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2016,06,09, Thursday
日本の出生率推移 難民認定率 G20農相会合宣言 佐賀の小麦 宮崎県産木材 2015.9.11 2016.6.4 2016.5.21 2016.6.4 毎日新聞 農業新聞 佐賀新聞 西日本新聞 (1)国内の人手不足 厚労省が5月31日に発表した4月の有効求人倍率は、*1-1のように、東京で2倍を超し、全都道府県で1倍以上と1991年11月以来の高水準だったそうだが、1991年11月はバブルがはじける前年で、現在も金融緩和でバブル状態になっており、復興事業も多いため、当たり前のことではある。 そして、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は0.85倍であり、完全失業者数(原数値)が減ったとしても、勤労者が悪い条件をのんで就職した結果だ。 (2)日本企業の外国人採用 しかし、人手不足・海外展開・訪日外国人客向けサービスの拡充などに対応するため、*2-1のように、国内の大企業も外国人を正社員として採用する動きが広がっており、ローソンは新卒採用の1~3割、富士通・日立は2017年度新卒採用予定の約1割を外国人が占めているそうだ。 なお、海外事業を拡大するにあたっては、社内で対象国出身の人を増やす多国籍化が不可欠だが、採用するのは日本への留学生が多く、優秀な人材を求めて海外の説明会に参加したり、アジアの理系大学生に現地でアプローチしたりなどもされている。 (3)林業と外国人労働者 また、「中国木材」が、*2-2-1のように、建築材をあらかじめ加工し、建築現場の負担軽減・工期短縮・加工精度向上・廃材削減などを可能にするプレカット工場を伊万里事業所内に新設して生産態勢を強化するそうだが、集成材にすることにより、これまで低質材とされてきた木材も利用可能になり、強度が増すため、堀川社長が「地元雇用と県産材の利用に貢献したい」としておられるのは期待できる。 また、*2-2-2のように、宮崎県では、製材業界の国産材回帰や輸出増加等が勢いを見せている。現在は、戦後植林された人工林が伐採期を迎え、政府が国産材供給量を2025年までに2014年の約1.7倍にする目標を掲げていることもあって業界関係者が注目しているが、日本は森林面積が国土の約3分の2に当たるにもかかわらず、木材自給率は2014年に26年ぶりの30%台を回復したにすぎない。 しかし、現在の林業は人手不足で、森林の管理・育成のための間伐、手入れ、伐採が「林道がないからできない」と言われることも多いため、これまで盛んに林業を行っていたが今ではすたれつつある地域から、日本の森の育成のために、*2-2-3のようなゾウ使いをゾウ付で林業従事者として募集し、外国人労働者として受け入れてはどうかと思う。日本人より贅沢を言わず、生産性が上がるだろう。 (4)移民・難民の受け入れについて 難民 *3-1のように、アメリカの有望ベンチャーのうち約半数は移民が創業したという調査結果が発表され、「移民は急成長する新興企業の源泉」と結論付けられた。これは、異文化が接触して融合されることにより新しいビジネスが生まれることを考えれば必然性があるため、日本でも、女性活躍と同時に移民・難民の受け入れも始めた方がよいと考える。 そのうち、シリアについては、*3-2のように、政府は内戦が続くシリアの難民を留学生として来年からの5年間で最大150人を受け入れると発表したそうだが、「日本に憧れるすべてのシリア人の若者に平等にチャンスを与えてほしい」「募集人数を増やしてほしい」という声は、日本の少子高齢化の実情から見ても反映させた方が良く、5年間なら少なくとも15,000人の男女の国費留学生を地方の大学も含めて増やしてはどうかと思う。その理由は、人生に希望が持てればテロリストにはならず、日本のアラビア語圏との貿易(特に農産物の輸出)や、戦争終了後のシリア復興に不可欠な人材となるからだ。 そのため、留学生に配偶者や子どもがいる場合も、空室が多くなった団地を改修して学生寮にしたり、日本人も入れる国際的な学生寮を建てたりなど、大学が所在する地方自治体の知恵と協力を得ながらやれば良いだろう。 (5)地方自治体の移住者募集 地方の農業振興に繋げるため、地方自治体の大半が移住促進政策に力を入れており、*4-1のように、鳥取市は、国、県、市、町内会、NPOなどが連携して移住者を呼び込んでいる。そのため、移住者は、日本人の若者だけでなく移民や難民が含まれてもよいと思われ、日本人と外国人が気持ちよく共存できるためのノウハウが必要だ。ただ、信教の自由があり男女平等の日本国内では、郷に入っては郷に従い、女性にどこででもスカーフやブルカのような異様な服を身につけさせるのはやめるという誓約書にサインすることを入国条件にすべきで、そうした方がアラブ女性の今後の地位向上にも役立つと考える。 また、*4-2のように、長野県と長野県JAグループは、協定を結んで農業者の所得増大を目指した農業振興をはじめ、農村地域の暮らしの維持や人口定着など幅広い範囲で連携して、インフラ維持や移住促進を行い、多様な農業の担い手を支援するとのことである。 阿部長野県知事は、「農村の活性化は県の活性化と密接不可分」とし、JA長野中央会の大槻会長も「JAの総合事業と地方創生が目指す方向は同じ。当たり前のことをやっていく」と言っておられるため、移住してくる人の国籍が異なっても対応して、農業生産法人やJAが難民の中から農業に従事する人を募集してきてもよいと思われる。 