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2015,10,17, Saturday
下草刈り 林業女子 集められた材木 機械によるカット (牛・羊・山羊などの家畜では、駄目?) 国産材・外材価格 現在の林業 イギリスの家具 フランスの家具 ドイツの室内 TPP、安全保障法制、原発再稼働、辺野古の埋め立てなど、問題を指摘しなければならない話題は多いが、今日は、せっかく日本に大量にある資源を無駄にしている林業について、公認会計士として第二次・第三次産業を監査・税務で数多く見てきた私が、佐賀県の森林組合や材木店を廻って悩みを聞き、気がついたことを書く。その状況は、多少の違いがあっても他地域でも似ているだろう。 (1)林業の歴史 林業は、*1-1のように、1950~60年代は戦後復興と高度経済成長を支える花形産業だったが、伐採し過ぎて60年代後半には日本産木材の価格が高くなり、また高度成長で人件費も高騰したため、安価な外材輸入に押され、日本の林業は衰退産業となった。しかし、伐採後の森に針葉樹の植林を続けてきた成果が出て、現在では、日本には、60億立方メートルの森林蓄積があり、これは世界最大の林業国、ドイツの2倍だそうだ。 しかし、現在、日本の木材は外国産に比べてコスト競争力がないと言われて、あまり使われていない。一方で、森林の所有者は間伐などの手入れをするには収入よりもコストが高くなり、手入れもせずに放っておく人が多いため、森林環境税を徴収して、私有林の手入れに補助している地方自治体も多い。 そのような中、現在では、日本産スギ丸太の価格は米国産ツガの半値近くで、人材も、欧州の主要林業国オーストリアでは林業機械の作業員に支払われる人件費は3万円/日超で日本の2倍近いが、オーストリアの林業家は利益を確保しながら森を健全に維持しているので、日本でも、機械を使って生産性を上げたり、外国人労働者を雇用したりして、問題解決すべきである。 しかし、木材を燃やしてエネルギーを作るのは、最も付加価値の低い森林資源の使い方であるため、もっと木材の付加価値を高くする使い方を研究すべきだ。日本にとって、林業の衰退による森林の荒廃は二酸化炭素(CO2)の吸収量を下げ、治山・治水で災害に弱い山を作り、水産業の漁獲高を減らすため、健康な森林を維持しながら持続可能な伐採を行い、建築資材や家具などの付加価値の高い製品を、できるだけ機械化して作る6次産業化が最善の道だろう。 (2)森林復活と木材産業の振興 日本が行うべき林業は、*1-2のような「スマート林業」で、人材不足は女性やこれまで林業が盛んだったタイ、マレーシア、インドネシアなどからの外国人を使う方法がある。また、女性は最終製品の選択者でもあるため、女性を使うと、林業や植林に対して今までなかったような新しい発想が得られるのではないかと思う。また、ITで間伐、伐採、管理計画を立てて効率化するのはよい考えだが、何十年もかかって育てた木を燃やして発電するのは、余程の屑でない限りもったいない。 なお、佐賀銀行は、*1-3のように、緑化事業に取り組む公益財団法人「さが緑の基金」に120万円寄付し、佐賀県の里山づくりなどに貢献するそうだ。緑の基金は、来年、有田焼創業400年を迎える西松浦郡有田町でモミジなど400本を陶山神社に植えたり、唐津市厳木町笹原峠や佐賀市富士町中原地区で里山整備を進めたりするそうだが、このような企業の社会貢献は有価証券報告書に記載させたり、環境企業の認定マークを交付したりして、後押しするのがよいと考える。 さらに、現在は放置された竹林が拡大して森林の荒廃に繋がっているが、竹の間伐材を炭化させて商品化するだけではなく、竹も資源と考えて高級食材の包装や道具・家具に使う等の工夫が望まれる。 (3)21世紀の木材産業は、コストを下げて付加価値を上げるしかない 日本の家具 学校の机・椅子 こんな素敵な色も・・ 1)建物や家具の部品加工を機械化してコストを下げる 日本で林業を行う以上、高い技術を導入し、加工は機械化すべきだ。例えば、上の写真の学校で使う机や椅子の例では、現状の金属・プラスティックを使った机や椅子ではあまりにも可哀想なので、ぬくもりがあり、自然の香りがする木材に交換していけばよいと思う。 しかし、昔の形や白木に戻るのではなく、姿勢をよくするデザインの椅子やIT時代にあった便利な机を徹底して医学的・工学的にデザインし、そのデザインに合わせて木材を機械でカットし、素敵な色をつけて大量生産すればよい。この方法は、他の家具や建材でも、輸出品を大量に作るのに応用できる。 