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2015.9.13 フクイチ事故の事実、甚大な被害、そして原発再稼働について (2015年9月14日、15日、16日、21日、27日、10月2日、11月24日、25日に追加あり)
  
              2014.12.13東京新聞           2015.9.5東京新聞

   
1号機と3号機の爆発比較  3号機の爆発  2015.9.11   2015.9.12東京新聞
                    時系列      佐賀新聞
(1)フクイチ事故について
 *1-1のように、今頃になって原子炉内部を画像で確認したというのは誠実さに欠けるが、東電が公表した宇宙線を利用してフクイチの原子炉内を透視した画像では、大きな燃料は確認されず、本来核燃料があった場所に、核燃料は殆ど残っていないことが確かめられた。

 これについて、東電は「燃料の大部分が溶け落ちた」としているが、それはまだ甘い解釈であり、3号機は上の写真のように1号機とは全く別の爆発の仕方をしており、最初にオレンジ色の光が出ているため核爆発だと外国のメディアでは説明しており、このオレンジの光は日本のメディアでは公表されていない。このため、3号機は核爆発して内部の核燃料を外に吹き出し、本来燃料があった場所に核燃料は殆ど残っていないと考えるのが自然で、これは、上の段の左図のように、1、2号機と比べて3号機建屋内の線量が桁違いに低いことからも明らかだ。

 そして、*1-2のように、この原発事故賠償のために、国は東電に税金から上限9兆円(一年間の消費税3.6%分)の支援を行い、その資金の回収を終えるまでに最長30年かかるとする試算を会計検査院がまとめた。私は、資金回収の原資は送電子会社の株式売却によっても得られると思うが、それにしても9兆円は膨大な金額であり、これで賠償が終わるという保証はない。

 また、国際原子力機関(IAEA)は、*1-3のように、フクイチ原発事故を総括する最終報告書を公表し、事故の主な要因は「日本に原発が安全だという思い込みがあり、備えが不十分だった」と指摘した上で、安全基準を定期的に再検討する必要があると提言した。また、「いくつかの自然災害が同時に発生することなど、あらゆる可能性を考慮して安全基準を定期的に再検討する必要がある」とも提言している。

 一方、市民の健康について、IAEAは、*1-3のように、「事故を原因とする影響は確認されていない」とし、原子力学会も、*2-5のように、「除染や帰還をめぐり1ミリシーベルトの壁(目標)ができているのはとてもおかしいことだ」という考えを示している。しかし、どちらも原発の機械の専門家であって病気や健康の専門家ではないため、謙虚になってお手盛りの発言は控えるべきだ。東電フクイチ事故調査委員長を務めた畑村氏は、*2-5のように、「年間追加被曝線量1ミリシーベルト以下を掲げる必要はない」とし、その根拠として、自然放射線による年間被曝線量が国内の平均値で年間1.5ミリシーベルトだとしているが、私が過酷事故の影響を受けていない佐賀県唐津市で測った線量は0.05~0.13マイクロシーベルト/時であり、これは0.438~1.14ミリシーベルト/年(0.05~0.13マイクロシーベルトX 24時間 X 365日/1000)にしかならず、国際基準も1ミリシーベルト以下なのである。

 このような中、*1-5のように、小泉元首相が「原発は環境汚染産業」としているのは当然であり、もはや必要がないのに高リスク・高コストをかけて原発再稼働を行うのは、原子力発電が自己目的化しているからにすぎない。

 なお、*1-4のように、「原発安全神話」の復活に危機感を持ち、原発の元技術者にも「原発を疑え」という人が出ている。川内原発の地元商店主は、原発の再稼働で全国から作業員が大挙して行う定期点検を待ちわびているそうだが、それで街の経済が本物に育っていくわけがなく、原発があることで「危険で不便な街」として住民がますます減り、街は衰退する方向に向かうだろう。そのため、「再稼働を認めない」という地元住民も多いことに注目すべきであり、今が原発から撤退する潮時なのである。

(2)年間20ミリシーベルト以下の地域の避難解除では国民の命を守れない
 *2-1のように、国は、「楢葉町の宅地における空間線量が1時間当たり平均0.3マイクロシーベルト/時(昨年7〜11月)に低下し、年間被曝線量が帰還の目安である年間20ミリシーベルトを下回ることが確実になった」として避難解除を決定した。

 しかし、*2-4の日本弁護士連合会会長声明に書かれているとおり、チェルノブイリ法では、年間5ミリシーベルトを超える地域では避難が義務付けられ、1~5ミリシーベルトでは避難の選択権があり、我が国でもこれまで一般公衆の被曝限度は年間1ミリシーベルト以下とされ、労災認定基準や放射線管理区域の基準は年間5ミリシーベルトとされてきた。これらに比べて、年間20ミリシーベルトという基準はあまりにも高すぎるため、*2-2のように、「復興拠点に」と国が後押ししても、戻った住民は1割で、医者がいないのは当然なのだ。何故なら、住宅地の空間線量が0.3マイクロシーベルト/時(2.6ミリシーベルト/年)にまで下がったとしても、住宅地以外は除染されておらず、水がめの木戸ダムの湖底の土からも放射性物質が検出され、農作物の安全も危ぶまれるからである。

 また、*2-6のように、9月11~12日の豪雨によって除染された土が入っていた袋が240個流出したことについても、袋が劣化してしまう現在まで豪雨で流れるような場所に放っておいたことや国民の多額の税金を使って除染したことの意味を理解しておらず、環境意識が低すぎることに対し、私は怒りを覚えている。そのため、*2-3のように、家族を残して帰還するケースや戻らぬ決断をするのも当然であって、こういう意思決定をした人に不利益が生じることがあってはならない。

(3)川内原発はじめ他の原発の再稼働について
 太陽光発電は、*3-1のように、2012年7月1日に買取制度がスタートして3年以内に、大手電力会社と経産省が買取制限したくなるほど短期間に普及した。このほか、再生エネには、地熱・風力・小水力・潮流・バイオマスなどがあり、そのすべてが自給率100%で輸入代金を支払う必要がなく、CO2をはじめとする排気ガスも排出しないため、再生エネに投資した方が将来の日本経済にプラスであり、当面も、原発より安全な新しい仕事ができる。そして、一般市民は、素直にそれを感じており、*3-2、*3-4、*3-5のように、8月10日、11日に、川内原発再稼働反対の拳があちこちであげられたのだ。

 なお、*3-3に書かれているように、米国のカリフォルニア州サンオノフレ原発3号機で、交換後の蒸気発生器の配管から放射性物質を含む水漏れ事故が起きて廃炉に至った原発は、三菱重工業製で九電川内原発と同じ型だそうだ。

 佐賀県では、*3-7のように、佐賀県商工会議所連合会が佐賀市で総会を開き、「原発停止後の電気料金値上げで過酷な負担を強いられている」として、玄海原発の早期再稼働の要望を採択したとのことだが、自分本位の超短期的視点でものを考えるのはもうやめてもらいたい。また、会員企業による議員大会は開かず総会で決定し、総会には県内8商議所の会頭、副会頭、専務理事26人が出席したそうだが、もし全体の意見を聞いていれば、再生エネや食品関係の事業者も多く、農業者は既に再生エネに取り組んでいるため、このような結論にはならなかっただろう。

 しかし、*3-6の玄海原発停止訴訟は有名な訴訟で、原告数が1万人に迫っている。また、*3-8のように、伊方原発再稼働についても反対が51%となっており、原発再稼働のための屁理屈はもうやめるべきである。

<フクイチ事故>
*1-1:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20150320k0000m040078000c.html (毎日新聞 2015年3月19日) 福島第1原発:「透視」画像公表 大きな燃料確認されず
 東京電力は19日、宇宙線を利用して福島第1原発1号機の原子炉内をエックス線写真のように「透視」した画像を公表した。原子炉圧力容器内の核燃料が収められていた位置に1メートル以上の大きな燃料は確認されなかった。燃料の大部分が溶け落ちたとする東電などの計算結果が裏付けられた。原子炉の内部を、直接画像で確認したのは初めて。今後、格納容器下部にカメラを搭載したロボットを入れ、溶け落ちた燃料の場所などを調べる。調査は、宇宙から降り注ぐ宇宙線が地球の大気に当たって生じる素粒子「ミュー粒子」を利用。ミュー粒子はコンクリートなどは透過するが、核燃料のように密度の高い物質には吸収される。2月12日〜3月10日に撮影した結果、本来燃料があった場所は白っぽく写り、燃料がほとんど残っていないことが確かめられた。今回の調査では1メートル程度の大きさの燃料が検知できるという。