アジサイ(紫陽花) <人手不足> *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160531&ng=DGKKASGC31H05_R30C16A5MM0000 (日経新聞 2016.5.31) 4月の求人倍率、東京で2倍超す、74年以来、全国1.34倍に上昇 就業地別は全都道府県で1倍超 厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と比べて0.04ポイント上昇の1.34倍だった。1991年11月以来、24年5カ月ぶりの高水準だった。上昇は2カ月連続。幅広い業種で深刻な人手不足が続いており、求人数が押し上げられている。都道府県別の有効求人倍率は東京都が2.02倍となり、1974年6月以来の高い水準となった。有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。雇用の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月より3.9%増の89万4530人だった。訪日外国人客の増加を背景に、宿泊・飲食サービス業や卸売・小売業などで高い伸びとなった。厚労省では「雇用情勢は着実な改善が進んでいる」としている。正社員の有効求人倍率(季節調整値)も0.85倍と、04年11月の調査開始後で最高となった。これまでは非正規社員を中心とした求人数の増加が求人倍率を押し上げてきたが、正社員の雇用環境も一定の改善が進んできた格好だ。また、求人票の就業地別で算出した都道府県ごとの有効求人倍率(同)は05年2月に集計を開始して以来、初めてすべての都道府県で1倍を上回った。求人票を受け付けたハローワークの場所別に見た有効求人倍率は、鹿児島と沖縄で0.9倍台と依然として1倍を下回っている。総務省が同日発表した4月の完全失業率(同)は3.2%で、前月から横ばいだった。4月の完全失業者数(原数値)は前年同月比10万人減の224万人だった。減少は71カ月連続。内訳は勤め先や事業の都合による離職が前年同月比で2万人減った。自己都合の離職は1万人の増加だった。 <日本企業の外国人採用> *2-1:http://qbiz.jp/article/86126/1/ (西日本新聞 2016年5月3日) 外国人採用、大企業で拡大 ローソン3割、富士通1割…海外展開にらむ 国内の大企業で外国人を正社員として採用する動きが広がってきた。ローソンはここ数年、新卒採用の1〜3割程度が外国人で、富士通や日立製作所は2017年度新卒採用予定の約1割を占めている。従来は人手不足の中小企業が採用の中心だったが、大企業も海外展開や訪日外国人客向けのサービス拡充に対応するため、社内の多国籍化を迫られている。ただ、あいまいな点が多い日本の雇用慣行に戸惑う外国人は多く、企業が採用を本格化するには、福利厚生や研修の強化、人事・賃金制度の見直しも課題となっている。海外事業拡大をにらむローソンでは、15年春に28人、16年春に16人の外国人が入社し、17年度も増やす。富士通は500人の新卒採用のうち50人程度、JXエネルギーは大卒などの110人の約1割が外国人になる見通し。資生堂は16年度に過去最多の8人を採用し、さらに増やしていく。共同通信が主要企業に実施した採用アンケートでも「将来的に外国人社員を増やす方針か」との問いに対し、回答した28社の半数近い13社が前向きな姿勢を示した。三菱化学や旭化成などのメーカーから高島屋や三井住友海上火災保険、オリックスまで幅広い。採用するのは日本への留学生が多く、ローソンは「日本人と採用プロセスは同じ」とするが、日立のように優秀な人材を求めて海外の説明会に参加する企業も増えている。富士通はアジアの理系の大学生に現地でアプローチし、日本で外国人向けのインターンシップを実施している。今後の課題では、「キャリアに関する(会社側と本人の)考え方のすりあわせ」(川崎重工業)といった人事・処遇面に加え、「在留資格の認定手続きに時間がかかる」(富士通)といった問題を指摘する声が出ている。外国人社員の定着に向けて「職場表記や朝会の英語化」(第一生命保険)といった工夫を凝らす企業もある。 *2-2-1:http://qbiz.jp/article/85577/1/ (西日本新聞 2016年5月10日) 中国木材 佐賀・伊万里に新工場 市と協定、17年2月操業 プレカット増産 製材大手「中国木材」(広島県呉市)は、佐賀県伊万里市山代町の伊万里事業所内にプレカット工場を新設して生産態勢を強化する。市と4月18日、立地協定を結んだ。2017年2月の操業開始を目指し、21年10月までに計40人を新規雇用する。同社によると、新工場では建築材をあらかじめ加工し、建築現場の負担軽減や工期短縮、加工精度の向上、廃材削減を図る。全国的な建築職人の不足を受けた対応で需要は高いという。新工場は既存のプレカット工場を移転拡大する形で隣接地に建設する。延べ床面積1万6200平方メートルで、投資額は設備機械も含めて18億6400万円。完成後の生産能力は現在の月間150棟分から250棟分以上に増える。17年度は22億円、5年後は37億円の売り上げを見込む。伊万里事業所は2003年に開設。北部九州の原木を使うプレカットや集成材の工場、バイオマス発電施設などがあり、従業員数約220人。伊万里港からの中国、韓国などへの輸出にも力を入れる。堀川智子社長は「事業所を発展させ、地元雇用と県産材の安定利用に貢献したい」と話している。 *2-2-2:http://qbiz.jp/article/88177/1/ (西日本新聞 2016年6月4日) 宮崎のスギ生産、過去最高 国産材に需要、発電用も増 スギの丸太生産量が25年連続日本一を誇る宮崎県の林業が活気づいている。昨年の生産量は過去最高の約164万立方メートルを記録した。国産材は長らく安い外国産材に押され低迷してきたが、同県では製材業界の国産材回帰や木質バイオマス発電所への燃料供給、輸出増加といった動きが従来にない勢いを見せる。