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2017.1.24 “ポピュリズム(衆愚)”という表現は、生活者として多様な立場から考えている国民に対する上から目線の罵倒であり、日本のメディアが、トランプ米大統領の「米国第一主義」や英国の「EU離脱決定」を“保護主義”“ポピュリズム”と評するのは傲慢である。 (2017年1月25、26、27、29日に追加あり)
      
トランプ大統領就任演説 英国のEU離脱をめぐる経緯  メイ首相の演説    日本の永住資格

(1)トランプ大統領の政策と日本政府・メディアの反応
 米国大統領選は候補者同士のくさしあいとなり、両候補とも魅力に欠ける状態に陥ってしまったが、*1-1のトランプ大統領就任演説全文を見ると、私はトランプ大統領は米国大統領としては当たり前のことを言っている部分が多いと思った。

1)「国民に権力を」について
 トランプ大統領が述べている「①大切なのは、国民が政府を動かしているかどうかだ」「②権力を首都ワシントンからあなた方国民に返還する」「③支配層は保身に走り、市民を擁護しようとしなかったため、支配層の勝利や成功は皆さんの勝利や成功とはならなかった」というのは、米国でもそうだったのかと思われたが、日本では実質的にそうなっていないため、もっと深刻である。そのため、このフレーズは、日本人こそよく考えて聞くべきで、主権者に権力があるのは、日本国憲法に明示されているとおり、民主主義(主権在民)の国なら当たり前のことなのだ。

2)「全てが変わる」について
 「①この米国は皆さんの国だ」「②大切なのは、どの政党が政権を握るかではなく、国民が政府を動かしているかどうかだ」「③国家は国民に仕えるために存在する」「④国民は子どもたちのために素晴らしい学校を望み、家族のため安全な環境を欲し、いい仕事を求めており、それは善良な人々のごく当たり前の要求だ」のうち、①③は日本国憲法にも明示されている理念だ。また②も真実であるし、④はどこの国の人も同じで、どこかの国だけが特別ではないだろう。

3)「殺りくに終止符」について
 しかし、「①都市の市街地で母子が貧困から抜け出せないでいる」というのは、米国では特に、離婚や無計画な出産が多すぎるのではないかと思う。「②さびついた工場群が墓石のように国内の至る所に散らばっている」というのは本当かも知れないが、それを解決するためには昔に戻せばよいのではなく、米国内に高コスト構造に耐える現代産業を育成するしかない。

 「③何十年もの間、われわれは米国の産業を犠牲にして、他国の産業を豊かにしてきた」というのは、NAFTA・中国・日本のことを言っているのだろうが、これらの国は、「遅れているから」として米国に負担ばかりをかけられる時代が過ぎ、相互主義でやるべき時代が来たことを実感すべき時なのだろう。

 なお、「④自国の国境防衛は疎かにしながら、他国の国境を守ってきた」というのは真実なので笑ってしまったが、その相手が日本だとすれば、それは米国がアドバイスしてできた世界でも理想的な日本国憲法の下、日本は弱い自衛軍しか持たないため、日米安全保障条約を結んで米軍に頼っているのだが、本当に頼りになるかどうかは心配だ」というのが本音である。

 また、「⑤国外で何兆ドルも金を費やしている間に、米国のインフラは荒廃し、朽ち果ててしまった」というのは、米国のインフラもIT時代の最新のものに更新すべきで、日本も他山の石とすべきだろう。

4)「米国第一」について
 「①今日からはひたすら『米国第一』で、貿易、税金、移民、外交で常に米国の労働者と家族の利益となる決定を下す」というのは、時代錯誤にあたるような過度の保護主義でなければ、米国大統領として当然のことだ。また、「②この素晴らしい国の全土に新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、鉄道を造る」「③国民を生活保護から抜け出させ、仕事に戻ってもらう」というのも、失業者に生活保護給付をし続けるよりも、その労働力を使ってインフラ整備をした方が建設的であるため同意する。

 「④国益を最優先する権利が全ての国にあるという考えに基づき実行する」というのも、過度の保護主義でなければ当然のことであり、「⑤われわれの流儀を押しつけたりはせず、模範として追随されるように、われわれを輝かせよう」というのも、民主主義には発展段階があり、専制から一足飛びに完成型にはならないため、米国流を押し付けるのではなく、次第に理想形に変えていく必要があり、同意だ。

5)「国民の結束」について
 「①われわれの政治の根底にあるのは、米国への完全な忠誠や国民同士の忠誠心だ」「②心を開いて愛国主義を受け入れれば、偏見が生まれる余地はない」「③神の民が一つになって共に生きることは、なんと幸せで楽しいことか」というのは、戦後の日本人には馴染みの薄い言葉の連続だ。

6)「行動の時」について
 「①大きく考え、大きな夢を見よう」というのは賛成だ。しかし、権限があってできる立場にいるのに「②口ばかりで行動しない政治家、不平ばかり言って自分では何もしない政治家」が米国にはいるのだろうか?この章は、全体として論理の飛躍が多く、一般の人が夢を持てる言葉を並べたものと思われる。

7)「声・希望・夢」について
 「全ての米国民の皆さん。住んでいる町が近くても遠くても、小さくても大きくても、山々や海に囲まれていようとも、あなたたちが無視されることは金輪際ない。あなたたちの声、希望、夢が米国の運命を決めるのだ」というのは、本当に実行されれば、それこそ民主主義のよい国である。そして、現代では、IT技術の発達によって、それも可能になっている。

8)「一つの中国」の見直しについて
 トランプ次期米大統領は、*1-2のように、「中国と台湾を不可分とする『一つの中国』原則を含めて全てが協議される」と述べ、見直しもあり得るとの考えを示した。これには、中国は反発するだろうが、台湾の望みを考えれば、日本政府にはできない勇気ある行動だ。

9)環太平洋連携協定(TPP)からの離脱表明について
 *1-3に、「TPPを成長戦略の柱に据える日本は、経済・外交・安全保障分野で大転換が求められ、新たな対米関係が迫られる中で日本の立ち位置が問い直される」と書かれているが、自国の国益を第一に考えるのは日本も同じであるべきだ(でなければ日本国民が困る)。しかし、だからといって国際協調をしないということではないため、*1-4なども含め、日本のメディアは冷静さを欠く保護主義キャンペーンをし過ぎている。

 また、企業のグローバル化とは、地球規模で生産・販売・研究開発・資金調達・租税政策などを行うことであり、EU、TPP、NAFTAのように経済の囲い込みをすることではないため、「トランプ現象=反グローバル」というのは間違いだ。そして、どの国にとっても産業政策・雇用政策は重要で、日米自由貿易協定(FTA)などの2国間協議でも、日本政府は国益を優先して交渉すべきだ。しかし、これに関して、私はビジネスマン出身のトランプ大統領と比べて、日本の政治家・行政官はもめないことを最重要課題として本当の交渉をしないため、不利な交渉結果を導くことが心配である。

10)オバマケアの撤廃について
 トランプ米大統領は、オバマ前政権が進めた医療保険制度改革の撤廃に向けた大統領令に署名されたそうだが、誰にとっても必要不可欠な国の医療・介護保険制度をきっちり作った方がよいと、私は考える。何故なら、それは必需品であり、雇用吸収力があるとともに、中産階級以下の国民の将来の心配を軽減することによって、現在の需要への支出を増やすことができるからだ。

(2)「欧州覆うか『自国第一』、相乗効果狙い右翼ポピュリズム政党結集」というメディアの論調
 「トランプ米大統領の就任式参加者がオバマ前大統領よりも少なかった」という報道が日本では多い。しかし、トランプ米大統領の就任演説は、就任式に参加した人だけでなく、衛星放送やインターネットで聞いた人も多いため、前評判やトランプ米大統領の政策の世界への影響から、世界ではオバマ大統領よりも多かったかもしれない。日本では、私も就任演説を聞きたいと思ったが、真夜中だったため、翌朝の新聞に英文と日本語訳の全文が掲載されたのを読んだ。つまり、トランプ米大統領の就任演説は、オバマ前大統領に劣らず、世界中で関心が高かったと言える。

 そして、*1-5のように、「重要選挙を迎える欧州連合(EU)各国の右翼ポピュリズム政党が就任式翌日の21日、ドイツに集まって『エリートでなく、民衆による政治が始まった』と気勢を上げ、トランプ大統領と同じ『自国第一』を掲げた」そうだ。

 しかし、私は、「右翼ポピュリズム政党」という表現は正しくないと考える。何故なら、「自国第一」を掲げるのは「右翼ポピュリズム政党」と定義するのであれば、世界中の多くの政党が「右翼ポピュリズム政党」ということになり、日本では全政党が「右翼ポピュリズム政党」ということになって事実に反するからだ。

 日本は、*4-1のように、難民受入国支援のために約2800億円拠出し、シリア人留学生150人の受け入れ表明をしたが、難民の受け入れは極端に少なく、「国境を自由にして難民が自由に出入りできるようにせよ」と主張している政党はないため、相手によって異なる多重基準でモノを言うのは不公平だ。

 また、*4-2のように、外国人労働者の受け入れも、留学生・実習生として日本に入国した外国人を介護専門職に育成して就職に繋げる法律ができたばかりで未施行であり、その留学生も、*4-3のように、例年20人程度だった留学生の入学者数が2016年度は257人になった程度だ。なお、研究者や企業経営者等の高度の専門性を持つ外国人は、*4-4のように、従来は最短5年で永住権取得を認めてきたが、今後は1年で永住権を取得できるようにするそうだ。ただ、その要件は非常に厳しい。

 しかし、私は、*1-5のように、難民受け入れに寛容なドイツのメルケル首相が批判されているのは気の毒だと思う。何故なら、メルケル首相は、東ドイツ出身でありながら統一ドイツの首相になった聡明な人で、難民の受け入れに寛容な精神を持っている理由が理解できるからだ。

(3)英国の欧州連合(EU)離脱決定をポピュリズム(衆愚)と呼ぶのは、民主主義への挑戦である
1)英国国民投票でのEU離脱決定はポピュリズム(衆愚)か
 2016年6月24日の英国国民投票でEU離脱が決定し、*2-1は、「①反EUのポピュリズム(衆愚)が理性に勝った」「②英国のEU離脱決定は欧州統合の機関車役ドイツにも打撃」「③この開票結果は、欧州市民の間でEUへの失望がいかに深く、右派ポピュリズム勢力への支持が強まっているかを示した」「④英国に追随して国民投票によるEU離脱の動きが広がる可能性があり、2016年6月24日は、欧州の歴史の中で暗黒の日として記憶されるだろう」としている。

