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2015.11.6 環太平洋連携協定(TPP)の合意が日本経済(特に農業)に与える影響について  (2015年11月6日、7日、8日、12日に追加あり)
   
     2015.10.21            2015.10.23         2015.10.20  2015.10.21     
     西日本新聞              日経新聞            日経新聞     西日本新聞 

     
 2015.10.18   2015.10.22        2015.11.5西日本新聞       2015.5.16  
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(1)環太平洋連携協定(TPP)の意味
1)TPP推進派の主張
 *1-1のように、「貿易・投資を完全自由化して、アジア太平洋を舞台に世界最大の経済圏を作る」というのがTPP推進派の根拠で、例外なき自由化にならなかったことに対しては失望し、再交渉すべきだと主張している。また、米国で法案を審議する上院財政委員会のハッチ委員長は、*1-5のように、「TPPは議会が求めていた通商協定の高い水準に届いていない」とさえ指摘している。

 しかし、私は、完全自由化して現在の市場に任せれば、その国の将来の産業構造があるべき姿になるとは思わない。そのため、主権国家の将来を見通した産業構造計画はあるべきだと考えている。

 また、TPP推進派は「農業分野で日本が保護主義的な姿勢をとったため、日本の農業の構造改革に果たすTPPの役割は小さくなり、徹底した自由化がなされた場合に比べて消費者の恩恵は薄くなった」としているが、市場を完全自由化して誰にでも所得補償を行えば、日本の農業を構造改革して生産性の高い産業に導けるわけではない。つまり、日本の農業改革は、TPPに入って予算のバラマキを行えばできるのではなく、農業における一つ一つの課題について合理的な問題解決ができるよう、技術や経営をアドバイスして改善していくことによってしかできないのだ。

 なお、淘汰されてしまった日本の農産物は輸入に頼るしかなくなる。そのため、ITがマイクロソフトに統一されてやりたい放題されているのと同様、*2-1に書かれているように、外国に委ねられて「食」の安全性が損なわれ、顔の見える国内産の選択肢がなくなって、消費者の恩恵はむしろ低くなりそうだ。遺伝子組換食品の表示・食品添加物・残留農薬基準・BSEに関する規制や有機農法などがその例である。

2)TPP推進の本当の理由は何か
 *1-2のように、TPP交渉担当は甘利経済財政・再生相(横浜13区選出の衆院議員)であり、その時の自民党農林部会長は斎藤衆院議員(千葉7区選出、東京出身、経産省出身)であり、現在の自民党農林部会長の小泉衆議院議員(神奈川11区選出)も含めて、いずれも農林漁業地帯ではなく、都会から選出された人が農林漁業に重要な影響を与える地位にいる。

 これは、「農林漁業の言うことを聞かずにすむ農林漁業をあまり知らない人」を選んだ人事で、いくら難しい交渉をしたという演出をしても、この人事を行った時点で、第一次産業を知らない経産省主導のTPPが締結される着地点が見えていた。

 そして、甘利経済財政・再生相は、*1-2のように、①TPPの大筋合意は経済成長を促す効果がある ②アジア太平洋地域の安全保障に貢献する などとしているが、日本製の衰えは、物価や賃金上昇に連動する価格や経営戦略による生産拠点の海外移転によるところが大きく、関税の影響は限られているため、TPPの合意で日本の経済成長が促されることはあまりないだろう。つまり、土地価格の上昇や燃料高などのコスト・プッシュインフレーションを願うのは、経済を破壊する狂気の沙汰なのである。

 一方、アジア太平洋地域の安全保障は最も重要な目的になっており、TPPでは日本が独り負けしそうなほど米国に有利な条約を結んだため、妥結の翌日、米のイージス艦が中国の人工島付近に現れて、中国が国連海洋法条約(http://www.houko.com/00/05/H08/006.HTM 参照)違反であることを明らかにしてくれたのだと思われる。つまり、農業は沖縄と同じく、安全保障の生贄にされたわけだが、安全な食料を生産し、真面目に働く国民を育ててきた農業は、決して粗末にしてはならない重要な産業だ。

3)TPP投資ルールでメリットのある産業は何か
 *1-3によれば、マレーシアやベトナムなどのアジアの新興国で外資規制が緩和され、日本のコンビニエンスストア、金融機関、電力会社などが本格的にサービスを展開しやすくなるそうだが、このようなサービス産業のメリットと食料を生産する農業を引き換えにすることはできない。何故なら、農業が絶滅してサービス産業が残っても、国民はそれを食べることはできないからだ。そのため、OECDモデル条約のようなFTA(又はEPA)モデル条約を作り、国毎に相手の発展段階や特殊性を考慮して、それを変化させながら使うべきだと考える。

 また、*1-3によれば、知的財産に関するルール整備には、新薬の保護期間延長でTPPの間接的効果を期待するそうだが、中国はTPPに入らないので影響はない。さらに、日本の建設会社がベトナム、マレーシア、ブルネイなどで国や自治体の公共事業が受注可能になり、現地市場開拓の障壁が下がるとのことだが、これもFTAかEPAで行えばよいことだ。

 そのほか、*1-4に、TPPで工業品の87%の関税が即時撤廃され、ビデオカメラ、電池、炭素繊維などの工業製品で日本企業の輸出を後押しすると書かれているが、工業製品の関税はもともと低く、輸出企業は既に人件費の安い消費地に工場を移転しているため、今頃になって20世紀後半にやっておくべきだったことをやっても、益より害の方が大きいだろう。

(2)農業への影響
 一方、政府・与党は、*2-5のように、コメ、麦、牛豚肉、乳製品、砂糖などを重要5品目とし、関税撤廃の例外を目指して「聖域」と位置付け、守ったのだそうだ。しかし、私は、この5品目だけが重要で、それさえ守ればよいという根拠はないため、「重要5品目」を決めた理由を明確に説明すべきだと考える。そして、国民に説明できる合理的根拠もないようないい加減な政策で、多様な農業者が生業として長期間かけて育んだものを根底から覆すようなことがあってよいわけはない。

 その上、その重要5品目も全586品目中、約3割の174品目の関税が撤廃されることになり、日本の全品目の関税撤廃率は貿易額ベースで95・1%だそうだ。これに対し、農業者や農業団体が途方にくれたり、反発したりするのは当然で、甘利経済再生担当相は「(農業保護と貿易自由化の)バランスが取れた協定だ。重要5品目のコア部分はしっかり守れた」と強調しているが、「全体として何となくバランスが取れたように見える」ではなく「どういう意味でバランスが取れているのか」を説明すべきだ。日本では、現在、第一次産業の維持と貿易自由化は相反しているため、如何にして日本の食料自給率を守っていくのかについて、展望を持って定量的に示すべきである。

 なお、安い農産品が輸入されると、消費者は安い食料を入手できるためメリットが多いと言う人もおり、それは短期的には事実なのだが、*2-1のように、外国産に敗退して日本産の農産品が極度に少なくなると、遺伝子組換食品の表示・食品添加物・残留農薬基準・BSEの規制などによる安全性や有機農法による栄養価・美味しさが守られるとは限らず、日本産という選択肢もなくなって消費者も困ることを忘れてはならない。そのため、消費者は合理的な規制が作られ、守られているかについて、しっかり監視しておく必要がある。そして、このような規制は、ISD条項で提訴されることがあってはならない。

