■CALENDAR■
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
<<前月 2020年06月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2015.4.14 農政について ← 「実現性がないから目標を下げる」「検証できない曖昧なことを目標にする」という発想は、科学的ではなく無責任である。 (2015.4.14に追加あり)
     
主な国の食料自給率推移 先進国の食料自給率比較      世界の人口推移

      
    日本の人口推移        カロリーベース    カロリーベースと生産額ベース
                       の食料自給率        の食料自給率
(1)農協改革の経過とその妥当性
1)農協監査について
①会計監査
 *1-1に書かれているように、農協監査は、これまでJA全中の監査部門であるJA全国監査機構が行っていたのを、会計監査に関しては公認会計士監査を義務付け、JA全国監査機構を外出しして新設される監査法人と、一般監査法人から農協が選ぶ「選択制」に変更するそうだ。そして、信用事業を行う貯金量200億円以上の農協等については、信金・信組等と同様、公認会計士による会計監査を義務付けることになったとのことである。

 ここまでの問題点は、貯金量200億円未満の地域農協は、監査を受けずに破綻して預金者に迷惑をかけるものが出やすくなり、その農協に預金している農業者や地域住民が保護されないということだ。そのため、信用事業を行う地域農協は、農協自体もしくは信用事業を合併して一定規模以上とし、必ず会計監査を受けるようにすべきだ。私は、気候や作物の似た農協が合併し、集めた預金はその地域で貸し付けを行うのが、営農方法や信用供与に関するノウハウが蓄積しやすいため、地域振興にもプラスになるのではないかと考えている。

 *1-1に、「外出しした監査法人は、会計監査チームと業務監査チームを分ければ、監査法人内で同一の農協に対し、会計監査と業務監査(コンサル)の両方を行うことが可能」とされているが、これは、監査法人では禁止されている。何故なら、業務監査をコンサルと解釈しているのであれば、コンサルティングチームと監査チームが同一組織に属していれば、コンサルの結果が監査意見に影響を与えるため、独立性のある監査ができないからである。しかし、そもそも業務監査はコンサルではなく業務に関する監査であるため、農協内部にいて毎回理事会に出席したり、いつでも内部統制をチェックできたりする立場にいなければできず、それを外部監査人が行うのは困難なのである。

 このように、監査は、組織の維持運営を公明正大かつ適切に行うためのツールであるため、「(監査を受けると損だから)現在の農協監査はイコールフッティングではない」といった消極的な批判は当たらず、(細かく理由は書ききれないが)優秀な監査や正確な会計に基づくコンサルティングを受けるのは、国内だけでなく海外展開するのにも有意義であり、この改正の良し悪しは使い方によるのである。

 例えば、ビッグ4などの監査を受けていれば、ビッグ4は、オーストラリア・ニュージーランド、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどでも長く監査を行い、豊富な事例と均質な横のネットワークを持っているため、世界のBest Practiceを集めて今後の改善に資するアドバイスを行うことができる。また、地域で開業している公認会計士の監査を受ければ、地域の事情に詳しく、地域愛がある上、ビッグ4と比較して安価であろう。そのため、農業所得や農家所得を向上させるためには、各種の監査法人やビッグ4系列のコンサルティング会社、マッキンゼー、ボストン、アクセンチュアなどのコンサルティング専門会社を、農協の負担が増えないというだけではなく、攻めの目的で使いこなすのがよい。

 上のような事情から、私は、農協以外の監査はできないが農協の業務監査に慣れている農協監査士やこれまでJA全国監査機構に所属していた公認会計士の一部は、農業協同組合中央会の中に内部監査部を作って残り、農協が正確で適法な経理や運営を行うことは担保した上で、その上のステップの外部監査やコンサルティングを安く受けられるようにするのがよいと考える。

②業務監査
 *1-1は、「業務監査はコンサルと看做す」としているが、上に記載した通り、業務監査は業務の妥当性や適法性を監査するものでコンサルではないため、業務監査は、業務監査担当理事を責任者として、内部監査部門が行うのが適切であり、それ自体が重要な役割を果たすものである。

 そして、農協の販売力の強化、6次産業化、輸出拡大などを図るためには、必要に応じてビッグ4系列のコンサルティング会社やマッキンゼー、ボストンなどのプロフェッショナル集団を、もちろん農協の自由意思で使いこなすことが望まれる。

2)中央会について
①全国中央会
 *1-2によれば、「全国中央会は、2019年3月31日までに一般社団法人に移行し、“農業協同組合中央会”と称し、会員の意思の代表、会員相互間の総合調整などを行う」とされているが、これまでも組合の主は組合員であるため、そういう組織だったのである。むしろ、株式会社にすれば、主は株主であるため、組合員はさておき株主利益のために行動する会社となるのだ。

②都道府県中央会
 i)新組織は、会員の要請を踏まえた経営相談・監査、会員の意思の代表、会員相互間の総合
  調整を行うとされているが、これは前からそれに近いため、改革の理由にはならない。
 ii)2019年3月31日までの間に農業協同組合連合会に移行し、移行した農業協同組合連合会
  は、「農業協同組合中央会」と称することができるので、これまでの全国中央会は、農業協同
  組合中央会の東京本部になればよいと考える。
 iii)都道府県中央会から移行した農業協同組合連合会が、会員の要請を踏まえた監査の事業
  を行う場合は、農水省令で定める資格を有する者を当該事業に従事させなければならない
  こととするというのは、意味不明だ。

3)准組合員の利用規制について
 組織の構成員を誰にするかは、その組織の都合で自由に決めるべきことである。そのため、銀行など他の組織のために農協の「准組合員の利用量規制」をするなど、成長を妨げる悪い規制の典型である。そのため、准組合員の利用量規制などはすべきではない。

