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2016.1.12 男女平等と夫婦別姓 ― 問題の本質は何か? (2016年1月14日、15日、17日、19日、2016年9月29日に追加あり)
 
               2015.12.17日経新聞                  2015.11.27
                                                 朝日新聞 
 家族制度は、夫婦のためだけにあるものではなく、発言権のない子の権利保護も重要であるため、私は、夫婦と子の両方の視点から記載する。なお、当然のことながら、私は家制度を擁護する者ではない。

(1)2015年12月16日の最高裁判決について
1)夫婦の同姓・別姓は男女平等の問題ではないこと
 最高裁は、*1-1、*1-2、*1-3のように、①夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条の規定は合憲 ②夫婦同姓は日本社会に定着しており合理性がある ③改姓による不利益は通称使用が広まることで一定程度は緩和される とした上で、④選択的夫婦別姓制度に合理性がないと断ずるものではなく、制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だ としている。

 私も、民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定されているため女性差別ではなく、妻の姓になった男性にも同じ不便があると考える(実際に、戸籍上は奥さんの姓に変更して通称使用している男性から不便が多いとの苦情を受けた)。しかし、姓というのはFamily Nameであるため、Familyを判別するには同姓である方が便利であり、夫婦別姓を選択した場合には子の姓がどうなるのか曖昧で、夫婦別姓同士の夫婦が子連れで再婚した場合にも家族の姓がバラバラになる可能性があるため、*3の国連改善勧告はあるが、私は法律的夫婦別姓がよいとは思わない。

 そのため、婚姻で姓が替わった人は通称使用を可能とし、戸籍謄本で証明すればパスポートや預金口座はじめ、あらゆる法律行為で堂々と通称使用することを可能にすれば、*2-2のようなキャリアの断絶をはじめとするすべての不便が解消され、子の姓の心配をせずにすむ。ちなみに、私が「広津素子(戸籍名:平林)」という旧姓の通称を使って訴訟しようとした時には、佐賀地裁唐津支部の裁判官が、通称使用するキャリア女性に慣れていなかったせいか、偽名(!!)を使っているようなことを言った。つまり、通称使用したために信用が落ちたり、不便な思いや嫌な思いをさせられたりするという差別をやめてもらわなければ、堂々と通称使用することができないのだ。

2)女性だけの再婚禁止期間は女性差別で違憲だということ
 最高裁は、「女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条の規定のうち、100日を超える部分は違憲」としている。しかし、この規定の立法趣旨である「①子の父親が誰かを確定する」「②父親としての責任を持たせる」という点について、①は、DNA鑑定や血液型などを組み合わせれば、父親をかなり正確に判定することができるため、違憲なのは100日を超える部分だけではない。また、②についても、自分が父親だと名乗り出ている男性がいる場合に、前夫が父親の責任を果たすとは考えられないため、状況を勘案すれば、100日以内でも子の帰属を新夫婦に決めてさしつかえない筈だ。

 しかし、女性の方も、出産は子の戸籍が複雑にならない状況の下で行うのが、*2-1とともに、自分の子に幼い時から悲しく複雑な思いをさせないため、必要なことだ。

(2)問題の解決
 *3のように、国連の女性差別撤廃委員会が、2003年に「規定は差別的だ」と廃止を求め、2009年にも再勧告した理由は、結婚した時に9割のカップルで女性が姓を変更するという事情に基づいているが、残り一割の養子男性が無視されてよいわけはない。また、現在では、1996年当時とは異なり、通称使用も次第に認められてきているため、この通称使用を不便や差別がないように事務的に徹底させれば、民法を改正して夫婦別姓を認めるよりも、よい解決策になると私は考える。
 
 なお、私は、「家族の一体感が損なわれる」というよりも、(1)で述べたように、Family NameがバラバラではFamily Nameとして機能せず、子にもいらぬ苦労を与えることなどを総合的に考えると、徹底して不便や不利なく通称使用できるようにした方が、あらゆる面で問題が起こらないと考える次第だ。

