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2015,08,30, Sunday
電力システム改革の流れ 東京電力の分社化 エコカー市場の拡大 2015.3.17 2015.8.23 西日本新聞 日経新聞 (1)電力自由化、発送電分離に対する電力会社の対応不足について 上の左の2つの図及び*1-1のように、2016年4月に電力小売りの全面自由化と電力会社の地域独占廃止が行われ、2020年には「発送電分離」が実施されるため、九電は、2015年度中に電力事業を「発電」「送配電」「小売り」に分ける組織改正に踏み切る方針を固め、送配電部門を切り離すそうだ。 しかし、「発電部門」は大きく変えないとしている点については、私は、発電部門も電源由来別に分けて独立採算とし、「社内カンパニー制」ではなく「分社化」して正確に電源由来別の原価を把握し、独立採算にしてディスクローズした方が、誰にとってもわかりやすく、連結納税制度を活用すれば税務上の損失もあまりないため、メリットが大きいと考えている。 何故なら、「社内カンパニー」は、一つの会社の中で事業部に分けているにすぎないため、①顧客が電源由来別に正確なコストを支払って電力を選択することができない ②火力発電、原子力発電、新エネルギー、スマートシティーの構築など、異なる性格の技術者を同一の就業規則や給与体系で処遇しなければならないため、不合理な人事管理になって必要な人材を繋ぎとめられない ③規模が大きくなるため、組織階層が多すぎて現場のニーズがトップに正確に伝わらず、有効な経営管理がやりにくい ④それらすべての分野に精通した社長を置くことは不可能である などの不都合があるからだ。 そのため、上中央の図のように、東電も2016年度に発電事業会社、送配電事業会社、小売事業会社を子会社化して持ち株会社の下につけるが、私は、発電事業会社をさらに細かく、「火力発電会社」「原子力発電会社」「自然エネルギー発電会社」などに分け、電源由来別に選択できるようにした方が、顧客獲得と資金調達の両方に有利だと考える。その理由は、これからは、顧客も株主も、環境やエネルギー自給率に資する電源を選択するようになるからだ。 なお、*1-2のように、九電が「『日本一のエネルギーサービス』を提供する企業グループになる」と言うのを西日本新聞は驚きを持って報道しているが、本来、日本企業に「日本一」は普通に存在し、分野によっては「世界一」も珍しくない。これまで、電力産業でそういうことがなかったのは、古い意識の役所(経産省)と甘え合って、規制で保護され先進的なことも止められていたからであり、自由化するとこういうことが可能になるのである。 (2)太陽光はじめ自然エネルギー由来の電力買い取りについて 九州で太陽光発電が普及し、九電は買い取り制限を始めたが、*2-1のように、電力小売り事業に参入する福岡県みやま市が主体となって設立した電力売買会社「みやまスマートエネルギー」が、2015年10月15日から市内の公共施設向けに売電を始め、2016年4月からは家庭向けにも電力供給するそうだ。そして、メガソーラーや家庭用太陽光発電機の電力を九電より高い価格で買って安く販売するそうなので、他の市町村も頑張ってもらいたい。 なお、*2-2で東京新聞が記載しているように、今夏は太陽光発電が原発十二基分に当たる計一千万キロワット超(川内原発の出力八十九万キロワットの約十二倍)の電力を生み出し、二年前の供給の1%から6%台に急伸したそうだ。太陽光発電が千百万キロワット弱(6・5%)の電力を生み出したのは、政府の事前予測五百万キロワットの2倍であり、これは、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度がスタートして、たった三年後の成果なのである。 (3)電気自動車、燃料電池車について 「太陽光発電は不安定な電力」と言われることが多いが、これは、*3-3のような研究開発で蓄電池が大容量かつ安価になったり、電力を水素燃料に変えて保存できるようになったりすれば解決することだ。しかし、*3-2のように、日本は電気自動車に取り組み始めて20年にもなり先行していた筈なのに、*3-1のように、エコカーはまだハイブリッド車が主流であり、本気で電気自動車や燃料電池車に変えようとしているようには見えない。日産自動車の電気自動車「リーフ」の走行可能距離がやっと300キロメートルになるそうだが、「電気で走ればいいんだろ」と言わんばかりのワンパターンのデザインであるため、魅力に乏しく、BMWやテスラのように本気で開発した電気自動車には見えないのである。 また、ホンダも2016年3月末までに発売する燃料電池車の走行可能距離を700キロメートル以上とトヨタのFCV「ミライ」(約650キロメートル)を上回る水準にするそうだが、水を電気分解すれば100%国内産の水素燃料を作ることが簡単である。しかし、水素燃料の進捗が遅く、外国から輸入する化石燃料から水素を作る案もあり、これは筋が悪すぎる。何故なら、そのような水素と酸素を化学反応させてエネルギーを作れば、我が国のエネルギー自給率は上がらない上、燃料電池車の普及後には空気が酸素不足になるからだ。そのため、水素は水から作るのを原則とし、同時にできる酸素も供給すべきである。 (4)原発は公害が深刻すぎるため、過去のエネルギーにすべき *4-1のように、全国知事会原子力発電対策特別委員会の西川委員長(福井県知事)が、原子力規制委員会の田中委員長と会談して、「現場を重視した実効性のある安全対策を進めてほしい」と要望し、避難に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)などを活用する仕組みづくりを求めたそうだが、当然のことである。 また、*4-2のように、暮らしを一変させた東電福島第1原発過酷事故から4年5カ月で、九電は鹿児島県の川内原発1号機を再稼働させたが、このやり方はモデルケースにはできない。また、廃炉や最終処分場などについても、原発ゼロへの道筋があり、これ以上核廃棄物を出さない確約があって初めて相談に乗れるものだ。そして、このことは、川内原発再稼働に「反対」との回答が57%を占めている世論調査からも明らかである。 さらに、「原発はコストが安い」ともよく言われるが、これはまず、電源由来別に別会社にして正確にコストを集計してから、同じ次元で比較すべきなのである。その上で、*4-3のようなコストも加えれば、原発は金食い虫であり、維持してプラスになるものではないことが、いっそう明らかになる。 なお、*4-4のように、川内1号機は、2次冷却水に海水が混入して出力上昇を延期したそうだが、これと似たようなことが同じ型の米サンオノフレ原発の蒸気発生器で起こり、*4-5のように、NRC(米原子力規制委員会)が三菱重工の製造工場に抜き打ちで調査に入った後、サンオノフレ原発の廃炉が決定的となり、現在、三菱重工は9300億円の訴訟を起こされているそうである。 <電力自由化と発送電分離> *1-1:http://qbiz.jp/article/58025/1/ (西日本新聞 2015年3月17日) 九電、7月めどに配電部門を再編 「発送電分離」へ備え 九州電力は、2015年度中に電力事業を「発電」「送配電」「小売り」に分ける組織改正に踏み切る方針を固めた。7月をめどに、営業と配電業務を担う現在の「お客さま本部」から配電部門を切り離し、「電力輸送本部」と統合する方向で調整している。国の電力システム改革の一環として16年4月に導入される新たな制度をにらんだ対応。大手電力会社の送配電部門が切り離される「発送電分離」に備えた動きが本格化しそうだ。九電は労働組合に組織改正の意向を伝えた。今後、具体的な協議に入る。