4)その他
 このような状況であるため、*1-2のように、佐賀県内の農業関係者に、「全中は、なぜ妥協して農協改革案を容認したのか」という戸惑いが広がったのは理解できるが、監査に関しては、JA全国監査機構による監査が例外的な監査であり、監査導入初期に妥協して入れられたものであることから、監査法人監査に移行して、(1)1)のようにプロフェッショナルを活用すれば、農業が成長産業化して、農業所得や農家所得が増えると私も考える。

 しかし、(1)2)の中央会廃止や(1)3)の准組合員利用規制に関しては、私的組合の経営に口を出し、マイナスの効果の方が大きいため、上のような解決をするのがよいと思う。(申し訳ないが)東北や北陸は知らないが、私が衆議院議員をしていた佐賀県は、唐津・伊万里をはじめ全県を挙げて、農畜産物のブランド化や生産コストの削減に努めてきたため、周回遅れの“改革のための改革”を行ったり、農協を”改革イメージのためのスケープゴート”にされたりするのは迷惑なのである。また、農協の専門性・情報収集力・組織力があれば、国が意見を聞くのはよりよい方法であるため、国が農協の意見を聞くのは、どのような形であれ重要だ。

 従って、*1-3に書かれている“農協法改正案”に対する野党の修正は、「農業所得の増大だけでなく、農家所得の増大にも配慮しながら農業の成長産業化を行う」「これまでの中央会は都道府県中央会と合併して内部監査部門を持つ」「私的組合であるJAの理事構成に口を出させない」「どこであれ株式会社化を強制しない」「准組合員など私的組合の構成員に規制を設けない」などが必要である。

 なお、維新の党は株式会社しか知らないのか、農協の株式会社化にこだわっているが、農協を株式会社化すれば、農家の所得が増え、農業の成長産業化が進む理由は説明できない筈である。

(2)萬歳会長の辞任について
 このような中、*2-1のように、JA全中の萬歳章会長が4月9日、農協法改正案の閣議決定を節目に、今後のJAグループの自己改革や新しい全中づくりを新体制で進めるのが適切と判断して、全中会長を辞任したそうだ。萬歳会長はJA新潟みらい会長やJA新潟中央会会長などを務めた方で、環太平洋連携協定(TPP)交渉や米の生産調整の見直しなどの農政課題に当たってきた。

 そして、*2-2のように、農業所得の増大、組合員の所得向上、地域農業の活性化、地域活性化に向けて、10月に開かれるJA全国大会に向けた議案作りが始まっており、後任の会長に自己改革の実現を託したそうだ。上のグラフのように、グローバルでは急激な人口増加が進む中で、農業はますます重要な産業となっていくため、妥協することなく食料自給率や農産品輸出額を上げてもらいたい。

 一方、*2-3のように、日経新聞は、「圧力団体、農協の終焉」と報道している。そして、その理由を、「①全中の行動原理の根に、日本は食料難で規模の小さい農家がたくさんいるという終戦直後の農業構造を掲げている」「②食料供給を錦の御旗に掲げて組合員の数の力をバックに政治に圧力をかけてきた」「③最近ではTPPへの反対運動がその象徴だ」「④輸入農産物の増加も重なって食品価格が低迷した」「⑤経営環境の悪化を受け、意欲のある農家は規模を拡大し、法人化して農協から離れていった」「⑥古い圧力団体の体質を改め、真に農業に貢献できる組織になれるか。周囲の見方を変えるには全中自らの変革力が問われる」などとしている。

 しかし、1994年に食管法が廃止され、私が知っている農協はとうに①を卒業しているため、①は20年遅れの状況把握だ。また、②の食料供給はグローバルでは人口増加が進み、新興国も工業化している中、*4-2にも触れられているように大切なことである。さらに③は、私がこのブログの環太平洋連携協定(TPP)のカテゴリーでずっと述べてきたとおり、農業だけではなく日本の主権の問題であり、国民生活や農業をスケープゴートに差し出して拙い外交・防衛政策をカバーするのは、日本国憲法に照らしてもうやめるべき時だ。そして、④については、日本の農業は高品質化とブランド化で乗り切り、現在では(既に海外移転済の)製造業よりも輸出増が見込まれる。また、⑤についても、法人化して農協から離れてやれる人は既にやっており、食品会社で農業に参入している企業も多いため、20年遅れの現状認識だ。最後に、⑥に至っては、事実を踏まえない人が誹謗中傷するための念仏のような常套句で、これが今回の農協改革の本心であるため、強く対処しなければならない。

(3)TPPについて
 TPPがよいことであるかのように書いている新聞があるため、*3の「TPP交渉 何だったのか国会決議」という記事を紹介しておく。私も、余って困っている米を輸入拡大する必要はなく、国内産の米も転作すべきだと考える。これが、国民から選ばれた国会議員の多数派の意見であり、農業の崩壊は地方創生にも食料自給率にも逆行して、一般市民のためにも国益にもならない。「これを機会に何かが起こるだろう」などという超楽観論があるが、そのような無責任な態度で政策を作るべきではないのだ。

(4)食料自給率と食料自給力の違い及び目標変更の意味について
1)食料自給率とは
 食料自給率とは、国内で消費される食料のうち、国内産で賄われている割合で、以下の種類があるが(ウィキペディア Wikipediaより)、私は、太平洋戦争中ではあるまいし、栄養状態を良好に保てるイ)が必要だと考えている。
イ)品目別自給率:個別の品目毎の自給率で、品目の重量を使用
 国内の生産量(重量ベース)÷国内の消費量(重量ベース)
ロ)総合食料自給率:個別の品目毎ではなく、国の総合的な自給率で、2種類がある
 i)カロリーベースの食料自給率
   国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの供給カロリー
   *供給カロリー=国産供給カロリー+輸入供給カロリー+ロス廃棄カロリー
 ii)生産額ベースの食料自給率
   国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額
   *「生産額=価格×生産量」で品目毎の生産額を算出して合計し、一国の食料生産額を求める。

