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2017.2.4 日本における外国人労働者・難民の受入状況、日本人の労働参加率、働き方改革について (2017年2月6、7、9《図の説明》、11日追加)
     
 2017.1.28  外国人労働者と雇用事業所数推移 2016年外国人労働者数 外国人労働者賛否   
  東京新聞                2017.1.28西日本新聞          2016.2.4朝日新聞

(図の説明:日本で働く“外国人労働者”は次第に増え、日本全国では2016年10月末で108万3,769人となったが、総人口(1億2,698万人)に占める割合は0.85%にすぎない。そのうち九州は59,053人で日本全体の5.4%だ。また、“外国人労働者”と呼ばれている人のうち、技能実習生や留学生のアルバイトは本来の労働者ではない上、経済連携協定による受入者も3年で帰国を求められる人が多いため、労働者としてあまりあてにならない。なお、我が国は、専門的・技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れているが数が少なく、永住者・定住者には戦前から日本に住んでいる人も入っている。なお、外国人労働者の受け入れには、全体では過半数の人が賛成だが、40代男性のみ反対の方が多い)

  
      *1-5、2017.2.4佐賀新聞より                        労働力人口推移
                                     女性の就労が進む場合と進まない場合

(図の説明:日本の労働力人口は、女性や高齢者の就労が進んでも減少するが、進まなければ急速に減少する。そのため、外国人労働者の受入は合理的な選択となっており、外国人労働者なしでは考えられない職種や地域もあるため、受入地域は外国人と生活者として共生する準備が必要だ)         

(1)日本における外国人労働者と難民の受け入れについて
1)外国人労働者と難民の受け入れについて
 厚労省の調査で、*1-1のように、日本で働く外国人労働者が2016年10月末時点で108万3,769人になったことが分かり、厚労省は、①政府が単純労働に従事する技能実習生の受け入れを拡大し ②留学生の就職支援を強化し ③高度技術を持つ人材の受け入れが増えたことが要因だとしている。

 しかし、一番上の左図の専門的・技術的職種、永住者・定住者、看護師・介護士など特定の職種の人のみが外国人労働者であり、技能実習生・留学生は正確には技術や知識を学びに日本に来た人で労働が目的で来た人ではないため、世界標準では外国人労働者と認められないだろう。

 また、特定の職種の外国人労働者も、*1-2のように、労働基準法などを順守せず過酷な労働を強い、日本人と比較して給与水準が低く設定されて、合理的理由なき差別のある職場も多いのは問題だ。

 さらに、難民については、*1-3のように、日本政府は今年から5年間でシリア難民の留学生とその家族を計300人を受け入れるそうだが、規模が小さすぎて殆どの人が救われず、シリアで約480万人が難民として周辺国に逃れている中で、欧米諸国の①米国60,964人 ②カナダ48,089人 ③ドイツ43,708人 ④英国20,000人 ⑤フランス16,497人 ⑥ブラジル11,450人 ⑦ノルウェー9,000人 ⑧スイス6,700人 と比較して、受け入れ人数があまりにも少ないと言わざるを得ない。

2)イスラム教徒の受け入れについて
 それでは、大量のイスラム教徒を受け入れた場合についてだが、日本では「信教の自由」を根拠に学校など公共の場での女性のベールを禁止したり、浜辺でのブルキニ着用を禁止したりすることを批判する声が強いが、これは、実状を知らない日本人の甘さだ。

 何故なら、その傍にいるイスラム教徒の男性は、ベールをかぶっていない女性や浜辺で通常の水着を着ている女性や教育を受けて社会で自由に活躍している女性について、それが異教徒であってもひっかかるものがあるため、近くにいる日本女性の行動も制限されることになるからだ。例えば、私は、20年くらい前、ODAでキルギスタンに行った時、「日本人女性がODAで来ていることが知れ渡って、街のイスラム教徒の男性がつけまわしていて護りきれないから、早く仕事を終わって日本に帰って」と、同じチームの男性チーフに言われて、ショックを受けたことがある(ちなみに、同じチームに親切なイスラム教徒の男性もいて、一緒に市場を見に行き、説明を聞いて、よい見聞もできたことを付け加えておく)。

 また、多くのイスラム教徒の移民を受け入れているフランスでは、*1-4のように、沿海のリゾートでブルキニ着用を禁止した自治体の数が約30に上り、サルコジ前大統領を先頭に右派勢力はブルキニ着用を全国で禁止する措置の法制化を強く求めており、一方、ベルナール・カズヌーブ内相は地元紙のインタビューで「ブルキニの着用を法律で禁止するのは憲法違反だ」と指摘しつつ、「イスラム教徒側にも、引き続き私たちと共に男女平等、共和国の不可侵の原則、寛容さに関わっていってもらいたい」と注文していることから、現在の状況が伺える。そのため、私は、イスラム教も、もう中世型を脱して21世紀型に変化すべき時だと考える。

 そこで、日本がイスラム教徒の難民を国内に受け入れるにあたっては、日本国憲法で男女平等や教育の権利・義務、勤労の権利・義務などの必要事項が定められており、民法で重婚の禁止が定められており、男女共同参画基本法や男女雇用機会均等法・女性活躍推進法もあるため、「日本国内では日本の法律に従う」という誓約書への署名を最低の受入要件とし、その意味をしっかり説明しておく必要がある。

3)外国人労働者や難民の受け入れについて
 佐賀県基山町長野地区の住民は、*1-5のように、外国人に自転車や地域で暮らすためのマナーを身につけてもらおうと、英語、ネパール語、中国語、ベトナム語、日本語の5カ国語で解説し、親しみやすいイラストを添えて小冊子を作ったそうだ。これは、日本人も勉強した方がよさそうだが、今後は、外国人労働者を雇う企業が増え、外国人労働者を受け入れた方が地域も活性化するため、重要な一歩だろう。

