国政府は日本の原発事故から5日後に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止したのだ。しかし、*1-5のように、意見公募しても、原子力規制委がその意見を無視して「適合」と判断した高浜3・4号機のように、日本が原発再稼働に向けてばく進し始めたのを見て、中国は②の行動をとったのであり、ここが原発事故の被曝国である日本が責任を果たさなかった残念な点である。 そして、③であれ④であれ、原発が過酷事故を起こす確率が0になることはなく、パワーがあればあるほど事故時の汚染範囲も広い。さらに、中国の沿海部は対馬海流が日本海に向かって流れており、過酷事故が起これば、その汚染水は沿岸諸国にとってとりわけ深刻である上、平時でも海に放出される原発の熱は、漁獲高を減らしている。その理由は、海を温めたり、原発を冷却するために取り込んだ大量の海水に含まれる幼生を高温で殺して放出するためと言われており、これは経験済なのだ。 (3)環境の視点でも原発は最悪であり、世界環境基準が必要であること *1-1は、さらに「①国連は温暖化ガス削減目標を示すよう各国に求めている」「②震災の影響で原発が止まり、火力が88%を占めて再生エネルギーも微増に留まった」「③化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた」「④安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すべき」「⑤化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っているため、輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げるエネルギー安全保障が要る」「⑥再生エネルギーで、家庭や企業の負担が増した」「⑦電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになり、原発建て替えも議論すべき」「⑧電源構成をいま決めることは、その原発再稼働と建て替えの出発点になる」と続ける。 しかし、①④については環境に悪影響を与える物質はCO2だけではなく、原発事故による放射線被曝の方がずっと人体に有害であることを無視しており、②は再生可能エネルギーの普及を後押しするどころか邪魔しているからにすぎず、③⑤は10年前と全く同じフレーズだが、これまでの経産省・電力会社の行動が原因なのである。さらに、⑥は再生エネルギーで家庭や企業の負担が増し原発の方が安価だというのは真っ赤な嘘であり、①~⑥は、まさに⑦⑧の結論を得るための恣意的な広報や行動の結果にすぎない。そのため、こういうことを書いて自分でおかしいと思わない日経新聞は、論理性・科学性もしくは誠実さに欠ける。 なお、東京新聞は、*1-2のように、「2030年度の電源構成案60年運転を前提とし、原発は20%に上昇も」と題して「現在は0で、将来も最大でも15%未満にとどまる原発比率を20%前後まで高めるとみられ、原発への依存度を可能な限り引き下げるとしたエネルギー基本計画に逆行する」としている。そもそも、政府が原発や再生可能エネルギー等の構成比率を決めること自体、政府が米・麦・とうもろこしなどの作付面積を決めて国民にできたものを食べろというのと同じ計画経済であり、政府は技術進歩や市場を先んじて考慮することができないため、既に失敗が確認された経済システムなのである。 さらに、*1-3で朝日新聞は、経産省の作業部会で、将来の電源構成に「原発維持」の声が続々と出ており、委員の構成について「原発偏重だ」などと批判も出ていることを報告している。政府は原発を「可能な限り低減させる」としているが、現在、0でやっているのであるから、このまま再生エネルギーを増やせばよいのだ。しかし、経産省は「原発停止により、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がった」としており、原発の燃料も輸入品であることを考えれば、経産省の試算は原発に偏っておりおかしい。 原発の母国である米国では、*1-6のように、シェール革命後には原発の廃炉が続いており、よりよいエネルギーを探したり、それが見つかればすぐに変更したりするのがよい(当たり前の行動だが、日本は、これができないのだ)。そして、日本でも、2016年に電力小売りが自由化され、2020年に総括原価方式が廃止されると、原発を手掛けるのは事業リスクが大きくなるため、経産省は、電力自由化後の原発政策として、原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合は、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収したり、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証したりすることを検討しているそうだが、そのような金があったら水素を始め再生エネに投入した方が、よほど将来の役に立ち、経済効果があると考える。 (4)新しい世界環境基準に求めること *5-1のように、エネルギーで迷走している日本だが、やはり電力供給の主役は石炭火力にはならないだろう。しかし、このように迷走する理由は、国際的な環境規制が、地球温暖化対策として、CO2の排出のみを制限しており、それをくぐりぬけることを国益と考える風潮があるからだ。 1995年に(私が提案して)できた最初の環境に関する世界基準である京都議定書が、CO2の排出量だけを問題にしているのは、当時は世界基準を導入することが最も重要だったため、皆が受け入れやすい地球温暖化問題のみに限定したからだ。現在では地球環境に関する世界基準は既に導入されているため、地球環境汚染対策のために、地球温暖化防止のみならず放射性物質、有害な化学物質や金属などの空気・水への混入防止を含めて、京都議定書に代わる新しい世界環境基準を作るべきである。 放射性物質については、*5-2のように、「原発事故から目を背けてはいけない」とする記事があり、*5-3のように、川内原発から風船を飛ばして、過酷事故が起きた際の放射性物質の拡散距離や方向を予測しようとする実験もある。風船飛ばしは2013年7月、2014年4月、2014年10月にも実施され、過去3回は120~150キロ東の宮崎県日南市や都農町、日向市などでも確認され、2015年2月8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来たそうだ。つまり、放射性物質が達する地域は、とても30キロ圏内だけにはおさまらないのである。 佐賀県では、*5-4のように、山口新知事が反原発団体と面会するそうだが、佐賀県の「原発なくそう!九州玄海訴訟」は約1万人の原告を集め、原告団団長の長谷川照氏(京都大理学博士。専門は、原子核理論。佐賀大理工学部教授、理工学部長等を経て、2003~2009年度、佐賀大学学長。http://www.data-max.co.jp/2012/02/08/post_16433_ym_1.html 参照)は原子力の専門家で、代理人の馬奈木昭雄弁護士(水俣病訴訟等の公害問題に専門的に取り組む弁護士。https://www.youtube.com/watch?v=Favxc7e-VPA 参照)は、水俣病はじめ公害に詳しい弁護士だ。そのため、世界一進んだ訴訟をしていると思うので、山口知事は、この2人に会って話を聞き、勉強すべきだ。 (5)フクシマ原発事故の真実の報道と近隣の健康調査が必要 *2-1のように、福島県は2月12日、フクイチ事故当時18歳以下だった約38万5000人が対象の甲状腺検査で昨年末までに118人ががんや疑いがあると診断されたと発表し、うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になったが、これは通常の少なくとも300倍から数千倍とのことである。 