 また、自由貿易を標榜するTPPで、*2-2のように、米国とオーストラリアに計7万8400㌧の米輸入枠を新設したのはやはりおかしい。さらに、*2-3のように、TPPでは野菜の関税は全て撤廃され、農水省は関税が撤廃されても直ちに輸入が急増することはないとしているが、関東のスーパーでは、TPPの議論が始まったらすぐ、(どういう土地でどういう育て方をしたのかわからない)日本産と同じ品種の比較的安いカボチャ、ブロッコリー、アスパラガスなどの外国産野菜が増えており、冷蔵保存技術が発達すれば国内生産への影響も限定的ではなくなるだろう。

 現在の農相である森山衆院議院の地元鹿児島はじめ畜産を行っている地域では、*2-4のように、「国内産への打撃があるため、公約を守ったとは言えないのではないか」「どう守るのかを早急に示してほしい」などとしている。そして、*2-6のように、日本農業新聞が、農政モニターを対象に行ったTPP大筋合意の結果に関する意見では、「農産物の重要品目の聖域確保を求めた国会決議違反だ」とした人が、69%に達したそうだ。

 また、*2-7に、「農家いじめだ」と書かれているが、私にも最近の“農協改革”や“TPP”は農業を標的にした問題解決にはならない嫌がらせのように見える。そして、これまで努力してきた関係者に対し、一つ一つの課題に対する解決策は示せず、破壊してショックさえ与えれば改革できてよみがえるかのように言うことほど無責任な態度はない。

(3)農林水産品の輸出について
 *3-1のように、農水省や生産者団体・流通業者などで作る輸出戦略実行委員会が、豚肉や牛乳・乳製品などの輸出額目標と取り組むべき方向性を盛り込んだ輸出戦略を決めたそうだが、輸出に慣れていないらしく、欠点があるので指摘しておく。
 ①日本で統一したロゴマークを使うと、上の図の下の段右の輸入差し止めになっている原発
   事故被災地域の製品と混同させられるため、日本産の安全ブランドが損なわれる。例えば、
   オーストラリア産は原発がない国であるため、国で統一したブランドでも売れるのであって、
   私は輸入牛肉ならアメリカ産ではなくオーストラリア産しか買わない。
 ②日本産として一緒にすると、環境に気をつけて頑張った地域の差別化ができず、良い製品を
   作ろうという動機付けがなくなり、品質が落ちる。
 ③「日本らしい食べ方」を押しつけるのではなく、相手のニーズに合った製品を作った方が売れる。

 例えば、*3-2のように、日本では邪魔者だったクラゲは、(私の提案で)中国に輸出し始めたら中華料理の高級食材として需要が多く、有明海の漁閑期の貴重な収入源になった。価格は1キロ300円ほどで、数年前と比べて1.5~2倍に跳ね上がり、最近は採り過ぎないように禁漁期を設けているそうだ。また、*3-3のように、中国で日本産ナマコが以前の3倍の値を付けるブームになり、佐賀県の業者が玄界灘での養殖に力を入れているとのことである。

 つまり、資源を見つけ、相手の需要に合うように加工して輸出すれば、速やかに輸出量を増やすことができるのだ。

<TPP推進派の意見>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151008&ng=DGKKZO92585970X01C15A0M10600 (日経新聞 2015.10.8) TPPが変える世界、完全自由化へ再交渉を 国際貿易投資研究所理事長 畠山襄氏
 アジア太平洋を舞台に世界最大の経済圏をつくろうとする環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が曲折を経て大筋合意にこぎ着けた。貿易や投資の垣根を低くし、知的財産権の保護など広い分野でルールを統一する試みは何をもたらすのか。交渉で大筋合意できた点は評価したいが、内容には不満が残る。「例外なき自由化」を目指した自由貿易協定(FTA)だったはずが、常識的な選択で終わってしまった。リスを追っていたのが、いつのまにかネズミになってしまったというのが正直な印象だ。日本は将来、関税の完全な撤廃を目指す新たなTPPに向けて再交渉もすべきではないか。TPPの前身はニュージーランドが2006年にシンガポール、チリ、ブルネイと結んだ「P4」というFTAだ。関税を100%なくす路線だったのに、日本や米国が交渉に参加した後、例外が設けられた。問題は農業分野だ。日本はコメなどで従来の枠組みを堅持したうえで、新たな国別の枠を設けるかたちを取った。非常に保護主義的な姿勢があり、自由化が後退した印象すら与えかねない。日本にとって農業の構造改革に果たしたはずのTPPの役割が小さくなり、徹底した自由化がなされた場合に比べ消費者の恩恵は薄くなったといえる。日本の対外交渉に悪影響が出てくるかもしれない。100%の自由化路線を求めていたのが、日本から農産物の5項目について関税を完全に撤廃しないと言った。これはTPPの論理から外れたもので、日本の弱みになる。この点は今後、米国などから何回も突かれることになるだろう。まず国内体制を整えることが必要だ。具体的には農家への所得補償を専業にも兼業にも検討してほしい。近年の農産物の内外価格差の縮小により政府の対策が小さくなる分、農家への補償を厚くし、所得が改革前後で変わらないようにして理解を得るべきだ。TPPに韓国が参加を検討しており、中国も参加するかもしれない。米国などが「日本の自由化率が低い」と再交渉を求めてくる可能性もある。その前に日本はアジア太平洋地域のリーダーとして先手を取るべきだ。本来の目的だった関税の完全撤廃を目指し、TPPの次のステージを提案してほしいと願っている。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151009&ng=DGKKASFS08H6T_Y5A001C1EA2000 (日経新聞 2015.10.9) TPP、地域安保に寄与 甘利経財相に聞く、農業、対策費ありきでない/東南ア、参加希望いくつも
 甘利明経済財政・再生相は8日の日本経済新聞のインタビューで、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意は経済成長を促す効果とともにアジア太平洋地域の安全保障に貢献すると強調した。国内の農業対策については、打撃を受ける農家への損失補填に力点を置いた過去の対策にとらわれず、成長産業への転換につながる政策を重視する考えを示した。
――TPPは日本にどんな利点があるか。
 「12カ国のバリュー・チェーン(価値の連鎖)ができる。それを前提にモノと人と資本が自由に行き交う。新しい商取引への対応もできる。その障害となっているものを外し、問題があれば協議する仕組みができた。TPPが経済成長にプラスにならないわけがない」。「東アジアは非常に不安定な地域だ。中国の覇権があり、北朝鮮があり、そういうなかに米国のプレゼンスが経済を通じて直接絡んでくる。TPPは経済の話だが、これは間接的な安全保障で地域の安定に貢献する。やがて中国も仲間に入らざるをえなくなってくる」
●小国もメリット
――韓国も参加を検討している。
 「東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国でも入りたいという意思表示を非公式で言っている国がいくつもある。早く入れてくれという順番待ちが始まっている。米国以外の国は、日本がTPP交渉に参加してくれて本当によかったと言っている。ライオンとウサギの間にトラが入り、ライオンにしっかりものを言う。そうすることによって経済小国にも大国にもメリットのある内容になっていった」
――新たな参加国にあわせてルールを見直すことはないのか。
 「基本は12カ国がつくったルールだ。新しく入る国の事情に配慮して変えることはない」
 「RCEP(東アジア地域包括的経済連携)など、協議が遅滞している枠組みを動かす潤滑油にもなる。中国も国有企業を民営化していく際、TPPのルールを無視して独自型という具合にはいかなくなる。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉も加速していくだろう」
●飛躍のツール
――日本ではいつTPP協定案の国会承認をめざすのか。
 「できるだけ直近の国会に出していく。来年1月からの通常国会で正々堂々と審議するのがいいのではないか」
――自民党内には来年夏の参院選で農業票離れを懸念する声も多い。
 「TPPは後ろめたい気持ちでやるわけではない。農業が一気に飛躍していくツールだ。日本の農業は成長産業で、TPPはそのための環境整備だということを理解してもらわないといけない」
――国内農業対策の予算規模は1990年代のウルグアイ・ラウンド対策事業費約6兆円がたたき台になるのか。
 「ウルグアイ・ラウンドは外国産の農産物に攻められるから国内農業に補填するものだった。TPPは魅力ある日本の1次産業の強みを伸ばし成長産業にしていくためにある。基本姿勢が違う」
 「金額の規模は政府の対策本部で決める。農産品はTPPが発効してから長い年数をかけて段階的に関税を下げる。今の時点でこれだけ対策費が必要というのではなく、農業をどのように強化していくのかを綿密に考えて予算を組んでいく。額ありきではない」
――今後のアベノミクスで必要なことは。
 「企業収益は最高なのに、設備投資はまだ一歩踏み出せていない。だからこそ、これからはじまる官民対話を通じて踏み出してほしい。踏み出さないと内部留保で食いつないでいくだけになる」
――岩盤規制改革はどの分野に切り込むのか。
 「官民対話を通じて実体経済の現場から意見が出てくるのが適切だ。政府もやることはやる。たとえば規制緩和でなにかしてくれということは、できることは即決する。現場の声にはすぐに応えたい。だから思い切って踏み出してほしい」