 また、過疎地や国境離島ではない離島で、既にある学校や空き家などのインフラを使い、まとまった数の外国人労働者や難民を、まずは農林漁業や中小企業の被用者として受け入れることも考えられる。

(2)女性・高齢者の雇用について
1)高齢者の定義と定年制について
 *2-1のように、老年学会が高齢者は「65歳以上」ではなく「75歳以上」としたため、高齢者の定義、定年年齢・年金支給開始年齢の妥当性について議論が始まった。確かに、日本人の平均寿命が延び、2015年は女性87.05歳、男性80.79歳になったため、75歳くらいまで働ける高齢者は多いだろう。

 そのため、定年制を廃止して働きたい人は働く方式にするのが理想だろうと私も考える。しかし、その際には、望む仕事が得られるかどうか、教育は人生の前半だけでなく途中での追加も必要なのではないかということが問題になる。

2)労働参加率上昇の必要性
 九州経済調査協会は、*2-2のように、急速な人口減少で企業の人材確保が難しくなっており、今後はさらに争奪戦が激しくなるため、女性や高齢者など多様な人材の活用に加え、限られた要員で稼ぐ力を高めることが必要だとしており、尤もだ。

 しかし、女性は賃金よりも職種や勤務時間、休日などを重視しているとして、①短時間勤務 ②地域限定正社員 ③再雇用 ④IT技術を活用した「テレワーク」の導入 などを提言しているのは、「正社員での採用」や「男性との同一労働同一賃金」の仕事が自由に選択できた上での話だろう。「女性=短時間勤務、自宅でのテレワーク、再雇用を希望する」と位置づけるのは、家事と仕事の両方を女性が行うことを女性も望んでいるという前提の男性の発想であり、30~50年古いと言わざるを得ない。

(3)日本における明確な女性差別
 私も驚いたが、*3-1のように、埼玉県川越市のゴルフ場が女性の正会員を認めていなかったのだそうだ。これは、女性に、ゴルフをするような仕事上の場面を想定していないということだろうが、私から見ると、「はあ?何を時代錯誤してんの!」と言いたくなる状況だ。ちなみに、関東には、公立高校も男女別学の地域が多く、これは高校から男女で別の教育をしているということで、埼玉県もその一つだ。

 そして、それを批判した小池百合子東京都知事に対し、丸川珠代五輪相は電話で真意を聞いたそうだが、真意を聞くということは、何か他に真意があることを想定していたのだろうか? 小池東京都知事が「言葉通りです。せっかくスカートをはいておられる五輪相もいるのだから、もっと明確に言うべきではないか」と言われたのは、全く同感だ。

 なお、*3-2のように、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案に、婚姻適齢を男女とも「18歳以上」に統一する規定が盛り込まれていることが分かったと、佐賀新聞が「置き去りだった差別」として記載している。先進国では男女同一が普通であるのに、日本では女性の方が心身の発達が早い(そして発達が速く止まる)などとしているのは非科学的であり、男女平等後進国のなせるわざだ。