*1-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150323/k10010025401000.html
(NHK 2015年3月23日) 原発事故賠償の9兆円 回収に最長30年
 福島第一原子力発電所の事故の賠償などのため国が東京電力に行っている上限9兆円の支援について、資金の回収を終えるまでに最長で30年かかるとする試算を会計検査院がまとめました。会計検査院は、東京電力や電力各社などが納める負担金などの水準によっては資金の回収が長期化し、国の財政負担が増えることになると指摘しています。福島第一原発の事故を巡り、国は、上限としている9兆円の国債を発行していて、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて東京電力に資金が交付され、住民などへの賠償や除染にかかった費用の支払いなどに充てられることになっています。交付された資金は、東京電力と電力各社などから毎年納められる負担金や、支援機構が保有する東京電力の株式の売却益などによって回収されることになっていて、会計検査院は、今後の見通しを試算しました。それによりますと、東京電力が特別負担金として昨年度分と同じ500億円を毎年納めることを想定した場合、資金の回収が終わるのは、株式の売却益の金額によって、最長で30年後の平成56年度、最短で21年後の平成47年度になるとしています。また、経常利益の半分を毎年納めることを想定した場合でも、資金の回収が終わるのは最短で18年後の平成44年度になるとしています。試算では、国が支援に必要な資金を金融機関から借り入れるために負担する支払利息は、総額890億円余りから最大で1260億円余りに上り、追加の財政負担が必要になるとしています。会計検査院は、負担金や株式の売却益の水準によっては資金の回収が長期化し、支払利息など国の財政負担が増えることになると指摘しています。 資金回収のカギになるのは?国が交付する9兆円の資金の回収を終えるまでにどのぐらいの期間がかかるのか。その鍵を握るのが、東京電力の株式の売却益と、東京電力と電力各社などが納める「負担金」の水準です。会計検査院は、今回の試算で資金の回収に充てられる株式の売却益について、▽3兆5000億円、▽2兆5000億円、▽1兆5000億円の、3つのケースを想定しました。これを1株当たりの平均の売却価格にすると、それぞれ、▽1350円、▽1050円、▽750円となり、株式の価格が高くなるほど資金の回収が終わるまでの期間が短くなるとしています。会計検査院は、株式を高い価格で売却するためには財務状況のさらなる改善や内部留保の蓄積などが必要だが、その取り組みは容易ではないとして、国などに対し、資金の確実な回収と東京電力の企業価値の向上の双方に十分に配慮する必要があると指摘しています。また、資金の回収には、電力会社などが毎年納める「負担金」が充てられ、昨年度分は、「特別負担金」として東京電力が500億円、「一般負担金」として東京電力を含む電力各社などが1630億円を納めました。このうち「一般負担金」は、コストとして電力料金の原価に算入できるもので、電力会社などの収支の状況などを踏まえて、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が定めることになっています。今回の試算では、今後も電力会社などが昨年度分と同じ額の一般負担金を納めることを想定しています。一方、会計検査院は、原発の停止に伴う燃料費の増大などの影響で電力会社の中には複数年にわたって経常収支が赤字になっているところがあるとして、今後も同じ程度の水準の一般負担金を維持できるか注視が必要だとしています。専門家「改めて負担の在り方検討を」東京電力の経営について詳しい立命館大学の大島堅一教授は、「事故処理の対策はまだ入り口で、これから除染で出た廃棄物の最終処分の費用も発生し、今の9兆円の支援ではすまない可能性がある。改めて費用負担や資金の回収の在り方を検討する必要が出てくると思う」と指摘しています。そのうえで大島教授は、「電力各社などが納める一般負担金は電気料金の原価に含まれていて、国民の負担は税金だけでなく電気料金にも及ぶ。費用がいくら発生し誰がどのように負担しているか国民にきちんと開示して、判断を仰ぐことが必要だ」と指摘しています。東電「コストさらに削減」東京電力は「現時点で柏崎刈羽原子力発電所の具体的な運転計画を示すことができる状況にないが、コスト削減のさらなる徹底などにより、事業計画で掲げた目標の達成に向け最大限努力して参りたい」とコメントしています。さらに、廃炉・汚染水対策について「指摘された留意事項を真摯(しんし)に受け止め、対応を検討していきます」とコメントしています。

*1-3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150901/k10010211871000.html
(NHK 2015年9月1日) IAEA最終報告書「原発が安全との思い込み」
 IAEA=国際原子力機関は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を総括する最終報告書を公表し、事故の主な要因として「日本に原発が安全だという思い込みがあり備えが不十分だった」と指摘したうえで、安全基準を定期的に再検討する必要があると提言しました。IAEA=国際原子力機関は31日、福島第一原発の事故について40を超える加盟国からおよそ180人の専門家が参加してまとめた1200ページ以上に上る最終報告書を公表しました。この中でIAEAは、事故の主な要因として「日本に原発は安全だという思い込みがあり、原発の設計や緊急時の備えなどが不十分だった」と指摘しました。そのうえで、いくつかの自然災害が同時に発生することなどあらゆる可能性を考慮する、安全基準に絶えず疑問を提起して定期的に再検討する必要がある、と提言しています。また、市民の健康については、これまでのところ事故を原因とする影響は確認されていないとしたうえで、遅発性の放射線健康影響の潜伏期間は、数十年に及ぶ場合があるものの、報告された被ばく線量が低いため、健康影響の発生率が将来、識別できるほど上昇するとは予測されないとしています。IAEAは、この報告書を今月行われる年次総会に提出して、事故の教訓を各国と共有し、原発の安全性の向上につなげたいとしています。 .「経験から学ぶ姿勢が安全の鍵」今回の報告書について、IAEAの天野事務局長は「世界中の政府や規制当局、関係者が、必要な教訓に基づいて行動を取れるようにするため、何が、なぜ起きたのかについての理解を提供することを目指している」と述べ、その意義を強調しました。そのうえで、事故の甚大な影響を忘れてはならないとし、「福島第一原発の事故につながったいくつかの要因は日本に特有だったわけではない。常に疑問を持ち、経験から学ぶ開かれた姿勢が安全文化への鍵であり、原子力に携わるすべての人にとって必要不可欠だ」と述べ、事故の教訓を原発の安全性の向上につなげてほしいと訴えました。安全の問題に責任と権限が不明確IAEAは、福島第一原発の事故の背景には、原発は安全だという思い込みが日本にあり、重大な事故への備えが十分ではなかったと指摘しています。具体的には、仮にマグニチュード8.3の地震が発生すれば最大で15メートルの津波が到達することが予想されたのに、東京電力などが必要な対応を取らなかったとしているほか、IAEAの基準に基づく十分な安全評価が行われず、非常用のディーゼル発電機の浸水対策などが不十分だったとしています。また、東京電力は、複数の場所で電源や冷却装置が喪失した場合の十分な準備をしていなかったほか、原発の作業員は非常時に備えた適切な訓練を受けておらず、悪化する状況に対応するための機器もなかったと結論づけています。さらに、当時の日本の原子力の安全や規制については、多くの組織が存在していて、安全上の問題に遅滞なく対応するために拘束力のある指示を出す責任と権限がどの組織にあるのか明確ではなかったとしています。そのうえで、当時の規制や指針は国際的な慣行に完全に沿うものではなかったとも指摘しています。これまでのところ健康影響確認されず市民の健康について、IAEAは、これまでのところ、事故を原因とする影響は確認されていないとしています。そのうえで遅発性の放射線健康影響の潜伏期間は、数10年に及ぶ場合があるものの、報告された被ばく線量が低いため、健康影響の発生率が、将来識別できるほど上昇するとは予測されないとしています。そして、甲状腺検査の結果、一部で異常が検知された子どもたちについては、被ばく線量が低いことから、事故と関係づけられる可能性は低く、この年代の子どもたちの自然な発生を示している可能性が高いと分析しています。ただ、事故直後の子どもの被ばく線量については不確かさが残るともしています。一方で、地震や津波などいくつかの要素が関わっているとみられるため、どこまでが原発事故の影響かは判断することは難しいものの、住民の中には、不安感やPTSD=心的外傷後ストレス障害の増加など、心理面での問題があったと指摘しており、その影響を和らげるための対策が求められると強調しています。東電旧経営陣3人強制起訴へ福島第一原子力発電所の事故を巡っては、検察審査会の議決を受けて旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになり、今後、裁判で刑事責任が争われます。政府の事故調査・検証委員会の報告書によりますと、東京電力は事故の3年前に福島第一原発に高さ15.7メートルの津波が押し寄せる可能性があるという試算をまとめましたが、根拠が十分でない仮定の試算で実際にはこうした津波は来ないなどと考え、十分な対策は取られませんでした。こうした東京電力の対応について検察は、これまでの捜査で、「予測を超える巨大な津波で刑事責任は問えない」などとして旧経営陣を不起訴にしました。これに対して検察審査会はことし7月に出した議決の中で、自然現象を確実に予測するのはそもそも不可能で、原発を扱う事業者としては災害の可能性が一定程度あれば対策を取るべきだったと指摘しています。さらに議決では、当時の東京電力の姿勢について、「安全対策よりも経済合理性を優先させ、何ら効果的な対策を講じようとはしなかった」と批判しています。この検察審査会の議決によって東京電力の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人が、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されることになり、今後、裁判で刑事責任が争われます。

*1-4:http://qbiz.jp/article/70677/1/ (西日本新聞 2015年9月11日) 元技術者「原発疑え」、”安全神話”復活に危機感 川内1号機営業運転
 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働から11日で1カ月を迎える。フル稼働への過程でトラブルが発覚した復水器を建設当時、技術者として取り付けた市内の山下勝次さん(73)は今、やりきれない思いを抱く。福島原発事故で崩れ去ったはずの“安全神話”が復活しつつあるからだ。「原発に絶対の安全はない」。そう訴え続けることが自分に課せられた使命だと信じる。再稼働後の8月28日、山下さんは薩摩川内市役所にいた。「九電はなぜ、チェックしなかったんだ。安全意識がお粗末だ」。再稼働直後、蒸気を水に戻す復水器の配管に穴が開くトラブルが発生。反対派住民の先頭に立ち、荒い口調で市職員に詰め寄った。復水器は自ら設置したものだった。プラントメーカーに勤務していた1982年。現場責任者として技術者80人を束ね、1、2号機に計6基を据え付けた。機器の組み立てで許される誤差はマイクロ単位、溶接作業は微小の傷でも元請け担当者からやり直しを命じられた。考え得る最高水準の技術を集め「当時としては完璧な仕事だった」と振り返る。もともと原発推進派。上司に駆り出され、九電営業所前で反対派のデモ隊と何度もにらみ合いになり「ろうそくで暮らす気か」と決まり文句を浴びせた。退職後、福島事故が発生。安全神話を信じ切っていた自分に罪悪感を抱き、原発反対派の集会に足を運ぶようになる。すると、政府が「世界最高水準」と強調する新規制基準の下、川内原発は再び動きだした。再稼働後、原発の報道はめっきり減った。街頭での反対運動に足を止める人もわずか。中年男性からは「いまさら何言ってんだ」となじられた。動きだしたからしょうがない−。そんな空気が漂うが、街に活気が戻ったわけでもない。全国から作業員が大挙する定期点検は13カ月後。商店主らはじっと待ちわびる。落ち着きだけを取り戻した街で、山下さんは街頭に立ち、元技術者、元原発推進派の立場で訴え続ける。「皆さん、原発を疑って」
◆「再稼働認めない」住民らが抗議集会
 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が営業運転を始めた10日、県内の反原発団体が発電所ゲート前で集会を開いた。参加した住民ら約40人は「国民も県民も再稼働を認めていない」などと抗議の声を上げた。警備員らが警戒する中、参加者は次々にマイクを握った。川内原発建設反対連絡協議会会長の鳥原良子さん(66)は「原発は街の活性化に何の足しにもならない。住民無視の再稼働だ」と批判し、「推進派は『安全だ』と言うが、住民は信じていない」と訴えた。来月にも初孫が生まれるという市内の自営業、川畑清明さん(59)は「危険があるこの街に住まわせるべきか迷っている」と明かし、「黙っていれば、原発を認めたことにされる。『嫌なものは嫌だ』と声を上げ続ける」と語った。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/ASH9C5QFQH9CUTFK00V.html
(朝日新聞 2015年9月12日) 「原発は環境汚染産業」 小泉元首相、再稼働を批判
 小泉純一郎元首相(73)が朝日新聞の単独インタビューに応じ、川内原発1号機が営業運転を再開するなど原発再稼働の動きが進んでいることについて、「間違っている。日本は直ちに原発ゼロでやっていける」と語った。政府や電力会社が説明する原発の安全性や発電コストの安さに関して「全部うそ。福島の状況を見ても明らか。原発は環境汚染産業だ」と痛烈に批判した。小泉氏は首相在任中は原発を推進してきたが、東京電力福島第一原発の事故後、原発の危険性を訴え講演活動を続けている。小泉氏が報道機関のインタビューに応じるのは、2006年9月の首相退任以来初めて。インタビューは原発問題をテーマに9日、東京都内で行った。小泉氏は、07年の新潟県中越沖地震や11年の東日本大震災など、近年、日本で大きな地震が頻発していることから「原発は安全ではなく、対策を講じようとすればさらに莫大(ばくだい)な金がかかる」と主張。原発が温暖化対策になるという政府の説明についても、「(火力発電で発生する)CO2(二酸化炭素)より危険な『核のゴミ』(高レベル放射性廃棄物)を生み出しているのは明らかで、全然クリーンじゃない」と語った。原発再稼働を推し進める安倍政権に対しては「原発推進論者の意向に影響を受けている。残念だ」と批判。今年3月、首相経験者による会合の席で安倍晋三首相に「原発ゼロは首相の決断一つでできる。こんないいチャンスはないじゃないか」と直接迫ったことも明らかにした。米国と原発推進で歩調を合わせていることには「日本が『原発ゼロでいく』と決めれば、米国は必ず認める。同盟国であり、民主主義の国だから」と述べた。原発ゼロを掲げる政治勢力を結集するための政界復帰は「まったくない」と否定。ただ、原発政策が選挙の争点にならない現状について「争点になる時は必ずくる。その時に候補者自身がどう判断するかだ」と強調し、原発ゼロの国づくりをめざす国民運動を「焦ることなく、あきらめずに続けていく。そういう価値のある運動だ」と決意を示した。