組織改正は、国が電力小売りが全面自由化される16年4月に導入する新たな制度によって、大手電力も発電事業が届け出制、送配電事業が許可制、小売り事業が登録制となるのに対応するのが目的。本店組織から着手し、段階的に出先の拠点の機能整理も進める。具体的には、電力輸送本部に配電部門を統合することで送配電を一元的に担える体制とし、お客さま本部は小売りの営業に特化させる方向。発電部門は、現在の「発電本部」から当面は大きく変えない。今回の組織改正に応じて、部署名を変更する可能性がある。政府は、発送電分離を20年4月に実施する電気事業法改正案を既に閣議決定している。九電は今回の組織改正をベースに、各部門を独立採算とする「社内カンパニー制」の導入や分社化の検討も進めるとみられる。各部門の独立性を高めながら、業務の効率化や全面自由化後の競争力強化にもつなげたい考えだ。国の電力システム改革をめぐっては、東京電力が他の電力大手に先んじる形で13年4月に社内カンパニー制を導入しており、16年度にも持ち株会社を設立して事業の分社化に踏み切る方針を示している。 ◇ ◇ ◆改革への対応「第一歩」 九州電力が2015年度に乗り出す組織改正は、電力システム改革に対応する社内体制構築の第一歩となる。20年4月に予定される発送電分離による送配電部門の分社化が避けられない中、九電は経営環境の激変をにらんだ体制整備を迫られている。電力システム改革の一環として、16年4月の電力小売り全面自由化と同時に導入されるのは「ライセンス制」と呼ばれる制度。大手電力会社の「一般電気事業者」という事業類型を廃止し、「発電事業者」「送配電事業者」「小売り事業者」に再分類し、従来の一貫体制を前提としない制度に移行する。国は、これを円滑な発送電分離につなげたい考えだ。発送電分離は、持ち株会社に発電、小売り、送配電の3社をぶら下げる方式のほか、発電と小売りの一体会社が送配電の子会社を傘下に置く形態も認められる方向。ただ、親会社には送配電会社の中立性を確保するための規制が課せられ、今年4月に設立される「電力広域的運営推進機関」の送配電会社への関与が強まることも想定される。九電を含む大手電力は今後、市場の全面自由化に伴う競争環境の変化に対応しながら、将来の組織体制の検討も進めることになる。原発の再稼働が進んで収支状況が好転したとしても、会社経営の在り方は大きく変容する見通しで、九電幹部も「会社が東日本大震災前の状況に戻ることはもうない」と断言する。 *1-2:http://qbiz.jp/article/69448/1/ (西日本新聞 2015年8月26日) ついに「日本一」を掲げた九電 その瞬間は耳に引っかからなかったのに、後から意味ありげに響くことがある。九州電力が今年4月に発表した「九州電力グループ中期経営方針」に明記された言葉がそうだ。「『日本一のエネルギーサービス』を提供する企業グループ」。競争が日常となっている一般のビジネスにあって、企業が「日本一」を目標に掲げることは、むしろ普通だ。でも、地域ごとに独占を認められ、完全かつ激しい自由競争にさらされてこなかった大手電力会社が「日本で1番」という目標を、ここまでど真ん中直球で掲げたことはなかったと思う。関西電力や中部電力は「NO.1」という言葉を使っているが、「どこの1番」かは明確じゃない。これまで何度か電力業界を取材してきたが、いつも「横並び」とか「序列」といったキーワードがつきまとっていた。いまも基本的な印象は変わらない。でも、九電の「日本一宣言」はその壁を破ろうとする意志を感じる。言うまでもなく、背景にあるのは、来春に迫った電力小売りの全面自由化だ。企業向けは自由化されていたが、「一般家庭が電気を買う企業を自由に選べる時代」に入る危機感は、これまでの比ではないだろう。だからこそ、なのか。九電関係者は言う。「日本一と言う文言は、若手・中堅から原案が上がってきたようだ。先が読めない中だからこそ、攻めの目標を掲げようということだろう」。別の幹部はこうも語った。「国や電事連(電気事業連合会)の中で、ある意味優等生として頑張ってきたが、もうルールが変わると言うのなら、九電として一丸となって生き残っていくしかない」。新規制基準下では全国初の原発再稼働。復水器の不具合。そして25日には台風の影響という、まさかの火力発電所連続停止。九電にとっては試練が続く。「日本一」は、厳しい自由化時代の壮大な目標か、悲壮な覚悟か−。いずれにしても、長年培ってきたと自負する九電ブランドの全てが問われることになる。その答えは、そう遠くない将来出る。 <太陽光発電> *2-1:http://qbiz.jp/article/69178/1/ (西日本新聞 2015年8月20日) みやま市が10月15日から売電 全面自由化される電力小売り事業に参入する福岡県みやま市が主体となって設立した電力売買会社「みやまスマートエネルギー」(同市)が、10月15日から市内の公共施設向けに売電を始めることが19日、分かった。2016年4月からの家庭向け電力供給をにらみ、売電事業を本格化させる。売電先は、市役所本庁を皮切りに、市内の学校や公民館など計38カ所を予定している。病院や工場など民間施設への供給も順次開始し、市外にも売電エリアを広げる方針。電気料金は、基本料金を安く設定することを検討している。新会社が、大規模太陽光発電所(メガソーラー)や家庭用太陽光発電機の電力を九州電力よりも高い価格で買い取り、安く販売する。売り上げは15年度に1億5千万円を目指す。家庭向けに売電を始める16年度は12億円を見込む。 *2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015083090071134.html (東京新聞 2015年8月30日) 太陽光発電 今夏シェア6%台に ピーク時に原発12基分 今夏に電力需要がピークを迎えた時間帯にどう電力が確保されたか電力各社に取材したところ、太陽光発電が原発十二基分に当たる計一千万キロワット超の電力を生み出し、供給を支えていたことが分かった。二年前は供給力の1%にすぎなかった太陽光は、6%台に急伸。九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)が今月再稼働するまで約一年十一カ月にわたり国内の「原発ゼロ」が続いた間に、太陽光が欠かせない電源に成長したことが明確になった。本紙は、原発のない沖縄電力を除く全国の九電力会社に、今年七~八月の電力需要ピークの時間帯に、電源構成がどうなっていたのかデータ提供を求めた。四国電力は提供を拒否したが、八社が回答した。地域によってピークの日や時間帯は若干異なるが、八社が需要を見越して準備した供給力の合計は約一億六千六百万キロワット。首位は火力発電で、約一億二千六百万キロワット(75・4%)と圧倒的に多い。二位は、くみ上げておいた水を需要に応じて放水する揚水発電で約千八百万キロワット(10・9%)、三位は水力発電の約千二百万キロワット(6・9%)。太陽光発電は僅差で続き、千百万キロワット弱(6・5%)。川内原発の出力は一基八十九万キロワット。約十二倍の電力を生み出していたことになる。政府の事前予測は五百万キロワット前後だったが、大きく外れた。再生エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートしてからの三年で、中心的な存在になった。需要が高まる日中、軌を一にするように発電するのが太陽光の特質で、割高な石油火力の稼働を最小限にできる効果もあった。地域別では、太陽光の発電量は東京電力管内が四百万キロワットと最も多かったが、発電割合では九州電力管内が9・5%と最も高かった。九州では今夏、ピークが通常とは異なり、日射量が減り始める午後四時だった。もしピークが一般的な昼前後であれば、発電量は二~三倍だった可能性が高い。