しかし、*2-3に書かれているように、全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称しており、実際にはどちらも「がん発症」なので、ここにもごまかしがある。また、甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とし、「チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだった」「がんが急速に大きくなっているわけではない」としているが、これらは、原因がフクイチ事故でないことを証明する根拠にはならない。 また、放射性物質は県境で止まるわけではないため、*2-2のように、福島近隣県でも健康調査を実施するように要望が出されているが、*2-3のように、南東北、関東全域にも影響が出ていると考えるのが自然である。 さらに、*2-4のように、北海道がんセンターの西尾氏が高知市で講演し、「外部被曝は一瞬で体を通り抜ける。内部被曝は体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と内部被曝の危険性を説明し、「政府は外部被曝だけを議論し、内部被曝の問題を全く無視している」と批判されたそうだが、全くその通りだ。また、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについても、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判されたそうで、同感だ。さらに、チェルノブイリ原発事故と比較し、「チェルノブイリは内部被曝の危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被曝の議論が全く無い」「(内部被曝の危険を)隠蔽する不誠実な対応だ」と政府を断じられたそうだが、これも尤もである。 (6)フクシマの過酷事故への対応 *3-1のように、東日本大震災発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低く、それは福島第1原発事故の当事者であることが最大の原因だそうだ。津波被害だけなら、その後、人間が戻れず住めなくなるということはないが、原発の過酷事故は影響が長く続き、住めなくなる地域も多いからだ。これは、初動でリーダーが最前線で汗を流している姿を見せ、頑張っているというアピールをしたか否かよりも、事実が正確に報道されなかったために無用の被曝をさせられたり、現在も被害を受け続けて先が見えず、信頼を失ったりした結果だろう。 なお、*3-2のように、東電フクシマ原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)は、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際には、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在し、賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定して、Aを訴訟より低額にし、Bを「一律5割」か「例外的に1割にする」と記載しているそうだ。 (7)フクシマの放射能汚染水は現在も垂れ流しの上、溜めたものも太平洋に放出?! *4-1のように、東電福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明し海洋放出への理解を求めたそうだ。しかし、三陸沖は黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)がぶつかる地域で、汚染水は県境とは関係なくその辺で混ざり合うため、浄化後といってもトリチウムをはじめ、除ききれなかった放射性物質が混ざっている大量の汚染水を海洋放出するのはどうかと思う。 そして、*4-2では、「東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できる」としているが、地下水はすぐに周りから補充されるので、水位が低くなるということはない。また、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる上、排水する水の総量が多いため、処理済水がどの程度汚染されているのかも重要な問題だ。 <経産省の電源構成案> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83212720W5A210C1PE8000 (日経新聞 2015.2.16) 現実的な電源比率を決めるときだ 2030年時点で、原子力や火力発電、再生可能エネルギーをどんな比率で組み合わせて使うか。それを軸にした「エネルギーミックス」の議論を政府が始めた。東日本大震災から4年。原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え、電気料金が上昇している。エネルギー自給率は主要国で最低水準だ。企業も経営環境を見通しにくい。エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるときだ。 ●温暖化防止へ責務 震災前の10年度時点で、日本の電力は原発で28%、火力で62%、水力を含む再生エネルギーで10%を賄っていた。だが震災の影響で原発が止まり、13年度時点では火力が88%を占める。再生エネルギーも微増にとどまった。いびつな状況といえる。化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた。安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すことが欠かせない。電源構成を決めなければならない大きな理由は、今年末にパリで開く国連の会議で20年以降の温暖化ガス削減の枠組みが決まることだ。国連は各国にできるだけ早く削減目標を示すよう求めている。日本も責任ある目標を示さなければならない。数字先行で国民に負担を強いては困る。工場や家庭、運輸など各部門で省エネをどこまで強められるか。電源構成の見通しを持ち、数字を積み上げて議論の基礎にするのが望ましい。エネルギー安全保障の意味も大きい。原油価格は下落基調にあるが、化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っている。輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げる目標が要る。エネルギーミックスの具体的な数字を詰めるうえでは、主に2つの点で議論を深めてほしい。まず再生エネルギーの導入目標を明確にすることだ。12年に電力会社による買い取り制度が始まり、制度面で課題を残しつつも、導入拡大に弾みがついている。一方で、家庭や企業の負担も増している。経済産業省によれば、このまま増え続けると家庭の電気料金への上乗せ額はいまの月225円から4倍に膨らむ。制度見直しで国民負担を減らし、持続性のある目標を定めるべきだ。もうひとつが原発の位置づけだ。電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになる。九州電力川内原発と関西電力高浜原発が原子力規制委員会の審査に合格したが、ほかの原発では見通せない。そんな状況で政府が目安を決めてよいのかという疑念はあるだろう。政府は再稼働の条件として規制委による安全確認と地元による同意を掲げた。政府が原発比率の目標にこだわり、規制委に圧力をかけることは許されない。規制委の独立性と中立性を再確認したうえで、目標を決めるべきだ。原発については、老朽原発の運転延長や建て替えをどうするかも議論を避けて通れない。 ●原発建て替えも議論を 原発の運転期間は法律で原則40年と定められた。これに沿えば30年に運転可能な原発は20基、40年に7基に減る。自然減に委ねれば、30年時点で発電量に占める原発比率は15%に届かない。それで電力を安定供給できるかは未知数で、運転延長や建て替えの選択肢をいま放棄することはできない。