*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H72_W5A211C1MM8000 (日経新聞 2015.12.17) 夫婦同姓規定は合憲 最高裁「国会、別姓議論を」 再婚禁止100日超は違憲
 夫婦は夫か妻の姓に合わせるとした民法の規定が憲法に違反するかが問われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、合憲とする初判断を示した。離婚した女性は6カ月間再婚できないとの規定を巡る別の訴訟では「100日を超える部分は違憲」とした。違憲立法審査権(総合2面きょうのことば)に基づき、最高裁が法律の規定を違憲と判断したのは戦後10件目。夫婦同姓を法律で義務付ける国は世界の中で日本だけとされ、国連の委員会から是正を求められている。大法廷は社会に定着していることを重視し、合理性があると結論づけた。一方で、職場などで旧姓を使う女性が増えている現状を踏まえ、選択的夫婦別姓制度を採用するかどうか、国会で議論するよう求めた。夫婦別姓訴訟の判決は裁判官15人のうち10人の多数意見。女性3人を含む5人の裁判官が「規定は違憲」とする反対意見を付けた。大法廷は判決理由で、「姓は家族の呼称としての意義があり、1つに定めることにも合理性が認められる」と判断した。現実には、女性が改姓することが多く、アイデンティティーの喪失感を抱く場合があることは否定できないとしつつ「通称使用が広まれば、不利益は一定程度緩和される」と指摘した。選択的夫婦別姓制度に関しては「合理性がないと断ずるものではない」と言及し、制度のあり方は「国会で論ぜられ、判断されるべきだ」とした。再婚禁止期間訴訟の違憲判断は15人の裁判官の全員一致。2人が「100日以内も違憲」と意見を述べた。大法廷は「父子関係を巡る紛争防止のために意義がある」としたが、100日超の部分は「医療や科学技術の発達などで遅くとも(原告が婚姻届を出そうとした)2008年当時は違憲になっていた」と指摘した。賠償請求は「当時違憲だったことが明白だったとはいえない」として退けた。問題となった2つの規定は明治時代から続いている。別姓訴訟は11年に男女5人、再婚禁止期間訴訟は08年に岡山県の女性が国に損害賠償を求めて起こした。
●最高裁判決の骨子
【夫婦別姓訴訟】
○夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条の規定は合憲
○夫婦同姓は日本社会に定着しており合理性がある。改姓による不利益は通称使用が広まることで一定程度は緩和される
○選択的夫婦別姓制度に合理性がないと断ずるものではない。制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄である
【女性の再婚禁止期間訴訟】
○女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条の規定のうち、100日を超える部分は違憲

