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2016.6.3 日本の警察や自衛隊は、本当に国民や民主主義を護っているのか?
(1)警察は民主主義を阻害してきた歴史があり、今も阻害していること
 *1-1のように、警察庁長官が全国会議で「買収など選挙の公正を著しく害する事件に捜査の重点を置き、積極的な摘発を図ってほしい」と述べたそうだが、私は、2009年の総選挙で、公職選挙法で適法であるにもかかわらず、選管に届け出ていた運動員にアルバイト代を支払ったことを「買収(!?)」とされ、選挙期間中に大々的にメディアで報じられた打撃で多くの票を失った。しかし、「買収」とは、金があり金で票を買いたい候補者が行うもので、専門家が顔を見て少し話せば「買収」とすべきか否かの区別はすぐできる筈であるため、健全な民主主義の発展のためには、警察が取り締まりを過熱させて古株の議員に貢献することこそ問題にすべきだ。

 なお、*1-2のように、佐賀県警も選挙違反取締本部を設置して1,190人体制で取り締まり、ウェブでも選挙違反の情報提供を求めているそうだが、今回の候補者は、1,190人もの警察官をあてて取り締まりを行わなければならないほど選挙違反のリスクが高い候補者とは思えない。そのため、「選挙の自由と公正を確保するため、厳正・公平に取り締まる」のではなく、与党ではない特定の人をターゲットにしていると思われる。

 また、候補者に対し、*1-3のように、県警担当者は「①文書配布 ②看板・ポスター掲示 で違反とならないよう十分確認して」と呼び掛けたそうだが、①②で細かく候補者を縛ると、新人候補者の選挙運動をやりにくくし、明るくきれいな選挙運動を促進するどころか、地元に利益誘導したり、普段から地元回りをしたりすることのできる現職議員(及び世襲議員)に有利になり、そのため公職選挙法にこの規定があって、なくならないのだと言っても過言ではないのだ。

 そのため、まず選管が言う「明るくない」「きれいでない」選挙とはどういうもので、それに①②が入るのか否か、これを言いすぎることは憲法の表現の自由を害するのではないか などを吟味すべきだ。何故なら、このように候補者の手足を縛って選挙をやりにくくする異常な規則は、他の民主主義国にはなく、候補者をよく知って投票しなければならない有権者(ひいては国)のためにならないからである。

(2)捜査の転換は、暗黒時代への逆戻りだ
 この選挙に先立ち、2016年5月24日、*2-1の刑事訴訟法などの改正案が衆院で可決・成立した。その内容は、①警察と検察に取り調べの一部可視化を全事件の約3%義務付ける ②容疑者や被告が共犯者らの犯罪の解明に協力すれば起訴を見送るなどの司法取引を導入する ③捜査で電話を盗聴したり、メールを傍受したりできる犯罪の対象を大幅に拡大する などで、新たな冤罪を生み、国民のプライバシーを侵害する多くの問題が指摘されていたにもかかわらず、それが改善されることはなかった。

 そのため、*2-2の「刑事司法改革は冤罪を防ぐ原点に立ち返れ」、*2-3の「盗聴拡大、密告で冤罪、改悪刑訴法」というような意見は多く、私も同感である。

(3)警察は、国民の立場に立って国民を護る組織ではないということ
 それでは、民主主義の代表を選ぶにあたって1,190人もの警察官を割り振って取り締まっている警察は、本当に国民の側に立ち国民を護る組織なのかを検討すると、*3-1のように、ストーカーの危険を警察署で訴えていた女性アイドルは刺傷され、警察署はTVドラマとは違い、「一般相談」と判断して犯罪を予防することができなかった。そして、捜査幹部は「ファン心理とストーカー心理との線引きが難しい」などという言い訳をしており、専門部署まで作ったのはポストの増加目的で、国民の命を護るための専門知識はなかったようなのだ。

 そして、*3-2のように、ストーカー事件は前から起きており、そのたびに「対策研究会」や「人身安全関連事案総合対策本部」などの新組織を作るが、犯罪は防げていない。

(4)それでは自衛隊は何を護っているのか - 防衛と防災を混同すべきではないこと
 *4-1のように、「佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画で、若宮防衛副大臣が6月3日に佐賀県庁を訪れ、山口知事らに格納庫や弾薬庫などの施設配置案を示した」そうだが、これを「九州地方の一大防災拠点としての役割、機能を担うことになる」と説明するのはおかしい。何故なら、防災拠点には弾薬庫は必要ではなく、倉庫など別の物が必要だからだ。