個々の原発の運転延長の可否は規制委が判断することで、政府が口出しすべきではない。一方で、建て替えは許認可や地元同意などで10年以上かかり、国が方向性を示すことは不可欠だ。電力市場の自由化が進めば、電力会社が原発の建て替え費用をどう調達するかや電気料金の決め方、人材確保が課題になる。電力改革の制度設計とあわせ、それらをいまから議論しておくべきだ。私たちは東京電力福島第1原発事故の後、5~10年程度をエネルギー政策の「調整と点検の期間」にするよう訴えてきた。その間は再生エネルギーの利用拡大に全力をあげ、エネルギーの主役になり得るか見極めよと主張してきた。将来の電源構成を示すことはいわば「調整」の目標を定めることだ。電源ごとのコストや導入見通しがはっきりしてくれば、目標を「点検」して柔軟に見直せばよい。電源構成をいま決めることは、その出発点になるはずだ。 *1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015013102000124.html (東京新聞 2015年1月31日) 2030年度の電源構成案 60年運転前提 原発20%に上昇も 経済産業省は三十日、将来的な原発や再生可能エネルギーなどの構成比率を話し合う総合資源エネルギー調査会の「長期エネルギー需給見通し小委員会」の初会合を開いた。原発は運転開始から四十年で廃炉にする決まりだが、経産省は六十年まで延ばせる特例の利用を前提にする。現在はゼロで、将来も原則通りなら最大でも15%未満にとどまるはずの原発比率を20%前後まで高めるとみられ、「原発への依存度を可能な限り引き下げる」としたエネルギー基本計画に逆行する。原発の寿命を特例で延ばす手法にも安全を懸念する国民の声が強まる可能性がある。政府が昨年四月にまとめた同計画では原発の目標数値は明記しておらず、小委員会は夏までに二〇三〇年度に目指す原発や再生可能エネルギーなどの構成比率をまとめる。政府は東京電力福島第一原発の事故で、同原発1号機が四十年を超え老朽化していたことなどを重視、一二年の法律改正で運転期間を四十年に区切った。経産省は「現時点で原発の新増設は想定していない」としており、多くの原発が再稼働したとしても時間がたてば自然に原発は減る。同省試算では、火力なども含めた総発電量が一定と仮定すると、原発の占める割合は二八年度に約15%と〇九年度の半分になり、三〇年度はさらに下がる見通し。しかし、原発は原子力規制委員会の特別点検に通れば最長六十年まで運転を延ばせる。安倍政権は原発の維持推進を目指しており、経産省は原発の割合を引き上げるため「延長特例を利用する想定を置く」(同省関係者)方針だ。三十日の初会合でも、経産省が配った資料は「天然ガスなど化石燃料への依存度が急上昇している」など原発の必要性を示唆する内容がほとんど。一方、再生エネルギー計画で21%以上を目指すとした再生エネについては「増やすと電気料金も上がる」と後ろ向きの説明に終始した。会合では委員の橘川武郎一橋大大学院教授が「政府は『原発は可能な限り減らす、再生エネは最大限導入』と言っているのだから、再生エネは(最低でも)30%、原子力は15%ぐらいでないとおかしい」と原発回帰の議論にくぎを刺した。同調査会基本政策分科会委員の福井県の西川一誠知事も「原子力規制委は安全の責任をとらないので、政府が規制委の認めた原発は動かすといっても国民の支持は得られない」と批判した。 <40年廃炉原則> 政府は東京電力福島第一原発の事故を受けて老朽原発の廃炉を進めるため、2012年に原子炉等規制法を改正して原発の運転期間を40年に制限した。しかし電力業界の反発を受け、原子力規制委の「特別点検」に合格すれば最長20年延長できる例外規定も設けた。 *1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH1Z42B7H1ZULFA00P.html (朝日新聞 2015年2月2日) 将来の電源構成「原発維持」の声続々 経産省作業部会 原発比率を含む2030年の電源構成(エネルギーミックス)を話し合う経済産業省の作業部会が1月30日、始まった。委員からは将来も原発を維持することを求める意見が相次いだ。経産省は6月までに結論を出したい考えだが、委員の構成について、「原発偏重だ」などと批判も出ている。この日は、これからの電源構成を検討する「長期エネルギー需給見通し小委員会」と、検討結果を報告する上部組織「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」が合同で開かれた。東日本大震災時の10年度の原発の割合は全発電量の28・6%。政府はこれを「可能な限り低減させる」としており、どこまで減らすかが最大の焦点だ。まず、事務局の経産省が、原発の停止により、燃料を輸入に頼る火力発電の急増で、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がったとして、「危機的である」と強調。電気料金が産業用で約3割、家庭用で約2割上がったことや、二酸化炭素の排出量が急増したことなど、原発停止による悪影響を並べた。分科会の委員として出席した福井県の西川一誠知事は「このままでは大変だ。日本は極端な状態にある」と応じ、原発推進のはっきりした政府の意見表明を求めた。小委員会委員の高橋恭平・昭和電工会長は「原子力を一定のレベルにキープするのが現実的な対応策」。橘川武郎・一橋大大学院教授は「再生エネは30%、原子力は15%ぐらい」と具体的な数字を述べた。「原発ゼロ」を求める意見はなく、今後は15~25%を軸に検討が進みそうだ。原発のリプレース(建て替え)や新増設についても意見が出て、「建て替えの議論は避けて通れない」(増田寛也元総務相)などと、今後の議題にするよう注文がついた。 ■委員構成に批判 一方、議論の進め方には批判も出ている。「電力によった委員構成と言わざるを得ない」。29日の衆院予算委員会。民主党の馬淵澄夫衆院議員は、小委員会のもとに設けられた「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」の委員が偏っていると批判した。WGは、電源構成の議論を大きく左右する各電源の発電コストを再検証するところだ。ところが、WGの委員7人のうち、電力業界などがお金を出している公益財団法人・地球環境産業技術研究機構から2人も選ばれていた。宮沢洋一経済産業相は「個人の経歴、能力を評価して委員に選んだ」として、人選に問題はないとの認識を示した。経産省は27日、電源構成に関する意見募集を開始。今後シンポジウムなども開き、幅広い意見を小委員会の議論に反映するとしている。民主党政権のときは、全国的な意見聴取会や討論型世論調査などの「国民的議論」をへて、「30年代までに原発ゼロ」という方針を決めた。 *1-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11597559.html?_requesturl=articles%2FDA3S11597559.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11597559 (朝日新聞 2015年2月12日) 中国、原発大国へシフト 発電能力5年で3倍計画 中国政府は今年、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させる構えだ。5年で発電能力を約3倍に増やし、世界第2位のフランスに迫る計画。膨らむエネルギー需要と環境対策という課題を抱える習近平(シーチンピン)指導部は、「エネルギー生産と消費の革命」を掲げ、原発大国化に大きくカジを切ろうとしている。中国・北京から南東に約600キロ。1月、黄海に突き出す山東半島の先に広がる造成地で巨大なクレーンが林立していた。石島湾の原発建設現場の守衛は「福島の事故で止まっていた工事が、やっと動き出した」。