<外国人労働者と難民の受入状況>
*1-1:http://qbiz.jp/article/102594/1/
(西日本新聞 2017年1月28日) 外国人労働者100万人突破 全都道府県 前年上回る
 日本で働く外国人労働者が初めて100万人を突破し、2016年10月末時点で前年比19・4%増の108万3769人になったことが27日、厚生労働省の調査で分かった。08年の集計開始以来最大の増加率で、全都道府県で前年を上回った。政府が事実上、単純労働に従事する技能実習生の受け入れを拡大してきたことなどが背景にあり、国民的議論がないまま外国人労働者受け入れが進んでいる。厚労省は留学生の就職支援強化や、高度な技術を持つ人材の受け入れが増えたことが要因としているが、働き先は製造業が31・2%、卸売・小売業が12・9%で、人手不足感の強い業種を中心に、外国人労働者が増えている。全国の労働者の2%程度を占め、雇用する事業所数も最多の17万2798カ所に達した。在留資格別でみると、高度で専門的な知識のある人材が20・1%増の20万994人なのに対し、日本の技術を学ぶ技能実習が25・4%増の21万1108人、留学生が25・0%増の20万9657人となっている。国籍別での最多は中国の34万4658人で、前年比6・9%増。ベトナムが56・4%増の17万2018人、フィリピンが12万7518人で続いた。増加率では、ネパールも35・1%と大幅に伸びた。都道府県別では、東京が最多の33万3141人で、2番目に多い愛知の11万765人と合わせ2都県で全体の4割が集中。九州では福岡が全国で8番目に多い3万1541人で、留学生アルバイトの比率は全国最多の42・7%だった。政府は介護現場での技能実習生受け入れの解禁を既に決め、今国会では国家戦略特区を活用して農業分野で外国人が働けるよう法改正する方針で、今後も受け入れを拡大する。
*外国人の就労 外国人が日本で働くためには在留資格が必要で、大きく分けて(1)永住者や日本人の配偶者ら、日本人と同じように就く仕事に制限がないグループ(2)外交官や医師、外国料理の調理師らそれぞれ定められた範囲、職種で就労が認められるグループ−がある。技能実習生や経済連携協定(EPA)に基づく看護師などは(2)のグループで、昨年の入管難民法改正で新たに介護分野も加わった。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017020301001792.html (東京新聞 2017年2月3日) 比女性らと介護施設が和解、大阪 過酷労働を陳謝
 大阪府東大阪市の介護施設「寿寿」に勤めていたフィリピンから来日した男女ら10人が、厳しい条件で勤務を強いられたなどとして、未払いの賃金や慰謝料などを求めた訴訟が3日、大阪地裁(菊井一夫裁判長)で和解した。和解は、施設側が労働基準法などを順守せず、過酷な労働を強いたことを陳謝し、総額計約1千万円の解決金を支払う内容。訴状などによると、10人はいずれもフィリピンから来日した20~50代の男女。日本人の職員に比べ給与水準が低く、差別的な待遇だったとし、それぞれの未払い賃金のほか、残業代など計約4100万円を請求していた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASK225HLZK22UTFK00R.html?iref=comtop_list_int_n03 (朝日新聞 2017年2月3日) シリア難民、300人規模で受け入れへ 政府、定住に道
 日本政府が今年から5年間で、シリア難民の留学生とその家族を計300人規模で受け入れる見通しになった。留学生は配偶者と子供を帯同でき、家族にも生活手当が支給される。留学終了後は必ずしも帰国する必要がなく、事実上家族とともに定住する道を開くことになる。特定国のまとまった難民受け入れ策としては、1970年代後半から2005年までに1万人を超えたインドシナ難民、10年から計123人が来日しているミャンマー難民以来となる。国際協力機構(JICA)の技術協力制度を活用し、年20人の留学生を受け入れる。対象はレバノンとヨルダンに逃れたシリア人難民。JICAはシリアの一般家庭の家族構成を踏まえ、5年の受け入れ数は300人規模になると試算。今年夏、最初の20人と家族が来日する予定だ。日本政府は昨年5月、JICA枠と文部科学省の国費外国人留学制度枠(年10人)を使い、5年間で150人のシリア難民を受け入れると表明。主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として難民問題に前向きに取り組む姿勢をアピールする狙いで、留学生の募集や留学先の選定を進めてきた。JICA枠は、留学終了後の帰国を義務づけないうえ、留学中は本人に月約14万円、配偶者に月1万3千円、子供1人当たり月6500円を支給するのが特徴。日本での就職も後押しし、事実上定住を容認する内容だ。JICAは「あくまでも帰国して復興を担う人材の育成が目的だが、(内戦状態の)シリア情勢を考えると卒業後すぐに帰国しなさいとはならない」(担当者)と説明する。日本は欧米各国に比べて難民受け入れに後ろ向きで、15年に難民認定されたのは27人。一方で、混乱が長期化しているシリアでは約480万人が周辺国などに逃れているとみられ、欧米諸国は数年前から、外国に逃れた人を別の国が受け入れる「第三国定住」制度で多くのシリア難民を受け入れてきた。この制度は日本にもあり、これまでミャンマー難民を受け入れてきた。シリア難民については、政府内に「第三国定住制度で受け入れるほど、国内の世論が熟していない」との意見があり、JICAの既存制度を活用することにしたという。移民大国の米国ではトランプ政権が誕生し、難民受け入れの規制に転換。欧州でも反移民を掲げる右派勢力が台頭している。世界の難民政策が曲がり角を迎える中、日本はミャンマー難民の2倍以上のシリア難民を受け入れることになる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のダーク・ヘベカー駐日代表は「日本はまだ、永住を前提としたシリア人の定住を受け入れる準備ができていない。一方で、何かしなければならないことをよく分かっている。留学生としての受け入れは『妥協案』なのだろう」と指摘する。難民問題に詳しい筑波大の明石純一・准教授は「定住も意識しており、中東の難民問題へのアプローチとしては画期的。ただ人数が圧倒的に少ない。保護を必要とする世界の難民全体のうち微々たる数に過ぎない。今回の仕組みをパイロット事業と位置づけ、受け入れ人数を広げていってほしい」と話している。(機動特派員・織田一)
     ◇
■主要国のこれまでのシリア人難民受け入れ
                   ※表明分含む
  国名       人数
①米国      60964
②カナダ     48089
③ドイツ     43706
④英国      20000
⑤フランス    16497
⑥ブラジル    11450
⑦ノルウェー    9000
⑧スイス      6700
-----------------------------------------------------------------
日本        300規模  ※日本はJICA枠での今後の受け入れ見通し。
                    そのほかは、昨年末時点の国連難民高等弁務官事務所調べ。

