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2017,03,07, Tuesday
2015年の 2017.2.20佐賀新聞 戦後の出生率・出生数の推移 2010年都道府県別 ふるさと納税額 ふるさと納税の返礼品と使途 合計特殊出生率 (図の説明:2015年のふるさと納税における勝者は、新鮮で美味しい農水産物を返礼品にした地域が殆どで、返礼品に対する批判も出ている。しかし、返礼品による産業振興効果も大きく、使途も真面目で、税収が多ければ本来は税収でやるべきことも散見される。保育所や子育て支援制度の整備については、出生率で成果が表れるが、出生率は戦後ずっと低下し続け、2005年の1.26を最低に、その後は政策効果もあって少し上がっている。県別出生率は、いつも東京が最低だ) (1)ふるさと納税は、所得再分配を妨げる制度ではないこと *1-1のような「ふるさと納税は、返礼品より使途で競え」という論調が、最近、しばしば見られる。その根拠として「①返礼品ばかりが注目される」「②2千円の負担で欲しい商品やサービスが手に入るため、見返りがないか乏しい民間団体への寄付が不利になる」「③高所得者ほど限度額が膨らみ、多くの返礼品を得られるため、所得再分配を妨げる」「④本来の目的からはずれ、寄付のあり方や税制を歪める」などとして具体的な上限規制を求めているが、それでは国民の主体性を奪う護送船団方式になる。 実際には、ふるさと納税は、*1-2のように「使い道でチョイス」することもでき、その中身には「自然保護、NPO・各種団体の支援、農林漁業・水産業・商工業、医療・福祉」などの多くの使途が示されており、寄付時に選択することになっているため、①は事実ではない。また、使途を指定できることは納税者にとっては画期的なことであり、自分が住んでいる町に使途を指定してふるさと納税を行うこともできる。 また、*1-5のように、ふるさと納税の大手仲介サイトが、寄付額に比べて高額すぎる品や地域振興に繋がりにくい商品は掲載せず、寄付額の半分以上を自治体の手元に残すよう要請するそうで、これらは、本来はそれぞれの自治体が考えるべきことだが、変な返礼品競争は改善されることとなった。 さらに、②は、ふるさと納税で民間NPOなどへの支援が行われることもある上、ふるさと納税しない人は民間団体に寄付するというわけでもないので根拠にならず、(私が最初に提案してできた)ふるさと納税制度に対する誹謗中傷になっている。その上、③④については、ふるさと納税は、人口が集中している都市に集まる税収を、それらの人材を育てた地域に再配分する手段であるため、「所得分布=税収分布」という状況に対して、まさに税収の再分配を行う機能を果たしているのであり、税の仕組みを知らない人が高額所得者を目の敵にしさえすればよいと考えるのは稚拙な批判である。 (2)「東京の産物に勝ち目がない」というのは、単なる努力不足であること 東京は、*1-3のように、今でも保育園や学童保育の待機児童が多く、それは、戦後に社会進出した女性が出産適齢期にさしかかった50~60年前からずっと言い続けてきたが、20世紀の殆どの期間で「少数の変わった人たち(★)」として無視され続けてきたのである。そのため、東京は、日本全国から元気で優秀な若者を集めながら出生率が日本一低く、これは現内閣の責任というよりは、「子育てや介護は女性にしわ寄せさえすればよい」と考えてきたこれまでの日本の価値感に問題があったのである。 (★しかし、そもそも先進的なことをする人は最初は少数であり、一世代か二世代後に一般的になる ため、先進的な少数の人をピックアップできなければ先見の明ある政策はできない) また、東京などの大都市では、メディアが論点を正確に報道せず、サラリーマンが多くて自ら政治に働きかけることが少ないため、首長や議員を選ぶ際に地方よりも意識が低い場合が多く、主権者である有権者が政治や行政を適切にチェックしなかったのも問題なのだ。そして、少数の人がそれらの問題を指摘しても、大多数の有権者の行動に結びつかなかったもので、問題の未解決は政治のせいだけではない。 そのような状況であるため、東京こそ使途を指定してふるさと納税を募ればよく、東京は特産品も首都であるゆえの有利性が働いている上、小笠原諸島・八丈島などの離島や山間部もあるため、*1-4のように、「東京の産物は勝ち目がない」などとしているのは、実は本気で工夫していないだけである。 なお、行政も加わって地域の産物を発掘し世に出すことは、ふるさと納税のもう一つの有意義な役割となった。そのため、競争は重要で、工夫している地域を納税者が選んで納税(寄付)できるのは、ふるさと納税の長所だ。従って、メディアは、どんな使途や返礼品があるかを正確に報道することの方が重要で、規制で競争を制限して護送船団方式にすれば、これまでと同じ失敗を繰り返すことになる。 (3)ふるさと納税の活用 1)教育・子育てへの活用 一方、*2-1のように、ふるさと納税で2016年4月以降に集めた金は、「教育」「子育て支援」に充てられる例が多く、納税(寄付)した人に返礼品を贈ることで、地元特産品の販売が増えるなどの産業振興に効果があったとする回答も多数を占めたことが、共同通信の自治体アンケートで分かった。 ここでも返礼品競争の過熱として問題視されているが、何割を返礼品に充てるかを総務省が規制するよりも、それぞれの自治体が最適な割合を自主的に選択する方が、自治体毎に異なる政策の重点が現れてよいと私は考える。それを監督するのは、総務省ではなく、主権者たる有権者であるべきだ。 