石島湾では、高効率で安全性も高いとされる「第4世代」の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工しているほか、実用炉では最先端の「第3世代」の原発も数基、建造する計画がある。国家発展改革委員会は昨年11月、石島湾などで計6基の新規原発の建設許可を国務院常務委員会に申請。「初の国産第3世代炉」と位置づける原発や実績の乏しい新型炉も含まれるため政府内に慎重論もあるが、原発の安全審査を担う環境保護省核・放射安全センター幹部は「着工は早晩、認められるだろう」。習主席は昨年の党の重要会議で「世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と宣言。国務院は2020年に原発の発電能力(発電設備容量)を現在の3倍近い5800万キロワットに引き上げる計画を掲げた。その先には、構想を含め200基を超える建設計画があり、「50年には発電能力4億~5億キロワット」とのプランも語られ始めている。 ■炉型混在に懸念 福島原発事故から5日後の11年3月16日、中国政府は着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した。安全基準を見直すべきだとの意見が政府内でも強まったためだ。各地の原発でストレステストを実施する一方、津波対策や非常時の電源確保のあり方などを見直し、12年10月に「原子力発電安全計画」を策定。原発の着工許可は出すようになったが、福島の事故で凍結されたものが中心で、新規原発の着工は一部にとどまっていた。しかし、エネルギー確保と環境対策という矛盾する課題は、深刻さを増す一方。昨秋、訪中したオバマ米大統領との会談で宣言した「30年ごろまでに非化石燃料の比率を約20%に引き上げる」との公約も、原発抜きに実現は難しい。ただ、安全の確保には懸念も残る。とりわけ国有の3大事業者がそれぞれ米、仏、ロなどの技術を取り入れ、開発を続けた結果、多様な炉型と技術が混在する現状への危惧は根強い。トラブル対応の経験不足や、原発の急増に技術者の人材育成が追いつかない問題なども国内で指摘されている。 ◆キーワード <原発の世代> 次世代の原子炉の開発を議論する国際会議によると70年代に世界中で盛んに建設された商業炉は「第2世代」。東京電力福島第一原発をはじめ日本にあるほとんどの商業炉がこれに当てはまる。現在運転中で最新のものが90年代後半に開発された「第3世代」。2030年以降の実用化を目指し効率や安全性などを高めた高速炉や高温ガス炉など次世代の原子炉を「第4世代」と呼ぶ。 *1-5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015021302000125.html (東京新聞 2015年2月13日) 高浜3・4号機 意見公募 答えず「適合」 原子力規制委員会は十二日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が原発の新しい規制基準を満たしているとの審査書を正式に決めた。パブリックコメント(意見公募)には、原発が集中立地する危険性や避難計画の実効性が審査されないことなどに多くの意見や疑問が寄せられた。だが、規制委は、事故が起きても一定レベルに収まると想定して判断する姿勢を変えず、すれ違いが目立った。意見公募には約三千六百件が寄せられた。この日の会合では、主な意見と規制委の見解を併記する資料も公表された。高浜原発が立地する若狭湾周辺には、関電大飯、美浜、日本原子力発電敦賀の三原発、高速増殖原型炉「もんじゅ」もあわせ計十四基が立ち並ぶ。同時多発的に事故が起き、事故収束の要員が不足したり、他の原発から高濃度の放射性物質が飛来し、高浜での作業ができなくなったりする懸念の声も寄せられた。規制委は、各原発で十分な要員や資材を準備しており、「それぞれの炉で独立して事故対応にあたれる」と回答。寄せられた疑問には直接答えなかった。記者会見で、集中立地の問題を問われた田中俊一委員長は「同時多発的に起きても、それぞれのところできちっと対策が取れる」とかわした。東京電力福島第一原発事故では、放射線量が上がったり、水素爆発の危険が増したりして作業員が待避する事態が何度も起きた。「新基準を満たせば、作業に影響がある事故にならないと決めつけているのはなぜか」との問いもあったが、規制委は新基準が求める対策により「作業に支障がないことを確認した」と回答するにとどまった。また、地図上では高浜原発に通じる道路は一本の県道しかなく、必要な外部支援が厳しい事態も起きうる。この懸念に対しては、七日間は支援なしに対応できることが新基準の要求だとして、問題ないとの考えを示した。複数の道があるような記述が回答欄にあったため、規制委や関電に取材すると、「機密」として具体的には明かさなかったが、徒歩による支援要員の投入しか審査していないと答えた。避難計画の実効性を、規制委が審査すべきだとの意見もあったが、田中氏は「そういう(避難の)事態にならないように規制サイドとしてやっている」と説明した。 *1-6:http://mainichi.jp/shimen/news/20150215ddm002020078000c.html (毎日新聞 2015年2月15日) 原発:米で廃炉相次ぐ 日本、電力自由化後に試練 収入不安定化のリスク シェール革命の恩恵を受ける米国で原発の廃炉が続いているが、電力販売の完全自由化を控える日本でも、自由化後の原発をどうするかは重要な課題だ。原発は建設開始から発電までに10年程度かかる上、建設などの初期投資は5000億円規模に上る。長期間にわたって安定した料金収入を得られないと、電力会社の経営基盤が揺らぎかねない。電力自由化で価格競争が進むと、事業リスクの大きい原発が敬遠され、手掛ける電力会社が限られるとの見方もある。現在は電力会社が原発に巨額の投資をしても、電気料金で回収できる。原発を含む事業コストに一定の利益を上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」という規制で守られているからだ。しかし、2016年に電力小売りが自由化され、20年をめどに総括原価方式が廃止されると、料金で回収できる保証はなくなる。一方で原発は、事故やトラブルで長期停止したり、規制強化で安全対策費用が膨らんだりするリスクも抱える。金融機関が融資を尻込みすれば、原発からの撤退を検討する電力会社が出てくる可能性もある。このため、経済産業省は昨年、電力自由化後の原発政策として、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に似た制度を原発に導入する案を示した。原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収する仕組みだ。英国が13年に導入した制度をモデルにしている。ただ、「原発版FIT」の価格が高すぎると、企業や家庭の反発を招くのは必至だ。英国の買い取り価格は1キロワット時当たり16・65円(1ポンド=180円換算)で、日本政府が11年に試算した原発の発電コスト「8・9円以上」を大幅に上回る。石炭や液化天然ガス(LNG)火力より割高になる計算だ。反原発派だけでなく、産業界でも「原発稼働のために電気代が上昇すれば本末転倒」との警戒感が根強い。このため政府内では、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証する米国の制度を導入することも検討されている。政府は原発や再生エネなど電源ごとの発電比率を示す電源構成(エネルギーミックス)を今夏までに策定する方針で、原発依存度を15〜25%とする方向だ。中長期的に一定の原発依存度を維持するため、老朽原発を廃炉にする代わりに、敷地内での建て替え(リプレース)を容認する可能性が高い。ただ、裏付けとなる原発推進策の具体化は、「誰がどのぐらい原発のコストを支払うか」の難題に関わるため後回しにされている。 ============== ■ことば ◇総括原価方式 電力会社が電力供給に必要と見積もった費用をすべて回収できるように電気料金を設定する仕組みで、電気事業法で規定されている。