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151023&ng=DGKKZO93151730T21C15A0EA2000 (日経新聞 2015.10.23) 外食・製薬など歓迎
 TPP12カ国の投資ルールが整うことに企業の期待は大きい。マレーシアやベトナムといったアジアの新興国では外資規制が緩和され、日本のコンビニエンスストア各社、金融機関、電力会社などが本格的にサービスを展開しやすくなる。ファミリーマートの中山勇社長は「ベトナムなどアジアで店舗網を増やそうとしており、マレーシアにも興味がある」と話す。アジア圏では外資の小売業進出を規制する国は多かったが、可能性が広がる。2014年にベトナム初出店したイオンは同国の小売業規制をクリアするために4年を費やした。規制が緩めば、市場動向に合わせたタイムリーな進出が可能になる。讃岐うどん店を展開するトリドールの粟田貴也社長は「海外展開がしやすくなる」と歓迎する。知的財産ルール整備にも期待が集まる。新薬の保護期間延長は日本に直接的な影響はないが、日本の製薬会社からは「隣国の中国で後発薬メーカーが急速に育ちつつある。今後アジアで新薬の保護が必要になる可能性は高く、TPPの間接的効果を期待したい」(アステラス製薬の知財担当者)との声も出ている。日本の建設会社はベトナム、マレーシア、ブルネイで国や自治体の公共事業が受注可能になる。以前から参入できた国でも受注額の下限が6千万円に下がり、現地市場開拓の障壁は下がる。ただ建築基準に関する独自の法律が残る可能性があるほか、現地の商慣習の壁もある。TPP発効に合わせて各国がどのように法改正を進めるかは不透明だ。「現状と大きく変わらない恐れもある」(ゼネコン大手幹部)との慎重な見方もあり、企業は各国の動きを見定めようとしている。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151016&ng=DGKKASDF15H1U_V11C15A0MM8000 (日経新聞 2015.10.16) TPP関税、工業品87% 即時撤廃、ビデオカメラや電池 日本企業の輸出後押し
 環太平洋経済連携協定(TPP)で大筋合意した工業製品の関税撤廃に関する全容が15日明らかになった。ビデオカメラや電池、炭素繊維など日本の輸出品目数の約87%の関税が協定発効後すぐに撤廃される。大型二輪車やタオルなど5年以内に関税が撤廃される製品も多い。北米やアジアに輸出する日本企業の競争力強化やシェア拡大につながりそうだ。日本から輸出する工業製品は全部で約6500品目。金額ベースでみると、家電や産業機械、化学製品など日本企業の競争力が強い品目も含め、輸出総額(11カ国向けで約19兆円)に占める即時撤廃分の比率は76.6%に上る。国別では、ニュージーランド向けで全輸出額の98%、オーストラリア向けで94%が即時撤廃の対象になる。TPP参加12カ国中、最大市場の米国ではビデオカメラにかかる2.1%の関税が協定発効後すぐに撤廃される。輸出額約4900億円のうち、2割超が米国向けで、関税撤廃で日本製ビデオカメラの小売価格の引き下げが見込める。日本製品は品質やブランドの勝負だけでなく、関税がなくなることで価格面でも競争力が高まる。これまで関税が維持されてきた素材分野では、アルミニウムについて米国がかける2.4~6%の関税が、大部分の種類で即時撤廃される。米国向けの年間輸出額が2000億円近いプラスチック製品や、日本企業が得意なナイロンなどの化学繊維、炭素繊維の原料なども多くが即時撤廃の対象になる。即時撤廃にはならないものの、排気量700cc超の大型二輪車(関税率2.4%)は5年目に関税がなくなる。ホンダやヤマハ発動機、川崎重工業などが日本で生産する大型二輪車の約3割は米国向けの輸出。排気量の大きい二輪車は米国の富裕層に人気で、関税撤廃は日本の二輪車メーカーの国内生産の拡大につながる可能性が高い。日本企業が強い競争力を持つ工作機械も利点が大きい。年間9600億円超の北米向け総輸出額の大部分を占める2.2~4.4%の関税の多くが5年目に撤廃される。中小企業にも商機が広がる。5年目に9.1%の関税がなくなるタオルは「今治タオル」など地方の有力産地が輸出を広げる好機になる。米国向けの乗用車は2.5%の関税が15年目から減り始め、25年目に完全になくなる。

