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2015,06,15, Monday
安保法制案の全体像 同組立 想定事例(??) 憲法9条 (1)集団的自衛権の定義 *1-1、*1-2のように、集団的自衛権とは、国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一つで、ある国が武力攻撃を受けた場合、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利で、行使に当って国連加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならないとされている。 そのため、日本も主権国として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方をを有しているが、憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を規定しているため、これまで集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超えると解され、行使しないとされてきたのだ。 そして、*1-1のように、平成26年(2014)7月に自公連立政権の閣議決定により従来の憲法解釈を変更して、一定の要件を満たした場合に集団的自衛権の行使を容認する見解が示されたとされ、武力行使が許容される要件には、①日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある ②日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない ③必要最小限度の実力を行使すること が挙げられた。 私は、「日本も主権国として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方を有しているが、憲法9条の範囲内でのみそれを行使することにしている」というのが正しいと考える。 (2)それでは、憲法9条の範囲内とはどこまでか(ここが重要) 結論から言って、日本の領土・領海・領空を占領する目的で武力攻撃が行われた場合には自衛権を行使することができ、それは個別的であるか集団的であるかを問わないと考える。つまり、警察官が駆けつけてくるまで夫と協力して自分の家に入った強盗とは闘うが、隣の家やまして遠くの家に出かけて行ってまでは闘わないということだ。 しかし、これまで個別的自衛権のみが憲法9条の範囲内だと主張されていたのは、「集団的自衛権=日本が外国を護るために外国で闘うこと」と解釈されていたからであり、日本を護るのを外国に手伝ってもらうことや隣近所と力を合わせて日頃から周辺を警備しておくことを集団的自衛権行使の範囲に入れていなかったからである。 なお、*1-3のように、公明党は6月12日に集団的自衛権を使える範囲を日本周辺の有事に限定したうえで認めるかどうかの検討を始めたそうだが、私も、現行憲法下では、日本の領土・領海・領空を武力攻撃された場合と力を合わせて周辺を警備する場合に限るべきだと考えている。 (3)審議中の安保関連法案は、解釈改憲ではなく違憲である *1-2の国連憲章により、日本も主権国家として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方を有しているが、日本国憲法9条の範囲内でのみその行使は容認され、それは専守防衛であるため、*2-1のように、現在審議中の安保関連法案は違憲である。 また、憲法は最高法規であり一般法より上位であるため、*2-2のように、下位法で改憲することは許されない。しかし、私は、現在の自民党の「憲法改正草案」はお粗末な上、変更点が多岐にわたり、改正後の国家観は現行憲法よりも劣るため、これなら憲法の変更はしない方が余程よいと思っている。 憲法変更の理由とされている「現行憲法は敗戦後に短期間で作られ連合国に押しつけられた」というのは事実とは異なり、日本国内では英語を学ぶことすら禁止されていた終戦前から、連合国は終戦後の統治を考えて日本文化を調べあげ草案を練っていたことを、ルース・ベネディクトが著書「菊と刀」にかなり正確な日本文化の分析とともに記載している。そのため、8日間くらいの短期間で作ったものではなく、連合国が理想とする国民主権、基本的人権の尊重、平和主義のようなわが国の終戦前と比べれば民主主義への革命的な変更が憲法に織りこまれ、これらは敗戦でなければフランスなどのように国民同士が血を流して闘いとらなければならなかった理想的規範なのである。 なお、「孫子の兵法」で有名な孫子も、「敵を知らず己を知らざれば百戦あやうし。敵を知り己を知れば百戦百勝す」「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」などの現代にも通じる有名な言葉を遺している。 (4)国民の意見 *3-1のように、集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の活動範囲を広げる安保関連法案への反対を訴える集会やデモ行進が2015年6月13日、九州各地であった。