燃料費や給与、福利厚生費、発電施設の維持・改修費、減価償却費などの費用に、一定の利益を上乗せして電気料金を決める。電力会社の経営を安定させ、電力の安定供給につなげる狙いだが、コスト削減を促しにくい問題がある。 *1-7:http://qbiz.jp/article/55945/1/ (西日本新聞 2015年2月15日) 「核ごみ対策を再稼働条件に」 日本学術会議、国へ政策提言へ 学術の立場から国に政策提言など行う日本学術会議(大西隆会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが14日、分かった。17日に同会議の検討委員会で議論し、3月にも正式に公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ。学術会議は2012年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第1原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則50年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後30年をめどに処分地の決定が重要としている。さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が管内に最低1カ所施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。また、合意形成のために市民も参加して議論を深める「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。 <フクシマと近隣の健康調査> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASH2D61KJH2DUGTB00S.html?_requesturl=articles%2FASH2D61KJH2DUGTB00S.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH2D61KJH2DUGTB00S (朝日新聞 2015年2月13日) 福島)甲状腺がん118人に「原発事故影響考えにくい」 福島県は12日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下の約38万5000人が対象の甲状腺検査で、昨年末までに計118人ががんや疑いがあると診断されたと発表した。うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になった。甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とした。チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだったことなどから、昨年度末までの1巡目の検査を、事故前の状態とみなし、今年度始まった2巡目検査の結果と比較して、甲状腺がんが増えるかどうか調べる予定だ。2巡目検査は昨年末までに約7万5000人の結果が判明。8人が、がんや疑いと診断された。昨年10月末時点のまとめより疑いのある人は4人増え、1人は手術でがんと確定した。8人のうち5人は、1巡目の検査では結節(しこり)も何も無いと診断されていた。過去2年以内にがんが発生して大きくなったのではという懸念に対し、検査を担う県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は、「がん細胞はある程度の塊にならないと見えないので、前回の検査でまったく何もなかったとは限らない。8人とも1次検査の後の観察では、がんが急速に大きくなっているわけではない」と説明した。 *2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150117/CK2015011702000148.html (東京新聞 2015年1月17日) 健康調査を求め 環境省に意見書 東電福島第一原発事故に伴う住民の健康管理をめぐり、野田市は十六日、環境省の指針「当面の施策の方向性(案)」のパブリックコメント(意見公募)に、福島近隣県や野田市なども健康調査を実施するよう求める意見を提出した。指針では、福島県民の健康調査を充実させるとしている一方、同県以外の住民には言及していない。野田、柏、松戸など除染の汚染状況重点調査地域に指定されている県内九市は昨秋、同省に緊急要望書を提出したが、指針に反映されていないため、野田市はあらためて国の責任で甲状腺エコー検査などの実施を求める意見を出した。意見公募の期間は昨年十二月二十二日から一月二十一日まで。柏や松戸も対応を検討している。 *2-3:http://financegreenwatch.org/jp/?p=41354 (もうすぐ北風が強くなるブログ) 世界最悪となっている福島の小児甲状腺がん発症率 子ども316人に一人発症 福島の小児甲状腺がんはベラルーシを超える世界最悪の状況になっている。 マスコミは報道しないか、誰も読まないような小さな記事にしている。確定33人、疑い42人の発表自体が姑息な誤魔化し。 全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称している。 当然、正しくはどちらも「発症」である。つまり「発症75人」である。 報道しないか、こうした馬鹿話を小さく記事にする犯罪マスコミである。通常100万人に0.2人とも1人ともいわれる小児甲状腺がん。それが福島は既に概ね300人に一人、通常の少なくとも300倍から数千倍になる。とてつもなく甚大な発症数であることに注意されたい。放射能が県境から消えたではないので、南東北、関東全域にも影響は出ていると考えるのが当然だろう。小児甲状腺がんはあくまで初期の放射性ヨウ素を反映している目安である。その他の多種多様な被曝症状、鼻血から下痢、うつ病、化膿症から知能低下、突然死までが同じように異常な増加、拡大をしていると考えるのが正しいだろう。とくに南東北から関東まで。いまだに、正確な放射性物質の量は把握されていないことを忘れてはいけない。政府の放置によって、世界最悪の放射能汚染に見舞われているのである。廃棄物処理や物流によって全国に拡散を続けているのが現実だ。決して、政府マスコミの馬鹿話に引っかかってはいけない。 ●人口がベラルーシの5分の1の福島県で75人 2011年3月11日の福島第一原発事故発生から3年目、日本では小児甲状腺がんが爆発的に発症しています。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ(人口1000万人)に当てはめれば人口が200万人の福島県の75人とは、375人に相当する無茶苦茶な数字なのです。ベラルーシでは、最悪だったチェルノブイリ事故から9年後の1995年でも発症者は100人を超えていない。福島県は7日、東京電力福島第一原発の事故当時に18歳以下だった子ども(36万人)の甲状腺検査で、結果がまとまった25万4千人のうち75人が甲状腺がんやがんの疑いがあると診断されたと発表した。この25万4千人とは、甲状腺の正式なガイドラインから血流検査など大事な4項目を省略した簡易な一次検査の人数で、精密な二次検査終了者の人数ではないことに注意。(二次検査終了者数は半数程度と思われる)。昨年11月の発表時点よりも、検査人数は約2万8千人、がんは疑いも含めて16人増えたが、今回増えた分だけを分母分子にした小児甲状腺がんの発症率は1750人で1人の割合である。福島県は通常の発症率の数百倍から数千倍の猛烈な数字なのですから、隣接する宮城県茨城県千葉県東京都など他の東日本地域も、当然メルトダウンした福島第一原発の放射性プルーム(放射能雲)が襲来した影響が出ていると判断するべきであろう。本来なら原発事故から3年目程度では、放射能の影響が小さい。