 私は、①の表現は、国を単位とする民主主義への挑戦であり、誰から見た目かわからないが、国民投票の結果をポピュリズム(衆愚)と呼んでいる点で傲慢だと考える。②は、国境という国の主権にかかわる問題にEUが自由化を強制した点が問題なのであり、③は、ギリシャに強制的に年金削減をさせるなど財政という国家主権に関わる部分にまでEUが口を出しすぎ、国情によっては唯一の解決策ではないのに強制したという不安・不満があったため、きっかけさえあれば、④のように同じ動きが広がるのである。

2)EU離脱で英国経済の競争力は低下するか
 *2-1に「①英国のEU離脱決定は英国経済にとって激震となる」「②英国の輸出額のうち半分以上をEU加盟国向けが占め、対EU輸出は英国のGDP(国内総生産)の約15%を稼ぎ出し、英国の輸入額の約50%もEU諸国からである」「③そのため、英国はEU脱退によって雇用が脅かされるかもしれない」「④EU離脱によって多くの金融機関がロンドンから欧州中央銀行(ECB)があるドイツのフランクフルトに拠点を移すと予測されている」「⑤英国に拠点を持つ日本企業も欧州市場戦略を大きく見直す必要がある」「⑥スコットランドがEU加盟を求めて、英国からの独立運動を再燃させる可能性もある」「⑦英国の唯一の経済的利点は、EU加盟国が支払う会費を納める必要がなくなることだ」と書かれている。

 このうち、①は本当だが、マイルドな方がよいとはいうものの、変革に震動はつきものだ。②③④については、東西冷戦後の東欧諸国からの安い賃金の移民を使った経済モデルが終わり、新しく英国は雇用吸収力のある現代産業を育成する必要があるのであって、私は、それが可能だと考える。⑤は、日本企業の都合であって英国の都合ではないため、英国から見れば、『だから外資に頼らず自国の産業を育てておくべきだ』ということになり、立場を逆にすれば日本政府も同じだ。⑥は、現在、その最中だが、困った時に協力できない分断された国なのかと思う。⑦の利点は、国家主権にかかわることにまで強制が及ぶことも考えれば、英国にとって大きく、新しい経済モデルに踏み出す時と言えるだろう。

3)移民増加と排外主義の高まりか?
 *2-1に、「EU脱退がもたらす経済的打撃にもかかわらず、英国の有権者がEU離脱の道を選んだ理由は、難民危機を追い風として、英国だけでなく欧州全体で右派ポピュリストに対する支持が高まっている事実がある」と書かれている。

 しかし、*2-2に、「EU離脱がポピュリズムというのはこじつけだと、離脱派の旗振り役だったジョンソン英外相が反論した」「英国には、EUを弱体化させたり、EUに対して意地悪をしたりする意図は全くない」などが書かれている。

 私は、英国の有権者がEU離脱を選んだ理由を右派ポピュリストと呼べば、世界中が右派ポピュリストと呼ばれる政党ばかりとなり、その呼称はおかしいと考える。そして、先進国の高い賃金の労働者が賃金の安い移民・難民に労働市場で敗退するのは、どの先進国でもあったことで、EUの重要な原則の一つである域内移動の自由は、国が計画的に移民・難民を受け入れることを不可能にするため、反発があったのだと考える。

(4)英国、メイ首相の方針
 英国のメイ首相は、*3-1のように、EUとの離脱交渉を控えてロンドンで演説し、域内での人、モノ、サービス、資本の移動の自由を原則とする欧州単一市場に「とどまることはできない」としてEUから完全に離脱する意向を示し、EU域外の国々との貿易強化方針も打ち出し、「より強く、よりグローバルな英国をつくる」と主張したそうだ。

 これは、英国へ進出した日本企業にも影響を及ぼすが、日本企業も東欧の安い労働力を使って生産したものを欧州に輸出するという経済モデルは終わりに近づいたことを認識し、英国の方針転換に適応して次のモデルの準備をした方がよいだろう。そして、新しいモデルには適応できない企業は別の場所に移転するしかない。

 なお、*3-2のように、日本のメディアは、「英国とEU『自国優先』に歯止めを」というような論調が大半であり、その価値観は異常だ。何故なら、ある国の政府が自国民のために政治を行うのは、主権在民(民主主義)の政府であれば当然であり、地球のことを考えれば愛国心だけでは足りないというだけである。そのため、「人の移動の自由を受け入れてまで、EUの単一市場に残る選択をしない」という選択も、批判すべきではない。英国なら、それよりダイナミックな、次の時代に向けての展開もあり得る。

<トランプ大統領就任>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201701/CK2017012202000110.html (東京新聞 2017年1月22日) トランプ大統領就任演説全文 「米国はかつてないほど勝利していく」「みんなで米国を再び偉大にしよう」
◆大切なのは、国民が政府を動かしているかどうか
 ロバーツ最高裁長官、カーター元大統領、クリントン元大統領、ブッシュ元大統領(子)、オバマ前大統領、米国民の皆さん、世界の皆さん、ありがとう。
▽国民に権力を
 米国の市民は今、国を挙げた壮大な取り組みに臨もうとしている。国家を再建し、全ての人が希望を取り戻す取り組みだ。われわれは共に、米国や世界が今後何年にもわたって進む針路を決定する。難題や苦難に直面するだろうが、仕事をやり遂げる。四年ごとにわれわれはここに集まり整然と平和裏に権力を移行する。オバマ前大統領とミシェル夫人に感謝する。政権移行を丁重に支援してくれた。彼らは素晴らしかった。ありがとう。ただし、今日の式典には特別な意味がある。単に政権交代が実現し、権力が政党から別の政党へと移っただけではない。権力を首都ワシントンからあなた方国民に返還するのだ。あまりに長きにわたり、政府から恩恵を享受するのは首都にいる一握りの人々にとどまり、国民にはしわ寄せが及んできた。ワシントンは繁栄しても、国民が富を共有することはなかった。政治家が潤う一方で、職は失われ、工場は閉鎖された。支配層は保身に走り、市民を擁護しようとはしなかった。支配層の勝利や成功は、皆さんの勝利や成功とはならなかった。支配層が首都で祝杯を挙げていても、懸命に生きる全米の人々に浮かれる理由はなかった。
▽全てが変わる
 ここから、たった今から、全てが変わる。この瞬間は皆さんのためにある。今日ここに集まった皆さんと、式典を見守る全米の皆さんのためにある。今日は皆さんこそが主役で、これは皆さんの祝典だ。そしてこの米国は皆さんの国なのだ。大切なのは、どの政党が政権を握るかではない。国民が政府を動かしているかどうかが大切なのだ。二〇一七年一月二十日は、国民が再び主権者となった日として記憶されるだろう。忘れられてきた人々も、これからは忘れられることはない。皆さんの声に誰もが耳を傾けている。大勢の皆さんが歴史的なうねりの当事者となるためやって来た。世界がかつて目撃したことがないような社会現象だ。その中心には重大な信念がある。国家は国民に仕えるために存在するという信念だ。国民は子どもたちのために素晴らしい学校を望んでいる。家族のため安全な環境を欲し、いい仕事を求めている。善良な人々のごく当たり前の要求だ。
▽殺りくに終止符
 しかし、あまりに多くの市民にとって、現実は異なっている。都市の市街地で母子が貧困から抜け出せないでいる。さびついた工場群が墓石のように国内の至る所に散らばっている。教育システムに金がつぎ込まれても、若く優れた学生たちは知識を得ることができずにいる。犯罪、悪党、麻薬が多くの命を奪い、可能性の芽を摘んできた。こうした米国の殺りくは今ここで終わる。われわれは同じ米国民だ。彼らの苦悩はわれわれの苦悩だ。彼らの夢はわれわれの夢だ。彼らの成功はわれわれの成功となる。われわれは一つの心、一つの故郷、そして一つの輝かしい運命を共有している。今日の私の大統領就任宣誓は、全ての米国人に対する忠誠の誓いだ。何十年もの間、われわれは米国の産業を犠牲にして、他国の産業を豊かにしてきた。米軍の嘆かわしい劣化を招いた一方で、他国の軍に資金援助してきた。自国の国境防衛はおろそかにしながら、他国の国境を守ってきた。そして国外で何兆ドルも金を費やしている間に、米国のインフラは荒廃し、朽ち果ててしまった。他国を豊かにしている間に、われわれの富や強さ、自信は地平のかなたへ消え去っていった。工場は次々と閉鎖され、残された何百万人もの米国人労働者を顧みることなく、国外へ移転していった。中間層の富が奪われ、世界中にばらまかれた。だがそれは過去のことだ。今、われわれは未来だけを見据えている。
▽米国第一
 今日ここに集まったわれわれは、全ての都市、全ての外国政府、全ての権力機関に向かって、新たな決意を宣言する。今日から、新たな考え方でわが国を治める。今日からはひたすら「米国第一」だ。米国が第一だ。貿易、税金、移民、外交では常に、米国の労働者と家族の利益となるような決定を下す。物作り、企業、雇用を奪う外国から、われわれは国境を守らなければならない。(貿易や雇用の)保護は、大いなる繁栄と強さをもたらす。私は全身全霊で、皆さんのために戦う。そして私は皆さんを決して失望させない。米国は再び勝利し始める。いまだかつてないほど勝利していく。われわれの雇用を取り戻す。国境を取り戻す。富を取り戻す。そして夢を取り戻す。この素晴らしい国の全土に新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、鉄道を造る。国民を生活保護から抜け出させ、仕事に戻ってもらう。そしてわれわれの国を、米国人の手によって、米国人の労働力で再建する。われわれは二つの簡潔な規則を守っていく。米国製品を買い、米国人を雇う。われわれは世界の国々との友好、親善関係を求めていく。ただし、国益を最優先する権利が全ての国にあるという考えに基づき、実行していく。われわれの流儀を(他国に)押しつけたりはしない。むしろ模範として追随されるように、われわれを輝かせよう。古くからの同盟を強化し、新たな同盟関係も築き、文明国を一つに束ねてイスラム過激派によるテロに対抗し、地球上から完全に根絶する。
▽国民の結束
 われわれの政治の根底にあるのは、米国への完全な忠誠だ。そして国への忠誠心を通して、われわれは国民同士の忠誠心も再発見することになるだろう。もし、心を開いて愛国主義を受け入れれば、偏見が生まれる余地はない。聖書にこう書かれている。「神の民が一つになって共に生きることは、なんと幸せで楽しいことか」。自分の考えを包み隠さず語り、相違があれば率直に議論しなければならないが、常に結束を目指さねばならない。米国が団結すれば、誰にも止めることはできない。恐れることはない。われわれは守られており、これからも常に守られる。軍、治安機関がわれわれを守ってくれる。そして、何より重要なことに、われわれは神に守られている。
▽行動の時
 最後に言いたい。大きく考え、より大きな夢を見よう。米国では、努力してこそ国は存続するということをみんな知っている。口ばかりで行動しない政治家、不平ばかり言って自分では何もしない政治家はもう認めない。無駄話の時間は終わりだ。行動する時だ。できないなどと言わせてはならない。米国の熱意、闘志、気概をもってすれば打ち勝てない困難などない。失敗することはない。米国は再び繁栄し、成功するのだ。宇宙の謎を解き、地球上から病の苦しみをなくし、未来のエネルギー、産業、技術を活用する新たな時代が始まったばかりだ。国への新たな誇りがわれわれの魂を揺り動かし、視野を広げ、分断を修復してくれるだろう。わが国の兵士たちが決して忘れない、古くからの格言を今こそ思い出そう。肌が黒くても、白くても、褐色でも、同じ赤い血が流れ、国を愛する気持ちに変わりはないということだ。同じ輝かしい自由を享受し、同じ偉大な米国旗に敬礼するのだ。子どもたちはデトロイトの都市部で生まれようとも、ネブラスカの風吹きすさぶ平野で生まれようとも、同じ夜空を見上げ、同じ夢で心を満たし、同じ全能の創造主により命の息吹を吹き込まれる。
▽声・希望・夢
 全ての米国民の皆さん。住んでいる町が近くても遠くても、小さくても大きくても、山々や海に囲まれていようとも、次の言葉を聞いてほしい。あなたたちが無視されることは金輪際ない。あなたたちの声、希望、夢が米国の運命を決めるのだ。あなたたちの勇気、優しさ、愛がわれわれを永遠に導くのだ。みんなで米国を再び強くしよう。米国を再び豊かにしよう。米国を再び誇り高くしよう。米国を再び安全にしよう。そう、みんなで米国を再び偉大にしよう。ありがとう。皆さんに神のご加護があらんことを。米国に神のご加護があらんことを。ありがとう。米国に神のご加護があらんことを。
(原文略)

