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2017.7.23 自民党・民進党都議選敗退、共産党都議選躍進の理由と加計学園問題・政策に関するメディアの報道について (2017年7月24、25、31日に追加あり)
   
   2017.7.17日経新聞    2017.5.18朝日新聞  2017.5.26  2017.5.31 
世界の政党が問われているのは何故か?          毎日新聞   朝日新聞 

(図の説明:アメリカ・イギリスでは過度の地域一体化が嫌われて、イギリス国民は国民投票でEU離脱を決め、アメリカ国民はトランプ氏を大統領に選出した。また、フランスでは、既成政党に属さないマクロン氏が大統領になった。この背景には、既成政党が主張してきた国民に不利益を強いるだけの日本発の“改革もどき”がある)

(1)加計学園獣医学部新設問題に関する事実と本質
1)獣医師は、不足ではなく偏在だということ
 加計学園について、日本農業新聞は、*1-1のように、「①加計学園誘致の“口実”になった獣医師は地域偏在であり、偏在の解消に向けた施策が必要なのである」「②獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことが喫緊の課題である」「③獣医師は全体で見れば、診療対象の動物が減る中で、毎年1000人近くが免許を取るため、農水省は獣医師不足ではないと判断していた」「④そこで文科省は、これまで獣医学部の新設を認めなかった」としており、これが事実であり、問題の本質だろう。

 このうち、①②は、獣医師が大都市に比べて地方で少なく、小動物に比べて産業動物に少ないため、その偏在を無くすには、③のように全体数を増やすのではなく、地方で産業動物を担当する獣医師になることの魅力(畜産の将来性、遣り甲斐、報酬、社会的評価、社会的地位など)を発信して産業動物を担当する獣医師希望者を増やすことが必要なのであって、学部のない地域に獣医師の専門職大学を新設すれば獣医師の偏在が解消できるわけではない。

 また、新設の大学を作っても、獣医学だけでなく、その基礎となる生物・化学・物理など他学科のよい教授も揃え、資質を持った学生を集めなければライフサイエンスを含む高度な新領域を創出できる優れた獣医師を育てることはできないため、新設の単科大学でそれを行うのは不可能に近い。にもかかわらず、一連の議論は、この最も言いにくい点を避けて通っているため、本質的な議論になっておらず、私自身は、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのならば、既に医学部、理学部、工学部を持つ愛媛大学農学部に獣医学科を作るのがよいと考える。

2)初めから加計学園ありきだったか
 野党側の参考人として出席した文科省の前川前事務次官は、*1-3のように、「初めから加計学園と決まっていた」と述べ、確かに、*1-2のように、政府が2016年11月、「広域的に獣医学部のない地域」を新設条件としたため、近隣の大阪府に獣医学部のある京都産業大は新設を断念した。

 また、*1-6のように、愛媛県今治市への獣医学部誘致をスタートさせた加戸前愛媛県知事は、「①私は、加計ありきではありません。獣医師の養成が進まない中、たまたま今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったから、この話が繋がって飛びついた」「②鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、強烈な岩盤規制のために、10年間我慢させられた」「③岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けてくれたというのが正しい」としており、愛媛県今治市に獣医学部を誘致したいため、それに関心を示した加計学園に絞ったというのが正しそうだ。

 しかし、私は、(1)1)に書いた理由で、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのなら、愛媛県松山市にある愛媛大学に農学部獣医学科を作り、今治市に実習農場を作るのが効果的な予算の使い方だと考える。又は、手狭になった愛媛大学の教養学部と文系学部を松山市に残して、理系学部は広い土地を使える今治市に移転し、最新の設備を整える方法もある。そのため、*1-5のように、前川氏が「既存の大学の定員を増やすという他の方法もあった」と言っておられるのは、むしろそうした方がよいだろう。

3)民主主義は、政策を議論して競うべきであること
 加計学園問題は、*1-4のように、安倍政権の支持率を下げるのが目的で報道されており、官邸が動いたか否かが焦点となって、官邸をかばった山本地方創生相の発言が真実だったか否かも問題視され、*1-7のように、メディアでは安倍政権打倒を目的とする論陣が張られている。しかし、これは、政策を議論して競うべき民主主義社会では三流の議論だ。

 私自身は、既に合理性のなくなった岩盤規制に穴をあけるのは良いと思うが、合理性のある規制まで壊し、他によい方法があるにもかかわらず、「岩盤規制」に穴をあけること自体を目的にして不合理な選択をし、国民の血税をつぎ込むのはやめて欲しいと考える。何故なら、日本は、予算と人材が余って困っているような国ではないからだ。

(2)既成政党への失望理由は何か
 東京都議選では、*2-1に書かれているように、安倍首相率いる自民党が歴史的惨敗を喫し、東京都議会は57議席から23議席に減った。しかし、*2-3のように、民進党も、今回の都議選で15議席から5議席に大幅に減らした。一方で、自民党の政策に一貫して反対してきた共産党は、*2-2のように、17議席から19議席に増やしたのだが、民進党の都議選総括会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いだそうだ。民進党は、自民党やメディアの論調に惑わされ、正確な原因分析ができていないのではないか?政党間で連合する場合にそれぞれの党の政策が完全に一致する必要はなく、自民党と公明党もかなり異なる。