「ふるさと納税の勝ち組」は、*2-2のように、ふるさと納税額を見越して前年度に比べ予算を19.7%増の47億9,800万円にしたそうだ。ただ、工夫を重ねての勝ちと言っても、東京都や国のずさんな契約による誤差の範囲内であることを忘れてはならない。 2)エネルギー供給での活用 群馬県中之条町は、*2-3のように、ふるさと納税した人への返礼品リストに太陽光発電による家庭用電力を加え、町は、太陽光のほか水力やバイオマス発電にも力を入れており、「再生可能エネルギーによる町づくりにご支援を」とし、温泉旅館で使える感謝券も人気で、今年既に約7億4千万円の申し込みがあったそうだが、そこには時流に合った工夫が感じられる。 それならば、*2-4の大分県の地熱バイナリー発電所の電力も、ふるさと納税した人への返礼品リストに加えれば、環境意識の高い納税者から支持を得られると考える。 3)福祉への活用 佐賀市大和町川上校区のNPO法人は、*3-1のように、高齢者の交通事故や運転免許返納後の代替手段が課題となる中で、ガソリン代のみの負担で高齢者が利用できる会員制送迎サービスに取り組み、佐賀県の「ふるさと納税NPO支援枠」に登録して2016年度は640万円の寄付があったそうだが、地道で感心な取り組みだ。しかし、自動車は、近い将来、高齢者・外国人・持病を持つ人などが運転しても安全なものにすべきだ。また、運転の担い手は、適正な報酬を支払えば、プロの運転手だった人を雇用することも可能だろう。 (1995年頃に私が提案して)最初に介護制度を作った日本で、政府が高齢者の介護保険料負担を引き上げ、介護サービスを削減し続けている中、中国は、*3-2のように、介護サービスの産業としての発展を推進するそうで、私は、こちらの方が先見の明があると考える。 つまり、中国では、民政部(省)・国家発展改革委員会・公安部(省)・財政部(省)・国土資源部(省)、全国高齢者事業委員会弁公室など13部門が共同で、「介護サービス産業の放管服改革の加速的推進に関する通達」を発表し、行政のスリム化と権限委譲、監督管理能力の強化、サービス水準の向上を通じて、介護サービス産業の発展に関わる社会的パワーを喚起し、起業や業界参入への制度的コストを引き下げ、公平で規範化された発展環境を創出する方針を明らかにしたそうなのだ。 その通達では、居住地コミュニティの総合的サービス情報プラットフォームの構築を加速し、食事、衛生、外出、入浴、医療などでの訪問介助サービスを提供することを打ち出し、小規模の高齢者施設を設立して自宅近くで介護サービスを受けたい高齢者のニーズに対応することを奨励するそうで、自立してきた一人暮らしの高齢者が自立できなくなる時期を迎える中、これらは日本でも本当に必要なサービスであり、ふるさと納税の使途としても人気を集めると考えられる。 <負け組の泣きごと> *1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12816236.html (朝日新聞社説 2017年2月27日) ふるさと納税 返礼品より使途で競え 返礼品ばかりが注目されるようでは、本来の目的からはずれ、寄付のあり方や税制をゆがめるばかりだ。自治体がもっと使い道を競うように改めていくべきではないか。自治体に寄付すると、国への所得税や住まいがある自治体への住民税が軽くなる「ふるさと納税」の勢いが止まらない。寄付総額は2015年度に前年度から4倍の1600億円余に増えた後、16年度はさらに倍増の3千億円程度になりそうだ。安倍政権が地方創生の目玉として制度を拡充したこともあるが、最大の要因は自治体が寄付者に贈る返礼品である。高級牛肉をはじめとする特産品や、立地する工場で作られる家電や情報機器、さらには地元の店や施設で使える商品券まで、ネット上の関連サイトはさながら通販の様相だ。ふるさと納税では、所得に応じて決まる限度額までの寄付なら、寄付額から2千円を引いた金額が手元に戻る。つまり、2千円の負担で欲しい商品やサービスが手に入る。見返りがないか乏しい民間団体への寄付が不利になる。高所得者ほど限度額も膨らみ、多くの返礼品を得られるため、所得再分配を妨げる。そんな批判が強いのに改善が進まないのは、自治体に一定のメリットがあるからだろう。地元の産業が潤って雇用が守られ、知名度も上がる。寄付金を返礼品につぎ込んでもおつりが来る――。過疎化と財政難に苦しむ地域から漏れる本音は、わからなくはない。しかし、NPOや公益法人など民間団体への寄付や、急速に広がるネットを使った資金集めの「クラウドファンディング」を見ても、具体的な事業の目的や内容を示した上でお金を募るのが原則だ。地元の農林漁業や商工業を支えたいのなら、まずは行政としての取り組みを示すのが筋ではないか。ここ数年、過度な返礼の自粛を求めてきた総務省はこの春、改善策をまとめる。あまりに高額な商品や換金しやすい金券類の見直しや、寄付額に対する返礼品額の比率の制限を求めることが考えられるが、具体的な線引きをどうするか。ここは寄付の原則を思い起こすことだ。まずは使い道を示す。いくら集まり、どう使ったかの報告も怠らない。昨年の総務省の調査では、寄付額と活用状況をともに公開する自治体は全体の半数にとどまる。政策や事業への共感でお金が集まる、そんなふるさと納税を目指すべきだ。 *1-2:https://www.furusato-tax.jp/use_category.html ふるさとチョイス 「使い道でチョイス」を抜粋 ・自然保護等 ・高齢者 ・子供、青少年 ・伝統を守るなど ・NPO、各種団体支援 ・文化、教育、生涯学習 ・公共設備など ・祭事など ・農林漁業、水産業、商工業 ・医療・福祉 ・観光 ・スポーツ ・音楽 ・環境、景観 ・おまかせ ・国際交流 ・その他 ・震災復興 *1-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017022702000136.html (東京新聞社説 2017年2月27日) 保育園落ちた いつになれば解消する 四月の保育所入所をめぐり、今年も「保育園落ちた」の悲痛な声が相次ぐ。首相は新年度末までの「待機児童ゼロ」の目標達成は困難との見方を示した。対症療法でなく抜本的に政策転換すべきだ。積年の待機児童問題はいつになったら解消するのか。子どもが四月から認可保育所に入所できるのか、二月は自治体から可否通知が届く。「妊娠中から保活に走り回ったが入所できなかった」「入所先が見つからず退職」「会社の託児所に一歳児を預かってもらうことになったが、子連れで満員電車に揺られることになる」。国会内で開かれた集会では、認可保育所に入れなかった母親たちの怒りの声があふれた。「保育園落ちた」と窮状を訴える匿名ブログが話題を集めて一年たつが、問題はさらに深刻化している。厚生労働省によると、待機児童数は二〇一六年四月で約二万三千人で前年より増えた。背景には非正規雇用の増加で世帯収入が減り、幼い子を持つ母親の就業率が高まったことなどがある。国や自治体は保育施設を新設するなどして定員を増やすものの、入所希望者がそれを上回る勢いで増えるために追いつかない。国はどう責任を持つのか。一三年に発表した「待機児童解消加速化プラン」は、五年間に保育の受け皿を五十万人分整備し、待機児童をゼロにする計画だった。だが目標達成について安倍晋三首相は「厳しい」と国会で答弁。この間の対策には応急策が目立った。保育士配置や施設面で基準を緩和し、狭いスペースに子どもを詰め込もうとする。二歳児までの小規模保育所を増やしたが、それも三歳になれば行き場を失い、また保活を迫られる。企業主導型保育所も保育士の配置基準が緩く、親たちの心配は尽きない。もっと政策の優先度を上げて予算を投じ、国の基準を満たした保育所を増やす。保育士の給与引き上げも一部でなく全体の処遇改善につながる政策が必要だ。国はいまだに正確な待機児童数を把握していない。自治体によっては認可保育所に入れずに育休を延長したり、認可外施設などに入った場合は待機児童に数えていない。こうした「隠れ待機児童」を含めて九万人規模とも。都会の問題だとみられてきた待機児童は地方にも広がっている。子どもの数は減っても保育の需要はこの先も増える。今こそこうした社会構造の変化に向き合った抜本的な政策転換を図るべきだ。 *1-4:http://mainichi.jp/articles/20170218/dde/001/010/058000c (毎日新聞 2017年2月18日) ふるさと納税 .魅惑の返礼品、過熱 23区、208億円減収 17年度予想 「東京産物、勝ち目ない」 高級肉などの「返礼品競争」が問題となっている「ふるさと納税」の影響で、東京23区が2017年度、少なくとも208億円の税収減を見込んでいることが各区への取材で分かった。16年度の129億円から1・6倍になる見通し。地方の自治体が特産品を用意して寄付を呼び込み合う中、目を引く産物に乏しい23区は、止まらない税流出に頭を抱えている。税収減の見込みは、多い区で▽世田谷区30億円=16年度比1・8倍▽港区23億4100万円=同1・5倍▽渋谷区14億6000万円=同2倍--など。ほぼ全ての区が、16年度より多くなると予測している。ふるさと納税は、出身地など応援したい自治体に寄付すると、居住地の税が軽減される仕組み。都市部と地方の税収格差を埋める目的で08年度に導入された。手続きの簡略化や軽減の上限額の引き上げによって15年中に利用者が急増、16年度の23区への影響は前年度の5・4倍に跳ね上がった。高市早苗総務相は「競争過熱や、制度の趣旨に沿わない返礼品は問題」として、対策に乗り出す考えを示している。各区は減収拡大に危機感を募らせる。世田谷区の保坂展人区長は2日の記者会見で「学校一つ分の減収だ」と述べ、不快感をあらわにした。30億円の税収減は学校1校の改修費に相当するという。一番人気の伊賀牛。中でもすき焼き用が最も多く選ばれた 杉並区の田中良区長は、仲介サイトで人気上位の返礼品を高級肉が占めていることに「税制度が『肉食欲』にじゅうりんされている。古里を応援しようという思いで税金の一部を納めるはずなのに、モラルハザードだ」と恨み節を述べた。地元で返礼品を探す区担当者は「地方と比べられたら勝ち目がない」とため息を漏らす。中野区は昨年10月から、交流のある青森県や北海道の特産品を返礼品にして寄付を募っている。これまでに約4500万円の寄付を受けたが、来年度の減収見込みは7億円を超え、遠く及ばない。しかも、寄付の半分は返礼品や送料などの経費で消えてしまうという。杉並区も17年度から、仲介サイトを利用して寄付を募る方針だ。ただ、直接的な返礼品は用意せず、被災地支援や福祉の充実に活用する方法を検討している。 *1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/410350 (佐賀新聞 2017年3月1日) 高額返礼品は掲載せず ふるさと納税で大手仲介サイト、基準見直しへ ふるさと納税の寄付金集めを巡る自治体間の競争過熱を受けて、インターネットで寄付を仲介する大手ポータルサイト「ふるさとチョイス」の運営会社トラストバンク(東京)が、4月から返礼品の掲載基準を見直すことが28日、分かった。