また、*3-2のように、長野駅近くで、赤いスカーフやTシャツ、帯などを身に着けた女性約70人がデモ行進し、憲法を学ぶ会もできている。さらに、*3-3のように、神奈川県内の鉄道やトラック、港運などの労働者でつくる労働組合「神奈川県交通運輸産業労働組合協議会(神奈川交運労協)」も、同日、「われわれは戦争のための輸送はしない」と訴えながらデモ行進している。 (集団的自衛権とは) *1-1:https://kotobank.jp/word/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9-77203 【集団的自衛権】 国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一。ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利 [補説]日本は主権国として国連憲章の上では「個別的または集団的自衛の固有の権利」(第51条)を有しているが、日本国憲法は、戦争の放棄と戦力・交戦権の否認を定めている(第9条)。政府は憲法第9条について、「自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められている」と解釈し、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」との見解を示してきたが、平成26年(2014)7月、自公連立政権下(首相=安倍晋三)で閣議決定により従来の憲法解釈を変更。一定の要件を満たした場合に集団的自衛権の行使を容認する見解を示した。武力行使が許容される要件として、(1)日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、(3)必要最小限度の実力を行使すること、を挙げている。 *1-2:https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch.htm 国際連合憲章(要点のみ) 署名 1945年6月26日(サン・フランシスコ) 効力発生 1945年10月24日 日本国 1952年3月20日内閣決定、6月4日国会承認、6月23日加盟申請、 1956年12月18日効力発生、12月19日公布(条約第26号) われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機関を設ける。 第1章 目的及び原則 第1条〔目的〕 国際連合の目的は、次の通りである。 1 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。 2 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。 3 経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。 4 これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること。 第2条〔原則〕 この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。 1 この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。 すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。 2 すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。 3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。 4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。 5 すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。 6 この機構は、国際連合加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。 7 この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7条に基く強制措置の適用を妨げるものではない。 (中略) 第51条〔自衛権〕 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。 (以下略) *1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASG6D64K7G6DUTFK017.html (朝日新聞 2014年6月13日) 集団的自衛権、公明に限定容認論 72年見解を根拠に 公明党は12日、集団的自衛権を使える範囲を日本周辺の有事に限定したうえで認めるかどうかの検討を始めた。