九電は八月十一日に川内原発1号機を再稼働させたが、その前から電力の需給バランスは余裕のある状態が続いていた。中部電力などから電力融通を受けていたこともあるが、九州では太陽光の導入量が非常に多く、そのサポートで安定が保たれていたともいえる。 <固定価格買い取り制度> 太陽光や風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーでつくられた電気を、国が設定した価格で一定期間、電力会社が全量買い取るよう定めた制度で、2012年7月にスタートした。買い取り費用は電気料金に上乗せされるが、太陽光パネルの価格低下などに伴い、買い取り価格は段階的に下げられている。導入量は、設置が容易な太陽光に集中しており、家畜のふんや木材チップなどを活用し、出力調整が容易なバイオマスがあまり伸びないなどの問題もある。 <電気自動車と燃料電池車> *3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150823&ng=DGKKASDZ07HN2_S5A820C1MM8000 (日経新聞 2015.8.23) エコカー 走行距離長く、日産、フル充電で300キロ トヨタ・ホンダも海外で攻勢 自動車メーカー各社が環境対応車を刷新し走行可能距離を伸ばす。日産自動車は年末にも電気自動車(EV)「リーフ」を改良し、フル充電での走行可能距離を3割増の300キロメートルとする。トヨタ自動車は12月、ガソリン1リットルあたり40キロメートル超と現行モデルより約2割長く走るハイブリッド車(HV)「プリウス」の新型車を発売する。クルマの電動化を軸にエコカーの使い勝手を高め、グローバル市場での普及を促す。日産はこのほどリーフで使うリチウムイオン電池にためられる電気の量を増やす技術を開発した。EVは一度の充電で走れる距離がガソリン車より短いことが課題だったが、300キロメートルまで伸びる。電池の大きさは変わらず現行の製造ラインを使える。原価の大幅増にはならない見通しで、販売価格を大きく変えることなく商品力を上げる。現行リーフを部分改良し年末にも発売する。日産では400キロメートルの実現を目指し研究開発を続けている。「電池の技術レベルが急激に上がっており、長期では通常のエンジン車と同水準の走行可能距離も不可能ではない」(幹部)という。トヨタはHVの旗艦車、プリウスを6年ぶりに全面改良する。従来のニッケル水素電池だけでなくリチウムイオン電池も採用し、小型化しながらも出力性能を高める。モーターやインバーター(変換装置)や制御システムなども刷新する。衝突安全性を高める部品の採用で車体重量は増える方向だが、エンジンの燃焼効率も高めるなどしてガソリン1リットルあたりの走行距離を現状の32.6キロメートルから伸ばす。ホンダも2016年3月末までに発売する燃料電池車(FCV)の走行可能距離を700キロメートル以上とトヨタのFCV「ミライ」(約650キロメートル)を上回る水準にする。HVやEVといったエコカーは日本が技術開発で先駆けたが、世界での販売はまだ限られている。トヨタのHVは日本では14年で10%強のシェアを持つが、全世界では2%弱にとどまる。10年に発売した日産のリーフも、6月末までの世界累計販売は18万台強。仏ルノーと合わせて16年度までに150万台というEVの販売計画を大幅に下回っているのが現状だ。ただ、欧米などで燃費規制が強化されるためエコカー市場は拡大する見通し。調査会社マークラインズは、14年に200万台だったHVの世界市場は25年に2000万台を突破すると予測する。ドイツ勢ではフォルクスワーゲン(VW)がより廉価なHVの開発を進めているほか、BMWが家庭で充電できるプラグインハイブリッド車の扱いを増やしている。米テスラモーターズがEVの車種を拡大するなど、エコカー市場の競争は激しくなる。日本勢はより燃費を改善したり、走行可能距離を伸ばしたりすることで優位性をアピールし、欧米や中国など海外で販売を加速させたい考えだ。 *3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150823&ng=DGKKZO90864450T20C15A8NN1000 (日経新聞 2015.8.23) クルマの電動化 日本が先行、追う欧州勢 ▽…自動車の駆動装置をエンジンから電気モーターに置き換えたり、モーターを併用したりすること。化石燃料の使用をゼロまたは大幅に減らすことができ、環境負荷を和らげる目的で開発された。車載電池から電気を取り出して走る電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に加えて、水素と酸素を反応させて生み出した電気で走る燃料電池車(FCV)などがある。 ▽…トヨタ自動車のHV「プリウス」や日産自動車のEV「リーフ」などクルマの電動化では日本メーカーが先行してきた。ただ米カリフォルニア州の「ZEV規制」や欧州の「ユーロ6」など厳しい環境規制を見据え、クリーンディーゼル車やエンジンの小型化で規制に対応してきた欧州メーカーも電動化に本腰を入れはじめた。 ▽…クルマの電動化普及の壁となってきた充電インフラも整いつつある。国内の急速充電器の数は現在約5400基と2014年9月に比べ約3倍に増えた。独BMWと独フォルクスワーゲン(VW)も米国で100カ所に急速充電器を整備することを合意している。 *3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150824&ng=DGKKZO90871610T20C15A8TJM000 (日経新聞 2015.8.24) 電極に硫黄使い、リチウムイオン電池容量を4~5倍に、産総研や関大、3~5年後に実用化へ 幅広く使われるリチウムイオン電池の電極に硫黄を採用することで電池の容量を4~5倍に増やす技術の開発が相次いでいる。硫黄は電解液に溶け出しやすいが、産業技術総合研究所は電極の金属と強く結合させることで克服した。関西大学は電極の構造を工夫し、問題を解決した。スマートフォン(スマホ)などの携帯機器を充電する頻度を大幅に減らせる見込み。電池メーカーなどと組み3~5年後の実用化を目指す。リチウムイオン電池はリチウムイオンが電解液を通じて正極と負極の間を行き来することで充放電を繰り返す。正極にレアメタル(希少金属)を含むコバルト酸リチウムなどを使っている。硫黄は電気を多く蓄える性質があり、電極材料に向く。希少資源でもない。硫黄を微粒子状に加工し、表面積を増やしたうえで正極に活用する研究などが進んでいる。ただ充放電を繰り返すと電解液に溶け、電池の性能を落とす課題があった。産総研の栄部比夏里上級主任研究員らは、正極に使う金属と硫黄の微粒子を強く結合させる技術を開発した。鉄やチタンなどの金属と硫黄を粉にし、セラミックスでできた小さな球と一緒にかき混ぜる。球がぶつかる際の衝撃で、金属原子と硫黄が強く結びつく。1つの金属原子に硫黄の微粒子が4~6個結合する。この材料を正極に使い電池を試作した。電池の容量は従来のリチウムイオン電池の3~5倍になった。電圧は半分になるが、回路構成などを工夫することで電圧を引き上げられるという。電池メーカーと協力して今年度中にも携帯電話に使う大きさの電池を試作し、実用性を確かめる。関西大の石川正司教授らの技術は、電極に使う炭素に開いた直径数ナノ(ナノは10億分の1)メートルの穴に硫黄の微粒子を染み込ませる。微粒子が固定しやすい大きさの穴を均一に作り込むとともに、硫黄を穴に効率よく充填する技術を開発した。電極の重さのほぼ3割が硫黄になり、電池の容量が従来の4倍になった。正極を作り電池で試した。数百回充放電を繰り返しても性能を保った。充電に要する時間は従来のリチウムイオン電池の20分の1に短縮できた。今後は炭素に染み込ませる硫黄の量を増やし、5年後の実用化を目指す。 <原発について> *4-1:http://qbiz.jp/article/69273/1/ (西日本新聞 2015年8月21日) 「現場重視の安全対策を」 全国知事会が規制委に要望 全国知事会原子力発電対策特別委員会の西川一誠委員長(福井県知事)は20日、原子力規制委員会の田中俊一委員長と会談し、「東京中心に物事が考えられがちだ。現場を重視した実効性のある安全対策を進めてほしい」と要望した。西川委員長は、東京電力福島第1原発事故の早期収拾や原子力防災体制の強化などを盛り込んだ提言書を提出。原子力災害対策指針に明確な規定がない原発から30キロ圏外の自治体でも事前対策が必要だと指摘し、避難ルートの検討に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)などを活用する仕組みづくりも求めた。田中委員長は避難計画策定向けに「発電所ごとに気象条件や風向きを考慮してシミュレーションした基礎データを出せるようにしたい」と応じ、規制の判断基準について丁寧に説明する考えを示した。提言は宮沢洋一経済産業相にも提出した。 *4-2:http://mainichi.jp/shimen/news/20150812ddm005070045000c.html?fm=mnm (毎日新聞社説 2015年8月12日) 川内再稼働 原発依存社会に戻すな 人々の暮らしを一変させた東京電力福島第1原発の過酷事故から4年5カ月。九州電力が鹿児島県の川内原発1号機を再稼働させた。事故後に策定した新規制基準のもとでの初の稼働である。政府も電力会社もこれをモデルケースに既存の原発を順次再稼働していく心づもりだろう。しかし、あれだけの事故を経てなお原発と向き合う政府の本質的な姿勢は変わらず、事故の教訓を生かし切っていない。この再稼働を3・11前の安全神話に逆戻りする第一歩にしてはならない。 ◇ゼロへの道筋が先決だ 3・11の教訓は、「対策をとっても原発事故は起きうる」「原発事故が人、環境、社会に与える被害は質も範囲も他の事故と大きく異なる」ということだった。しかも、日本は世界有数の地震・火山国である。日本で原発を動かし続ける危険性はあまりに大きい。核のゴミの処分問題を考えても原発は持続可能なエネルギーとは言いがたい。だからこそ、できるだけ早く原発をやめようと私たちは主張してきた。一方で、原発即ゼロがもたらす経済的、社会的リスクを考えれば、一定の条件を満たした上で最小限の稼働を認めざるをえない場合もあるだろう。そんな考えも示してきた。しかし、この再稼働は条件を満たさず、認めることはできない。まず、原発を減らしていく過程での再稼働との位置付けが欠けている。政府が昨年閣議決定したエネルギー基本計画には、「原発依存度を可能な限り低減させる」との方針が盛り込まれた。これに従えば、確実に原発を減らしていくための工程表を描くことが政府の責務だ。ところが、7月に経済産業省が決定した2030年の電源構成は原発比率を20〜22%とした。これを実現するには40年廃炉の原則を超えた老朽原発の延命、建て替え・新増設が必要となる。ここに見え隠れするのは、なし崩しに原発依存社会に戻そうとする政権の意図だ。事故が起きた場合に住民への被害を最小限にとどめる、という必須条件も満たされていない。確かに新規制基準では以前は想定していなかった過酷事故も考慮し、求められる安全対策は厳しくなった。基準適合を審査する原子力規制委員会も独立性を高めハードルは高くなった。しかし、ハード面の対策強化は再稼働の必要条件であっても、十分条件ではない。福島の事故では指揮命令系統の混乱が事態を悪化させた。拡散する放射能の情報が住民に届かず、線量の高い場所へ逃げた人もいる。入院患者や介護施設の入所者の避難は大混乱し、避難途中や避難先で亡くなった人も多い。事故後、避難計画が必要な自治体は原発から30キロ圏に拡大され、川内原発の周辺でも計画自体は策定された。ところが、その計画の実効性を担保する住民の避難訓練が実施されていない。政府もそれを容認している。住民の安全確保に十分な備えがないまま再稼働を急ぐ姿勢は、「事故は起きない」と高をくくってきたかつての安全神話と根が同じではないか。住民の安全を守るためにもただちに避難訓練を行って問題点を抽出し、場合によっては原発再停止も考えるべきだ。 ◇国民の意思反映させよ 誰の責任で再稼働するのかが明確でない点も3・11前と変わらない。原発は民間ビジネスである以上、一義的には再稼働も安全確保も電力会社の責任だ。ただし、原発は政府の国策でもある。その政府は、「規制基準への適合」を再稼働の唯一のよりどころとし、一方の規制委は「基準への適合=安全」ではないとの認識を示している。これでは、福島の事故と同様、再び事故が起きた時に誰も責任を問われない不条理がまかり通ってしまう。さらに根本的な問題もある。原発・エネルギー政策を国民の納得のもとに進めようとする意思が政府にみられないことだ。各種の世論調査によれば、事故以降、ほぼ一貫して原発再稼働への反対が賛成を上回っている。毎日新聞が8、9日に実施した世論調査でも川内原発再稼働に「反対」との回答が57%を占めた。しかし、住民にこれほどの影響を与えた事故を経ても、国のエネルギー政策に国民の強い意思を反映させる手段は用意されていない。経産省の審議会を使って政策の方向性を決める手法は事故前のままだ。民主党政権時代には討論型世論調査など、曲がりなりにも国民の意思を反映させようとする努力はあった。現政権にはその姿勢すらない。原発を動かし続ける限り核のゴミがたまり続けるという問題も大きい。10万年後まで見越して最終処分する必要性があるのに、日本ではまったくめどが立っていない。たとえ事故が起きなくてもこの問題に解決の糸口がない以上、原発を長期的に維持するわけにはいかない。政府はまず原発ゼロに向けた具体的道筋を描くべきだ。避難計画や訓練を規制委が事前評価する体制作りも早急に進める必要がある。川内原発再稼働を原発回帰の踏み台にしてはならない。 *4-3:http://www.shinmai.co.jp/news/20150819/KT150818ETI090005000.php (信濃毎日新聞 2015年8月19日) 原発維持費 国民の理解得られない やはり金食い虫である。昨年度に1基も稼働しなかった原発の維持、管理のために、電力9社が計1兆4260億円を使っていたことが明らかになった。内訳は人件費や修繕費、使用済み核燃料の再処理費などだ。停止していても熱を出す核燃料を常に冷やすことが必要で、専門的な技術を持つ多数の人員による日常的な点検も不可欠なためだ。多くは電気料金に転嫁され、消費者が負担した。維持、管理費の合計は、中堅電力会社1社の年間売上高に相当する。あまりに巨額ではないか。大手電力会社は、停止中の原発の維持費は「再稼働に向け必要な経費」とする。ただ、維持されている原発には、原子炉建屋直下に活断層が走る疑いがあるため再稼働が困難とみられる北陸電力志賀原発(石川県志賀町)や、運転開始から40年近い原発も含まれる。安全なエネルギーを求める国民の意向は明確だ。危険性を排除できない原発や老朽原発の維持費を、いつまで国民が負担するのか。電力会社は廃炉を増やす検討を始めるべきだ。一方で巨額の維持費は、電力会社が再稼働を進める動機にもなっている。運転時に必要となるコストと停止中のコストが大きく変わらないためだ。九州電力の場合、昨年度にかかった原発維持費は1363億円。自社発電の46%を原発が占めていた2010年度は2157億円で、37%しか減っていない。原発停止で火力発電の経費が2倍以上に膨らみ、原発の維持費も負担となった。電気料金の値上げでもコストを回収できず、決算は4期連続で最終赤字だった。九電が川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働を急いだ理由はここにある。