 さらに、*4-2のように、陸上自衛隊は宮古島と石垣島のそれぞれ22㌶に駐屯地を設けるそうだが、空自や海自ならともかく、離島に陸自はいらないことから考えても何を目的としているのか不明であり、ポストを増やすべく基地の増設をしているのではないかと思われる。

<民主主義を護っているのではないこと>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10203/318312
(佐賀新聞 2016年6月2日) 参院選「積極的な摘発を」、全国会議で警察庁長官
 7月の参院選に向け、警察庁は2日、全国の警察本部で選挙違反の取り締まりを担当する課長らを集めた会議を東京都内で開いた。冒頭、金高雅仁長官は「買収など選挙の公正を著しく害する事件に捜査の重点を置き、積極的な摘発を図ってほしい」と訓示した。今回の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、「新たな有権者層の支持を巡る各陣営の運動が過熱することも予想される」と警戒強化を訴えた。警察庁は同日、庁内に選挙違反取締対策室を設置した。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/318616 (佐賀新聞 2016年6月3日) 佐賀県警、選挙違反取締本部を設置、1190人体制 ウェブで情報提供を
 佐賀県警は2日、参院選(22日公示、7月10日投開票)の選挙違反取締本部を設置した。県警本部と全10警察署の約1190人体制で取り締まる。捜査2課によると、これまでにポスターの掲示方法が不適切で事前運動に当たるとして、1件を警告した。「選挙の自由と公正を確保するため厳正、公平に取り締まる」と話す。県警はウェブサイトに選挙違反の情報提供を受け付ける専用コーナーも設けている。2013年の前回参院選は、公選法違反(投票干渉)で1人を書類送検し、ポスターの掲示違反などで33件を警告した。インターネットを使った選挙運動が解禁されて初の国政選挙だったが、ネットでの違反はなかった。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30401/318614 (佐賀新聞 2016年6月3日) 参院選佐賀選挙区 立候補説明会に3陣営、自民 福岡、民進 中村、幸福 中島氏
 参院選佐賀選挙区(改選1)の立候補届出事務説明会が2日、佐賀市の県自治会館で開かれ、立候補を表明している自民党の福岡資麿氏(43)、民進党の中村哲治氏(44)、政治団体・幸福実現党の中島徹氏(41)の3陣営が出席した。参院選は22日公示、7月10日に投開票される。県選管事務局が、書類の事前確認や立候補届けの受け付けなど今後の手続きを説明した。県警の担当者は選挙運動の注意点を挙げ「文書の配布や看板・ポスターを掲示をする場合は違反とならないよう十分確認して」と呼び掛けた。県選管の大川正二郎委員長は「公職選挙法にのっとり、明るくきれいな選挙運動を展開してほしい。選挙権年齢が引き下げられるので、若い世代にも政策をしっかり訴えてもらえたら」と述べた。

