■CALENDAR■
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31     
<<前月 2018年07月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2018.6.22 原発に固執する資本生産性の低さと国民負担 (2018年6月23、24、25、26、27日、7月5、11、12日に追加あり)
  
         2017.12.14、2018.6.10西日本新聞

    
   Livedoor       2018.6.14西日本新聞       世界の発電コスト低減

(1)フクイチ事故のその後
1)事故を起こした原発の状況
 *1-1-1のように、東京電力は原発事故から7年後の2018年1月19日、初めてフクイチ2号機で格納容器底部に燃料集合体の一部が落下しているのを確認したそうで、これまで2号機はデブリの多くが圧力容器内に残り、一部が圧力容器の底を抜け格納容器の底部付近に落ちたと推定されていて確認していなかったそうだ。そして、残りの燃料集合体が何処に飛散したかは明らかにしておらず、その楽観論には呆れる。

 また、*1-1-2のように、3号機は覆うだけで2537日(約7年)もかかったそうで、その間は放射性物質をまき散らし続け、廃炉に30~40年かかるそうだが、その上、*1-1-3のように、また原子炉建屋を覆うカバー屋根を解体し、2020年度に貯蔵プールから核燃料を取り出すそうだ。そのため、その間は、3号機に残っている核燃料が、再度、露出状態になる。

 さらに、*1-1-4のように、2号機の核燃料を取り出すためとして、東京電力は2号機の原子炉建屋壁面に開口部を設ける工事を始めたが、2号機の使用済核燃料の取り出し開始は、速くても2023年度だそうだ。

 つまり、チェルノブイリ以上の爆発事故を起こしながら、東京電力と経産省は、放射性物質を迅速に閉じ込めず、のんびり拡散させている点が、ロシア以上に人権侵害なのである。

2)除染後の放射線量と除染土の扱い
 また、事故後の避難の範囲も狭すぎたが、*1-2-1のように、除染もいい加減で、2017年9〜10月に飯舘村・浪江町の避難指示解除区域で毎時0.2〜0.8マイクロシーベルトあり、政府目標の0.23マイクロシーベルトを超えていたそうだ。しかし、一般住民の許容被曝線量は世界基準では年間1ミリシーベルト(0.11マイクロシーベルト/時)以下であるため、日本基準(年間2ミリシーベルト《0.23マイクロシーベルト/時》以下)にはごまかしがある。

 その上、*1-2-2のように、環境省が農地造成に除染土を再利用する方針を出したのには驚いた。園芸作物は土ごと購入する場合もあり、そのうち境界が曖昧になって農作物の生産に使われるかもしれないため、せっかく大金をかけて集めた除染土を農地造成に利用して汚染を全国にばら撒くというのは、その感覚が疑われる。

   
        フクイチ1、3号基の爆発と直後の様子         放射性物質の飛散

(2)原発のツケ
 フクイチ事故から約6年後の2016年12月1日、政府の高速炉開発会議は、*2-1のように、「政府の高速炉開発会議は、約1兆円の国費をかけて20年以上殆ど運転できなかったもんじゅ廃炉が検討されている高速増殖原型炉もんじゅに代わって、より実用化に近い実証炉を国内に建設する」という方針を公表したそうだ。しかし、1兆円もかければ再エネは軌道に乗せることができるため、コストがかかる上、エネルギー自給率にも資さない原発にこれ以上の国費をつぎ込むのは無駄遣いである。

 さらに、*2-2-1は、「日本政府は、日立製作所が英国で進める原発新設事業に対して3兆円規模の債務保証をする」と書いているが、これは国民に3兆円規模(消費税1%分以上)の損失リスクを負わせることであり、とんでもない。そのため、*2-2-2のように、日立製作所の方が撤退も視野に英政府と事業継続に向けた最終協議に入るそうだが、日立は経済合理性から撤退したいのに日本政府が前のめりになっているように見える。残念なことに、*2-2-3のように、英政府も前のめりで日立と事業推進に向けた覚書を結んだそうだが、日立は、ここで撤退するのが最も安上がりだろう。

 また、*2-3の日印原子力協定でも、インドで原発事故が発生した際には電力会社がメーカーに賠償請求できるという(本当は当然の)法律があり、メーカーは巨額の賠償責任を問われる恐れがあるため、原発のコストは再エネより安いという論拠は成立しない。

 このように、民間企業が原発を輸出するにあたって国民にツケを回すことには、*2-4のように、国民の理解が得られる筈がない。そして、日本政府が強力な支援策を検討している資金は、国民の生活を支える社会保障を減らしながら国民負担を増やして得た金なのである。