*1-5:http://qbiz.jp/article/74272/1/
(西日本新聞 2015年11月6日) 米、TPP承認手続き開始 議会通知、来年2月にも署名 
 オバマ米大統領は5日、環太平洋連携協定(TPP)に署名することを議会に通知し、承認を得るための手続きを始めた。米国では、議会への通知から少なくとも90日過ぎないと政府は通商協定に署名できない。参加12カ国の署名がそろい最終合意するのは来年2月以降となる。署名後に協定案を議会に提出するが、TPP反対の議員も多く、審議入りまで曲折がありそうだ。一方、米財務省は5日、TPPに参加する日米など12カ国が、輸出増を目的にした自国通貨の相場切り下げをしないことで合意したと発表。通貨安競争を避け、通商を有利にするような為替操作はしないとしている。各国が約束を守っているか点検する高官級の定期協議会を少なくとも年に1度開くことも決めた。オバマ氏は12カ国が協定案を公表したことを受けて議会に通知した。TPPの発効には経済規模が最も大きい米国の議会承認が不可欠。米通商代表部(USTR)のフロマン代表は「米国が貿易で主導権を握れるかどうかの最終決定権は国民に選ばれた議員にある」との声明を発表し、TPPの早期承認をあらためて要請した。しかし、法案を審議する上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)は「TPPは議会が求めていた通商協定の高い水準に届いていないようだ」と指摘。民主党の大統領候補指名争いで首位を走るクリントン前国務長官もTPPに反対する考えを表明している。議会の承認は2016年11月の大統領選後にずれ込むとの見方も出ている。

<農業への影響>
*2-1:http://qbiz.jp/article/72978/1/
(西日本新聞 2015年10月17日) 【国の形どう変わる TPP識者評論】「食」 安全性損なう懸念残る
◆農林中金総合研究所基礎研究部長 清水徹朗氏
 環太平洋連携協定(TPP)は、5年前に菅直人首相(当時)が「平成の開国」と称して突如、交渉参加の意向を表明して以来、「異常な契約」(オークランド大のジェーン・ケルシー教授)、「TPP亡国論」(評論家の中野剛志氏)など多くの批判を浴び、国論を二分する問題になった。TPPは米国主導の交渉であり、その背後にはモンサントやカーギルなどの多国籍企業が存在する。米国は日本に対する「年次改革要望書」の中で、遺伝子組み換え食品の表示、食品添加物や残留農薬基準等の規制改革を求めてきた。このため、日本の食品の安全性が損なわれるとの懸念が強く、TPP交渉への参加決定を受けた衆参両院の農林水産委員会は、国会決議の中に「残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務等において食の安全・安心を損なわない」とする項目を盛り込んだ。大筋合意の後、政府は「日本の食品の安全性が脅かされることはなく、遺伝子組み換え食品表示等の制度変更が必要となる規定は設けられていない」と説明しているが、合意内容の詳細は公表されていない。また今回の合意には、TPP参加国間の整合性を円滑にするとの規定もあり、米国が制度改革を求めてくる可能性は残されている。また、海外の投資家が政府を訴えることができる条項が盛り込まれたため、日本の食品に関する制度が外国の企業に訴えられる懸念は消えていない。米国では、欧州連合(EU)との間で紛争になったように牛肉生産においてホルモン剤や抗生物質を多く使っている。牛海綿状脳症(BSE)問題で明らかになったように米国の食肉処理は必ずしも適正ではなく、現在でも米国では食中毒による死亡者が非常に多い。TPPが発効すれば、牛肉や豚肉の関税率が大幅に引き下げられ、競争が激化する。日本の畜産業は規模拡大や新技術の導入によるコストの削減を迫られる。しかし食肉は安ければよいということではない。日本の畜産・酪農は、動物福祉や生態系に配慮し、自然循環型の方向を目指すべきであり、それが食肉や酪農製品の安全性、おいしさにつながるだろう。関税の撤廃・削減により輸入食品の価格は低下するかもしれないが、食や農は、生態系、景観、安全性など多面的な役割を考慮すべきであり、消費者にとって、生産過程を含めた選択が可能になるような情報公開、表示制度を拡充するべきだ。多国籍企業の利益のために、消費者を守る仕組みが犠牲にされてはならない。TPPの批准前に、協定文書に関する情報公開の徹底と、十分な精査、分析が必要だ。
◇しみず・てつろう 56年前橋市生まれ。東京大卒。農林中央金庫に入り、91年から農林中金総合研究所。07年から日本獣医生命科学大非常勤講師。

*2-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=34907
(日本農業新聞 2015/10/5) 米輸入枠7.8万トン 日本農業重大な岐路 TPP大筋合意
 環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、交渉参加12カ国は5日午前(日本時間同日夜)、当地での閣僚会合で大筋合意した。最大の焦点だった重要品目の米は、米国とオーストラリアに計7万8400㌧の輸入枠を新設。他の重要品目を含め、日本は農産物市場の大幅な開放を迫られる。日本農業の将来にとって、極めて重大な転換点となる。各国は同日早朝から12カ国による閣僚会合を再開し、最後まで残っていた医薬品のデータ保護期間や乳製品の市場開放をめぐる合意状況を確認した。甘利明TPP担当相は会合後、「全体会合で大筋合意を確認した」と記者団に述べた。米国通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談し、「残されている米をはじめとする農産品を含めて全部の最終確認を行うために分ほど話し合った」とし、日米間の農産物協議が決着したことも明らかにした。大筋合意を受け、政府は週内にも「TPP総合対策本部(仮称)」を立ち上げ、打撃を受ける農業分野への対策の検討を急ぐ。安倍晋三首相は6日に記者会見し、政府の対応を説明する。署名や国会での審議は、米国の国内手続きなどの都合上、年明けとなる見通しだ。
●首相「美しい田園を守る」
 安倍晋三首相は5日夜、甘利明TPP担当相から大筋合意の報告を受け、首相官邸で記者団に「政権発足以来の大きな課題に結果を出すことができた」と成果を強調した。ただ、重要品目についても関税の大幅削減や新たな輸入枠を設けたことに対し、聖域確保を求めた国会決議との整合性が問われ、農業者や野党などから批判が上がるのは必至だ。安倍首相は「交渉の結果、農業分野で米、牛肉、豚肉、乳製品といった主要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保することができた」と述べた。その上で「農業は国の基であり、美しい田園風景を守っていくことは政治の責任だ」と強調。生産者が安心して再生産に取り組むことができるよう全力を尽くす意向を示し、国内対策の検討に入る考えを示唆した。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35045
(日本農業新聞 2015/10/18) TPP 野菜関税 全て撤廃 一部の品目除き即時に
 環太平洋連携協定(TPP)で、全ての野菜の関税が撤廃されることが分かった。野菜の関税はもともと低く、鮮度や検疫上の理由から、農水省は関税が撤廃されても直ちに輸入が急増することはないとみる。ただ、TPP参加国からの輸入が多い農産物が即時撤廃されることもあり、注視が必要だ。撤廃時期は、タマネギ(現行関税1キロ73.7円以下、8.5%)が6年目、スイートコーン(同6%)が4年目と一定期間を置くものもあるが、ほとんどは即時撤廃される。同省は「TPPは関税撤廃が原則のため、輸出国の要求が強かった」と説明する。同省は、国内生産への影響は限定的とみる。国内の野菜消費量の8割が国産で、輸入はTPPに入っていない中国産が多いためだ。検疫の問題もある。生のジャガイモ(4.3%)は即時撤廃だが、病害虫侵入防止の観点から輸入できない。冷凍で輸入されフライドポテトになる加工用ジャガイモ(8.5%)は4年目に撤廃になるが、既に現状でも輸入がほとんどを占めている。生のサツマイモも検疫の関係で輸入できない。TPP参加国からの輸入が多いカボチャ、ブロッコリー、アスパラガスなども即時撤廃する。現状では国産が出回らない時期に輸入品が流通しているという。TPPでは、これまでの経済連携協定(EPA)交渉で関税が残っていた農林水産品のほぼ半数で、関税を撤廃した。農林水産品全体の合意内容については、同省は19日の週にも公表する予定だ。