<捜査の転換>
*2-1:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160525/KT160524ETI090009000.php (信濃毎日新聞 2016年5月25日) 捜査の転換 危うさはらむ法改正
 捜査のあり方を大きく変える刑事訴訟法などの改正案がきのう、衆院で可決、成立した。新たな冤罪(えんざい)を生む、国民のプライバシーを侵害するなど多くの問題が指摘されたのに、改善されることなく見切り発車した。改正の柱は三つある。▽取り調べの可視化(録音、録画)を警察と検察に義務付ける ▽容疑者や被告が共犯者らの犯罪の解明に協力すれば、起訴を見送るなどの恩典を与える司法取引の導入 ▽捜査で電話を盗聴したり、メールを傍受したりできる犯罪の対象を大幅に拡大する―。密室での強引な取り調べが数々の冤罪を生んできた。言った、言わないの争いを法廷で長時間費やしてきた。これらを考えると、可視化自体は取り調べの適正化の担保として評価できる。問題はその対象の狭さだ。殺人や放火など裁判員裁判になる重要事件と検察の独自捜査事件に限られた。全事件の3%程度にすぎない。
<一部可視化は前進か>
 冤罪は痴漢や選挙違反など対象外の事件でも起きている。事件の限定は不合理だ。それでも一歩前進だ、という見方がある。民進党など野党の一部が賛成に回ったのはそのためだ。本当にそうだろうか。可視化されるのは対象事件で逮捕、勾留された容疑者の取り調べだ。逮捕前の任意の取り調べは含まない。実際には、任意の段階で容疑を認めたとして逮捕される例が少なくない。この場合、肝心の自供に至る過程が可視化されない。捜査側に都合のいい部分だけが可視化され、証拠にされる可能性がある。その懸念が表れた例が、先月、被告に無期懲役の判決が出た栃木県の女児殺害事件だ。検察は法施行に先行して被告の取り調べを可視化した。被告は偽ブランド事件で別件逮捕された。この取り調べの中で殺人も初めて自白したとされる。その場面は録画されておらず、殺人での取り調べだけがDVDに収められ、裁判員裁判で再生された。弁護側は、録画されていない部分で取調官に誘導されたと無罪を主張したが「映像に重みがある」との印象を裁判員に与えた。改正法には対象事件であっても取調官が十分な供述を得られないと判断した場合、可視化しなくてもよいなどの例外規定がある。中途半端な可視化は一歩前進どころか、後退する危険をはらむ。全事件を対象に任意調べを含めた全過程の可視化をすべきだ。
<無実の人を巻き込む>
 司法取引は日本で初めて導入される。贈収賄や詐欺、横領などの経済事件や薬物、銃器といった組織的な犯罪が対象だ。末端の容疑者に起訴しないと約束すれば、上部の関与を話しやすくなるかもしれない。それはもろ刃の剣だ。自分の罪を逃れたいために、うそをついて他人を巻き込む。そんな心配も増す。実際、司法取引の“先進国”米国では多発している問題だ。冤罪の2割強は、司法取引での誤った証言が原因との研究報告がある。法案の修正で、容疑者と検察官との取引の協議の場に容疑者の弁護人が必ず立ち会うことになった。注意しなければならないのは、弁護人は容疑者の利益を図る立場にあることだ。無実の他人を巻き込まないかのチェック機能は期待できない。そもそも、罪を犯しても他人を売れば助かるという仕組みが国民の倫理観になじむのか。議論は不十分なままだ。犯罪捜査で電話盗聴などを認める通信傍受法は、17年前に強行採決で成立した。プライバシーが侵害されるとの強い批判を受け、対象を薬物、銃器犯罪など4類型に限定し、通信事業者が立ち会う制約も設けていた。
<プライバシーに懸念>
 今回の法改正では対象を詐欺や盗み、傷害など日常的な犯罪に広げた。しかも、通信内容を暗号化して警察署に電送すれば、立ち会いも不要とした。裁判所の令状が形式だけにならないか。犯罪に関係ある会話かどうかは聴いてみないと分からない。だから通話開始から一定時間聴く「スポット傍受」を繰り返す。これまでに傍受された通話総数の8割余が犯罪に関係のない通話だった。聴かれた方は確かめようもない。第三者の立ち会いがないので恣意(しい)的な傍受が可能になる。例えば、デモで警察とぶつかった時の傷害容疑で市民団体の内部情報を収集したり、相手をだまして特定秘密を取得しようとした詐欺容疑でマスコミの取材源を探ったりすることもできる。刑事法学者らが指摘していることだ。法改正の出発点は、相次いだ冤罪事件を防止することにあったはずだ。わずかな可視化の見返りとして、捜査機関の権限が拡大され、新たな冤罪を生む危険性が増した。大きな矛盾を抱えた法律だ。運用を厳しく監視し、絶えず見直しを求めていく必要がある。