(3)原発再稼働
 断続的に噴火している新燃岳や250年ぶりに噴火したえびの高原(硫黄山)など、活発な火山活動を続ける宮崎、鹿児島県境の霧島連山の地下に、最大15キロに及ぶ大規模なマグマだまりのあることが、*3-1のように、気象庁などの解析でわかっている。そして、これは、川内原発のすぐ東側だ。

 しかし、*3-2のように、玄海町議会は原発増設を国の計画に明記することを要求する意見書を可決しており、これなら、コストが決して低くないことが明らかになった原発は、再エネのコストが下がっている現在、国策ではなく町策にすぎない。そして、町策は、周囲に迷惑をかけない賢いものを考えるべきである。

 そして、周囲のあらゆる反対を押し切り、*3-3のように、九電は川内原発1、2号機、玄海3、4号機を再稼働したが、加圧水型でも爆発の危険性はかわらず、使用済核燃料が保管プールに水につかっただけで満杯になっていることにもかわりはない。これでは、せっかく福岡市郊外のベッドタウンとして機能できる位置にあっても、周囲に住む人が減るのは当然のことである。

 なお、私は、エネルギーのためなら公害を出しても景観を悪くしても許されるという19世紀・20世紀の発想には組しない。そして、*3-4のように、関係者が、「太陽光発電は晴天の昼間に発電量が増える一方、夜間は発電しないなど不安定な電源」などと10年1日の如く同じことを述べ、「従って、原発4基の稼働が実現したので、今秋の連休にも太陽光発電事業者の出力制御に踏み切る」というのは、世界の潮流に逆行しており、あまりにも愚鈍だ。

 そして、これが、せっかく最先端の事業のタネがあっても事業化すれば成功しない典型例で、日本では事業を起こすことはハイリスク・ローリターンであるため、起業が少ないのである。

<フクイチその後>
*1-1-1:https://www.shikoku-np.co.jp/national/science_environmental/20180119000633 (四国新聞 2018/1/19) 福島2号機で溶融核燃料初確認/第1原発調査、炉心から落下
 東京電力は19日、福島第1原発2号機でカメラ付きのパイプを使い、原子炉格納容器内部を調査した。格納容器底部に燃料集合体の一部が落下しているのを確認し、その周辺で見つかった堆積物は溶け落ちた核燃料(デブリ)と断定した。2号機でデブリを確認したのは初めて。記者会見した東電の木元崇宏原子力・立地本部長代理は「デブリで原子炉圧力容器の底部に穴が開き、中から燃料集合体が落下した。デブリに間違いないだろう」と述べた。これまでの解析では、2号機ではデブリの多くが圧力容器内に残り、一部が圧力容器の底を抜け、格納容器の底部付近に落ちたと推定されていた。