*2-4:http://qbiz.jp/article/72354/1/
(西日本新聞 2015年10月8日) 「農畜産守る対策を」 森山農相の地元鹿児島、TPPに厳しい声
 第3次安倍改造内閣で農林水産相に就任した森山裕氏(70)の選挙区の衆院鹿児島5区は、鹿児島県・大隅半島を中心とした国内有数の畜産地帯だ。大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)の国内農業への打撃をいかに抑えるか−。森山氏は就任早々、最大の課題と向き合うが、地元農家からは7日、早くもTPPの具体的な対策を求める厳しい声が相次いだ。「公約を守ったと言えないのではないか」。大崎町で肉牛400頭を飼育する藤岡数雄さん(67)は指摘した。牛肉など重要5項目の保護を求めた国会決議について、森山氏は昨年12月の衆院選で「決議を踏まえて『聖域』を最優先する」と訴えた。だが合意で牛肉の関税は引き下げられる。藤岡さんは「品質に自信はあるが、外国産との価格競争になれば死活問題だ」と危機感をあらわにし「森山さんは地元畜産の現状を熟知している。どう守るのかを早急に示してほしい」と話す。曽於市で豚5千頭を飼う女性(61)も不安がいっぱいだ。後継者になったばかりの長男(37)はやっていけるのか。ずっと森山氏支持だったが「次はTPP対策の中身を見て考えたい」。JA鹿児島中央会の久保茂吉会長は「農業者の不安や現場実態を十分にくみ取り、将来に展望の持てる農政の確立を」との談話を出した。

*2-5:http://qbiz.jp/article/73132/1/
(西日本新聞 2015年10月20日) TPP、関税撤廃率95% 「聖域」で174品目対象
 環太平洋連携協定(TPP)政府対策本部は20日、大筋合意した関税交渉の全容を公表した。農産品や工業品を合わせた全品目の関税撤廃率は、日本は貿易額ベースで95・1%となる。政府が関税撤廃の例外を目指し「聖域」と位置付けたコメや麦など農業の重要5項目では全586品目中、約3割の174品目の関税を撤廃することになる。政府・与党は、重要5項目は守ったとの立場だが、野党や農業団体は反発しており、今後、合意の評価をめぐる論戦が活発化しそうだ。甘利明経済再生担当相は20日午前の閣議後の記者会見で、関税交渉の結果について「(農業保護と貿易自由化の)バランスが取れた協定だ。重要5項目のコア部分はしっかり守れた」と強調した。11月下旬に対策を取りまとめ、年内に影響試算を公表できるとの見通しを示した。政府は、重要5項目で関税を撤廃する174品目は、TPP参加国からの輸入実績が乏しいものなど、影響が比較的軽微なものだとしている。日本が過去に結んだ経済連携協定(EPA)で関税撤廃率を示す自由化率で最も高かったのは、対オーストラリアと対フィリピンのそれぞれ88・4%で、過去に例のない自由化率となる。日本からの工業品輸出では、TPPに参加する日本以外の11カ国が86・9%の品目の関税を撤廃する。これらの品目は貿易額では76・6%を占める。

*2-6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35152 (日本農業新聞 2015/10/28)[徹底 TPP報道] 「決議違反」69% 内閣支持18% 政府と現場認識にずれ 本紙農政モニター調査
 日本農業新聞は、本紙の農政モニターを対象に行った環太平洋連携協定(TPP)大筋合意に関する意識調査の結果をまとめた。農産物の重要品目の聖域確保を求めた国会決議が守られたかどうか聞いたところ、「決議違反」としたのは69%に達した。安倍晋三首相は、農業分野を含めて「国益にかなう最善の結果を得ることができた」との認識を示しているが、生産現場の受け止めと大きく懸け離れていることが浮き彫りになった。安倍内閣を支持するとしたのは18%とかつてない低水準にまで下がり、不支持は59%に上った。国会決議を「順守している」としたのは7%にとどまった。決議では重要品目について「再生産可能となるよう除外または再協議の対象にする」ことを求めている。一方で安倍首相は「関税撤廃の例外をしっかりと確保することができた」と成果を誇っており、生産現場との間で決議の解釈に大きなずれがありそうだ。一方で順守したかどうか「分からない」とした回答も22%あった。国会決議を順守しているかどうかの判断には、農業経営への影響度合いをどうみるかとも関連がありそうだ。大筋合意によって自らの経営が「悪化する」と答えた農業者の87%は「決議違反」とした。経営が「悪化する」とみる農業者は、農業者全体の48%と多数を占めている。経営が「やや悪化する」とした農業者では「決議違反」が64%。経営への影響が「分からない」とした農業者は、49%が「決議違反」とするとともに、44%が決議を順守しているかどうか「分からない」としている。第3次安倍改造内閣に対しては、「支持する」が18%にとどまり、極めて厳しい評価となった。「支持しない」は59%に達し、不支持が支持の3倍にも広がる異例の事態となっている。「分からない」は22%。経営が「悪化する」とみる農業者の場合は「支持する」が8%しかなく、「支持しない」が75%まで増えるなど、政権に批判的な評価が大勢を占めている。調査は農業者を中心とした本紙の農政モニターら1060人を対象に、10月中旬に行った。27日までに771人から回答を得た。

*2-7:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/241183 (佐賀新聞 2015年10月20日) 「農家いじめだ」悲痛な声 熊本でTPP説明会、水田畑作関係品目「国会承認までに対策」
 農林水産省は19日、環太平洋連携協定(TPP)で大筋合意した水田・畑作関係品目の説明会を熊本市国際交流会館で開いた。九州・沖縄各県の行政、農業団体関係者ら約230人が出席し、「地方の意見を対策に反映して」と注文する一方、「米価は上がらないのにこれ以上輸入してどうなるのか。“農家いじめ”だ」と悲痛な声も上がった。農水省は「条約の国会承認までには対策をまとめたい」と強調した。説明会は15日の畜産関係品目に続いて2回目。九州農政局の片桐薫生産部長が「今回の交渉結果は輸出国の意見が強い中、結果としてはベストに近いものになった。ただ合意内容が複雑、多岐にわたるので生産者の誤解を招く一因となっている。少しでも懸念が解消されるよう丁寧に説明したい」と理解を求めた。農水省の担当者は、米の輸入について「既存のWTO枠(77万トン)と別にアメリカ(7万トン)とオーストラリア(8400トン)に国別枠を新設」「増加分は政府備蓄米とし、国内流通量は増やさない」と説明した。麦は「アメリカ、オーストラリア、カナダに国別枠を新設」「(経営所得安定対策の原資となる)マークアップは45%削減する」などと話した。意見交換では、出席者が「飼料用米の助成が終わるのに、輸入枠を増やして米価が安定するのか」「小麦価格が下がると、米の需要に影響があることを考慮しているのか」と米価への影響を懸念した。「国内対策に産地の声を生かしてほしい」「なるべく早く農家に直接説明する場を」との要望も挙がった。説明会後、鹿島市農林水産課の担当者は「新しい情報はなく期待はずれ。今後の国内対策を注視したい」と語った。JA佐賀中央会の担当者は「国は対策するので大丈夫というが、具体的な対策と財源をセットで示してくれないと、農家の不安は解消できない」と指摘した。