1、2号機が再稼働すれば今期は黒字に回復する見込みだという。原発は稼働させればさせるほど利益を生み出す一方、停止しても莫大(ばくだい)なコストがかかる。原発から抜け出しにくい構造といえる。ただ、来春の電力小売りの全面自由化後には、燃料費や人件費、維持費などを電気料金に組み込める「総括原価方式」が廃止される方向になっている。新規参入が相次ぎ、競争も激化するだろう。原発の追加安全対策や廃棄物の最終処理費なども増えることが想定される。原発は電力会社の重荷になる可能性がある。電力新時代に消費者に選んでもらえるよう、電力会社も将来を見据えた戦略を考えるべきだ。 *4-4:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082100245&g=soc (時事ドットコム 2015/8/21) 川内1号機、出力上昇を延期=2次冷却水に海水混入か-九電 九州電力は21日、再稼働した川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)について、2次冷却水に海水が混入した恐れがあるため、予定していた出力上昇を延期すると発表した。25日に予定している出力100%到達も遅れる見通し。九電によると、2次冷却水を循環させる復水ポンプの出口で、水質を監視する「電気伝導率」の数値が上昇した。電気伝導率は2次冷却水に海水などの塩分が混入した場合に上昇するといい、九電は発電タービンを回した後に2次冷却水を海水で冷やす「復水器」の中に海水が混入した可能性があるとみて調べている。川内1号機は11日、新規制基準に基づき全国の原発で初めて再稼働した。出力は16日に50%、19日に75%に到達し、21日に95%に上昇させる予定だった。 *4-5:http://diamond.jp/articles/-/77425 (ダイヤモンド 2015年8月29日) 9300億円の訴訟を起こされた三菱重工!! 日米原発報道での一番の違いとは? ―広瀬隆×堀潤対談<中篇> 『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第4刷となった。本連載シリーズ記事も累計145万ページビューを突破し、大きな話題となっている。このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者が、「8bitNews」主宰者で元NHKアナウンサーの堀潤氏と初対談。放射能漏れ事故を起こし、9300億円の訴訟を起こされた三菱重工事件を米国現地で見た堀潤氏は、どう感じ、どんな行動に出たのか?アメリカと比較し、日本の原発報道はなにが問題なのか。川内原発再稼働で揺れる日本人の有益なモデルケースとなるかもしれない。 ●放射能漏れを起こした三菱重工製の蒸気発生器 (広瀬)2012年1月に運転中だった3号機で、交換したばかりの蒸気発生器の配管に異常な摩耗が起きて、放射性物質を含む水が漏れた。その後、定期点検中だった2号機でも同様の摩耗が見つかった。サンオノフレ原発の蒸気発生器は三菱重工製でした。川内原発の再稼働で、私が最もこわいと思っているプラントで、川内原発も同じ三菱重工製ですからね。川内原発は再稼働した途端に、復水器で細管が破損しましたが、蒸気発生器の細管破損は、もっとこわいことです。くわしく聞かせてください。 (堀)ぼくがカリフォルニアに行った2012年6月頃、夏場の電力需給を考えると再稼働が必要ということになりましたが、地元住民を中心に反対の声が上がりました。「津波対策も不十分、情報公開もされていない」と。 (広瀬)アメリカでは、西部が地震と津波地帯ですからね。 (堀)アメリカの底力を感じたのは、パブリック・ミーティングを見てからです。さまざまなステークホルダー(利害関係者)、市民、原発の労働者、電力会社、米原子力規制委員会(NRC)、地元自治体、有識者、メディアなどが集まって、「サンオノフレ原発をどうするか」という話し合いが、いろいろなところで開かれていました。しかもそれがインターネットですべて公開されています。日本にはパブリック・ミーティングのような話し合いの場はなく、一方的な官製の説明会でごまかすので、市民側は裁判にいかざるを得ない。ここが大きく違います。 (広瀬)昔からアメリカのパブリック・ミーティングは制限時間がないので、いつも感心して見ていました。 (堀)たしかにヒアリングが長いです。 (広瀬)アメリカ人のよさはそこにある。怒鳴り合いもするけど、とにかく時間制限なしで徹底的に言い合う。これはアメリカだけではなくドイツもそうです。 (堀)そう、それぞれが持っている情報を出し合いながら、合意点を探す作業を丁寧に行います。これが本当のディスカッションだと思います。成熟した民主主義社会は、丁寧な議論ができる市民社会であるべきだし、情報を持っている機関は、公開することに心血を注いでいただきたい。 (広瀬)日本にはパブリック・ミーティングのような話し合いの場がないし、事実は隠蔽されたままです。成熟した民主主義社会には程遠いのが現状です。 (堀)私が2012年にアメリカに留学していた当時、米カリフォルニア州の電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)が運営しているサンオノフレ原発が再稼働問題に揺れていました。ディスカッションは意見ベースではなく、事実ベースで進みます。電力会社やメーカーはもちろん、環境団体や市民も、自分の感情や意見を排除して、事実と事実を突き合わせて、落としどころを探っていました。 ●報道されなかった三菱重工への「抜き打ち調査」 (堀)2012年の事故発生後、エジソン社(電力会社SCE)と三菱重工は蒸気発生器の設計変更を発表しました。設計変更し、安全検査をクリアして、NRCが承認したら再稼働という流れでしたから、設計変更が完了した時点で、反対側の住民もいよいよ再稼働なのかと注視していました。そんなときNRC(米原子力規制委員会)が突然、神戸にある三菱重工の製造工場に抜き打ちで調査に入ったのです。その結果、定められた手順で安全検査を行っていないことを突き止めました。 (広瀬)日本でNRCの動きはまったく報道されていません。本当ですか? (堀)三菱重工は、「確かに手順を飛ばした部分はあるが、安全管理上はまったく問題はない」と主張しました。それでもNRCはこれを問題視して、三菱重工の担当者とのすべてのやりとりをネットで公開しました。これによってサンオノフレ原発の廃炉が決定的になりました。SCEの親会社であるエジソン・インターナショナルは三菱重工に対し、検査や補修費用としてそれまでに1億ドル(当時のレートで約97億円)以上を請求していましたが、さらに廃炉に伴う損害賠償(約9300億円)を三菱重工に求めました。 (広瀬)最終的に、廃炉という決断を誰が下したのですか? (堀)SCE(電力会社)です。修理して運転するより廃炉にしたほうが安いという判断でした。そういう判断を自分でできる電力会社はすごいと思います。 (広瀬)日本で報道されたのは事故が起きたことと、廃炉になったことだけです。でも、いちばん重要な部分は、NRCが三菱重工に査察に入ったことですね。そんな経緯があったなんて全然知らなかった。 (堀)これはビッグニュースですよね。しかし、日本では報道されていません。米国ではNRCが会見を開き、三菱重工とのやりとりをほとんどの局が報道していました。それなのに、日本では報道されない。でも今の私は、こうして事実を伝えられる自由な立場にいます。 ●世界中から不信感を持たれる日本の原子力業界 (堀)最近、日本の電力会社の取材をしています。電力会社のある幹部は「社内や資源エネルギー庁から、堀さんの取材を受けて大丈夫なのか、と言われましたが、情報公開するにはどうすればいいか迷っている部分もあるし、こうやって話をするところから始めたい」という人もいました。