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/395328
(佐賀新聞 2017年1月14日) 「一つの中国」見直しも、トランプ氏、中国反発必至
 トランプ次期米大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、中国と台湾は不可分とする「一つの中国」原則を含め「全てが協議される」と述べ、同原則の見直しもあり得るとの考えを示した。ロシアに科されている制裁解除の可能性にも触れた。同紙電子版が13日伝えた。「一つの中国」原則の尊重を米中の「政治的基礎」と位置付ける中国の習近平指導部の反発は必至だ。トランプ氏は昨年12月、米歴代政権の慣例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談し、「為替操作国」と批判する中国に揺さぶりを掛けた。

*1-3:https://www.agrinews.co.jp/p39970.html (日本農業新聞2017年1月22日) トランプ政権発足 問い直される対米関係
 米国の新大統領にトランプ氏が就任し、新政権は環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を正式表明した。就任演説では「米国第一」主義を宣言し、「米国製品を買おう」「米国人を雇おう」と呼び掛けた。TPPを成長戦略の柱に据える日本は、経済・外交・安全保障分野で大転換が求められるのは必至だ。新たな対米関係が迫られる中で日本の主権、立ち位置が問い直されている。異様な雰囲気での新大統領誕生となった。首都ワシントンの就任式には多くの民主党議員がトランプ氏の人種差別的な発言に抗議して欠席、全米各地で就任に反対する市民団体の集会が開かれた。就任時の支持率が4割という歴史的な不人気ぶりだ。歓迎と抗議が交錯する。分断された米社会が浮き彫りとなった。米国第一主義は世界に何をもたらすのか。オバマ前政権の国際協調路線から自国中心主義に傾くのは明らかで、安全保障や貿易ルール、地球温暖化問題に影響を及ぼすのは避けられない。国と国が協力し、譲歩し合い、時間を掛けて構築してきた秩序をそう簡単に放棄すべきではない。米国は国際社会の一員として、世界の平和と安定に貢献し続けるべきである。極端な米国第一主義には、保護主義や差別・排外主義が潜む。こうした考えは、世界に受け入れられるものではない。一方でグローバル資本が利益の最大化を目的とした自由貿易のひずみと矛盾も直視すべきだ。就任演説でトランプ氏は「権力をワシントンからあなた方国民に返還する」と断言した。政府から恩恵を受けたのは一握りのエリート層にとどまり、市民の職は失われ、工場は閉鎖されたとし、これからは国境、製造業、雇用を守ると強調した。「トランプ現象」を生んだ反グローバルの潮流は、格差と貧困が社会問題化する欧米で広がった。そうした民意が新大統領を生んだのも事実だ。このことから目を背けてはならない。トランプ氏がどう民意に応えていくか、注視したい。トランプ政権は、TPPからの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明した。米国抜きのTPPは発効が一層難しくなった。一方で、トランプ氏は2国間貿易協定に意欲を示す。2国間交渉となれば、米国からの農産物の市場開放圧力はTPPの合意内容以上に攻め込まれるのは必至だ。米国に追従する安倍政権の経済・外交政策は限界を迎え、抜本見直しを迫られている。新政権の動向を見極め、日米自由貿易協定(FTA)の阻止に備えることこそ肝要である。トランプ氏は各国との関係について、「国益を最優先する権利が全ての国にあるという考えに基づき、実行していく」とも明言した。安倍政権は日米同盟の在り方も含め、日本の国益を損なわない政策実現が急がれる。.

*1-4:http://digital.asahi.com/articles/ASK1M7X8ZK1MUHBI047.html
(朝日新聞 2017年1月21日) TPP発効は絶望的 日本、通商戦略見直し必至
 トランプ政権は就任式直後から、ホワイトハウスのホームページで、「米国第一エネルギー計画」「米国第一外交政策」「雇用と成長を取り戻す」「再び米国軍を強くする」など、外交や貿易に関する6項目の主要政策を発表した。そのなかで、「強固で公平な協定により、貿易は我が国の成長のために活用できる」として、「その戦略はTPPからの離脱によって始まる」と強調。公約通り、就任初日から、TPPから離脱する方針を正式に表明した。さらに、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を求める方針も示し、参加国のカナダとメキシコが交渉を拒めば、NAFTAから離脱することも打ち出した。TPPの発効には米国の批准が不可欠で、TPPは発効が不可能となる。TPPを成長戦略の柱としてきた安倍政権は、戦略の見直しを迫られる。雇用創出では、「年4%成長への回帰をめざす」と強調。選挙中に35%から15%への引き下げを訴えた法人税率は、「世界で最高水準の税率を引き下げる」としたが、数字には触れなかった。一方、外交・安全保障政策については、「米国の国益と安全保障を最重視する」ことを基本方針に掲げた。そのために、米軍の軍事力の再構築を進めていく方針を打ち出した。過激派組織「イスラム国」(IS)やイスラム過激主義のテロ組織の壊滅を最優先課題と位置づけ、軍事作戦を強化する。その上で、各国と協調して、テロ組織の資金源の遮断や情報共有を進めていく。また、防衛予算の一律削減を終わらせ、海軍の艦船と空軍の航空機を増強していく。北朝鮮やイランのような国からのミサイル攻撃を防ぐため、最新のミサイル防衛システムを開発することを表明。サイバー分野での防衛・攻撃双方の能力向上も優先的に進めていく。さらにトランプ氏はこの日、オバマ前政権が進めた医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃に向けた大統領令にも署名。新たな規制の凍結も各省庁に指示するなど、精力的に動いた。
■トランプ氏方針、覆る見込み薄
 米国のトランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱する方針を明確に打ち出したことで、安倍政権が成長戦略の柱に据えてきたTPPの発効は、絶望的になった。日本政府は、まずは自由貿易の重要性を米側に訴え、TPPへの理解を得たい考えだが、トランプ氏の思い入れが強い貿易政策の方針が覆る見込みは薄い。日本側が通商戦略の練り直しを迫られるのは必至だ。TPPは、太平洋を取り囲む日米など12カ国で域内の関税を撤廃したり投資などのルールを共通化したりする協定で、2015年10月に合意に至った。しかし、経済大国である日米両国が批准しなければ発効できない条件になっている。トランプ氏の離脱表明を受け、日本の内閣官房幹部は「時間はかかるが、TPPが米国にとっても利益になるということを分かってもらうように説得するしかない」。だが、オバマ前政権の貿易政策を転換し、米国の雇用を守るという主張は、トランプ氏の最重要の公約で、簡単に方針を転換するとは考えられない。安倍晋三首相は20日の施政方針演説で、TPPを「今後の経済連携の礎」とし、発効をめざす考えを強調していた。TPPによって、アジア・太平洋地域への輸出を増やしたり、日本企業の進出を促したりすることで、日本経済を押し上げようと考えてきたからだ。また、この地域の経済ルールを日米が主導して決め、台頭する中国に対抗する狙いもあったが、米国の離脱が決定的となり、こうした通商戦略の見直しは避けられない状況だ。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12760754.html (朝日新聞 2017年1月23日) (トランプの時代)欧州覆うか「自国第一」 右翼ポピュリズム政党、相乗効果狙い結集
 トランプ米大統領の就任による大波が、早くも欧州に及んでいる。今年、重要選挙を迎える欧州連合(EU)各国の右翼ポピュリズム政党が就任式翌日の21日、ドイツに集まり、「エリートでなく、民衆による政治が始まった」と気勢を上げた。掲げるのは、トランプ大統領と同じ「自国第一」だ。
■反移民掲げ「次は我々だ」
 21日、ドイツ西部の人口11万の町コブレンツに、欧州各国で「自国第一」を掲げる面々が勢ぞろいした。オランダのウィルダース自由党党首やフランスのルペン国民戦線(FN)党首、新興政党「ドイツのための選択肢」(AfD)のペトリ党首らは、約千人の聴衆を前に「次は欧州の番だ」と言わんばかりだった。「エリートが、我々の自由を危険にさらしている」「我々は、我々の国を再び偉大にする」。ウィルダース氏の発言は明らかにトランプ氏の就任演説を意識していた。ルペン氏は「最初のパンチは英国の民衆が選んだEU離脱。二つ目がトランプ政権。2017年は大陸欧州が目覚める」と宣言した。会合は、EU批判を繰り広げる右翼政党が結成した欧州議会の会派「国家と自由の欧州」の主催。相乗効果で支持拡大を図る狙いがあるのは明らかだ。各党とも移民制限を主張し、中東やアジアからの難民受け入れへの反対で一致している。ペトリ氏は「政治家やメディアは寛容を口にするが、なぜ普通の人々に聞かないのか。彼らは不安だらけだ」と話した。3月に総選挙を迎えるオランダでは、イスラム教への敵意をむき出しにする自由党が、世論調査で支持率トップを走る。フランスでも4月の大統領選第1回投票でルペン氏が首位に躍り出る可能性がある。9月に連邦議会選が予定されるドイツでも、支持率が12~15%のAfDは初の連邦議会入りが確実視される。
■メルケル氏批判
 批判の矛先は、欧州の統合を重んじ、難民受け入れに寛容なドイツのメルケル首相に向かう。会場では、党首らの演説に、聴衆がしばしば「メルケルは去れ」と連呼して応えた。トランプ政権の発足と右翼政党の高揚で、欧州でも分断と緊張が広がる。会場付近では、開催に抗議する約3千人が「開かれた欧州を」と訴えてデモ行進した。ドイツのガブリエル副首相や、ユンケル欧州委員長の出身国ルクセンブルクのアッセルボーン外相ら、いま政治を動かしている側の姿もあった。
■政策はそろわず
 「自国第一」や「愛国心」を唱える各党。EUやエリート層への批判で一致はしているが、具体的な政策で足並みをそろえているわけではない。訴えも日和見主義的だ。例えばAfDは、ギリシャ危機後の13年に共通通貨ユーロへの反対を掲げて誕生した。だが15年にペトリ氏が実権を握ると、難民危機を受けて反難民、反イスラム色を強めた。ルペン氏は「違いを探すことに意味はない」と意に介さなかった。「大義のために集まったのだ。国境を管理して国民を守る。国を愛し、主権を取り返す」。この日の会合には、ドイツの公共放送など、一部メディアの取材登録が認められなかった。その一人、フランクフルター・アルゲマイネ紙のユストゥス・ベンダー記者は「主催者から『うそを書くのをやめろ。フェアな記事を書け』とのメールが来た」と話した。「彼らは批判的な記事を書くジャーナリストを受けつけない。これも米国と同じだ」
■分断の背景、各国で相似
 トランプ氏は、就任演説で「ピープル」という単語を10回繰り返した。「2017年1月20日は、民衆(ピープル)が再び、この国の支配者になった日として記憶される」。19世紀末の米国で、既成政党に属さない農民運動として「ピープルズ・パーティー(人民党)」が台頭。「ポピュリスト党」とも呼ばれたことからポピュリズムという言葉が生まれた。そして今、「ピープル」を強調し、「自国第一」を主張する政治家が、各国で支持を集める。トランプ氏らへの支持が広がる背景や世論の動向も、各国で相似形を描く。きっかけは2008年のリーマン・ショック後の世界不況だと米ジョージタウン大学のマイケル・カジン教授は説く。不況とともに、大量の移民、格差の拡大、ITによる省力化などで、「自分たちは見捨てられた」と考える人が急増した。「政府は経済を統制できず、救済を必要としている国民を助けようともしないと、人々は悟った。既成政治への不安と怒り、叫びこそが、米欧で起きている現象の理由です」。従来の政党が効果的な回答を見いだせない限り、反既成政治の運動は成長する。一方で、怒りや反発だけで国家を治めることはできない。「ポピュリズム運動が政権を取っても、効果的に統治を行うのが難しい」とカジン教授は言う。トランプ氏は、欧州の政治家に先駆けて、現実という試練に向き合うことになる。