党幹部の中に、集団的自衛権の行使を朝鮮半島有事など極めて狭い範囲に限ることで、党内や支持者の理解が得られないかとの意見が出始めたためだ。ただ、行使容認そのものに慎重な意見もなお根強く、党内がまとまるかは予断を許さない。山口那津男代表、北側一雄副代表ら幹部は12日、国会内などで断続的に集団的自衛権の行使を認めるかどうかを協議した。1972年に自衛権に関する政府見解で「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」に限り自衛措置が認められるとした部分を根拠に、集団的自衛権が使えるか議論することにした。与党協議のメンバーの一人は、使える場合を「生命や権利が根底から覆される」という日本人に直接影響が出るケースに限定することで、政府が示した朝鮮半島有事から避難する邦人を乗せた米輸送艦を守る事例だけが容認されるとみる。別の幹部も「首相が想定する米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や、中東のホルムズ海峡での機雷除去はできなくなる」と話す。だが、72年の政府見解は同時に、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と結論づけている。公明が、限定的とはいえ見解を行使の根拠とすれば矛盾することになる。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使へ、今国会中の閣議決定を指示したことから、公明内には「反対するだけではすまない」(幹部)との声も上がっており、限定的な容認を検討することにした。政府・自民内には、公明内に容認に向けた動きが出てきたことから、22日が会期末の今国会中の閣議決定見送りを容認する意見も出ている。 <解釈改憲ではなく違憲> *2-1:http://www.shinmai.co.jp/news/20150611/KT150610ATI090029000.php (信濃毎日新聞 2015年6月11日) 安保法案「法治国家として危うい」 日弁連、19日に反対要請 日本弁護士連合会の村越進会長(64)=上田市出身=は10日、都内で信濃毎日新聞の取材に応じ、今国会で審議中の安全保障関連法案に反対するため、長野県弁護士会など全国52の弁護士会の会長がそれぞれの地元選出国会議員に法案廃案を訴える一斉要請を19日に行うと明らかにした。日弁連は18、19日に都内で理事会を開く予定。これに合わせて各弁護士会長が法案反対の声明などを携えて衆参両院の議員会館を回る。日弁連が安全保障関連法案について反対の国会議員要請を行うのは初めて。村越会長は「弁護士会は会員それぞれの政治的信条を超えて、立憲主義を守る法律団体として法案は違憲だと考えている」と強調。衆院憲法審査会で自民党推薦を含む憲法学者3人が関連法案を「違憲」と明言した意味は重いとし、「その法案が国会多数の賛成で通ってしまうことになれば最高法規としての憲法の意義が失われる。法治国家として危うい」とした。政府に対しては「改憲論者も含め、政府解釈を理解した上で違憲だと指摘した。政府は自分たちの解釈はこうだと繰り返すのではなく、憲法学者の意見を真摯に受け止めるべきだ」と求めた。憲法審査会での憲法学者の発言をきっかけに、各論に入りつつあった国会審議が「そもそも合憲なのか違憲なのか、原点に立ち返ったのは好ましい」とし、「さらに議論が深まることを期待したい」と述べた。 *2-2:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201505/0008016555.shtml (神戸新聞社説 2015/5/12) 2段階改憲/「お試し」と呼ぶしかない 自民党は、大災害などに備える緊急事態条項と環境権、財政規律条項の3項目について改憲を優先的に議論してはどうかと提案した。改憲の本命は9条だが、その前に各党の協力を得やすい項目に絞って実現を目指す2段階戦略を描いている。9条改正への抵抗感を和らげ、国民に改憲に慣れてもらう。そんな狙いが透けて見える。「お試し改憲」と呼ぶしかない。自民党の船田元・憲法改正推進本部長は「全ての憲法改正は真剣だ」と「お試し」を否定する。だが、「各党が関心事項として挙げているところから議論を始めるのは自然な流れ」とし、国論を二分する9条を後回しにしたことは認めている。9条改正の正面突破を避けるやり方はこれまでも繰り返されてきた。安倍晋三首相は第2次政権が発足した直後、憲法改正の国会発議要件を緩和する96条改正に意欲を示した。中身の議論を棚上げし、改正手続きのハードルを下げる。強引な戦術には国民の反発が強く、撤回するしかなかった。一方、政府は昨年7月の閣議決定で9条の解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認した。それを反映した安全保障関連法案を国会に提出する構えで、憲法の空洞化も同時に進んでいる。審査会では、維新の党が緊急事態条項について「早急に検討すべき」とし、次世代の党も同調した。