*2-2:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201605/0009117066.shtml
(神戸新聞 2016/5/25) 刑事司法改革/冤罪防ぐ原点に立ち返れ
 改正刑事訴訟法などが国会で成立し、取り調べを録音・録画する可視化が初めて義務付けられた。大きな一歩だが、冤罪(えんざい)を防ぐという刑事司法改革の原点から見て十分な内容とはとても言えない。焦点だった可視化義務付けは対象事件が極めて限定された。裁判員裁判事件と検察の独自捜査事件で、全事件の約3%にすぎない。取調官が十分な供述を得られないと判断すれば、録音・録画をしなくてもいいという例外規定も設けられた。取り調べの可視化は、任意の事情聴取を含む全捜査過程で実施されなければ、冤罪を防ぐどころか捜査当局の新たな武器になりかねない。そうした危惧を抱かせたのが、4月に宇都宮地裁で無期懲役が言い渡された女児殺害事件の裁判員裁判だ。取り調べの映像が検察側の証拠に使われた。検察側が見せたのはほんの一部だが、裁判員は法廷で無実を訴える被告の姿より、自白の映像を重視した。他に決定的な客観証拠がない中で、有罪を判断する決め手となったとされる。費用の問題があるとはいえ、すべての事件で、すべての取り調べを可視化し、弁護士がチェックする。そうでなければ、かえって真実をゆがめる恐れがある。今回の法改正では司法取引や通信傍受の拡大なども認められた。可視化の義務付けと引き換えに、当局が求めたものだ。司法取引では、容疑者や被告が共犯者の罪を供述したり証拠を示したりすれば、検察は起訴を見送ることや求刑を軽くすることができる。容疑者や被告が捜査当局の描いた事件の構図に沿って供述すれば、第三者を犯罪に巻き込む恐れがある。罪を他人にかぶせることも起こりうる。新たな冤罪を生むようなことになれば、何のための改革なのか。通信傍受は通信業者らの立ち会いがなくても可能になった。乱用やプライバシー侵害の恐れもある。可視化は限定され、捜査の武器は増える。当局に都合のいい形で法改正が進んだと言わざるを得ない。「可視化して 防げ罪なき 人の罪」。刑事事件の取り調べの全面可視化PRで、大阪弁護士会が3年前に募集した川柳の大賞作品だ。冤罪防止の原点を見据え、検証を重ねるとともにさらなる法改正に取り組むべきだ。

*2-3:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-25/2016052501_03_1.html 盗聴拡大、密告で冤罪、改悪刑訴法が成立、衆院本会議
 盗聴法拡大・刑事訴訟法改悪案が24日、衆院本会議で採決され、自民、公明、民進、おおさか維新などの賛成で成立しました。日本共産党と社民党が反対しました。日本共産党は、捜査機関の盗聴自由化、司法取引導入、取り調べの部分的録音・録画を柱とした違憲の治安立法だと主張してきました。盗聴法拡大では、捜査官が犯罪に無関係な通信を根こそぎ盗み聞きすることが可能になります。市民のプライバシー情報がひそかに侵害され、あらゆる警察活動に利用されうることになります。改悪刑事訴訟法は、取り調べの部分録画が盛り込まれたことで、捜査官が強要した虚偽自白の録画が、有罪立証の証拠に使われ、司法取引の導入では密告によって他人を罪に陥れる危険があります。施行は、部分録画が3年後、司法取引は2年後、盗聴法の拡大は6カ月後です。日本共産党は、乱用を許さない国会内外のたたかいはこれからだと呼びかけています。