<ポピュリズムとは?>
*2-1:http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/062400017/?rt=nocnt (日経ビジネス 2016年6月24日) 反EUのポピュリズムが理性に勝った日、英国のEU離脱決定は、欧州統合の機関車役ドイツにも打撃
 6月24日、英国の国民投票でEU離脱派が勝った。英国の有権者は、キャメロン首相の嘆願を拒絶し、43年ぶりにEUに背を向ける道を選んだ。実際に英国がEUから脱退するまでには、少なくとも2年間はかかると見られているが、この国がEUと袂を分かつことは確実だ。キャメロン首相は辞任を表明した。離脱によって悪影響を受けるのは、英国の経済界だけではない。長期的には、EUそして欧州統合を最も強力に進めてきたドイツにとっても大きな打撃となる。この開票結果は、欧州市民の間でEUへの失望がいかに深く、右派ポピュリズム勢力への支持が強まっているかを示した。英国のEU離脱は、EU政府に相当する欧州委員会に対し、EUの根本的な改革を迫るものだ。英国に追随して他のEU諸国でも、国民投票による離脱の動きが広がる可能性がある。6月24日は、欧州の歴史の中で暗黒の日として記憶されるだろう。
●英国経済の競争力低下へ
 この決定はまず、6月24日のポンド暴落が象徴するように、英国経済にとって激震となる。同国の輸出額のうち、半分以上をEU加盟国向けが占める。対EU輸出は、英国のGDP(国内総生産)の約15%を稼ぎ出している。また英国の輸入額の約50%も、EU諸国からのものだ。英国はEU脱退によって、単一市場の利点(関税廃止、人と物の自由な移動、自由な資本取引)を失う。英国では輸入品の価格が上昇する。対EU貿易での価格競争力も弱くなる。したがって、同国はスイスやノルウェーのようにEUと交渉して、少なくとも関税廃止などの利点を維持しようとするだろう。同国にとって特に大きな懸念は、金融機関の動きだ。英国のGDPの約8%は金融サービスによって生み出されている。ロンドンには、米国の投資銀行、商業銀行など外国の多くの金融機関の欧州本社がある。EU離脱によって、ロンドンはEU域内の自由な資本取引の流れから遮断される。国民投票の直前に金融機関に対して行われたアンケートによると、回答企業の33%が「英国がEUから離脱した場合、同国でのオペレーションの規模を縮小する」と答えていた。EU離脱は、欧州最大の金融センターであるシティーで働く人々の雇用を脅かすことになるかもしれない。欧州では、「EU離脱によって、多くの金融機関はロンドンから、欧州中央銀行(ECB)があるドイツのフランクフルトに拠点を移すだろう」と予測されている。日本の外務省によると、英国には約1000社の日本企業が進出し、約16万人を雇用している。同国に拠点を持つ日本企業にとっても、欧州市場戦略を大きく見直す必要がある。ドイツのバーテルスマン財団の研究報告書によると、EU離脱が英国経済にもたらす損失は、2030年までにGDPの0.6%~3%に達する。外国企業の数が減少し、失業率が上昇することも避けられないだろう。さらにスコットランドがEU加盟を求めて、英国からの独立運動を再燃させる可能性もある。英国にとって唯一の経済的な利点は、EU加盟国が支払う「会費」を納める必要がなくなることだ。英国は現在約86億4000万ユーロの「会費」をEUに払っている。しかしこれは英国のGDPの0.5%にすぎない。価格競争力の低下や外国企業のユーロ圏への流出、雇用の減少などのデメリットを相殺することはできない。EUにとっても英国の離脱は大きな痛手だ。2015年の英国のGDPは約2兆5690億ユーロで、ドイツに次ぐ第2位。EUは同国の脱退によって、GDPが一挙に17.6%減ることになる。ドイツにとっても、英国の喪失はマイナスだ。両国の意見はしばしば対立してきたが、英国は南欧の債務過重国の経済を立て直す上で、財政出動よりも構造改革を重視するという点では、ドイツと考え方が似ていた。財政出動を重んじるギリシャ、イタリア、スペインの意見を抑える上で、プラグマティズムを重視する英国はドイツの「盟友」だった。つまりドイツは、南欧諸国との交渉の中で重要な応援団を失うことになる。
●移民増加と排外主義の高まり
 日本の読者の皆さんは、「EU脱退がもたらす経済的な打撃について再三伝えられていたのに、なぜ英国の有権者はEU離脱の道を選んだのか」と不思議に思われるだろう。この背景には、難民危機を追い風として、英国だけでなく欧州全体で右派ポピュリストに対する支持が高まっている事実がある。英国のEU脱退を最も強く求めていたのが、ナイジェル・ファラージ率いる「イギリス独立党(UKIP)」だ。同党の党員数は2002年には約9000人だったが、2014年には約4倍に増えて約3万6000人となっている。2015年の下院選挙で同党は12.6%の得票率を確保。2014年の欧州議会選挙では得票率が28%に達し、英国社会に強い衝撃を与えた。英国のポピュリストたちがEUを批判する最大の理由は、EUが政治統合・経済統合を進める中で、域内での移動の自由と他国での就職の自由を促進したことだ。この結果、英国ではポーランドなど東欧諸国からの移民が急増し、ロンドン以外の地方都市を中心として、移民制限を求める声が強まった。英国の反EU勢力は、EUの事実上の憲法に匹敵するリスボン条約を改正し、域内での移動の自由を制限することを求めていた。だがEUにとって、域内の移動の自由は欧州連合にとって最も重要な原則の1つだ。ドイツのメルケル首相をはじめとして、他国の首脳は英国のためにリスボン条約を改正することに難色を示していた。英国のポピュリスト勢力は、「我々はEUが自らを根本的に改革し、加盟国の利益を尊重しなければ、脱退すると再三訴えてきた。だがEUは結局、改革を拒絶した。だから我々はEUから出ていく」と主張していた。私の脳裏に去来するのは、ウインストン・チャーチルが1946年9月19日にチューリヒで行った演説である。彼は、この中で第二次世界大戦のような惨劇を二度と起こさないために、欧州大陸の国々が統合し『欧州合衆国』を作るべきだと提唱したのだ。だがチャーチルは、この合衆国に英国は加わるべきではないと断言していた。彼は、大戦中の苦い経験から、英国は欧州大陸とは一線を画するべきだという態度を持っていたのである。英国はユーロ圏に加盟しない道を選んだ時にも、チャーチルのこの思想を実践した。今回の国民投票により、ジョン・ブル(英国人のこと)たちは再びチャーチルの警告に耳を貸したのである。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJD26QWTJD2UHBI02Y.html
(朝日新聞 2016年12月2日) EU離脱はポピュリズム? 英外相が反論「こじつけだ」
 欧州連合(EU)をめぐる国民投票で離脱派の旗振り役だったジョンソン英外相が2日、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で講演し、「離脱の投票結果を世界中に広がるポピュリズム(大衆迎合)と比較しようとする性急な議論がある」と述べ、米国のトランプ現象とEU離脱を結びつける議論を「こじつけ」と反論した。ジョンソン氏は「私を含め、離脱に投票した人の多くは、外国人への嫌悪や恐怖から投じたのではない」「英国には、EUを弱体化させたり、EUに対して意地悪をしたりする意図は全くない」とも述べた。フランスの右翼・国民戦線(FN)のルペン党首や英国独立党(UKIP)のファラージ前党首らEUを敵対視する政治家や、排外主義的なゼノフォビア(外国人嫌悪)と英国政府の立場に一線を画したい意図があるようだ。対アジア政策では、国連安保理常任理事国拡大に賛成だとしてインドの国名に言及した。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に「英国はいち早く加盟した」と語った。日本については質疑応答で「すでに非常に強固な関係をさらに伸ばす余地がある」と述べるにとどまった。