*1-4:http://www.afpbb.com/articles/-/3098942?utm_source=yahoo&utm_medium=news(朝日新聞2016年8月29日)ブルキニ禁止法は「違憲」 仏内相 、取り返しつかない結果に警鐘
 フランスのベルナール・カズヌーブ(Bernard Cazeneuve)内相は28日に掲載された地元紙のインタビューで、同国でイスラム教徒の女性向けの全身を覆う水着「ブルキニ」の着用を法律で禁止するのは憲法違反だと指摘するとともに、こうした法律を制定すれば取り返しのつかない悪影響を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らした。日刊紙ラクロワ(La Croix)のインタビューに応じたカズヌーブ内相は、国内の一部自治体が導入して物議を醸しているブルキニ規制について、政府としては反対という立場を重ねて示した。この問題は女性の権利やフランスの厳格な世俗主義をめぐって、国内外で大きな論議を招いている。カズヌーブ内相は「政府が(ブルキニ禁止の)法制化を拒否しているのは、こうした法律が違憲かつ無効であり、対立や取り返しのつかない緊張を生む恐れがあるからだ」と説明。その上で「イスラム教徒側にも、引き続き私たちと共に男女平等や、共和国の不可侵の原則、寛容さに関わっていってもらいたい」と注文した。仏沿海のリゾートでブルキニ着用を禁止した自治体の数は約30に上っているが、フランスの行政裁判の最高裁にあたる国務院は26日、うち1つの自治体による禁止措置を凍結する判断を下した。この判断は他の自治体にも影響を及ぼす判例になるとみられている。一方、来年の次期大統領選に出馬を表明した二コラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領を先頭に、右派勢力はブルキニ着用を全国で禁止する措置の法制化を強く求めている。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/402173
(佐賀新聞 2017年2月4日) 基山町長野地区住民ら、外国人向け冊子作成、相互理解へ活用
■暮らしのルール5カ国語で解説
 外国人に自転車や地域で暮らすためのマナーを身につけてもらおうと、基山町長野地区の住民らが小冊子を作った。交通標識などを英語、ネパール語、中国語、ベトナム語、日本語の5カ国語で解説し、親しみやすいイラストも添えた。舟木喜代美区長(67)は「声かけやあいさつと併せて活用し、融和を図っていきたい」と意気込む。長野地区には企業の工場などが多く立地している。近年は外国人労働者を雇う企業が多く、通勤のため地区内を自転車で通行する外国人の数が急増。道路上での並走や2人乗り、ごみのポイ捨て、深夜に大声で騒ぐなどの事例が相次いだため、地区として対策に乗り出した。冊子はA6判12ページのフルカラー。県国際課や県警などの協力を得て200部を作成し、ネーティブスピーカーに表現に間違いがないか確認してもらうなど念入りに準備した。自転車の乗り方では、「車道の左側を走る」「2人で乗らない」「携帯電話は使わない」などの基本マナーを紹介。「くらしのルール」編では、「地域の人に会ったらあいさつしよう」「ごみの投げ捨てはいけません」「住宅地は静かに通りましょう」などと呼び掛けている。1月末に街頭で通勤途中の外国人に冊子を配布したほか、企業3社に計80部を贈った。舟木区長は「異国の地で暮らすための、基本的なマナーを知らないままの人も多い。今後も外国の方は増えていくと思うので、啓発に向けて町全域で継続して取り組んでいきたい」と話す。

<女性・“高齢者”>
*2-1:http://mainichi.jp/articles/20170201/dde/012/040/003000c
(毎日新聞 2017年2月1日) 特集ワイド 「高齢者は75歳から」の是非 年齢の線引き、捨てよう
 高齢者は「65歳以上」ではなく、「75歳以上」に--。こんな提言が今、話題を集めている。確かに最近の中高年は元気で、そう言われれば納得しそう。ただ、多くの人が見直しの動きを警戒しているのも事実だ。そこで経験豊かな有識者に聞いてみた。高齢者の定義変更をどう見ますか?しゃれたレストランを都心などで手掛ける会社の役員が打ち明けた。「困ってるんですよ。60代の優秀な料理人がどんどん定年になっちゃって……。このままでは経営が立ち行かない」。今の60代は現役とまったく変わらない。気力も体力も衰えず、高い技術は若い人に代えられないほどだ。でも会社にはルールがある。働き続けてほしいと願うが、臨時雇いになって給料が激減すれば辞めてしまう。この会社は定年後も待遇を変えず、人材をつなぎ留める方法を真剣に検討し始めた。日本人の平均寿命は延びている。厚生労働省によると、2015年で女性87・05歳、男性80・79歳。戦後間もない1947年は女性54歳、男性50歳だった。「人生50年」は過ぎ去り、今や「80年」の時代。それなのに、現状に合わない“高齢者像”が生き残り、さまざまな場でひずみをもたらしている。そんな中、日本老年学会などがこの1月、65歳以上の体の状態や知的機能は10~20年前と比べ5~10歳ほど若返っているとし、医療や介護などで「65歳以上」とされてきた高齢者の定義を「75歳以上」に見直すべきだと提言した。大きな狙いは65~74歳の積極的な社会参加を促すことだ。社会問題について積極的に発言しているライフネット生命保険の会長、出口治明さん(68)に提言の印象を尋ねると、「高齢者の体力などを考えたら、ごく自然なことでしょう。当たり前の話では」と笑う。そうはいっても、この線引き、なんとなく割り切れない思いを抱く人は少なくない。人気長寿番組「世界ふしぎ発見!」(TBS系)の司会などとして活躍するテレビキャスター、草野仁さん(72)は、まずこう問い掛ける。「『高齢者』とひとくくりにすることに無理があるのではないでしょうか」と。「人は年を取るほど、体力をはじめ、いろんな意味でバラつきが出てきます。一律に『高齢者』と決めつけることは好ましくありません」。生きてきた環境が異なるうえ、大病をしたり、しなかったりなど健康面の違いも生じ、高齢になるほど個人差は大きいとされる。若者と同じように精力的に外で動きたい人もいれば、「引退」してのんびり過ごしたい人などさまざまだ。それを一つにまとめることに違和感を覚える人は多い。今回の提言では、これまで「高齢者」と呼ばれてきた65~74歳を、高齢者の準備段階となる「准高齢者」と位置づけた。これには言葉のプロである草野さんは不満を隠さない。「75歳以上を『後期高齢者』と呼ぶこともありますが、『もうアウト』と言わんばかりの愛情のない表現です。『准高齢者』には、それと同じ冷たさを感じますね。私はそんなふうに呼ばれたくないなあ」。なぜわざわざ「准高齢者」とくくるのか。普通の「大人」でいいではないか。「高過ぎるわね、定義が75歳以上というのは」。はっきりとした口調で話すのは、エッセイストで青森大副学長の見城美枝子さん(71)だ。見城さんは、公的機関の委員や大学の同期会会長を務めるなど活動が幅広い。同世代との付き合いも多い中、体感として、こう感じるという。「女性なら70歳を楽々と越えていきますが、男性は少し違います。一握りの特別な人は別でも、70歳が一つの峠になっていると思うんです」。定義するにはもっときめ細かな配慮が必要だというのだ。見城さんのように、提言に対する慎重な見方は多いが、それは多くの人が直感的に、ある種の不安を感じるからといえよう。現在の社会保障制度の多くは65歳を基準としているからだ。「高齢者は75歳以上」という社会的な合意ができれば、年金の支給開始年齢の引き上げなど社会保障の見直しにつながる可能性もある。見城さんもこの可能性を否定せず、こう主張する。「社会保障制度などを見直すというなら、国はまず、『これまでの制度設計には誤りがありました』と謝罪すべきです。既存の制度は設計ミスで維持できないときちんと説明し、国民の納得を得た上で次に進まないといけません」。まるで暗雲が垂れこめるようにばかり言われる「超高齢社会」。若者が抱える閉塞(へいそく)感を打ち破るためにも、定義変更の提言をチャンスとし、日本が進むべき未来像をはっきり示すべきだと呼び掛ける。
●定年制を廃止せよ
 そもそも、年齢を基準に物事を決めることは必要なのだろうか。草野さんは、日本のテレビ放送はニュースなどで人を紹介する場合、「何歳」と伝えるが、海外ではそういう例はほとんどない、と指摘。「日本人は相手に敬意を払うため、年齢に対し非常に細やかな神経を使います。それが逆に、何かに挑戦する時の阻害要因になってしまう」と述べ、こう強調する。「もう70歳だから遅すぎるとか、年齢を意識して前に進めない人がとても多いが、そんな意識は絶対必要ない。やれる範囲のことに一生懸命打ち込むことこそ、生きる充実感につながると私は思います」。年齢なんか気にしていたら、本当に生きているとは言えないというのだ。草野さん自身、同年代の人たちと競い、100歳以上も参加する「マスターズ陸上」に、75歳になったら挑戦しようと準備している。高齢者の定義変更自体に異論はないという出口さんに、社会保障制度について改めて聞いてみた。出口さんは「今の制度はゆがんでいる」とし、もはや年齢を基準にしてはいけないのだと主張する。「少子高齢化の本質というのは、年齢制限を設けない『年齢フリー』の原則に移らなければ、国はもたないということです。その選択肢以外に生きる道はないんだから」。超高齢社会の中、若者が多くの高齢者を支えるのは限界がきている。一定の年齢になれば全員に公的年金を支給する従来の形ではなく、生活にあえぐシングルマザーなど本当に困っている人に集中して給付するよう仕組みを変えなければいけない。だから、年齢に関係なく、お金がある人は相応の負担をし、幾つになっても働きたい人は働く。そのためには定年制を廃止するしかない--。それが出口さんの主張だ。  実際、出口さんが経営するライフネット生命に定年制はない。「定年は戦後日本の高度経済成長期に作られた慣習でしかない。社会の変化に応じた構造改革をやらないことが大きな問題ですよ」。年齢を重視し、「高齢者」とくくることに何の意味があるのか。高齢者の定義見直しについて考えていくと、根源的な疑問にたどりつく。