2)その他の技術開発 *2-1のように、産学連携で取り組んだ全国の大学5校による環境住宅の実証実験を兼ねたコンペティション「エネマネハウス」が開催され、各大学は新興国での水資源の再利用を可能にする住宅システムや、地方の林業活性化へ合板木材を外壁に使う施工方法などを競うそうだ。芝浦工大のテーマは国内の木材需要の押し上げだそうだが、今後は、建材だけでなく家具の設計・デザインもして欲しい。 なお、*2-2のように、諸富家具・建具が産地復活を懸けアジアへ進出しているが、私は、家具も、一度職人がデザインすれば、機械で作れるパーツも多く、それが多ければ多いほど、安価で大量に作って輸出することが可能だと考えている。また、*2-3の大川も、いつまでも近場の人だけを対象にしているのではなく、技術と地の利を活かして輸出という次のステージに進んだ方がよいだろう。 3)木材の品種改良 現在は、生物学が進んで、植物の品種改良も早くなっている。そのため、家具や建材に適した色、硬さ、木目の木を栽培することも、やろうと思えばできる。 <日本の林業> *1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD010AA_R00C11A7000000/ (日経新聞 2011/7/4) 「今後40年間は有望」説も 持続可能な日本の“もうかる”林業 日本で林業が「もうからない産業」の代表格のように言われて久しい。1950~60年代は戦後復興と高度経済成長を支える花形産業だったが、60年代後半になると状況が一変。安い外材の輸入に押され、人件費の高騰とともに、きつい作業を嫌う若者の増加で就業人口が減り、もうからない衰退産業になった。こうしたストーリーが「常識」として定着していた感がある。だが、近年、こうした常識を覆すような研究や事例が相次いで浮上し、林業関係者や森林を守る非営利組織(NPO)などで議論の的となっている。その内容を精査すると、日本の林業は今「もうかる林業」へ生まれ変わる転換点にあるのかもしれない、と思わせるものが多い。そんな議論の最先端を垣間見たのが6月9日、「我が国の森林・林業再生をいかに進めるか」をテーマに東京で開かれた「震災復興支援フォーラム」だった。「現在の日本には60億立方メートルもの森林蓄積がある。世界最大の林業国、ドイツの2倍もの規模で、我々は宝の山の上にいるようなものだ」。基調講演をした内閣官房国家戦略室の梶山恵司・内閣審議官は、日本の山林の有望性をこう説明した。「日本林業はよみがえる」という著作もある梶山氏は、4月に公布された改正森林法で推進する「森林・林業再生プラン」の策定などに携わった森林・林業問題のスペシャリストだ。森林蓄積とは、木材用として使える立木がどれだけ山林に残存しているかを示す。日本は森林蓄積が20億立方メートルしかなかった高度経済成長期の60年代前半に、毎年6000万立方メートルを伐採し続けたことで「木材資源を、ほぼ刈り尽くしてしまった」(梶山氏)。当時の木材需要は年1億立方メートルもあったとされ、この不足分を補うため外材の輸入が自由化された。伐採後の森に針葉樹の植林を続けてきた日本だが、材木用途で伐採に堪えるようになるまで、長きにわたり利益の出ない「蓄積の時代」をさまよってきた。その間、戦後すぐには全国で45万人いた林業の担い手は、現在5万人を切るまでに激減。うち65歳以上の就業者が3割近くと高齢化も進んだ。だが、梶山氏は、安い外材や人件費高騰といった林業疲弊の原因とされる要因も、「従来の常識を冷静な目で見直せばチャンスがあると分かるはず」と強調する。例えば、日本の木材は外国産に比べ「コスト競争力がない」という指摘。国産材で最も一般的なスギ丸太材の1立方メートルあたりの価格は90年以降、流通量の多い米国産ツガ丸太材に比べて安く推移している。現状ではスギ丸太の価格はツガの半値近くの水準で低迷しており、コスト競争力がないとは言い難い。高い人件費についても同様だ。前述の梶山氏の著作によれば、欧州の主要林業国、オーストリアでは伐採などに使う林業機械の作業員に支払われる人件費は1時間あたり29ユーロ(約3400円)。1日では3万円超にもなり、日本に比べて2倍近いという。それでいてオーストリアの林業家はきちんと利益を確保しながら森を健全に維持している。日本でも、小規模な林業家が利益を出しながら山林を管理し健全に保っていく方式を編み出したグループがある。高知県中部を流れる仁淀川。