*1-1-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL3D62XML3DUGTB00N.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2018年3月18日) 3号機、覆うだけで2537日 廃炉作業、厳しい道のり
 東京電力福島第一原発は2011年3月12日から15日の間に3度、爆発した。放射性物質をまき散らし、大地や水、人々の暮らしは今も深い傷を負っている。4号機の使用済み核燃料取り出しに続き、3号機では爆発から2537日目の2月21日、ようやく核燃料を運び出す準備が整った。「3号機廃炉作業所長」を務める鹿島の岡田信哉さん(54)はこの日、最上階で、半円柱のカバー(長さ約60メートル、高さ約18メートル)の最後の一片がはめ込まれ、燃料プールが覆い隠されるのを見守った。プール内の燃料は566体。カバーはこれらを取り出す際、放射性物質の飛散を防ぐために不可欠な設備だ。高さ36メートルの現場にはいつものように、ZARDの「負けないで」のメロディーが流れるエレベーターで昇ってきた。岡田さんは7年近く、約100人の部下を率い、高線量のがれきと格闘してきた。原発事故から10日後、本社(東京)に呼ばれ、3号機のカバー設置を検討するメンバーに入った。当時は東電柏崎刈羽原発(新潟)の工事事務所長で、その豊富な経験が買われた。初めて見た3号機の建屋は、めちゃくちゃに壊れた鉄骨やコンクリートが屋上で折り重なっていた。放射線量は最大で毎時2シーベルト(3~4時間で致死量に達する)を超える地点も。屋上のがれきを取り除き、プールを覆うカバーを設置しようにも、大型クレーンを建屋に近づけなければ何も始まらない。まずは建屋周辺の舗装に取りかかった。大型クレーンに耐えられるよう採石を1メートルほど積み上げ、その上に鉄板を敷いた。放射線を遮断する特別仕様の重機で作業を進めた。時に胸ポケットに入った「APD」(線量計)から高音の警報が鳴る。3回目が「現場から出る支度を」という合図。1班十数人での交代作業だが、至る所で音が鳴った。「自分か他人かわからない時もあった」。11年秋から屋上のがれき撤去に取りかかった。使用する大型クレーンは2基で、約100メートルのアームで狙うのは、山積するコンクリートや鉄骨のがれき。作業上の特徴は「遠隔操作」と「3Dを使ったシミュレーション(解析)」だ。クレーンは無人で、現場から約500メートル離れた免震重要棟から遠隔で行った。無人重機の運転席にはカメラやマイクが設置され、現場の状況が映像と音で確認できる。だから免震棟の一室からでも、運転席にいる感覚で操作できるという。もう一つがシミュレーションだ。入り組んだがれきの取り出しは戦略的に行われた。まず本社で3D画像や模型を使って現場を再現し、解析する。この鉄骨をここから切り込むとこう動く、ここを切ると反対側に倒れるかもしれない、といった予測だ。そのデータをもとに、現場ではアームの先端に付けた「フォーク(つかむ)」「カッター(切る)」「バケット(すくう)」「ペンチ(つまむ)」の4種類の機器を駆使し、がれきを地上に下ろした。がれきは重さ5キロの鉄板だったり、数トンの鉄骨だったり。「今日は2個、3個取れたとか、そんな報告を受けるような地道な作業が続いた」。がれきの撤去を終え、昨夏からカバーの設置作業を進めてきた。燃料の取り出しは今秋にも始まるが、その主体は東芝に移る。「うまくバトンタッチしたい」。岡田さんらは今、燃料取り出しに向けた道路の整備などにあたっている。この先も難路が続く。燃料取り出しは遠隔操作で2年ほどかかる。格納容器に溶け落ちた燃料(デブリ)の回収はそれからで、その方法はまだ決まってない。福島での単身生活は7年になる。中学生だった息子は大学生になった。岡田さんは「こんなに時間がかかるとは思いもしなかった。できればまた廃炉に関わっていきたい」と話した。7年間で取り除いたがれきは、25メートルプールで10杯ほど、約3200立方メートルに上った。
〈東京電力福島第一原発の廃炉計画〉 国と東京電力がつくる福島第一原発の廃炉工程表は、終了を2011年12月から30~40年後としている。大きく3期に分け、使用済み核燃料の取り出し開始までを1期(2年以内)、デブリの取り出しが開始されるまでを2期(10年以内)、以降を3期としている。1期は13年11月に4号機で作業が始まったのを機に終了。現在の2期に移行している。デブリの取り出しが始まると3期に入るが、時期は未定だ。

*1-1-3:https://www.nikkei.com/article/DGXLASGG28H03_Y5A720C1MM0000/ (日経新聞 2015/7/28) 福島第1原発1号機、解体に着手 カバー屋根取り外し
 東京電力は28日、福島第1原子力発電所1号機の原子炉建屋を覆うカバーの本格的な解体作業に着手した。まず屋根を取り外し、2016年度中の解体完了を目指す。20年度に始める貯蔵プールからの核燃料の取り出しに向け、1号機の廃炉工程が前進する。1号機では11年3月の事故の際に水素爆発が発生し、建屋が大破した。放射性物質が飛び散るのを防ぐため、11年10月に建屋全体を覆うカバーを設置した。28日早朝の作業では、屋根に6枚並ぶパネル(1枚あたり幅約7メートル、長さ約42メートル)のうち中央にある1枚をクレーンで取り外した。年内にもすべて撤去する。側面なども含め、1年以上かけて解体を終える計画だ。解体後は建屋内に散乱するがれきなどを撤去し、貯蔵プールに392体残る核燃料搬出に備える。カバーはもともと13~14年度に解体する計画だったが、作業に伴う放射性物質の飛散対策などに時間がかかり、大幅に遅れた。東電は今年5月に屋根の撤去に着手する予定だったが、建屋内の放射性物質の拡散を防ぐために設置したシートがずれているのが見つかり、延期していた。

