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2015.4.19 メディアが使う「言論の自由」「表現の自由」の方便とそれが民主主義に与える悪影響について ← 古賀氏の発言が非難され、産経新聞の朴槿惠韓国大統領に関する嘘記事が褒められる理由は何なのか? (2015年12月17、18、19日に追加あり)
     
 報道ステーション 菅官房長官見解   韓国での出来事        産経新聞記者

(1)報道ステーションでの古賀氏の発言
1)報道ステーションについて
 「報道ステーション」は、テレビ朝日系列で2004年から平日22時台に生放送されている報道番組で、政治的に内容のあることを、古舘キャスターが少し別の角度から報道するため、他局と比較して参考になっていた。そこで、私も少し前までは時間が許せば見ていたが、この1年くらいは、殺人などの刺激的事件やお天気が時間の大半を占め、また放送時間の1/3くらいが宣伝ではないかと思うくらいの不快な番組構成であるため、他のことを犠牲にして見るほどの番組ではなくなり、「ながら族」として他のこともやりながら見ている。そのため、古賀茂明氏の2015年3月27日の発言は、残念ながら聞いていなかった。

2)古賀茂明氏について
 元経産省キャリア官僚の古賀氏は、ポイントをついた正論の話を明快にされることが多いため、私はいつも面白く話を聞いていたが、*1-1のように、2015年3月27日に放送された「報道ステーション」での古賀氏の発言について、3月30日に古舘キャスターが「古賀さんがニュースと関係ない部分でコメントしたのは残念だ」「テレビ朝日としてはそれを防げなかったことに重ねてお詫びする」と述べた。しかし、実は、私にとっては、そちらの方が異様だった。

 古賀氏は、民主党政権時代、仙谷行政刷新大臣は行政改革を続けさせるつもりでいたが、古川内閣府副大臣や松井内閣官房副長官ら官僚出身議員の進言でこれを断念し、経産省の「経済産業省大臣官房付」に異動させられ、その後、海江田経産大臣と松永経産事務次官等から退職勧奨されて辞表を提出した人だ。そのため、古賀氏への政府からの圧力は、国家公務員制度改革を通じて、民主党政権時代から存在し、自民党政権になってからも同じ理由で存在していると考えるのが自然である。そして、このように、本当の改革をしようとする人は、大変な目に会うものだ。

3)「報道の自由」「表現の自由」から見て、事実に反しているから放送法違反とは言えない
 私は、古賀氏の発言は政治に関する古賀氏個人の見解であり、これまでの経緯から見て虚偽とは言えず、反対の見解があれば議論すればよいため、それこそ「表現の自由」「報道の自由」のジャンルに入るべきもので、*1-2のように、菅官房長官が「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と言うのなら、どこが事実に反して違法なのかをきちんと指摘する必要がある(http://lite-ra.com/2015/03/post-986.html 参照)。

(2)産経新聞の朴槿恵大統領に関する嘘記事
1)産経新聞記者の韓国朴槿恵大統領に関する嘘記事
 *2-1のように、2014年8月3日付で「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と朝鮮日報コラムや証券街情報を引用して、女性大統領が不適切な男女関係に溺れて旅客船沈没当日連絡がつかなかったかのように、産経新聞がそのウェブサイトに載せた事件で、ソウル中央地検は、2014年10月8日、この記者を在宅起訴した。

2)大統領のプライバシーに関する嘘記事は、「表現の自由」の範囲内か
 これに対して、*2-1のように、ソウル駐在の「ソウル外信記者クラブ」が、加藤氏に対する捜査や起訴は「自由な取材の権利を著しく侵害する素地がある」「報道の自由を脅かす」として検事総長あてに公開書簡を発表したりしている。また、日本新聞協会や日本ペンクラブも懸念や憂慮を表明し、「国境なき記者団」(本部・パリ)も起訴しないよう求める見解を発表し、日韓外相会談でも取り上げたそうだ。

 しかし、この大統領のプライバシーに関する嘘記事は、韓国国民や日本人が知らなければならない根拠のある重要な記事ではなく、噂レベルの誹謗中傷にすぎない。このような女性リーダーの権威を失墜させるための質の悪いヘイトスピーチは、民主主義の下では有権者を惑わすだけで公益性もない。そして、その内容はまぎれもないセクハラなのである。そのため、萎縮ではなく、良心に照らして自粛すべきであり、まず記事を撤回すべきは産経新聞社の方だ。

3)帰国した産経新聞記者に、首相が「ご苦労さま」、官房長官が「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた」「記者証が発給されたのは当然のことだ」とは、日本政府の良識が疑われる
 *2-2のように、韓国政府が出国禁止措置を解除すると、その産経新聞記者は日本に帰国し、総理官邸で安倍首相が「ご苦労さまでした」と述べ、菅官房長官が記者会見で「加藤前支局長の公判は継続しているので、政府としては、引き続き、さまざまな機会やレベルで韓国側に適切な対応を求めていく」と述べたそうで、何故、セクハラ記事の執筆者にそこまでしなければならないのかわからない。