他の電力会社の幹部も「どうやったら市民社会と接続できるのかを考えたい」と言っていました。 (広瀬)それはいつ頃の話ですか? (堀)今年の7月終わりくらいです。その理由は、諸外国の原子力業界から声があがっている、日本の原子力業界への不信感です。日本の原子力業界は、事故後の対応や情報公開のやり方を世界中から批判されています。今年4月、第48回原産(日本原子力産業協会)年次大会が東京で開催されました。ブラジル、中国、フランス、インドなどの原子力部門の代表から「日本は情報公開ができていない」「あらゆるステークホルダー(利害関係者)を集めた場をつくるべき」という声があがりました。中国の代表からは「内陸部に原発をつくりたいけれど黄河を汚してしまったらとんでもないことになる。住民の声を受けて沿岸部にしかつくっていない。住民の声を聞くのが大事なんだ」と。OECD(経済協力開発機構)の原子力部門のトップからは「福島の事故は人的な側面が大きい。いくらテクノロジーを向上させても人間がエラーを起こしたらうまくいかない。そこで“心理学的側面から安全を担保する専門部署”を新たに立ち上げた」などの発表がありました。日本は事故から4年経っても業界の体質は大きく変わっていないのが現状です。 (広瀬)変わっていないどころか、原子力規制委員会は大事故が起こることを前提に川内原発を再稼動させたんですよ。地元民は「100%事故は起こらない」というから原発を誘致し運転を認めてきたのに、いまや「事故は起こる」といって動かしているのです。それが8月11日の川内原発再稼働という出来事です。だからトンデモナイことが始まったのです。 ●なぜ、『東京が壊滅する日』を緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。核実験と原発事故は違うのでは?と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。「世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!よろしければご一読いただけると幸いです。 *広瀬 隆*1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。 *堀潤*元NHKアナウンサー、1977年生まれ。 2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーターとして、おもに事件・事故・災害現場を取材し独自取材で他局を圧倒。2010年、経済ニュース番組「Bizスポ」キャスター。2012年、米国ロサンゼルスのUCLAで客員研究員、日米の原発メルトダウン事故を追ったドキュメンタリー映画「変身 Metamorphosis」を制作。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。現在、TOKYO MX「モーニングCROSS」キャスター、J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーター、毎日新聞、「anan」などで連載中。2014年4月より淑徳大学客員教授。 PS(2015.8.31追加):スズキは自らの小型車開発技術を武器に、VWが次世代の環境技術や高級車を持ち寄って収益を拡大させる狙いでVWと資本提携していたが、*5のように、お互いに満足いく結果が得られず、提携関係を解消したそうだ。しかし、日本の自動車メーカーが次世代の環境技術をドイツのメーカーに頼るというのは、日本の方が環境技術先進国だっただけに、先見の明がなかったと言わざるを得ない。一方で、スズキは軽自動車に強く、女性がよく使用しているため、日産とジョイントベンチャーを作って、自動運転機能付で素敵なデザインの電気軽自動車を、次々と世に出したらどうだろうか。女性は、操作が簡単で使いやすく、環境意識の高いおしゃれなデザインの便利な車が好きなのであって、匂いや排気ガスを出すガソリンエンジンに価値を見出しているのではないことを忘れてはならない。 *5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150831&ng=DGKKASDZ30H6A_Q5A830C1MM8000 (日経新聞 2015.8.31) スズキ、VWと提携解消、国際仲裁決着、全株買い戻し 5000億円規模 スズキは30日、独フォルクスワーゲン(VW)との資本提携を解消すると発表した。2009年の提携後、経営の独立性などを巡って対立し、英ロンドンの国際仲裁裁判所(総合・経済面きょうのことば)を通して4年弱にわたり争っていた。VWが保有する全てのスズキ株式、19.9%分を買い戻す。買い戻し金額は5千億円規模になる見通し。今後のスズキの新たな生き残り策は、世界自動車メーカー再編の引き金となりそうだ。29日、国際仲裁裁判所が両社に仲裁判断を通知した。主な内容は「包括提携の解除を認める」「VWに保有するスズキ株の売却を命じる」「VWが主張していたスズキの技術関連の契約違反について一部認め、損害賠償も含め引き続き審議する」の3つ。損害賠償が発生した場合の金額などが焦点となる。現在のスズキの時価総額で計算すると株式買い取り額は約4600億円となり、株価次第では増加する可能性がある。VWは約2200億円で取得していた。スズキは15年3月期末時点で約1兆1千億円に上る手元資金のほか、持ち合いで保有する1.5%分のVW株(時価で約1千億円)も売却し、自社株買いの原資とする見通しだ。30日、スズキの鈴木修会長は記者会見で「最大の目的を達成した。結果に満足している」と話した。VWはスズキ株売却により「利益と流動性の面でよい影響がある」との声明を出した。スズキは米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携を通じて成長してきた。だが、GMの経営不振で提携解消となったことを機に、09年にVWと資本・業務提携を発表した。スズキが小型車開発技術、VWは次世代の環境技術や高級車を持ち寄ることで、収益を拡大させる狙いだった。当初、両社は「対等関係」を強調していた。VWの19.9%という出資比率は、持ち分法適用会社化を避けるといった意味合いがあった。しかし、VWは年次報告書で持ち分法適用会社と表記し、事実上の傘下企業と位置づけた。スズキはVWの環境技術の開示が十分でないとも主張していた。一方、VWはスズキがフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)からディーゼルエンジンを調達したことを提携合意違反だと表明。溝が生じていった。スズキは11年9月、提携解消を申し入れたが、提携の証しだった株の買い戻しにVWは応じなかった。このため同11月に国際仲裁裁判所に提訴していた。4年弱にわたる係争はスズキの海外戦略や次世代技術開発などに影響を及ぼしていた。世界販売では約280万台で10位にとどまり、持続的成長には新たな提携先を模索する可能性が高い。 PS(2015.9.1追加):IAEAが東電福島第一原発事故最終報告書を公表し、「日本では原発が安全という思い込みが浸透していたが、いかなる国も原子力安全について自己満足に浸る理由はない」としているのは、全くそのとおりだ。しかし、*6-2-1のように、福島県の検討委員会が、福島県の小児甲状腺癌の割合が通常より非常に高いにもかかわらず、「チェルノブイリ原発事故の過去の知見を踏まえると、現時点では原発事故の影響とは考えにくい」としているのは、チェルノブイリとフクシマにおける被曝状況や検査体制が全く同じではないため合理性がなく、「原発事故の影響とは考えにくい」と言うのなら、疫学の専門家も納得できるような科学的根拠を示すべきである。