*1-1-4:https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201804/20180417_63021.html (河北新報 2018年04月17日) <福島第1>2号機「燃料」取り出しへ 壁面に穴開け開始
 東京電力は16日、福島第1原発2号機の原子炉建屋壁面に開口部を設ける工事を始めた。6月までに穴を開け、ロボットなどで内部を調査。2023年度を目指す使用済み核燃料の取り出し開始につなげる。壁内側の空間放射線量は、12年6月時点で毎時880ミリシーベルトと非常に高い。放射性物質の飛散を防ぐため、工事は壁面に密接して新設した「前室」(幅23メートル、奥行き17メートル、高さ10メートル)の内部で実施。初日は技術者が立ち会い、厚さ20センチのコンクリート壁の3カ所を直径11センチの円柱状にくりぬいた。17日も6カ所で行う。開口部は使用済み燃料プール上部に通じる場所に設け、大きさは幅5メートル、高さ7メートル。壁を取り壊す際は重機を遠隔操作する。2号機は水素爆発せず、建屋上部が残っている。東電は建屋上部を解体して天井クレーンを設置し、燃料取り出しを進める計画。

*1-2-1:http://qbiz.jp/article/129054/1/ (西日本新聞 2018年3月2日) 除染後も目標の3倍 飯舘の放射線量、上昇地点も 民間調査
 福島県飯舘村の民家とその周辺では除染後も、東京電力福島第1原発事故後に政府が長期目標としている被ばく線量の約3倍の放射線量が計測され、1年前より上がっている場所もあったなどとする調査結果を1日、環境保護団体グリーンピースが発表した。調査は、2017年9〜10月に飯舘村と浪江町の避難指示が解除された地域などで実施、民家や森など計数万カ所で測定した。飯舘村の民家6軒では毎時0・2〜0・8マイクロシーベルトで、ほとんどが政府の目標を1時間当たりの空間放射線量に換算した同0・23マイクロシーベルトを超えた。周囲に森林が少ない村役場近くの1軒は16年の調査時から放射線量が下がっていたが、除染していない森林が周囲にある5軒は16年とほとんど変化がなかった。中には上がっている場所もあった。

*1-2-2:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31313110T00C18A6CR8000/ (日経新聞 2018/6/4) 農地造成にも除染土再利用 環境省方針
 環境省は3日までに、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で生じた土を、園芸作物などを植える農地の造成にも再利用する方針を決めた。除染土の再利用に関する基本方針に新たな用途先として追加した。食用作物の農地は想定していない。工事中の作業員や周辺住民の被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になるよう、除染土1キログラムに含まれる放射性セシウム濃度を制限。くぼ地をならす作業に1年間継続して関わる場合は除染土1キログラム当たり5千ベクレル以下、1年のうち半年なら8千ベクレル以下とした。除染土は、最終的に厚さ50センチ以上の別の土で覆い、そこに花などを植える。福島県飯舘村の帰還困難区域で今年行う実証試験にも適用。村内の除染土を区域内に運び込んで分別し、5千ベクレル以下の土で農地を造成し花などの試験栽培を行う想定だ。

<原発のツケ>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12684302.html (朝日新聞 2016年12月1日) もんじゅ後継、国内に実証炉 開発体制、18年めど 政府会議方針
 政府の高速炉開発会議は30日、廃炉が検討されている高速増殖原型炉もんじゅに代わり、より実用化に近い実証炉を国内に建設するなどとする開発方針の骨子を公表した。2018年をめどに約10年間の開発体制を固める。約1兆円の国費をかけ、20年以上ほとんど運転できなかったもんじゅの反省は生かされず、高速炉開発ありきの議論が進む。会議は世耕弘成経済産業相が議長。松野博一文部科学相や日本原子力研究開発機構、電気事業連合会、三菱重工業がメンバー。骨子では、もんじゅを再運転した場合に得られる技術的な成果を「ほかの方法でも代替可能」と評価。蓄積された成果は活用するとしつつ、廃炉にしても実証炉建設への影響はないと結論づけた。もんじゅについて政府は廃炉を含め抜本的な見直しを決めている。高速炉は「実験炉」「原型炉」「実証炉」と進み、「商用炉」で実用化する。安全性の確認や発電技術の確立など、原型炉もんじゅで終えるべき課題を残し、次の実証炉に進む形だ。政府は、もんじゅを廃炉にした場合でも、フランスが30年ごろの運転開始を目指す実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画に協力することで高速炉開発を維持するとしてきた。だが同会議は、エネルギー政策の根幹とされてきた核燃料サイクル事業の施設を不確実性のある海外の計画だけに頼るのはリスクがあるとの批判も考慮し、国内での実証炉開発を明示した。実証炉の建設時期や場所は未定。来年初めから実務レベルの作業グループを置き工程表策定を進める。骨子にはアストリッド計画を補完する施設として、原子力機構の高速増殖実験炉「常陽」やナトリウム研究施設「AtheNa(アテナ)」(いずれも茨城県)などの国内研究施設も示された。