四万十川に匹敵するきれいな流れにアユが豊かなこの川の流域で、「兼業型自伐林家」の有効性を証明したのが特定非営利活動法人(NPO法人)、土佐の森・救援隊だ。「山林所有者のほとんどが近くの農村部に住み、山を守りたがっている。かといって伐採を業者に頼めばコストがかかりすぎて赤字になる。自分で木を切って売れば、実はそんなにコストがかからず山の管理もできることが分かったんです」。土佐の森・救援隊の中嶋健造事務局長が説明する。山林や農地を持ちながら定職に就いている兼業農家が、週末などの空いている時間に自分の山林の樹木を切り出し、特に間伐材を売却することで「晩酌代や小遣い銭を得ながら、山を健全に保っていく」(中嶋氏)という取り組みだ。仁淀川流域で同NPO法人に登録する自伐林家は現在、40人余りいるという。所有する山で間引くべき木をチェーンソーで伐採し、これを2メートルほどの長さに切り、軽トラックで製材所などに運んで売る。スギなら1立方メートルあたり約1万円、ヒノキなら同2万円程度になり、所有する山林の規模が小さくても月に数十万円の収入を得ている林家もいるという。間伐や間伐材の搬出に補助金を出す自治体も多く、「兼業の農家・林家にとっては結構な副収入となっている」と中嶋氏は説明する。険しく奥深い山では何人かがグループで作業する。手ごわい搬出作業の手間を省くため、同NPOは20万円ほどで導入可能な「土佐の森方式・軽架線」というツールを開発した。山の上にある木と、下にある木にワイヤ使って架線を張り、林内作業車のウインチと滑車を使って伐採した丸太を運び出す。こうした「土佐の森方式」は全国に広がりつつあり、現時点で10市町村以上が導入済みだ。さらに30の自治体が導入を検討中とされる。特に木質系のバイオマス(生物資源)エネルギーを活用するシステムを導入した自治体では間伐材収集の有効な手段となっており、林家の安定した収入につながるケースが多いという。中嶋氏は「ドイツでは45万の林業事業体が存在し、その8割超が個人経営。うち6割が農家であり、民宿や酪農などと兼業している例が多い」と解説する。梶山氏らが策定した「森林・林業再生プラン」でも、その要諦は「いかに森林を健全に保ち、持続可能な林業を日本に定着させるか」だ。「規律のない、単なる資金を出すだけの補助金を見直す」ことも掲げている。林業事業者だけでなく、ドイツなど欧州に多い高度な知識と豊かな経験を持つ「フォレスター(森林経営専門家)」などの人材も育成して豊かで健全な森の実現をめざす。同プランでは、伐採などの作業を集約する「大規模化のメリット」にも触れているが、一方で土佐の森方式のように「個人として山林を管理する方式を面的に広めた方が、かえって効率がよい」(中嶋氏)という意見もある。国土の約7割が森林という日本にとって、林業の衰退による森林の荒廃は二酸化炭素(CO2)の吸収量を下げ、治山・治水の面でも災害に弱い山を生み出すなどの大きな問題につながる。梶山氏によると、現在の日本の森林を健全に保つには毎年5000万立方メートルの伐採が必要で、それだけ切っても年間1億立方メートル分ずつ森林蓄積は増えていくという。「人材とともに持続可能な森林を育成すれば、今後40~50年はまともな林業を日本に根付かせることができる」。仮に年間5000万立方メートルの木々を国内消費すれば、木材の国内自給率は50%になると試算されている。こんな豊かな資源を抱えた日本の山を見直す時期は、確かに今しかないかもしれない。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151017&ng=DGKKASDJ30H0D_X11C15A0MM0000 (日経新聞 2015.10.17) スマート林業 伸び盛り、伐採計画や管理、ITで効率化 人手不足に対応 IT(情報技術)を活用した「スマート林業」が広がってきた。森林の測量データを解析してデータベースを構築したり、地理情報システム(GIS)で森林管理を効率化したりする取り組みだ。戦後の大規模な植林が伐採期に入っているが、人手不足の影響で未開発な部分も多い。ITを駆使して伐採を効率化し、林業活性化やコスト削減につなげる。住友林業は航空計測などを手掛ける中日本航空(愛知県豊山町)やデータ解析をする企業と組み、ITを使った林業経営コンサルティングを本格化する。ヘリコプターからレーザーを照射して木の本数や密度などを測り、測量データや写真を解析。データベースを構築して、自治体などが森林経営をするときの指針づくりに役立てる。データベースは常に更新して精度を高めていくという。7月から岡山県真庭市で伐採計画の指針づくりに向けた調査を始めた。