 また、私は、自民党の惨敗を「一強のおごり、高ぶりが原因」と評するのは嫉妬に裏打ちされたような感情論で、主権者である国民を馬鹿にした議論だと考える。何故なら、自民党惨敗の本当の理由は、①公約違反のTPP推進 ②インフレ政策 ③消費税増税 ④社会保障の改悪 ⑤原発再稼働の推進 ⑥戦争に進みそうな安全保障法制定 ⑦人権侵害の特定秘密保護法制定 ⑧冤罪社会、監視社会、盗聴・盗撮社会に導く共謀罪の制定 ⑨国民主権をないがしろにする憲法改悪案など、国民の利益を無視した官製の政策強行に対する批判であり、国民はそれを正確に見ていると思うからだ。

 そして、官製政策の部分は、政権を担ったことのある民進党も賛成したものが多く、これを政権の責任とばかり言い立てるのは権限の範囲と責任を無視している。そして、(ここには書かないが)問題は、もっと深刻なものなのだ。

<加計学園問題>
*1-1:https://www.agrinews.co.jp/p41128.html (日本農業新聞論説 2017年6月15日) 獣医師の偏在 解消に向けた施策必要
 国家戦略特区で愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡ってさまざまな疑惑が浮上し、国会論議の焦点になっている。まず、誘致の“口実”になった獣医師の偏在の問題を整理する必要がある。偏在とは地域ごとの偏りであり、職域別による就業者数の差でもある。獣医学部がない地域に学部を新設する計画だが、学部の偏在と獣医師の偏在は問題が違う。獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことこそが喫緊の課題だ。獣医師は総体で見れば足りないとは言えない。高齢化社会の進展でペットの飼育頭数は犬を中心に減少に転じ、家畜の飼養頭数、飼養戸数も減っている。診療対象の動物が減る中、毎年1000人近くが新たに獣医師の免許を取る。獣医師不足の状況ではないとの農水省などの判断を踏まえ、文部科学省はこれまで獣医学部の新設を認めず、定員管理を厳格にしてきた。今回の論議で見えてきたのは、同じ政府内の農水省や文科省が決めたことであっても、特区を所管する内閣府には岩盤規制と映ったことだ。獣医師の偏在が解消できていなかった点に、獣医事行政に付け込まれる隙があったのではないか。獣医師は大都市に比べて地方に少なく、しかも小動物に比べ産業動物に就業する人は少ない。今回の計画は、学部のない地域に新設すれば、獣医師を地域に供給して偏在を解消できるという理屈が前面に押し出された。山本有二農相は6月上旬の参院農林水産委員会で、獣医師の需給について「農水省の所管ではない」と明言した。しかし、同省は獣医師の需給の調整に責任を果たしてきたはずだ。獣医療法では、農相は獣医療提供の体制整備のための基本方針を策定し、獣医師の確保に関する目標設定をすると定めている。さらに都道府県は国の基本方針に沿って獣医療を提供する体制の整備を図るための計画書をまとめることになっており、これまで国・都道府県を挙げて獣医師の需給を調整してきた。かつて獣医大学卒業生の半分はペット関係に進んだが、最近は産業動物分野も伸びている。同省は産業動物分野の獣医療提供体制を整備しようと、高校生や獣医学生に修学資金を貸与する制度を設け、産休などで現場を離れた女性獣医師の職場復帰を支援する取り組みなども進めている。ただ、まだ道半ばで結果が十分ではない。そこを内閣府に岩盤規制と見なされ、付け込まれたように見える。今回は獣医学部の設置権限を持つ文科省の施策に穴を開けたもので、直接、農水省の獣医事行政に向かってはいない。しかし、新設には優れた獣医師育成の視点が欠かせない。160人という国内最大定員の新獣医学部構想の妥当性、ライフサイエンスなど新領域の需要創出と人材育成、などの検証が必要だ。獣医学と獣医療の発展にどうつながるのか。獣医師偏在の問題と併せて論議するべきだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017070502000134.html (東京新聞201.7.7) 【政治】加計学園獣医学部新設 京都案と比較の記録なし
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める「加計(かけ)学園」(岡山市)による獣医学部構想を持つ愛媛県今治市での新設に政府が絞り込んだ際、競合する京都府の提案と比較した議事録などの記録を残していないことが四日分かった。東京都議選での自民党大敗を受け、首相は「国民の信頼を回復していきたい」と発言したが、政権は加計問題について依然として明確な説明ができていない。政府は昨年十一月、「広域的に」獣医学部のない地域を新設条件とする方針を決定。新設を提案しながら、近隣の大阪府に獣医学部がある京都府と京都産業大が断念した。「加計ありき」の条件だったのではないかとの批判を政府は否定し、「十一月以降に今治市と京都府の提案を比較し決定した」と説明。山本幸三地方創生担当相は四日の記者会見で、専任教員の確保、鳥インフルエンザなどの水際対策、自治体との連携の「三つの審査基準」で検討し、今治市に決めたと主張した。だが、山本氏は選定過程について「内部の打ち合わせだから記録は取っていない」と説明。「三つの審査基準」を誰が、どのような議論で決めたのか明らかにせず、基準の根拠も示さなかった。三日の民進党会合では、内閣府の担当者が同様の説明を繰り返し、議事録や資料などの記録も示さなかった。民進党議員は「本当に議論したのなら議事録や比較表があるはずだ」「正当性のあるルールが決まっていなければ、恣意(しい)的な選定だ」と追及。内閣府側は「事務方と大臣が相談して決めた」などと答えるにとどまった。