 しかし、これまでは、カロリーベースの食料自給率しか目標にしておらず、それでも疑問を感じなかったのは、為政者が栄養学について基礎知識もない男性ばかりで「腹いっぱいにさえなればいい」という発想だったからだ。また、「日本は生産額ベースの食料自給率は高い」とも言われるが、それは食料価格が高いからにすぎず、生産額ベースの食料自給率は、健康に生きていけるだけの食料生産を保障する指標ではない。

2)食料自給力とは
 *4-1、*4-2、*4-3に書かれている食料自給力は、「今ある農地などをすべて活用したときの潜在的な生産能力である」と新たに示す食料・農業・農村基本計画に定義するのだそうだ。

 しかし、生産要素は、農地だけではなく、労働力、種子、肥料、機械、資金など多岐にわたり、そのうちのボトルネックになるものが生産量を決めるため、普段から生産していないものを生産しようとしても予定(空想)どおりに生産することなどできない。そのため、食料自給力とは、生産の仕組みを考えない人が、机上で創造した空想上の生産力にすぎないのである。

3)食料自給率から食料自給力への目標変更の意味
 これらの農政変更を行う結果、*4-1、*4-2に書かれているように、農水省が、今後10年の長期指針である「食料・農業・農村基本計画」の見直しに向けた骨子案を示し、世界的な食料不足などの緊急事態に対応できるようにするために、国内農業の潜在的な生産能力を示す指標「食料自給力」を新たにつくる方針を明記しなければならないほど、日本の食料自給率は下がるのである。しかし、これは、(4)2)に記載したとおり、食料安全保障上、慰めにもならない空想上の生産力にすぎない。

 食料安全保障上は、まず国民が健康で豊かに過ごせる品目別自給率100%を目指し、輸出や生産の都合でそうならない場所を正確に把握して、どういう形で代替するのかを一つ一つ検討すべきなのである。本当の食料政策は、そういう具体的な過程を経てのみ作れる筈だ。

 なお、*4-3には、人口減少と高齢化で市場縮小と記載されているが、国民が必要とする食料は農地や生産基盤だけで作れるものではないため、日本及び地球の適正人口も考えなければならないことを、上のグラフを参考に重ねて述べておきたい。