寄付額に比べ高額な品や、地域振興につながりにくい大企業の商品などを掲載しない方針だ。総務省は商品券などお金に換えやすい返礼品を問題視し、春に是正策をまとめる。他のポータル運営会社にも影響する可能性がある。トラストバンクは自治体に対し、返礼品の高額化などで「制度の存続が危うくなるかもしれない」と説明。新基準として、寄付額の半分以上を自治体の手元に残すよう要請し、中小企業を支援するため、資本金5億円以上の企業の商品は掲載しない考えを示した。さらに自転車やゴルフクラブ、貴金属もやめる方向だ。各自治体とは2月から協議しており、合意に至らなければ「契約を解除し、仲介をやめることもあり得る」としている。昨年7月には転売しやすい家電製品の掲載を中止した。一方、ソフトバンクグループの「さとふる」(東京)は「制度の趣旨に沿う返礼品であるか確認して掲載している」と説明。品目などで一律に線引きはしておらず、地元にある工場で製造した大手メーカーのビールや家電製品なども掲載することがある。「わが街ふるさと納税」を運営するサイネックス(大阪市)は、家電や商品券を贈らないよう求めた総務省の方針を説明するが、最終的には自治体側の判断を尊重するとしている。 ■ふるさと納税の返礼品競争 ふるさと納税の返礼品競争 ふるさと納税で多くの寄付を集めるため、多くの自治体が返礼品の豪華さを競っている。返礼品の購入費が膨らむ分、自治体が独自の事業に使えるお金が減少、返礼品目当ての寄付は、地域を応援する制度の趣旨にそぐわないとの声もある。総務省は昨年4月、お金に換えやすい商品券や家電を贈らないよう自治体に要請したが、競争の過熱に歯止めがかからないため、新たな是正策を検討している。 <ふるさと納税のエネルギーへの活用> *2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/407274 (佐賀新聞 2017年2月20日) ふるさと納税の収入 教育、子育てに活用、返礼品、産業振興に効果 ふるさと納税で2016年4月以降に集めたお金は、小学校の教員配置といった「教育」や、保育料免除などの「子育て支援」に充てる例が多いことが19日、共同通信の自治体アンケートで分かった。寄付した人に返礼品を贈ることで、特産品の販売が増えるなど産業振興に効果があるとする回答も多数を占めた。ただ、多くの寄付金を集めるための返礼品競争が過熱しており、自治体側には一定のルールを望む声が強い。お金に換えやすい商品券などを返礼品にするケースもあり、高市早苗総務相は是正策の検討を急ぐ考えだ。全国の自治体に寄付金の主な使い道を一つ聞いたところ、トップの「教育」が12%(202自治体)、次いで「子育て支援」11%(192)だった。茨城県美浦村は、きめ細かい指導のため小学校に非常勤講師を多く配置。長崎県雲仙市は第2子以降の保育料免除に活用する。「地域・産業振興」「まちづくり・市民活動」はいずれも6%(それぞれ105と102)。北海道池田町は寒冷地用ブドウの研究開発、宮崎県三股町は市民マラソン開催に充てる。このほか北海道栗山町の救急医療態勢の確保といった「健康・医療・福祉」が5%(90)、京都府宇治市のスタンプラリー開催など「観光・交流」は4%(66)だった。多くの自治体は、ふるさと納税をする人がお金の使い道を選べるようにしている。従来の税収、地方交付税や補助金だけではできない新たな施策や事業も実現できるため、地域の取り組みをより身近に感じてもらおうとする狙いがある。一方、返礼品による産業振興は、54%の自治体が「効果があった」と答えた。具体的には「衰退しかけていた伝統の八幡靴が復活の兆し」(滋賀県近江八幡市)などの例があり、地元生産者の販路拡大や新商品開発につながっているという。寄付総額に占める返礼品代は15年度の37%から16年度は43%へ膨らむ見通し。その分、独自政策に充てる額は減る。ただ返礼品自体が地元の活性化に役立つ面もあるため、これが競争過熱の一因となっているようだ。調査は16年11月~17年1月に全国1788自治体(都道府県、市町村、東京23区)を対象に実施し、96・2%の1720自治体が回答した。 *2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/411091 (佐賀新聞 2017年3月4日) 江北町、48億円弱に ふるさと納税見越し19%増 杵島郡江北町は3日、2017年度の一般会計当初予算案を発表した。昨年9月からオンライン決済を導入し返礼品も充実させて好調なふるさと納税の伸びを見越し、骨格予算だった前年度に比べ19・7%増の47億9800万円となった。7日開会予定の定例町議会に提案する。ふるさと納税推進事業費は3億6573万円。ポータルサイト委託料のほか、受け付けが集中する11~1月に臨時職員を雇う。町社会福祉協議会に開設する小規模保育所の運営委託事業は2000万6千円、小学校の教材用のデスクトップパソコンをタブレット端末に更新するリース料に331万3千円など。歳入は町税が9億4288万円(前年度比5・9%増)、町債は1億7750万円(9・8%減)。前年度1万3千円としていた寄付金は5億1014万円と大幅増を見込む。自主財源比率も41・2%(12・5ポイント増)と伸び、町債依存度は3・7%(9ポイント減)。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASK2M3VD1K2MUHNB001.html (朝日新聞 2017年2月20日) ふるさと納税、返礼に太陽光家庭用電力 群馬・中之条町 群馬県中之条町は3月から、ふるさと納税(寄付)をした人への返礼品リストに家庭用電力を加える。