*1-3:http://qbiz.jp/article/113903/1/ (西日本新聞 2017年7月10日) 前川氏「初めから加計学園」 官邸関与を強調
 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、衆院文部科学、内閣両委員会の連合による閉会中審査が10日、開かれた。野党側の参考人として出席した文部科学省の前川喜平前事務次官は「特区担当は内閣府だが、背景に官邸の動きがあった。和泉洋人首相補佐官がさまざまな動きをしていた」と述べ、首相官邸の関与があったと強調した。獣医学部新設にも「(選定の)プロセスが不透明で不公正だと思っている。初めから加計学園と決まっていた」と主張した。前川氏は文科省の調査で確認されなかった文書「10/7萩生田副長官ご発言概要」が存在したと明かし、「担当課から説明を受けた際に受け取った文書に間違いない」と話した。文書には「四国には獣医学部がないので、その点では必要性に説明がつくのか」などと、加計学園の予定地・愛媛県今治市を前提としたような表現もある。萩生田光一官房副長官は昨年10月7日に文科省幹部と面会したのを認めたが、「発言した記憶はない」と答えた。新設計画についても「この件で能動的に関わった事実はない」と説明した。前川氏は獣医学部新設の4条件を示した2015年の「日本再興戦略」と、加計学園の計画の整合性についても批判。「(条件に)合致するか十分な議論がされていない。不公平で、国民から見えないところで決定された」と述べた。一方、山本幸三地方創生担当相は「(条件を満たすと)最終的に私が確認した」と強調した。与党側の参考人として招致された国家戦略特区ワーキンググループの委員原英史氏は、特区による獣医学部の新設が「加計ありき」で進められたとの批判について「全くの虚構」と話した。閉会中審査は、国会会期終了後に委員会を開催できる仕組み。午後も参院で実施するが、安倍晋三首相は欧州歴訪中のため出席しない。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701470R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 加計問題、食い違い 衆参両院で閉会中審査、前川氏「官邸は動いた」/地方創生相「指示あり得ぬ」 首相の関与は
 衆参両院は10日、学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設などを巡る閉会中審査を開いた。国家戦略特区の枠組みで加計学園のみ新設が認められた経緯に関し、参考人として初めて出席した前川喜平前文部科学次官と政府側の説明は大きく食い違った。官邸関与の有無や、獣医学部新設の妥当性に関し、真相は浮かび上がらなかった。加計学園の問題を巡っては、国家戦略特区の枠組みで1校に限り獣医学部の新設が認められた妥当性が問われている。野党は学園理事長の長年の友人である安倍晋三首相らの意向が影響した可能性を指摘している。前川氏は10日の閉会中審査で、規制改革の是非と事業者選定の2つの問題があると指摘。「穴を開けるかより、穴の開け方に不公平で不透明な部分がある」と語った。「初めから加計学園に決まるようプロセスを進めてきたようにみえる」とも語り「背景に官邸の動きがあったと思う」と結論付けた。一方で山本幸三地方創生相は「個別にどこでやるか首相が指示することはあり得ない」と、官邸の関与を否定した。与党の求めで参考人となった政府の国家戦略特区ワーキンググループの原英史委員は「従来の行政のゆがみを正した」と判断の正当性を強調。最初から加計学園ありきだったとの指摘は「全くの虚構」と否定した。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701570R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 地方創生相「岩盤規制の突破」/前川氏「他の方法あった」 新設は妥当か
 50年以上認めてこなかった獣医学部の新設を認めた妥当性も問われた。四国には獣医学部がなく、参院で参考人として出席した加戸守行前愛媛県知事は獣医学部の新設は地元の悲願だったと説明。「岩盤規制で我慢させられてきた。ゆがめられた行政が正されたというのが正しい」と訴えた。山本地方創生相は「岩盤規制の突破にはまず地域を限定してやるしかない」と述べ、規制改革の意義を強調した。一方で前川氏は「獣医師の定員を増やすなら、既存の大学の定員を増やすというやり方もある」と指摘。昨年9、10月に和泉洋人首相補佐官に呼ばれ、獣医学部の新設について「対応を早く進めるように」と督促されたと証言。「総理は自分の口からは言えないから言う」などと伝えられたとも語った。新設について、萩生田氏が「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた」などと発言したとする昨年10月21日付の文書は「在職中に見たことはないが、内容の信ぴょう性は高い」と述べた。萩生田氏は計画について、和泉氏から詳しい説明を受けたことはないとし、文書の内容も否定した。