<“農協改革”の経過>
*1-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32008
(日本農業新聞 2015/2/10) 政府・自民党とJAグループ
 政府・自民党とJA全中は9日、通常国会に関連法案を提出する農協改革の骨格について合意した。公明党も大筋で了承した。単位JAへの監査について、公認会計士による会計監査を義務付け、JA全中の監査部門(JA全国監査機構)を分離して新設する監査法人と、一般の監査法人から選ぶ「選択制」に変更するのが柱。一方、分離後の全中は2019年3月末までに一般社団法人に移行するが、農協法上の付則で代表・総合調整機能などを担うと位置付ける。JAグループの大きな転換点となる。規制改革会議が求めていた准組合員の利用量規制は見送るなど、与党農林幹部による調整で急進的な改革案を一定程度押し戻し、JAグループ側とも歩み寄った。ただ組織変更が焦点となった改革が、政府が目的とする農家所得の向上にどう結びつくのか、農村社会にどのような影響をもたらすのかは不透明さも残す。具体的な法案の策定や国会審議の中で丁寧な説明が求められる。自民党農林幹部が8日に全中の萬歳章会長と会談するなど最終調整。9日に同党農協改革等法案検討プロジェクトチーム(PT、吉川貴盛座長)の会合を開き、改革の骨格を決めた。准組合員の利用量規制の見送りや監査法人への移行の際の配慮など、JAグループの要望が一部取り入れられたことを踏まえ、全中も同日、役員会を開いて受け入れを決めた。今後、自民党と公明党との協議を経て、政府は関連法案を3月中にも提出する見通しだ。改革の骨格では、信用金庫や信用組合などと同条件としてJA批判を避けるため、貯金量200億円以上のJAに公認会計士による会計監査を義務付ける。全中は全国監査機構を分離し、公認会計士法に基づく監査法人を新設。現在は全中の監査が義務付けられている単位JAが、この監査法人か一般の監査法人かを選ぶ「選択制」とする。業務監査はコンサルとみなし、JAが必要に応じて受けるかどうかを判断する。ただ新たな監査法人は、担当者を分けることなどで、同じJAに対して会計監査と業務監査を共に行えるようにする。農協監査士は(1)新たな監査法人で監査業務を行える(2)公認会計士試験に合格した場合は実務経験期間の免除など円滑に資格を取得できる――よう配慮を規定する。だが新たな監査法人をめぐっては、うまく移行できるかどうか事務的な協議が続いている。このため同法人の円滑な設立と業務運営を確保し、JAが負担を増やさずに確実に会計監査を受けられるよう政府が配慮すると規定。課題解決のため農水省や金融庁、全中、日本公認会計士協会による協議の場も設ける。また新制度が機能するかを確認するため、全中が一般社団法人に移行する19年3月末までは、JAが現行の全中監査か公認会計士監査を選べるようにする。政府・自民党は、この間に一部のJAが一般の監査法人の監査を受け、問題がないかを実証する考えだ。全中は19年3月31日までに、一般社団法人に移行する。ただ政府・自民党は、農協法の付則で、JAグループの代表機能や総合調整機能を担うよう位置付ける方針。都道府県の中央会は同日までに、農協法上の連合会に転換し、代表機能や総合調整機能、経営相談、貯金量200億円未満のJAの監査といった業務を行う。全中、都道府県中央会ともに「中央会」の名称は維持する。准組合員の利用量規制は、JAグループや与党内の強い反発を受け、今回は見送った。ただ法律の施行後5年間、正組合員と准組合員の利用実態や農協改革の実行状況を調査。その後規制の在り方をどうするか、あらためて慎重に決定する。吉川座長は同日のPTで「検討の結果、利用量規制が入らないこともあり得る」と語った。
●農協改革の骨格(全文)
 政府・自民党が、9日決定した農協改革の骨格(監査、中央会、准組合員関連)は次の通り。
1、会計監査については、
 農協が信用事業を、イコールフッティング(競争条件の同一化)でないといった批判を受けることなく、安定して継続できるようにするため、信用事業を行う農協(貯金量200億円以上の農協)等については、信金・信組等と同様、公認会計士による会計監査を義務付ける。
〇このため、全国中央会は、全国中央会の内部組織である全国監査機構を外出しして、公認会計士法に基づく監査法人を新設し、農協は当該監査法人または他の監査法人の監査を受けることとなる。
〇なお、当該監査法人は、同一の農協に対して、会計監査と業務監査の両方を行うこと(監査法人内で会計監査チームと業務監査チームを分けることを条件)が可能である。
〇政府は、全国監査機構の外出しによる監査法人の円滑な設立と業務運営が確保でき、農協が負担を増やさずに確実に会計監査を受けられるよう配慮する旨、規定する。
〇政府は、農協監査士について、当該監査法人等における農協に対する監査業務に従事できるように配慮するとともに、公認会計士試験に合格した場合に円滑に公認会計士資格を取得できるように運用上配慮する旨、規定する。
〇政府は、以上のような問題の迅速かつ適切な解決を図るため、関係省庁、日本公認会計士協会および全国中央会による協議の場を設ける旨、規定する。
〇全国中央会の新組織への移行等によりその監査業務が終了する時期までは、新しい会計監査制度への移行のための準備期間として、農協は全国中央会監査か公認会計士監査のいずれかを選べることとする。
2、業務監査(コンサル)については、
 農協の販売力の強化、6次産業化、輸出拡大等を図るために、必要なときに自由にコンサルを選ぶことができるようにするため、農協の任意とする。
3、都道府県中央会については、
(1)新組織は、会員の要請を踏まえた経営相談・監査、会員の意思の代表、会員相互間の総合調整という業務を行うこととする。
(2)2019年3月31日までの間に、農業協同組合連合会に移行する。
(3)移行した農業協同組合連合会は、「農業協同組合中央会」と称することができるように法的な手当てを行う。
(4)都道府県中央会から移行した農業協同組合連合会が、会員の要請を踏まえた監査の事業を行う場合は、農水省令で定める資格を有する者を当該事業に従事させなければならないこととする。
4、全国中央会については、
(1)19年3月31日までの間に、会員の意思の代表、会員相互間の総合調整などを行う一般社団法人に移行する。
(2)移行した一般社団法人は、「農業協同組合中央会」と称することができるように法的な手当てを行う。
5、准組合員の利用量規制のあり方については、直ちには決めず、5年間正組合員および准組合員の利用実態並びに農協改革の実行状況の調査を行い、慎重に決定する。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/154991
(佐賀新聞 2015年2月10日) 「全中なぜ妥協」県内関係者に戸惑い 農協改革案容認
 政府と自民党が9日に骨格を決めた農協改革について、県内の農業関係者に戸惑いが広がった。政府は全国農業協同組合中央会(JA全中)の組織改編による農業の成長産業化を主張するが、農協側は実効性を疑問視する。交渉がヤマ場を迎える環太平洋連携協定(TPP)の反対運動への影響を懸念する声も出ている。「JA全中はなぜ妥協したのだろう」。JA佐賀市中央の木塚公雄組合長は首をかしげ「全中の業務監査があったから農協がつぶれたり、職員が過ちを犯したりしなかった」。公認会計士による外部監査は数百万円負担が増える試算があり、不安も口にした。受け入れの背景に准組合員の事業利用制限の先送りがあるという指摘に、JA伊万里の岩永康則組合長は「全中もここが落としどころと考えたのだろう。ただ、こうした駆け引きをする政府のやり方はどうなのか」。当初は農協事業の分離案も検討されたことから「TPP交渉を控えており、農協の金融共済部門を外資に差し出す懸念がぬぐえた訳ではない」と警戒する。佐賀牛を含めて農畜産物のブランド化、生産コスト削減に努めてきたJAからつ。才田安俊組合長は「農家の所得向上のため、いろいろ取り組んできた。政府は実態を見ているのか」。JAさが組合長でJA佐賀中央会の金原壽秀副会長も「無味乾燥の改革のための改革」と批判。全中が国に意見する「建議」の権限を失う危険性を挙げ「結局、TPPへの異論を封じたいだけではないか。農政運動はこれまで通りできるが、今後の対策を検討したい」と述べた。生産者の受け止め方はさまざま。「今回の改革が農家にどんな影響をもたらすか分からない」と佐賀市のコメ農家(42)。神埼郡吉野ヶ里町の大規模農家(65)は「農協が大きくなり、生産者と距離ができたきらいはある。これを機に農家のための農協という原点に戻り、自ら改革を進めて」と注文した。

*1-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32852
(日本農業新聞 2015/4/4) 農協法 改正案を国会提出 野党は修正求める構え
 政府は3日、農協法改正案を閣議決定し、国会に提出した。JAの理事構成を見直し、JA事業運営の原則に「農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない」ことを明確化。農協法上の中央会制度は廃止し、JAに公認会計士監査を導入する。国会審議は統一地方選後の5月以降、本格化する見通し。改革の目的とした農業所得の増大につながるのか、監査制度をはじめJAに混乱をもたらさない仕組みにできるのかとの声もあり、国会審議では政府の丁寧な説明が求められそうだ。林芳正農相は同日の閣議後会見で「地域農協が農業者と力を合わせ、有利販売などに全力投球できるような環境を整備するのが目的だ」と述べ、農業の成長産業化につなげる考えを示した。改正案では2019年9月末までに全中は一般社団法人に、都道府県中央会は連合会にそれぞれ移行。JAの理事構成で例外を認めつつ原則、過半数を認定農業者や販売・経営のプロにすることや、全農の株式会社化を可能にする規定を盛り込んだ。一方、民主党は、准組合員を含めた地域社会を支える協同組合としての規定も置く必要があるなどとし政府案の修正を求める構え。維新の党も農協の株式会社化などを進める改革案を出している。中央会の組織変更に伴い、固定資産税などで課税が強化される恐れもある。政府は16年度の税制改正で対応を決める方針で、今後の議論に注視が必要だ。農業委員の公選制廃止など農業委員会法の改正案、農地を所有できる法人の要件緩和などを定める農地法の改正案もそれぞれ閣議決定した。 