*2-2-1:https://www.sankei.com/economy/news/180111/ecn1801110051-n1.html (産経新聞 2018.1.11) 日立の英原発計画、日英政府が支援 事業費3兆円確保へ
 日立製作所が英国で進める原発新設事業に対し、日本の3メガバンクが政府の債務保証を受けたうえで融資を行う方針が固まった。政府系の国際協力銀行(JBIC)も融資を行うほか、日本政策投資銀行が出資で参加する。政府は総額3兆円規模とされる事業費確保に向けた支援を進め、原発輸出を後押しする。日立は2012年に買収した英原発子会社ホライズン・ニュークリア・パワーを通じ、英西部アングルシー島で20年代前半の稼働を目指し、原発2基の新設計画を進めている。事業費は融資と出資で調達する。融資はJBICが軸となり、メガ3行も各千数百億円出す方向だ。民間分は政府が全額出資する日本貿易保険が債務保証する。出資は日立と政投銀が実施。大手電力会社にも打診している。英国の政府や銀行からの支援も受ける。日立は最終判断を19年に下す。米原発事業の損失で経営危機に陥った東芝を反面教師に、ホライズンを連結子会社から外せない場合は計画を断念する考え。政府支援には日立が抱え込むリスクを抑制する効果があるが、巨額損失が出た場合には国民負担が発生する懸念が大きくなる。

*2-2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29996700Z20C18A4MM8000/ (日経新聞 2018年4月29日) 日立、英政府と原発巡り最終協議へ 撤退も視野
 日立製作所が英国で建設を目指す原子力発電プロジェクトを巡って、英政府と事業継続に向けた最終協議に入ることがわかった。2020年代前半の稼働を見込むが、安全基準の強化で総事業費は約3兆円に膨らむ。リスクを抑えたい日立は中西宏明会長が近く渡英し、英政府の直接出資などを求めてメイ首相と交渉する。決裂すれば事業から撤退する方針だ。協議の行方は日本の原発産業だけでなく、日英両国の原発政策にも大きな影響を及ぼす。中西氏は週内にメイ氏と会談し、英中部アングルシー島で計画する原発新設事業について協議する。12年に現地事業会社の全株を890億円で買い取り、総額2千億円程度を投じて原子炉の設計や工事準備を進めてきた。17年末には英当局から炉の設計認証を受け、19年に予定する着工へ最終段階に入っている。関係者によると、4月下旬には英政府が「日英それぞれの政府・企業連合、日立が事業に各3千億円ずつ出資する」案を示してきたという。これまで英政府は原発新設プロジェクトへの直接出資に後ろ向きだったとされ、日立は直談判で英政府の出資確約と事業継続に必要な一段の支援策を求める見通しだ。日立が危機感を強めたのは、今年2月下旬だ。「公式文書で回答がなければ、ウィズドロー(撤退)します」。日立側が英政府に伝えたという。何度も期限を設け、英政府へ投融資など具体的な支援策を要請してきたが「口約束」にとどまってきたためだ。4月末現在も文書を交わす正式合意に至っていない。日立の英国事業については、16年に日英政府も協力の覚書を交わした。だが支援策を固める作業が難航。水面下の折衝は2年近く続くが、なお2つの溝が埋まらない。第一が英政府がどれだけ事業に関与するかだ。「19年までに事業を連結対象から外せなければ、着工しない」。日立は100%子会社となっている事業会社に英政府や現地企業に出資してもらうことで、出資比率を50%未満まで下げられるよう求めてきた。工事遅延などで巨額の損失が発生すれば、日立が100%かぶることになるからだ。だが英政府も財政悪化で「巨額投資に応える余裕がない」と主張する。原発推進派とされるメイ氏だが、欧州連合(EU)離脱交渉に追われるほか、支持率低下で議会の風当たりも強い。「日本政府と覚書を交わした16年から状況は一変した」(英政府関係者)。4月下旬に英国側が示した日英と日立で総額9千億円を出し合う枠組みは一定の譲歩案だった。しかし、これでも英国の出資比率は33.3%。日立や日本政府内では日本側が事業の主導権を握ることへの警戒感も強い。約2兆円と想定される事業に必要な借入金を巡っても、英政府がどれだけ保証を付けるか折り合えていない状況だ。建設後の電力買い取り価格を巡る議論も続く。日立は運営会社としても発電事業に関与する方針で、高い単価での政府買い取り保証を求めている。建設後の採算悪化を避け、長期間にわたって安定運営するためだ。だが英政府が提示している買い取り価格は、日立が求める水準より約2割低いもよう。英政府はフランスや中国が主導する英南西部の原発事業に高い買い取り価格を保証したが、高すぎて市民が払う電力料金は跳ね上がりかねない。世論の反発を招いており「日立にも高い保証を出すのは難しい」という立場だ。日立はメイ氏との直談判で妥協案を探るとみられる。支援を求めるのは「原発はリスクが大きく、民間企業だけで背負えなくなった」(幹部)とみるからだ。メイ氏自身も日立への支援に前向きとされ、交渉次第で支援策が進む可能性はある。11年3月の東日本大震災以降、世界的に安全基準を引き上げる動きが相次ぐ。関連メーカーや建設会社の安全対策費も急増しており、16年末には東芝の子会社だった米ウエスチングハウス(WH)で総額7千億円に及ぶ巨額損失が発覚した。日立の英原発プロジェクトも総事業費が当初の2倍となる3兆円に跳ね上がったとされる。誰が原発コストの負担をかぶるのか。仮に交渉が不調に終われば、日英ともに打撃は大きい。既存発電所の老朽化が進む英国は、今後10基以上の原発を新設して電力需要を賄う計画。日立の事業が頓挫すれば、エネルギー政策の見直しを迫られかねない。原発輸出を成長戦略に掲げてきた日本も、日立案件には政府の融資保証を付けて推す方針だ。三菱重工業のトルコ案件が大幅に遅れるなど各地で日本勢の苦戦が目立つだけに、日立の事業が難航すれば影響は関連メーカーに幅広く及ぶ。世界的に原発事業の難しさが浮き彫りになっている。