町内にある大規模太陽光発電施設(メガソーラー)で発電し、送配電事業者を介して届ける。昨年4月の電力小売り全面自由化で可能になった。同町は県北西部の山間地にあり、四万(しま)、沢渡(さわたり)などの温泉地で知られる。寄付の返礼に贈っている感謝券が温泉旅館などで使えることから人気で、今年度は約8600件、約7億4千万円(1月末現在)の申し込みがあった。今春から、一口15万円以上の寄付をした人は家庭で使う電力を選択できるようになる。町内には町営と民間の計3カ所のメガソーラーがあり、年間発電量は計約650万キロワット時。町主導で設立した電力小売会社「中之条パワー」が全量を買い取り、市場調達分と合わせて町内の公共施設や一部家庭に供給している。返礼用は余剰分から振り向ける。関東など東京電力管内の家庭が対象で、当面は50戸限定で始める。希望者は、中之条パワーと電気の購入契約を結ぶ必要がある。一口15万円の寄付で、平均的な家庭の約半年分に当たる約2500キロワット時が届けられる。返礼用は使用量管理などを外部委託する分、「東電並み」の通常向け料金より割高になる。基本料金は本人持ちで、受け付けは3月1日から。町は、太陽光のほか水力やバイオマス発電にも力を入れており、「再生可能エネルギーによる町づくりにご支援を」。問い合わせは町企画政策課(0279・75・8802)へ。 *2-4:http://qbiz.jp/article/104722/1/ (西日本新聞 2017年3月2日) 余った熱水を使った全国初の地熱発電所が運転開始 大分県九重町に出光興産が建設した地熱バイナリー発電所「滝上バイナリー発電所」(出力5050キロワット)が1日、商業運転を始めた。低温の熱水で発電するバイナリー方式として日本最大級。グループ会社や九州電力に売電する。発電所は、子会社の出光大分地熱が運営する滝上事業所の敷地内に建設。同事業所は、九電滝上発電所に地熱発電用の高温の蒸気を供給している。同発電所で使わずに地下に戻していた130度の熱水を利用するため、出光が新たに発電所を建設した。既設の地熱発電所に併設し、未利用の熱水を使う地熱バイナリー発電所の稼働は国内で初めてという。出光大分地熱の竹中照雄社長は記者会見で「エネルギーを効率的に利用でき、地熱発電の拡大にもつながる」と語った。 <ふるさと納税の福祉への活用> *3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/409473 (佐賀新聞 2017年2月27日) 住民発の高齢者送迎、軌道に 免許返納代替で、大和町川上のNPO 高齢者による交通事故や運転免許返納後の代替手段が課題となる中、佐賀市大和町川上校区のNPO法人「かわかみ・絆の会」(松崎逸夫理事長)がガソリン代の負担で高齢者が利用できる会員制送迎サービスに取り組み、2015年10月の開始から1年5カ月で利用者が5倍超に増えている。懸案だった資金繰りはふるさと納税を利用するアイデアで解決の糸口を見いだし、地域住民による「生活の足」確保策は軌道に乗り始めた。利用できるのは65歳以上の川上校区住民。入会費2000円と年会費1000円で会員になる。1キロ当たり15円のガソリンチケットを購入し、移動した距離に応じてチケットを支払う。利用できるのは月・水・金・土曜の午前8時半から午後4時まで。利用者が前日までに予約する。病院や買い物など目的地は問わない。 ▽利用5倍超 サービスに取り組む絆の会は、地区内の民生委員全13人と地元自治会長で運営する。松崎理事長(74)は民生委員で、高齢でマイカーを手放すことと、移動手段を失うことの板挟みに悩むお年寄りと接してきた経験から会を設立した。佐賀市によると、川上校区の住民は5735人(1月末現在)で、65歳以上の高齢者が3割を占める。地区内では10年ほど前にコミュニティバスが試験運行されたが、事前アンケートに反して利用が少なく廃止になった経緯がある。「生活の足」の確保は地区の高齢者にとって切実な問題となっていた。当初15人だった利用者は現在、78~93歳の83人に増えた。体制も普通乗用車1台から、譲り受けた軽乗用車を加えた2台体制に強化した。月140~150件の利用がある。運営には、保険や自動車整備など年間150万円ほどかかる。賛助会員を含めた会費や自治会からの助成を運営費に充てていたが、行政の補助金は受けていない。ただ、賛助会費は設立時ほど集まらなくなり、運営を安定させるため、県のふるさと納税NPO支援枠に登録した。2016年度は640万円の寄付があった。返礼品の経費を差し引きし、「なんとか本年度分の運営費を賄えた」(松崎理事長)。 ▽課題は担い手 病院や買い物などで月に2、3回利用するという中島ケサエさん(84)は、10年ほど前に車の運転をやめた。「バス停までも行けないので、とても助かっている。パーマをかけるために美容室にも行けるんですよ」と語り、運転しない生活を以前ほど不自由と感じなくなった。NPOを運営するメンバーも64~74歳。松崎理事長は「この地区は公共交通の空白区。必要なサービスを続けるため、ふるさと納税してもらえるのはありがたい」と善意に感謝しながら、「運営側も高齢というのが現実で、自分たちもいずれサービスを利用する側に回ります」と憂える。資金繰りの次は担い手をどうするか。新たな課題も感じている。 *3-2:http://qbiz.jp/article/104854/1/ (西日本新聞 2017年3月3日) 中国は「放管服改革」加速、介護サービス産業発展を推進 2016年10月8日、中国の伝統的祝休日「重陽節」を翌日に控えて、山東省青島市の介護サービスセンターで、駐屯軍の兵士が高齢者と一緒に餃子を作ったり、京劇を鑑賞したりした。民政部(省)、国家発展改革委員会、公安部(省)、財政部(省)、国土資源部(省)、全国高齢者事業委員会弁公室など13部門がこのほど共同で、「介護サービス産業の放管服改革の加速的推進に関する通達」を発表し、行政のスリム化と権限委譲、監督管理能力の強化、サービス水準の向上を通じて、介護サービス産業の発展に関わる社会的パワーの積極性をさらにかき立て、起業や業界参入にあたっての制度的コストを引き下げ、公平で規範化された発展環境を創出するとの方針を明らかにした。中国はすでに高齢化社会に足を踏み入れており、介護サービスへの需要は非常に大きい。2015年には60歳以上の人が2億2千万人に達し、総人口の16.1%を占めた。介護サービスの質は2億人を超える高齢者に関わる問題であり、特に4千万人を超える障害をもった高齢者の老後の幸福に直結する。だが日々増大する介護サービスのニーズとは裏腹に、中国の介護サービスは供給量も質も大幅に不足している。都市部と農村部で公共施設に大きな開きがあり、高齢者向け商品の製造・供給の遅れという問題も幅広く存在する。介護サービス産業は億単位の人々の福祉に関わる民生事業であり、また巨大な発展の潜在力を秘めた成長産業でもある。国務院が昨年末に下達した「介護サービス市場を全面開放して介護サービスの質を高めることに関する若干の意見」では、介護では居住地のコミュニティのサービスに力を入れ、農村に力を入れ、障害をもった高齢者に力を入れることや、ケア型サービス資源をさらに拡充し、小規模の、チェーン化された、専門的なサービス機関の育成発展に力を入れることが提起された。今ある介護サービスの弱点を見据えて、「意見」は、居住地のコミュニティの介護サービスについては、コミュニティレベルの総合的サービス情報プラットフォームの構築を加速し、食事、衛生、外出、入浴、医療などでの訪問介助サービスを提供することを打ち出す。また小規模のコミュニティレベルの高齢者施設を設立して、自宅近くで介護サービスを受けたいという高齢者のニーズに対応することを奨励する。 PS(2017.3.9追加):自然再生可能エネルギーを使って電力や水素燃料を作れば、*4-1のEVや*4-2の燃料電池列車や*4-3のゼロ・エミッション住宅など、自然再生可能エネルギーだけで生活するするツールが既に人々に与えられている。また、自然は請求書をよこさないため、安価に環境を汚さない生活をすることができ、地域で作った付加価値の多くを燃料費として海外に支払わなくて済む街づくりとビジネスモデルができる。そのため、国や地方自治体は、新築住宅にパッシブハウスであることを義務付けたり、環境規制を強めたり、補助したりして応援するのがよいと考える。 それにもかかわらず、*5-1のように、九州電力はゴールデンウィークに太陽光発電の稼働を止める出力抑制する可能性があるそうで、その理由を、*5-2のように「①太陽光発電は日中しか動かないため設備利用率が低く、天候で出力が大きく変わる」「②大量に普及すると、日中の大きな出力変動で需給バランスが一気に崩れ、最悪の場合は広域大停電が起こるリスクがある」などと説明している。 しかし、①②は蓄電池で対応することができ、電力をあまり使わない夜も大量に発電し続ける原発よりは太陽光発電の方がずっと需要と供給が近く、*5-2の「③太陽光発電は初期投資費用が高い」というのも、原発の初期投資や事後処理費用に比べればかわいすぎるくらいの金額である。 そのため、九州で既に出力682万キロワット(大型原発約7基分)の太陽光発電による電力が接続され原発再稼働の理由がなくなった現在、九電などが太陽光発電の出力抑制を指示する本当の理由は、i)原発を再稼働させたいこと ii)再生可能エネルギー電力の供給に原発・火力などの発電設備を持っている大手電力会社の送電線を利用していること iii)再生可能エネルギー電力をその大手電力会社に買い取らせていること などの政治的なものである。 従って、地方自治体が「ふるさと納税の資金を使って上下水道の近くに電線を埋設し、自然再生可能エネルギーによる電力を返礼品にする」という案も、環境意識の高い住民に人気が出ると考える。 2017.3.9西日本新聞(*5-1、*5-2)より (図の説明:一番左のグラフのように、九州の太陽光発電は既に出力682万キロワット(大型原発約7基分)が接続されている。このような時代に、電力が余った時には、一番右の図のように、バイオマス・太陽光・風力発電を原発より先に止め、原発を「ベースロード電源《長期固定電源》」とするのは時代錯誤だ) <自然再生可能エネルギー、エコカー、ゼロ・エミッション住宅> *4-1:http://qbiz.jp/article/103491/1/ (西日本新聞 2017年2月11日) テスラ充電施設 九州で初の設置 福岡・須恵町 米国の電気自動車(EV)メーカー「テスラ」の日本法人が10日、福岡県須恵町に、テスラ車専用の急速充電施設を開設した。同様の施設は国内14カ所目で、九州では初めて。本州から九州にテスラ車でドライブする人などの利用を想定している。30分の充電で270キロ走行できるという。施設は、九州自動車道のインターチェンジ近くのホームセンター駐車場にあり、充電器6台を置く。24時間利用できる。また、ヒルトン福岡シーホーク(福岡市)の駐車場にも普通充電器4台を設置した。