 また、*2-3では、菅官房長官は「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた。記者証が発給されたのは当然のことだ」と述べたとしているが、これは産経新聞記者に日本政府が「よくやった、政府も協力するから」と言っているにほかならない。

 それでは、この産経新聞ウェブサイトは、朴槿恵大統領の権威を失墜させ、大統領に再選されないようにするために、日本政府もつるんでしかけたセクハラ含みの情報戦ということになるのである。

(3)やはりそうだったか・・
 こうして比較して見ると、日本のメディアは、韓国の女性大統領に対するセクハラ表現には「表現の自由」「言論の自由」を叫び、政治に対する異論は封じるというおぞましい倫理観を持っている。これでは、太平洋戦争の反省もなく、レベルの低い情報戦を使って政府に協力しているだけであり、「表現の自由」「言論の自由」などを主張するに足る報道はしていないということだ。

 なお、女性の活躍を掲げている日本政府がセクハラ記事を奨励するようなことも、リーダーとなる女性がこのように不利益を蒙るため、厳に慎んでもらいたい。

<古賀氏発言の全貌>
*1-1:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158513/1
(日刊ゲンダイ 2015年4月1日) 古賀氏発言に手をついて謝罪…古舘伊知郎に「報ステ」降板説
 前代未聞の“ナマ口論”は、これで幕引きというわけではなさそうだ。3月27日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日)で、元経産省キャリアの古賀茂明氏が生出演中に突如、自身の降板理由について語り始め、キャスターの古舘伊知郎(60)が慌てふためき反論した一件。30日の同番組では古舘が「番組としては古賀さんがニュースと関係ない部分でコメントしたこと。これについては残念だと思っております」「テレビ朝日としてはそれを防げなかったことに、テレビをご覧の皆さまに重ねておわびをしなければならないと思っております」と手をついて頭を下げた。いつもの舌鋒の鋭さはどこへやら。番組では古賀氏が「官房長官はじめ官邸の皆さんからものすごいバッシングを受けた」などと語ったことに対して、菅官房長官が「事実無根」と反論した映像まで放送。古賀氏の発言を徹底的に押し潰した。
■出演料は年間4億円とも
 しかし、「古舘さんが古賀氏を切り捨てた刃は自分自身に向かう」と語るのはテレ朝関係者だ。「かつて反自民を標榜していたテレ朝もいまは完全に牙を抜かれ、安倍政権に屈服状態です。最近では安倍首相とテレビ朝日の早河洋会長は昵懇の間柄。そんな流れの中で何かと口うるさい古賀氏の降板が決まった。が、その前から実はずっと古舘の降板話も局内で議論されているのです。『報ステ』は平均視聴率10~12%台をキープ。大事件や政局が発生すると15%超えも珍しくなく、テレ朝躍進の礎とも評された優等生番組。その一方で指摘されているのが年間4億円ともいわれる古舘の出演料。古舘と一緒に『報ステ』を制作する古舘プロを切れば億単位の制作費を抑制できる。政権に物言う番組は今や局にとっても煙たい存在。テレ朝としては古舘切りは一石二鳥なのです」。古舘にとってはこんな不都合なデータも出回っている。「ある潜在視聴率データによると、『報ステ』は番組平均視聴率が常にフタ桁台を保っているのに古舘は4.3%しかなかった。ちなみに『NEWS ZERO』の村尾信尚は4.9%、『スッキリ!!』の加藤浩次は5.1%。驚いたのは『モーニングバード』の羽鳥慎一が5.9%と断然のトップだったこと。つまり、古舘は唯一無二の存在ではなく、もはや“オワコン”ということです」(編成関係者)。もし口論の場でひよらずに、古賀氏の肩を持っていたら……。古舘は「報ステ」をクビになったとしても歴史に残る名キャスターになっていたはずだが。