戦後に植林された国内の人工林は伐採期を迎えており、政府は国産材の供給量を2025年までに14年の約1・7倍にする目標を掲げる。国内有数のスギ産地の動きが全国に波及するか、業界関係者も注目している。 ●産地へ進出 同県日向市の臨海部。約34ヘクタールの敷地にスギ丸太を積み上げた小山がびっしり並ぶ。製材の国内最大手「中国木材」(広島県呉市)が15年6月に本格稼働した新工場だ。初年度は約30万立方メートルの丸太を加工し、本年度は約45万立方メートルを予定する。これまで同社は主に北米産のベイマツを輸入・加工してきたが、北米材は近年、中国の需要増で価格変動が大きいため、豊富な国産材に注目。約300億円を投じ、スギ産地の宮崎に国内最大の国産材工場を建設した。石橋正浩九州事業本部長は「国産材は安定供給できれば、国内外が商圏になる。世界の木材会社とも勝負できる」と力を込める。 ●低質材活用 低質材や製材時に出る端材の活用も進み、追い風になっている。 12年に国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が始まり、宮崎県内では昨年、バイオマス発電所4カ所が売電を開始。曲がっているなどの理由で山に捨てられていた低質材が燃料として1トン7千円程度で売れるようになった。その結果、高質材の価格が値崩れしにくくなったという。同県西都市の伐採会社「松岡林産」の松岡明彦社長は「立木の値段が上がり、山主は売りやすい状況になりつつある」とみる。海外への輸出も伸びている。同県串間市の南那珂森林組合は12年から、近隣の組合と共同で韓国への輸出を本格化。中国へも販路を拡大し、年間売上高は当初の約9千万円から14年度は約3億3千万円にまで増えた。低質材に加え、太く成長しすぎて加工しにくい丸太も、海外で土木工事の足場材や棺おけに利用される。同組合の清水賢次木材流通促進室長は「国内の住宅着工戸数が減っており、今後は内装材など製材品の輸出が重要になる」と指摘する。 ●自給率拡大 ただ、国産材の復権は緒に就いたばかり。林野庁によると、1970年代に1立方メートル当たり3万円台だった国産スギの丸太価格は、長期的な下落傾向から脱しつつあるが、それでも15年は平均約1万2700円。木材自給率も14年に26年ぶりに30%台を回復したにすぎない。日本の林業政策に詳しい東京大の安藤直人名誉教授(木質構造学)は「伐採期のまとまった量の木材資源を加工して供給する動きが、宮崎県からようやく出てきた。今後は、全国でそうした流れが出てくるはずだ。林業は、きちんと再造林されて持続可能な産業になれば、復活を迎えるのではないか」と話している。 ■国内の森林資源 2015年度森林・林業白書によると、国内の森林面積は国土の約3分の2に当たる約2500万ヘクタール。このうち約4割の1千万ヘクタールがスギやヒノキなどの人工林で、多くは戦後の高度成長期に植林され、本格的な利用期を迎えている。立木の体積は年々増加し、半世紀前の約5・4倍の約30億立方メートルに達した。林野庁は「木材産業にとって安定的な経営基盤になり、今後は伐採や製材など供給体制を効率化することが重要になる」としている。 *2-2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12384665.html (朝日新聞 2016年5月31日) (世界発2016)ゾウは家族、絶滅から守れ ベトナム、森林開発進み140頭に ベトナム中部の高原で少数民族と家族のように暮らすゾウが、絶滅の危機にさらされている。ベトナム戦争中の枯れ葉剤に加え、ドイモイ(刷新)政策後の開発で多くの森林が失われたためだ。「ゾウを守ろう」と地元の人々とともに奮闘する日本人女性もいる。褐色の肌に赤い布を羽織ったゾウ使いが、勇ましく雄たけびをあげる。ムチを振り下ろすと、横一線に並んだ6頭のゾウが砂ぼこりをあげ、一斉に駆け出した。3月中旬、ベトナム中部ダクラク省で行われたゾウ祭りの人気イベント、「競ゾウ」だ。祭りはゾウと暮らしてきた少数民族の伝統を伝えるため、2年に1度開かれている。ゾウは川渡りやボールを蹴り合うサッカーも披露し、国内外からの観光客を大いに沸かせた。「でも今後5、6年で、飼育ゾウは絶滅してしまうかもしれません」と地元ヨックドン国立公園のド・クアン・チュン園長は言う。 ■戦争で枯れ葉剤 国営紙によると、ベトナムには1985年、504頭のゾウが飼育・管理され、野生ゾウと合わせて千頭以上いたとされる。ベトナム戦争中に米軍が枯れ葉剤をまいて多くの森林が被害を受ける前は、さらに多かったとみられる。現在、飼育ゾウは約60頭まで激減、野生ゾウと合わせても140頭ほどしかいない。なぜ減ったのか。中国などで高値で取引される象牙目当ての密猟と、「経済発展に伴う開発の影響が大きい」と園長は指摘する。75年のベトナム戦争終結後、政府は86年からドイモイ政策で市場経済に力を入れてきた。中部の高原地帯はコーヒーやコショウ、ゴムなどの農園として開墾することが奨励され、多くの入植者がやってきた。75年に約34万人だったダクラク省の人口は現在、約170万人にまで増えた。その結果、土地の約6割を占めた森林面積が4割以下に減少。ゾウは「1日200キロ必要」とされる食糧を求め、人里近くに現れるようになった。サトウキビやトウモロコシの畑を荒らし、農民らに殺される悪循環も生まれた。 ■「繁殖止まった」 ベトナムではインドやタイなどと比べて群れの規模が小さく、繁殖が滞る。「ゾウの繁殖が止まってしまった」。少数民族ムノン族のゾウ使いのイ・ク・エバンさん(47)は憂える。3歳からゾウに乗り、材木や米など農作物の運搬をゾウと担った。「戦争中は武器も運んだ」。ムノン族や同じく少数民族のエデ族の人々は古くからゾウを調教して飼い、労働力としてきた。人は高床式の家で暮らし、ゾウはその下や近くの木につながれて寝る。エバンさんが飼っているのは31歳のオス象タヌオン。