*2-2-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3136307004062018MM8000/ (日経新聞 2018/6/5) 日立、英原発の推進で覚書 英政府と基本合意
 日立製作所は英国で進める原子力発電所の建設計画を巡り、英政府と事業推進に向けた覚書を結んだ。英政府との間で資金負担の内訳などで基本合意した。日立は2020年代前半の稼働を目指し、必要な許認可取得など原発新設の準備を進める。19年中の最終契約に向け、原発事業のリスク回避策などを詰める。英政府は現地の4日夕方(日本時間5日未明)にも覚書を結んだ旨の声明を公表する見通し。日立は5月28日開催の取締役会で、英中部アングルシー島で進める2基の原発の新設計画を継続する方針を確認し、英政府との間で覚書締結に向けた調整を続けてきた。日立は4月以降、英政府との間で、事業撤退も視野に入れた大詰めの交渉を進めてきた。5月3日には中西宏明会長がメイ英首相とロンドンで会談した。英政府は総事業費3兆円超のうち2兆円を超える融資を全額負担する支援策を表明。事業費のうち、原発の開発会社に対する9千億円の出資について、日立と日英の政府・企業連合の3者が3千億円ずつを投資する案も示した。原発新設が計画通りに進まなかった場合の損失リスクへの備えでも合意した。日立と日英の両政府・企業連合が各1500億円ずつを拠出する。建設計画の遅れなどの不測の事態が起きた際に資本に転換できる債券などを検討している。これらの条件を固めたことで、日立と英政府は覚書締結にこぎ着けた。日立は原発を新設するかどうかを19年に最終決定する。日立社内にはなお慎重論も根強く、原発リスクを軽減することへの要望が強い。最終契約に向け、なお残る条件を英政府と詰める。1つは英政府による電力の買い取り価格の水準だ。原発運営の事業採算に直結するため、日立は高い価格での買い取りを求めている。一方、英国にとっては電力料金を支払う住民負担につながるため、慎重な交渉が続いている。2つ目は原発事故など不慮の事態が起きた場合の損害賠償責任で、日立と英政府は引き続き協議を続けるもよう。企業連合に出資する参加企業もまだ確定しておらず、日立などは参加企業を募っている。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20170608/k00/00m/010/134000c (毎日新聞 2017年6月7日) 日印原子力協定:原発輸出、増すリスク
 政府は日印原子力協定の締結によって、原発輸出の拡大を目指す。しかし、福島第1原発事故後に原発の建設費用が上昇するなど海外事業のリスクは高まっており、米原発子会社の破綻で東芝が経営危機に陥るなど、日本企業による積極展開の機運はしぼんでいる。福島事故後に国内での新設が困難となる中、日本政府は成長戦略の一環として原発をインフラ輸出の柱に位置づけ、各国との協定締結を進めてきた。電力不足によって今後の新規建設ラッシュが見込めるインドは有望な市場だ。だが、インドには原発事故が発生した際、電力会社がメーカーに賠償請求できる法律があり、巨額の賠償責任を問われる恐れがある。日本メーカーは「インドは巨大な市場だが、賠償法の問題があり、今後の状況を注視していく」(三菱重工業)などと、期待の一方で、慎重な姿勢も目立つ。東芝子会社の米ウェスチングハウスは、米国での原発建設費用の高騰が破綻の引き金になるなど、事業リスクは増している。龍谷大学の大島堅一教授(環境経済学)は「再生可能エネルギーは費用も下がり、投資が拡大している。原発の退潮は明らかで、無理のある協定だ」と批判している。