*2-2:http://qbiz.jp/article/102952/1/
(西日本新聞 2017年2月3日) 女性、高齢者の活用提言 九州経済白書「柔軟な人事制度を」
 九州経済調査協会(福岡市)は2日、「人材枯渇時代を生き抜く地域戦略」と題する2017年版九州経済白書を発表した。急速な人口減少で企業の人材確保が難しくなっており、今後はさらに争奪戦が激しくなると予想。女性や高齢者など多様な人材の活用に加え、限られた要員で稼ぐ力を高めるためにも、人口増加に支えられてきた「これまでの成功体験から脱却」し、働き方の大転換を図る必要があると提言している。国勢調査によると、九州地域の生産年齢人口(15〜64歳)は2000年に比べ足元で1割以上も減少している。九経調が地場企業・団体を対象に実施したアンケート(有効回答数741)では、55・1%が人員について「不足」「やや不足」と回答。要因として「地域の人口減少」などを挙げる企業が多く、「人口減少や高齢化といった構造的要因で人材不足が顕在化してきた」ことが浮き彫りになった。アンケートで、人材不足解消への取り組みを聞いたところ、「正社員の採用拡大」や「給与の引き上げ」が上位に入った。だが、政府が経済成長を支える「最大の潜在力」と期待する女性は賃金よりも職種や勤務時間、休日などを重視しているとの調査もあり、白書は企業側との認識に「ずれ」があると訴えている。人材確保のためには、賃金の引き上げだけではなく、柔軟な人事制度が重要と指摘。先進事例を紹介しながら、短時間勤務▽地域限定正社員▽再雇用▽IT技術を活用し自宅でも仕事ができる「テレワーク」の導入−などを提言した。また、九州地域で機械化やICT(情報通信技術)の導入を検討している企業は少数であるとして、人材枯渇時代を見据え「ICTやロボット、人工知能(AI)といった新しい技術の導入にも積極的になるべきだ」としている。 