<避難解除は妥当か>
*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20150905k0000m040138000c.html?fm=mnm
(毎日新聞 2015年9月5日) 楢葉町:全域避難を解除…すぐに帰還1割未満、再生険しく
 政府の原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)は5日午前0時、東京電力福島第1原発事故で全域避難となった福島県楢葉町の避難指示を解除した。解除は田村市都路地区と川内村東部に続き3例目で、全域避難した県内7町村では初めて。国は今後、楢葉町を拠点に沿岸部に広がる避難指示区域の除染やインフラ整備を進める。一方、放射線への不安や病院などの生活基盤の不備などから、すぐに帰還する住民は約7300人のうち1割に満たないとみられ、町再生への道のりは険しい。
◇財源確保が課題
 国は2017年3月までに放射線量の特に高い「帰還困難区域」を除き、県内の避難指示を解除する方針だ。3段階ある避難指示区域の中で最も放射線量が低い「避難指示解除準備区域」(年間積算放射線量20ミリシーベルト以下)の楢葉町を「復興の拠点」と位置づけ12年9月から除染に着手。道路などの整備も14年度中にほぼ完了した。国によると、楢葉町では宅地の空間線量が1時間当たり平均0.3マイクロシーベルト(昨年7〜11月)に低下。国は「年間被ばく量が帰還の目安の20ミリシーベルトを下回ることが確実になった」として、町や住民らとの協議を経て、解除を決定した。医療や買い物への不安を緩和するため、病院への無料送迎バスの運行や町内のスーパーによる宅配サービスも始まる。町内には福島第1原発の収束作業や除染を請け負う大手ゼネコンの作業員の宿舎が急増。しかし、住民の転出が相次ぎ、町の人口は事故前の8100人前後から約1割減少した。町の税収も減り、震災前に6割を超えていた自主財源率も3割程度と低迷が続く。一方、復興関連事業費は膨らみ、今年度の当初予算は10年度の5倍となる過去最高の200億円を突破。復興の財源確保は解除後の大きな課題だ。復興庁が昨年10月実施した帰還意向調査(回収率55.6%)では、「すぐに戻る」「条件が整えば戻る」と答えた町民は46%で、うち帰還時期を避難指示解除から「1年以内」と答えた人は37%だった。しかし、今年4月に始まった「準備宿泊」に登録した町民は約780人にとどまった。17年4月に同県いわき市の仮設校から町に戻る町立小中学校に「通学する」とした児童生徒数も、町のアンケート調査で就学対象者の7%しかない。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH955JN3H95UTIL00Z.html
(朝日新聞 2015年9月6日) 避難解除、戻った住民1割 楢葉「医者いない、店ない」
 東京電力福島第一原発事故で福島県楢葉(ならは)町に出ていた避難指示が5日、解除された。全自治体規模で解除されるのは初めて。戻ってきたのは、住民7400人のうち1割にも満たない。事故から4年半がたち、町は廃炉の前線基地へと変わった。いまだ避難指示が出ている福島県内9市町村の7万人余りは帰還できるか。政府が試金石とする町の復興は始まったばかりだ。5日、町内で開かれた復興祈念式典には政府関係者がずらりと並んだ。町の未来図を示したパネルが披露された。仮設校舎で学ぶ子どもたちは植樹したエノキを「きぼうの木」と命名。町は祝賀ムードに包まれた。昨年7~11月の調査では住宅地の空間線量の平均が毎時0・3マイクロシーベルトにまで下がり、政府は「帰還して居住することは可能」と説明する。だが、町の水がめの木戸ダムの湖底の土から放射性物質が検出され、飲料水の安全を心配する住民は少なくない。町の姿は事故前とは大きく変わった。空き家状態だった多くの民家が荒れた。事故で原則立ち入りが禁じられる警戒区域に指定されたが、2012年8月から日中の立ち入り、今年4月からは宿泊もできるようになった。だが、住宅の解体や修理を担う業者が足りず、再建が進んでない。このため、町に戻った住民は一部にとどまる。自宅に戻る準備をするための宿泊制度に登録していたのは351世帯780人程度。実際に戻った人はさらに少なく全体の1割に届かない。「医者もいないし、店もない」。町に戻った志賀良久さん(77)は生活の不便さを訴える。町内にあった内科医院は10月に再開され、県立診療所も来年2月に開院する。だが、住民が通院していた近隣自治体の医療機関は避難指示が出ており、閉鎖されたままだ。町内で食料品を買えるのは仮設商店街にあるスーパーとコンビニ店のみ。町商工会によると、事故前に59店舗あった会員の小売店や飲食店のうち、先月20日までに町内で営業を再開したのは14店舗にとどまる。4年半に及ぶ避難生活で、避難先で職をみつけ、学校に通うなどして、現役世代や子どもたちを中心に避難先で定住することを決めた人も多い。いわき市の仮設住宅に住む無職男性(61)は市内に中古の一戸建てを買った。「楢葉町は治安と飲み水が心配だ」と話す。
■「復興拠点に」国は後押し
 政府は、避難指示が出た区域の中では放射線量が比較的低い楢葉町を「復興の拠点」と位置づける。そのため、除染や道路、医療機関などを整備して町の復興を後押ししてきた。政府にとって今回の解除は、帰還政策がうまくいくかを占う試金石となる。除染などが進み、楢葉町は廃炉作業の前線基地となりつつある。関連産業に伴う新たな雇用を作り出し、元の住民が戻る環境を整えようとしている。町の工業団地には、廃炉技術を研究する原発の大型模型(モックアップ)が建設中だ。日本原子力研究開発機構が運営し、研究者ら60人が勤める予定。滞在を当て込み、17年秋には町で初めてビジネスホテルが進出する。東電の関連企業の社員の宿舎も建つ。災害公営住宅などを建てる「コンパクトタウン」には、ホームセンターや食料品店が入る商業施設をつくる計画もある。しかし、どれだけの雇用が生まれ、町にどれだけの人が戻ってくるのかは未知数だ。福島県内ではなお9市町村の7万人余りが戻れず、6町村は自治体丸ごと避難指示が出ている。政府はこのうち、放射線量が一定量以下に下がった地域は「17年3月までに帰れるようにする」ことを掲げる。来春には南相馬市や川俣町、葛尾村でも避難指示を解除したい考えだ。福島第一原発のある大熊、双葉両町の大部分など放射線量の高い帰還困難区域(人口約2万4千人)は解除のめどが立たない。両町にまたがる16平方キロは、福島県内の放射能に汚染された土を30年間保管する、中間貯蔵施設となる予定だ。双葉町幹部は「5年後も状況は何も改善していないかもしれない」と話す。