*1-2:http://news.livedoor.com/article/detail/9960852/
(日刊ゲンダイ  2015年4月2日) 古賀氏「報ステ」降板の全貌 テレ朝が震えた菅長官の“ひと言”
 官邸から圧力があった――。経産官僚出身の古賀茂明氏(59)から「報道ステーション」降板の舞台裏をバクロされたテレビ朝日が、慌てふためいている。古舘伊知郎(60)の降板説まで浮上。31日記者会見したテレビ朝日の早河洋会長は、「圧力めいたものは一切ない」と官邸からの圧力を否定したが、本当になかったのか。安倍官邸が古賀茂明氏に対して、最初に怒りを爆発させたのは、1月23日の「報道ステーション」だったという。ちょうど「イスラム国」に拘束された後藤健二さんの安否が心配されていた頃だ。コメンテーターとして出演していた古賀茂明氏が安倍政権の外交政策を批判し、「アイ・アム・ノット・安倍」と発言した。番組放送中に官邸サイドから報道局幹部に連絡が入り、その瞬間からテレビ朝日は大混乱に陥ったという。上層部が担当プロデューサーを強く叱責したとの情報が流れ、そのプロデューサーは結局、番組から外されている。テレ朝を震え上がらせたのは、菅義偉官房長官が「オフレコ懇談」で発した一言だったらしい。ネットメディア「リテラ」が、〈菅官房長官が古賀茂明を攻撃していた「オフレコメモ」を入手〉というタイトルで、オフレコ懇談でのやりとりを詳細に伝えている。
Q テレビ朝日ですか?
A どことは言わないけど。
Q 古賀茂明さんですか?
A いや、誰とは言わないけどね。ひどかったよね。放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない。本当に頭にきた。俺なら放送法に違反してるって言ってやるところだけど。
■番組プロデューサーも外された
 「テレ朝の上層部は、菅長官が放送法という単語を使ったことに真っ青になったはずです。圧力と受け取った人もいるでしょう」(民放関係者)。古賀茂明氏は3月5日、ツイッターに「4月以降は、篠塚報道局長が出すなと言ったので出られなくなりました」と書き込んでいる。恐らく2月中に、番組スタッフから降板を告げられたのだろう。古賀茂明氏から、「菅官房長官をはじめ官邸の皆さんからバッシングを受けた」と名指しで批判された菅長官は、「まったくの事実無根。放送法があるので、テレビ局がどのような対応を取るかしばらく見守りたい」と圧力を全面否定。菅長官が再び“放送法”を口にしたことで、テレビ朝日は真っ青になっているはずだ。「報道ステーション」では、安倍政権に批判的なコメントをしていたコメンテーターの恵村順一郎・朝日新聞論説委員も降板させられている。もともと安倍官邸は、何かと政権に対して批判的な「報道ステーション」を苦々しく思っていた。担当プロデューサーが番組から外され、安倍政権に批判的な2人のコメンテーターも降板した。これでは「テレビ朝日は官邸に全面降伏した」と視聴者に見られても仕方ない。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。「大手メディアは、安倍政権に対して弱腰過ぎます。昨年、総選挙前に“中立な報道をしろ”と圧力ペーパーを突き付けられた時も、反論ひとつしなかった。最悪なのは、大手メディア全体に“自主規制”が広がっていることです。政権から圧力を受ける前から、政権批判を控えている。民主主義を支えるのはジャーナリズムですよ。メディアが政権を批判しなくなったら終わりです」。古賀茂明氏の降板の裏に何があったのか、テレビ朝日はすべて明らかにすべきだ。