<日本における明確な女性差別>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017020301001360.html
(東京新聞 2017年2月3日) 【政治】 丸川五輪相、都知事に真意問う ゴルフ会場巡る批判で
 丸川珠代五輪相は3日の記者会見で、2020年東京五輪のゴルフ会場が女性正会員を認めていない問題を巡り、批判している小池百合子東京都知事に電話で真意を聞いたと明かした。「『言葉通りです』と直球が返ってきた。ありがたく承る」と述べた。小池氏は今月1日「せっかくスカートをはいておられる五輪相もいるのだから、もっと明確に言うべきではないか」と政府の対応に不満を示していた。会見で丸川氏は「(都庁のある)西新宿から永田町のグリーンに『ワンオン』をずばんと打たれた感じだ。私も飛距離を伸ばすよう頑張りたい」と競争心をちらつかせた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/401877 (佐賀新聞 2017年2月3日) 結婚、女性も「18歳以上」 民法改正案、置き去りだった「差別」
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案に、結婚できる年齢(婚姻適齢)を男女とも「18歳以上」に統一する規定が盛り込まれていることが2日、政府関係者への取材で分かった。終戦直後に定められた女性は「16歳以上」とする規定が見直される公算が大きくなった。法務省は「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の成立を優先し、民法改正案の今国会提出は見送る方針。現行民法は婚姻適齢を男性18歳以上、女性16歳以上と規定。さらに未成年者の場合は親の同意が必要となる。国際的には男女同一が一般的だが、日本では女性の方が心身の発達が早いなどの理由で低く設定されている。明治時代の民法施行時は男性17歳以上、女性15歳以上だった。しかし女性の高校進学率が飛躍的に伸び、16、17歳での結婚が減少したことなど社会的な背景が変わり、男性と区別する合理的な理由がないとの指摘が出ていた。さらに現行制度のまま成人年齢を18歳に引き下げた場合、女性だけ成人年齢と婚姻適齢が一致せず、親の同意が必要なケースが残ることになる。こうした観点から、今回の民法改正と同時に婚姻適齢を18歳に統一するのが適当と判断した。法案成立後、3年程度の周知期間を設ける方針。厚生労働省の人口動態調査によると、2015年に婚姻届を提出した女性約63万人のうち、16、17歳は1357人だった。婚姻適齢を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が1996年に「男女とも18歳」とする民法改正案の要綱を答申したが、法改正に至っていない。法制審は、成人年齢の引き下げを議論した際の最終報告書でも同じ意見を表明している。国連の女性差別撤廃委員会は、日本の現行民法の婚姻適齢規定を「差別的」と批判している。


<働き方改革について>
PS(2017年2月6日追加):働き方改革は、*4-1のように、残業時間の上限を「繁忙期100時間」「2カ月平均月80時間」「年間720時間」に抑えるように労働基準法を改正し、違反には罰則を科す方向となり、これに対し野党は反対しているが、私はこの程度でよいと思う。何故なら、民進党の大串さんもよく御存じのように、税理士の例では、個人所得税申告書の提出期限は3月15日に集中しており、繁忙期に合わせて従業員を増やせば閑散期に養いきれずに倒産することになり、このように季節変動のある職種は多いからである。そのため、電通の女性新入社員の自殺という特殊な事件を背景に、低い上限規制を導入して狭い範囲の“ワーク・ライフ・バランス”を国民に押し付けるのは、研究や仕事が趣味という人もおり、そのくらいでないと何かを成し遂げることはできないことも考えれば、事業主だけでなく、働く人をもHappyにしないだろう。なお、勤務の終了から始業までに10~11時間くらいを保障する「勤務間インターバル規制」はよいと思うが、インターバルとして必要な時間や子育てへの利便性は通勤時間によっても異なるため、往復2~4時間もの通勤時間を使わせるような職場と住居の配置は変えるべきである。
 また、*4-2に、「先生の多忙が問題になっており、学校を働き方改革の例外にしてはならない」「日本の先生の勤務時間は参加34カ国、地域の中で最長」「精神疾患で病休をとる先生の数は、年間5千人台で高止まりしている」と書かれている。そして、忙しさの原因は、①書類作りや部活動 ②給食費の集金 ③保護者への対応など切りがない としているが、教育は学校に任せられる必要があるため、先生の仕事を吟味し、他の人が行っても支障がなかったり、よりよくできたりする仕事は他の人に任せ、先生しかできない教育をより充実して行うべきだと考える。例えば、部活動の指導はメダリストなどの専門家が行った方がよい指導ができる上、選手を引退した後の生活も保証される。また、給食費の集金は自動引き落としにすれば正確かつ確実であり、書類は最小限にして新人の先生を副担任として採点や教育に関する雑用をさせるなど、学校が組織として最小費用で最大効果を出すための改善も可能だ。
 その上で、*4-3のようないじめに対しては、「忙しかったから対応しなかった」「担任教諭も名前に『菌』をつけて呼んだ」「担任は親しみを込めたと言っている」など、先生として正しい説明や教育をしていないようなあるまじきケースは、決して起こしてはならないのである。