*2-3:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150906-00000008-asahi-soci
(朝日新聞 2015年9月6日) 家族残し帰還・自宅荒れ戻らぬ決断… 楢葉避難解除
 東京電力福島第一原発事故で福島県楢葉町に出ていた避難指示が5日、解除された。故郷に戻った人、戻るか迷っている人、戻らないと決めた人。それぞれに4年半の歳月が重くのしかかる。
■「子どもたち、避難先になじんだ」
 避難指示が解除された、5日午前0時。大楽院第43代住職・酒主秀寛(さかぬししゅうかん)さん(44)は町の復興を願い、火柱の前で経を唱えた。「寺に住む者は、人びとに寄り添うべき人間。一つの区切りの日。今日から寺に戻ります」。2011年3月11日は酒主さんにとって特別な日だった。真言宗豊山派本部から住職に任命され、住職を50年務めた父の明寛(みょうかん)さん(78)から寺の仕事の大半を引き継ぐつもりだった。避難指示が出た後、一家6人で避難した。町職員でもある秀寛さんは、同県会津若松市の借り上げアパートに一時避難して被災者支援にあたった。その後、妻千咲さん(39)、長女真由さん(11)と長男大誉(ほまれ)君(7)の避難する茨城県北茨城市に移った。明寛さん夫妻は群馬県を経て、福島県いわき市に避難した。今回、楢葉町に戻ったのは秀寛さん1人だけ。子どもたちを戻らせるか決めかねている。町は17年春に小中学校が再開する。だが、大誉君に町の記憶はほとんどない。秀寛さんは「家族一緒に住みたい気持ちはある。だが、子どもたちは向こうの暮らしになじんでいる。学校再開までに、家族みんなで帰るかどうかを考えたい」と話す。檀家(だんか)には生活の不便さや放射線への不安から楢葉町に戻れない人も多い。楢葉町民の8割が避難するいわき市に設けた「別院」は当面、維持するという。
■「農業も無理、知り合いもいない」
 事故でまちは大きく変わった。沿岸部は津波で倒壊した住宅が今なお残る。田畑だった一帯には、汚染土を詰めた黒い袋が並ぶ。事故後、町内には原発の廃炉や除染作業に携わる業者の事務所や宿泊施設などが建つようになった。作業員が千人以上暮らし、元からの住民の数を上回る。昼時になると仮設商店街はトラックやワゴン車が駐車場に並び、作業服姿の男性たちでにぎわう。町に戻った元の住民も少なく、夜は暗くひっそりとしている。地域の結びつきも切れたままだ。いわき市の仮設住宅で暮らす石沢輝之さん(75)は「帰りたいけど帰れない。町が暗くて、とても妻を一人で歩かせられない」と話す。5日夕、楢葉町から名古屋市緑区の公営住宅に避難している松本頌子(のぶこ)さん(79)は、避難指示解除を伝えるニュースを見つめた。「もう帰れねえ。今さら解除って言われてもな。悔しい。悔しいけどね」。愛知県に住む長女(52)を頼って名古屋市にきた。当初、夫の義治さん(80)と「1年ぐらいで帰れっぺ」と励ましあった避難生活は、4年半になる。楢葉町の自宅はかびが生え、ネズミに荒らされ、生い茂った草木は背丈を超えていた。家財の処分や片付けのために一時帰宅した長女らから、荒れていく様を聞いた。今春、「直すには1千万円かかる」と言われ、頌子さんは覚悟を決めた。「私はもう名古屋にいるわ」。「おれは1人でも帰っからな」。それでも義治さんは言い続けていた。8月上旬、片付けの仕上げのつもりで一家で帰った。腰の痛みをおし、避難後初めて自宅に戻った義治さんは、涙をこらえきれなかった。隣は家を壊し始め、向かいも壊すと決めていた。一家5人で暮らしていた裏手は、80代のおばあちゃんだけが戻るという。近所の知り合いで、ふるさとに戻るのは1人だけだった。「帰りたい。でも百姓もできない、知り合いもいないでは、生きていかれねえ。あの家を見て、遠くなっちゃった気がした」と義治さん。自宅を取り壊すかどうかは、まだ決められずにいる。「ご先祖様には怒られっぺな」。少なくとも代々の墓だけは、楢葉町に残して欲しい。子どもたちには、そう頼んだ。

*2-4:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140131.html (日本弁護士連合会会長 山岸憲司 2014年1月31日) 避難住民の帰還に当たっての線量基準に関する会長声明  
 原子力規制委員会は、昨年11月20日、「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方(線量水準に応じた防護措置の具体化のために)」と題する報告書を取りまとめ、その後、政府の原子力災害対策本部は、12月20日に「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」と題する指針を決定した。原子力規制委員会の報告書は、避難指示区域への住民の帰還に当たっての年間の被ばく線量について、20ミリシーベルト以下を必須条件とし、長期的な目標として、個人の追加被ばく線量が1ミリシーベルト以下になるよう目指すこと、また、被ばく線量については、「空間線量率から推定される被ばく線量」ではなく、個人線量計等を用いて直接実測された個々人の被ばく線量による評価をすることを提案しており、政府の指針もこれを踏まえて作成されている。しかしながら、低線量被ばくの危険性については、疫学的に有意差があるとの報告もあり、専門家の間でも意見が分かれている。特に子どもたちは放射線感受性が高いことが知られており、予防原則に基づく対策が求められている。いわゆるチェルノブイリ法では、年間5ミリシーベルトを超える地域では避難を義務付けられ、1~5ミリシーベルトでは避難の選択ができるとされている。 我が国でも、一般公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルトとされており、労災認定基準や放射線管理区域の基準は年間5ミリシーベルトとされてきている。これらに比して、年間20ミリシーベルトという基準は、たとえ必須条件にすぎないとしても、高きにすぎるといわざるを得ない。国際放射線防護委員会(ICRP)の「長期汚染地域住民の防護に関する委員会勧告」は、汚染地域内に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは1~20ミリシーベルトの範囲の下方部分から選定すべきであり、過去の経験により、その代表的な値は実効線量が年間1ミリシーベルトであることが示されているとした上で、防護措置の策定及び実施には住民が関わるべきであると勧告している。このような勧告に照らしても、年間20ミリシーベルトという基準は、国際的水準を逸脱するもので、到底容認できるものではない。確かに、福島県県民健康管理調査が継続されてはいるが、その結果について様々な評価がされているところであり、住民が適切に自己決定できるように、調査方法・内容をより充実させ、住民に対して正確かつ詳細な情報を提供することが必要といえる。また、被ばく線量の評価方法について、空間線量による推計ではなく、個人線量計による実測値による評価へと変更することについても、これによって住民の自己管理が可能になるとの側面はあるが、他方で、個人線量計の不適切な使用等による測定誤差は避けられないこと、個人線量計では全ての放射線量を計測することはできないこと等を勘案すれば、むしろ過少評価となるおそれも否定できない。また、屋外活動時間を避けられない等の事情がある個人にとっては、被ばく量が自己責任であるとされるおそれもある。できる限り安全側に立った評価を行うためには、空間線量による推計値を基本とすべきであり、個人線量計の実測値はそれを補完するものと位置付けるべきである。当連合会は、昨年10月4日に「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議」を採択し、国に対して、予防原則に基づき、避難指示解除は年間1ミリシーベルト以下であることが確認された地域から行うべきであること、年間5ミリシーベルトを超える地域については、十分な補償・避難先での生活保障を前提に、避難指示を出すこと等を要請した。残念ながら、今回の報告書及び指針は、到底当連合会の要請に応えるものではない。よって、当連合会は、国に対し、予防原則に立った以下の措置を求める。
(1) 避難指示解除の線量基準については、地域住民の参加の下で十分に時間をかけて住民の合意に基づき決定されるべきで、拙速な決定はなすべきではないこと。
(2) 避難指示解除は、年間1ミリシーベルト以下であることが確認された地域から行うべきであり、年間5ミリシーベルトを超える地域については解除すべきでないこと。
(3) 帰還するか、避難を継続するか、避難先で生活再建するか、いずれの選択をしても、住民が健康で安定した生活を送れるように十分な配慮・支援を行うこと。
(4) 被ばく線量の評価は、安全側に立った空間線量による推計値を基本とし、さらに住民の自己管理に資するように個人線量計による実測値を補完的に用いること。

*2-5:http://www.minyu-net.com/news/news/0910/news7.html
(福島民友ニュース 2015年9月10日) 「1ミリシーベルトの壁」疑問視 原子力学会「秋の大会」
 日本原子力学会の本年度「秋の大会」は9日、静岡市の静岡大で始まった。11日まで。初日の分科会では東京電力福島第1原発事故で政府の事故調査委員長を務めた畑村洋太郎東大名誉教授が講演し、本県での事故後の取り組みについて「除染や帰還をめぐり1ミリシーベルトの壁(目標)ができているのはとてもおかしいことだ」との考えを示した。政府は除染の長期的な目標として「年間追加被ばく線量1ミリシーベルト以下」を掲げている。畑村氏は、自然放射線による被ばく量が国内の平均値で年間1.5ミリシーベルトあることを示す資料を提示。原発事故の避難でストレスを抱えた人などがいることを踏まえ「人間を取り囲むさまざまな健康阻害要因がある中で、放射線のリスクだけを取り上げ1ミリシーベルトの壁をつくったのはいけないことだった」と語った。畑村氏はまた、今後の原子力分野について「事故はこれからも必ず起こると考える必要がある。原子力ムラのような閉鎖的体制ではいけない。他の分野の失敗経験からも学んでほしい」と呼び掛けた。

*2-6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015091201001793.html
(東京新聞 2015年9月12日) 豪雨による除染袋流出240個に 一部は破損、中身空に
 東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染廃棄物を入れた大型の袋が豪雨で福島県飯舘村の河川に流出した問題で、環境省は12日、流出が計240袋になったと発表した。このうち113袋を回収したが、一部の袋は破れて中身が空になっていたという。環境省は残りの袋の回収を急ぐとともに、回収した袋の状態や周辺環境への影響がないか確認を急ぐ。道路の通行止めなどで調査ができていない場所もあり、今後流出数が増える可能性がある。12日午後9時半現在の調査結果を集計した。240袋のうち238袋は飯舘村で、2袋は保管場所から約20キロ下流の南相馬市原町区で見つかった。

<川内原発はじめ原発の再稼働>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11960658.html (朝日新聞 2015年9月12日) 太陽光、管理強化へ始動 再生エネ有識者、初会合 登録制や急増対策を議論
 経済産業省は11日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を抜本的に見直す検討を始めた。急増する太陽光発電への国の管理を強めるため、設備の登録制や買い取り急増時の歯止め策などを検討する。普及が遅い地熱や風力などは規制緩和で後押しする。普及拡大と国民負担の抑制の両立が課題となる。FITは、電気料金に再生エネの買い取り費用を上乗せし、電力会社が再生エネを高値で買い取るしくみ。割高な再生エネの普及を加速させる狙いで2012年に始まった。FITの見直しに向けて同省が11日開いた有識者会議の初会合では、有識者らから「(見直しの)タイミングが遅すぎた」などと批判が相次いだ。太陽光に導入が偏りすぎたためだ。買い取り価格が割高で、参入障壁も低い太陽光に認定容量の約9割が集中。太陽光は30年度の電源構成で6400万キロワットを想定しているのに、今年3月末の認定容量で、すでに想定を3割上回る約8千万キロワットに急増した。買い取り費用は電気代に賦課金として上乗せされ、利用者全体で負担している。標準的な家庭が負担する賦課金は12年度の月66円から15年度は月474円と7倍に。太陽光の買い取り費用の総額は、30年度に見込む2・4兆円の8割近い1・8兆円に15年度で達する見込みだ。経産省は「太陽光の導入ペースが速すぎる」と判断。30年度の電源構成に沿ったペースに抑えるよう国の管理を強めるしくみを導入したい考えだ。年間の認定量に上限を設ける案などを検討する。認定済みの設備についても選別を強める。実際に発電を始めているのは容量ベースで2割程度にとどまるためだ。買い取り価格が高いうちに認定を受け、設置費用が下がるまで発電をしない「空押さえ」が数十万件に上るとみられ、発電コストの低い後発の事業者が参入しづらくなっていた。このため経産省は、要件を満たせば認定するいまの制度を改め、電力会社との接続契約を条件とする「登録制」を導入する方向。発電開始を義務づける対象設備を、いまの400キロワット以上から大幅に広げることも検討する。年内に見直し案をまとめ、来年の通常国会で法整備を目指す。ただ、太陽光は今夏、電力需要が最も多かった日の日差しが強まる時間帯に電気の約1割を担うなど、ピーク時に頼りになる電源になりつつある。規制を強め過ぎると、普及に急ブレーキがかかるおそれもある。
■地熱・風力は普及テコ入れ
 一方、地熱や風力、バイオマスなど太陽光以外の再生エネについては普及のてこ入れ策を検討する。
 30年度の電源構成を実現するには、設備容量をそれぞれいまの3倍に増やす必要があるが、FIT開始前から3年間の増加率は4・4%にとどまる。着工に必要な環境評価に数年かかり、温泉事業者や漁協など地元関係者の同意を得る必要があることが普及の壁になっている。経産省は今後、環境評価の期間を短くするしくみや、国立公園で地熱発電をしやすくする規制緩和などを検討する。