狩猟は禁止されているため、2002年に約15万円で知人から買った。高価だが、観光客を1日乗せれば約7500円の収入になることもある。貴重な生活の糧だ。だが最近、観光客が増え、村のゾウは働く時間が長くなって疲弊気味。オスとメスが森で出合う時間も減った。このため、ダクラク省では80年以降、飼育ゾウの繁殖はほとんど確認されていない。「ゾウは家族。一緒に暮らす伝統を守りたいが、いい解決方法がない」。政府はゾウの環境を守ろうと92年に国立公園を整備し、違法な森林伐採や密猟の取り締まりを強化した。11年には「ゾウ保護センター」を設立し、わなにはまって傷ついたゾウの保護にも乗り出した。だが、センターのスタッフは18人だけ。ゾウの世話のほか、11万5千ヘクタールもある国立公園内のパトロール、野生ゾウの生態調査もしたいが、手が回らない。チュン園長は「ベトナムには動物保護のノウハウが乏しく、遠隔操作できる監視カメラもない」と訴える。 ■東京の76歳元教諭、保護団体を立ち上げ 「人間のせいで動物が絶滅するなんて、見過ごせないでしょ」。東京都国分寺市の元中学校教諭・新村洋子さん(76)は14年間で約40回もベトナムに渡り、森の保護を訴えてきた。定年退職後に趣味で始めた写真撮影のため、02年にベトナムの農村を訪れた。少女を撮っていると、後ろをゾウが横切り、夢中でシャッターを押したが、見失った。近くにいた少数民族の女性が「森に帰ったのよ」と教えてくれた。ゆったりとして優しげな姿に魅了された。ゾウに会いたい一心で、たびたびダクラク省の森を訪れるようになった。写真を撮りため、06年に写真絵本「象と生きる」(ポプラ社)を出した。撮影を通じ、ゾウが減っている実情を知った。09年に「ヨックドンの森の会」という象の保護団体を日本で立ち上げた。支援金を集め、国立公園にゾウの生息状況を監視できるカメラを寄贈したり、「象と生きる」のベトナム語版を作ってベトナムの子どもたちに配ったりしてきた。最近は国立公園のスタッフをタイの大学の研修に参加させるなど、専門家の育成にも力を入れる。今年は、野生ゾウの生態調査や密猟・違法伐採の監視態勢強化のため、他の団体などと協力し、計700万円を集めて国立公園に寄付するつもりだ。国立公園の職員や少数民族のゾウ使いは「ヨーコ」と呼んで慕う。長野県飯田市生まれ。「森に囲まれて育ったので、自然への思い入れが強いのかもしれません。小さな取り組みですが、一歩ずつ広げていきたい」 ◆キーワード <アジアゾウの減少> 世界自然保護基金(WWF)によると、アジアゾウは20世紀初頭に10万頭以上生息していたが、現在は5万頭前後に減っている。国際自然保護連合による国別の推計の頭数(2000年)では、インドが2万~3万、ミャンマー4600~5千、タイ1300~2千、ラオス950~1300、ベトナム109~144。 <移民・難民> *3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/312987 (佐賀新聞 2016年5月18日) 米有望企業、約半数は移民が創業、排斥すれば活力低下も 米株式市場で上場が見込まれるような有望なベンチャー87社のうち、約半数の44社は移民が創業したとの調査結果を、18日までに米シンクタンクが発表した。移民は「急成長する新興企業の源泉だ」と結論付け、査証(ビザ)の発給要件の緩和を促している。米大統領選でトランプ氏は移民排斥発言を繰り返しているが、移民流入を抑制する政策が採用されれば企業の活力をそぐ恐れがありそうだ。企業価値10億ドル以上で株式上場の可能性がある企業を87社選び、米シンクタンク「ナショナル・ファンデーション・フォー・アメリカンポリシー」が創業者の出身地などを調査した。 *3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374632.html (朝日新聞 2016年5月25日) (難民 世界と私たち)日本留学、シリアにともす灯 「150人受け入れ」現地の若者は 主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、政府は内戦が続くシリアの難民らを留学生として、来年からの5年間で最大150人を受け入れると発表した。日本が中東の難民を政策的に受け入れるのは初めて。期待に胸を膨らませる現地の若者らの思いを聞き、課題を探った。「日本留学のチャンスが増えるのは、とてもうれしい。留学生に選ばれれば必ず日本に行きます」。アレッポ大3年のアフマド・アスレさん(24)は19日、電話取材に声を弾ませて日本語で答えた。「シリア内戦の最激戦地」と呼ばれる北部アレッポの中心部に住む。政権軍と反体制派の戦闘地域は自宅からわずか数キロ先だ。この日、日本政府によるシリア人留学生受け入れ拡充をフェイスブックで知った。日本に留学中のシリア人の学生が新聞記事をアラビア語に訳してくれた。生活は過酷だ。4月下旬にはアレッポ大の卒業生で、一緒に日本語を学んだ友人女性が迫撃砲弾の直撃を受けて死亡した。アスレさんの自宅はスナイパーの狙撃を避けるため、全ての窓に灰色のシートを張っている。砲撃がひどい時は地下室に避難する。電気を使えるのは1日数時間。食品やガソリンは値上がりする一方だ。でもいつかは内戦が終わると信じ、家族とともに耐えてきた。「世界遺産も市場も住宅地も破壊された。戦争が終わった後、街を元通りにするには高度な技術を持つ日本の助けが必要。私は懸け橋になりたい」。シリア最大の国立総合大学のダマスカス大学には2002年、シリア初の日本語専攻学科ができた。だが、内戦で日本人教師が国外に退避。教員不足で、14年秋から募集を停止した。宮崎駿監督に憧れる2年生のガザル・バラカートさん(20)は日本語学科に入れず、考古学科で学ぶ。今年2月の「停戦」発効で状況が落ち着くまで、迫撃砲弾の着弾におびえながら通学した。