*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12776816.html
(朝日新聞 2017年2月2日) 残業上限、線引きどこに 長時間労働是正、政府議論が本格化
 安倍政権が旗を振る働き方改革の最重要テーマ「長時間労働の是正」をめぐる政府の議論が1日、本格的に始まった。事実上、青天井に設定できる残業時間に「月平均60時間」といった上限を設ける方向で議論は進みそうだが、早くも「これでは不十分」との異論が野党などから出ている。
■繁忙期「100時間」原案 野党反発
 政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)はこの日、残業の上限規制をめぐる議論に着手。メンバーが意見を交わした。「時期的な繁閑の差があるなど、どうしても残業が必要な場合もある」(榊原定征〈さだゆき〉・経団連会長)、「残業の上限が『月100時間』など到底ありえない」(神津里季生〈りきお〉・連合会長)。労使の代表らによる応酬の後、安倍首相は「長時間労働の是正については、罰則つきで限度が何時間かを具体的に定めた法改正が不可欠。次回はより具体的に議論したい」と述べた。規制強化には経済界の反発が予想されたが、女性新入社員が過労自殺した事件で、広告大手の電通が昨年末、労働基準法違反の疑いで書類送検され、社長が引責辞任。これが「追い風」(厚生労働省幹部)になり、上限規制の導入に向けた動きが水面下で加速した。この日の会議では示されなかったが、政府は残業時間の上限の数字を明記した原案を昨年秋にまとめ、労使双方への根回しを進めてきた。原案は、労基法36条に基づいて労使協定(36〈サブロク〉協定)を結ぶことを前提に、上限を「月45時間(年間360時間)」に設定。特に忙しい時期は「月100時間」「2カ月の平均が月80時間」を上限にすることを認める一方、年間を通じて「月平均60時間(年間720時間)」に抑えるよう求め、違反には罰則を科す――という内容だ。経済界は繁忙期などに対応できるように「例外」の設定を強く主張している。政府が落としどころとして持ち出した数字が、厚労省による過労死の労災認定基準として用いられる「月100時間超」「月80時間超」。厚労省が2013年に約1万1千事業所を対象に実施した調査によると、36協定で定める上限時間が「月80時間超」の事業所は4・8%。大企業に限ると14・6%。実際の残業時間より上限を高めに設定するケースも多く、政府関係者は「この上限で困る企業はほとんどない」とみている。しかし、原案の内容が先週末に報じられると、野党側は「規制が不十分だ」と猛反発。1日の衆院予算委員会でも、「過労死ラインと同じようなものを上限としても、ほとんど規制していないに等しい」(民進党の大串博志氏)などと安倍首相らを追及した。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12778736.html
(朝日新聞社説 2017年2月3日) 先生の多忙 学校にも働き方改革を
 働き方を改革するなら、学校を例外扱いしてはならない。先生の多忙が問題になっている。国際調査では、日本の先生の勤務時間は参加34カ国・地域の中で最長だった。精神疾患で病休をとる先生の数は、年間5千人台で高止まりしている。松野文部科学相は、業務改善のモデル地域の指定、有識者ら業務改善アドバイザーの教育委員会への派遣、部活動の休養日などに関するガイドラインづくりという三つの対策を掲げた。忙しさの原因は多様だ。書類作りや部活動、給食費の集金、保護者への対応など切りがない。個々の業務を軽くするよう工夫し、先生が担うべき仕事を吟味することは不可欠だ。ただ、連合のシンクタンク「連合総研」が全国の公立小中学校の教諭に調査し、労働時間と学校の取り組みを分析したところ、行事の精選やノー残業・部活動デーといった試みが必ずしも労働時間の短縮につながっていなかった。「新たに生まれた時間を他の仕事に充てるからでは」と連合総研は見る。時間の余裕があればもっと授業の準備をしたい。子どもの作文にコメントを書きたい。そんな先生たちの気持ちは貴重だ。しかし、疲れを抱えたまま子どもの前に立っても、よい授業や丁寧な言葉かけはできまい。先生の長時間労働を改めるには、校長らが先生の勤務時間を管理することが出発点になる。ところが同じ調査だと、自校の管理職が「出退勤時刻を把握していない」「しているかどうかわからない」と答えた教諭の合計は小中とも半数近くに上る。都道府県の条例で決められた所定勤務時間数を「知らない」と回答した教諭も6割近い。研究者が「学校は労働時間の無法地帯」と言うのも無理はない。学校が時間管理に熱心でないことの背景にあるのが、「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)だ。先生の仕事は複雑で管理が難しいとして残業代を払わず、代わりに基本給の4%を全員に支給する仕組みになっている。1971年に成立した。誰にも一律の額を出すため、管理職は勤務時間を把握する義務があるのに、時間管理の必要に迫られない。文科省の勤務実態調査では、法が成立した頃と比べ、残業時間は5倍に増えている。法の見直しの議論を始めるべき時ではないか。もっと先生の数を増やしてほしいとの現場からの訴えにも耳を傾けるべきだ。先生にも労働者としての権利があることを忘れてはならない。

*4-3:http://mainichi.jp/articles/20161203/k00/00m/040/119000c
(毎日新聞 2016年12月2日) 新潟原発避難いじめ 市教委が謝罪 担任「親しみ込めた」
 新潟市教育委員会は2日、福島県から自主避難してきた同市立小4年の男子児童が、同級生や40代男性の担任教諭から名前に「菌」をつけて呼ばれるなどのいじめを受け、1週間以上学校を休んでいると発表した。男児は先月、担任に相談していたが、直後に担任からも「菌」づけで呼ばれ、強いショックを受けたという。教委の高島徹教育次長は記者会見で「他の児童も同様に『キン』をつけて呼ばれており、原発事故と直接結びついていないが、いじめと捉えている。担任の言動は児童の心を傷付ける不適切なもので、児童と保護者に深くおわびする」と陳謝した。市教委によると、男児は東京電力福島第1原発事故を受けて家族と避難し、新入生として入学した。3年の時から仲間はずれにされたり、からかわれたりし、今年になっても持ち物を捨てられるなどのいじめがあったという。  男児は今年6月、「ばい菌扱いされている」と担任に相談。担任は、いじめた児童らを指導し、落ち着いたとみていたという。横浜市立中学で福島県から避難してきた生徒が「菌」をつけて呼ばれた問題が報道されるようになり、11月17日、児童は再びいじめについて担任に相談した。だが、同22日の昼休み、教室で担任から連絡帳を受け取る際、同級生の前で名前に「菌」をつけて呼ばれた。保護者に「もう学校に行けない。担任と会いたくない」と話したという。保護者の指摘を受け、同校は同29日、児童らに聞き取り調査。複数の児童が担任による「菌」づけ発言があったと話し、担任も認めた。市教委によると、このクラスでは映画などの登場人物にかけて名前の後に「キン」をつけて呼ぶことが流行していたといい、担任は「菌の意味ではなく親しみを込めた発言だった」と釈明。「児童に謝罪したい」と話しているという。2日の授業は別の教諭に担当させた。