*3-2:http://qbiz.jp/article/68677/1/
(西日本新聞 2015年8月11日) 「再稼働ノー」怒りの拳 薩摩川内市
 「福島を忘れたのか」−。全国の原発の先頭を切って九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働した11日、発電所ゲート前では反原発団体のメンバーらが抗議の声を張り上げた。一方、地元の市民からは地域経済を潤してきた原発が動きだすことに期待の声も上がった。ゲート前では約200人の警察官が警戒に当たる物々しい雰囲気の中、早朝から約100人の反対派が座り込んだり、テントを張ったりして「再稼働ノー」の声を上げた。制御棒を抜いた午前10時半の5分前から参加者たちは原子炉建屋に向かい、拳を突き上げた。市民団体メンバーの野呂正和さん(64)はジョン・レノンのイマジンを歌い「原発事故の恐ろしさを想像しよう」と呼び掛けた。集会には、菅直人元首相やルポライターの鎌田慧さんも駆け付けた。菅氏は「原発がないと電気が足りないというのは大うそ。原発事故への備えは全くできていない」と政府を批判した。鹿児島市の徳満正守さん(64)は「事故が起きても誰も責任をとらない。核廃棄物の処分場も決まっていない」と指摘。福岡市から来た大学4年の熊川果穂さん(21)=鹿児島県姶良市出身=は「1パーセントでも事故が起こる可能性があるなら原発は動かすべきじゃない」と訴えた。参加者の一部は午前6時から車5台をゲート前に止めて封鎖。警官から移動を求められても応じず、4時間後に封鎖を解いた。反対派の男性が持つ工具をめぐり、警官隊ともみ合う場面もあり、緊張が走った。川内原発から東へ十数キロ。薩摩川内市の中心街にいた専門学生の女性(19)は「生活に電気は必要。九電と国が安全と言うなら事故はないはずだ」と話した。スーパーで買い物をしていた建設作業員、瀬戸口豊隆さん(58)は「電気が足りているなら再稼働しないでほしいが…」とうつむきながら言う。昨年夏は3カ月間、川内原発で作業員として働いた。「ほかの現場より賃金は高い。原発で経済が回っている街だから、再稼働はしょうがない」
●「なぜ月命日に…」 福島事故の避難者、憤り
 鹿児島県の川内原発1号機の再稼働について、東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされている福島県の住民からは「同じ苦しみを味わってほしくない」「福島の深刻さを分かっていない」と事故再発を懸念する声が相次ぐ一方、原発で生計を立てる住民に理解を示す声も聞かれた。「再稼働という事実だけでも胸が痛むのに、なぜあえて(震災の月命日の)11日を選んだのか。怒りや悲しみ、失望の感情が渦巻いている」と話すのは、同県浪江町から避難し福島市で暮らす主婦金井春子さん(66)。病気がちの夫を支えながらの避難生活は4年以上が経過したが、終わりは見えない。「心身ともに限界。他の人には同じ苦しみを味わってほしくない」と訴えた。原発事故で電気工事の仕事を休業に追い込まれ、同県二本松市の仮設住宅で生活する岩倉文雄さん(67)も、第1原発事故の検証が終わる前の再稼働に「福島で起きたことの深刻さを考えていないのでは」と疑問を呈した。一方で「原発のおかげで地域経済が支えられてきたのは事実。再稼働してほしいという(立地自治体周辺の)人の気持ちも分かる」と話すのは、同県いわき市で避難生活を送る原発作業員の男性(28)だ。事故がまた起きて故郷を追われる人々が出るのは心配だが、原発をきっぱりと否定することもできない。男性は「生活を支えてもらった恩がある。俺は原発に生かされてきたから」と複雑な胸中を明かした。

*3-3:http://dot.asahi.com/wa/2015090900135.html?page=1 (朝日新聞 2015.9.9) 再稼働 川内原発の“大事故”が危ぶまれる本当の理由
 発端は、2012年1月。カリフォルニア州サンオノフレ原発3号機で、交換後の蒸気発生器の配管から放射性物質を含む水漏れ事故が起きたことだった。蒸気発生器とは加圧水型原子炉に備わる装置で、タービンを回して発電するための蒸気を作り出す重要なもの。それが新品に交換した後に故障したのだ。同原発を運営する南カリフォルニア・エジソン社は、装置内に張り巡らされた伝熱細管と呼ばれる管が異常摩耗していたことが原因だったと断定。定期点検中の2号機にも同様の摩耗が見つかった。米国でこの問題を取材していたジャーナリストの堀潤氏が解説する。「米原子力規制委員会(NRC)の調査では、問題となった三菱重工業製の蒸気発生器の1万5千カ所以上に異常な摩耗が見つかったと報告されました。しかもNRCによると、三菱重工は製造した蒸気発生器に欠陥部分があることを設置前に認知していて、それを認めた報告書を12年9月にNRC側に提出していたと言います」。そのとおりなら、三菱重工は欠陥品を売ったことになる。事態を重く見たNRCは、原因究明と安全確保がなされるまで再稼働を禁止。12年10月には、神戸にある三菱重工の事業所に抜き打ち検査を行った。「そのときNRCは、蒸気発生器の欠陥部品を改良した配管に対する安全検査の方法が、連邦法などが定める基準に沿っていないことを見つけたのです。具体的な問題点は、[1]住友金属工業(現・新日鉄住金)から購入したモックアップ用配管が検査要求を満たす仕様になっていたか確認しなかった[2]東京測器研究所による市販の測定サービスの精度が基準を満たすか確認していなかったことなどです」(堀氏)。 つまり、三菱重工側の品質保証が、NRCや顧客の求める基準を満たしていなかったということになる。トラブルを起こした蒸気発生器は「経済性重視」のため、設計上の無理があったとの指摘もある。原子炉停止に追い込まれたエジソン社は早期再稼働を目指すが、周辺住民が反発。NRCも安全性が確保できないとして再稼働許可を与えず、13年6月にサンオノフレ原発は廃炉の選択を余儀なくされる。その後、責任を巡ってエジソン社と三菱重工の泥仕合が始まる。エジソン社は検査や補修にかかった費用1億ドル(約97億円)を三菱側に請求したが、折り合いがつかず13年に国際仲裁裁判所(国際商業会議所)へ仲裁を申請。そして今年7月、「欠陥のある蒸気発生器を設計、製造した三菱重工には甚大な被害の責任がある」として75.7億ドル(約9300億円)を請求したのだ。問題は三菱重工製の蒸気発生器が、再稼働した川内原発の加圧水型の原子炉(同社製)にも採用されていることだ。三菱重工によると、同社がいままで納めた蒸気発生器は122基。「サンオノフレ原発と同一仕様の蒸気発生器は他の原発に納入されていない」という。だが、トラブルを起こすリスクはあると指摘するのは、川内原発再稼働の異議申し立てを原子力規制委員会に行った山崎久隆氏だ。「九州電力が公表した資料によると、7年前に交換した川内原発1号機の蒸気発生器にはすでに35本の配管(伝熱細管)に穴が開きかけて施栓をしています。これが30年間使い続けている2号機の装置になると、栓をした本数は400カ所を超える。加えて古いタイプの装置は改良型に比べて配管に応力が集中しやすく、大きな地震が来たら耐えられない危険さえあるのです」。蒸気発生器は、熱交換効率を上げるために配管の厚みがわずか1.1ミリから1.3ミリほどしかない。常に加圧された熱水が管の中を流れているため、時間の経過によって摩耗し、穴が開くリスクも高まる。「常時どこかに穴が開いていて、定期点検で塞ぐ」(原発エンジニア)といわれるほどだ。摩耗した配管が裂けて高圧水が漏れだすと、重大事故につながりかねない。原発の危険性を訴え続ける作家の広瀬隆氏も「加圧水型の原子炉は高い気圧をかけた水を蒸気発生器に送るため、配管破断のリスクがある」と話す。「摩耗したどこかの配管が破れて水が噴き出すと鉄砲玉のように隣の配管を壊し、連鎖反応で一気に破壊される。1987年にイギリスの高速増殖炉で起きた事故では、10秒未満で40本の配管が連鎖破断しました。91年に起きた美浜原発2号機の事故は、蒸気発生器から噴き出した高圧水で配管がスパッと切れたギロチン破断だったのです」。蒸気発生器の配管が破損すると、1次冷却水が圧力の低い2次側へ急速に漏出する。つまり原子炉の冷却水が失われ、メルトダウンにつながる危険性をはらんでいる。事実、美浜原発の事故では20トン以上の冷却水が漏れ、炉が空焚き状態になりかけたと言われた。このように蒸気発生器のトラブルは深刻な事故につながるため、慎重な安全対策が必要。だが高価で大がかりな装置の上、取り換えにも時間を要するため、補修費用がかさむか、施栓が増えて定格出力ダウンにでもならない限り交換はしない。全部で1万本程度ある配管の18%程度が施栓で使えなくなると交換時期ともいわれる。その一方、再稼働を急ぐあまりか、耳を疑うような出来事もある。九電は400カ所以上に栓をした川内原発2号機の古い蒸気発生器を交換するため、新品を準備済み。だが、変えずに再稼働するという。九電はこう主張する。「信頼性向上の観点から14年度の取り換えを計画していたが、新規制基準適合への作業などがあり、ひとまず交換せずに再稼働を目指すことにした。現行の蒸気発生器は非破壊検査をして健全性を確認している」。だが、前出の山崎氏は「新しいものを発注したのは、九電が交換する必要があると判断したから。これでは安全軽視以外の何物でもありません」と批判する。川内原発1号機では再稼働直後の8月下旬、蒸気を海水で冷やして水に戻す復水器が海水混入事故を起こした。九電は混入の原因となった管など69本に施栓したが、同様の事故は今回が初めてではない。97年と99年にも玄海原発で同じ事故が起きていたのだ。広瀬氏が言う。「日本の原発は海岸線にあり、ただでさえ塩分で腐食しやすい。それが再稼働で高温環境になれば、ますます進む。4年以上動かしていない原子炉はすぐにトラブルを起こすのが当たり前で、いま現場の技術者は戦々恐々としているはず」。国民は大事故が起きないことを、祈るしかない。