まず5700ヘクタールの森林を対象とし、今後範囲を広げる。市ではバイオマス発電所や直交集成板(CLT)の工場が竣工し木材需要が高まっている。効率的な伐採で重要なのが調査や測量だ。伐採に適した木がどこにあり、どんな状態なのかを事前に知ることができれば、必要な人材や機材をピンポイントで投入できる。従来は調査や測量を人海戦術に頼ってきた。GISを使った取り組みも目立つ。GISはコンピューターで座標などの地理情報を作成して保管する仕組み。電子地図と組み合わせて使う。東京大学は測量システムのジツタ(松山市)などと組み、GISを使った測量を始めた。3D(3次元)スキャンシステムを活用して木の本数、形状などを測定する。従来の方法と比べると、作業効率は3倍以上になる。釜石地方森林組合(岩手県釜石市)は実際にこの仕組みを使って森林を調査した。データ量は現在の方法と比べて3~4倍になった。料金は1ヘクタール18万円程度と高い。だが「普及が進めば料金の下げも見込め、データ量の増加を考えれば調査コストの削減につながる」(同組合)という。戦後の植林材が伐採期に入り、出荷可能な蓄積量が増えているが伐採は進んでいない。林野庁によると、日本の森林面積は2500万ヘクタール。木の量に換算して49億立方メートルと10年前比で2割増えている。だが実際に伐採、利用されているのは約2500万立方メートルと1%未満にすぎないという。人手不足の影響が大きい。総務省の統計では木を伐採して運搬する林業従事者は2012年時点で7万人程度。1990年に比べて3割少ない。スマート林業はこうした人手不足を補い林業を活性化する狙いがある。運搬機械の機能も高まってきた。イワフジ工業(岩手県奥州市)は、森林にワイヤを張って伐採した木を運ぶ「タワーヤーダ」と呼ぶ機械を開発した。現在は1本のワイヤに木を1本ずつつるして運ぶ機械が多いが、枝分かれした複数のワイヤで複数の丸太を運べる。16年にも販売を始める予定だ。これまで運搬量は1日30立方メートルだったが、50立方メートルまで増やせる。国内の丸太需要は増加傾向にある。合板メーカーが国産スギを材料として使う比率を高めているほか、全国でバイオマス発電所の稼働も相次ぐ。14年の国内丸太生産量は1991万3000立方メートルと前年と比べて1.4%増えている。 *1-3:ttp://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/239955 (佐賀新聞 2015年10月16日) 佐銀、緑の基金に120万円を寄付、「エコ定期」で 佐賀銀行は15日、緑化事業に取り組む公益財団法人さが緑の基金に120万円を寄付した。公募で選定された佐賀県内3カ所の里山づくりなどに活用される。エコ定期預金額の0・025%相当額を寄付した。緑の基金は、有田焼創業400年を来年迎える西松浦郡有田町でモミジなど400本を陶山神社に植え、唐津市厳木町笹原峠や佐賀市富士町中原地区で里山整備も進める。県庁の贈呈式で村木利雄佐賀銀行会長が「預金者の思いがこもっているので有効に活用を」と目録を手渡し、基金の理事長を務める和泉惠之県土づくり本部長が謝辞を述べた。放置された竹林が拡大し、森林の荒廃につながっている現状に話題が及んだ。村木会長は、竹の間伐材を炭化させて商品化する産業の推進に期待を寄せた。佐賀銀行の基金への寄付は2009年から続き、総額は2029万円。福岡、長崎両県でも取り組み、3県での合計は3836万円に上る。 <技術開発> *2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151016&ng=DGKKZO92860600V11C15A0L83000 (日経新聞2015.10.16)環境住宅 5大学競う 産学連携、横浜であすから実験 横浜・みなとみらい(MM)21地区で17日から、全国の大学5校による環境住宅の実証実験を兼ねたコンペティション「エネマネハウス」が開催される。住建会社などが協力した産学連携の取り組み。各大学は新興国での水資源の再利用を可能にする住宅システムや、地方の林業活性化へ合板木材を外壁に使う施工方法などを競う。環境住宅への意識を高め、製品化や海外展開を促す。立命館大は将来的な国内の住宅市場の縮小を見込み、「水」を前面に押し出した住宅システムの輸出を目指す。使用済みの水を自宅に備えた浄化槽などでろ過、風呂水やトイレなどで再利用するのが目標だ。全体の再利用システムは約15年ごとに更新が必要だが、「浄化槽は半永久的に使える」(同大学)という。