*2-4:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13323241.html (朝日新聞社説 2018年1月21日) 原発輸出 国民にツケを回すのか 
 苦境の原発産業を支えるために、国が高いリスクを肩代わりする。そんなやり方に、国民の理解が得られるだろうか。日立製作所が英国で計画する原発の建設・運営事業に対し、日本政府が資金面で強力な支援策を検討している。だが、福島第一原発の事故後、安全規制の強化で建設費が膨らむなど、世界的に原発ビジネスのリスクは大きくなっている。東芝が米国で失敗し、経営危機に陥ったことは記憶に新しい。万が一、大事故を起こした時の賠償責任の重さは、東京電力がまざまざと見せつけた。日立の事業がうまくいかなければ、支援をする政府系機関が巨額の損失を被り、最終的に国民にツケが回りかねない。政府は前のめりの姿勢を改め、リスクの大きさや政策上の必要性を慎重に見極めるべきだ。計画では、日立の子会社が原発を建設し、20年代半ばに運転を始める。現時点で3兆円ほどと見込まれる事業費は、日英の金融機関からの融資や新たに募るパートナー企業の出資などでまかなう想定だ。日立は採算性を見極めた上で、建設するかどうかを来年にも最終判断する。この計画に対しては、日本の大手銀行は慎重な一方で、「官」の肩入れが際立つ。政府系の国際協力銀行が数千億円を融資するほか、数千億円と見込む民間銀行による融資の全額を貿易保険制度の対象とし、返済を国が実質的に保証する方向で調整している。日本政策投資銀行も出資に加わるとみられる。ここまで政府が後押しするのは、原発産業を守る思惑があるからだ。福島の事故以降、国内では原発の新設が見込めず、経済産業省やメーカー、電力大手は、技術や人材の維持をにらんで海外市場に期待する。
だが、原発輸出はあくまでビジネスであることを忘れてはならない。リスクは、事業を手がける民間企業が負うのが本来の姿だ。それを国が引き受けるというなら、社会にとって有益であることが前提になる。国民の多くを納得させられるような意義はあるだろうか。政権と経済界は、原発などインフラ輸出の推進で足並みをそろえてきた。日立会長の中西宏明氏が近く経団連の会長に就くだけに、今回の支援策が合理性を欠けば、官民のもたれあいだと見られるだろう。そもそも、福島の事故を起こした日本が原発を海外に売ることには、根本的な疑問もある。政府や関係機関は、幅広い観点から検討を尽くし、国民に丁寧に説明しなければならない。

<原発再稼働>
*3-1:http://qbiz.jp/article/135439/1/ (西日本新聞 2018年6月10日) 霧島連山に大規模マグマだまり 気象庁など解析 最大で長さ15キロ、幅7キロ
 2011年以降、断続的に噴火する新燃岳(しんもえだけ)や、今年4月に250年ぶりに噴火したえびの高原(硫黄山)など活発な火山活動を続ける宮崎、鹿児島県境の霧島連山の地下に、最大15キロに及ぶ大規模なマグマだまりがあることが、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)などの研究グループの解析で明らかになった。新燃岳の噴火を受けて国や大学、自治体などの観測網が強化され、豊富なデータが利用可能になったことが地下構造の解明につながった。研究グループには東京大の地震研究所と京都大の火山研究センターが参加。11年4月〜13年12月に霧島連山周辺に広がる37地点の地震計からノイズのような微細な地震波を大量に収集し、地盤の固さによって速度が変わる地震波の性質を利用して解析した。大規模マグマだまりは、海面を基準にして深さ5〜7キロ付近を頂点とし、御鉢から北西方向に長さ10〜15キロ、最大幅が7キロ、厚みが少なくとも5キロ以上あるとされる。同様の解析手法で明らかになった長野、群馬県境にある浅間山のマグマだまりの範囲(長さ7〜8キロ)を上回っている。これまでは衛星利用測位システム(GPS)を使った地殻変動の観測から、新燃岳噴火の前後に膨張収縮するエリアがえびの岳の地下深くにあり、これがマグマだまりとされていた。解析を担当した気象研究所火山研究部の長岡優研究官は「地殻変動が起こっていたエリアは、大規模なマグマだまりから新燃岳へマグマを供給する出口部分と考えられる」と指摘する。11年の新燃岳噴火を受けて気象庁や各大学、周辺自治体などが地震計やGPS、傾斜計、監視カメラなどを増強。観測装置は80を超え、噴火前の2倍以上となった。火山活動がより詳細に把握できるようになり、さらなる構造解明も期待される。長岡研究官は「マグマだまりが霧島山全体に広がっていることから、活動予測のためには御鉢周辺などより広い範囲での観測や研究が必要になる」と話している。