<朴槿恵大統領と産経新聞記事>
*2-1:http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/08/sankei-korea_n_5955692.html
(Huffpost Japan 2015年4月18日) 産経前ソウル支局長を在宅起訴 「朴大統領の名誉毀損」
 ソウル中央地検は8日、ウェブサイトに書いた記事で韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(48)を情報通信網法違反の罪で在宅起訴し、発表した。報道をめぐって外国メディアの記者を起訴するのは極めて異例だ。問題となったのは、産経新聞のウェブサイトに8月3日付で掲載された「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」との記事。大統領府秘書室長が国会質疑で、旅客船沈没事故が起きた4月16日の大統領の所在をはっきり答えなかったことを紹介し、韓国紙・朝鮮日報のコラムや証券街の情報を引用しながら、男性と会っていたといううわさがあることを伝えた。ソウル中央地検は、韓国の市民団体の告発を受けて捜査に着手。加藤氏を出国禁止処分にして、3回にわたって事情を聴いていた。同地検は発表で、朴大統領は沈没事故当日に大統領府の敷地内におり、記事は事実と異なっていたとし、根拠もなく女性大統領に不適切な男女関係があるかのように報じて名誉を傷つけたと指摘。加藤氏が当事者らに事実関係を確認せず、信頼できない資料を報道の根拠としており、被害者に謝罪や反省の意思を示していないことなどから、「可罰性が高い」と結論づけた。情報通信網法に基づく名誉毀損罪は最高刑が懲役7年。産経新聞によると、加藤氏は事情聴取に対し、「朴大統領を誹謗(ひぼう)する目的ではない」と主張。事故当日の朴大統領の動静は「日本の読者に対して必要な情報であり、公益性の高いテーマであると考えている」と述べたという。加藤氏の記事をめぐっては、韓国大統領府は産経新聞に対し、民事、刑事上の責任を問う考えを表明していた。
■「自由な取材を侵害」現地の外信記者会
 ソウル駐在の外国メディアの記者らでつくる「ソウル外信記者クラブ」は8日、加藤氏に対する捜査や起訴が「自由な取材の権利を著しく侵害する素地があるという点に深刻な憂慮を表明する」とした検事総長あての公開書簡を発表した。
■異例の記者訴追、韓国に国内外から懸念 産経記事巡り
 産経新聞の前ソウル支局長が8日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領に対する情報通信網法違反で在宅起訴された。同紙のウェブサイトに掲載した記事で朴氏に関する「うわさ」を伝えたとして名誉毀損(きそん)の罪に問うが、「報道の自由を脅かす」との懸念が国内外で出ており、公権力行使のあり方をめぐって批判が高まるのは必至だ。記事は、旅客船沈没事故が起きた4月16日に朴氏の所在が7時間にわたって確認できなくなり、その間に男性に会っていたとのうわさを、韓国紙のコラムや証券街の情報などを基に伝えたものだ。韓国の検察当局は罪に問えると判断したが、産経の記事自体には批判的な韓国メディアの中からも、記者を出頭させて事情聴取し、刑事罰に問うことは、国家権力に対する正当な監視活動を萎縮させる恐れがある、との指摘が出ていた。日本新聞協会や日本ペンクラブは、相次いで懸念や憂慮を表明。国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)も起訴しないよう求める見解を発表した。ジャーナリズムを専門にする韓国の学者は、韓国の裁判所はこれまで公職者に関する報道について、名誉毀損を免責する範囲を広げる傾向だったと指摘。今回の起訴は「言論の自由を侵害する」として、流れに逆行するものだと批判した。今回の捜査は朴氏の要請ではなく、市民団体の告発に基づくものだ。ただ、韓国大統領府の高官が早い段階で民事、刑事上の責任を追及すると表明していた。法令上は被害者の意思に反しての起訴はできず、朴氏の意向しだいでは起訴されない可能性もあったが、関係者によると、大統領側から明確な意見はなかった。検察当局は大統領府の意向を忖度(そんたく)しながら「大統領のメンツを立てる政治的判断」(韓国の司法関係者)をせざるを得なかったとみられる。背景には、韓国政府に批判的な産経新聞の日ごろの報道への不満もあったとの見方がある。この問題は8月にミャンマーであった日韓外相会談でも取り上げられ、日本側は懸念を表明していた。改善への模索が始まっていた日韓関係にも影響を及ぼしそうだ。
■「報道が萎縮する可能性」
 今回の在宅起訴について、服部孝章・立教大教授(メディア法)は「韓国の政府当局が何を目指して踏み込んだのかが見えない」と疑問を呈し、報道の萎縮を懸念する。「産経側にも少し甘い部分はあったが、記事はネットのみで、名誉毀損(きそん)の実害も明確ではない」といい、影響は産経新聞にとどまらないとみる。日韓関係の溝が深くなっているいま、メディアは相互理解を進めるために、日韓問題について様々な記事を書き、市民に材料を提供して、議論を活性化させていく必要があると、服部教授は指摘する。「だが報道すると処罰される可能性がある状態では、記者が政府の顔色をうかがうなど、取材や報道が萎縮する可能性がある。両国民にとってプラスにはならない。特派員に限らず国内での取材でも同様のことがいえる」。小針進・静岡県立大教授(韓国社会論)は「韓国は民主化で言論の自由を勝ちとったのに、時計の針を戻してしまった。韓国の検察に非難を免れる余地はまったくない」と批判する。
在宅起訴にここまで時間がかかったことから、韓国の検察当局にも迷いはあったと小針教授はみる。「当然、外交問題になることも分かっていたはずだ」。大統領府が起訴を避けるように動かなかったり、韓国メディアが日本メディアを軽視し、本件を批判的に取り上げなかったりしたことも関係しているのではないかと、小針教授はいう。「韓国は韓流で培ってきた国際的なブランドイメージを大きく傷つけてしまった」
韓国内には、検察の判断はやむを得ないとの見方もある。日本での取材経験がある韓国人記者は、韓国の大統領の位置づけを「国家元首であり、日本における首相よりも大きな権力があると受け止められている」といい、「その権威を傷つける私生活の疑惑を報じた産経側に問題がある」とする。一方で、戸惑いも感じているという。「韓国では言論の自由が保障されているはず。裁判まで持っていく必要があったのか」
■産経新聞社「撤回求める」
 産経新聞社の熊坂隆光社長は「強く抗議し、速やかな処分の撤回を求める。民主主義国家が憲法で保障している言論の自由に対する重大かつ明白な侵害で、韓国の国際社会における信用を失墜させる行為だ」との声明を出した。
     ◇
■産経新聞前ソウル支局長のコラムをめぐる動き
7月18日 朝鮮日報が「大統領をめぐるうわさ」と題したコラムを掲載
8月3日 産経新聞がウェブサイトに、問題となったコラムを掲載
  7日 大統領府が「厳しく強力に対処する」と言明。地検は前支局長を出国禁止処分に。処分はその後10月15日まで延長
  8日 地検が前支局長に出頭を求める
  18日 前支局長が地検に出頭。その後も聴取が続く
  29日 日本新聞協会が「取材の自由が脅かされる」との談話
9月8日 国際NGO「国境なき記者団」が不起訴を求める見解
  16日 日本ペンクラブが「言論の自由を事実上制限」と韓国政府批判
  30日 前支局長側が出国禁止処分の解除を求める文書を地検に提出
10月1日 産経が前支局長を東京本社に異動させる人事を発令