<輸出について>
*3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35233 (日本農業新聞 2015/11/4)豚、乳製品で輸出戦略 統一マーク日本食提案 目標20年に倍増 農水省や生産・流通業界
 農水省や生産者団体・流通業者などでつくる輸出戦略実行委員会は、豚肉や牛乳・乳製品などの輸出額目標と取り組むべき方向性を盛り込んだ輸出戦略を決めた。2020年の目標額として豚肉12億円、牛乳・乳製品140億円と、それぞれ14年から倍増させる。統一したロゴマークや、しゃぶしゃぶ・とんかつなど日本らしい食べ方の提案で日本産を売り込む。具体的な輸出拡大策は来年1月までに決定する予定。政府は、農林水産物の輸出額を20年に1兆円にする目標を立てている。実行委員会は、その目標達成に向けた司令塔の役割を担う。これまで畜産分野では牛肉の戦略だけしかなかった。鶏肉は、輸出額の目標を35億円(1万4000トン相当)に14年産から倍増し、鶏卵は26億円(1万トン相当)と同6・5倍に増やす。豚肉は、軟らかさなど日本産の特徴をアピールする。鶏肉は、足(モミジ)だけでなく、骨や余分な脂肪を取り除いた正肉も販売促進する。鶏卵は、生卵の生鮮品としての強みを生かし、すき焼き用の和牛と組み合わせて市場開拓に乗り出す。鶏肉や鶏卵は、統一ロゴマークを作成。これまで個々の有名ブランドを打ち出しがちだったが、まずは日本ブランドを前面に出して知名度を高める。輸出解禁に向けて、検疫協議を進めることや、相手国が求める危害分析重要管理点(HACCP)対応の食肉加工施設の整備、イスラム圏向けのハラール対応などが共通の課題だ。牛乳・乳製品は、口蹄(こうてい)疫の発生や東京電力福島第1原子力発電所事故前の影響で、ピーク時の160億円(10年)から大きく落ち込み、回復しきれていない。乳製品需要が大きい中国の日本産輸入の停止が響いており、輸入規制の解禁と安全性への信頼回復が鍵だ。アジア市場の近さを生かした新鮮な乳製品の販売や付加価値の高いチーズの売り込みも今後の課題になっている。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/211827
(佐賀新聞 2015年7月25日)ビゼンクラゲ漁最盛期、中国からの需要急増
◆有明海夏の貴重な収入源に
 中華料理の高級食材として知られるビゼンクラゲの漁が佐賀県沖の有明海で最盛期を迎えている。以前は網にかかると処分に手間がかかる“厄介者”だったが、中国からの需要が急増した4年ほど前から漁が活発化。夏の漁閑期の貴重な収入源になっており、各漁港には直径60~70センチに成長した大きなクラゲが水揚げされている。ビゼンクラゲは通称アカクラゲとも言われる大型のクラゲで、有明海にも広く生息。直径70~80センチ、重さ30キロまで成長する個体もある。今年は、1日に漁が解禁された。有明海では主に刺し網で捕獲しており、船上で傘の部分と足の部分を分離。海水できれいに洗浄した後、水揚げしている。価格は1キロ300円ほどで、数年前と比べ1・5~2倍に跳ね上がっている。今年から共同出荷を始めた県有明海漁協鹿島市支所では、クラゲ漁に取り組む漁業者約50人のうち、13人が1日平均約5トンを水揚げしている。同支所の担当者は「例年と比べても大きく育ったクラゲが上がっている」と期待。鹿島市の浜漁港では、漁を終えた船が次々と入港し、コンテナに入れたクラゲをクレーンで陸揚げしていた。同支所のクラゲは、長崎県や熊本県の加工施設に出荷。加工後、ほぼ全量が中国に向けて輸出されるという。漁のピークは、ノリの準備が始まる前のお盆ごろまで。その後、需要などを見極めながら10月まで続く。

*3-3:http://qbiz.jp/article/74179/1/
(西日本新聞 2015年11月5日) ナマコ漁、九州でも熱視線 佐賀から中国に輸出へ
 中国で、日本産ナマコが以前の3倍の値を付けるなどブームになり、九州で量産に向けた研究などが進んでいる。国内ではこれまで北海道や青森県が主な産地だったが、佐賀県の業者が玄界灘での養殖に力を入れており、来年から出荷を本格化させる。ナマコは中国で高麗ニンジンに匹敵する薬効があるとされ、現地では中華料理のスープなどに使われる。人気は「マナマコ」と呼ばれる種類で、日本は一大産地。全国の沿岸に生息し、北部ほど肉質がよく、北海道産を中心に中国の需要が増えている。中国への輸出量が全国トップクラスの青森県によると、2000年に1キロあたり600円程度だった市場単価は14年には2千円まで上昇。漁獲額は年約30億円に上り、スルメイカ、ホタテ、サバに次ぐ4番手の水産資源に成長したという。九州ではもともとのナマコの生息数が少なく、海外輸出への関心も高くなかったが、佐賀県玄海水産振興センター(同県唐津市)が研究に取り組み、卵から稚ナマコに成長するまでの育成ノウハウを確立。現在では採卵後3〜4カ月間の飼育で、体長2センチ程度の稚ナマコを100万匹以上、生産できるようになった。この技術を生かし、元唐津市職員の峯治生さん(63)は昨年、地元に「唐津なまこ産業」を起業。100万匹の稚ナマコを放流し、漁業者と一緒に玄界灘で育てており、来春から中国への輸出に乗り出す。ナマコの内臓を取り除いてゆで、乾燥させた加工商品だ。ただ、ナマコの養殖は容易ではなく、福岡県水産海洋技術センター有明海研究所では、海の塩分濃度などから稚ナマコの試験養殖がうまくいかず、普及を断念したケースもある。峯さんも、放流した稚ナマコの3割の目減りは覚悟しているが、苦戦が続く水産業の打開を図るためにも「地域の漁師みんなが潤うような資源に育てていきたい」と力を込める。 