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015121702000118.html (東京新聞 2015年12月17日) 夫婦別姓認めぬ規定「合憲」 最高裁初判断 「家族の姓一つに合理性」
 明治時代から家族のあり方を定めてきた民法の二つの規定について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎(いつろう)長官)は十六日、初の憲法判断を示した。夫婦別姓を認めない民法七五〇条が憲法違反かどうかが争われた訴訟では、「結婚時に夫または妻の姓(氏)を名乗る」との規定を「家族の呼称を一つに定めることには合理性があり、女性の不利益は通称使用で緩和できる」と、合憲と判断した。女性のみ再婚を六カ月間禁じる民法七三三条をめぐる訴訟では、百日を超える部分を「生まれた子の父の推定には不要で違憲だ」とした。最高裁が法律の規定を違憲としたのは戦後十件目。再婚禁止期間については、国会は今後、百日に短縮する法改正をする。最高裁は夫婦別姓訴訟の判決で、「いずれの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねており、規定には男女の形式的な不平等はなく、憲法違反とはいえない」とした。ただ、希望すれば結婚前のそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」にも一定の合理性を認め、「どのような制度にすべきかは、社会の受け止め方を踏まえ、国会で論じられ判断されるべきだ」と、国会での積極的な議論を促した。現在の規定が「合憲」との判決は裁判官十五人のうち十人の多数意見。女性裁判官三人は全員が違憲と判断し、「多くの女性が姓の変更による不利益を避けるため事実婚を選んでいる。別姓を全く認めないことに合理性は認められない」などとした。判決は「姓の変更で不利益を受けるのは女性の場合が多いと思われる」と認めたが、旧姓の通称使用が一般的になっていることなどから、「個人の尊厳と男女の平等に照らして合理性を欠く制度とは認められない」と結論づけた。夫婦別姓をめぐっては、法相の諮問機関の法制審議会が一九九六年、選択的別姓制度の導入を盛り込んだ民法改正案を答申した。しかし、自民党などから「家族の一体感が壊れる」といった批判を受け、法改正は棚上げされてきた。訴訟の原告は東京都、富山県、京都府の男女五人。国会が選択的別姓制度を導入するための法改正を行わず精神的苦痛を受けたとして、計六百万円の損害賠償を求めた。二〇一三年の一審東京地裁判決は「結婚後、夫婦が別姓を名乗る権利は憲法上、保障されていない」として請求を棄却。昨年三月の二審東京高裁判決も規定を合憲と認め、一審判断を支持した。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/260642
(佐賀新聞 2015年12月17日) 夫婦別姓と再婚禁止、政治主導で議論深めよ
 夫婦別姓を認めず、女性にだけ離婚後の再婚禁止期間を6カ月とする民法の規定について、最高裁が初めて憲法判断を下した。夫婦同姓規定は「形式的な不平等はなく、社会に定着している」などとして合憲と判断、再婚禁止期間は「100日を超える部分は違憲」との立場を示した。ただ夫婦別姓は「国会で論じられるべき」と立法で解決すべきとの意見を付した。政治が主導して時代に合ったあり方の議論を深めるべきだ。民法は、結婚した男女が夫か妻のいずれかの姓を共に名乗るよう定め、子どもの親をめぐる混乱を避けるため女性にだけ離婚から6カ月経過しなければ再婚できないと規定する。「家制度」を尊重した明治民法で設けられた。再婚禁止規定に関しては、期間中に生まれた子は前夫の子と扱われていた。このため出生届をためらって子どもが無戸籍となるケースもあった。現在はDNA鑑定の精度は向上している。こうした医療や科学技術の進歩を挙げて100日を超える部分を「過剰な制約」とした最高裁の判断は、一歩前進といえる。一方、夫婦同姓については、改姓によって「アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的信用や評価の維持が困難になったりするなどの不利益を受けることは否定できない」と一定の理解を示しながらも、旧姓使用で「緩和される」として原告の訴えを退けた。夫婦どちらの姓にするのかは自由だが、現実的には妻が夫の姓を名乗るケースが9割以上を占める。最高裁が指摘するように、旧姓の使用を認める職場は広がっている。ただ生活の中では、銀行口座や運転免許、健康保険証など戸籍上の姓しか認められない場面が少なくなく、煩わしさを訴える声があるのも事実だ。また改姓によって自分の実家の名前が途絶えることに心痛める女性もいる。こうした煩わしさや苦痛を避けようと事実婚を選ぶケースもある。世界を見回しても、日本以外に夫婦同姓を強制する制度はほとんどない。かつてドイツやタイが夫婦同姓を採用していたが、法改正を進めて選択制を導入している。国連の女性差別撤廃委員会は2003年と09年に、これらの規定を差別的な規定と批判し法改正するよう勧告してきた。科学者らでつくる日本学術会議も昨年6月、選択的夫婦別姓制度の導入や女性の再婚禁止期間の短縮、または廃止などを提言している。こうした意見がある中、世論は割れている。2012年の政府の世論調査では、選択制導入に反対が36・4%、賛成が35・5%だった。ただ男女とも若い世代ほど賛成派が多く、20代が47・1%、30代は44・4%だった。結婚で問題と向き合うことになる当事者の声は重く受け止めるべきだろう。法相の諮問機関の法制審議会が1996年に選択制導入などを盛り込んだ民法改正案を答申したが、保守系国会議員の抵抗で法案提出できなかった経緯がある。女性の社会進出が進み、家族のあり方も多様化している。一つの形に押し込めるのではなく、多様性を認める社会環境をつくることが個人の幸福追求を支えることにつながる。最高裁の判断を契機に社会全体で議論を深めたい。