いみじくも民主党幹事長だった枝野幸男が何回も繰り返したようにDNAを傷つける放射能は『直ぐには健康に影響しない』のである。一定の時間が経過してから確定的ではなく確率的に被害が出るから、放射能は余計に恐ろしいのである。今の福島県がチェルノブイリ原発事故後のベラルーシと同じ経過を辿るとすると、2020年には1000人以上のとんでもない数字になっている。総人口比では1755人に1人の割合である。小児人口比では316人で1人が小児甲状腺がんが発症するのですから、2020年の日本は暢気に東京オリンピックどころの話では無い。国家存亡の一大事に、政府自民党は東京都知事選挙だのオリンピックだのと、無責任にも程がある話である。 *2-4:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=333068&nwIW=1&nwVt=knd (高知新聞 2015年2月8日) 「内部被ばく無視するな」高知市で北海道がんセンター西尾氏が講演 東京電力福島第1原発事故の被ばくを考える講演会が7日、高知市内であり、北海道がんセンターの西尾正道名誉院長(67)が内部被ばくの危険性を指摘した上で、「政府は外部被ばくだけを議論し、内部被ばくの問題を全く無視している」と批判した。西尾正道氏は約40年間、がんの放射線治療を行っており、2011年3月の事故以降は福島県内で子どもの甲状腺検査をボランティアで続けている。講演では外部被ばくと内部被ばくについて、「外部被ばくは一瞬で体を通り抜ける。内部被ばくは体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と、内部被ばくの危険性を説明した。ほかにも、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについて、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判した。チェルノブイリ原発事故とも比較し、「チェルノブイリは内部被ばくの危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被ばくの議論が全く無い」と強調。「(内部被ばくの危険を)隠蔽(いんぺい)する不誠実な対応だ」と政府を断じた。講演はグリーン市民ネットワーク高知などの主催で、高知県人権啓発センターで行われた。 <フクシマの過酷事故時の対応> *3-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141015_61008.html (河北新報 2014.10.15) 大震災知事対応 「初動に不満」福島半数 東日本大震災の発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低かったことが14日、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授(政治意識論)の調査で分かった。「県レベルの政治を信頼できるか」という問いでも福島県が最も低く、河村准教授は「福島第1原発事故の当事者であることが最大の要因」と分析している。知事の初動対応について「かなり評価する」「ある程度評価する」との回答は宮城が78.1%、岩手が67.6%、福島が39.2%。村井嘉浩宮城県知事が最も高く、佐藤雄平福島県知事に大きく差をつけた。逆に「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島53.2%、岩手24.1%、宮城15.7%だった。知事や県議会など「県レベルの政治を信頼できるか」でも「信頼できる」「やや信頼できる」が宮城57.0%、岩手47.0%、福島35.0%の順だった。「あまり評価できない」「まったく評価できない」は福島が60.2%で最も高く、岩手48.2%、宮城37.0%。県政界全体の評価でも福島が最も低かった。県や市町村職員の初動に対する評価では、「かなり評価する」「ある程度評価する」が宮城67.5%、岩手66.9%、福島47.0%。「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島41.0%、宮城22.5%、岩手22.3%。知事の評価に比べ差は小さいが、福島の評価が低かった。津波被害がメーンの岩手、宮城両県に比べ、福島では津波被害に加え、原発事故の影響が現在も続いており、被災3県の比較調査で全体的に低い評価につながっているとみられる。一方、河北新報社が11、12の両日、福島県の有権者を対象に行った聞き取り調査(回答者200人)では、原発事故から3年半の佐藤県政について「大いに評価する」「評価する」は計59.0%で、「評価しない」「まったく評価しない」(24.5%)を大きく上回った。除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設問題に道筋を付けた点が、高評価につながったとみられる。調査の方法]日本学術振興会東日本大震災学術調査の一環として、東北大の河村研究室がことし5~8月、岩手、宮城、福島、茨城4県の有権者各1000人を抽出し、調査票を郵送した。各県1000ずつのサンプルに対し、回収率は43%。紙面化に当たり、被害が大きかった東北の被災3県で比較した。 ◎動き見えず被災者不安に <東北大大学院情報科学研究科・河村和徳准教授> 被災3県の知事比較から思い浮かべたのは、4月の旅客船セウォル号沈没事故で政府対応を誤り、事故前まで60%前後あった支持率を急落させた韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の姿だ。初動ではリーダーが最前線で汗を流している姿を見せないと、被災者の安心にはつながらない。「初動の見える化」に失敗した点では、朴大統領も佐藤雄平福島県知事も似ている。福島では「初動の見える化」に失敗した首長が軒並み落選する「現職落選ドミノ」現象が起きたが、根底にあるのは信頼の欠如だ。被災地の知事に最も問われるのは決断力だ。東北大調査で佐藤知事の初動対応への評価は低かったが、震災対応全般を問う河北新報社の調査では高い評価となった。佐藤知事が中間貯蔵問題で「決断」したことに加え、引退を表明したことが影響したのではないか。 *3-2:http://mainichi.jp/select/news/20141017k0000m010048000c.html (毎日新聞 2014年10月16日) 原発ADR:一律5割の内部文書 文科省が国会提出拒否 東京電力福島第1原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を巡り、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在する問題が16日、国会質疑で初めて取りあげられた。参院経済産業委で荒井広幸議員(新党改革)が文書の国会提出を求めたところ、文部科学省の田中正朗審議官は「公開すると支障がある」と拒否。専門家は「不適当な判断だ」と批判している。賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定する。内部文書はAを訴訟より低額にし、さらにBを「一律5割」あるいは「例外的に1割にする」などと記載。これまでに示された137の和解案の約80%が実際に5割以下とされ、慰謝料が低く抑えられている実態が毎日新聞の報道で明らかになっている。他にも多数の内部文書が存在するとされ、荒井議員は全文書の提出を要求。田中審議官は「公にすると手続きの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などとして拒否した。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「被災者に提供すべき情報。文科省は公にするとどのような支障があるのか具体的に説明しておらず、非公開は不適当」と話した。 <フクシマの汚染水> *4-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0117/news6.html (2015年1月17日 福島民友ニュース) 漁業者、不満あらわ いわき・地下水放出で説明会 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明、海洋放出への理解を求めた。参加した漁業者からは「福島県だけに汚染水の始末を押しつけるのか」などと批判した。いわき地区の漁業者を対象とした説明会は3度目。国と東電は昨年12月の説明会での意見に対して見解を述べた。「サブドレンの浄化水は他県や沖合にタンカーで運んで排出すべき」との意見について国側は「安全にもかかわらず、他県や沖合で排出することはかえって安全性に対する疑念や誤解を生む」と答えた。説明会後、東電福島復興本社代表の石崎芳行副社長は、計画の技術的な説明については「会場の雰囲気から一定の理解を得られた」との認識を示す一方で、計画の実行時期については「県漁連内での議論を注視していきたい」とした。 *4-2:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20150121k0000e040214000c.html (毎日新聞 2015年1月21日) 福島第1原発:水処理施設の本格稼働了承 規制委 原子力規制委員会は21日、東京電力福島第1原発建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化して海に放出する計画について審査し、水処理施設を本格稼働させて放出することを了承した。しかし、福島県内の漁業関係者らの理解は得られておらず、計画開始のめどは立っていない。東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できるという。一方、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる。東電は規制委に対し、水位の管理方法や、浄化した水の移送、処理済み水の保管などに関する実施計画の認可を求める申請をしていた。また、処理後の水の排水基準を、地下水バイパスの海への排水基準より厳格化することも申請していた。規制委はこの日、いずれの申請も認可することを決めたことから、水処理施設の本格稼働が可能になる。国と東電はこれまで、漁協関係者に対し、排水基準を順守することや、基準値を超えた場合は原発構内のタンクに移送して排水しないことなどを説明している。だが、漁業者の風評被害への懸念は強く、両者の隔たりは大きい。東電は「関係者の理解が得られるまで排水は実施しない」と話している。 <世界の環境基準について> *5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150212&ng=DGKKZO83078000S5A210C1MM8000 (日経新聞 2015.2.12) エネルギー迫る選択の時(2)CO2削減迷走 求められる野心的目標 かつて常磐炭田からの石炭積み出しで栄えた小名浜港(福島県)。今は世界から運んできた石炭が埠頭の至る所で山積みだ。「輸入が急増して場所がない。臨時置き場に積み上げている」(国土交通省小名浜港湾事務所)。輸入増に対応するため、沖合では世界最大級の石炭船が接岸できる人工島の造成が進む。荷揚げした石炭が向かう先は東日本各地の石炭火力発電所だ。福島第1原子力発電所の事故を経て石炭火力は復活し、電力供給の主役となる勢いだ。建設計画は全国で35基を超える。「国のエネルギー方針が定まらないのだからコストを考えれば石炭火力しか選択肢はない」(電力会社)。新規参入を目指す異業種による新設計画も相次ぐ。 ●石炭は麻薬 だが経済産業省幹部は「石炭火力は麻薬だ。2030年には閉鎖に追い込まれるかもしれない」と気をもむ。石炭火力はコストは安いが二酸化炭素(CO2)の排出が他の燃料よりずばぬけて多い。温暖化の元凶として国際的な規制の機運が高まっているためだ。昨年12月、ペルーのリマ。温暖化対策の新ルールを話し合う第20回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP20)で日本代表団の顔色はさえなかった。望月義夫環境相と潘基文国連事務総長の異例の会談が実現したものの、国連トップが伝えたのは「早急に削減目標の提出を」という厳しい注文だったからだ。主要国で排出削減目標を示していないのは日本だけだ。CO2排出量は電源構成により大きく変わる。望ましい電源構成である「ベストミックス」の議論が遅れ、目標値を決められないままだ。これまで温暖化対策に背を向けてきた米中まで自主目標を掲げて交渉に乗り込んできた。米国は25年までに温暖化ガス排出を05年比26~28%減、欧州連合(EU)は30年までに1990年比で少なくとも40%減。中国はCO2排出を30年ごろをピークに減らす。日本は石炭火力の計画分だけで20年代半ばの排出が現在から4%近く増える。原発稼働の見通しも立たず、中途半端な削減目標しか示せそうにない。温暖化交渉に詳しい名古屋大学の高村ゆかり教授は「先進国が野心的な目標を示さなければ、途上国は削減義務を受け入れない。対策に後ろ向きだとして国際社会で日本の存在感は低下する」と指摘する。京都の名を冠した議定書をまとめ、省エネ技術で世界を先導してきた日本がいまは交渉の足を引っ張っている。 ●国益駆け引き COP20では石炭火力にCO2回収装置の設置を義務付ける検討も始まった。石炭火力の発電コストがかさ上げされることになれば日本経済は苦境に立たされる。日本政府は09年に鳩山由紀夫首相(当時)が国際公約に掲げた「20年に90年比25%削減」の目標を震災後に撤回し「20年に05年比で3.8%削減」に後退させた。信用はがた落ちだ。年末の新ルール決定を目指し、各国の国益をかけた駆け引きは激しさを増している。目標提示が遅れたうえにその数値が世界を失望させれば発言力はさらに低下し、不利なルールも受け入れざるを得ない。エネルギー政策の迷走と遅れは命取りになる。 *5-2:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201502&storyid=63631 (南日本新聞 2015.2.10) [原発事故の処理] 目を背けてはいけない 東京電力福島第1原発事故の処理が難航するなか、安倍政権が原発回帰を鮮明にしている。九州電力川内原発再稼働に向け昨年秋、鹿児島県に示した政府方針は「事故を真摯(しんし)に反省し、廃炉・汚染水対策と福島の復興・再生に全力で取り組む」とした。これは約束ではなかったのか。将来世代に責任を持つためにも、厳しい現実から目を背けてはいけない。福島県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設が双葉、大熊両町で着工し、望月義夫環境相らが内堀雅雄知事に搬入受け入れを早々に要請した。県外で30年以内に最終処分するなど、県が求めた5項目の条件は整いつつある。政府は東日本大震災から丸4年となる3月11日までの搬入開始をめざす。それでも目標から2カ月遅れてのスタートとなる。県内約千カ所の仮置き場から廃棄物が消えるのは、さらに「数年先」になる見通しだ。仮置き場は市民の生活空間を圧迫し、帰還意欲をそいでいるとの懸念が出ていた。除染と復興を加速させる上で、施設の本格稼働は欠かせない。 *5-3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kagoshima/article/144593 (西日本新聞 2015年2月10日) 川内から最後の風船 放射性物質拡散予測、反原発原告団 [鹿児島県] 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で過酷事故が起きた際の放射性物質拡散の距離や方向を風船を飛ばして予測しようと、反原発を唱える市民約50人が8日、原発に隣接する同市の久見崎海岸から風船500個を放った。川内原発稼働停止を国や九電に求めた訴訟の原告団が主催してきた試みで、4回目となる今回が最後になる見込み。