*2-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150415/k10010049051000.html
(NHK 2015年4月15日) 帰国の産経新聞前支局長が首相と面会
 韓国政府による出国禁止措置の解除を受けて、14日帰国した、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、総理大臣官邸を訪れて安倍総理大臣と面会し、これまでの政府の対応に謝意を伝えました。韓国政府が、パク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして、裁判が進められている、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長は、出国を禁止する措置が解除されたことを受けて、14日帰国しました。加藤前支局長は15日午前、総理大臣官邸を訪れて安倍総理大臣と面会し、出国禁止措置を受けていた間の状況などを説明するとともに、これまでの政府の対応に謝意を伝えました。加藤前支局長によりますと、安倍総理大臣は、健康状態や家族の様子などを尋ねたうえで、「ご苦労さまでした。まだ裁判が続くようなので、これからも体に気をつけてください」と述べたということです。面会のあと、加藤前支局長は記者団に対し、「さまざまな発信を、韓国に対し、あるいは国際社会に対して行っていただき、私を励ましていただいたことにお礼を申し上げた」と述べました。また、菅官房長官は午前の記者会見で、「加藤前支局長の公判は継続しているので、政府としては、引き続き、さまざまな機会やレベルで韓国側に適切な対応を求めていきたい」と述べました。

*2-3:http://www.sankei.com/politics/news/150416/plt1504160011-n1.html
(産経新聞 2015.4.16) 菅官房長官「当然のことだ」 産経新聞ソウル支局長記者証発給に
 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は16日午前の記者会見で、韓国在住の外国メディア記者の取材活動に必要な「外信(外国メディア)記者証」が産経新聞の藤本欣也ソウル支局長に、韓国政府への申請から約7カ月たって発給されたことに関し「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた。記者証が発給されたのは当然のことだ」と述べた。


PS(2015年12月17日追加):日本から言われたのか韓国外務省が「日韓関係に配慮すべき」と証言し、*3のように、産経新聞の加藤前ソウル支局長が無罪になったそうだが、人を貶めるようなプライバシーに関する記事を虚偽であるにもかかわらず書きたて、「誹謗中傷の目的はない」「言論の自由だ」などという主張が通るようでは、日本を含む東アジアは、やはり人権にも民主主義にも疎い国々だと考える。そして、これは、公人である大統領であれば、なおさら政治的意図があると考えられ、私は、虚偽の噂を確認もせずに拡大して流したのが故意でないとすれば正当な注意に欠けるし、慰安婦問題で意見の異なる朴大統領を誹謗中傷する政治的目的があったと考える方が全体から見て自然だと考える。なお、メディアなら何を書いても「言論の自由」「表現の自由」などと言うのは、レベルの低すぎる間違いだ。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/260688
(佐賀新聞 2015年12月17日) 産経前支局長に無罪、韓国地裁、「誹謗目的なし」と判断
 韓国の朴槿恵大統領の男女関係に絡むうわさを紹介した記事で、朴氏らの名誉を毀損したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対し、ソウル中央地裁は17日、無罪判決を言い渡した。同地裁は「記事に(朴氏を)誹謗する目的は認められない」と判断した。検察側は「うわさを虚偽と認識して記事を書き、大統領を誹謗する目的だった」として懲役1年6月を求刑。加藤氏は「大統領の動静は日本でも関心事。うわさが流れた事実を伝えるべきだと考えた」と、名誉毀損の意図はないと無罪を主張していた。


PS(2015年12月18日追加):*4を含む全体像から見て、日本政府にとって都合の悪い朴政権のレームダック化を早めるため、産経新聞の記者が日本政府に協力して朴槿恵大統領の虚偽の噂を掲載したことは明らかで、「誹謗中傷の意図がない」とするのは真っ赤な嘘だろう。何故なら、そうでなければ日本政府が援護する理由がないからだ。また、このようなプライバシーに関する虚偽記事で政治家等の“公人”とされる人を叩くのは、民主主義を護る行動にはならないため、対象が“公人”なら虚偽記事で貶めても「言論の自由」「表現の自由」の範囲だとするメディアは、自らに都合よく規範を緩めている。
 なお、日本の裁判所は、私の週刊文春虚偽記事事件に関する民事訴訟で、対象が国会議員(“公人”)であっても一般人と同じく名誉棄損や侮辱罪を認め、「言論の自由」「表現の自由」は「人権侵害」に優先するものではないとした。また、このような違法行為に関して、相手が公人か私人かで判断を分けるのは、法の下の平等を定めた日本国憲法に反する。そして、私は、女性が不当に蔑まれることなく気持ちよく活躍できる社会を創るため、このような女性蔑視を利用した追い落としのための虚偽の噂の流布を決して許さないが、これは、小学生の頃(50年以上前)から持っている私の信念だ。