初歩的な日本語を話せる先輩から日本語を学び、日本留学の機会を探る。発表は朗報だが、どこに問い合わせればいいか分からない。日本政府は12年3月、在シリア日本大使館を閉鎖した。「日本に憧れるすべてのシリア人の若者に平等にチャンスを与えてほしい」。トルコ・イスタンブールのシリア難民向けの小学校教師イヤード・ダムラヒさん(32)はアレッポ出身。内戦前の10年4月から日本で日本語学校に通い、大学進学を目指した。ところが翌年3月、東日本大震災が発生。両親に戻るよう説得され、アレッポに戻ったが、内戦で国外に逃れた。日本の大学で日本の教育を学びたい。「礼節や、皆で掃除をしたり、給食の配膳をしたりする相互協力は、とてもユニーク。深く学びたいと思った。募集人数を増やしてほしい」 ■支援者「新たな一歩」 留学生受け入れを埼玉県に住むシリア難民のジャマールさん(24)は「素晴らしいニュースだ」と喜ぶ。空爆で家が壊され、ダマスカス大の学生だった13年に母国を脱出。親類を頼って母、妹と来日し、昨年3月に日本が初めて難民と認めたシリア人の一人になった。日本語を学び、東京の大学進学を目指す。「最も大切なのは最初の半年間に日本語をきちんと教えること。日本社会になじみ、働くチャンスもできる」。日本はこれまで紛争から逃れた人を難民とは認めていない。11~15年に難民申請をしたシリア人65人で認められたのは6人。留学生受け入れを政府に提言した学生グループ「P782」メンバーで東工大4年の富重博之さん(24)は「難民が孤立しないよう社会のサポートも重要」と話す。NPO難民支援協会(東京)は「難民を『難民』として受け入れる方針が示されなかったのは残念だが、人道危機に対する責任の分担への新たな一歩を踏み出そうとしていることを歓迎する」とした。 ■受け入れ態勢や選考、課題 日本政府は留学生受け入れの態勢作りを始めた。政府関係者によると、留学生に配偶者や子がいる場合、同伴できるよう検討中だ。課題も多い。留学生の選考はレバノンやヨルダンで難民登録に携わる国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の協力を想定するが、シリア難民の最大受け入れ国のトルコは政府が独自に難民登録しており、UNHCRが選考できるか不透明だ。対象はシリアにとどまっている国内避難民も含むが、選考方法は未定。同伴家族の滞在資格をどうするかも詰める。今回の取り組みは、本格的な難民受け入れにつながるのか。外務省幹部は「今後は未定だが、これで終わりだと考えているわけではない」。欧州では、無制限な流入を抑えようとする動きが進む。UNHCRは難民の受け皿として、難民認定による保護に加え、大学に通う間の奨学金とビザの支給、病気やけがをした難民に医療を提供する間の滞在許可、条約上の難民と認められない人などに一時滞在を認める「人道ビザ」の発行などを呼びかける。人道ビザはブラジルが8450人、スイスが4700人のシリア人にそれぞれ発行した。周辺国に逃れた難民を第三国が受け入れる「第三国定住」の拡充も訴える。4月までに各国が計約16万人分の受け入れを表明。カナダや米国のように数万人規模を受け入れる国もある。 ■シリア難民受け入れの枠組み ◇国際協力機構(JICA)の技術協力制度 20人/年→政府の途上国援助(ODA)を活用 ◇国費外国人留学生制度 10人/年→文部科学省が実施 (2017年から5年間で最大150人を受け入れ予定。留学生として日本各地の大学で学ぶ) <移住者募集> *4-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37444 (日本農業新聞 2016/5/11) 移住者呼び込め 地方創生 連携が鍵 鳥取市の事例調査 農中総研リポート 農林中金総合研究所は、地方創生をテーマに研究成果をまとめた。地方の農業振興につながる可能性があるとして、官民が連携して移住者を呼び込む鳥取市の事例から移住促進策の可能性と課題を探った。移住者を呼び込む鍵として、国や自治体、民間非営利団体(NPO)などの連携体制を挙げた。地方創生に関する取り組み内容や数値目標などを定めた都道府県版総合戦略が2015年度末までに策定されたことなどを受け、テーマを設定。農中総研は「農業が基幹産業の地域は多い。地方経済が活性化すれば農業にも波及することから、地方創生は重要な動きだ」(編集情報室)とする。このうち、自治体の大半が力を入れているとされる移住促進政策に着目。若者を中心に市外から転入する移住者・世帯数が06年以降増え続けている鳥取市の取り組みを調査した。成功要因について、国や県、市、町内会、NPOなどの連携体制を敷いた点を指摘。関東、関西での開催も含めた相談会の実施に加え、移住前に暮らしを体験してもらう「お試し移住」の機会を設けたり、就業支援・不動産の情報を提供したりするなど切れ目のない支援をしているという。一方、地方創生の動きが加速する中、自治体間での移住者獲得の競争が激化するといった懸念も指摘した。この他、地方財政改革と地方創生の実現に向けた課題の研究や、農業・農山村振興をテーマに1月に行われたシンポジウムでの講演の内容を盛り込んだ。農林中央金庫の『農林金融』5月号に掲載している。『農林金融』は農中総研のホームページでも閲覧できる。 *4-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36291 (日本農業新聞 2016/2/13) 地方創生へ役割発揮 全国初、県と連携協定 JA長野県グループ 県とJA県グループは協定により、農業者の所得増大を目指した農業の振興をはじめ、農村地域の暮らしの維持や人口の定着など幅広い範囲で連携する。地方創生の県総合戦略には「JA長野県グループと連携・協働する」と明記した。 ●インフラ維持、移住促進も 具体的には、中山間地域でJAの空き店舗を活用した地域住民のふれあいの場づくりや移動購買、移動診療の充実などを想定。また、地域に密着した医療・介護福祉サービスやガソリンスタンドの運営、金融・共済事業の提供など、JAは総合事業を通じて地域のライフラインとしての役割を発揮する。人口減少対策でもJAへの期待が高い。独自の基金を活用した新規就農者への支援の他、「田舎暮らし」や「農ある暮らし」を目指す多様な農業の担い手を支援。定年帰農者やU・Iターン者への直売所への出荷の呼び掛けや、必要な農業研修などをJAに積極的に担ってもらう考えだ。JA県グループも、長野中央会や厚生連などでつくる「JA長野県くらしのセンター」を4月に開設。自己改革として協同活動の推進や高齢者福祉事業への支援を加速するとともに、同協定による地方創生に関わる窓口を設ける。長野市の県庁で12日行った調印式で、阿部守一知事は「農村の活性化は県の活性化と密接不可分。農村の暮らし全般に深く関わっているJAとの連携は大変心強い」とあいさつ。JA長野中央会の大槻憲雄会長は「JAの総合事業と地方創生が目指す方向は同じ。当たり前のことをやっていく」と決意を述べた。全中によると、県とJA県グループが地方創生に関して、農業や暮らしなど広範囲にわたって連携するのは全国でも初めて。「全国大会決議で掲げた地方創生への積極的な参画のモデルとなる事例」(組合員・くらしの対策推進部)と評価する。 PS(2016年6月11日追加):*5のように、佐賀県でも3,200人超の外国人労働者が働いているそうだが、「技能実習生」という名目で労働法規の例外となるような雇用をすると、結局は恨みを買って国益にならない。また、本当に技術移転をし続ければ、日本の技術を無料で新興国に移転することになって技術で差別化できなくなり、日本の競争力が弱まる。そのため、勤務時間短縮や残業代不払いのような馬鹿の一つ覚えの小さなことばかりではなく、時代に合わせて、雇用における女性差別や外国人差別を是正するのが、労働基準監督署の重要な役割であろう。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/321658 (佐賀新聞 2016年6月11日) 県内企業、外国人労働者3200人超、人手不足で拡大 ■法令違反も潜在 雇用環境の改善急務 人手不足を背景に、佐賀県内でも外国人労働者を受け入れる企業が広がり、1年前より350人増えて3200人を超えている。一方、佐賀労働基準監督署が立ち入り調査した技能実習先企業の7割(2014年)で賃金不払いや上限を超えた長時間労働などの不法行為が見つかっている。外国人労働を巡る問題は表面化しにくく、雇用環境の改善が急務となっている。「他業種よりも賃金など条件面で見劣りするため、社員が集まらない。短期間でも外国人に頼らないと仕事が回らない」。数年前から中国人実習生を雇う県内の縫製会社は打ち明ける。県内の外国人労働者は昨年10月末、留学生を含め3264人。製造業を中心に卸売や小売、飲食業など525社が受け入れている。中国人が千人と最も多く、ネパール人700人、ベトナム人640人と続く。うち外国人技能実習制度で来日した実習生が4割を占める。技能実習制度は本来、新興国への技術移転が目的。ただ、3年前からフィリピン人実習生6人を雇い入れている金属加工業者は「それは建前にすぎない」と言い切る。「うちの実習生も残業をしたがる。日本でお金を稼ぎたい外国人と、低賃金で労働力が確保できる企業の利害で成り立っている側面もある」と制度のほころびを認める。政府は経済界の要請も受け、実習生の受け入れ期間延長や介護にも対象を広げる方針だが、雇用環境の整備は遅れ気味だ。佐賀労基署が14年に立ち入り調査した実習先企業46社のうち、32社で法令違反が見つかった。12社が労使で定めた残業時間の上限を超えて働かせていたほか、残業代を支払っていなかった企業も6社あった。外国人を雇用している企業の半数は30人未満の小規模事業所で、労基署は「人員体制面で管理が行き届いていないことが要因」とみる。労基署への相談は年数件だが、管内に外国語に対応した相談窓口はなく、「表面化していない問題がないとは言えない」という。「休みを取ったら上司に蹴られた」「安全靴を履かずに建設現場で働き、けがをした」-。佐賀市で日本語教室を開く越田舞子さんは実習生からこんな相談を受けることがある。「日本語が十分に話せなかったり、渡航費を親類から借りて来日したりして、誰にも相談できずに我慢して働き続けている人もいる」。問題の根深さを指摘する。 ■12日、アバンセで技能実習制度学習会 技能実習制度の在り方を考える学習会が12日午前10時から、佐賀市のアバンセで開かれる。県内の労働組合でつくる「はたらくものの命と健康を守るネットワークさが」が企画し、越田さんと、外国人労組「首都圏移住労働者ユニオン」書記長の本多ミヨ子さんが課題を語る。参加無料。問い合わせは県労連、電話0952(25)5021へ。 PS(2016年6月16日追加):*6の「①大量の農薬を使って土地が痩せる悪循環が起きた」「②農薬を使いすぎて魚が減った」「③有機栽培で安全な野菜を作っても評価されず、収益向上に役立たなかった」等々は、日本では40年くらい前から指摘され始め、次第に解決されてきたものだ。そのため、佐賀県などノウハウを持つ自治体が有機農法を伝授したり、家畜の糞や下水の現代的な利用法を教えたりするのは良いことで、これらは、JICAが予算を付けて地道なODAとして行うことも可能だ。また、もともと緑だったが砂漠になってしまった地域を元に戻せば、そこに移住できるので多くの紛争が鎮まると考える。 *6:http://qbiz.jp/article/88845/1/ (西日本新聞 2016年6月15日) ミャンマー 佐賀の有機農法を伝授(上) 農薬の代わりに木酢液 戦前は世界最大のコメ輸出量を誇った農業国ミャンマー。