テスラの日本法人は「今後も専用充電施設のネットワークを拡大したい」としている。 *4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201610/CK2016100902000115.html (東京新聞 2016年10月9日) 【経済】エコな未来へ夢乗せて 世界初の燃料電池列車 トヨタ自動車が先駆けて市販した燃料電池車の「列車版」が来年末、世界で初めてドイツで営業運行を始める。屋根に積んだタンクに入る水素と、空気中の酸素を反応させて発生させた電気で走り、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを出さないエコ列車だ。電気を供給する架線がないローカル区間を走ってきたディーゼル車の代役として期待されており、ドイツ政府も開発と普及を後押ししている。 ■来年末から運行 六十カ国から約三千の鉄道関連会社が出展し、ベルリンで九月に開かれた国際鉄道技術見本市。来場者の話題をさらったのは、フランスの重電大手、アルストムの燃料電池列車「コラディア・アイリント」だった。開幕初日にはドイツのドブリント運輸相も駆けつけ、「ローカル線に架線を設置するのは不経済。燃料電池列車なら排ガスゼロでエネルギー効率が高く、コストパフォーマンスもいい」と絶賛した。燃料電池列車は水素満タン時の連続走行距離が六百~八百キロで、最高速度は時速百四十キロ。乗客定員は最大三百人だ。アルストムのプロダクトマネジャー、シュランク氏(53)は「ディーゼル車に比べ、遜色ない性能」と胸を張った。新列車はまずドイツ北部のニーダーザクセン州内で二台が導入され、二〇年までに十四台が配備される。車両は同州内にある工場で製造。ドイツ政府は開発費の一部の八百万ユーロ(九億円)を支援した。 ■水素燃料に発電 ドイツでは、線路の総延長距離約三万八千キロのうち46%が未電化。燃料電池列車の潜在的な需要は大きいとみられている。オーストリアから見本市に見学に来た鉄道電気設備会社員のツィマーさん(34)は「古い線路に電線を設置するのは技術的に困難で、コストも高い。その点、新列車は見事なアイデアだ」と語った。日本の鉄道車両製造会社の技術者の男性(27)も「車体に設置する水素の配管は自動車より長く、設計が難しい。安全性を確保しながら、二年で開発したのはすごいこと」と評価した。燃料電池車は水素を燃料とし発電時にCO2を排出しないが、普及には水素を供給する水素ステーションの建設が不可欠という課題がある。これに対し燃料電池列車は、列車の車両基地内で水素を貯蔵。車両に注入する設備や水素を配送するシステムは列車とセットで販売するため、燃料供給面の不安はないという。ただ、水素をつくる過程では温室効果ガスが排出され、「環境に負担がかかっている」との指摘もある。これについてアルストムのシュランク氏は「塩素を製造する際の水素を活用しており、列車を走らせるために新たな環境への負荷は発生していない」と説明。将来は、風力発電で得た電気を利用してつくる水素を燃料にすることも検討し「環境負荷ゼロ」に近づける考えも示した。 *4-3:http://www.newsdigest.de/newsde/regions/reporter/hannover/5560-966.html (2015 November 2013 田口理穂) 欧州最大のゼロ・エミッション住宅地 「パッシブハウス(Passive House)」という言葉をご存知ですか。これは、太陽光発電などを利用し、屋内の暖房や電気の使用量を極力抑えるよう造られた建物のことです。パッシブハウスの基準では、例えば160㎡の一軒家の暖房エネルギーは1年で1㎡当たり15キロワット時以下と定められています。ハノーファーはハイデルベルク、フランクフルトと並んで国内でもパッシブハウスを積極的に取り入れている町として知られ、昨年は国際パッシブハウス会議も開かれました。2006年頃からパッシブハウスの需要が増え、現在では新築住宅の3割はパッシブハウスだそうです。現在、市内南西部のヴェットベルゲン(Wettbergen)地区で、欧州最大のゼロ・エミッション(環境に負荷を掛けるCO2などの排出量をゼロにすること)住宅地「ゼロ・エー・パーク(Zero:E Park)」の建設が進められています。ここに建てられる住宅はパッシブハウスのみ。26万㎡の敷地に計330世帯の住宅が建てられる予定で、土地購入後2年以内に建設、3年以内に入居しなければなりません。すでに第1区画の59軒が完成し、入居が始まっています。先日公募があった第3区画は販売開始後、数時間で完売したそうです。昨年12月、この住宅地に国内初のパッシブハウス・スーパーマーケット「レーヴェ(REWE)」がオープンしました。見た目は普通のスーパーですが、屋内では主にLED電球を使用しているほか、冷蔵庫には3重ガラスを使用。外気がマイナス7度になるまで暖房は不要というエコな造りで、既存のスーパーよりもCO2の排出量を3割抑えられているのだとか。パッシブハウスには、環境に配慮した様々な工夫が施されています。例えば、太陽光を最大限に取り入れるため、全住宅の南側に大きな窓を設置。熱を逃がさないよう壁や天井には断熱材を用いて、窓はあまり開かず、熱交換ができる空気調整器で換気するようになっています。また、家の南側に掛かる影が最小限になるよう、隣の建物との間に十分な距離が取られています。雨水は下水道に流れるのではなく、ため池に集められます。建物と道との距離が近いところでは、道との間にスペースを設けて壁づたいに伸びるつる性の植物を植えるなど、緑化が義務付けられています。