<姓、アイデンティティー、キャリアの蓄積>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H7K_W5A211C1CC100(日経新聞2015.12.17)夫婦別姓願う女性落胆、原告「立法へ新たな議論を」
 夫婦や家族のあり方をめぐって注目された2つの司法判断が16日、最高裁で言い渡された。夫婦別姓への期待を膨らませた原告らは落胆したが、判決は姓などを巡る制度は「国会が判断すべきだ」との問題提起もした。多様な夫婦の形と法を巡る議論のバトンは、司法の場から立法府に戻ることになる。「政治でもダメ、司法に訴えてもダメだった。今後どうしたらいいのか」。判決後、東京都内で記者会見した原告の1人、行政書士の小国香織さん(41)の表情は硬かった。2006年の結婚前、夫とともに「姓を変えたくない」と考えていた。入籍をしない「事実婚」の選択肢も頭をよぎったが、「夫が事故や病気で手術が必要な際、家族としての意思表示ができないかもしれない」と迷い、小国さんが改姓した。夫の姓は「丹菊」。きれいな字面が気に入っている。しかし小国香織として生まれ、約30年間過ごしてきた。「丹菊香織は全くの別人」との違和感を抱えながら生きてきた、という。日常生活や職場では小国姓を使い、遺言状の作成など公的書類への署名は丹菊。依頼人から「誰かなと思っちゃった」と言われたこともある。この日の判決では、子供への影響も同姓を合憲とする根拠とされた。保育園児の長女(6)には自身の選択の理由や裁判のことも話している。長女は「結婚しても丹菊のままがいい」と話しているといい、会見で小国さんは「(判決を)娘にどう説明したらいいか」と肩を落とした。原告からは、裁判官5人が違憲としたことを評価する声も上がった。加山恵美さん(44)は「初回の挑戦にしては頑張ったのではないか」と話した。30代の吉井美奈子さんは「訴訟を通じて多くの人に理解を得られたことは前進」と話した。原告団長の塚本協子さん(80)は「別姓は世界では当たり前。認められなくて、つらい」と涙を流しながらも、「婚外子の法律が変わるまで26年かかった。諦めないで引き継いでほしい」と前を向いた。「5人(の裁判官)が違憲と言ってくれた。その違憲に将来を託したい」。判決には国会での議論を促す文言も盛り込まれた。来年2月に国連の女性差別撤廃委員会による3度目の日本の審査が行われることもあり、榊原富士子弁護団長は「ここからが立法に向けた新たなスタートだと感じている」と話した。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H6G_W5A211C1CC1000 (日経新聞 2015.12.17) 働く女性「職場の不便見ていない」「旧姓での業績こだわり」
 職場などでは、戸籍上の姓と旧姓を使い分ける女性が増えている。ただ実際には不便さを感じている人も多く、柔軟な制度を求める声があがる。東京・霞が関で働く30代の官僚は2011年に結婚。職場では旧姓をそのまま使ってきた。中央省庁や自治体は「出勤簿」「職員録」などの内部文書で旧姓使用を認めている。ただ公文書を作る場合には戸籍上の名前で署名、押印しなければならない。この女性は「使い分けに不便さを感じることもある」と打ち明ける。近い将来、地方の関連機関に出向する可能性があるという。幹部になれば署名する機会も増える。「出向したら職場の呼称も戸籍名にする。初めての勤務地では呼称と公文書の名前を同じにしたほうが周囲が混乱しない」。都内に住むウェブディレクターの女性(31)は結婚して2年がたつ。「夫の姓を名乗るのは違和感がある」と仕事では旧姓を使い続けている。だが、生活では銀行口座や健康保険証など、戸籍名に変えざるを得ない場面に直面する。そのたびに「女性側が一方的に負担を強いられている」と感じる。判決は国会での議論を促したが「判断を国会に丸投げした。裁判官はきちんと実態を見ていない」と憤った。内科医で、政策研究大学院大学教授の鈴木真理さん(61)の旧姓は「堀田」。国内で論文を発表する時は「鈴木(堀田)真理」と両方を併記する。海外に投稿する論文には堀田しか使わない。旧姓にこだわるのは結婚前の名前で認知されてきた研究者としての業績が途切れないようにするためだ。鈴木さんは「司法の英断がなかったのは残念。手間がかかるけど、もう慣れた」と今後もこれまでのスタイルを続けていく。千葉大病院神経内科講師の三澤園子さん(41)は「医師免許を取った時の名前で医療を続けていきたいという思いから旧姓を使っている」。三澤さんらは千葉大の医局出身の女性医師50人で「立葵の会」を結成し、女性医師が仕事を長く続けていくための支援活動を展開する。その一環として結婚後の旧姓使用などに関するマニュアルも作成した。医師免許は旧姓のままでもいいが、国への登録は戸籍名に変更するなど複雑で、「名前をめぐって悩む女性医師は多い」という。