見据えるのはアジアなど新興国の水ビジネス市場だ。特に日本企業も多く進出するバングラデシュではヒ素による水質汚染が深刻な問題となっており、水資源の確保が課題となっている。新興国のインフラ未整備のエリアへの展開をにらむ。早稲田大学も新興国市場を視野に、熟練工でなくても高い精度で建築できる施工方法を開発した。東南アジアでは素人でも工程に参加する「ハーフビルド」と呼ばれる工法が主流なため、比較的容易に仕上げができるよう作った木造大型パネルを採用したという。地方の林業、建築業の活性化を目指す大学もある。芝浦工業大学のテーマは国内の木材需要の押し上げ。外壁に使用例の少ない「CLT」と呼ばれる木材を採用。住宅の外壁としてはセメントが一般的だが「外壁材として木材の利用を進めたい」との考えから、従来は廃棄処分となることの多かった建築資材の再利用を打ち出した。エネマネハウスは17日から11月1日まで開催する。 *2-2:http://qbiz.jp/article/72169/1/ (西日本新聞 2015年10月6日) 【伝統産業の挑戦】諸富家具・建具 産地復活懸けアジアへ 木の香りが漂う展示場。テーブルの感触を確かめながら「日本で丁寧に作った家具をアピールしたい」。諸富家具振興協同組合の理事長でレグナテック(佐賀市)の樺島雄大(たけひろ)社長(49)は言う。9月、台湾に店舗を出した。台北市の目抜き通りの約150平方メートル。テーブルやいす、木製の小物などを並べる。ターゲットはマンション住民や飲食店だ。最初の1年は来店客の声に耳を傾け、売れ筋を探る。樺島社長は「好調なアジア経済を見据え、早い段階で手を打ちたかった」と語る。親族が台湾で仕事をしていることもあり、進出を決めた。同社製品だけでなく、他の組合員の商品も置く予定だ。組合加盟の平田椅子製作所(佐賀市)も2014年2月、シンガポールに出展。ショールームの一角でいすを数点展示する。平田尚士社長(48)は「少しずつ注文が入っている」と声を弾ませる。諸富家具の各社がアジアに展開している背景には、産地全体の厳しい状況がある。組合によると、1993年度のピーク時に約210億円あった販売額は、04年度に3分の1の59億円に減少。少しずつ回復しているが、13年度は73億円にとどまる。かつて50社いた組合員も現在32社。輸入品との価格差や、大型家具を持たないライフスタイルの浸透で、苦戦が続く。大手家具店では8割が海外産の店もあり、樺島社長は「まさに(世界各国の家具が集う)オリンピック」と苦笑する。逆に言えば「海外から商品が来るなら、こちらが攻めてもいい」というわけだ。国内向けでも、組合の販促活動が活発になっている。5年前から、佐賀県内の道の駅で2週間ずつ商品を展示。佐賀市内の小学校には木製の机やいすを納入している。東京や大阪、福岡でも展示会を開く。「時代と生む良品」をブランドスローガンに「上質の木で作った、本物の家具を届けたい」と樺島社長は力を込めた。 ◇ ◇ 九州各地に根差した伝統産業。国指定や県指定の伝統的工芸品などの産地を訪ね、新たな挑戦を紹介する。九州経済面で随時掲載する。 *2-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/238444 (佐賀新聞 2015年10月11日) 大川木工まつり、独自の家具1万点ずらり 家具産地の大川市で10日、「第66回大川木工まつり」が始まった。メーン会場の大川産業会館では、メーカー200社が独自のデザインや素材による家具約1万点を直売。工場直送で普段より安く購入できるとあって、大勢の家族連れなどが詰めかけている。12日まで。県内メーカーでは、レグナテック(佐賀市諸富町)が本年度のグッドデザイン賞に選ばれたコートスタンドなどのシリーズ作を限定販売。平田椅子製作所(同)も食卓やリビングなどで使える新作のいすを発表、来年1月の本格出荷に向けてアピールした。同社の平田尚士社長は「作り手と消費者がダイレクトに結びつく数少ない機会」と来場に期待した。自宅を新築し、ダイニングセット目当てに来場した40代の夫婦は「長く使うものなので、素材や使い心地をじっくりとみて決めたい」と会場をくまなく回っていた。会場周辺では、屋台村やステージイベントのほか、アンケートに答え、総額300万円相当の家具が当たる抽選会、親子木工教室などの体験企画もある。問い合わせは同まつり実行委事務局(大川商工会議所内)、電話0944(86)2171。 PS(2015/10/18追加):*3-1のように、御嶽山麓などの森はもともと薬草の宝庫であるため、付近の耕作放棄地を活用して薬草を栽培すれば、高付加価値の生産物を作れそうだ。