<萬歳会長の辞任>
*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32924
(日本農業新聞 2015/4/10) 萬歳会長が辞意 農協法改革案「区切り」に JA全中
 JA全中の萬歳章会長は9日、全中会長を辞任する考えを表明した。農協法改正案の閣議決定を節目に、今後のJAグループの自己改革や新しい全中づくりを新体制で進めるのが適切と判断した。8月の臨時総会で後任会長を決める運びだ。萬歳会長は同日の全中理事会で辞意を表明し、その後の定例会見で明らかにした。政府が農協法改正案を3日に閣議決定したことが退任を決断する「一つの区切り」になったと説明。「自己改革を実践していくため、新会長の下で流れをつくってほしい。前向きな姿勢で結論を出した」と述べた。任期は2017年8月まで残していた。萬歳会長は「一切相談はしていない」と、自らの判断で辞任を決めたことを強調。「この立場(全中会長)になった段階から、いろいろな区切りの中で決断することもあり得ると思っていた」と語った。農協改革や米政策の見直しなどの課題に対応するためにも「力を合わせることが原点だ」と組合員に結集を呼び掛けた。新会長の選出手続きは、5月の全中理事会で正式に決める。萬歳会長はJA新潟みらい会長やJA新潟中央会会長などを務め、11年8月に第13代の全中会長に就任。東日本大震災からの復興を最優先課題に挙げつつ、環太平洋連携協定(TPP)交渉や米の生産調整の見直しなど、農政課題に当たってきた。農協改革の議論が活発化する中で14年8月に会長に再任、JAグループの「自己改革」を取りまとめ、政府・与党との折衝に臨み、今年2月には全中の一般社団化など「経験したことのない組織の大転換」(萬歳会長)が求められる農協改革の骨子に合意した。会見では冨士重夫専務も健康上の理由で退任することを明らかにした。「激動の時代だったが、さまざまな方々に支えられた」と述べた。後任の学経理事候補にJA改革対策部の金井健総括部長を選んだことも報告。新たな執行部体制は5月の臨時総会、理事会で決める。
[解説] 自己改革 実践へ結束を 
 萬歳章会長は辞意の理由を記者から問われ、新たな体制でJA改革の実践に臨むためとの考えを強調、政府・与党による農協改革の結果を受けた引責辞任ではないと説明した。突然の表明はJA関係者を驚かせたが、農業所得増大や地域活性化という命題のため、JAグループは結束して自己改革に臨まなければならない。萬歳会長は、中央会が新たな組織に移行するに当たり、全中を新しい執行体制にすべきだと判断したという。当然のことながら後任の会長は、単位JAのための改革を着実に進める責務を負う。農政改革やTPP交渉といった課題も残っており、停滞は許されない。JAグループは、組合員や地域のための組織であり、その役割を発揮し続けることが重要だ。今年10月には3年に1度のJA全国大会を控え、議案づくりも本格化している。そのために揺らぐことなく、自らの改革に取り組まねばならない。