さらに、*6-2-2のように、甲状腺癌を「悪性ないし悪性の疑い」というマイルドな言葉を使って不明確化しているのも意図的だ。そのため、*6-3のように、静岡県の保険医協会が九電川内原発の再稼働に抗議して、エネルギー政策の転換を求める理事会声明を発表したのはもっともだ。 *6-1:http://www.asahi.com/articles/ASH9131SRH91ULBJ001.html (朝日新聞 2015年9月1日) 「原発は安全と思い込み」が要因 IAEAが事故報告書 2011年3月の東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発の事故について、国際原子力機関(IAEA)は8月31日、最終報告書を公表した。事故の主な要因として「日本では原発が安全という思い込みが浸透していた」としたうえで、事故対応の設備や手順などの備えが不十分だったと指摘している。14日からはじまる総会に提出される。報告書は約200ページ。事故の原因や影響を評価し、教訓を共有するために作成された。42カ国の約180人が参加し、5冊の技術解説書(計約千ページ)もまとめた。IAEAのホームページで読むことができる。巻頭で天野之弥・IAEA事務局長は日本の原発は非常に安全だという前提で運転されていたことを踏まえ、「いかなる国も原子力安全について自己満足に浸る理由はない」と述べた。報告書では、原発の設計や緊急時対応で弱点があったことに加え、外部電源が長時間失われる事態や複数の原子炉が事故を起こす想定がされていなかったことなどを指摘している。 *6-2-1:http://www.asahi.com/articles/ASH805SMGH80UGTB00M.html (朝日新聞 2015年8月31日) 甲状腺がん新たに1人 福島の子ども、計104人に 福島県は31日、東京電力福島第一原発事故による健康影響を調べる甲状腺検査で、今年4月から6月末までに新たに1人が甲状腺がんと診断されたと発表した。検査対象となる事故当時18歳以下だった約38万5千人のうち甲状腺がんと確定したのは合計104人になった。2011年から昨年3月末までの1巡目の検査結果を基準に、2巡目以降の検査結果と比べ、がんが増えるかどうかをみる。これまで1巡目検査で98人、今年度末まで続く2巡目検査で計6人ががんと診断された。県検討委員会は「チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんになった子どもの被曝(ひばく)線量や年齢といった過去の知見を踏まえると、現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくい」としている。 *6-2-2:http://www.sting-wl.com/fukushima-children6.html (福島原発事故後の日本を生きる 2015年8月31日) 【最新】福島の甲状腺がん急増→子供達の身にいったい何が起きた? 2015年8月31日に公表された最新の福島県民調査報告書によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子供達は、3か月前…前回の126人から11人増えて合計137人になりました。福島県の発表は甲状腺がんを、悪性…悪性とはがんのことですが『悪性ないし悪性の疑い』という言葉を使い、あたかも甲状腺がんでない子ども達もこの中に含まれているように書くことで、焦点をぼかしチェルノブイリ原発事故との比較を困難にしています。しかし137人のうち手術を終えた105人の中で、良性結節だったのはたった1人にすぎず、101人が乳頭癌、3人低分化癌との診断です。つまり『悪性ないし悪性の疑い』のうち99%は、小児甲状腺癌でした。ですので疑いという言葉を過大評価して安心するのは危険です。 *6-3:http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20150828ddlk22040097000c.html (毎日新聞 2015年8月28日) 鹿児島・川内原発:再稼働 抗議の声明発表 静岡県保険医協会 静岡県内で開業している医師、歯科医師2320人で組織する県保険医協会(聞間元・理事長)は27日、九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働に抗議し、エネルギー政策の転換を求める理事会声明を発表した。声明では「九州電力管内でも電力需要は安定しており、電力不足を理由とした再稼働の根拠は崩れている」と指摘。御前崎市の中部電力浜岡原発についても「中部電幹部からは『手続きを進めやすくなる』との歓迎の声が上がっており、なし崩し的に再稼働が進むことを危惧する」と主張した。 PS(2015年9月3日追加):*7のように、労基署は、タイムカードによる出退勤記録を金科玉条の如く重視して労基法違反としているが、タイムカードによる拘束時間が仕事量と比例するのは、流れ作業で組み立てを行い、会社の拘束時間と成果が比例する製造業など一部の産業に限られるため、全業種でタイムカードのみを金科玉条の基準として運用するのは問題がある。例えば、営業は、普段からタイムカードでは集計されない多方面での付き合いで人脈を作っている人は成果が上がりやすく、タイムカード上、長く会社に拘束されていても成果は上がらない。また、組織再編などのコンサルティングも、長時間考えても答えを出せない人もいれば、少し調べれば適切な答えを出せる人もおり、これは記者も同じだろう。つまり、知識の集積、経験の積み重ね、人脈などはタイムカードでは測れず、タイムカード偏重は働き方の問題にも繋がるのである。また、直属の上司の時間管理や指導は、公正な業績評価のみならず、要領を得た働き方を教えるオン・ザ・ジョブ・トレーニングとしても重要だ。 *7:http://qbiz.jp/article/70138/1/ (西日本新聞 2015年9月3日) 福岡大同青果、残業不払い 労基署是正勧告、勤務時間短く算定 市場での卸売業で九州最大の福岡大同青果(福岡市博多区)が、残業代の一部を社員に支払っていなかったことが分かり、福岡中央労働基準監督署が労働基準法違反で是正勧告していたことが分かった。労基署は、タイムカードによる出退勤記録よりも意図的に残業時間を少なくしていたと認定。同社は事実関係を認めた上で「勤務体系を変え、既に改善した」と説明している。同社は、福岡市が開設する中央卸売市場の中核企業。かつては、競り時間に合わせて早朝出勤し、夕方前に退社する勤務体系が主流だった。ただ、ここ10年ほどで特定のスーパーと産地を同社が仲介する「相対取引」が増えるに従い、長時間の過重労働が慢性化。この過程で、残業代の不払いが増えてきたとみられる。労基署は、(1)多くの従業員でタイムカードより少なく勤務時間を算定していた(2)営業担当の部長らに労働時間を管理させていた−ことから、「意図的」と判断した。西日本新聞の取材に、社員の一人は「多いときは月150時間を超える残業があった。だが、上司が経費を抑えるため、残業時間の半分程度しか認められなかった」と証言した。月80時間を超える残業は過労死の恐れが強まるとされる。同社は取材に、一部で残業が100時間を超える過重労働や休日のサービス残業があったことも認めた。同社への是正勧告は昨年12月16日付。これを受け「違法と指摘された点は3月までに改善した」としている。ただ、同社の物流子会社も同様の是正勧告を受けたが、関係者は「改善が遅れている」と明かす。福岡市は今回の件について「青果物の取引と関係ない」として調査しない方針。大同青果に業務認可を出している農林水産省は「再び発生しないように注意を払いたい」としている。