<メイ首相の方針>
*3-1:http://qbiz.jp/article/101901/1/ (西日本新聞 2017年1月18日) 英、EU単一市場を離脱 移民制限を優先 メイ首相が交渉方針表明
 欧州連合(EU)との離脱交渉を控える英国のメイ首相は17日、ロンドンで演説し、域内での人、モノ、サービス、資本の移動の自由を原則とする欧州単一市場に「とどまることはできない」としてEUから完全に離脱する意向を示した。英国へ進出した日本企業にも影響を及ぼすのは必至。メイ氏が交渉方針を表明したのは初めて。単一市場への参加継続を訴えてきた与野党議員や経済界の反発は避けられず、政局や市場の混乱が予想される。メイ氏はEU域内からの移民流入を制限するなどの優先事項を提示。加盟国間の関税を撤廃し域外との貿易に共通関税を設けるEUの関税同盟から離脱、新たにEUと貿易協定を結びたい意向も表明した。メイ氏は3月末までにEUに離脱の意思を通知し、原則2年の離脱交渉に入る考え。2年の交渉で離脱した後に一定の移行期間を設けることが望ましいとしたほか、EUとの最終的な合意について、上下両院に投票による承認を求めるとも述べた。演説では「EUとは前向きで新しい関係構築」を目指すとし「部分的にEUのメンバーになるような中途半端なことは目指さない」と強調。単一市場の規則に関する判断を示すEU司法裁判所の管轄から外れる考えを表明したほか、EU域外の国々との貿易強化方針も打ち出し「より強く、よりグローバルな英国をつくる」と主張した。英国の離脱派は単一市場へのアクセス維持と移民制限の両方を交渉で勝ち取るとの考えを示していたが、EU側は移動の自由が単一市場参加の条件だとの原則を示し「いいとこ取り」は許さないとの姿勢を堅持。メイ氏がどちらを優先させるのか、その選択に大きな注目が集まっていた。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12754139.html (朝日新聞社説 2017年1月19日) 英国とEU 「自国優先」に歯止めを
 欧州の「一つ屋根」から完全に離別し、孤独な道を歩むのか。それは英国にも世界にも利益になるとは思えない。メイ首相が欧州連合(EU)からの完全離脱を表明した。昨年6月の国民投票の結果をふまえ、方針を鮮明にした。EUの単一市場に残るには、人の移動の自由を受け入れざるをえない。その選択肢を捨てて「完全離脱」するのは、あくまで移民の流入規制を優先させるためだという。英世論は今も割れ、政治も揺れている。首相はその混迷に区切りをつけたかったようだ。しかし、英国はEUを含む国際協調の枠組みの中に常にいた国だ。自由貿易の理念や、移民に門戸を開く寛容な価値観を推進する責任を果たしてきた。国民の反移民感情に配慮する必要があったとしても、英国が欧州の国々と積み上げてきた政治・経済の協調枠組みから早々に決別するのは得策ではない。メイ氏は「よりグローバルな英国を築く」と、楽観的な将来像を描く。EU域外との貿易協定を目指していくという。だが英国の最大の貿易相手はEUであり、輸出のほぼ半分を占める。日本を含む多くの外国企業も「EUへの足がかり」として英国に拠点を置いてきた。離脱は、英国自身の貿易を損ねるだけでなく、保護主義を広げかねない。規制に批判的だった英国を欠いたEUは、障壁を強めるかもしれない。EUが揺らげば、経済・金融危機は他の地域にも波及する。移民が経済的な繁栄を下支えしてきた事実を無視して英国が規制に突き進めば、排斥の機運が各国にも広がりかねない。EU離脱は実現しても、それにかわるEUとの貿易協定交渉がスムーズにまとまる保証はない。むしろ国内にEU懐疑勢力を抱える国々は、英国に厳しい条件を求めるはずだ。英国に住むEU市民や、EU域内の英国人の権利や雇用をどう守るか。同じ「欧州」の人間として長く共生した関係を変えるのは容易ではあるまい。少なくとも離脱の衝撃を和らげる十分な移行期間が欠かせない。EU側もこれを引きがねに、欧州の統合という歴史的な取り組みを頓挫させてはならない。国際協調路線を守り、「自国優先」の拡散を防ぐために、英国もEUも、長期的な秩序安定の道を探ってもらいたい。交渉の過程で孤立主義の弊害が顕在化すれば、民意が変化することもありえるだろう。その時、英国は改めて引き返す賢明さも忘れないでほしい。

<日本の場合>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12572990.html (朝日新聞社説 2016年9月23日) 難民と世界 もっと支援に本腰を
 世界の難民・避難民が6500万人に達し、第2次大戦以降で最大になった。迫害や戦火を逃れる難民だけではない。より良い暮らしを求めて他国へ渡る移民の流れも急速に広がっている。この喫緊の問題にどう取り組むべきか。その国際協調を探るサミットが国連で開かれた。とりわけ内戦の出口が見えないシリア、アフガニスタンなどから逃れる難民の流出は深刻だ。国際社会は停戦への努力を強めるとともに、難民受け入れの負担に苦しむ周辺国に、まず目を向ける必要があろう。100万人超のシリア難民を受け入れたレバノンや、250万人が避難したトルコなどからは「限界だ」との声が漏れる。全会一致で採択された宣言に「責任の公平な分担」が明記されたのは当然だ。地球規模で人が移動する時代であり、難民・移民問題は世界の政治・経済に直結する。紛争地からの距離にとらわれず、国際社会全体で負担を分かち合うべきだ。では、各国がどう分担するのか。具体的な数字や期限が宣言に盛り込まれなかったことは、大きな課題として残った。腰が引ける背景には、テロの恐怖や、「仕事を奪われる」との不安による排斥感情の高まりがある。欧米では近年、そうした主張をする政治家や政党が勢いを増している。しかし、こうした排他的な非難は、貧富の格差など広範な社会問題への国民の怒りを利用した責任転嫁であることも多い。長い目で見れば、難民や移民は受け入れ国に、利益や活力を少なからずもたらしてきた。サミットの会合で、経営者や労働者の団体は「秩序ある移民や難民の受け入れは経済を活性化させる」と述べた。経済協力開発機構(OECD)も、長期的に経済的にプラスになると指摘する。各国政府は、そうした受け入れのメリットについて国民にきちんと説明すべきだ。安倍首相は受け入れ国支援のための約2800億円の拠出や、シリア人留学生150人の受け入れなどを表明した。だが、多くの国と比べて難民の受け入れが極端に少ない現実は変わっておらず、国際的に批判の的となっている。近年は日本でも難民の雇用に取り組む企業や、支援団体に寄付する人が増えている。政府も行動の幅を広げ、もっと世界に門戸を開き、十分な責任を果たす国の姿をめざすべきだ。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161119&ng=DGKKASFS18H5J_Y6A111C1EA2000 (日経新聞 2016.11.19) 外国人労働者、まず介護から 改正入管法成立 「高度人材」と両にらみ
外国人労働者の受け入れを拡大するための法律が18日、成立した。留学生や実習生として日本に入国した外国人を介護専門職に育成し、就職につなげる。来年中に施行する。国内での外国人材育成を重視する新たな仕組みで受け入れの大幅増を目指す。政府は人手不足分野と高度人材の2本柱で受け入れを検討中で、介護での制度構築は、その第1弾になる。在留資格に「介護」を追加する改正出入国管理・難民認定法と、外国人技能実習制度を拡充する法律が成立した。18日の参院本会議で自民、公明、民進など各党の賛成多数で可決した。改正入管法は日本の介護福祉士の資格を取得した外国人を対象に、介護の在留資格を認める。外国人技能実習適正実施法は、実習期間を最長3年から5年に延ばす。長時間労働などを防ぐため、受け入れ団体・企業を監督する機構を新設。同法の施行と共に、技能実習の対象に介護を加える省令改正をする。2法の成立を受け、政府は外国人が実習中に国家資格を取れば、実習後に介護の在留資格で就職できる制度を設計する。これまでの制度では、介護職は経済連携協定(EPA)の枠組みに限って受け入れをしてきた。インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国が対象だ。滞在期間を限定しているうえ、現地の資格や日本語能力が条件。ハードルが高く、過去8年間の累計で看護師とあわせ約3800人(9月時点)にとどまる。厚生労働省の推計では、介護職員は2025年に日本国内で約38万人も不足する。この差を少しでも埋めるため、今回の法整備はEPAを締結する3カ国以外の留学生も対象にした。少子高齢化で日本人の生産年齢人口は減少の一途だ。今後の成長のためには外国人労働力は有力な選択肢になる。政府は2本柱で受け入れを進める考え。経営者や技術者ら高度人材では、最短1年の滞在で永住権を認める制度を検討中だ。もう一つ、介護を含めた人手不足産業では、日本は単純労働者の入国を原則認めていない。だが政府内では建設業で2国間協定を使った受け入れ拡大を考えているほか、農業では特区での受け入れ解禁を検討中だ。