*1-6:https://www.j-cast.com/2017/07/11302992.html?p=all (Jcast 2017/7/11) 加計問題、なぜか報道されない「当事者」前愛媛県知事の発言全容
 2017年7月10日に行われた学校法人「加計学園」をめぐる閉会中審査で、インターネット上の注目を集めたのは、一連の疑惑を告発した前川喜平・前文科次官の発言ではなく、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の約20分間にわたる訴えだった。 前川氏の「行政がゆがめられた」発言に対し、加戸氏は「岩盤規制に国家戦略特区が穴を開け、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい」と反論。さらには、今回の加計問題を報じるメディアへの批判も展開するなど、踏み込んだ発言の内容が賛否を広げている。
●「獣医師が確保できない」
 加戸氏は旧文部省OBで、愛媛県知事を1999年から2010年まで3期12年務めた。今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席した。自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、“「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、“「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います」と述べた。さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、“「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」
と声を震わせて訴えた。
●YouTubeが「すべてを語り尽くしている」
 このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、加戸氏は、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、“「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」と主張。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べた。さらに加戸氏は、加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らした。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、“「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」とも話していた。
●三原じゅん子氏「加戸氏も大事な事話してるのに、、、」
 こうした加戸氏の答弁は、主にインターネット上で大きな注目を集めており、その踏み込んだ訴えの内容に賛否の大きく分かれた意見が出ている。加戸氏の答弁を支持するユーザーからは、“「加戸さんの話は響くものがあった。地方は何か打って出なくてはいけないのに、野党も前川さんも規制で閉めだすことばかり」。「加戸元知事の切実な訴え聞くとこの問題の本質って既得権益を持つ獣医学会との戦いなんだな・・・・て思う」。といった意見が出る一方、今回の発言内容について、“「県議と加計の事務局長がお友達で話が進んだと公平でないことを自分で言ってんだ」。「今治市に獣医学部の大学を誘致したいという彼の熱い思いと今回の政策プロセスの不透明性の間には何の関係もない」。と否定的にみる意見もみられた。そのほか、前川氏をはじめとした計3人の参考人の答弁のうち、加戸氏の発言がメディアの報道で取り上げられるケースが少ないという指摘も目立った。実際、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで、“「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」。との不満を漏らしている。
●「安倍総理が好きか嫌いかだけで...」
 また、閉会中審査が行われた10日夜に放送された情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務めるタレントの市川紗椰さん(30)は、加戸氏の答弁について、“「私が印象的だったのは、加戸前愛媛県知事です。なんか、それがすべてだったのかなって気もした。経緯を丁寧に説明していて、辻褄が合うんですよね、議事録とかを見ると。なんか、いいのかなって、納得しちゃいました」。と好意的に捉えていた。また、同番組では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、加計学園をめぐる問題を報じるメディアへの「苦言」を漏らす場面も。モーリー氏は「(加計学園問題は)そもそも様々な観点があるし、メディアは、それを能動的に一番初めに取材できたと思う」とした上で、“「ただどうしても、野党による内閣への追及ということで、ショーアップに加担して尻馬に乗ってしまったように思います。だから下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります」と指摘。続けて、「(メディアは)本来の機能を果たしてこなかったんじゃないか、エンターテインメントと報道を混同してまったのではないか。そう自戒を込めて思います」とも話した。こうした発言を受け、市川さんは「この問題について話す人は、目の前にある材料というよりも、安倍総理が好きか嫌いかだけでポジションを取っているような...」との感想を漏らしていた。