民主党は、「押しつけ憲法」を改正の理由とすることについて、「議論の前提として各党の考え方を確認すべき」とけん制し、「お試し改憲」も批判した。共産党は「国民の多数は憲法改正を求めていない」と反対する。公明党は環境権など新しい権利を加える「加憲」を主張しているが、審査会では「冷静かつ慎重な議論を進めるべきだ」と、改憲論議の加速化にはくぎを刺した。改正の発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要になる。そのため自民党は公明党や野党と一致できる枠組みづくりを優先させる。2017年の国会発議などとスケジュールが語られ、改憲ありきの姿勢が目立つ。議論が深まる前に「簡単なところから」と「お試し」を画策する。あまりに危うい動きだ。 <国民は> *3-1:http://mainichi.jp/select/news/20150614k0000m040062000c.html (毎日新聞 2015年6月13日) 安保法制:九州各地で反対集会「戦争法案いらんばい」 集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の活動範囲を広げる安全保障関連法案への反対などを訴える集会やデモ行進が13日、九州各地であった。福岡県弁護士会は、福岡市中央区の市民会館で「憲法違反の集団的自衛権に反対する市民集会」を開き、弁護士200人を含む約1700人が参加した。日本弁護士連合会憲法問題対策本部の伊藤真副本部長が講演。集団的自衛権の行使が容認されれば、交戦権を認めていない憲法9条が空文化されると指摘して「どんな国にしたいのかは私たち自身が決めること。憲法の番人は私たち国民だ」と訴えた。集会後は市内中心部をデモ行進し、「戦争法案いらんばい」とシュプレヒコールした。佐賀県鳥栖市では、市民団体が主催する「戦争立法に反対する学習会」があり、約30人が参加した。同県弁護士会の東島浩幸弁護士が集団的自衛権について「行使したら国際紛争の当事国となり、相手から攻撃を受ける可能性がある」と指摘した。参加した鳥栖市の無職、山元睦美さん(63)は「戦争は絶対にいけない。外交で解決していくべきだ」と話していた。一方、長崎県佐世保市では、陸上自衛隊相浦駐屯地と海上自衛隊佐世保教育隊などの約630人が商店街をパレードした。恒例行事で新入隊員の市民へのお披露目が目的だが、佐世保地区労などはパレードに反対する集会を開催。参加者約100人は「戦争にいかせたくありません」などのプラカードを掲げた。今夏までに安保関連法案の成立を目指す政府に対し、地区労の豊里敬治議長は「政府は隊員の命や人権をもっと見つめるべきだ」と批判した。 *3-2:http://www.shinmai.co.jp/news/20150614/KT150613FTI090002000.php (信濃毎日新聞 2015年6月14日) 安保法案論議 母親立つ 県内 デモや憲法学ぶ動き 安倍政権が安全保障関連法案の早期成立を目指す一方、法案に反対の意思表示をしたり、憲法を学び直したりする動きが長野県内の女性たちに広がっている。国会審議では複雑な法解釈や主張が飛び交うが、女性たちは子どもを産み、育てる立場から、基本となる憲法や集団的自衛権について理解を深めようとしている。13日は、同法案に反対を訴える女性たちが長野市でデモ行進した。「女は戦争を許さない」「子どもを守ろう」。この日、同市の長野駅近くをデモ行進したのは、赤いスカーフやTシャツ、帯などを身に着けた女性約70人。新日本婦人の会県本部などが呼び掛けた「レッドアクション」で、1970年代にアイスランドの女性たちが地位向上を求めて赤いストッキングを履いた運動をモデルに全国に広がっているという。「安倍首相は『徴兵制は絶対にない』と言うけれど、20年後はどうか」。参加した市内の会社員女性(31)は3人の男の子を育てる。「子どもの将来を考えると、米国の戦争に協力できるような法案には反対したい」と話した。長野市では昨年6月、憲法を学ぶ「自分で考えるために学ぶ会」ができた。東京電力福島第1原発事故を機に子どもの食の安全を考えてきた母親らが、集団的自衛権の行使容認に疑問を感じて発足。ほぼ毎月学ぶ会を開き、10人ほどで憲法と自民党の改憲草案を読み比べている。会員の西林薫さん(37)も2児の母。「最低限の力として自衛隊は必要」と考えるが、自民党が改憲草案で「国防軍」と記したことに不安を感じた。安保関連法案の説明で、政府が中東・ホルムズ海峡の機雷掃海が可能になると例示したことも、「資源獲得のために武力を使っていいのか」と疑問。「今までいかに政治を『お任せ』してきたか分かった。母親として見過ごせない」と話した。6歳と2歳の男児を育てる松本市職員の今井留衣さん(39)は、信州大大学院法曹法務研究科の成沢孝人教授(憲法学)を講師に7月11日から全5回の憲法学講座を開こうと準備を進めている。子どもの未来に関わると感じて安保関連法案の国会中継を見るようになった。ただ、法案の合憲性論議では「72年政府見解」「砂川事件判決」といった言葉が飛び交い、「よく分からないことばかり」。ママ友との話題にもなりにくい。「賛否を決める前にまずお父さん、お母さんが気楽に学び合える場をつくりたい」と意気込んでいる。