*4-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJC46QKVJC4PTFC01M.html
(朝日新聞 2016年11月10日) 介護福祉士の学校、留学生急増 入管法改正の見通し
 日本介護福祉士養成施設協会によると、例年20人程度だった留学生の入学者数は、昨年度は94人、今年度は2・7倍の257人に。国籍はベトナムが114人と最も多く、中国53人、ネパール35人、フィリピン28人と続く。入学者全体の3%を占める。なぜ急増しているのか。留学生が介護福祉士の資格を得ても、現状では日本で介護の仕事はできない。これが変わる可能性が出てきたためだ。政府は今国会で、出入国管理及び難民認定法(入管法)改正法案の成立をめざす。外国人の在留資格に新たに「介護」を設ける内容。成立すれば留学生が卒業後に在留資格を「留学」から「介護」に切り替え、日本で仕事に就くことができる。外国人の介護福祉士をめぐっては、2008年度から経済連携協定(EPA)に基づく候補者の受け入れが始まった。しかし資格試験に不合格なら原則帰国など、留学ルートよりハードルが高い。今国会では、この入管法改正法案とは別に、外国人技能実習制度の適正化法案も審議されており、成立、施行されれば実習の対象職種に介護が加わる方向だ。外国人が介護現場で働く流れが一気に拡大することになる。ただ、介護業界の慢性的な人材難の大きな理由は賃金の低さだ。そこが改善されていない状況で外国人を広く受け入れると、現在の低い賃金水準が固定化されるのでは、という懸念はぬぐえない。日本介護福祉士会は「外国人が介護を担うことにより、介護職の処遇や労働環境をよくするための努力が損なわれることになってはならない。その点は国の検討会で確認されており、受け入れの前提と理解している」と話す。介護現場で働く外国人への支援も検討しており、「日本の介護全体の質を上げる努力をしていきたい」という。留学生の処遇も課題だ。外国人介護労働者の問題に詳しい京大大学院の安里(あさと)和晃特定准教授(45)は、授業料が借金となる懸念があるとし、「授業料の軽減や教育内容の充実、就職先を選択する自由を保障すべきだ」と訴える。「多様な人々が尊重され活躍できる場になるよう、学校や施設側は業界を挙げて努力する必要がある」
■ベトナムから視察団
 10月中旬、介護福祉士を養成する関西社会福祉専門学校(大阪市阿倍野区)に、日本への関心が高いベトナムからの視察団が訪れた。現地の医療短大の学長らだ。この専門学校では、今春に新入生の約2割を占める9人の外国人が入学。6人がベトナム人で、新たに日本育ちのベトナム人講師を採用し、10月から専門用語の学習をフォローする授業を始めた。「来年はベトナム人だけで25人程度入学します」。山本容平学校長(35)が説明すると、視察団の学長は大きくうなずいた。視察団をこの学校へ案内したのは、大阪市の医療法人「敬英会」だ。今夏以降、この医療短大から卒業生7人を受け入れた。7人は敬英会が用意した寮に住み、敬英会が運営する介護施設でアルバイトをしながら、日本語学校で学んでいる。来春はこの専門学校に入学し、介護福祉士の勉強をスタートさせる予定だ。その一人、グェン・ティ・ハンさん(22)は、母国で看護の勉強をしながら日本語を学んできた。「今は漢字の勉強が大変だけど、介護の免許をとって、日本で働きたい」と話す。敬英会の光山(みつやま)誠理事長(51)は将来の人材不足に備えてきた。「質が高く信頼される育成の仕組みを作りたい」。この動きを参考に、大阪介護老人保健施設協会も取り組みを進める方向だ。いま、同じような留学生受け入れのルートが国内各地で生まれている。東京国際福祉専門学校(東京都新宿区)では今春、中国、フィリピン、ベトナム、台湾から6人の留学生が介護福祉科に入学した。しかし日本人はゼロ。来春に向けて、人材紹介業者や外国人採用を考える法人とのパイプを増やし、定員の40人に近づけたいという。担当者は「経営を考えると数が多いほどいいが、授業についていけないようでは困る。いかに日本語能力が高い人を見つけるかがカギ。現場のリーダーとなる人材を育てたい」と話す。
■事業者自ら養成する例も
 人材難に苦しむ介護事業者が、自ら介護福祉士の養成校を作り、留学生を受け入れようとする動きもある。兵庫県篠山(ささやま)市。無人駅から徒歩約15分の山や田んぼに囲まれた場所に、3階建ての校舎が建っている。特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人「ウエルライフ」(同県西宮市)が来秋の開校をめざす「篠山学園」だ。1学年80人の2年課程。ホーチミンの日本語学校と提携し、入学者の多くをベトナム人留学生にする予定という。介護福祉士の養成校の多くは専門学校。専門学校は、外国人がほとんどを占める状況では認可されない。しかし篠山学園は、あえて外国人の制限がない「各種学校」での養成校をめざし、県に申請中だ。ウエルライフ側の危機感は強い。十分な採用ができずに人材派遣会社に頼らざるをえず、その費用が大きくなっている。開設準備室の安平衛(まもる)事務長(58)は「施設運営に介護福祉士は絶対必要。リスクは大きいが、直接のルートを作る方がいいと判断した」と話す。篠山市も期待をかける。県立高校の分校だった建物を県から約6千万円で購入し、同法人に貸す。校内で高齢者サロンを開く計画もある。「留学生のために、ベトナム料理に欠かせないパクチーを作ろうか」という地元からの提案も。市の担当者は「地域活性化につながるだけでなく、卒業後はできる限り市内で働いてもらえればありがたい」と話す。

*4-4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170118-00000014-asahi-pol (朝日新聞 2017/1/18) 外国人の永住権、最短1年で付与へ 高度人材の確保狙う
 研究者や企業経営者など高い専門性を持つ外国人が最短1年で永住権を取得できる「日本版高度外国人材グリーンカード」が3月から始まる。現在は5年間日本で暮らせば永住許可を申請できるが、学歴や年収などを点数化し、条件を満たした場合は取得に必要な在留期間を短縮する。1年での永住権取得は国際的にも最短クラスで、獲得競争が激しくなっている外国人の人材を呼び込む狙いだ。外国人が永住権を取得するには、通常は10年以上の在留期間が必要だが、法務省は2012年に「高度人材ポイント制」を導入した。「学術研究」「専門・技術」「経営・管理」の3分野に分け、研究者の「博士号取得者」に30点、経営者の「年収3千万円以上」に50点などとポイントを積算。70点以上で「高度外国人材」と認めて最短5年で永住権取得を認めてきた。今回は、永住許可の申請に必要な在留期間を5年から3年に短縮。さらに、ポイントが80点以上の対象者は最短1年とする。「大学ランキングの上位校を卒業」(10点)、「国内で経営している事業に1億円の投資」(5点)なども新たにポイントとして加算する。


PS(2017年1月25日追加):*1-4の「米国第一エネルギー計画」「新たな規制の凍結も各省庁に指示」に関連して、トランプ米大統領は、*5-1のように、「①日本との自動車貿易は不公平だ」「②われわれが自動車を売る際、日本が販売を難しくしているが、日本は米国で多くの自動車を販売している」と指摘している。これは、関税だけでなく規制による非関税障壁も含む発言だが、環境規制などは規制緩和しさえすればよいわけではない。日本車は、1)狭い道路を走れる小型車を開発したり 2)高いエネルギー代金に対応する省エネを進めたり 3)厳しい環境規制をクリアしたりすることによって、付加価値の高い自動車を作ったため、米国でも売れているのである。そして、今後は、高齢化社会対応の自動運転車や環境対応の電気自動車・燃料電池車の開発が進むため、*5-2のように、米国がシェール、石油資源などの化石燃料を開発し、*5-3のように、化石燃料の増産や環境規制の緩和を図る方針を打ち出せば、米国の自動車は機能で他国の市場では売れなくなる。つまり、1980年代の日米自動車摩擦が再現するのではなく、需要者がどのような自動車を選択するかが重要であるため、販売は日本車に限らず顧客ファーストで考えたところが勝つのだ。
 これに対して、英国は、*5-4のように、①グローバルな競争力をもつ製造業の集積 ②世界最先端の専門知識の集積と研究開発 ③英国政府の支援 などによるビジネス環境の魅力により、自動車でゲームチェンジ(イノベーション)が起こった時に勝つための準備ができつつあるようだ。

    
  テスラ電気自動車    BMW電気自動車    日産電気自動車   ジャガー電気自動車


  日産電気トラック    トヨタ・ヒノ燃料電池バス   トヨタ燃料電池列車   ホンダ燃料電池車

*5-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017012590070133.html (東京新聞 2017年1月25日) 【経済】日本の車市場を狙い撃ち 日米貿易摩擦再燃の恐れ
 トランプ米大統領は二十三日、ホワイトハウスで環太平洋連携協定(TPP)から「永久に離脱する」とする大統領令に署名した。一方で「二国間の貿易協定を目指す」と明言、米国の利益を最優先にする米国第一主義に基づき、各国に市場開放を迫る方針を示した。日本については「日本との自動車貿易は不公平だ」と指摘しており、一九八〇年代から九〇年代にかけての日米自動車摩擦時のような厳しい交渉を強いられる可能性もある。「米国の労働者にとって非常に良いことだ」。トランプ氏は大統領令を掲げ、満足そうに語った。通商政策の司令塔となる新設の国家通商会議(NTC)のトップに就くカリフォルニア大のピーター・ナバロ教授らが見守った。政権が本格稼働した同日、ホワイトハウスで最初に署名した大統領令が、TPPからの永久離脱だった。続く労働組合の幹部らとの会合で「交渉参加国と二国間の貿易協定を目指す」と宣言した。署名の前には企業経営者らと会合。「われわれが自動車を売る際、日本が販売を難しくしている。だが、日本は米国で多くの自動車を販売している」と批判し、対日圧力を強める考えを示した。日本は自動車の関税を撤廃しているが、米国メーカーは燃費や安全規制が厳しいと主張してきた。トランプ氏は、大統領選挙戦では「ラストベルト」と呼ばれる中西部各州で、自動車産業などで働く白人労働者階級に「海外に奪われた仕事を取り戻す」とアピールし、彼らの支持を集めることで勝利の原動力とした。日本の自動車市場批判は米国から日本への輸出を増やし、支持層に報いる狙いがあるとみられる。トランプ氏の日本批判について菅義偉官房長官は二十四日のテレビ番組で「日本は関税ゼロで、事実誤認。米国メーカーも右ハンドルにするとか努力をすれば問題ない」と反論した。日本政府は米国との二国間交渉には否定的な立場で米国にTPPに加わるよう翻意を促す方針。日米首脳会談を二月上旬に行う方向で調整しており、安倍晋三首相はその場でもTPPの重要性を訴える考え。だが、逆にトランプ氏から二国間交渉の要求を突きつけられる可能性がある。TPPの事前協議に農林水産省の交渉官として携わった明治大の作山巧(たくみ)准教授は「多国間交渉では、大国でも主張を押し通せない場合があるが、二国間では理屈抜きに主張がぶつかり合うため、大国が優位になる」と指摘。二国間交渉になった場合、農産物や自動車で米国の圧力が強まると予想している。
<日米自動車摩擦> 1973年の第1次石油危機などを背景に米国で小型車の需要が高まり、日本車の輸入が増える一方、対応が遅れた米自動車メーカーは大きな打撃を受けた。米国内で対日感情が悪化し、日本車の輸入規制を求める動きが広がった。日本側は81年以降、対米輸出の自主規制を実施。93年に始まった日米包括経済協議で自動車は優先分野となり、95年に両国政府は日本市場への参入拡大などで合意した。摩擦を受けて日本自動車メーカーの海外進出が進んだ。
<米大統領令> 立法手続きを経ずに米大統領が直接、連邦政府機関や軍に発する命令。議会は大統領令の内容を覆したり修正したりする法律を制定することで対抗することができる。憲法に反する内容の場合は、最高裁が違憲判断を示して無効とすることもある。太平洋戦争開戦から約2カ月後の1942年2月19日にルーズベルト大統領が出した大統領令9066号は、日系人の強制収容につながった。 