<警察は国民を護っているのではないこと>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374758.html
(朝日新聞 2016年5月25日) 警察、ストーカー対応せず SNSは対象外 アイドル刺傷
 冨田さんを刃物で襲ったとして殺人未遂容疑などで逮捕、送検されたのは京都市右京区太秦中筋町の会社員岩埼(いわざき)友宏容疑者(27)。捜査関係者によると、冨田さんは5月9日に武蔵野署を訪れ、岩埼容疑者の名前を挙げて「ツイッターで執拗な書き込みがされている」と相談。書き込み内容を印刷した紙を署の担当者に渡し、「友達にまで迷惑をかけているから、やめさせてほしい」と訴えた。署では書き込み内容を確認した上で「一般相談」と判断したという。ストーカー規制法では、電話やメールを執拗に繰り返す行為を「つきまとい等」として規制しているが、ツイッターなどSNSを使った同様の行為は対象としていない。警察庁の有識者会議は2014年、SNSによる行為も対象に加えるよう提言している。岩埼容疑者が送ったとみられるツイッターの書き込みは、冨田さんのツイッターに直接送るものだった。送信は1月18日に始まり、冨田さんが送信を受け付けない「ブロック」を設定する4月28日まで、101日間で計340件に上っていた。岩埼容疑者は、冨田さんへのファンレターで自分の名前や住所を伝えており、冨田さんは署へその住所も伝えたが、署は電話での連絡ができなかったため接触していなかったという。
■専門部署、生かされず
 ストーカー対策をめぐっては、2013年10月に東京都三鷹市の女子高校生が元交際相手に殺害された事件で、事前にストーカー行為の相談があったのに防げなかったことから、警視庁が新たな取り組みをまとめ、現在の「人身安全関連事案総合対策本部」となる部署も新設した。三鷹市の事件を教訓に、警視庁は、警察署がストーカー相談を受けた場合、新設された対策本部の専門チームに報告し、そこで事態の危険性や切迫性を評価することにした。しかし今回は、女性の訴えを受けた武蔵野署が「ストーカー相談」として扱っていなかったため、署から対策本部への報告はなかったという。ある捜査幹部は「憧れるアイドルに近づきたいというファン心理と、ストーカーの心理との線引きは難しく、一般人同士の関係性と比べて判断しにくいケースもある」と話す。5月4日には、冨田さんの母親が、岩埼容疑者の自宅を管轄する京都府警右京署に「どう対処すべきでしょうか」と電話で相談。署員は、冨田さんの自宅近くの警察署に相談するよう伝えたという。警視庁は今回の対応について、「ただちに相談者の身に危険が及ぶ可能性は低いと判断した」と説明。今後、今回の対応が適切だったかどうかを検証するという。

*3-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160530-00000050-nksports-soci
(日刊スポーツ 2016年5月30日) ストーカー事件被害者兄が語る「GPS監視」方法も
 東京都小金井市で、アイドル活動をしていた私立大3年の冨田真由さん(20)が刺され重体となった事件で、殺人未遂容疑で送検された岩埼友宏容疑者(27)はSNSなどで執拗な書き込みを続けていた。冨田さんは警察に相談していたが、事件は起きた。神奈川県逗子市で2012年に起きた逗子ストーカー殺人事件で殺害された三好梨絵さん(当時33)の遺族で、学識者らで作る「ストーカー対策研究会議」共同代表として活動を続ける梨絵さんの兄(44)に、思いを聞いた。SNSでの書き込みはストーカー規制法の対象外だ。武蔵野署は冨田さんの相談をストーカー事案として扱っていなかった。しかし、岩埼容疑者はブログに「死にたい死にたい」「死ねよ死ねよ」という危険な文言を繰り返し記していた。梨絵さんの兄は「非常に残念だった」と語る。「うちの事件(逗子事件)、三鷹事件の後、本庁の刑事部と生活安全部が一緒に取り組む人身安全関連事案総合対策本部ができた。署で受けたストーカー相談は必ず文書にして対策本部に上げることになった。態勢は前進していたのに。署で相談を受けた署員の1人が、相談本部出身の人だったというのもショックでした」。適切に判断していれば、結果は違っていたかもしれない。兄は「情報を本部に上げていれば防げたかは分からない。ただ、年間2万件を超す相談がある中で、緊急性のある、危ない事案を見抜く能力が重要。警察も対策本部で経験値の高い人材を育てる取り組みを進めていますが、経験が足りていない」と話した。岩埼容疑者は約3年前に都内の当時10代のアイドル、昨年12月には滋賀県の女性とトラブルになり、いずれも警察に相談があった。しかし、事件が起こるまで、今回の相談との関連は把握されていなかった。「加害者は自分を被害者と思っているから繰り返してしまう人が多い。繰り返す人のリストを作り、都道府県警の枠を超えて情報を共有し、場合によってはGPSによる監視という方法もある。人権上の問題で、まだ議論すらされていないが、事件は起きている。社会的な議論が必要だ」。兄は、14年11月にストーカー対策研究会議を立ち上げた。被害者だけでなく、加害者が最悪の犯行に及ぶ前に止めることで加害者を救う視点での研究も進めている。ただ、警察も禁止命令、警告など、逮捕の前に行える手段が限られているのも現状だ。「警察へのバッシングだけでは被害は止まらない。加害者やその家族を、早期に専門のカウンセリング機関につなぐ命令など、逮捕前に加害者にアプローチできる仕組みを増やしていく必要がある」
◆逗子ストーカー殺人事件 2012年11月6日、神奈川県逗子市の自宅アパートで三好梨絵さん(当時33)が、元交際相手の無職の男(当時40)に刺され、死亡。男は首つり自殺した。男は11年6月、神奈川県警逗子署に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。保護観察中の12年春、再びメールが来て、梨絵さんは署に相談したが、当時メールはストーカー規制法の対象外(13年6月に対象に改正)で署は捜査を断念。同年11月、男は11年の逮捕時に署員が読み上げた住所の一部を頼りに探偵を使って住所を割り出し犯行に及んだ。
◆三好梨絵さんの兄は事件から2年後の14年11月、妹と同じ被害にあう次の被害者を1人でも救いたい思いから、ストーカー事件を法学、心理学、社会学などの研究者の視点で研究するストーカー対策研究会議を立ち上げた。加害者は厳罰だけでは止められないとの思いから、被害者を守る視点のほか、加害者や加害者の家族に早期にアプローチし、問題解決を支援することで犯行を止めるという視点での研究も続けている。