下伊那郡阿智村では昨年10月、40~70代の女性10人ほどが「女性のための平和学習会」をつくった。今年5月下旬には憲法や集団的自衛権を分かりやすく解説する紙芝居を発表。老人クラブや婦人会の会合で上演している。事務局の原佐代子さん(68)は「紙芝居を見たお年寄りから『孫を戦争に取られないか心配』との声を聞く。子育て教室などでも上演したい」と話している。 *3-3:http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/kanaloco-20150614-102526/1.htm (niftyニュース 2015年6月14日) 横浜で安保法案反対デモ 「武器運びたくない」 県内の鉄道やトラック、港運などの労働者でつくる労働組合「神奈川県交通運輸産業労働組合協議会(神奈川交運労協)」は13日、国会で審議中の安全保障関連法案に反対するデモを横浜市内で行った。参加者は「憲法違反の戦争法案を許すな」「われわれは戦争のための輸送はしないぞ」と訴えながら約2キロを練り歩いた。デモに先立つ集会では、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に批判が集まった。安保政策における専守防衛の基本を大転換させた解釈改憲が新たな安保法制の前提となっていることから、神奈川交運労協の本間秀明議長は「安倍政権は勝手な憲法解釈を国民に押しつけようとしている。これを許せば、日本は戦争国家になってしまう」と強調した。デモには約720人が参加(主催者発表)し、トラック運転手の男性(49)は「戦争に使う武器をわれわれが運ぶことになるかもしれない。そうした仕事はしたくない」と切実さを込めて話した。別のトラック運転手の男性(59)は「(集団的自衛権が行使できるよう安保法制を)変えたいのなら、国民に問うという手順を踏むべきだ」と批判した。 PS(2015年6月16日追加): *4-1、*4-2のように、自民党は、他国からの武力攻撃や大災害・感染症の際に、首相の権限を強化する緊急事態条項を衆院憲法審査会などで最優先に議論する方針を固めたそうだが、他国からの武力攻撃と災害・感染症は全く性質の異なる事態であるため、①何を緊急事態とするのか ②その際の首相の権限をどう強化するのか ③それがBestな方法なのか について議論すべきだ。何故なら、それによって、自民党が本音では何をしたいかがわかるからである。 *4-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052301001447.html (東京新聞 2015年5月23日) 緊急事態条項を最優先 憲法改正、自民党方針 自民党は憲法改正に関し、他党の賛同が得やすいとみる緊急事態条項、環境権、財政規律条項の中で緊急事態条項を衆院憲法審査会などで最優先に議論する方針を固めた。自民、公明両党内に慎重論がある他の2項目に比べ、合意形成が見込めると判断した。自民党幹部が23日、明らかにした。26日に審議入りする安全保障関連法案をめぐり与野党対立の激化が予想され、審査会での改憲議論は停滞する可能性もある。緊急事態条項は、大災害や他国からの武力攻撃の際、首相の権限を強化することなどが柱。 *4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052701001671.html (東京新聞 2015年5月28日) 参院憲法審、改正で各党が見解 自民、緊急条項新設訴え 参院憲法審査会が27日、国会内で開かれ、各党が憲法改正をめぐり見解を表明した。自民党が最優先で議論を進めたいとしている大規模災害などに対応する緊急事態条項について、同党はあらためて必要性を訴えた。他の党からは、一定の理解を示しつつも、慎重論議を重ねるべきだとの意見が出た。自民党の佐藤正久氏は「緊急事態には、外国からの攻撃や感染症などが想定される。個別の法律で対処するのは限界がある」と主張。緊急事態条項の憲法明記へ議論を急ぐよう求めた。公明党の西田実仁氏は、同条項を取り上げる必要性は認めた上で「人権制限が行われる懸念がある」と指摘。 PS(2015年6月24日追加): *5のように、(他地域も同様だろうが)長野県内の36市町村議会が、国会審議中の安全保障関連法案について廃案や慎重審議を求める意見書案を可決したそうで、私は、こちらの方が正しいと考える。特に原発や使用済核燃料をかかえている市町村議会の意見を知りたい。 *5:http://www.shinmai.co.jp/news/20150624/KT150623ATI090031000.php (信濃毎日新聞 2015年6月24日) 県内意見書可決 計36市町村会に 安保法案「反対」「慎重に」 中野市、千曲市、上伊那郡箕輪町、木曽郡上松町、東筑摩郡朝日村、下水内郡栄村の6議会は23日、国会審議中の安全保障関連法案について廃案や慎重審議などを求める意見書案を可決した。安倍晋三首相らに提出する。県内市町村議会の6月議会で同様の可決は少なくとも36件になった。