*5-2:http://ieei.or.jp/2016/11/special201603013/ (国際環境経済研究所主席研究員、東京大学公共政策大学院 教授 有馬 純 2016/11/15) トランプ政権の下で米国のエネルギー・温暖化政策はどうなるか
 米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したことは世界中を驚かせた。そのマグニチュードは本年6月の英国のEU離脱国民投票の比ではない。選挙キャンペーン中のトランプ氏の過激な言動や公約が、大統領就任後、どの程度実行に移されるのかは未知数である。しかし確実に言えることは米国のエネルギー温暖化政策が大きく様変わりするということである。
1.国内エネルギー生産の拡大、安価なエネルギー価格が中核
 トランプ氏のエネルギー政策の中核は国内エネルギー生産の拡大と米国のエネルギー自給の確立である。彼の「米国第一エネルギー計画(An America First Energy Plan)」注1) は以下の公約を列挙している。
●米国のエネルギー自給の確立、数百万の雇用創出
●50兆ドルにのぼる米国のシェール、石油、ガス、クリーンコール資源の開発
●OPECカルテルや米国の利害に敵対する国々からの輸入を不要に
●連邦所有地(陸域、海域)のエネルギー資源開発への開放
●排出削減、エネルギー価格の低下、経済成長につながる天然ガスその他の国産エネルギー源の使用を促進
●オバマ政権の雇用破壊的な行政措置を全て廃止し、エネルギー生産への障壁を削減・撤廃することにより、年間50万人の雇用創出、300億ドルの賃金引上げ、エネルギー価格の低下を図る
 またトランプ氏はAn American First Energy Plan の中で、オバマ政権の「反石炭的な規制」を引き継ぐクリントン氏を強く批判している。トランプ氏が10月に発表した「米国を偉大にするための100日行動計画(100-day Action Plan to Make America Great Again)」注2) では「米国の労働者を守るための7つの行動」の中で上記のエネルギー資源開発の促進に加え、「キーストーンパイプラインを含むエネルギーインフラプロジェクトに対してオバマ・クリントンが課した制約を撤廃する」としている。こうした彼のエネルギー関連の公約には、シェール開発で巨万の富を得たContinental Resources 社オーナーのハロルド・ハム氏が強い影響力を及ぼしているといわれる。ハロルド・ハム氏は以前から2012年の大統領選ではミット・ロムニー候補のエネルギー問題のアドバイザーを務めており、トランプ政権のエネルギー長官候補としても名前が挙がっている。またトランプ氏の移行チームの中でエネルギー省を担当するのはMWR Strategies社長のマイク・マッケンナ氏である。彼はエネルギー省、運輸省の対外エネルギー関係アドバイザーやバージニア州環境局の政策・対外関係局長の経験があり、MWR Strategies社はダウ・ケミカルやKoch Industries, TECO Energy, GDF Suez 等のためのロビイングを行っている。エネルギー長官候補として彼の名前を挙げる記事もある。

*5-3:http://www.cnn.co.jp/usa/35093713.html (CNN 2016.12.14) トランプ氏、エネルギー長官にペリー氏を指名へ 情報筋
米国のトランプ次期大統領は、新政権のエネルギー長官にリック・ペリー前テキサス州知事を指名する方針を固めたことが14日までに分かった。政権移行チームの複数の情報筋がCNNに語った。
ペリー氏は同州の共和党重鎮として知られ、2012年と今回の大統領選に名乗りを上げたものの撤退していた。12年の共和党指名レースでは3つの省庁を閉鎖するべきだと訴えたが、討論会でそのうち1つを思い出せずに立ち往生した。この省庁がまさにエネルギー省だった。今回の指名レースでは当初、トランプ氏批判の先頭に立ったものの、資金集めに行き詰まって昨年9月に撤退。その後はトランプ氏支持に回っていた。オバマ現政権下のエネルギー省は再生可能エネルギー開発事業への助成や融資などを通し、化石燃料からの方向転換を推進してきた。一方、トランプ氏は現政権のエネルギー政策を覆し、化石燃料の増産や環境規制の緩和を図る方針を打ち出している。規制の多くは環境保護庁の管轄下にあるが、エネルギー省も重要な役割を果たすことになる。連邦所有地での化石燃料掘削には内務省の許可が必要とされる。移行チームから13日に入った情報によると、新政権の内務長官にはエネルギー自給を主張し、環境保護団体から批判を浴びているライアン・ジンキ下院議員が就任する見通しとなった。

*5-4:http://special.nikkeibp.co.jp/as/201501/innovation_is_great/great4.html
 急速なグローバル化が進展する自動車産業の中で、英国の存在感が増している。その背景には3つのファクターが存在する。英国の自動車産業に詳しいリカルド ジャパン株式会社代表取締役社長の山本雄二氏に話を聞くことができた。同社は英国の自動車産業を代表する総合エンジニアリング企業であるリカルド社の日本法人だ。リカルド社は今年で創業100周年を迎える歴史を誇り、英国のみならず日本および世界の自動車メーカーと幅広くビジネスを展開している。
 第一のファクターは、グローバルな競争力をもつ製造業の集積である。「欧州では自動車の開発プロセスにも数多くのサプライヤーが関わります。自動車メーカーにとって、確固たる技術基盤をもったエンジニアリング企業の存在は必要不可欠になっています」と山本氏。同社が提供するエンジニアリング分野は幅広く、自動車分野だけでもパワートレイン開発、ワイヤハーネス設計、軽量化技術など、多岐にわたるソリューションを提供している。「およそ自動車メーカーができることはリカルド社もできると思っていただいて結構です」。さらに同社の大きな特徴に「戦略コンサルティング」が挙げられる。単に技術の提供だけでなく、商品企画段階から市場予測に基づく戦略的コンサルティングを行っているのだ。リカルド社は現在、ジャガー・ランドローバー社と長期的かつ包括的なサポート契約を結び、エンジン・車体開発の一部を担当している。また、マクラーレン・オートモーティブ社が製造する超高性能スポーツカー向けのエンジンを共同開発し、その生産まで請け負うなど、エンジニアリング企業の枠を超えた自動車メーカーとの関係を築いている。リカルド社のような企業の存在こそが、英国の自動車産業のイノバティブな躍進を支える大きな原動力と言えるだろう。
 第二のファクターは、世界最先端の専門知識だ。英国にはホンダ、日産、フォード、BMW、上海汽車、吉利汽車など、世界を代表する自動車メーカーが拠点を構え、研究開発を行う。リカルド社でも「既存のエンジン技術での資源の有効活用、低排出ガス(CO2抑制)などが求められるなかで、高効率ハイブリッドシステムやEV関連などの研究開発も行っています。特にバッテリーやモーターに関するソリューションを提供できるエンジニアリング企業は世界的に見ても少ないのが実情で、当社の強みの一つとなっています」とその先進性を語る。「英国には次世代のイノベーションが期待できる産官学連携のプログラムが数多く用意されています。当社でもいくつかの基礎研究分野において英国の大学との共同研究を行っています」。英国におけるイノバティブな産業育成プログラムといえば、前々回記事で紹介した、政府と産業界が資金を拠出する「カタパルト」が知られている。自動車関連では「高付加価値製造(HVM: High Value Manufacturing)カタパルト」によって多くの研究機関が連携するほか、輸送システムにおける将来のイノベーションの開発と展開を目指す「輸送システム・カタパルト」も積極的に活用されている。
 最後のファクターは、ビジネス環境としての英国の魅力である。英国政府は産業界と連携し、前出のカタパルトを補完しながら、将来の自動車技術を開発する企業を支援している。投資受け入れ先として英国自動車産業の魅力を高めることにも積極的だ。取り組みの一部を紹介する。
 ・先端推進システム技術センター(APC: Advanced Propulsion Centre )
  産官共同の自動車産業戦略の中心となり、今後10年間に10億ポンド(約1940億円)の資金を
  投じ、先端推進技術の開発、商業化の実現を促進。
 ・低排出車両庁(OLEV:Office for Low Emission Vehicles)
  超低公害車の初期市場を支援する政府横断的な組織。9億ポンド(約1740億円)超の資金を
  投入し、超低公害車の開発、製造および利用で世界の先頭に立ち、温室効果ガス排出と
  大気汚染の削減を促進。
 ・国立自動車イノベーションキャンパス(NAIC:National Auto Innovation Campus)
  政府、ジャガー・ランドローバーおよびタタ・モーターズによる9200万ポンド(約178億円)の構想。
  化石燃料依存を削減し、二酸化炭素排出を低減する新技術の開発を目指す。約1000名の研
  究者、科学技術者、エンジニアが働く。
 ・政府、ジャガー・ランドローバーおよびタタ・モーターズによる9200万ポンド(約178億円)の構想。
  化石燃料依存を削減し、二酸化炭素排出を低減する新技術の開発を目指す。約1000名の研
  究者、科学技術者、エンジニアが働く。
 英国に拠点を置く企業に対する税務上のインセンティブも大きい。英国の法人税は現在、G20諸国中で最も低い20%にまで引き下げられている。大幅な研究開発費控除(適格研究開発支出1 ポンドにつき最大27 ペンス控除)を提供しているほか、特許発明などのイノベーションから生じた利益に対して法人税率を軽減(10%)するパテントボックス税制も適用している。また、製造部門の労働費用も西欧諸国としては最も低い水準であり、人件費の面でもメリットがある。「グローバル化とともに、自動車メーカーが全てのリソースを自前で賄うのがむずかしい時代になりつつあります。すでに欧州がそうであるように、日本でも外部のエンジニアリング企業にアウトソースを求める時代が到来しつつあります。そうしたなかで、日本企業が英国および英国企業とパートナーシップを組むことは意義のあることだと思います」。グローバルな視座からマーケットを俯瞰し、ダイナミックに変化し続ける需要にフレキシブルに対応できる英国のビジネス環境。そこには新しいビジネスの可能性が広がっている。すでに新しい日英パートナーシップは走り出している。その象徴が、欧州最大の自動車生産工場である日産サンダーランド工場が製造する電気自動車「リーフ」である。2015年9月8日(火)~9月18日(金)、英国政府による「Innovation is GREAT~英国と創る未来~」のキャンペーンロゴをまとった日産リーフが、東京の英国大使館から全国ツアーに出発する。日本各地の観光名所、英国ゆかりの地を巡りながら、日英パートナーシップをアピールするという。日本F3に参戦する英国人ドライバー、ストゥラン・ムーア選手が運転することが既に決定している。