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12122392.html
(朝日新聞 2015年12月18日) (時時刻刻)日韓、無罪の力学 産経前ソウル支局長無罪
 報道の自由か、名誉毀損(きそん)か――。朴槿恵(パククネ)大統領にまつわる「うわさ」を載せた産経新聞ウェブサイトの記事をめぐる裁判で、韓国の裁判所は無罪を言い渡した。判決直前、韓国外交省は裁判所に異例の「配慮」を求めた。停滞する日韓の外交交渉に弾みはつくのか。
■裁判長が外交省要請読み上げ、ざわつく法廷
 ソウル中央地裁の傍聴席は100人を超える報道関係者らで埋め尽くされた。韓国の法曹界の大方の見方は「有罪」だった。午後2時前、裁判長と裁判官2人が法廷に入った。裁判長は判決の言い渡しを始める前、外交省から検察側を通じて、裁判所に提出された文書を読み上げた。行政府である外交当局が司法府である裁判所に要請をするのは極めて異例だ。傍聴席がざわついた。加藤達也前ソウル支局長は立ったまま判決の読み上げを聞き続けた。「無罪」。傍聴席が再びざわついた。加藤氏が問題の記事を書いたのは昨年8月。その後、出国も禁じられ、昨年10月に起訴された。出国禁止は今年4月まで続いた。一方、「事件の被害者」になった朴大統領は問題の記事について公の場で語ることはなく、沈黙を守り続けた。韓国外交省は「司法の問題」とかわし続けたものの、「検察が起訴しなければ良かった」と漏らした政府関係者もいた。韓国外交省当局者は異例の要請について、文書は韓国法務省に出したことを明らかにした。法務省から検察当局、裁判所に渡ったことになる。当局者は「韓日関係を担当する機関として、日本側からの要請を法務省に伝えるのは業務の一部だ」と説明した。韓国メディアの聯合ニュースは「今回の判決は、両国関係改善を妨げる悪材料の一つを取り除いた」と指摘。中央日報電子版も「両国は関係改善のモメンタム(機運)に至ることができる」と評価した。一方、メディア専門紙「メディア・オヌル」は「加藤前支局長を『言論の自由の闘士』に作り上げ、喜劇に終わった」と批判。「韓国検察は無理な政治的起訴という批判を避けられないだろう」と指摘した。
■「虚偽と認識」認定
 今回の判決について、韓国のメディア専門家は「前支局長が報道で取り上げた疑惑は誤った事実ということを再確認する一方、言論の自由という憲法的価値は守る絶妙なバランスを取った」と述べた。記事を書いた加藤氏は情報通信網法違反(名誉毀損)の罪に問われた。判決は、記事全体をみると「うわさ」が事実かのように暗示しているとした。一方で、その内容は元側近の男性の証言や携帯電話の記録などから「虚偽」と判断し、それを加藤氏も認識していたとした。判決の焦点は朴大統領の名誉を傷つける目的があったのかだった。判決は「大統領」と「私人」という二つの立場を分け、大統領としての朴氏への名誉毀損の罪は認めず、「私人」について名誉を傷つけたことは認めた。ただ、記事は「朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ」などとしていることから、韓国の政治状況を伝えるのが目的だと判断。「私人」としての朴氏の名誉を傷つけようとしたとみるのは難しいとした。韓国の法曹関係者は「起訴だけではなく、名誉を傷つける意図の立証に無理があった」と指摘した。判決は加藤氏が過去に書いた記事についても触れ、「韓国の国民としては簡単に受け入れるのが難しい」とした。また、元側近の男性を実名で書いたことについては「軽率」と指摘した。
■日本、関係改善に期待感 「慰安婦で譲歩要求」警戒も
 「無罪判決が出たことを評価する。日韓関係に前向きな影響が出てくることを期待したい」。無罪判決を受け、安倍晋三首相は17日夕、首相官邸で記者団にこう語った。岸田文雄外相も「慰安婦問題は協議を加速するよう指示が出ている。引き続き議論を行う」と述べ、交渉に弾みがつくことに期待感を示した。こうした評価が相次ぐ背景には、韓国外交省が日本側の主張に配慮するよう裁判所に求めたことで、今回の無罪判決が日韓関係改善に向けた韓国側からの政治的メッセージと受け止められていることがある。公明党の山口那津男代表は17日、朝日新聞の取材に「韓国側の外交的配慮もあり、妥当な結論になった」と評価。日韓議員連盟幹事長の河村建夫元官房長官も「いろんな角度から考えて判断されたと思う」と語った。韓国政府当局者も「(韓日関係にとって)無罪で良かったではないか」と語り、外交省の措置が、日韓関係改善を望む朴大統領の考えを受けたものだったことを示唆した。加藤氏の裁判の問題は、日韓関係にとって重荷になってきた。日韓両政府によれば、11月2日の日韓首脳会談の際の少人数会合でもこの問題が取り上げられた。安倍首相は強い懸念を表明。朴大統領は事件の背景も含めて刑事裁判の必要性を説明した。判決前、日本政府高官の一人は「無罪にしろと迫りたいが、内政干渉と受け取られかねない。良い判決を期待する、が精いっぱいだ」と漏らした。日本政府内には「有罪だったら日韓関係はしばらく相当冷え込んだはずだ」(閣僚の一人)と懸念する声も多かっただけに、日韓関係の改善の動きが加速することに期待感が高まる。一方、ボールが日本側に投げられたとする見方もある。日韓関係は現在、長く懸案となってきた慰安婦問題の「早期妥結」をめざし、両首脳の政治決断が重要な局面に入っている。日本政府内には「無罪判決を受け、韓国側が慰安婦問題でより踏み込んだ譲歩を求めてくる可能性がある」と警戒する声もある。別の韓国政府当局者は「この裁判結果で、産経新聞の報道内容が虚偽だという点が明白になった。この問題で生まれた負担が今回の判決で取り除かれ、韓日関係改善の契機になることを期待する」と語った。