PS(2015年11月6日追加) :TPP全文は昨夜公表されたため上の記載には考慮していないが、ここまで経済に負の影響を与える可能性のある条約を、秘密裏に作成して読み切れないほどの分量の文書を突然公表するのは安全保障関係条約と同じ手口だ。しかし、ここまで長くて複雑な文章によいものはない。また、酒やウイスキーの産地制限は自由貿易の理念に反する上、「遺伝子組み換え作物の情報交換のための作業部会」を作っても、どういう人がどういう理念で情報交換し、その結果をどうするのかについては、これまでの行動から全く希望が持てないわけである。

      
2015.11.5 2015.11.6 2015.10.10           2015.11.6
 佐賀新聞   朝日新聞   佐賀新聞              農業新聞

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12053445.html
(朝日新聞 2015年11月6日) 「組み換え」消費者に不安 市場開放要求の懸念も TPP全文公表
 環太平洋経済連携協定(TPP)の全文が5日、初めて公表され、消費者の関心の高い規定が新たに判明した。遺伝子組み換え(GM)作物で情報交換のための作業部会を設置するほか、「日本酒」や「バーボン」のブランドを守るために日米が協力することを定めた。食の安全面から関心の高いGM作物について、情報交換のための作業部会を設けることになった。農林水産省によると、このような部会は世界貿易機関(WTO)や、これまで日本が締結した経済連携協定(EPA)でもないという。日本ではGM作物を使った食品の販売が一部認められているが、豆腐や納豆についてはGM作物を使っているという表示義務がある。安全性を不安視する消費者が多いためだ。作業部会は、GM作物の種子を作っている企業などに、より多くの情報を求めることができるメリットもある。一方で、作業部会を通じて、GM作物の輸出大国である米国が市場開放を強めてくる懸念もある。GM作物の表示義務をなくすことを求めたり、日本の安全確認作業が貿易の障害になっていると訴えたりする可能性もある。日本政府は5日の会見で、部会は「法令などの修正を求めるものではないと明記した」と説明した。また、協定発効の7年後、関税率やセーフガードの見直しについて協議するという規定も、米国、カナダ、豪州、チリ、ニュージーランドとの間で交わした。日本は、他国に比べ農産品の関税撤廃率が約8割と低い。再協議では、さらなる関税撤廃を強く求められる可能性もある。
■車輸出の拡大、進まない恐れ
 一方、自動車では、日本は米国とカナダに「特例」を設ける譲歩をしていた。例えば、米国が日本の乗用車にかけている2・5%の関税は協定発効から25年目で撤廃されるが、その後10年間は輸入急増時にセーフガードを発動し、関税率を2・5%まで引き上げることができる。日本の自動車メーカーは現地生産を進めていて、輸出の比率は昔に比べて大きくはない。とはいえ、今後も国内で一定規模の生産や雇用を維持するためには、輸出は重要な課題だ。しかし自動車は、もともと関税撤廃までの期間が長いうえ、こうした制限措置も長く残ることで、TPPによる両国への輸出拡大はあまり進まない可能性もある。
■バーボン、米国産だけ 他国製販売禁止 米で日本酒も
 米国、カナダとは、自国で製造した酒を保護する文書を交わした。米国は、日本酒(ジャパニーズ・サケ)や山梨ワイン、球磨焼酎、薩摩焼酎、琉球泡盛など7銘柄について、日本でつくっていない商品の米国での販売を禁止する方向だ。中国などでつくられている「日本酒」を名乗る清酒を米国から締め出し、商品に地名を冠する「地理的表示」を知的財産として守るねらいがある。逆に日本は、米国でつくられたものでないバーボンウイスキーやテネシーウイスキーの日本国内での販売を禁止することになる。日本のある酒造メーカーは米国内の工場で清酒を生産し、「Sake」として現地販売している。「日本酒ではなく、清酒として売っている」(メーカー側)ため、禁止の対象からは外れる見通しだ。
■<解説>成長の機会、生かせるか
 1500ページを超すTPPの文書は、貿易や投資から遺伝子組み換え作物まで、幅広い分野で今後の経済活動の新しい土台を示すものだ。アジア太平洋を取り囲む8億人もの巨大市場が、明文化された統一ルールで動き出す意義は大きい。日本は途中から交渉に加わったが、投資や電子商取引でルールづくりを主導した。域内に製品や農産品を無税で輸出し、より安全に投資して事業のネットワークを築く足がかりも得た。ただ、国益がぶつかり合う通商交渉では、各国に一定の譲歩が避けられない。コメや牛・豚肉などは関税撤廃を免れたものの、果物や水産物など多くの農産品の関税は撤廃され、米国の自動車市場の開放は25年も待たされることになった。「食の安全」への懸念も払拭(ふっしょく)できたとは言えない。関税の恩恵を除けば、TPPがもたらすのは「機会」に過ぎない。それを企業の成長に、消費者の利益に結びつけられるか。真価はこれから問われることになる。


PS(2015年11月7日追加):防衛大臣は、*4のように、一生懸命に食品生産をしている宝の海をしつこく米軍利用候補地にしたがるなど、どこまでセンスが悪いのだろうか(人はいいんだけど・・)。山口知事は、きっぱりと断るべきである。

*4:http://www.saga-s.co.jp/column/osprey/21601/247344 (佐賀新聞 2015年11月7日) 防衛省、9日に佐賀市と県漁協訪問、「現地調査」説明へ 自治会と意見交換
■秀島市長、慎重姿勢強調
 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイの配備計画をめぐり、防衛省整備計画局長が9日、佐賀市と県有明海漁協を訪れる。取得候補地の現地調査について両者に説明し、理解、協力を求めるとみられる。10月29日に中谷元・防衛相が県に現地調査への理解を求めた際、山口祥義知事は市と漁協の了解を前提に容認していた。両者が了解すれば現地調査が進められることになり、対応が注目される。佐賀市や漁協関係者によると、防衛省から「十分説明できていない部分があった」として、再度訪問したいとの意向が伝えられた。市は、午後1時に秀島敏行市長が対応する。秀島市長は「何のために来るか、具体的には聞いていない」とした上で、現地調査を容認するかどうかは、「説明を聞かないと分からない」と語った。6日の自治会協議会理事会との意見交換会では、循誘校区の黒木照雄自治会長(70)が、中谷防衛相が米軍利用の要請を取り下げた提案に対する市長の考え方をただした。秀島市長は「他県並みの米軍利用は相談するかもしれないということで、完全に心配しなくていいわけではなかった」と慎重姿勢をあらためて強調した。防衛省が計画している現地調査に関しては、「佐賀市に正式な申し入れはあっていない」と述べ、是非には触れなかった。


PS(2015年11月8日追加):やったふりをする偽装は、政治や行政はじめ結果の見えにくいホワイトカラーに多く、悪い手本となっている。しかし、*5の「①工期厳守を求める元請けのプレッシャーを感じ、やむを得なかった」「②記録装置の印刷失敗や紙の水ぬれ、機器の不具合などでデータを記録できないこともある」「③くい打ちは、地質調査で安全と分かっている場合、迷惑を掛けないよう多少の問題には目をつぶった」「④地盤が予想より軟らかいケースがしばしばあり、ドリルで掘削した際、強固な地盤に達したことを示す理想的なデータが取れない場合がある」などは、①②は、働く人としての基本ができておらず、③は、本当にそうなら報告して設計変更する必要があり ④は計測のやり直しをすべきであるため、単なる言い訳にすぎず、このように日本の労働力の質は落ちているのだ。