*2-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32934
(日本農業新聞 2015/4/10) 全中会長辞意 組織結集し難局に臨め
 JA全中の萬歳章会長が辞意を表明した。農協法改正案が閣議決定され、法案審議に付されることを区切りとした。JAグループは課題山積の渦中にある。農業所得の増大と地域活性化に向けた自己改革に遅滞は許されない。既に10月のJA全国大会に向けた議案作りが始まっている。組合員の負託に応えるため、全中は執行体制を強固なものにし、組織一丸となって難局に臨むべきだ。9日の記者会見で萬歳会長は「組合員のため、新しい中央会の在り方を、新会長の下でつくってほしい」と述べ、後任の会長に自己改革の実現を託した。8月の臨時総会での交代で、任期を2年残しての退任となる。農業、農協の大変革期に、萬歳会長は常に組合員視点で難しいかじ取りをしてきただけに、その労を多としたい。だが、農協法改正の国会審議、大詰めを迎える環太平洋連携協定(TPP)交渉など、組織内外の課題は待ったなしだ。全中専務の5月退任も重なっているだけに、遅滞のない円滑な業務執行を求めたい。何より、緊張感とスピード感を持って、自己改革の実現に取り組んでいかなければならない。萬歳会長は7日に安倍晋三首相と会談した際、政府が改革の柱に掲げる農業所得の増大と地域の活性化を挙げ、これらの実現に向けて「自己改革を精いっぱい、組合員のために進めたい」と決意を示した。安倍首相も「目的は同じだ」と応じたが、問題はその実効性だ。農協法改正案の本格的な国会審議は統一地方選挙後になる見込みだ。組合員の所得向上、地域農業の活性化や地域振興につながる建設的な議論を求めたい。JA監査の公認会計士監査への変更、全中と都道府県中央会の新組織移行など組織改編を通じて、こうした目的が達成できるのかを注視したい。法改正論議と並行して、JAグループの自己改革の取り組みを加速させなければならない。萬歳会長は、次期執行部にも自己改革に果敢に挑戦するよう求めたが、まさにその実践こそが農協の将来を左右することになるだろう。農協改革をめぐっては急進的な改革論が、組合員やJAに混乱や不安を招いた。萬歳会長は、現場の実態を踏まえていない議論に対し、協同組合への理解不足を指摘してきた。JAグループの広報活動が足りなかった反省点もある。グローバル化が進む中で、協同組合セクターはますます重要となってくる。新たな中央会にはその役割と責任を果たしてもらいたい。JAグループが掲げる「食と農を基軸として地域に根差した協同組合」をどう実現していくか。総合事業を展開するJAは組織浮沈の正念場を迎える。全中の果たす役割、使命も重い。萬歳会長が、繰り返し訴えた組合員のための自己改革を組織一丸となって遂行していかなければ未来は開けない。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150410&ng=DGKKASGH09H2B_Z00C15A4EA2000 (日経新聞 2015.4.10) 「圧力団体」農協の終焉
 農協の幹部にとっても寝耳に水の辞任劇だった。東京・大手町のJAビル37階で9日午前、全中の理事会が開かれた。議題は環太平洋経済連携協定(TPP)や米価問題など。司会は万歳会長だ。開始から1時間余り。議題がつきたところで、万歳氏が突然立ち上がった。「農協法の改正案が閣議決定されたことを区切りに辞任します」。「いま辞任って言わなかったか」。会場が騒然とするなか、万歳氏は無言で部屋を後にした。区切りがついた――。この言葉は、たんに農協法の改正にとどまらない重い意味を持つ。戦後から最近までずっと続いてきた農業と農政の終焉(しゅうえん)だ。全中の行動原理の根っこにあるのが「日本は食料難で、規模の小さい農家がたくさんいる」という終戦直後の農業構造だ。食料供給を錦の御旗に掲げ、組合員の数の力をバックに政治に圧力をかけてきた。旧食糧管理制度時代は財政資金で農家を守るための米価闘争、最近ではTPPへの反対運動がその象徴だ。現実の農業はすでに大きく変質した。日本はまだ食べられるのに捨てられる食品ロスが年に数百万トン出る飽食の国になり、輸入農産物の増加も重なって食品価格が低迷。経営環境の悪化を受け、意欲のある農家は規模を拡大し、法人化して農協から離れていった。これに対応し、農政も「小さくて弱い農家」の保護からの脱皮を模索した。自民党が政権に復帰した後はその流れに拍車がかかった。将来性のある農家に田畑を集める農地バンクを創設し、コメの生産調整(減反)の廃止を決めるなどの手を打った。だが全中は行動パターンを変えられず、社団法人化という形で弱体化に追い込まれた。全中に存在意義がないわけではない。補助金を中心に農業制度は複雑で、変革期にあって今後も様々な見直しが予想される。それをきちんと理解し、約700の地域農協に伝えるなど果たすべき役割は十分にある。古い圧力団体の体質を改め、真に農業に貢献できる組織になれるか。周囲の見方を変えるには全中自らの変革力が問われる。

<TPPについて>
*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31867
(日本農業新聞 2015/1/31) TPP交渉 何だったのか国会決議
 「国会決議は何だったのか」「聖域を守るのは国民との約束だ」――。政府が環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議で、ミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)の枠外で米国産主食用米の特別輸入枠の新設を検討していることに対し、米価下落に苦しむ米産地からは怒りの声が続出した。さらに米国は牛肉関税の大幅引き下げも要求してきており、国会決議で「聖域」とした米や牛肉を守りきれるのか、現場の不安は募っている。
●米 輸入拡大許されない
 「聖域を守るという、国民との約束ではなかったのか。ばかにされている気持ち。政府にはがっかりだ」と憤るのは、栃木県那珂川町で水稲や稲発酵粗飼料用稲(WCS)など12ヘクタールを経営する古橋晃一さん(46)。2014年産米の価格下落で販売収入は、前年の6割ほどに落ち込んだ。再生産価格を大幅に下回り「生活すら厳しい」。米国のごり押しで輸入米が増えれば「一層の価格下落は間違いない。輸入拡大は許されない」。佐賀県白石町で水稲7ヘクタールを手掛ける田中秀範さん(65)も「妥協は約束違反だ」と怒り心頭だ。国会決議や公約に反するだけでなく、地方創生にも逆行するとして「統一地方選や参院選で反発が出ることになる」とくぎを刺す。輸入拡大の影響は大規模農家ほど大きい。北海道栗山町で水稲105ヘクタールを経営する農業法人・(有)粒里(つぶり)の大西勝博代表(61)は「国が本当に農業を守ろうとしているのか」と問う。低米価に加え円安による資材高も追い打ちをかけ、今でさえ経営は厳しい。「主食用米の輸入枠が拡大されれば、14年産米の価格さえ維持するのは危うい。営農継続はできなくなる」と主張する。岩手県花巻市で、米や小麦などを33ヘクタールで栽培する集落営農組織・鳥喰生産協業組合長の大和章利さん(66)も同様だ。14年産は資材代を払えるか心配になるほど低米価に苦しんだ。政府の農業改革に沿って農地集約や低コスト化などの強い農業づくりを進めても「経営は立ちゆかない」。国会決議の順守を強く求める。ブランド米産地にも激震が走った。新潟県魚沼市のJA北魚沼水稲部会部会長の佐藤清二さん(79)は「どこにこの怒りをぶつけていいのか分からないが、政府の対応はでたらめだ」と怒り心頭だ。生産調整で飼料用米生産を推進しつつも、米国産米の輸入を拡大するのは「明らかに矛盾している」と指摘する。島根県大田市で1集落1農場を実践する農事組合法人百姓天国の事務局長、三島賢三さん(63)は「次世代に稲作を引き継がなくてはいけない大事なときに、なぜ輸入米を増やすのか。所得倍増の政策とは相反する」と政府の姿勢に疑問を投げ掛ける。
●牛肉 米国に市場奪われる
 米国が牛肉関税の大幅引き下げを求めているという一報は、肉牛産地に衝撃をもたらした。「十勝若牛」として乳雄の肉を出荷する北海道清水町の吉田哲郎さん(37)は「JAと協力して切り開いた市場が、安い米国産に奪われかねない」と懸念。赤身肉のおいしさをアピールし、肉質を上げて対抗するしかないが「飼料などコストが上がる中、簡単なことじゃない。このままでは負けてしまう」と不安がる。宮崎県小林市で黒毛和種350頭を肥育する平野文宏さん(41)は「消費者が安価な米国産に走るのではないか」と不安視。現状では国産和牛は輸入牛肉と競合しないと考えるが「輸入拡大に伴い、国産和牛の値まで下がらないか、心配だ」と漏らす。