また、長野県の森はクマザサがどこにでもあるが、これも、下の写真や*3-2のように、付加価値がつけられそうである。 森の中のクマザサの群生 クマザサの殺菌効果を利用した包装 クマザサと綿混紡の 抗菌タオル *3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=34949 (日本農業新聞 2015/10/9) 薬草で放棄地 再生 “新食材”育成プロジェクト始動 民宿の逸品料理に 長野県木曽町 御嶽山麓の長野県木曽町で、増える耕作放棄地を活用しようと、薬草の栽培が始まった。同町は今年から薬草を育てるプロジェクトを立ち上げ、町の試験農場で土地に合った薬草を探している。収穫した薬草をそのまま薬向けに販売するには、まだ十分な収量がない上、薬事法に対応した販売も求められるため、まずは新たな食材として栽培を進めていく考えだ。 ●農家の知識醸成 お試し栽培提案 プロジェクトのリーダーの都竹亜耶さん(36)は、2011年に地域おこし協力隊として東京から同町に移住した。御嶽山麓は古来から薬草の宝庫だったことに着目、「耕作放棄地の活用と、かつての薬草文化や知識を子どもたちに伝え食育につなげたい」と薬草栽培を思いついた。まずは5アールの畑で「カミツレ(カモミール)」などハーブ10種類の栽培から始め、5月には山から採取した薬草を追加。現在は合わせて約30種類を栽培する。月に1回、地元の農家を試験農場に招き、「薬草を試しに作ってみませんか」と栽培を勧めている。一方で毒性の強い薬草も多く、十分な知識がないと危険な場合もある。このため試験農場では黄色い花が特徴のキンポウゲ科の「キツネノボタン」など、間違って食べると死に至るような危険な薬草も栽培、農家に知識を伝えている。薬草栽培の指導に当たる特定非営利活動法人(NPO法人)自然科学研究所の小谷宗司代表は、胃腸を整える効果がある「センブリ」や、滋養強壮剤として市販される酒の原料になる「イカリソウ」などが土地に合うと提案、試験農場で栽培を始めた。都竹さんは「御嶽山噴火から1年が過ぎたが、もがきながらも、町に合った薬草栽培を通じて地域を元気にしたい。道の駅や地元の民宿で薬草を食材として使ってもらえば、町おこしにつながるのではないか」と構想を練る。 *3-2:http://sasaland.com/blog/150608/ 薬がなかった時代から「クマザサ」は大活躍の働き者だった!! 中国最古の薬物書「神農本草経」にも漢方薬として紹介されているほど、遠い昔から健康を支えてきたクマザサ。外界から離れ、霞を食べて生きてきたといわれる不老長寿の「仙人」は、実はクマザサを食べていたと伝えられてもいます。このほか、クマザサは李時珍の記した『本草網目』にも「じゃく」として収載されています。その中で、クマザサは次のように述べられています。 気 味……甘し、寒にして毒なし 主 治……男女の吐血、嘔血、下血、小便渋滞、喉痺、腫瘍を治す 日本でも昔からクマザサは生活の中で広く使われていました。その昔、山仕事や旅の途中で食べるおにぎりや餅を包んだのは、クマザサの葉です。また、笹団子、笹あめ、笹寿司、笹酒、チマキ……防腐作用や殺菌効果の高いクマザサを使った食べ物は、昔からこんなにたくさんあったのです。今ほどたくさんの薬がなかった昔、人々は民間治療薬で病気や怪我を治していました。そこで大活躍したのはクマザサでした。東北地方では胃腸病、高血圧、ぜんそく、風邪の時にクマザサのせんじ薬を飲んでいたと言います。また、やけどや切り傷、湿疹にあせも、虫さされ、はては口臭や体臭を消すことにまで、暮らしに深く浸透していたのです。 PS(2015/10/20追加):山の幸には、*4のように、植物だけでなく、現在は増えすぎた野生動物の肉(ジビエ)もある。ジビエは、脂肪が少なく蛋白質が豊富で美容と健康によいため、捕獲した野生動物を食肉利用する割合が低いのはもったいないことである。なお、下の写真の(長野県)木曽漆器も、食洗機対応、手入れの簡単化、絵柄、住まいとの調和、コストダウンなど、21世紀の生活にマッチするように改良すれば、輪島漆器ほど高すぎないため日本人が買い安く、輸出も可能だろう。そのため、2020年までに現代化を終え、*4-2の東京オリンピックで選手村の食器に採用されるようにして、選手が帰る時には、使っていた食器を記念に持ち帰らせれば、世界への宣伝にもなると考える。 