PS(2017.2.7追加):東京オリンピックのゴルフ会場になっている「霞ヶ関カンツリー倶楽部」は、*5のように、正会員が男性に限定され、女性は日曜日にはプレーできないことになっているため、大会組織委員会事務総長が「できるだけ早く正会員に女性が入れるような細則にしていただきたい」と要望したが、今日の理事会でも対応が決まらず、霞ヶ関カンツリー倶楽部の木村理事長は「オリンピックは頼まれて受けただけで、こちらから『いらっしゃい』と言ったわけではないので、急にこんな事態になったのは迷惑で困惑している」とNHK・TVで言っていた。しかし、このような差別的な場所で行われるオリンピックは応援したくない人が多いため、会場を変えるか、適切な会場がなければオリンピックでのゴルフを中止するくらいの厳格な対応をした方が今後のためによいと思われる。

*5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170207-00010000-teletamav-l11
(Yahoo 2017.2.7) 霞ヶ関カンツリー倶楽部 理事会で対応を協議
 東京オリンピックのゴルフ会場で、川越市にある霞ヶ関カンツリー倶楽部が女性正会員を認めていない問題で倶楽部側は7日、都内で理事会を開き今後の対応を協議しました。霞ヶ関カンツリー倶楽部は現在、およそ1,200人の正会員が男性に限定され、平日は女性もプレーが可能ですが原則として日曜日はプレーできません。この問題を受け、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は2月2日、国際ゴルフ連盟などと連名で規則改正を求める文書をメールで提出したうえで「できるだけ早く正会員に女性が入れるような細則にしていただきたい」と述べ早期の対応を要望しました。要望を受け霞ヶ関カンツリー倶楽部は7日、都内で理事会を開き今後の対応について協議したということです。霞ヶ関カンツリー倶楽部の木村希一理事長は「これからどう対応しようかということを話しました。それだけです」と話しました。また、この問題を受けて上田知事は7日の定例会見で「正々堂々と女子の会員を認める。そうすることで立派なゴルフ場として判断される」と話しました。


PS(2017年2月11日追加):*6で、JA佐賀中央会金原副会長は、「①国内では多くの品目で生産戸数が減少し、それに伴って需要に追いつかない品目が出ている」「②『6次産業化』の販路を広げ、品目の幅を充実させたい」としている。このうち、①については、生産戸数が減少しても規模を拡大し、繁忙期には人を雇うようにすれば収入が増加し、繁忙期は地域や作物によって異なるため、農協や派遣労働会社が(外国人)労働者を雇って繁忙な場所に労働者を派遣するようにすれば、効果的な人の使い方ができる。また、②についても、日本では人件費がネックであるため、機械化や外国人労働者の使い方を工夫すれば、より安価に加工食品を作ることができ、輸出にも貢献できると考える。
 なお、「現在は、自民党を勝たせすぎて、主権者の意図しなかった変更が、よく吟味もせずに次々と行われている」というのには、私も同感だ。また、自由貿易協定(FTA)になればTPPより条件が厳しくなるという交渉力のなさも情けなく、他の先進国同様、食料自給率は重視すべきだ。

*6:http://qbiz.jp/article/101787/1/ (西日本新聞 2017年1月16日) 投資進め生産基盤強化 JA佐賀中央会 金原 寿秀副会長 トップに聞く新年展望
 近年、農業を取り巻く環境は転換期を迎えている。JA全中の組織見直しを柱にした改正農協法が昨年施行し、トランプ次期米大統領の出現で発効は絶望的とされるものの環太平洋連携協定(TPP)も国会で承認された。県内農業はどうなるのか。JA佐賀中央会の金原寿秀副会長に新年の展望を聞いた。
−農家の経営力強化が課題とされている。
 担い手や収益確保に向けて集落営農組織の法人化を進めている。昨年、JAグループ佐賀は法人化や新規就農を支援する「県域担い手サポートセンター」を開設した。生産者が加工から販売まで手掛ける「6次産業化」も販路を広げ、品目の幅を充実させたい。
−新規就農については。
 新年度から市町と協力し、武雄市などではキュウリを、佐賀市富士町ではホウレンソウを栽培する農家を育てる。国内では多くの品目で生産戸数が減少しているが、良質な作物は売れる。収益を見込める作物に特化して就農を促す。
−改正農協法をどう評価している。
 十分な議論がないうちに通ってしまった。改正法は将来的に信用、共済事業を分離することも視野に入れている。農協の営農指導は費用も手間がかかるが、これを賄うのは信用、共済事業の収益だ。専門的な書類作成も営農指導員が担っており、指導員を減らすのは難しい。
−JAグループ佐賀の政治団体、県農政協議会は次期衆院選にどう対応する。
 現在の農協改革は自民党を勝たせすぎたのが原因で対応を考えないといけない。政府の農業政策や通商政策を見据えたい。
−TPPをトランプ次期米国大統領は否定している。どう見通すか。
 日米の2国間交渉で、TPPよりも厳しい条件を突き付けられないか心配だ。韓国は米国との自由貿易協定(FTA)で食料自給率が大幅に低下した。
−新年の展望を。
 作物の安定供給のためには生産基盤の強化が必要だ。生産戸数の減少に伴い、需要に追いつかない品目が出ている。県域全体で投資を進め、基盤を強化する。産地力の向上のため、作付けや収穫などの在り方も見直しながら、需要が高い地域に販売できるようにしたい。

| 経済・雇用::2016.8~2017.12 | 10:01 PM | comments (x) | trackback (x) |

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