■裁判所に敬意
 産経新聞社の熊坂隆光社長の声明要旨 韓国が憲法で保障する「言論の自由の保護内」と判断した裁判所に敬意を表する。内外報道機関や日本政府、日韓関係者らが強く懸念を表明していただいた。こうした支援の結果が無罪判決につながり、感謝申し上げる。裁判が長きにわたり、日韓の大きな外交問題となったことはわれわれの決して望むところではなく、誠に遺憾である。コラムに大統領を誹謗(ひぼう)中傷する意図はなく、国家的災難時の国家元首の行動をめぐる報道・論評は公益にかなう。
■無罪判決は当然
 日本新聞協会編集委員会の声明 報道機関の取材・報道の自由、表現の自由は民主主義社会の根幹をなす原則であり、無罪判決は当然である。われわれはこの問題について、自由な取材・報道活動が脅かされることのないよう引き続き注視していく。
■<考論>「司法へ政治介入」懸念残す
 上智大の田島泰彦教授(メディア法)の話 無罪としたのは妥当な判決。朴大統領を中傷する目的だったのかが争われ、検察側は男女のスキャンダルに重きを置いた報道と問題視した。しかし、コラム全体で指摘しているのは、沈没事故の当日の最高権力者の行動の不透明さで、コラムに公益性があることは判決でも認められた。権力側が刑罰を振りかざして、報道を抑圧するのは許されず、無罪としたのは評価できる。ただ、外交関係に配慮を求める韓国外交省の裁判所への要請は、「司法への政治介入」と受け取られかねず、問題ではないか。
■<考論>記者を起訴、異常だった
 元共同通信ソウル特派員でジャーナリストの青木理さんの話 韓国大統領は国家元首で、複雑な日韓関係を踏まえれば、日本側にもそれなりの礼節が求められる。そうした意味で加藤前支局長の記事は全く評価しない。だが、その点を差し引いても、「公人中の公人」の大統領は徹底的に論評される対象で、あの程度の記事で記者を起訴するのは異常だ。今回の起訴も朴大統領の意向をくんでなされたことだろう。無罪にはなったが、言論の自由に不安が残る国という印象は残った。裁判は韓国には全くメリットがなかった。
■<考論>表現の自由、反映の証拠
 韓国高麗大法学専門大学院の朴景信教授(法律論)の話 判決内容は、国際的な人権と表現の自由が、韓国の法律に十分反映されている証拠だと思う。多くの人々が関心を寄せる事件については、人々が抱いている疑惑を報道しても問題はないと認定した、意味のある判決だと言えそうだ。有罪になれば、歴史的な人権侵害の事例として取り上げられることは明白だ。国際的に見た場合、当然無罪になるべきで、法的にも妥当な論理だと思う。
◆キーワード
 <韓国情報通信網法> インターネットを使った不正行為を規制する。前支局長に適用された条文では、人を誹謗(ひぼう)する目的で公然と虚偽の事実を明らかにし、他人の名誉を傷つけた場合、7年以下の懲役または5千万ウォン(約510万円)以下の罰金などと定められている。
■問題となった記事
 ◇「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」(要旨)
 旅客船事故当日の4月16日、朴大統領が7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。7月7日の国会運営委員会に、大統領府秘書室長の姿があった。政府が国会で大惨事当日の大統領の所在や行動を尋ねられて答えられないとは…。韓国の権力中枢とはかくも不透明なのか。こうしたことに対する不満は、あるウワサの拡散へとつながっていった。朝鮮日報の記者コラムである。「大統領をめぐるウワサ」と題され、7月18日に掲載された。証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。ウワサの真偽の追及は現在途上だが、コラムは背景を分析している。「大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」。朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。
 (2014年8月3日に産経新聞ウェブサイトに掲載)
■これまでの経緯
【2014年】
 <4月16日> 旅客船セウォル号沈没事故が発生
 <8月3日> 産経新聞ウェブサイトに、問題となった加藤達也前ソウル支局長の記事が掲載される
 <7日> 大統領府広報首席秘書官が民事・刑事上の責任を問う方針を示す
 <〃> 加藤氏が出国禁止に
 <10月8日> ソウル中央地検が加藤氏を在宅起訴
 <15日> 日本新聞協会主催の新聞大会で「起訴は言論の自由を侵害」しているとして撤回を求める決議を採択
 <11月27日> 初公判。加藤氏が乗った車に韓国の保守団体メンバーが卵を投げる
【2015年】
 <4月7日> 産経新聞紙上で加藤氏が「『噂(うわさ)は虚偽』に異論はない」と題した手記を公表
 <14日> 出国禁止措置が解除される。翌日、加藤氏が安倍晋三首相と面会し、慰労される
 <10月19日> 検察側が懲役1年6カ月を求刑
 <11月2日> 日韓首脳会談で安倍首相が加藤氏の問題を取り上げる