*3-4:http://qbiz.jp/article/68609/1/
(西日本新聞 2015年8月10日) 川内再稼働「中止を」 原発前と九電で500人抗議
 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働を控え、原発ゲート前と福岡市の九電本店前では10日、原発反対派らが再稼働を止めようとシュプレヒコールを上げた。「原発事故の責任をとるのは誰だ」。原発ゲート前には全国から約400人が集結し、こんな横断幕を掲げた。警察官が厳戒態勢を敷く中、「老朽原発は危険」「再稼働は中止すべきだ」と叫んだ。集会には菅直人元首相も参加。福島第1原発事故時に首相だった菅氏は避難計画の不備から大混乱を招いたとして「大変申し訳なかった」と謝罪。その上で自治体の避難計画は依然として不十分と指摘し「安全も確保されないで再稼働は認められない」と訴えた。作家の広瀬隆氏は「4年間も停止した原発を動かすのは非常に危険。その結果が何をもたらすかは福島の人々がよく知っている」。東京から友人8人と駆けつけた大学4年の嶋根健二さん(23)は「原発におびえながら生活したくない」と語気を強めた。福岡市の九電本店前では、市民団体の約100人が「原発いらない」などと声を上げた。非政府組織「ピースボート」の吉岡達也共同代表は「福島の事故で世界中の人が恐怖におののいたことを忘れてはならない」と唱えた。一方、原発から30キロ圏内に工場を持つ鹿児島県阿久根市の部品製造会社の男性社長(48)は「原発がなければ電気料金の値上げも懸念される。事故の備えを考えるより生活が先だ」。同県薩摩川内市内の飲食店経営者の男性(43)は再稼働には賛成でも反対でもないと前置きし「将来は(原発を)無くすべきだけど、急には無くせない」との立場だ。

*3-5:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/217837
(佐賀新聞 2015年8月11日) 川内再稼働 反原発団体、県内でも抗議
 九州電力が川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機の11日の再稼働を正式公表した10日、玄海原発を抱える佐賀県内では反原発団体が抗議活動を展開した。「世論を無視した暴挙。絶対に許されない」と再稼働の中止を訴えた。11日も現地で抗議活動したり、佐賀市内で街宣活動を行う。佐賀市の九電佐賀支社前では、県平和運動センターの呼び掛けで県内3団体約100人が抗議集会を開いた。「電気は足りてるぞ」「国民の声を聞け」などと、シュプレヒコールを繰り返した。平和運動センターの原口郁哉議長は「再稼働に大義はない。あるのは九電の赤字解消の目的だけ」と批判。「福島事故の検証もできていない中での再稼働は人類に対する犯罪行為」とする抗議文を採択した。九電や政府に送る。玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会など九州4団体は午前中、博多港に寄港した国際交流団体「ピースボート」とともに福岡市の九電本店前で抗議活動を行った。その後、玄海原発が立地する東松浦郡玄海町を訪れ、再稼働を認めないように求める要請書を提出した。要請書は「日本だけでなく、東アジアの人々の命と子どもたちの未来を守るためにも、原発に頼らない社会をつくるべき」と主張している。韓国・ソウル市の女性パク・キュンハさん(43)は「韓国も海に面して多くの原発が稼働しており、福島の事故は韓国の未来になるかもしれない。再生可能エネルギーの推進を積極的に進めていくべきだと思う」と指摘した。

*3-6:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/228143 (佐賀新聞 2015年9月10日) 玄海原発停止訴訟の原告1万人に迫る、15回目の提訴で413人追加
 原発の再稼働に反対する佐賀県内外の市民が国と九州電力に玄海原発全4基の操業停止を求めている訴訟で10日、新たに413人が佐賀地裁に追加提訴した。提訴は15回目で、原告数は計9809人となった。弁護団の東島浩幸幹事長は「川内原発の再稼働など政府のやり方に対する不信感を反映し、原告数が伸びている。1万人を達成するとともに、原発の周辺自治体に脱原発を提言する活動などを進めたい」と話した。

*3-7:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/228659
(佐賀新聞 2015年9月11日) 県商議所連合会、県への要望27項目を採択
 佐賀県商工会議所連合会(井田出海会長)は11日、佐賀市で総会を開き、玄海原発(東松浦郡玄海町)の早期再稼働など県への要望27項目を採択した。新規は、来年1月に運用が始まるマイナンバー制度の情報セキュリティー対策、老朽化した宿泊施設の改修に対する費用支援など6項目。25日に山口祥義知事、中倉政義県議会議長に提出する。原発の早期再稼働は、2012年から継続して要望している。原発停止後の電気料金値上げで過酷な負担を強いられているとして、電気の安定供給を求め、再生可能エネルギーの普及・促進も盛り込んだ。新規では、人口減少対策として、女性が活躍できる環境整備や、結婚や出産、子育て支援、高齢者の地方移住支援など具体的な取り組みを求める。県産素材を使った食品や加工品のブランド化を進めるため、原材料の品薄や価格変動への対応も新たに加えた。総会には、県内8商議所の会頭、副会頭、専務理事26人が出席した。台風15号の影響で当初予定していた8月25日の開催を延期しており、会員企業による議員大会は開かず、総会で決定した。

*3-8:http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20150819000115
(四国新聞 2015/8/19) 伊方再稼働「反対」51%/愛媛の市民団体アンケート
 愛媛県の市民団体「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」は18日、四国電力伊方原発3号機(同県伊方町)の再稼働の賛否を問うアンケートを伊方町で実施し、反対は51%で、賛成の27%を大幅に上回ったと明らかにした。賛否を明らかにしなかったのは22%だった。同会によると、今年2~8月、2488戸を訪問した。アンケートは対面か、留守の場合は回答用紙を郵送してもらって実施し、合計881戸から回答があった。伊方町には約4800世帯あるが、訪問した2488戸には空き家も含まれていたとみられる。また、トラブルを避けるため四電の社宅は訪問しなかった。アンケート結果は途中経過で、全戸を訪問した上で10月ごろにあらためて公表する。同会世話人で松山市の堀内美鈴さん(51)は「再稼働をめぐる地元同意の手続きが進んでいて、危機感から前倒しで公表した。町や県は結果を考慮して」と話した。伊方町の担当者は「詳細を把握していないのでコメントできない」とし、県の担当者は「結果を知らないので何ともいえない」と話した。伊方3号機は7月に原子力規制委員会の審査に合格した。


PS(2015.9.14追加):原発で加圧する以上、パイプやその連結部分を含むすべての部品が、長期間、その熱と圧力と放射性物質に耐え続けなければならないが、私は、それは不可能だと考えるため、*4は、「やはり・・」と感じられた。そして、利益を上げられず、将来の成長も見込めない事業を他の事業と一緒に行えば、一緒に行う事業の足を引っ張るだけであるため、撤退すべきなのである。

*4:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO86436700V00C15A5FFB000/
(日経新聞 2015/5/5) 4期連続最終赤字のアレバ、仏政府が救済へ 原発専業岐路
 原子力大手の仏アレバが経営不振にあえいでいる。鳴り物入りで登場した最新鋭の原子炉に相次ぎ問題が発生し、引当金の計上などで2014年まで4期連続の最終赤字に落ち込んだ。日本の原子力発電所の再稼働も遅れ、事業機会は大きく縮小している。仏政府はアレバの救済に乗り出す方針で、原発専業の事業モデルは岐路を迎えている。北欧ボスニア湾にのぞむフィンランド南西部のオルキルオト島。強い海風が吹く4月下旬、ドーム屋根のオルキルオト原発3号機の周りは、建設資材が積み上げられていた。「以前はもっと作業員がいて活気があったのだが……」。現場を知る関係者はこう話すが、今は人影もまばらだ。同原発はアレバが開発した欧州加圧水型炉(EPR)の初号機だ。出力160万キロワットの大型炉で、民間航空機の衝突にも耐えられる強固さと、事故で電源が失われても原子炉が自動停止する安全性を売りに05年に建設が始まった。だが設計ミスや部品の強度不足など相次ぐトラブルで完成時期は遅れ、当初計画の09年が18年にずれ込んだ。建設費は当初の3倍近くの90億ユーロに膨れあがった。運営主体の現地電力会社TVOのサルパランタ・シニアアドバイザーは「18年に稼働すると信じているが、見通せない部分もある」と自信なさげだ。工期の遅れやコストの膨らみの責任を巡ってアレバと、タービンを受注したシーメンス連合と、TVOの訴訟合戦になっているからだ。2番目に建設が始まったEPRの仏北西部フラマンビル原発3号機にも問題が浮上した。4月半ば、仏原子力安全局(ASN)がEPRの圧力容器の強度に「重大な懸念がある」との見解を表明したのだ。同機はただでさえ部品の落下や死亡事故などのトラブルが続き、完成予定が12年から17年にずれ込んでいた。アレバは専門家らによる調査団をつくり、真相究明に乗り出したが、圧力容器を交換すれば数億ユーロの負担が生じる恐れがあり、完成時期がさらに後ずれする可能性がある。同じ圧力容器を使いEPRを建設中の中国は安全上の問題が解決するまで台山原発1、2号機への燃料搬入を延期するようアレバに求めたという。建設中のEPR4基が問題を抱え、アレバは頭を抱える。受注が固まった英国のヒンクリーポイントC原発への悪影響が出る懸念があるほか、インドなど原発建設に関心を示す新興国へのEPR離れが起きかねないからだ。アレバの14年の最終損益は48億ユーロの赤字で過去最大。4期連続の最終赤字だ。潮目が変わったのは、11年の東京電力福島第1原発の事故だ。ドイツなど欧州の一部の国が脱原発を決め、日本の原発の再稼働が大幅に遅れ、アレバはビジネス機会を失った。アレバのフィリップ・クノル最高経営責任者(CEO)は「中長期的に原発市場は回復する」と訴える。アジアや中東などの新興国は、自国の経済成長に見合う電力をまかなうため原発導入意欲が旺盛だからだ。三菱重工業とはトルコで中型炉「アトメア1」の受注に成功した。だが受注には激しい競争を勝ち抜く必要がある。問題続きのアレバの先行きは明るくない。