*1-7:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19079410Q7A720C1EA1000/?dg=1 (日経新聞 2017/7/21) 安倍政権に疑惑次々 日報・加計…支持率低下に拍車
 内閣支持率の急落にあえぐ安倍政権に、2閣僚の疑惑が追い打ちをかけている。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を巡る問題は、稲田朋美防衛相が非公表の方針を「了承」したかどうかが焦点に浮上。学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関しては、国家戦略特区担当の山本幸三地方創生相が認定2カ月前に新設方針に言及した記録が明らかになった。
■日報問題、稲田氏の了承が焦点
 南スーダンPKO部隊が作成した日報を陸上自衛隊が「廃棄した」と説明しながらデータを保管していた問題を巡り、特別防衛監察は、これまで調査の対象となっていなかった稲田朋美防衛相を含め、疑惑解明に向けた調査を急ぐ。焦点は稲田氏がどの時点で陸自データの保管を把握していたかだ。関係者によると、稲田氏は2月15日に黒江哲郎防衛次官、岡部俊哉陸上幕僚長との会議でデータ残存の報告を受けていた。稲田氏は2月15日に岡部氏と会ったことは認めたものの、そうした報告はなかったと否定している。今後は特別監察による稲田氏への聴取が行われる見通し。稲田氏がその場でデータ残存の報告を受け、了承していたと認定すれば、組織的な隠蔽工作をトップが了承していたことになる。稲田氏は3月に国会で「(陸自から)報告は受けていない」と答弁している。防衛省幹部が稲田氏にデータ残存を報告せず、稲田氏が非公表の了承もしていないと特別監察が結論づければ、この問題の疑念がさらに深まる可能性もある。2月15日には稲田氏を交えた会議とは別に、黒江氏、岡部氏、統合幕僚監部の辰己昌良総括官による別の会議で非公表の方針が決まっている。最高幹部が集まり、非公表を決めたのにもかかわらず稲田氏に報告しなかったのか、という不自然さは否めない。民進党の蓮舫代表は20日の記者会見で「日報の非公表、隠蔽に加担したなら政府の信頼が根底から覆される」と厳しく批判した。特別監察については同党内から「稲田氏だけが責任逃れをして、防衛省や自衛隊の幹部に責任を負わせることがあってはならない」(山井和則国会対策委員長)と調査の徹底を求める声も上がった。
■加計問題、山本氏巡る文書が波紋
 昨年11月に日本獣医師会の役員と会った山本幸三地方創生相が「(獣医学部の新設は)四国に決まった」と伝えたとされる記録文書が獣医師会側に残っていた。山本氏は「四国に決まったという発言はしていない」と発言を否定したものの、野党側は「加計ありきの証拠」として徹底追及する構えだ。この発言に関し、内閣府に議事録が存在しないため、山本氏は自らの反論を裏付ける「物証」を示せていない。真相は不明だが、安倍政権による「加計ありき」の疑念は拭えない。獣医師会によると、学校法人「加計学園」(岡山市)が愛媛県今治市の国家戦略特区に獣医学部を新設する計画を巡り、山本氏は同学園が事業者に決まる2カ月前の昨年11月に獣医師会の役員と協議した。獣医師会側は、山本氏は加計学園の名前を挙げ、新設に伴う愛媛県や同県今治市と学園の費用負担割合を説明したとしている。これに対し、山本氏は20日、内閣府で記者団に、加計学園の名前を挙げたことは一切ないと強調。その上で「私から京都(での新設)もあり得るという旨を述べたところ、獣医師会側からは、進めるのなら愛媛県今治市のみと明記してほしいとの発言もあった」と述べた。獣医師会側は「(京都の話などは)議事録にはない」と反論しており、双方の主張は真っ向から食い違っている。加計学園と同様、獣医学部新設を目指していた京都産業大は教員確保のめどが立たないとして14日に計画断念を発表した。安倍晋三首相は24、25両日の衆参予算委員会の閉会中審査で自ら選定プロセスを説明し、理解を得たい考えだ。獣医師会の記録が明らかになり、これまでの説明との整合性が改めて問われることになりそうだ。