<国連の勧告>
*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16HBF_W5A211C1CC1000 (日経新聞 2015.12.17) 「差別的」国連が改善勧告
 夫婦同姓と女性の6カ月間の再婚禁止を定めた2つの規定は、明治時代の「家制度」に基づいて民法で規定され、戦後の改正でも残り続けた。1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が見直しを答申したが、「家族の一体感が損なわれる」などの反対意見で実現しなかった。夫婦別姓に前向きだった民主党政権下でも法務省が法改正を模索したが、法案提出にすら至らなかった。しかし世界的にも珍しい規定に国際世論は厳しい目を向けている。国連の女性差別撤廃委員会は2003年、「規定は差別的だ」と廃止を求め、09年にも再勧告した。それでも日本は動かず、昨年「法改正は国民の理解を得て行う必要がある」と釈明。同委員会は来年2月、日本の次回審査を予定している。別姓を認めなかった今回の判決も踏まえ、あらためて厳しい内容が勧告される可能性もある。


PS(2016年1月14日、15日追加):*4-1のように、「人口減少が経験したことのないスピードと規模で起こり、国が滅びかねない」などと大げさな警笛を鳴らし、*4-2のように、厚労省がインターネットで公開している広報漫画で「女性は年金制度維持のために、結婚してたくさん子どもを産めばいい」などと主張しているのは、政治と行政を挙げての著しい人権侵害だ。そもそも、保育の質と量は、私が聞いて知っているだけでも1960年代から問題視されていたにもかかわらず、厚労省が対応を怠ってきた上に、このようなジェンダー・キャンペーンを行うのは、自己実現したいと思って努力を積む真面目な女性の足を引っ張り、その結果として、彼女らに活躍の舞台として日本を選ばない決断をさせる。また、*4-3のように、知事も結婚支援や出産支援に突っ走っているが、これらは、戦前の「産めよ増やせよ」論を想起させる。そして、このように政治や行政の女性に対する意識が低いのが、我が国の一貫した問題なのだ。
 なお、日本の人口は、下のグラフのように、明治維新(産業革命の始まり)の後に急激に増加したもので、明治維新当時の日本の人口は3000万人程度であり、現在では地球上のすべての国にその産業革命が浸透しつつあり、日本の食料自給率は39%しかない。そのため、食料を例にとれば、生産性が上昇しない限り、日本の国土が養える人口は5000万人程度(1.3億人x39%)で、現在は人口の生物学的調整時期ということになる。つまり、問題解決するには、経緯と現状を広い視野で総合的に考えて、まず本質的な原因を把握しなければならないのだ。

    
     日本の人口推移と出生率推移        世界の人口推移    食料自給率推移と国際比較

(*グラフの読み方:日本の近年の出生率は、太平洋戦争後の第一次ベビーブームとその子供世代が出産適齢期を迎えた第二次ベビーブーム以外は一貫して減少しているのに、最近になって急に少子高齢化を言いたてているのは、行政のご都合主義だ。また、日本の食料自給率は一貫して下がっているが、他の先進国はそうではないため、食料自給率低下は産業革命の結果ではなく政治・行政による産業政策失敗の結果と言える。そして、世界は人口爆発の時代に突入しているため、これは大きな問題だ。)

*4-1:http://qbiz.jp/article/78567/1/
(西日本新聞 2016年1月14日) 石破担当相が地方創生を語る
 九州の企業や自治体の在京責任者でつくる「二水会」(西日本新聞社主宰)の1月例会が13日、東京都内であり、石破茂地方創生担当相が「地方創生の課題と展望」と題して講演した。石破氏は、国内の人口減少を急降下するジェットコースターに例え「経験したことのないスピードと規模で起きる」と説明。地方創生に失敗すると、国が滅びかねないと述べた。政府は全自治体に、人口減対策や将来像をまとめた総合戦略を3月までに策定するよう求めている。石破氏は、行政任せではなく、企業や大学などによる「市民総参加」で作り上げる計画こそ、地域活性化の効果が高いと強調した。JR九州の「ななつ星in九州」の乗客が感動して涙を流したことを紹介し、「九州は魅力にあふれている。地方の創意工夫をどう支援していくかが大切だ」と締めくくった。