風船は環境に害を与えない素材で作られており、ヘリウムガスを充填(じゅうてん)。事務局の電話番号を書いたカードを付けており、拾った人に場所と日時を連絡してもらうことで、落下地点からの拡散範囲や時間を予測する。風船飛ばしは2013年7月、昨年4月、同10月にも実施。過去3回は計30カ所から連絡があり、120~150キロ東の宮崎県の日南市や都農町、日向市などで確認された。8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来た。原告団は結果を春夏秋冬のデータとしてそろえ、訴訟に証拠として提出する。 *5-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/153846 (佐賀新聞 2015年2月6日) 知事反原発団体と面会意向 前知事の姿勢転換 ■対話路線を強調 佐賀県内で活動する反原発の市民団体が、知事に直接対話の場を設けるよう求めていることに対し、山口祥義知事は5日の定例記者会見で「会う機会を設けていきたい」と述べた。担当課対応を続けてきた前知事の姿勢を転換する意向を示した。反原発の市民団体は再三にわたり、知事に直接面会するよう求めてきた。これに対し、古川康前知事は担当課が団体の話を聞き取り報告する形式で対応し、直接の意見交換はなかった。山口知事は選挙戦を通じ原発再稼働を容認する方向性を示している。会見では「絶対だめだという皆さん方ともぜひ会う機会を設けていきたい」と対話路線を強調した。一方で、「“対話”は互いに誠意を持ち意見を言い合う場」と指摘し、「県民の思いを知事である私に訴える場が長続きするようなやり方を考えていきたい」と協力を求めた。2006年から直接対話を求めてきた「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「何度もお願いしたが、前知事は『意見がかみ合わないから』と私たちの意見を聞いてくれなかった。選挙戦で県民の心に寄り添いたいとしていた山口知事が『会う』としてくれたことに、敬意を表したい」と評価した。また、玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し「地元同意」の範囲に含めるよう求めている伊万里市の塚部芳和市長との会談も近日中に調整する方針を示した。山口知事は「県民の安全を第一に考えている。会いたい、話を聞いてもらいたいという市長の思いに応えていきたい」と語った。 PS(2015.2.21追加):「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となって作っている「九州玄海訴訟唐津原告の会」が、*6のように玄海原発事故時の避難計画について、有効性等を尋ねる質問状を唐津市に提出したそうだ。確かに原発事故の避難計画は、①原発事故の影響を小さく見積もり過ぎており ②避難している期間も不明で、③実効性があるとは思えない。そのため、原発再稼働申請された地域の住民は、事故時の避難計画に関して、このように検証していくのがよいと考える。 *6:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/158530 (佐賀新聞 2015年2月20日) 原発避難計画の有効性で質問状 反原発団体 九州玄海訴訟唐津原告の会(吉田恵子世話人)は19日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の事故に備えた避難計画の有効性などを尋ねる質問状を唐津市に提出した。2週間以内に文書での回答を求めている。質問状は事故時の放射性物質の拡散状況により複数の避難先を設定する必要性や、離島の放射線防護工事の進ちょく状況など15項目を尋ねている。吉田世話人から質問状を受け取った唐津市危機管理防災課の秋山剛輝課長は「質問を整理して文章で回答したい」と応じた。質疑応答では、避難場所を知らない市民が多く、広報の不十分さを訴える意見に対し、秋山課長は「広報が不足していると認識しているので、今後は充実を図りたい」と答えた。原告の会からは「県に対し避難計画の問題点を指摘する姿勢が見られないのは残念」との意見も出た。同原告の会は「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となってつくっている。 PS(2015.3.22):*7のように、宗教の方から援護射撃があった。つまり、日本の司教団に対し、ローマ法王が、フクイチ原発事故に関して、「人間のおごりと現代文明のひずみの一例」として原発の開発に警鐘を鳴らされたそうだ。また、*8のように、明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会も開かれるとのことである。私は、科学的見地から、人類が滅んでも地球は痛くも痒くもないが、地球環境が悪くなれば人類は生き残れないため、人間の力の限界を認識すべきだと考えている。 *7:http://mainichi.jp/select/news/20150322k0000m030132000c.html (毎日新聞 2015年3月22日) ローマ法王:原発は「バベルの塔」 現代文明のひずみ指摘 フランシスコ・ローマ法王は20日、バチカン(ローマ法王庁)を公式訪問した日本の司教団と会見。東日本大震災の福島第1原発事故に関連し、人間のおごりと現代文明のひずみの一例として原発の開発に警鐘を鳴らした。法王が原発の安全性に言及するのは異例。バチカンは会見の詳細を発表していないが、日本司教団によると、法王は「人間は神の定めた自然のおきてに逆らってはいけない」と指摘。原発を旧約聖書の「バベルの塔」になぞらえ「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」と表現し、「人間が主人公になって自然を破壊した結果の一つ」と述べたという。法王は「原発廃止」や「脱原発」には言及していないが、現代文明の抱える課題として懸念を表明した形だ。また、法王は広島、長崎への原爆投下と第二次世界大戦終結から70年を迎えることに触れ、核兵器製造を「人類の悪行」と非難したという。日本司教団は法王が日本に向けた平和のメッセージを発表するよう依頼した。法王は禁教下に信仰を死守した潜伏キリシタンを「指針」とたたえた。キリシタン大名の高山右近(1552〜1615)がカトリックで「聖人」に次ぐ「福者」に認定される見通しで、法王は来年、日本で予定される列福式に「可能なら行きたい」と述べたという。 *8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150323/CK2015032302000170.html (東京新聞2015年3月23日) 反原発訴える住職の福井・若狭の経験とは 土浦で29日、講演会 市民グループ「脱原発ネットワーク茨城」は二十九日、福井県で反原発市民運動を続ける明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会を土浦市川口一の「モール505」二階イベントホールで開く。テーマは「若狭の原発、そして茨城の原発」。中島さんは、十数基の商業用原発が並び「原発銀座」と呼ばれる福井県若狭で、原発が建ち始めた四十五年ほど前から、一貫して原発に反対してきた。東京電力福島第一原発事故から四年の節目に、原発は地域をどう変えていったのか、高浜、大飯原発の再稼働問題、若狭の原発と日本原子力発電東海第二原発(東海村)との関連などについて語る。午後一~三時。参加費千円。会場は、JR土浦駅から徒歩五分。問い合わせは、ネットワーク共同代表の小川仙月さん=電090(5548)3078=へ。
| 原発::2014.10~2015.3 | 03:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
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