木曽漆器 (*一番よいものを掲載したとは限りません) *4-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35014 (日本農業新聞 2015/10/15) 捕獲獣の運搬ネック 関係団体を意見聴取 自民ジビエ議連 自民党の鳥獣食肉利活用推進議員連盟(ジビエ議連、会長=石破茂地方創生担当相)は14日、野生の鳥獣肉(ジビエ)の供給や販売を手掛ける関係団体から取り組み事例を聴き取った。北海道と長野県は、ジビエのブランド化に成果を挙げるものの、捕獲した野生動物を食肉利用している割合が低い実態を説明した。食肉処理施設への運搬に時間と労力がかかり、搬入が進んでいないのが課題とし、捕獲した個体の効率的な回収への支援を求めた。北海道はエゾシカ対策に力を入れ、2014年度の捕獲数は13万6000頭と、10年度より2割強増えたと報告。一方で、ジビエとしての活用は15%前後にとどまったままで、食肉での利用は進んでいないことを明らかにした。長野県もニホンジカの食肉利用率は5%未満にとどまるとした。その背景として、農水省は捕獲から1、2時間たった個体は食用に適さなくなり、運搬に時間がかかると食肉利用が困難になると説明。出席した議員からは「加工しながら移動できる手段も考えないと、施設への搬入が進まない」との意見が出た。石破会長はじめ議連メンバーは同日、東京都内で開かれたジビエ料理の試食会に参加し、鹿肉を使ったハンバーガーやカレーライスを試食した。同議連は11月に現地視察を予定しており、今回出た意見も踏まえてジビエの振興策をまとめる予定。課題を整理し、来年1月までに示す構えだ。 *4-2:http://qbiz.jp/article/73129/1/ (西日本新聞 2015年10月20日) 「五輪施設に国産木材活用を」 遠藤氏、積極検討要請 政府は20日、2020年東京五輪・パラリンピック関連施設での国産木材の活用策を検討するワーキングチームの初会合を東京都内で開いた。遠藤利明五輪相は「木の持つ柔らかさや、日本のおもてなしの文化を発信する機会だ。木材を最大限利用する方向で進めてほしい」と述べ、積極的な議論を求めた。国産木材の活用は林業の活性化につながるとして、自治体も期待を寄せる。木材の板を直角に重ね合わせ、耐震性や断熱性に優れる「直交集成板」などの建材利用が念頭にある。政府は8月にまとめた新国立競技場の整備計画で、仕様のうち「特に配慮すべき事項」として木材の活用を盛り込んだ。 PS(2016.9.10追加):*5のように、「森を守る」として子供に「皮むき間伐」の“面白さ(?)”を教えるなどというのは、ゆとり教育・アニメ世代・コンクリート街育ちの大人の限界だと思う。何故なら、植物も生き物であり、せっかく誰かが植えた財産でもあるにもかかわらず、残酷な殺し方を面白いと教えた上に、無駄をしているからである。森を守ることを子どもに教えるのなら、間伐した後に植林したり、森の生き物や食物連鎖を教えたりし、間伐は伐採させても危険でない年齢になって、もしくは大人がついて行い、有効利用する方法をこそ教えるべきだ。しかし、そもそも植林する時に同種の木を密集させすぎて植えているため、一本一本の木の成長が遅く、頻繁に間伐しなければ育たない森になっているのである。 *5より 間伐の必要性 子供の間伐 間伐材の利用 *5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160909&ng=DGKKZO07055810Z00C16A9NZBP00 (日経新聞 2016.9.9) 森を守る 主役は子供、「皮むき間伐」で山林管理 林業体験、自然考える契機 子供たちが林業を体験するイベントが各地で盛んになっている。重機を使わず、誰でも簡単に取り組める間伐作業などを通じて、森を守ることの大切さを学ぶ。森林の荒廃は年々深刻になっており、イベントの主催者らは「楽しみながら、自然環境を考える機会にしてほしい」と期待する。台風一過の晴天が広がった8月23日、東京都八王子市西部の山林に子供たちの明るい声が響き渡った。「こっちのほうがうまくむけたよ」「もっとむきたい」。山林の整備や間伐イベントの企画を手掛ける「森と踊る」(同市)が主催した「きらめ樹体験会」には都内や神奈川県などから15人の親子が参加。同社が管理する区画で、スギやヒノキの「皮むき間伐」を体験した。 ●日当たりを改善 スギの表皮にナタや竹べらで切れ目を入れ、めくれた部分を力を合わせて引っ張る。「メリメリ」という音とともに表皮が一気にはがれた。つるつるの地肌が現れると、子供たちは思わず「おお」という歓声を上げた。