<食料自給率と食料自給力の違い>
*4-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150223/k10015654951000.html
(NHK 2015年2月23日) 「食料自給力」を新たな指標に
 農林水産省は、来月をめどに閣議決定される今後10年の農業政策の方針を示す「基本計画」に、今ある農地などをすべて活用したときの潜在的な生産能力を示す「食料自給力」を新たな指標として設ける方針です。農林水産省は、今後10年の農業政策の方針を示す「食料・農業・農村基本計画」の策定を進めていて、来月をめどに閣議決定したいとしています。新たに示す基本計画には、今ある農地などをすべて活用したときの潜在的な生産能力を、「食料自給力」という新たな指標として設ける方針です。食料自給力は、食料の生産の割合を、栄養バランスを考慮した場合やいも類を中心に作付けした場合など4つのパターンに分けたうえで、それらの食料が最大限生産された場合の数値をカロリーに換算し、それぞれ毎年公表することにしています。農林水産省はこれまで、現状の国産の割合を「食料自給率」として毎年公表していますが、目標を下回る状況が続いています。このため、新年度から食料自給力も合わせて公表することで、食料の安定供給の確保に向けた国民的な議論を深めたいとしています。

*4-2:http://qbiz.jp/article/55884/1/
(西日本新聞 2015年2月13日) 食料自給力の新指標策定へ 農政の長期指針に明記
 農林水産省は13日、新たな農政を検討する審議会の会合を開き、今後10年の長期指針である「食料・農業・農村基本計画」の見直しに向けた骨子案を示した。世界的な食料不足などの緊急事態に対応できるようにするため、国内農業の潜在的な生産能力を示す指標「食料自給力」を新たにつくる方針を明記した。食料安全保障の議論で供給力の目安として新指標を活用する方針。その試算次第では、生産能力を維持するために必要な農地の確保策なども検討課題になりそうだ。2月下旬にも開く次回会合で新計画の原案を議論。政府は審議会の答申を受けて現行計画を5年ぶりに改定し、3月中に閣議決定する予定だ。食料自給力は、国内の農地面積や農業従事者数、農業技術に着目し、これらを最大限使った場合、どれくらいの生産能力があるかを表す指標。新計画では複数の指標を提示する見通しだ。骨子案では、国内で消費する食料を国内産でどの程度賄えているかを示す「食料自給率」に関しても2025年度に向けた目標を設定するとした。現行計画は20年度のカロリーベースの自給率目標を50%と設定したが、13年度で39%と目標との隔たりが大きい点を考慮し、今回は実現可能な目標を設定する方針だ。課題である農業再生に向けては、農地をまとめて意欲的な農家に貸し出す農地中間管理機構を活用し、担い手農家への農地集積を進める。海外需要を取り込むため、農林水産物・食品の輸出を拡大し、農業所得の増大を後押しする。新規就農や企業の参入も推進、農業を活性化していく。このほか、政府が今国会に農協改革の関連法案を提出することに歩調を合わせる形で、農協など農業団体の事業や組織見直しを進めるとした。