<自衛隊は何を護るのか(防衛と防災の混同)>
*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/318713 (佐賀新聞 2016年6月3日) 【速報】防衛副大臣「佐賀空港を防災拠点に」知事に説明、オスプレイ配備計画
 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を巡り、若宮健嗣防衛副大臣が3日午前、佐賀県庁を訪れ、山口祥義県知事らに格納庫や弾薬庫などの施設配置案を示した。「九州地方の一大防災拠点としての役割、機能を担うことになる」と配備に向けた新たな根拠を示し、理解と協力を求めた。若宮副大臣は熊本地震で米軍オスプレイも投入された支援活動や自衛隊の救援活動を強調し、「今後の災害に備え、(オスプレイ配備により)九州地方の安心、安全を確保していきたい」と述べた。山口知事は「国防の重要性は認識しているが、県民の安心安全にもかかわる。確認、精査させていただきたい」と答えた。

*4-2:http://www.y-mainichi.co.jp/news/29860/
(八重山毎日新聞 2016年5月25日) 駐屯地面積、宮古と同規模 陸自計画
 石垣島に陸上自衛隊の配備を計画している防衛省は24日夜、市民を対象にした2度目の説明会を石垣市健康福祉センターで開いた。駐屯地の面積について、沖縄防衛局の森浩久企画部長は配備部隊が同じ宮古島の22㌶を例示し、「大きくかけ離れることはない」と記者団に語った。宮古島は700ー800人規模、石垣島は500―600人規模が計画されている。説明会には約200人が出席した。平得大俣東を配備先候補地に選んだ理由について森部長は「軍事的視点があるので具体的な説明はできないが、配備先は平たんで十分な地積、標高が必要。地形的要件を考えた」と回答。具体的な配備時期については「皆さんの理解をいただいて作業が進めば、具体的なスケジュールができると思う」と述べた。今回の説明会は、4月22日の前回説明会で事前に受け付けた質問141項目に対する回答がメーンとなり、会場からは「回答をして説明会をすべきだ。順序が違う。アリバイづくり」「ルールを守るべきだ。そうでないと議論が深まらない」などの批判があった。森部長は「事前に回答をした上で説明会に臨むべきだった。おわびしたい」と陳謝した上で「今回の説明会は市に求められて実施した。この機会にていねいに説明できればと考えた」とした。141項目の質問についてはまだ一部で回答を作成していないため、ホームページ上での掲載時期は現段階では未定という。次回の説明会について森部長は「今後、検討したい」とした。フロアからはこの日も反対、賛成の声が相次いで上がり、やじが飛び交う場面も。「賛成、反対の市民が市民会館大ホールで互いに議論して石垣島の将来をどうするか決めるべきだ」「具体的には住民投票がふさわしい」などの意見も出た。

| 民主主義・選挙・その他::警察が勝手な拡大解釈を行った運動員の逮捕事件 | 02:33 PM | comments (x) | trackback (x) |

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