PS(2017年1月26日):*6のように、佐賀県内の追突事故の1割弱は自動前進機能が原因だそうだが、運転車が意図しないのに自動車が動き出すのはプログラムミスだ。そのため、オートマチック車の運転者に「停止中はニュートラルして、サイドブレーキを使うように」と言うよりは、オートマチック車のプログラムを変更した方がよいと考える。また、確かに警察が集計した交通事故原因を参考にして改良すれば「運転支援システム」や「自動運転機能」の完成に役立つだろうし、事故が起こった際の関係者の怪我を集計すれば、車体の安全性における改良ができるだろう。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/399034
(佐賀新聞 2017年1月26日) 県内の追突事故、1割弱が「自動前進」原因、県警「サイドブレーキを」
 佐賀県内で昨年1年間に発生した追突事故のうち316件(8.7%)が、ブレーキから足を離すと自動的に進む「クリープ現象」によるものだったことが県警の集計で分かった。オートマチック車の運転者にサイドブレーキの徹底を促している。25日の定例会見で説明した。交通安全企画課によると、信号待ちなどで停止した際、後部座席のチャイルドシートを見ていて踏みが弱くなり追突したケースや、ブレーキペダルを踏む筋力自体の衰えでぶつかった高齢ドライバーもいた。同課は「ゆっくりとした前進でも大きな事故につながる可能性はある」と指摘し、「停止中は車間距離を十分取ってニュートラルの状態にし、サイドブレーキを引くことを徹底してほしい」と呼び掛けている。追突事故を原因別で見ると、脇見などの前方不注意が最も多く2378件(65.1%)。次いで歩行者らへの注視を怠った事例が744件(20.4%)、クリープ現象を含むブレーキ操作に起因するケースが435件(11.9%)だった。


PS(2017年1月27日追加):ゴーン社長率いる日産・ルノー組が世界で最初にEVを開発したが、日本の政府・メディアは航続距離が短いなどの批判ばかりを行ってディーゼル車やガソリン車への回帰を進め、EVの短所解決に協力することはなかった。そのため、*7のように、EVで世界の第一線から外れたのであり、日本の技術は、ハンドルを握っている文系の愚(中等・高等教育や組織構成に問題があると思われる)により、世界から遅れて初めてエンジンをかけられるというお粗末さなのである。なお、PHVは、ガソリンエンジンを併用しているため、部品が多くてコストダウンできず、車内も従来のガソリン車と同様なので、EVのメリットが出ない。

*7:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12767174.html (朝日新聞 2017年1月27日) ホンダ、EV開発に注力 燃料電池車の普及進まず
 ホンダが、出遅れた電気自動車(EV)の開発に本腰を入れ始めた。水素で走る燃料電池車(FCV)を「究極のエコカー」と位置づけてきたが、FCVの普及が進まず、米国で今秋に始まる環境規制への対応も急務となっているためだ。「EVをやめたわけではない」。昨年12月、早稲田大で講演したホンダの八郷隆弘社長は、「なぜEVに力を入れないのか」と質問した学生にこう強調した。社外には公表していないが、昨年10月、開発部門ごとに散らばっていたEVの技術者を集め、専門組織を新設。四輪車開発の責任者の直属とし、米国で今年売り出すEVの仕上げや、次世代のEV開発に当たらせている。ホンダは昨年3月、FCV「クラリティ フューエルセル」のリース販売を始めたが、初年度の国内販売計画は200台。米国も当面はカリフォルニア州の12店舗だけでの販売で、普及にはほど遠い。一方のライバルは、日産自動車がEV「リーフ」を世界で約25万台売った。同じくFCV重視だったトヨタ自動車も昨年11月、2020年をめどにEV量産を目指すことが判明した。米カリフォルニア州で今秋発売の18年モデルから始まる規制強化も、ホンダにEV開発を迫る背景だ。排ガスのない車(ZEV〈ゼブ〉)をより多く売り、一定の「点数」を稼ぐ必要があるが、ホンダなど日本勢が得意のハイブリッド車(HV)はZEVから外れた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、18年モデルでホンダが規制を達成するための販売の水準はEV約3千台、FCV約1千台、プラグインハイブリッド車(PHV)約8千台と厳しい。点数を満たせなければ罰金を支払うか、超過達成した他社から点数を買わなければならない。日産のようなEVの量産経験に乏しく、研究開発費がトヨタより3割少ないホンダにとって、EVとFCVとの「二正面作戦」が重荷になる可能性もある。ただ、ホンダが12年からリース販売した小型車「フィット」のEVは、開発にHVやFCVの知見を生かし、一度の充電で走れる距離を当時の世界最高水準にした。広報担当者は「技術で他社より遅れているとは思わない」と話す。
■自動車大手3社はZEV規制への対応を急ぐ
<ホンダ>
●従来の主なエコカー/クラリティ フューエルセル(FCV)
●累計世界販売/年200台以上を予定(16年3月発売)
●米国のZEV規制への対応/16年にクラリティ、17年にクラリティの車台を使ったEVとPHVを投入
<トヨタ自動車>
●従来の主なエコカー/ミライ(FCV)
●累計世界販売/約2300台(14年12月発売)
●米国のZEV規制への対応/ミライに加え、「プリウスPHV」の2代目を投入。20年メドにEV量産
<日産自動車>
●従来の主なエコカー/リーフ(EV)
●累計世界販売/約25万台(10年12月発売)
●米国のZEV規制への対応/リーフで対応。近い将来にリーフは全面改良し、傘下の三菱自動車のPHV技術も導入


PS(2017年1月29日追加):台湾には、17世紀頃に中国福建省の人が移民して来る前から居住していた先住民がおり、第二次世界大戦後に日本に代わって台湾を統治した中華民国政府は、1949年2月7日に蒋介石率いる中国国民党が台湾島に来たことにより実効支配するようになったものである。そのため、*8-1のように、中国から「日本が台湾を侵略したことを忘れたのか」と批判されるのはおかしい上、日本が侵略したとされる他国と異なり、台湾の人々は親日的な人が多いのだ。
 また、*8-2のように、厚労省の発表では、2016年10月末時点の外国人労働者は108万人で、(労働条件は改善すべき点が多いものの)中国からの34万4,658人が最も多く、日本は中国へのODAもかなりやってきたため、「日本が中国を侵略した」ということを、いつまでも外交カードに使ってもらいたくない。さらに、私は個人的に、中国はスケールが大きく将来性もある国だが、民主国家とは言えず、まだ公害が多くて人権が疎かにされているため、安心して住めないような気がしている。 

*8-1:http://mainichi.jp/articles/20170129/k00/00e/030/107000c (毎日新聞 2017年1月29日) 台湾、蔡英文総統が英語と日本語でツイート 内外に波紋
 台湾の蔡英文総統が28日の春節(旧正月)に合わせて英語と日本語で新年のあいさつをツイッターで投稿したところ、中国から「なぜ中国語で書かないのか」と批判の書き込みが相次いだ。これに対し日本や台湾からも反論が投稿され、激論となった。台湾紙、自由時報(電子版)が28日、伝えた。蔡氏は大みそかにあたる27日、英語と同時に日本語で「日本の皆様、今年は実のある素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り致します」と書いた。中国からは「ごますり」「日本が台湾を侵略したことを忘れたのか」などと批判が殺到した。

*8-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017012802000113.html (東京新聞 2017年1月28日) 外国人労働者108万人 昨年10月末 技能実習生、受け入れ拡大
 厚生労働省は二十七日、二〇一六年十月末時点の外国人労働者数が初めて百万人を突破し、百八万三千七百六十九人になったと発表した。前年比で19・4%増加し、企業に届け出を義務付け集計を始めた〇八年以来最多となった。全体の増加率はこれまでで最も大きく、全ての都道府県で前年の人数を上回った。人口減少で人手不足感が強まる中、外国人労働者に頼る流れは続くとみられるが、欧米諸国では外国人居住者の増加が国を二分する論争になっている。日本でも受け入れを巡り国民的な議論が必要となりそうだ。人手不足から高い技能を持つ人材や留学生アルバイトの受け入れが増えたほか、安価な労働力との批判がある技能実習生の大幅増も全体を引き上げた。国籍別で最多は中国の三十四万四千六百五十八人で前年比6・9%増。次いでベトナムが十七万二千十八人で56・4%増加し、留学生によるアルバイトや技能実習生が多くを占めた。フィリピンが十二万七千五百十八人で続いた。ネパールはベトナムに次ぐ増加率(35・1%)だった。都道府県別では、東京が最多で三十三万三千百四十一人、愛知が十一万七百六十五人、神奈川が六万百四十八人だった。

| 経済・雇用::2016.8~ | 02:51 PM | comments (x) | trackback (x) |

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