*4-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32207(日本農業新聞2015/2/24)人口減少・高齢化時代の基本計画 市場縮小へ対応が鍵 「自給力」指標を新設
 新たな食料・農業・農村基本計画の3月の決定に向け、議論が大詰めを迎えている。日本の人口が減少局面に入って策定される基本計画となり、生産基盤の弱体化、国内市場の縮小、農村集落の低下という重要課題にどう対応するかが大きな焦点になる。また、食料の潜在的な生産能力を示す「食料自給力」の指標も今回、新設する。基本計画は今後10年の中長期的な農政の方向性を位置付けるものだけに、慎重な議論が求められる。基本計画は5年に1度見直す。食料・農業・農村政策審議会企画部会で議論が続き、3月中に取りまとめる。民主党政権下で策定した現行計画から自公政権に移り、新たな基本計画では米政策改革の実施や担い手への農地集積をはじめとする農政改革を柱に位置付けた。次回の企画部会で原案が示される予定だ。
●担い手集積へ農地バンク
 人口減少と高齢化により担い手不足が深刻化する中、生産基盤の立て直しが急務になっている。このため、新規就農者の確保を進める。法人化を進め、就農だけでなく法人への就職というルートも重視する。ただ、担い手の育成は現実的には簡単でない。今回、構造展望では確保すべき担い手の人数以上に、担い手が農地をカバーしていく割合を高めていくことを重視する方針だ。今年度から動きだした農地中間管理機構(農地集積バンク)は、その大きな手段となる。バンクをフル活用し、担い手への農地集積割合を現状の6割から、今後10年間に8割に高める目標を設定した。農地集積を通じて農作業を効率化し、生産コストも削減していく。政府目標で担い手の米生産費は、現状の全国平均から4割減水準を10年後に実現すると掲げた。こうした取り組みで農家所得の倍増目標にも近づけていく。
●地域の維持に「基幹集落」
 農村では、人口減少・高齢化が都市に先駆けて進み、単独で農地や農業用施設などの資源の維持が困難になってきている。農村の振興には、いかに地域コミュニティーを維持し、農村の資源を守っていくのかが大きな鍵を握る。そこで同省が基本計画に盛り込む柱は大きく二つ。一つが地域コミュニティーを維持ししていくための「集落間のネットワーク化」だ。これは小学校区程度の範囲で、複数集落の中から「基幹集落」を定め、そこに農産物の出荷拠点や加工所などを整備する構想。この基幹集落に周辺集落の農家は通い、農産物を出荷したり6次産業化に取り組んだりする。15年度予算に必要額を計上し、事業に乗り出している。もう一つの柱が、農地や農業用施設といった農村の資源を守るための共同活動を支援する、多面的機能支払制度の着実な推進だ。担い手への農地集積を加速する半面、担い手の負荷も重くなるため、地域で担い手を支えていく重要性も増している。同制度は既に法案化されたが、基本計画の柱に位置付けることによって、予算的にもより安定的に制度運用ができる環境を整える狙いもある。
●需要の創出で輸出に活路
 日本全体の人口減少は、農産物を買ってくれる消費者が減少することも意味する。このため新たな需要の開拓も基本計画の大きな課題だ。経済成長が著しい新興国などへの農林水産物・食品の輸出促進に今まで以上に力を入れる。政府は現在の輸出額6000億円を2020年までに1兆円に増やす目標を掲げており、品目別の輸出拡大戦略を点検しながら達成を目指す。また、6次化による付加価値向上も進める。こうした取り組みで、新しい需要を生み出し、農家の所得向上にもつなげていく考えだ。国内需要の減少は、農政改革の柱である米政策改革の理由にもなった。主食用米の消費が減少する一方、生産が頭打ちの麦・大豆だけでは転作をこなしていくことが難しいと予想され、水田維持のために飼料用米の推進を打ち出した。基本計画には、飼料米、米粉用米、麦、大豆などの転作作物について、水田活用の直接支払交付金などを通じて生産努力目標の「確実な達成」を目指すことを盛り込む方向。財政当局が飼料用米の支援単価を引き下げたい意向を示したことから、基本計画に位置付けることで安定的な財政支援を確実にしたい狙いだ。
●生産基盤強化待ったなし
 新たな基本計画では「食料自給力」を初めて指標化する。「自給力」は、(1)農地・農業用水などの農業資源(2)農業技術(3)農業就業者――の3要素から構成されることから、国内生産基盤そのもののと言っていい。ただ、それぞれの要素とも弱体化が心配されている。農地面積は1960年に607万ヘクタールあったが、2013年には454万ヘクタールとなり25%も減った。荒廃農地も27万ヘクタール(12年)に達している。農業技術を示す生産性は、品目別の10アール当たり収量、畜種別の1頭当たり生産量とも増加傾向が頭打ち状態にある。そして農業者は、219万人のうち65歳以上の高齢者の割合は58%と過半を超え、10年後にはさらに労働力不足が顕在化しそうだ。生産基盤の立て直しは待ったなしで、今回「自給力」に焦点を当てたことは、生産者団体も賛同している。ただ、指標化に向けた議論に入ると、疑問が出始めた。農水省が「生産転換に要する期間は考慮しない」「生産に必要な労働力は確保されている」といった非現実的な前提条件を置くとし、何のための指標なのか分からなくなってきている。生産者団体からは「実際に作物を生産し、食料自給率を高めていくことの軽視につながらないか」との疑念も聞かれる。


PS(2015.4.14追加): *5のように、飼料用米増産を呼び掛けるために農水省幹部が単位JAの組合長を直接訪ねて意見交換するのは誤りだ。その理由は、飼料米への転作は、すでに水田や稲作機械を所有している農家に転作を促すためのものであり、Bestの転作ではないからだ。Bestの転作は、人間の食料向けには、本当に必要であるにもかかわらず足りていない大豆や小麦等への転作であり、家畜飼料の自給率向上が目的であれば、飼料としてBestな作物への転作である。つまり、飼料用米への転作は、それしかできない地域向けのSecond Bestの転作にすぎないため、どこにでもそれを押し付けるべく補助金をつけるのはよくないわけである。

*5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32983
(日本農業新聞 2015/4/14) 飼料米増産へ地方行脚 組合長ら直接訪問 農水省の部課長
 農水省は、飼料用米増産を呼び掛けようと、本省幹部が単位JAの組合長を直接訪ねて意見交換する異例の地方行脚を始めた。産地ごとに飼料用米を作った場合の所得試算を示し、メリットを分かりやすく伝える。6月末までの約3カ月間、米の主産地を重点的に回り、飼料用米の本作化に弾みを付けたい考えだ。2015年産の米価下落の懸念が強まる中、JAグループは主食用米の需給安定の切り札と位置付ける飼料用米を前年比3倍超の60万トンに増やす方針。10年後に10倍に増やす目標を掲げる政府にとって目標達成の成否を占う重要な年となる。同省が展開する地方行脚は「飼料用米推進キャラバン」。米を担当する同省農産部の部課長らが4班を編成、米の主産地や主食用米の過剰作付けが多い産地を中心に回る。より生産者に近いJA組合長から課題を吸い上げるとともに、飼料用米栽培のメリットを直接伝え、円滑な増産につなげる。キャラバンでは、地域ごとに複数JAの組合長に集まってもらい、約2時間意見交換する。14年産で主食用米と飼料用米をそれぞれ作った場合の所得試算を産地ごとに用意して説明。飼料用米の手厚い助成が長続きしないという生産現場の不安解消のため、その生産拡大が閣議決定され、政府全体の方針に格上げされたことも伝える。キャラバンは先週末の青森県を皮切りに始めた。現時点で意見交換を計画するのは17道県の約80JAに上り、さらに増える見通しだ。生産者が作付けを確定する「営農計画書」を国に提出する6月末まで続ける。飼料用米本作化に向けて同省は「とにかく足で稼ぐしかない。ぎりぎりまで徹底してやる」(穀物課)と意気込む。

| 農林漁業::2014.8~2015.10 | 11:48 AM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