中野市議会は議員提出の「国民的合意のないままに、安全保障体制の見直しを行わないことを強く求める」意見書案に、議長を除く19人中18人が賛成。安保法制の整備は「国際紛争の場に自衛隊を派遣するということ」とし、「憲法9条に逸脱している」と主張している。千曲市議会は、十分な国民的議論と国会での慎重審議を求める議員発議の意見書案を全会一致で可決した。「国民の間には政府の考える『(集団的自衛権の)行使の対象・範囲』など具体的な事例に対して、十分な理解が得られていない」としている。箕輪町議会は、法案の今国会での成立断念を求める意見書案を全会一致で可決。「自衛隊が戦争に巻き込まれる」「歯止めのない自衛隊の海外活動が展開される」といった不安が広がっていると主張している。上松町議会は法案の撤回・廃案を求める意見書案を全会一致で可決。法案は「戦争を放棄した平和国家日本の在り方を根本から変えるもので、容認できない」とした。朝日村議会は、慎重審議を求める議員発議の意見書案を全会一致で可決した。「国の根幹に関わる重要法案にもかかわらず、現在国民の間で十分理解されているとは考えられない」とし、「今国会での強行成立は避け、広く国民の合意を形成するよう要請する」としている。栄村議会は法案の慎重審議を求める意見書案について、議長とこの日欠席した議員を除く10人全員が賛成。「拙速な議論ではなく、徹底的な審議と多面的な検討」を求めている。一方、下伊那郡阿智村議会は、沖縄県名護市辺野古への米軍基地移設問題に絡み、地方自治の尊重を政府に求める意見書案を全会一致で可決した。沖縄県民が移設に反対の意を表しているのに「国の姿勢は県民の自主性や自立性を尊重しているか疑問」としている。県内市町村議会での6月定例会で同様の可決は少なくとも4町村となった。 PS(2015年6月26日追加): *6-1、*6-2のように、百田氏が、集団的自衛権の行使容認に賛成の立場を表明した上で「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した見識の低さには呆れる。木原稔議員は通常はリベラルな人なのだが、講師に百田氏を招いた責任はあるだろう。そして、「憲法改正に悪影響を与えている番組を発表し、スポンサーを列挙し、経団連に働きかけて広告料収入がなくなるようにしてマスコミを懲らしめて欲しい」と発言した人の方が重大な問題であり、その人も国民に選出された現職の国会議員であるため、その人の名前を報道するか、この人たちにTVの前で話をさせるのがよいと考える。何故なら、主権者である国民は、事実(ここが重要)を知って選択と判断をすべきであり、メディアはそのためのインフラだからだ。 *6-1:http://www.asahi.com/articles/ASH6T5W6FH6TUTFK00X.html (朝日新聞 2015年6月25日) 「経団連に働きかけ、マスコミ懲らしめを」 自民勉強会 安倍政権と考え方が近い文化人を通し、発信力の強化を目指そうと、安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)の初会合が25日、自民党本部であった。出席議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がった。出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。初会合には37人が参加した。官邸からは加藤勝信官房副長官が出席し、講師役に首相と親しい作家の百田尚樹氏が招かれた。同会は作家の大江健三郎氏が呼びかけ人に名を連ねる「九条の会」などリベラル派に対抗するのが狙い。憲法改正の国民投票まで活動を続けたい考えだという。 *6-2:http://www.nikkansports.com/general/news/1497679.html (日刊スポーツ 2015年6月25日) 百田尚樹氏「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」発言 「文化芸術懇話会」の初会合で講演する作家の百田尚樹氏(右)(共同) 安倍晋三首相に近い自民党の若手議員約40人が25日、憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」の初会合を党本部で開いた。安全保障関連法案に対する国民の理解が広がらない現状を踏まえ、報道機関を批判する意見が噴出した。講師として招いた作家の百田尚樹氏に助言を求める場面も目立った。出席者によると、百田氏は集団的自衛権の行使容認に賛成の立場を表明した上で、政府の対応について「国民に対するアピールが下手だ。気持ちにいかに訴えるかが大事だ」と指摘した。出席議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が上がった。沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。懇話会は木原稔青年局長が代表で、首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一・党総裁特別補佐も参加した。