<既成政党への失望理由>
*2-1:http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_26751.html (宮崎日日新聞 2017年7月5日) 都議選で自民惨敗
◆政権の過ち厳しく総括せよ◆
 安倍晋三首相が、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選の結果を受けて記者団に、「自民党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め深く反省しなければならない」と述べた。現有57議席から23議席に減らし、過去最低だった38議席を大きく下回った結果は、安倍政治への「不信任」に等しい。首相自身、「政権が発足して5年近くが経過する。その中で、政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったと思う」とも述べている。
●1強のおごり高ぶり
 従来のように反省ポーズで終わらせ、先に進むことは許されない。まず官邸への「忖度(そんたく)」や首相の「ご意向」で便宜が図られたと指摘されている森友・加計学園問題への対応、委員会採決を飛ばす奇策を使った「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の成立過程など、この事態を招いた政権の誤り、過ちを自ら厳しく総括することが必要だ。森友・加計学園などの問題で、東京都民はじめ国民の目に映し出されたのは、首相が言うような政権の「緩み」ではない。首相を頂点とする「1強」が常態化したことによる「おごり高ぶり」だ。公開を求められた公文書や公的資料の提出を拒む、あるいは存在しないことにする。出す時は読ませたくない部分を黒塗りにする。加計学園問題では官僚が作成した文書を官房長官が「怪文書」と切り捨てる。内部調査が始まると文部科学省の副大臣が国家公務員法の守秘義務違反を持ち出して官僚を威嚇、存在が確認されると今度は名指しされた官房副長官らが記載内容を全面否定する。さらには、それを国会内外で追及する野党やメディアを「印象操作」と非難する。極めつきは稲田朋美防衛相による都議選での自衛隊の政治利用発言だ。
●抑制のない強権志向
 一連の言動の背景にうかがえるのは、都合の悪いことにはふたをしろ、逆らう官僚はけなしたり脅したりして黙らせればいい、彼らは自分たちに従うのが当然なのだという傲慢(ごうまん)さと抑制のない強権志向である。
加えて「魔の2回生」とやゆされる当選2回の衆院議員による数々の不祥事だ。失言、暴言のみならず不倫や交際トラブルなど女性問題、秘書への暴行疑惑。そして、もろもろの問題の当事者が首相の夫人や側近、安倍チルドレンと呼ばれる若手議員である。都議選最終日、街頭演説に立った首相はやじを浴びた。極めて異例の出来事ではあったが、首相はその原因に目を向けるべきだ。首相は今後、内閣改造や自民党幹部人事で態勢の立て直しを図るつもりだろう。しかし、常々、安倍首相が言うように政治は「結果」責任である。それは、評価される実績を残せばいいということではない。政権を巡るさまざまな問題を最高責任者として引き受けることでもある。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13045133.html (朝日新聞 2017年7月20日) 共産、都議選結果に自信 結党95周年、不破氏講演
 共産党が今月、創立95周年を迎えた。野党第1党の民進党が低迷にあえぐ中、大型選挙での勝利をテコに第2党として存在感を示している。次期衆院選に向け、野党共闘路線に否定的な議員を抱える民進との連携をどう図るかが課題だ。1922年7月結党の同党は19日、95周年の記念講演会を東京都内で開催。不破哲三・前議長(87)は「安倍政治の暴走は、自民党政治が没落の段階に入ったことを示す末期現象。都議選での自民の敗北が実証した」と指摘した。同党は、2009年に旧民主党が政権奪取するまでは2大政党のはざまに埋没しがちだった。しかし民主が下野して以降は、13年参院選で改選前から5議席増やし、14年衆院選で13増と躍進。2日の都議選でも、民進が2減の5議席と退潮する一方、2増の19議席を獲得した。次期衆院選に向けては、志位和夫委員長が「憲法を平気で壊す、傲慢(ごうまん)な政治を続けさせない」として、民進など野党の選挙協力の必要性を訴えた。ただ民進との競合区は依然200を超える。民進の都議選総括の会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いでおり、険しい道のりが予想される。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13033443.html (朝日新聞社説 2017年7月13日) 民進党 勘違いしていませんか
 民進党は大きな勘違いをしているのではないか。東京都議選の敗因分析に向けた党内議論を見ていると、そんな疑問を抱かざるをえない。国会議員の会合では「解党的出直し」を求める声に加え、蓮舫代表の「二重国籍問題」に矛先が向いた。蓮舫氏は「いつでも戸籍開示の用意がある」と、戸籍謄本を公開する意向を示したという。民進党の議員たちに問う。蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く。そう本気で思っているのか。旧民主党政権の挫折から4年半。民進党が民意を受け止められない大きな原因は、そうした的外れな議員たちの言動にこそあると思えてならない。今回の都議選で民進党は、前回の15議席から5議席に獲得議席を大幅に減らした。国政での野党第1党の存在意義が問われる危機的な敗北である。さらに安倍内閣の支持率が急落する中、民進党の支持率は本紙の世論調査では5%にとどまっている。「共謀罪」法や加計、森友学園の問題などで、民進党が安倍政権を問いただす役割を担ってきたのは確かだ。なのになぜ、野党第1党の民進党が、政権の受け皿として認知されないのか。都議選では小池百合子知事率いる都民ファーストの会の躍進があった。しかしそれだけではない。政党にとって何よりも大事な政策の軸が、定まらないことが大きい。象徴的なのは原発政策だ。なし崩しの原発回帰を進める安倍政権に対し、民進党が脱原発依存の旗を高く掲げれば、鮮明な対立軸を示せるはずだ。そのことが分かっていながら、電力会社労組などへの配慮を優先し、政策をあいまいにする。大きな民意を見失っていることが、党勢低迷の根本的な要因である。「二重国籍」問題で、蓮舫氏の説明が二転三転したことは、公党のリーダーとして不適切だった。だが、主な敗因とは思えない「二重国籍」問題に議員たちがこだわるようなら、国民はどう受け止めるだろう。もう一つ懸念されるのは、蓮舫氏が戸籍謄本を公開することが社会に及ぼす影響だ。本人の政治判断とはいえ、プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか。民進党と蓮舫氏はいま一度、慎重に考えるべきだ。


<反論すべき政策>
PS(2017年7月24、25日追加):*3-1のように、政府(経産省)は、40年超の原発に合計27億円加算した電源立地地域対策交付金を支払っており、廃炉を促すべき時に逆行している。しかし、経産省の資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握していない」として責任をとらない態度であり、後ろ向きでマイナスの政策に多額の国民の血税が支払われるのは明らかだ。また、*3-2のように、代替案はいくらでもあるのに、「これしかない」として“粛々と”辺野古の埋め立てを行っているのも、宝の自然を壊すために無駄な工事費を国民の血税から支払っている馬鹿な行為であるため、これこそ正面から追究すべきである。
 そこで、*3-3のように、国が知事の岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして、2017年7月24日、沖縄県は岩礁破砕差し止め訴訟を那覇地裁に提起したのはよいのだが、理由が「①政府の進め方の拙速さ」「②漁業権の一部放棄が変更に該当するので知事免許が必要」というだけでは手続き上の瑕疵しか言っておらず理念がない。そのため、*3-4の環境基本法や海洋基本法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO033.html)の理念を参考にされたい。これらは、私が衆議院議員だった時、環境保護のために強化したり、海洋資源利用のために新設したりしたもので、罰則はないが基本理念を述べているからだ。なお、基本理念にも足らざるところがあると思われるので、それぞれの自治体で、これを基にして自然や景観を含む多様な資源を保護するための条例を作ればよいだろう。 