*5:http://qbiz.jp/article/74432/1/
(西日本新聞 2015年11月8日) データ改ざん「旭化成建材だけでない」 他社くい打ち担当証言
 傾いていることが判明した横浜市のマンションでくい打ちを手掛けた旭化成建材(東京)とは別の建設会社の関係者が、7日までの共同通信の取材に「自分もくい打ちのデータを流用したことがある」と証言した。工期厳守を求める元請けのプレッシャーを感じ、やむを得なかったとし、一連のデータ改ざん問題は「旭化成建材だけの話ではない」と強調した。データ改ざんが業界全体の問題となれば、建物に対する市民の不安はさらに増すことになる。国土交通省はまず旭化成建材による改ざんの原因を究明し、他社にも調査を広げるかは有識者委員会で検討する方針。取材に応じたのは、大手ゼネコンなどが手掛けるマンションの基礎工事に長年携わり、現場責任者の実務経験もある50代の男性。くい打ちは、安全面に支障がないと判断した上で「データを他から流用し、施工報告書に付けて元請けに提出した経験がある」と明かす。男性によると、地盤が予想より軟らかいケースがしばしばあり、ドリルで掘削した際、強固な地盤に達したことを示す理想的なデータが取れない場合があるという。また、記録装置の印刷失敗や紙の水ぬれ、機器の不具合などでデータを記録できないこともある。その場合、本来は元請けに報告しやり直す必要があるが、時間やコストがかさむことになる。「地質調査で安全と分かっている。迷惑を掛けないよう多少の問題には目をつぶった」と男性は苦しげに話す。ただ、くいが強固な地盤に届かないまま放置することはあり得ないとし、横浜市のマンションのケースは「度が過ぎる」と話した。工期を延ばせず、下請けにプレッシャーがかかる背景には、マンションを完成前に販売する「青田売り」のシステムを挙げた。


PS(2015年11月12日追加):安倍首相は、(私の提案で)電力自由化や女性活躍推進を進めて下さっているので、あまり批判したくはないのだが、経産省発のTPPは、食料自給率低下への影響も大きく、それは安全保障上も問題だ。何故なら、人類の戦いの多くは、食料や資源をめぐって行われてきたからで、私も、*6-1のように、TPPの影響について国会で詳細に議論すべきだと考える。なお、*6-2のように、2014年のミカンの輸出先はカナダが91.3%で1位とのことだが、私は、中央アジア、ロシア、ヨーロッパなどの他の寒冷地、砂漠地帯、季節が逆の南半球などには、日本のミカンを輸出できると思う。そして、これは、TPPでなくともFTAやEPAでも同じ効果が得られる。

*6-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=35311 (日本農業新聞 2015/11/11)[徹底 TPP報道] 「国会決議に沿う」 大筋合意内容で首相 野党「違反認めよ」 閉会中審査
 衆院予算委員会は10日、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)交渉などをテーマに閉会中審査を行った。合意内容が、米など重要5品目の「聖域」確保を求めた国会決議に即しているかどうかについて、安倍晋三首相は、国会の判断だとしながらも、「国会決議の趣旨に沿う合意を達成できた」との認識を示した。民主党の玉木雄一郎氏(香川)が「国会決議違反を認めるべきではないか」とただしたのに答えた。日本のTPP交渉参加に際し、衆参の農林水産委員会は2013年4月、農林水産物の重要品目が「引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」とする決議を採択。だが大筋合意で政府は、関税分類上の細目ベースで、重要5品目の30%、農林水産品全体では81%で関税撤廃を容認している。首相は、農林水産品の関税撤廃率が他の参加国に比べて低いことを取り上げ、「2割を例外なき関税撤廃の外におくことができた」と強調した。食料自給率への影響について首相は「今回の大筋合意に加えて、これに対する対策も踏まえて考える必要がもちろんある」と答弁。また、TPPの経済効果分析は、総合的に検討しているとして「年内には国民に分かりやすく提示したい」と述べた。安倍首相は国内対策について「(攻めの農業実現の)大きなチャンスにする」と輸出支援などに力を入れる考えを強調。「農家の不安に寄り添いながら、政府全体で万全の対策を取りまとめ実行していく」と述べた。自民党の稲田朋美政調会長の質問に答えた。協定発効7年後に関税の取り扱いを再協議するとした規定に対し、不安が広がっていることについて、甘利明TPP担当相は「一つの合意が他の合意と複雑に絡み合っている。一つ見直せば全体が崩れる可能性がある」との考えを強調した。大筋合意後、初の国会論戦となったが、盛り上がりを欠いた。野党は同日の委員会で「臨時国会を開いて、しっかりTPPの問題を議論する場所をつくるべきだ」(維新の党の松野頼久代表)と迫ったが、安倍首相は「外交日程や予算編成の日程を勘案しながら検討したい」とかわした。

*6-2:http://qbiz.jp/article/72956/1/
(西日本新聞 2015年10月19日) 【ある国に91・3%】九州産温州ミカンの輸出先
 日本人にとって冬と言えば「コタツでミカン」が定番だが、実は、海外のある国でも九州生まれの温州ミカンが愛されている。門司税関によると、2014年のミカンの輸出実績は全国で3288トン。このうち、主に、九州産が輸出される同税関管内の実績は2004トンで全国の6割超を占める。特筆すべきは輸出先の国別シェアだ。同管内分はカナダが91・3%と首位で、2位の香港(4・8%)を大きく引き離す。なぜカナダで温州ミカンが人気なのか。同税関によると、日本産の温州ミカンは1891年に初めてバンクーバーに陸揚げされた記録があり、100年以上前から親しまれているという。カナダ大使館(東京)職員に電話で話を聞いてみた。カナダ人の職員は「カナダの冬は寒さが厳しくて果物が育たないので、昔から日本産が流通しているのでは」と推測してくれた。向こうで温州ミカンは「クリスマスオレンジ」や「マンダリンオレンジ」と呼ばれ、冬にスーパーに行けば必ず並んでいるのだとか。最後に、職員は「日本のミカンはおいしいので私も大好きですよ」と話してくれた。2014年、日本とカナダは修好85周年を迎えたが、修好のだいぶ前から両国の関係を結んでいた温州ミカン。なかなか、すごいヤツなのである。

☆このような記事を女性が書くと、「風評被害(根拠のない噂による被害)」「感情論(科学性・論理性のない感情まかせの議論)」「過剰反応(必要以上の不合理な反応)」「生意気」などと言う人が少なくなく、これは偏見による女性の過小評価であるため、この記事を書くにあたっては、経済学、経営学、心理学、監査、法律、国際税務、栄養学、生物学、公衆衛生学などの知識や経験を使ったことを記載しておく。  

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