スギやヒノキは水を吸い上げる春から夏に表皮をはがすと、1年ほどで枯れる。この性質を利用したのが皮むき間伐。一般的な間伐は、チェーンソーや重機を使って不要な木を切り倒すが、皮むき間伐は力のない子供でも簡単に取り組める。皮をむいて枯れた木は水分が抜けて軽くなり、切り倒した後、人力で簡単に運べるのも利点だ。間伐をしない森林は日光が届かず、地面には植物が育ちにくい。間伐後は日当たりが改善し、3年ほどたつと数十種類の植物が観察できるようになる。「森と踊る」取締役の村上右次さん(49)らが森林管理が持つこうした意味を分かりやすく説明していた。八王子市の浅野英子さん(44)は娘の杏樹マリさん(9)とともに参加。英子さんは「ふつうに生活していたら絶対できない貴重な体験。簡単で面白い作業で娘も喜んでいる」と声を弾ませた。英子さんはもともと林業に関心があり、子供と一緒に参加できるイベントを探していた。ただ、千葉県や静岡県など遠方での開催が多く、「東京にもこれだけ森があるのにもったいない」と感じていたところ、ネット上できらめ樹体験会の告知を発見したという。「森と踊る」はこれまで八王子市や奥多摩町などで約20回の体験会を開き、600本以上の木をむいてきた。多い回には160人ほどが参加し、親子連れを中心にリピーターも多い。 ●森林放置深刻に 国内の人工林は終戦前後に植えられたスギやヒノキが多く、伐採期を迎えている。ただ、安価な輸入木材に押され、価格が下落。採算が合わずに管理が行き届かなくなった放置林の増加が深刻化している。「森と踊る」の村上さんは「ほとんどの山が手入れができずに荒れ放題だ。そういう山の現状を知ってもらうきっかけにもしたい」と話す。代表の三木一弥さん(46)は機械メーカーに勤めていたが、水処理関係の仕事に携わって森林管理の仕事に関心を持ち、2年前に脱サラ。静岡県内のNPOのイベントで「皮むき間伐」を知った。「東京でも子供が参加できるこんな活動ができないか」と考え、「森と踊る」を立ち上げたという。三木さんは「林業の現状は厳しいが、イベントを通じて子供たちの意識が少しでも変わり、森の再生につなげられたらいい」と話している。 PS(2016年9月6日):最近は、木材カットをコンピューター制御で精密に行ったり、集成材にして強度を増したりすることもできるため、木造建築の強度を上げつつ、容易に大量生産できるようになった。そして、住宅は自動車と同じく波及効果が大きいため、耐震性が強くて省エネ・自家発電装備のゼロエミッション住宅なら、*6のように国内販売だけでなく輸出しても売れるだろう。 *6:http://qbiz.jp/article/93570/1/ (西日本新聞 2016年9月6日) 積水ハウス、ブランド材でマイホーム 飫肥杉など地元木材活用 積水ハウスが、飫肥(おび)杉(宮崎県)や秋田杉(秋田県)といったブランド材の産地と手を組んで国産材の活用を進めている。各地で地元の木材を使ったマイホームを提案し、木造住宅全体の年間売上高を2016年1月期の1454億円から中長期的に2千億円規模に引き上げる目標。地産地消を促して林業の活性化にも一役買う狙いだ。積水ハウスは「シャーウッド」のブランドで木造一戸建て住宅を1995年から展開。当初は北欧からの輸入材が大半だったが、国内の二酸化炭素(CO2)削減といった環境面に配慮して徐々に国産材の利用を拡大。今年4月に国内のブランド材を柱など主要部分に使用した新商品「グラヴィス リアン」を発売した。これまでに10県の木材産地や加工業者と連携し、供給体制を整えた。宮崎と秋田のほかは、岩手、埼玉、長野、岐阜、奈良、岡山、愛媛、高知の各県。柱の部材には産地を表示して、身近に感じてもらえるような工夫をした。北海道と静岡県の木材も使えるように調整を進めており、今後も順次広げる方針だ。林野庁の試算によると、国産材の半分以上が建築向けに使用されているとみられ、住宅への利用拡大が進めば林業の活性化にも弾みがつく。積水ハウスの担当者は「肌触りや匂いの良さを前面に押し出して販売を伸ばし、国産材の利用を増やしていきたい」と話している。 ☆この記述をするにあたって私が使った知識は、経済学、経営学、税制、栄養学、心理学、生物学、 生態学、日本史、世界史などです。
| 農林漁業::2014.8~2015.10 | 04:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
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