*4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015020802000124.html
(東京新聞 2015年2月8日) 「結婚してたくさん産めばいい」 年金PR漫画 批判集中
 公的年金制度の必要性を説明しようと、厚生労働省がインターネット上で公開している広報用漫画の内容が波紋を広げている。登場人物の若い女性が制度維持には「結婚してたくさん子どもを産めばいい」などと発言し、結婚・出産という個人の選択に国が口を挟んでいるように受け取れるからだ。国会でも取り上げられ、関係者からも「出産は制度維持が目的ではない」と反発の声が出ている。漫画は「いっしょに検証!公的年金」と名付けられ、二〇一四年五月から厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou)で公開されている。第0~11話で構成され、主人公の姉妹が解説役の女性の話を聞きながら制度の意義や仕組み、財政状況などを理解する内容だ。問題の場面は最後の第11話。少子化が年金制度の維持に影を落としていると知った姉が「あんたが結婚してたくさん子どもを産めばいいのよ!」と妹に発言。別のコマでは、解説役の女性も姉の手を引っ張り「バリバリ働いて今週のお見合いパーティも頑張りましょー!」と叫ぶ場面で終わる。一月三十日の衆院予算委員会では、野党議員が漫画を取り上げ「女性が頑張って子どもを産めば問題は解決するのか」と追及。塩崎恭久厚労相は「上手(な表現)ではない」と釈明したが、今月三日の記者会見で「女性をやゆする意図はない」とこのまま掲載する考えを示した。厚労省年金局によると、インターネット上では一月中旬から漫画への関心が拡大。一日数百件にとどまっていたホームページへのアクセスは、最多で一日約八万九千件に上った。「(戦時中の)『産めよ殖(ふ)やせよ』のような発言だ」「産むか産まないかは個人の自由だ」という批判が掲示板などに書き込まれた。少子化問題に詳しい日本総研の池本美香主任研究員は「国の制度維持のために産むという印象を受け、違和感を覚える」と指摘。「出産には、子育て環境の整備や男性の育児参加の促進など解決すべき問題が多い。女性が産めばいいというように単純化されているのは問題だ」と話した。女性の権利向上に取り組む市民団体「女性と人権全国ネットワーク」の近藤恵子共同代表は「経済的、身体的な事情で、産みたくても産めない人が多い中、配慮が足りない」と批判した。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/178845
(佐賀新聞 2015年4月20日) 12知事同盟、子育て支援を提言、有志で発足、国に働き掛け
 有志の知事12人が20日、「地方創生」関連の政策を提言するグループ「日本創生のための将来世代応援知事同盟」を立ち上げた。当面の課題として、地方での女性や若者の就業や子育ての支援策を検討し、実現を国に働き掛けていく。2016年度政府予算に反映させるため、岡山市で5月22~23日に開く次回会合で、提言案を取りまとめる。宮城、福島、長野、三重、滋賀、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、高知、宮崎の各県知事が参加。年齢は40~54歳で若手が多いのが特徴だ。地方大学の強化や結婚支援、子どもの多い世帯の経済的負担の軽減なども議論する。


PS(2016年1月15日追加):*5の松崎市長の「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ」という発言も、これまでの学説と異なる悪乗りした警鐘だと思っていたが、やはり日本産科婦人科学会が、「学会として『出産適齢期は18歳から26歳を指す』と定義した事実はない」とコメントしている。なお、「妊娠適齢期は35歳頃まで」というのは、「35歳を過ぎるとダウン症の率が上がる」と前から言われているからだが、それでも42歳の母親で2.5%弱しかない。


母体年齢別のダウン症発生率             母体年齢別の妊娠トラブル

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12159682.html
(朝日新聞 2016年1月15日) 出産適齢期発言、学会が定義否定 浦安市長の「18~26歳」
 千葉県浦安市の成人式で松崎秀樹市長が「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ」と発言したことを受け、日本産科婦人科学会は14日、「学会として『出産適齢期は18歳から26歳を指す』と定義した事実はない」とするコメントを発表した。学会がまとめた冊子では、「妊娠適齢期は35歳ごろまで」としている。


PS(2016年1月17日追加):*6のように、「一億総活躍」と称して不妊治療に助成するのは、「女性は妊娠で活躍してほしい」と言っているようでおかしい。何故なら、上記のように、不妊には生物学的理由が存在する場合が多く、不妊であることを悩ませて無理に妊娠させようとする社会は、個人の生き方を大切にしない人権侵害社会だからである。また、一人親家庭を経済的に支援するため貸付制度を設けるというのも、何を目的に貸付を行い、借りた資金の返済能力があるのか疑問であるため、「一人親でもよいから子どもさえ産めばよい(子どもに対する人権侵害)」というような政策誘導や世論の惹起をやめるべきだ。また、「介護離職ゼロ」は必要だが、それには、介護休業中の給付金を賃金の67%に上げて「(主に)女性は家族介護で活躍してもらう」などという被用者のごく一部しか利用できない政策よりも、介護保険制度を充実して誰でも安心して働けるようにする政策の方がよほど重要である。