   
  2017.7.25琉球新報               辺野古の工事開始

  (図の説明;穏やかで美しいサンゴ礁の海に、醜いテトラポットを積むところも馬鹿だ)

*3-1:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170724-00000004-jij-soci (Yahoo、時事通信 2017.7.24) 40年超原発、計27億円加算=老朽8基の5市町に―交付金、原則に「逆行」
 運転開始から40年超の老朽原発を抱える福井県美浜町など5市町に、電源立地地域対策交付金の加算分として2016年度までに計27億円が交付されたことが23日、立地自治体などへの取材で分かった。交付金は40年を超えた原発の立地市町村に年1億円上乗せされるが、老朽原発の存続を事実上後押しする仕組みに専門家からは、「廃炉を促すべきなのに逆行している」と批判が出ている。原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限している。これまでに国内で40年を超えたのは東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県敦賀市)、関西電力美浜原発1~3号機(同県美浜町)、同高浜原発1、2号機(同県高浜町)、中国電力島根原発1号機(松江市)の計8基。このうち美浜3号機と高浜1、2号機を除いた5基は廃炉となった。5基は40年を超えてから廃炉となるまで、交付金が年1億円加算された。福島第1原発1号機が立地する大熊町は計2億円▽敦賀1号機がある敦賀市は計6億円▽美浜原発がある美浜町は廃炉の1、2号機と存続する3号機で計11億円▽高浜1、2号機がある高浜町には計5億円▽島根1号機がある松江市は計3億円―が上乗せされた。美浜3号機と高浜1、2号機は、原子力規制委員会の審査で20年間の運転延長が認められている。3基が期限まで存続すれば加算額は累計で60億円となる。40年超の原発について交付金が加算される仕組みは10年度から始まった。経済産業省資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握はしていない」としている。原発と自治体の関係に詳しい朴勝俊・関西学院大教授は「原発は古くなるほど危険なのに、交付金を加算するのはいやらしい。廃炉が地元のメリットになる制度に変えるべきだ」と話している。 

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/449061 (佐賀新聞 2017年7月24日) 辺野古、沖縄県が再提訴、政府と改めて法廷闘争
 沖縄県は24日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事差し止めを求め、那覇地裁に提訴した。政府が県規則に定められた翁長雄志知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法と主張。判決まで工事を中断させる仮処分も併せて申し立てた。政府は判例から県の訴えは不適法で、許可も不要として全面的に争う方針だ。辺野古移設を巡っては、2015年10月に現場海域の埋め立て承認を取り消した翁長氏の処分に関し政府と沖縄県が訴訟で争った結果、昨年12月に県側敗訴判決が確定した。双方の対立は再び法廷闘争に発展した。

*3-3:https://ryukyushimpo.jp/movie/entry-541319.html (琉球新報 2017年7月25日) 政治:辺野古差し止めを提訴 県「国の工事は違法」 漁業権存否が争点に 「新基地は理不尽」と知事
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で県は、国が岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして24日午後、国を相手にした岩礁破砕の差し止め訴訟を那覇地裁に提起した。差し止め訴訟と併せて判決が出るまで工事を止めるよう求める仮処分も申し立てた。新基地建設を巡り、国と県は5度目の法廷闘争に入る。翁長雄志知事は午後5時から県庁で記者会見し「国は辺野古案件のために漁業権運用の見解を恣意(しい)的に変えた。法治国家の在り方からは程遠い」と国の姿勢を批判した。その上で「(今回の裁判は)新基地建設の是非そのものを問うものではないが、県民の思いを置き去りにしたまま基地建設に突き進む国の姿勢が問われている」と述べ、裁判を通して国の強権的な姿勢を浮かび上がらせることができると、訴訟の意義を強調した。記者の質問に答える形で、「漁業権の問題などを県民や国民に知らせながら、辺野古新基地を造ることの理不尽さと、政府の進め方の拙速さを訴えていく」と語った。今回の訴訟で県は、工事海域には漁業権が存在し、工事を実施するには県による岩礁破砕許可が必要だと主張する。一方国はこれまで、名護漁業協同組合の決議により漁業権はすでに消滅しており、県から岩礁破砕許可を得る必要はないと主張している。県は訴状で、漁業法第11条や22条を根拠に、名護漁協が総会で決議した漁業権の「一部放棄」は、漁場の「縮小」を意味し、「漁場の縮小が『変更』に該当するということは明治漁業法以来、当然のこととされ、現行法下の水産行政も一貫してこの立場をとってきた」と主張。漁業権を変更するには知事免許が必要だとした。さらに、県が国に岩礁破砕許可申請を請求することができる理由として県は「水産資源を保護培養する公益保護の主体者」であるとし、岩礁破砕許可申請という「義務」の履行請求権を有すると主張している。