出席者の一連の発言について、自民党中堅は「自分たちの言動が国民からどのような目で見られるか理解していない。安保法案の審議にマイナスだ」と指摘。公明党幹部は「気に入らない報道を圧力でつぶそうとするのは情けない。言葉を尽くして理解を求めるのが基本だ」と苦言を呈した。 PS(2015年7月15日追加):違憲の法律は安保関連法案だけでなく、他にも多い。そのため、現在は限定的にしか運用されていない違憲立法審査権(法律・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かを審査する裁判所の権限で、最高裁判所が終審裁判所)を使いやすくし、三権分立がもっと有効に働くようにして、問題のある一般法を見直すべきである。 *7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015071502000125.html (東京新聞 2015年7月15日) 反安保 大学にも拡大 「憲法を無力化」「今声上げねば」 安全保障関連法案に反対する動きが各地の大学に広がっている。「民意や立憲主義に反し、戦争につながる」と教員有志が危機感を募らせ、緊急声明や集会を重ねている。十四日は市民団体や学者グループによる声明も相次いだほか、実戦となる恐れもあったイラクへの自衛隊派遣の検証を求める声も上がった。十四日昼、東京都港区の明治学院大の教室で「声明を語る会」が開かれ、教職員と学生ら計二十人が集まった。教員有志十五人は六日、「憲法の平和主義が無力化される」と法案への反対声明を発表。学内に掲示し、百七十人超の賛同人を集めている。「語る会」はこの日を含め四回開催。昼休みにランチを食べながら、日本の戦後責任や九条、言論への圧力といった問題をテーマに挙げた。今後も続ける予定で、呼び掛け人の猪瀬浩平准教授(文化人類学)は「法案は多様な問題を含む。開かれた対話の場としての大学の役割を果たせれば」と語る。国会審議が本格化した六月から、法案に反対する大学有志の声明が出始め、東京大でも今月十日、学生や教職員、OBらによる抗議集会に三百人が集まった。国際基督教大の稲(いな)正樹客員教授(憲法)は十三日、政治学、国際関係学の異分野の三人で声明を発表。「法の支配の根本が覆される事態。今声を上げなくては、研究を続けてきた意味がない」と危機感を募らせる。立命館大の法学部と法科大学院の教員有志六十四人も同日、「戦争準備法の性格を持つ」と法案に反対する声明を発表。他学部の教員が入り、全学で賛同を募る活動もインターネットで始まった。憲法学者の多くが「違憲」とする法案を強行しようとする政権の動きに、小松浩教授(憲法)は「専門知を軽視し、学問を侮辱する政権への憤りが広がっている」と厳しく批判した。東京学芸大の教員有志七十八人は十四日、法案の撤回を求めて緊急アピールを発表。とりまとめた教育学部の及川英二郎准教授(近現代史)は「強行採決を何としても阻止したいと賛同を募った」。十六日に学内集会を開く。 ◆学者9000人「廃案を」「採決反対」市民団体 ■「安全保障関連法案に反対する学者の会」は14日、緊急要請行動として会の呼び掛け人14人が 衆院特別委員会の自民、公明、民主、維新、共産各党の理事や委員の議員室を衆院議員会館に 訪ね、強行採決せず廃案とするよう訴えた。参加したのは佐藤学・学習院大教授(教育学)ら。 思想家の内田樹氏ら4人は与党側筆頭理事を務める江渡聡徳前防衛相(自民)の議員室を訪れ 「9000人以上の学者が法案に我慢しきれず反対の意思表示をしている事実を重く受け止めて ほしい」と秘書に伝えた。社会学者の上野千鶴子氏は江渡氏の議員室を訪ねた後に「憲法に違反 する法律をつくったら、立法府まるごと、議員全員が憲法違反を犯すことになりますよ」と強調した。 会には6月の発足からこの日までに、呼び掛け人61人、賛同者9766人の計9827人の学者が 名を連ねている。 ■海外で人道支援や協力活動をする団体の有志がつくった「NGO非戦ネット」は14日、自衛隊が 海外で武力を行使すれば、非政府組織(NGO)の活動環境は著しく危険になるなどとして、安全 保障関連法案の採決に反対する声明を発表した。声明では、安保法案は日本を戦争ができる国 にしようとするもので、憲法の平和主義に反すると指摘。非軍事の国際貢献が必要だとしている。 ■市民団体のピースボート(東京)と韓国の環境NGO「環境財団」は14日、安全保障関連法案の 採決に反対する共同声明を出した。声明は「憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認する ことは相互不信を増幅し、アジアの緊張を高める」と政府を批判。近隣諸国の市民の声に耳を 傾け、立憲主義を尊重するよう求めている。
| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 02:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
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