*6:http://qbiz.jp/article/75400/1/
(西日本新聞 2015年11月21日) 「総活躍」へ不妊治療助成 ひとり親家庭支援の貸付制度も
 「1億総活躍社会」に向けた政府の緊急対策案が21日、判明した。2020年代半ばに「希望出生率1.8」を実現するため不妊治療への助成を拡充するほか、ひとり親家庭を経済的に支援するため貸付制度を設ける。20年代初頭の「介護離職ゼロ」を目指し、特別養護老人ホーム(特養)などの施設整備を加速させ、介護休業中の給付金を賃金の67%に上げる方針も盛り込んだ。政府は、閣僚や有識者による国民会議(議長・安倍晋三首相)を26日に開き、緊急対策を決定する。年内に編成する15年度補正予算案や16年度当初予算案に反映させる。


PS(2016.1.19追加):首都圏の大型団地は、昭和30年(1955年)頃から建設され始め、50~60年経過しているものも多く、住民は高齢化している。しかし、建設当初は、団地の中に保育園、小学校、診療所があり、現在では、交通が便利で環境の良い場所になっているものが多いため、建て替えれば住環境を完璧にできるだろう。そのため、*7-1のように、介護サービス施設などを誘致して地域の医療福祉拠点にするのもよいが、それだけではなく、古い大型団地をバリアフリーの高層団地に建て替えて、これまでの住民だけでなく子育て中の夫婦や独身者、学生も入れるようにし、診療所、訪問看護・介護サービス、家事援助サービス、保育所、学童保育、スーパーやレストラン等を敷地内に設ければ、空き家対策になるだけではなく、全世代の人にとって住みやすい団地となる。何故なら、現在は病児保育も不足しているが、診療所、訪問看護・介護サービスは、高齢者に限らず単身者や病児にも使える上、家事援助サービス、保育所、学童保育、近くのスーパー、レストラン、宅配のような便利な生活ソフトは、共働き家庭や一人親家庭にも不可欠だからだ。なお、*7-2のように、北京は団地の4割で電気自動車の充電スタンドが設置済だそうだが、日本は最初に電気自動車を実用化したにもかかわらず、的外れな政策により出遅れた。しかし、どの自治体にも、このような団地やマンションはあるため、今後の工夫が必要だ。


  2016.1.19、2016.1.16日経新聞    都内の古い大型団地    中国最大の太陽光充電施設

*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160119&ng=DGKKASFS18H4E_Y6A110C1EE8000 (日経新聞 2016.1.19) 大型団地を福祉拠点に 住宅10年計画で国交省、高齢化、地域と連携
 国土交通省が2016~25年度までの10年間の住宅政策の方向性を示す「住生活基本計画」の原案が18日、明らかになった。独立行政法人の都市再生機構(UR)が全国に抱える大型団地のうち150カ所程度に介護サービス施設などを誘致し、地域の医療福祉拠点に転用するのが柱だ。不動産市場の活性化に向け、中古住宅の流通規模を25年に8兆円(13年は4兆円)へ倍増する目標も掲げる。国交省は住生活基本法にもとづき、同基本計画をおおむね5年に1度見直している。見直し案を22日開催する有識者会議に提示した上で個別分野の詰めを進め、3月にも新計画を閣議決定する。「少子高齢化への対応」と「マンション・団地の老朽化対策」、さらに全国に広がる「空き家をどう抑えていくか」という3つを優先課題にすえる。
●URの150物件で
 高齢化対策では、URが大都市圏に持つ1000戸以上の約200団地について、25年までに150団地程度を地域の医療福祉拠点にする。在宅訪問型の医療や介護サービスを受けやすいように関連施設をUR団地内に誘致したり、近くの既存施設と連携し、高齢者が自立して生活できる環境をつくる。すでに千葉県柏市の豊四季台が東大とも連携して在宅医療や介護予防強化を目指した街づくりに取り組むなど、41団地が福祉拠点化の計画に着手している。新計画で対象の団地を大幅に広げる。これとは別に国交省などが管轄する「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)のうち、デイサービス施設などの高齢者生活支援施設を併設した住宅の割合を、25年に9割(14年で77%)にする目標も設ける。老朽マンション対策では、マンション建て替え件数(1975年からの累計)を25年に約500件(14年で約250件)に増やす計画だ。マンション建て替えの法的手続きは、代表的な「区分所有法」で所有者の5分の4の合意が必要。規制のハードルが高く、建て替えのペースは鈍いのが実情だ。
●空き家対策推進
 国交省は老朽マンションの建て替えを促すため、今通常国会に提出する方針の「都市再生特別措置法改正案」に、自治体が再開発事業と位置付けると合意条件を所有者の3分の2に緩和する内容を盛り込む。老朽化した中古住宅・マンションの修繕などを進めるには、中古市場を活性化して別の買い手に移して行く必要がある。具体策として、仲介契約時に専門家が老朽化をチェックする住宅診断をおこなうなどして、その内容を購入者に説明する仕組みを検討している。これにより中古物件の流通市場を25年に8兆円(13年で4兆円)に倍増させ、リフォーム市場を同12兆円(同7兆円)に拡大する方向だ。国交省は今通常国会に提出する宅地建物取引業法改正案にこうした内容を盛り込む方針だ。高齢化で増え続ける空き家の対策も推進する。昨年5月に全面施行された空き家対策特措法にもとづき、各地の状況に応じた「空き家等対策計画」をつくる市区町村数を20年に全国の約8割(14年でゼロ)にする。