PS(2015年9月15日追加): 原発事故後、食品・環境規制基準は強化されたどころか大幅に緩和され、4年後の今でも元に戻っていない。また、原発の新規制基準には避難計画などの緊急時の備えはないため、「内容を真摯に受け止める」などという行動を伴わない空念仏はもはや信用できず、「国際社会への積極的な情報発信に努める」というのも、国民に情報を隠しながら何をアピールしているのかと思う。世界は、その様子も見ているのだ。

   
    2015.9.1NHK     食物からの内部被曝(現在)   除染土の保管(現在)

*5:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150915/k10010234901000.html
(NHK 2015年9月15日) IAEAで日本原発再稼働に理解求める
 IAEA=国際原子力機関の総会で、日本は、事故の経験を踏まえて強化された新しい規制基準のもとで原子力発電所を再稼働させたことを説明し、今後、順次、原発を再稼働させる方針に理解を求めました。IAEAの総会は、14日、オーストリアのウィーンで始まり、日本政府を代表して、原子力委員会の岡芳明委員長が演説しました。冒頭で、岡委員長は、IAEAが日本の緊急時の備えが不十分だったと指摘した東京電力福島第一原子力発電所の事故を総括する報告書について、「内容を真摯に受け止めている」と述べました。そのうえで、廃炉作業や汚染水の対策については、「国際社会への積極的な情報発信に努め、開かれた形で進めていく」と強調しました。さらに、岡委員長は、鹿児島県にある川内原子力発電所が再稼働したことを説明し、再稼働にあたっては、「事故の経験と教訓を踏まえて強化された規制基準のもとで2年以上にわたる厳格な審査を経ている」と述べました。そして、今後、順次、原発を再稼働させる方針に理解を求めました。また、これに先立ち、日本政府は、福島第一原発の現状などを紹介する会合を開き、被災地の日本酒や特産品をふるまうなどして、復興をアピールしました。IAEAの総会は5日間にわたって開かれる予定で、17日には、福島第一原発の報告書について詳しい説明が行われることになっています。


PS(2015年9月16日追加):*6の事件で、NHKは、「放火の動機は大量に電力を消費するJRが許せなかったから」とし、「原発再稼動に反対している人は、このように無知で短絡的な人だ」と表現している。しかし、①動機も容疑者本人から直接聞いたものではなく警視庁からのまた聞きにすぎず ②容疑者の段階であるため公開の場で双方の言い分を言い合って裁判で結審したわけでもない などの理由で、私は、この報道には疑問を感じた。つまり、(本当かどうかわからない)反原発派の一人が放火したからといって、脱原発を主張している人全員が無知で短絡的であるかのように表現するのは、それこそ短絡的で意図的であり、私は、最初にこの事件の報道を見た時、辺野古移設、TPP、労働者派遣法、安全保障法案等より優先して報道する程の事件ではなく、むしろその目隠しだろうと思った。しかし、JRも、外部の人が容易に放火できる場所に電線を設置しておくのは、危機管理や安全保障の問題が大きいため、この際、高架化や次世代の送電線・電車について、国土交通省も交えて検討した方がよいと考える。

     
    2015.9.16NHK     2015.9.13中日新聞  2015.1.24日経新聞

*6:http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150916/4978843.html
(NHK 2015年9月16日) 「大量電力消費のJR許せず」
 東京都内のJRの施設などで相次いだ放火事件で、品川区の変電所の事件に関わったとして逮捕された42歳の男が、動機について「大量に電力を消費するJRが許せなかった」などと供述していることが、警視庁への取材でわかりました。警視庁はさらに動機を調べるとともに、男が一連の放火事件に関わったとみて捜査しています。東京都内のJRでは、品川区のJR東日本の変電所で敷地の一部が焦げたほか、渋谷区や目黒区、それに中野区などでケーブルや架線の一部などが焼けるなど、8月以降にわかったものだけで放火事件が8件相次ぎました。警視庁は、防犯カメラの捜査などから、東京・武蔵野市に住む自称、ミュージシャンの野田伊佐也容疑者(42)が、品川区の変電所の事件に関わった疑いが強まったとして15日夜、威力業務妨害の疑いで逮捕しました。警視庁によりますと、これまでの調べに対し、野田容疑者は「やったことはやった。業務妨害とは思っていない」と供述しているということですが、その後の調べに対し、動機について「大量の電力を消費するJRが許せなかった」などと供述していることが、警視庁への取材でわかりました。また、変電所以外にも複数の放火に関わったという趣旨の供述をしているということです。警視庁は、さらに詳しい動機を調べるとともに、野田容疑者が一連の放火事件に関わったとみて裏付けを進めています。逮捕された野田容疑者の父親が、千葉県内の自宅で取材に応じ「きのうの夜、息子が逮捕されたと報道で知りました。信じられないことで大変申し訳なく思っています。最後に会ったのは1年くらい前で、原発の再稼動に反対していると聞きましたが、JRや鉄道に関する話は聞いたことがありません」と話していました。そのうえで野田容疑者について「高校を卒業したあたりから20年ぐらい音楽をやっていて大学も中退していました。音楽をやっているのだから、作詞や文章で表現してほしかったです。事件を起こすような人間ではなかったと思いますが、42歳にもなっているので大人としての自覚をもってほしかったと思います」と話していました。


PS(2015年9月21日追加):*7のように、放射線量分布を調査するのはよいが、上空300メートルで放射線量を測定しても、生活環境よりかなり低い値が出るため、役に立たない。その理由は、原発由来の放射性物質は地面に落ち、風で舞い上がってはまた落ちて拡散し、雨で水路に流れ込むため、放射線量は地面や水路の底土で高く、空中は地面からの距離の二乗に反比例して弱くなるからだ。そのため、市民が計測器を持ち、庭やベランダ、建物内の床や机の上、壁や天井や本棚などを測定するのが最も効果的で、掃除をして再度測ると掃除のやり残しもわかるくらいだ。なお、私の経験では、計測器によって計測値が少し異なるため(日本製は低く出た)、生産国の異なる複数の計測器で測るのがよいと思う。

*7:http://qbiz.jp/article/70942/1/
(西日本新聞 2015年9月16日) 川内原発80キロ圏の線量調査へ
 再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)の80キロ圏を対象に、原子力規制委員会が放射線測定器を載せた航空機で11月から来年1月に放射線量分布を調査することが15日、分かった。過酷事故に備えて事前に通常時の線量分布を把握するほか、地形の特徴を確認し事故時の測定を円滑に行うのが狙い。規制委によると、海域を除き川内原発の半径80キロ圏の上空約300メートルでヘリコプターで放射線量を測定する。総飛行距離は熊本県や宮崎県の上空も含めて約1870キロに上る予定。


PS(2015年9月27日追加):電力会社は、*8-2のように、大きな自然災害について、楽観的展望により対策を敬遠しがちだ。そのため、*8-1のように、全国世論調査を行うと、「原発再稼働反対」の人が58%であり、「事故時に避難できない」と考えている人も74%おり、「再生可能エネルギーの目標をもっと上げるべきだ」と考えている人は55%にのぼる。そのような中、*8-3のように、原発立地4県の議長が、県商工会議所連合会の要望に答えて国に原発再稼働の積極関与を要請し、「国が再稼働を前提に政策を進める以上、国に再稼働に関する責任の所在も明確に求める」とするのは、多くの国民が反対している原発再稼働を国に進めさせた上で、国民が納めた電気料金や税金から原発立地交付金、事故対策費、核のごみ処理費用を出させるということだ。そのため、これは原発立地地域のエゴであると同時に、責任の押し付けであり、日本経済や地元の将来の両方のためにならない。

*8-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015092002000124.html(東京新聞 2015年9月20日) 全国世論調査 原発再稼働 反対が58% 74%「避難できない」
 東京電力福島第一原発事故を踏まえた新しい規制基準を満たした原発について政府が進める再稼働に反対の人が58%で、賛成の37%を上回ったことが、本社加盟の日本世論調査会が十二、十三日に実施した全国面接世論調査で分かった。再稼働した原発で事故が起きた場合、住民が計画通りに避難できるかどうかについて「できるとは思わない」「あまりできるとは思わない」が計74%に上り、「ある程度」を含め「できる」とした計25%を大きく上回った。八月に九州電力川内原発1号機(鹿児島県)が再稼働したが、事故への備えに懸念が強いことが浮き彫りになった。再稼働に反対の理由は「原発の安全対策、事故時の住民避難などの防災対策が不十分」(39%)が最も多く、「原発から出る核のごみの処分方法が決まっていない」「福島第一原発事故が収束していない」が続いた。賛成の理由は「電力不足が心配」(34%)が最多。若年層(二十~三十代)で賛成の割合が高く、地域別では近畿と四国で賛成が反対を若干上回った。福島第一原発の廃炉に向けた作業に関しては、「どちらかといえば」を含めて計87%が「順調でない」とした。二〇三〇年時点で総発電量に占める原発の比率を20~22%にするとした政府目標について、41%が「もっと下げるべきだ」、22%が「ゼロにするべきだ」としたのに対し、「もっと上げるべきだ」は5%にとどまった。一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが占める比率を22~24%にするとの目標については、55%が「もっと上げるべきだ」と答えた。電源構成比率を考える上で最も重視することは「再生可能エネルギーの普及」が34%と最多。「電気料金」は最も少なく6%だった。
◆避難対策軽視に不信感
 政府が進める原発再稼働に58%が反対し、事故時に周辺住民が計画通りに避難できないと考える人が74%に上った。再稼働への反対理由でも住民避難の問題を挙げた人が多く、避難対策を軽視した再稼働に対する不信感がうかがえる。東京電力福島第一原発事故で住民避難が大混乱した教訓を踏まえ、国は防災対策の重点区域を原発の十キロ圏から三十キロ圏に拡大し、圏内の自治体に避難計画の策定を義務づけた。事故時にはまず五キロ圏の住民が避難し、五キロ圏外では測定される放射線量に応じて避難の判断をするとしている。こうした避難手順の実効性や、福島事故で死者を出してしまった入院患者らの避難対策に対する懸念は根強いが、八月の九州電力川内原発1号機(鹿児島県)再稼働前に県などが定めて国が了承した避難計画に基づく訓練は行われなかった。再稼働が見込まれる四国電力伊方原発(愛媛県)をめぐっては、原発と海に挟まれた半島に住む約五千人の避難などに不安の声が上がっている。再稼働の前提となる審査をした原子力規制委員会も「絶対安全とは言わない」としている以上、避難対策の充実は欠かせない。安易な再稼働は許されず、政府は住民らの声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。 