PS(2015年12月19日追加):*5のように、朴大統領が旅客船沈没事故の当日、元側近の男性と会っていたという噂があるのは、噂をした人の女性蔑視に由来しており、朴大統領のせいではない可能性が高い(私も、「梨下に冠を正さず」にしていても、仕事で男性と協力する場合は多く、想像で変なことを言われることにより、仕事をやりにくくされたことも少なからずあった)。このような場合、相手とされた元側近の男性やその夫人も被害者であり、元側近は女性リーダーへの協力に懲りることとなる。その意味でも、朴大統領は被害者なのだ。それらのことを考慮できずに、このような低レベルの虚偽記事を書いて「言論の自由」などと主張していれば、メディアの人材の質が悪いという結論になる。そもそも、「言論の自由」とは、戦争に突っ走る権力に抵抗して「この戦争は間違いだ」と主張し、官憲に追いまわされるように、真実を言うのに命やクビをかけざるを得ない人のために、日本国憲法で保障されたものなのだ。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151219&ng=DGKKZO95333970Z11C15A2EA1000 (日経新聞社説 2015.12.19) 韓国の言論の自由に疑念残る
 日韓の関係改善を妨げる障害がひとつ取り除かれたことは歓迎するが、韓国の言論の自由への疑念が払拭されたわけではない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つける記事を書いたとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の判決公判で、ソウル中央地裁が無罪判決を言い渡した。問題となった記事は、朴大統領が昨春の旅客船沈没事故の当日、元側近の男性と会っていたとのうわさに言及したもの。昨年8月に同紙のウェブサイトに掲載され、韓国の市民団体が刑事告発した。検察当局は名誉毀損罪で前支局長を在宅起訴し、裁判では懲役1年6月を求刑していた。地裁は今回、無罪判決の理由として「公人である大統領を中傷する目的だったとみるのは難しい」「記事内容に不適切な面はあるものの、言論の自由の領域内に含まれる」などの点を挙げた。その判断はおおむね妥当だろう。日韓関係をぎくしゃくさせたこの問題は今回の無罪判決で決着するとみられるが、一連の経緯には苦言を呈さざるを得ない。まずは韓国検察の対応だ。確かに、さしたる根拠もなく風聞に基づいた記事に問題がないわけではないが、報道を対象に刑事責任を追及するやり方は度を越した。次に、朴大統領のイニシアチブの問題だ。「被害者」の大統領が当初から寛容な姿勢を明示していれば、前支局長は起訴されず、日韓を揺るがす問題に発展することもなかっただろう。さらに、司法の独立性の面でもいぶかしさが残った。地裁は公判の冒頭で、大局的に善処すべきだと主張する日本への配慮を求めた韓国外務省の要望書を読み上げる異例の一幕があったからだ。今回の騒動で、韓国が言論の自由を制限する国との疑心を生んだことは否定しがたい。同国では最近、旧日本軍の従軍慰安婦問題を論じた「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授も名誉毀損罪で在宅起訴されている。改めて憂慮を禁じ得ない。

| 報道の問題点::2012.11~ | 04:57 PM | comments (x) | trackback (x) |

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