同社の売上高は約630億円で、社員数は約180人。来年2月、福岡市東区のアイランドシティ(人工島)で建設中の新市場に移転する予定。 PS(2015年9月4日追加): *8の小水力発電は、農業用水などの小さな流れでもかなりの電力を発電できるため、農業用ハウスの無料のエネルギー源として使うと、安いコストでハウス栽培ができそうだ。この際に、地中熱(一年中、摂氏16度前後)で空気を適温に近くしてからエアコンを使うと、さらに節電できるとのことである。 *8:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/225948 (佐賀新聞 2015年9月4日) 県、小水力発電普及へ助成 事業者を募集 佐賀県が小水力発電の普及を目指している。再生可能エネルギー分野の裾野を広げ、新たな産業につなげる狙いで、技術開発や実証事業に取り組む県内事業者を募集している。小水力発電は河川や水路の水をためることなく、そのまま利用する発電方式。昼夜や年間を通して安定した発電が可能で、太陽光に比べて設備利用率が高い点などが長所とされる。出力は大きくないものの、独立した電源として多目的に使え、売電収入も見込める。募集は県内の民間企業や団体、大学・研究機関などを対象にしている。小水力発電の開発や普及につながる新規事業に対して経費を助成する。補助率は総事業費の2分の1以内で、250万円を上限とする。事業期間は来年3月10日まで。県内16カ所の水力発電のうち、出力が1千キロワット以下の小水力発電は5カ所にとどまる。水利権に加え、落差と流量が見込める設置場所の確保がネックになっているが、新エネルギー課は「唐津や脊振、太良の山あいなどには適した環境がある」とみている。県内に小水力発電メーカーは2社あり、県は2018年度までに4社に増やす目標を新総合計画に掲げている。応募は9月25日まで受け付け、審査で1、2件を採択する。問い合わせは新エネルギー課、電話0952(25)7522。 PS(2015年9月11日追加):原発に余分なコストを払わずにすむ新電力の方が電気料金を安くすることができるため新電力に移行が進むのは自然だが、電力自由化後は、一般家庭もこういう選択ができるようになる。そのため、大手電力会社も電源別に別会社にして、それをアピールする子会社の名称にし、正確にコスト管理を行って電力の価格を決めなければ、顧客が離れるということだ。 *9:http://qbiz.jp/article/70589/1/ (西日本新聞 2015年9月10日) 自治体の大手電力離れ進む 新電力購入額が震災前の1.8倍に 全国の都道府県と政令市、中核市の計112自治体が2014年度、特定規模電気事業者(新電力)から電力を購入した総額は488億円に上り、東日本大震災前の10年度(269億円)と比べ1・8倍に増えたことが、全国市民オンブズマン連絡会議の調査で分かった。大手電力会社から購入する場合と比べた節減額について、連絡会議は17億6千万円と試算とした上で「震災後の電気代の値上げで、自治体の電力へのコスト意識が高まった」と分析している。調査によると新電力から購入した自治体数は68で、10年度と比べ17増加。国が自治体に電力の調達方法を随意契約から一般競争入札に替えるよう促していることも背景にあるとみられる。九州15自治体の購入額は64億円で、震災前の1・6倍に増えた。節減額は5億円。福岡県(14億8千万円)や宮崎県(8億7千万円)の購入額が大きく、両県とも新電力の購入割合が5割を超えた。一方で長崎、大分、宮崎の3市は、新電力からの購入はゼロ。全て九州電力から随意契約で調達していた。購入額に占める新電力の割合は、都道府県と中核市で約1割、政令市で約2割。今後も新電力が伸びる余地は大きい。福岡県は本年度、本庁舎の電力について、大手電力と新電力を組み合わせる「部分供給」という方式を九州7県で初めて導入した。九電1社から購入した場合より、3400万円を節減できたという。来春の電力小売りの全面自由化を前に、福岡県みやま市など、自治体が新電力事業に参入する動きも全国で広がっている。連絡会議事務局の内田隆さん(40)は「自治体の大手電力離れはさらに進むだろう。今後は安価な電力を求めるだけでなく、再生可能エネルギーの比率を高める視点も必要ではないか」と話した。 PS(2015年9月11日追加):スズキは軽自動車を作っているのに自動運転や電気自動車の技術が遅れているため、*10のような提携をすればよいと考える。何故なら、軽自動車を使っているのは女性(特に主婦)が多く、①子どもの送り迎え ②郊外のスーパーへの買い物 ③通勤 などが目的であるため、自動運転に切り替えられる車は便利だし、かつ、安全性への要求、コスト意識、環境意識が高いからだ。つまり、どの企業も、時代をリードできなければ、せめて時代の変化にはついていかなければならない。 *10:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150911&ng=DGKKASDZ10HPY_Q5A910C1TJC000 (日経新聞 2015.9.11) 自動運転車で日本車メーカーと提携交渉、グーグルの研究部門、生産委託など協力仰ぐ 米グーグルの研究開発部門「グーグルX」のトップを務めるアストロ・テラー氏は10日、日本経済新聞の取材に対し、開発中の自動運転車について「日本でも様々な企業と話し合いを続けている」と述べ、複数の日本企業と提携に向けた交渉に入っていることを明らかにした。さらに「自前の工場は持たない」と語り、事業化の段階では生産委託などの形で自動車メーカーの協力を仰ぐ方針を表明した。グーグルは運転手なしで安全に走る自動車を次世代の中核事業のひとつに位置づける。トヨタ自動車の「レクサス」など既存の車両を改造して、米カリフォルニア州のマウンテンビュー市などで公道を使った走行実験に取り組んでおり、関係者の間では「17~20年には実用化しそうだ」との期待が高まっている。テラー氏は自動運転車の最終目標を「事故による死亡者をゼロにし、渋滞の間に失う1年間で1兆ドル相当の経済価値を取り戻すこと」とし、この目標を共有できる提携相手を日本でも探しているとした。さらに「よく誤解されるが、我々がメーカーになって車の販売台数を増やすことが目標ではない」と述べ、既存の自動車メーカーとは競合関係にないことを強調。グーグルはセンサーやソフトウエアなどの開発に専念し、最終的な自動運転車の販売・普及の段階では自動車メーカーと組むとの方針を示し、一部の自動車メーカーが懸念する「グーグル脅威論」を否定した。グーグルは既に自動車部品大手の独ボッシュや韓国LG電子などと提携している。日本企業との関係については「我々はオープン。具体的な社名を明かすことはできないが、部品メーカーと完成車メーカーの双方と話し合いを続けている」と語った。グーグルXが中心となって開発を進め、プライバシー保護の観点から計画が滞っているとされる眼鏡型ウエアラブル端末「グーグルグラス」については「私の部門を『卒業』し他の部門に移った。得られた知見は多くの場面で生かされている」と述べた。 *アストロ・テラー氏:1992年米スタンフォード大卒。98年に米カーネギーメロン大学で人工知能(AI)の研究で博士号取得。投資管理会社などの最高経営責任者(CEO)を経て、2010年からグーグルXの統括責任者である「キャプテン・オブ・ムーンショット」(前代未聞な船の艦長)を務める。AIをテーマに近未来SFを執筆するなど、小説家としての顔も持つ。
| 原発::2015.4~10 | 09:53 PM | comments (x) | trackback (x) |
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