*3-4:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html 環境基本法(要点)
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
第三条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(国の責務)
第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

<メディアの質>
PS(2017年7月31日追加):日本のメディアは、上記のように、頻繁に首相交代・解散・政権交代等のイニシアティブをとるが、その理由としては、男性政治家なら①政治と金 ②女性関係のゴシップ を使うことが多く、女性なら③仕事の経験及び実力の不足 ④不倫 などだ。しかし、①は、昔と違って政治資金規正法による開示を厳しくし、国会議員の政治資金団体には監査を義務づけているため、個人の政治家が大きな癒着を犯せる余地はなく時代遅れだ。また、③は、「女性は仕事の能力・経験が乏しい」「真剣に仕事をしない」「統率力がない」など、女性は仕事に未熟で不熱心であるという先入観を利用しており、女性蔑視そのものである。さらに、②④は、ないに越したことはないが、政策や仕事とは一線を画すべきプライバシーである。
 メディアがこういう批判の仕方をする理由は、1)「政治家のゴシップの方が国民が理解しやすく、視聴率が上がる」という国民を馬鹿にした態度があること 2)政策内容を正しく分析し、説明できる人材がメディアの中にいないこと 3)それでも権力を批判しているというポーズをとっていること などが考えられる。そして、この状態は、今までいくら言っても変わらず、放送は国民の文化を作るため大きな問題なのだが、*5のように、テレビ番組をインターネット放送する時代になれば状況が変わるだろう。
 何故なら、インターネット放送は、電波の制限がないため総務省の規制を受けず、いろいろなメディアが放送することが可能になり、内容がくだらなかったりぼやけたりしている番組は淘汰されるからだ。また、インターネット放送なら他国の放送も完全に受信できるため、放送の比較が可能であり、放送を通じて言語を習得することもできる。私は、スペインに行った時、日本のように馬鹿な内容の放送ばかりしている国はなかったが、中でもロシア国営放送(英語版)が、最も内容のあるポイントをついた放送をしていたのには、正直言って驚いた。
 なお、広告料金に頼ると、メディアにとっては報道したい内容を報道できず、視聴者にとっては情報価値が下がる上、番組の途中で頻繁にコマーシャルが入るのは不快であるため、受信料を望む局はNHKに限らず、その番組の単位時間あたり受信料を表示した上で、受信時間に比例して通信会社を通じて受信料を徴収すればよいと思われる。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170731&ng=DGKKZO19440840R30C17A7PE8000 (日経新聞社説 2017.7.31) 受信料より先に議論すべきことがある
 テレビ番組を放送と同時にインターネットで流す際の料金について話し合ってきたNHKの検討委員会が答申をまとめた。スマートフォン(スマホ)などのネット接続機器のみで番組を見る世帯からも、テレビと同じ水準の受信料を徴収する方向性を示した。若年層を中心にテレビ離れが進んでおり、「常時同時配信」で新たな視聴者を獲得したいという考え方は理解できる。だが、料金の議論だけが先行する現状に違和感も覚える。同時配信の背景にあるのは、放送と通信の間の垣根が低くなっているという事情だ。スマホを通じた動画の視聴が普及し、速度が大幅に向上した次世代の無線通信で拍車がかかるのは確実だ。海外に目を向けると、英国や韓国などで公共放送が同時配信を始めている。日本では「同時配信のニーズは乏しい」との見方もあるが、海外の事例をみればそうとは言い切れない。優良なコンテンツの制作を続け、激しさを増す海外での販売競争に勝つためにも、時代の変化に合わせて収益を確保する努力は必要だ。だが、健全な競争環境を維持するという観点では課題がある。NHKの2016年度の受信料収入は6769億円に達し、既に民放の最大手である日本テレビホールディングスの放送関連収入の2倍近い。「ネット受信料」を新設すると年間200億~300億円の増収になるとの見方もあり、地方の民放の売上高を上回る。受信料制度に支えられたNHKがネット事業に本格的に参入すると、この分野の既存企業にも脅威となる。多様なコンテンツやサービスを利用者に提供するため、民間企業が投資を続けられる環境を整えることが重要だ。ネットは生活に深く入り込み、NHKの報道が力を発揮する災害時も、交流サイトのフェイスブックやツイッターなどが情報を伝える事例が増えている。NHKの上田良一会長は現在の公共放送から、ネットも含めた「公共メディア」を目指す意向を示している。まず必要なことは、ネット時代の公共メディアに必要な役割を定義し、適正な業務の範囲について議論を深めることだ。本質的な議論を避けて同時配信を手っ取り早い収入拡大の手段とするようなことがあれば、理解を得るのは難しいだろう。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~2020.9 | 04:26 PM | comments (x) | trackback (x) |

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