国民の7割が農村に住み、潜在性が大きいと期待されるが、近代化の遅れや知識の不足で生産性が上がらない上、海外から流入する農薬で安全も確保できていない。地球市民の会(TPA、佐賀市)はそんな状況を改善しようと、農業が盛んな北東部シャン州南部で長年、有機農法を指導。裾野が広がり始めた。観光地としても有名なインレー湖に近いシャン州南部の主要都市タウンジー郊外に、TPAが運営する「ナウンカ村落開発センター」がある。5月下旬、周辺の村から集まった若者を前に、ベテラン教師ミョー・ミン氏が教壇に立っていた。「インレー湖の水は湖岸や湖上の農業で農薬を使いすぎて飲めなくなり、魚も減った。木酢液で虫を近寄らせなければ、殺す必要はない」。木酢液とは、ここで教える「循環型農業」で要の一つとなる忌避剤のこと。座学の後、ミョー・ミン氏と若者らは外の畑に出て、精米後の籾(もみ)殻から酢液をつくる実技に移った。センターは2005年に完成、2エーカー(約8千平方メートル)ほどの土地に教室や宿泊所のある母屋、畑や養鶏場、精米所などを備える。ここで月1回、農家20人ほどを集めた7日間研修が行われるほか、年に1度は若手10人ほどを対象とする3カ月の長期研修も実施。近隣の村を中心に州内外から集まる研修生はセンターに泊まり込み、寝食を共にしながら学ぶ。研修は延べ80回を数え、受講者は1,000人を超えた。近隣の村への出張研修も行っており、裾野は広がりつつある。TPAのミャンマー国代表、柴田京子氏は「土地が痩せて困って研修を受けにくる農家が多い」と話す。国境を接するタイや中国から安価な化学肥料が大量に流れ込み、農家はビルマ語の使用書もないまま、業者の言いなりに大量の農薬を使い、土地が痩せる悪循環が起きているという。センターで教える農法の柱は、農薬や化学肥料の代わりに、土地に生息する菌を増やして堆肥にする「土着菌堆肥」、鶏糞や油かすを使う「ぼかし肥」、炭焼きなどで出る液を忌避剤にする「木酢液」の3つだ。5月下旬の7日間研修に近隣の村から参加していたウィン・チョンさん(30)は、「ハトマメを植えたら初年はできたが、2年目は減り、3年目は全く実らなくなった。ミカンも昔は何年でも実ったが、いまは実らない。収量があがらないので参加した。肥料を昔の牛糞(ふん)から化学肥料に切り替えたせいかもしれない」。研修で学ぶ循環型農業は「環境にも自分にも良いので、実践しようと決めた」と話した。過去に3カ月研修を受けたというトゥン・ナインさん(29)も、「化学肥料を使うようになって土が硬くなった」として参加した。研修で習った堆肥の作り方やコメの植え方を実践している。ただ化学肥料や農機が普及する一方で牛は減り、堆肥に使う糞なども買わなければならなくなった。 ■成果示し悪循環絶つ ミョー・ミン氏は自身も農家で、TPAが引き継ぐ以前に別の団体がタウンジーで循環型農業を教えていた1999年から教師を務める。「農家は30年前から化学肥料を多く使っていたが、近年は特に広がった」と危機感を強めている。タイから輸入されるハイブリッド種は化学肥料の使用を前提とした種。在来種・固定種であれば種取りができ、何年でも実るが、ハイブリッド種は毎年、種も買わなければならない。生産コストが上がり続ける一方、収入はなかなか伸びない。一方、ミョー・ミン氏が指導したインレー湖畔のテレーウー村では、土着菌を生かす農法で1エーカー(約4千平方メートル)当たりのコメ収穫量が国内で一、二を争うまでに高まるという成果を挙げた。実績を示すことが農薬や化学肥料に頼る悪循環を絶ち、他の地域への循環型農業の普及を後押しすると期待する。TPAでは、約10の農家からなる農業組合も組織して、有機栽培の振興に取り組む。センターのスタッフの案内で周辺の村を回ると、研修所で学んだ農家が、「隣の農家も循環型農業を実践している」と教えてくれた。研修を受けた人が周囲に広げたり、近隣の村への出張研修に参加した人が実践したり。タウンジー駐在のTPAプロジェクトアドミニストレーター、鈴木亜香里氏も「この広がりには驚いた」と言う。当初は研修に参加しても自分の畑に持ち帰って実践する人ばかりではなかった。有機栽培で安全な野菜を作っても、卸先のブローカーが評価してくれず、収入向上に役立たなかったからだ。ブローカーは見た目重視で、農薬の有無は意に介さない。農家が実践するには、販路が必要だった。 PS(2016年11月6日追加):必要な労働力を確保するのに移民・難民を受け入れると、*7-1のように、海外出身の児童の教育体制を整えなければならないが、移民・難民の大人にも夜の小中学校の校舎などを使って日本における基本的なことを学んで理解する機会を準備した方がよいだろう。しかし、溶け込む(日本人と同じになって目立たなくなる)ことを強制しすぎるのは、日本人とは異なることによって持っている長所を消失させてしまう場合もあるためよくない。むしろ地域の人は、(内容にもよるが)ありのままの相手を受け入れることによって、心のグローバル化が進むと考える。なお、1970年代から増えている日本人帰国子女は、両国語が流暢で両国の文化に通じていることを活かして活躍している人が多く、この場合は、日本人学校に入れられることの多い男の子よりも、現地の学校に放り込まれることの多い女の子の方が、徹底したバイリンガルとして活躍していると言われている。 また、*7-2のように、2016年の耕地面積(田畑計、7月15日現在)は447万1000ヘクタールで、1961年の608万6000ヘクタールをピークに減り続け、その理由は、耕作放棄や宅地への転用だそうだ。そして、前年と比較しても2016年は田が1万4000ヘクタール、畑が1万1000ヘクタール減少し、我が国は大きな資産を失った。それなら農業人材となる移民を募集し、最初は農業生産法人やJAが雇用して耕作すれば、生産物(小麦・オリーブ・葡萄等)の国内販売や母国への輸出が可能であるため、農地を失いながら農地をつぶして作った住宅も空き家にしているより、ずっとよいと思われる。 