*7-2:http://qbiz.jp/article/78922/1/
(西日本新聞 2016年1月19日) 団地の4割で電気自動車の充電スタンド設置済 北京
 北京市住宅建設委員会はこのほど、2015年11月の時点で、市内の団地総数の4割にあたる2108カ所の団地に新エネルギー乗用車の充電スタンドを設置したことを、公式サイト上で明らかにした。人民網が報じた。電気自動車を購入した住民が居住地の不動産管理会社に充電スタンドを設置してもらうには、駐車スペースの財産権あるいは長期借用権を保持し、居住する団地の電気容量が十分であるという2つの条件を満たす必要がある。今のところ、団地内に設けられている自家用充電ポールは、すでに8312基に達した。北京市住宅建設委員会と北京市科学技術委員会は、駐車スペースの数が少なく、充電スタンドの設置が難しいコミュニティが頭を抱える充電スタンド設置問題を解決するために、「移動充電車の団地進出」プロジェクトを展開した。「移動充電車」は、「カーバッテリー充電器」のように、同設備が設置されている団地では、オーナーが予約して自車の駐車スペースで充電をすることができる。計画によると、北京市は年内に、このような移動充電設備を500台供給する見込み。


PS(2016年9月29日追加):九州の銀行が「女性行員の方、旧姓使用OKです」と言うのはかなりの進歩だが、養子に行った男性も旧姓を使用したいそうだ。さらに、預金通帳は戸籍名しか使えないが、口座を開く時に戸籍謄本などで証明すれば旧姓の通称を使って口座を開けるようにすべきで、そうしなければ通称で給料や年金を受け取ることができない。また、手続を簡単にするためには、旧姓を通称使用する人は戸籍謄本で証明して住民票に使用する通称を記載しておき、どの公文書にも通称を使用することができるようにすべきである。

*8:http://qbiz.jp/article/94904/1/
(西日本新聞 2016年9月29日) 女性行員の方、旧姓使用OKです FFG3行 営業活動に配慮
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)は10月から、傘下の福岡(同市)、熊本(熊本市)、親和(長崎県佐世保市)の3行で、女性行員が結婚後も旧姓を引き続き使用できる「旧姓使用制度」を導入する。地方銀行では珍しい取り組みという。銀行では、顧客の生命保険や損害保険の契約書を作成する際、行員の本名も記載する必要があることなどから、女性行員は結婚後、全員が新たな姓を名乗っていた。だが営業部門などで活躍する女性行員が増え「名刺やメールアドレスが変わることで、顧客との連絡などに不都合が生じる」といった女性行員の声に対応した。今後は結婚時に旧姓使用も選べるようになる。FFGは2014年、女性幹部や管理職を18年までに約2倍に増やす数値目標を設定。幅広い分野で活躍する女性行員の増加を目指している。同様の旧姓使用制度は、メガバンクや横浜銀行、北洋銀行(札幌市)などで導入されている。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 01:28 PM | comments (x) | trackback (x) |

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