*8-2:http://www.sankei.com/affairs/news/150925/afr1509250036-n1.html
(産経新聞 2015.9.25) 東電、津波対応を拒否 福島第1原発事故の2年前、事故調書で判明
 東京電力福島第1原発事故をめぐり、事故発生の2年前に原子力安全・保安院(当時)の審査官が、東電に津波対応の検討を求めたが、東電側が「(原子)炉を(保安院が)止めることができるのか」などと拒否していたことが25日、政府が公開した事故調査・検証委員会の「聴取結果書(調書)」で分かった。調書によると、保安院は平成18年9月に原発の耐震性の調査を全国の事業者に指示。審査官が21年に2回、東電の担当者を呼んで津波対策の検討状況を聞いたところ、担当者は「土木学会の検討を待つ」と返答した。審査官は「それでは少し遅い」と感じ、重要設備を建屋内に入れ、設備に水が入らないように防水化を提案したが、担当者は「会社として判断できない」「炉を止めることができるのか」と反発したという。原発事故では、想定を上回る津波が押し寄せ、非常用発電機などが水没。燃料を冷却できなくなり、放射性物質を周囲にまき散らす重大事故に陥った。東電広報室は「ヒアリング記録の個別の内容については、コメントを差し控える。当社は関係者への聞き取りなどを総合的に評価し事故報告書として公表している」とした。

*8-3:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/233080
(佐賀新聞 2015年9月25日) 佐賀など原発立地4県議長、国に積極関与要請へ
 佐賀県議会の中倉政義議長は25日、原発再稼働をめぐる地元同意の範囲や手続きに関し、国が積極的に関与するよう、原発が立地する4県の県議会議長と共同で菅義偉官房長官に要請する考えを明らかにした。玄海原発(東松浦郡玄海町)の早期再稼働に関する県商工会議所連合会(井田出海会長)の要望に答えた。菅官房長官との面会に向けて調整しており、近く上京し、原発立地県の福井、愛媛、鹿児島の県議会議長と共に地元の不安や懸念を伝える。4県の原発はいずれも、新規制基準の適合に向けた原子力規制委員会の審査が先行している。中倉議長は「国が再稼働を前提に政策を進める以上、積極的に責任ある対応を求める必要がある」と述べ、再稼働に関する責任の所在も明確に求めていく考えを示した。


PS(2015年10月2日):このブログに何度も記載したが、私も、汚染水の取扱いは、*9に書かれているとおり、真剣さに欠け、ひどすぎると思う。また、凍結は(する筈がないと思うが)、したのだろうか?

*9:http://mainichi.jp/select/news/20151002k0000e040236000c.html
(毎日新聞 2015年10月2日) 汚染水流出:公害犯罪処罰法で東電社長ら32人書類送検へ
 東京電力福島第1原発事故の収束作業に伴い高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が外洋に流出した問題で、福島県警は近く東電の社長ら幹部32人と同社を公害犯罪処罰法違反容疑で福島地検に書類送検する方針を固めた。捜査関係者によると、書類送検するのは、広瀬直己社長や勝俣恒久元会長、清水正孝元社長ら。東電幹部らは業務上の必要な注意を怠ったため汚染水を外洋に放出させた疑いが持たれている。この問題を巡っては、東電の幹部らを業務上過失致死傷容疑などで検察当局に告訴・告発した団体の代表らが2013年9月、公害犯罪処罰法違反容疑で福島県警に刑事告発。告発状によると、地下水に関して政府は事故後に東電に対して地下遮蔽(しゃへい)壁の構築の検討を指示していたが、東電は費用などを理由に11年6月に中長期対策とする方針を表明し、対策を先送りした。さらに強度の弱いタンクを使用し約300トンの汚染水が漏れ、監視体制の不備による発見の遅れが漏水量の増大を招いたとしている。

PS(2015年11月24日、25日追加):*10-1の「汚染した地下水が護岸から海に流出するのを防ぐための海側遮水壁が完成して1カ月になるが、海水に含まれる放射性セシウムの濃度は、護岸付近は下がったものの、それ以外は完成前とほとんど変わらない」というのは、「汚染地下水が護岸から海に流出するのを防ぐためだけの遮水壁だから当然だ」という言い訳もできるが、それなら金を使って遮水壁(そもそも水は壁では止まらない)を作った意味がないため、国から東電に予算が入っている以上、①どういう意図で ②いくら使って遮水壁を作り ③効果はどうだったか について、決算行政監視委員会で追求すべきだ。答えは、「ただ金をばら撒くために作っただけ」と推測されるが、原発はこういうことが多すぎる。
 また、丸川環境大臣は埃を通さない重装備でフクイチを視察されたそうだが、これでも放射線は衣服や身体を貫通する(だからレントゲンは骨を写すことができる)ため、これから妊娠する可能性のある女性がこのような場所に行くのは(理由を長くは書かないが)避けた方が良い。ましてや、上記(2)のように、年間20ミリシーベルト以下の地域を避難解除して、本来なら放射線管理区域にすべき場所に一般国民を居住させるなどの放射線安全神話は論外だが、環境大臣や環境省にその程度の思考や判断ができないのが日本の現状なのである。何故、こうなったのだろうか。
 なお、11月25日、*10-2のように、「環境省のリスクコミュニケーション(リスコミ)関連三事業は、電力会社や原発事業者幹部らが役員を務める公益財団法人『原子力安全研究協会』が高額で請け負っている」という情報があった。多分、ここは環境省からも天下りを受けており、環境省も独立性はなく、原発や放射線のリスクが低いことを国民にアピールする機関になっていると推測される。

  
   2015.11.22        2015.11.24          国会前の脱原発デモ
    東京新聞           報道局      (国会前は、人が集まり易い広場にしたらどうか?)

*10-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015112202000132.html (東京新聞 2015年11月22日) 福島第一 海側遮水壁1カ月 外洋流出に効果見えず
 東京電力福島第一原発で汚染した地下水が護岸から海に流出するのを防ぐための「海側遮水壁」が完成して間もなく1カ月になる。海水に含まれる放射性セシウムの濃度は、護岸付近は下がったものの、それ以外は完成前とほとんど変わらない状態が続いている。二〇一二年四月に工事がスタートした遮水壁は、1~4号機の海側に、約六百本の太い鋼管を打ち込んで造られた。鋼管は長い金具で連結され、すき間はモルタルでふさぎ、十月二十六日に完成した。東電の試算では、壁により地下水の流出量は一日四百トンから十トンにまで減り、セシウムの流出量も約四十分の一になる-とされた。東電が公表している海水の分析データを、本紙がグラフ化したところ、最後に残っていた開口部を閉じる工事が始まった九月十日以降、セシウム濃度の振れ幅は小さくなり、特に水中幕で仕切られた内側の1~4号機取水口近辺の濃度はがくんと下がった。港内の海水は二日で入れ替わり、海底にたまった放射性物質が巻き上がらないよう砂などで覆う作業も終わっている。壁が完成すれば、港内全体の値はさらに下がるはず-。こう期待されたが、推移を見る限り、東電が調査している十二地点のいずれも濃度は下げ止まりの状況。外洋に出て行く港湾口の一年間のデータを追ってみても、海にすむ魚に影響を与える可能性がある一リットル当たり一ベクレル前後が続いている。昨年十月、本紙が港湾口で調査した際も約一ベクレルを検出している。現状では、福島第一から外洋への影響は、壁ができる前と後ではあまり変わらない、といえる。遮水壁に残ったすき間から流出している可能性や、原発敷地内から排水溝によって流れ込む汚れた雨水の影響などが考えられるが、はっきりしない。東電の担当者は「効果の検証には時間がかかる。様子をみたい」と話している。

*10-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112502000121.html (東京新聞 2015年11月25日) 福島事故の健康不安対策 原発関連財団請け負い
 東京電力福島第一原発事故による住民の健康不安に対応し、悩みの軽減や解消を目指す環境省の「リスクコミュニケーション(リスコミ)」関連三事業を、電力会社や原発事業者幹部らが役員を務める公益財団法人「原子力安全研究協会」が二〇一四年度に、総額四億一千三百万円で請け負っていたことが分かった。同協会は本年度も同種事業を継続。原発を推進する側が幹部を務める法人が税金を使って、原発を不安視する住民の相談事業を担う状況が続いている。本紙は昨年四月、三事業のうち、住民に被ばく対策を説明する「相談員」の支援事業を環境省が同協会に七千四百万円で発注したことを報じた。今回、国の事業の無駄や執行状況を政府自身が点検する「行政事業レビュー」の資料で、より多くの事業を協会に発注していたことが判明した。環境省を含む十一省庁・委員会が一四年度、避難住民の早期帰還に向けて放射線による健康不安に対応することを主な目的に、リスコミ事業を本格化させた。このうち環境省の三事業は入札で事業者を募集し、協会が落札した。協会が請け負った事業は、相談員の支援のほか、住民の放射線による健康不安に対応する資料の改訂や、住民向け集会の運営など。環境省は、一五年度も同協会が同種の事業を落札したと認めているが、金額など詳細を公表していない。協会は、原子力の安全性を中心に研究する組織。理事に関西電力や日本原子力発電の現役幹部が就いている。事業が原発推進側の論理に立った内容になる可能性について、環境省は「契約内容に沿って事業を遂行してもらっている」(放射線健康管理担当参事官室)と否定。協会の担当者は「環境省に聞いてほしい」と述べるにとどめた。福島原発事故に伴う損害賠償を求める団体などでつくる「原発事故被害者団体連絡会」共同代表の武藤類子さん(62)は「放射線の健康被害は、大丈夫と言う人もいれば、危ないと言う人もいる。双方の意見を聞いて判断したい。原発推進側に近いとみられる組織がリスコミを担うのは住民として不安だ」と話す。福島県で講演した経験のある京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「年間二〇ミリシーベルトという避難基準以下でも、被ばくによる健康影響の危険性があると住民に話したら、行政側からリスコミの邪魔になると言われたことがある。多様な意見を出し合いながら一定の方向性を出す体制で進めるべきではないか」と指摘した。リスコミ事業をめぐっては、文部科学省は、被災地住民の問い合わせや相談に対応する事業を、原子力行政を担ってきた旧科学技術庁出身者が役員を務める国立研究開発法人「日本原子力研究開発機構」と同法人「放射線医学総合研究所」に発注している。文科省は両法人に発注した事業の額を明らかにしていない。

| 原発::2015.4~10 | 03:29 PM | comments (x) | trackback (x) |

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