さらに、ソーラーパネルや太陽光温水器を屋根に載せている住宅も見られます。近年、エネルギー費用の高騰が著しく、暖房費を大幅に節約できるパッシブハウスの人気は右肩上がり。省エネを実践するパッシブハウスは、エネルギー政策の転換にも大きく寄与しています。 <九電の太陽光出力抑制指示> *5-1:http://qbiz.jp/article/105151/1/# (西日本新聞 2017年3月9日) 九電が太陽光の「出力抑制」を指示へ GWにも、離島外では全国初 九州電力が今春、太陽光発電の稼働を止める「出力抑制」を九州本土で指示する可能性があることが分かった。太陽光発電の急増を受け、天候が比較的良く電気の使用量が少ない春と秋に、需給バランスが崩れて広域的停電が起きないようにするのが狙い。ゴールデンウイーク(GW)中の出力抑制を想定し、対象となる発電事業者に対する事前説明の手続きをほぼ終了。出力抑制の順番を定めた国の「優先給電ルール」を運用する準備を整えた。経済産業省資源エネルギー庁などによると、固定価格買い取り制度(FIT)が始まった2012年7月以降、九電は15年5月に初めて、系統が孤立している鹿児島県の離島、種子島で出力抑制を実施した。本土で出力抑制されれば全国で初めてという。FITは11年3月の東京電力福島第1原発事故後、脱原発を打ち出した当時の民主党政権時代に始まった。建設が簡単で買い取り価格が高額な太陽光は、参入業者が予想以上に増加。日照量が多い九電管内では、太陽光接続容量817万キロワットに対し、接続は682万キロワットに達する。この容量は、各発電所に年間30日間の出力抑制を指示できる前提で設定している。西日本新聞の取材に対し、九電電力輸送本部の深川文博副部長は「早ければ年内に九州本土で出力制御しなければならない。特に今年のGWの可能性が高まっている」と述べた。GWは企業が休業することに加え、晴天なら太陽光の出力が増すため、供給が需要を大幅に上回りやすい。火力発電などの出力の調整だけでは需給バランスが保てなくなるため、太陽光の出力抑制を求めるという。出力抑制の対象は、事業者が運営する約3100発電所で、出力が小さい一般家庭は対象外。出力抑制の頻度などを公平にするため、交代制で各発電所に指示する。今年のGW期間中は、各発電所で最大2回の出力抑制を想定している。優先給電ルールに基づいた出力抑制を円滑に進めるため、九電は昨年7月に全国で初めて細かな運用指針を公表した。前日午後5時までに対象事業者に電話やメールなどで連絡。当日に日中の稼働を止めてもらうよう求める。ルールや運用方針への理解と協力を得るため、九電は昨年7月末までに、約2千事業者にダイレクトメールを送信。希望のあった約900事業者を個別に訪問した。3月中に残り30事業者を訪問する。深川副部長は「今まで再生エネルギーを積極的に受け入れてきたが、需要と供給のバランス調整には限界がある」と理解を求めている。 *5-2:http://qbiz.jp/article/105152/1/ (西日本新聞 2017年3月9日) 電力新時代、出力抑制の背景は太陽光の爆発的な普及 九州電力が今春、九州本土での太陽光発電の出力抑制に向けて準備を進める背景には、2011年3月の東京電力福島第1原発事故後に太陽光が爆発的に普及したことがある。今後も太陽光は増えると見られ、出力抑制が常態化することになりそうだ。電力会社に対し、国が決めた価格で再生可能エネルギーの買い取りを義務づける固定価格買い取り制度は、12年7月に始まった。初期投資費用が高い太陽光も、一般の事業者や家庭に拡大。日照時間が長い九州は、出力682万キロワット分が接続された。単純計算で大型原発約7基分に相当する。ただ太陽光の弱点は、日中しか動かないため設備利用率が低く、天候で出力が大きく変わることにある。大量に普及すると、日中の大きな出力の変動で需給バランスが一気に崩れ、最悪の場合は広域大停電が起こるリスクがある。もともと買い取り制度は、各発電所で30日間の出力抑制を前提としていた。その後、15年1月以降に接続を申し込んだ事業者には、無制限の出力抑制を指示できるようになった。太陽光は、投資目的に増えた側面も大きい。九電が昨年8月以降、出力抑制を説明するために個別に事業者を訪問した際、「制度を知らない」「仲介業者から聞いていない」と戸惑いの声が一部で上がった。九電の接続は、容量の817万キロワットに対し、残り135万キロワットと迫り、現在も月6万〜7万キロワットのペースで増える。接続容量に達したら「年間の90日間はどこかの太陽光発電所が止まっている状態になる」(九電)。承諾済み分を合わせると、いずれ1100万キロワットまでは接続される見込みで、出力抑制の日数は増加し続ける。国と電力会社には、出力抑制による混乱が起きないように、丁寧な説明が求められる。 ■優先給電ルール 電力供給が需要を上回る場合、稼働中の発電所を出力抑制する順番や条件を定めた指針。天候で発電出力が左右される太陽光発電をより多く受け入れるため、電力広域的運営推進機関が昨年4月に現在の内容とした。大手電力会社は火力の出力抑制から着手し、余剰電力を使って水力発電用のダムに水をくみ上げる揚水発電の運転、バイオマスの調整などでも供給の余剰が続く場合、太陽光や風力の出力を落とす対応を求められる。
| まちづくりと地域振興::2015.5~ | 10:48 AM | comments (x) | trackback (x) |
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