2016.11.6、2015.11.30 食料自給率国際比較 2015.6.18朝日新聞 日本農業新聞 (図の説明:日本は、他の先進国と比較して食料自給率を著しく減らしながら、農業の就業人口と耕作地の両方を減らし続けてきたため、これは、減反農政の失敗だ。それを回復するに当たっては、大規模化・技術革新・生産性の向上が重要だが、農業従事者としての移民・難民の受け入れも選択肢になる) *7-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/373899 (佐賀新聞 2016年11月6日) 現場を行く 海外出身児童や帰国子女 「授業」「溶け込み」に課題 日本語が苦手な海外出身の児童や帰国子女が佐賀県内で増えていることを受けて本年度、日本語指導教員が佐賀市の小学校2校に1人ずつ配置されている。適切な指導方法を探りながら、周りの児童に異なる文化や習慣を受け入れる素地をどう育むか。模索する現場を歩いた。 ■佐賀市の日本語指導教員、模索 ネパールから来日して2年になる小学4年の女の子が母国を紹介する文章を考えていた。9月下旬の本庄小学校。隣に座る日本語指導教員の西村常裕さん(53)が「てにをは」の誤りを消しゴムで消してあげて、適切な表現を考えさせる。授業を受ける普段のクラスとは別の教室。女の子は数字を漢字で書いているとき「はあ、きつい」と漏らしたが、正しく書き上げて「素晴らしい」と褒められると、笑みを浮かべた。 ■周囲の理解促進識者「学校も努力を」 県教育委員会によると、県内で日本語の指導が必要な小中学生は5月1日現在、37人いる。外国籍が24人、日本国籍が13人で増加傾向にあるという。母国語や得意な言語は中国語、英語、韓国語が多い。指導教員は小学校教諭の免許を持ち、学級担任を補助する。県内の定住外国人の3割が暮らす佐賀市では例年、海外出身者が転入する。指導教員は、児童が比較的に多い本庄小と神野小に県教委が4月に配置した。児童は日常会話ができても学習用語は苦手だ。「辺が平行とか直角に交わる線とか、単語の意味を理解し学習に結びつけるまでは時間がかかる」。神野小の指導教員、伊井喜也さん(43)は話す。来日前に成績が優秀でも、つまずくと自信を失いかねない。教科書に読み仮名を振ったり、絵を使った副教材を活用したりして理解を助けている。1対1の個別授業は、周りの目を気にせず、児童の学習進度に応じて学習できるという利点がある。一方で、在籍するクラスへの帰属意識が薄れないように配慮も必要になる。本庄小では、全校集会で指導教員が児童の母国語のあいさつを教え、教室では外国語でのあいさつも飛び交う。落ち着いた学校生活を送るためには、家庭との意思疎通も欠かせない。担任や指導教員は児童の転入前、保護者と面談し、宗教の儀礼や口にできない食材を確認している。普段の連絡事項は、保護者が日本語が得意ではない場合、来校してもらい、国際交流協会から派遣された通訳やALT(外国語指導助手)を介してやりとりをする。児童に通訳してもらうときもある。「児童が『受け入れられている』と実感できる雰囲気づくりが大切」。海外にルーツを持つ児童生徒に集いの場を提供している松下一世佐賀大学教授(60)=人権教育=は、指導教員の役割をこう強調する。その上で「学校は集会や教室づくりを通して、周りの児童が異なる国や文化に興味を持つように促していく必要もある」と指摘し、共生社会の実現につながるきっかけづくりを求めている。県教委は本年度末に成果をまとめ、日本語指導を必要とする別の学校と情報を共有する考えだ。 *7-2:https://www.agrinews.co.jp/p39379.html (日本農業新聞 2016年11月6日) 耕地0.6%減 447万ヘクタール 山間部中心に荒廃増 前年割れ55年連続 2016年の耕地面積(田畑計、7月15日現在)は447万1000ヘクタールと、前年より2万5000ヘクタール(0.6%)減ったことが農水省の調べで分かった。前年割れは55年連続。山間部などの条件不利地を中心に、荒廃農地が増えたのが最大の要因となった。九州では熊本地震などの自然災害が響いた。耕地面積は1961年の608万6000ヘクタールをピークに減り続いている。高齢化による耕作放棄や宅地への転用などで、これまでに約3割の農地が失われた。16年も田が243万2000ヘクタールで前年比1万4000ヘクタール減、畑が203万9000ヘクタールで1万1000ヘクタール減と、いずれも前年を割り込んでいる。耕地面積の前年より減少した分(2万5000ヘクタール)の6割を占めるのが荒廃農地だ。16年は1万6200ヘクタールと前年より2700ヘクタール増え、過去10年間で最大を更新した。このうち畑は9170ヘクタールと、田を3割上回った。特に畑に含まれる樹園地の減少が目立っており、高齢化による労働力不足で管理が行き届かなくなっている実態を示した。一方、田の増えた面積は1690ヘクタールで前年の8割にとどまった。畑は4700ヘクタールで3割増。特に熊本県で、熊本地震により水稲の作付けが困難になったことへの対策として、田の畑地化が進んだ。地域別に見ると、田畑の面積が前年より最も落ち込んだのは関東・東山と九州で、ともに5300ヘクタール減った。関東・東山は宅地化の増加、九州は熊本地震などの自然災害が響いた。次いで東北が5200ヘクタール減で、高齢者が多い山間部を中心に田畑が減った。
| 経済・雇用::2015.11~2016.8 | 03:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
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