*3-2:http://qbiz.jp/article/129284/1/ (西日本新聞 2018年3月7日) 玄海町議会「原発増設を」 国計画に明記要求 意見書案可決へ
 九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町議会が、年内にも改定される国のエネルギー基本計画に原発の新増設を明記するよう求める意見書案を3月議会で取りまとめることが分かった。19日の本会議に提出する。全町議10人が原発推進派のため可決される見通し。町議会総務文教委員会(5人)が5日、国へ意見書提出を求める請願を全会一致で採択。脇山伸太郎委員長は「原発立地町の責任に鑑みて、国のエネルギー政策に関する意見書を作りたい。内容は作成中でコメントは控える」と話した。意見書案が可決されれば政府に提出する。原発の新増設や建て替え(リプレース)について、岸本英雄町長は昨年12月議会で「リプレースはいずれ強い選択肢になる」と述べたが、山口祥義知事は否定的な見解を示している。請願は、商工団体などで組織する一般社団法人「原子力国民会議」(東京)が昨年末から、玄海町を含む五つの原発立地自治体などに送付。国に対して基本計画に新増設の明記を求める内容で、関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町議会が昨年12月議会で同様の意見書を可決した。エネルギー基本計画は現在、改定に向けて経済産業省の有識者会議で議論されている。2014年4月に策定された現行の基本計画は、原子力を「重要なベースロード電源」とし、原子力規制委員会の新規制基準に適合した場合、再稼働を進める方針を明記。ただし、原発の新増設やリプレースに関する表記はない。30年度の原発の電源構成比率を20〜22%とする中期目標の実現へ向け、新増設も検討課題となっている。
   ◇   ◇
●「現実的でない」町民疑問の声
 九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が今月下旬に控える中、国のエネルギー基本計画に原発の新増設を明記するよう求める町議会の動きが明らかになった6日、町内の原発賛成派と反対派の住民の双方から疑問の声が上がった。同町の漁業渡辺一夫さん(71)は「使える物は使おうという再稼働はしょうがないが、新増設は現実的に厳しいだろう」と指摘。「反対派からは福島であれだけの事故が起きたと言われる。議会に反対する人がいないためかもしれないが、もう少し慎重にするべきだ」と注文した。一方、同町の公務員小野政信さん(61)は「1号機が廃炉になる損失を補う考えだろうが、福島の現実を見たら再稼働ですら、とんでもないこと。新増設なんて考えられない」と町議会の姿勢を批判した。

*3-3:http://qbiz.jp/article/135851/1/ (西日本新聞 2018年6月17日) 九電 原発4基体制に 玄海4号機 6年半ぶり再稼働
 九州電力は16日、玄海原発4号機(佐賀県玄海町)を再稼働させた。定期検査で運転を停止した2011年12月以来、稼働するのは約6年半ぶり。東京電力福島第1原発事故を受けた新規制基準施行後、九電は川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)、玄海3号機を既に再稼働しており、玄海4号機を加えて当面の経営目標としていた原発4基体制が整うことになる。安全対策を強化した新規制基準下で再稼働した原発は全国9基目。いずれも加圧水型で、今後は福島第1原発と同じ沸騰水型の審査と再稼働が焦点となる。玄海原発内の中央制御室ではこの日朝から運転員など約20人が作業。午前11時、原子炉内の核分裂を抑える制御棒を遠隔操作で引き抜き、原子炉を起動させた。16日深夜に核分裂が安定的に続く「臨界」に達した。20日に発電と送電を開始予定。順調に進めば7月中旬に営業運転に入る。玄海4号機は3号機とともに使用済み核燃料の処理が課題。保管プールの空き容量が少ないが、処理を担う日本原燃(青森県)の工場は操業の見通しが立たず、搬出できない状態での再稼働となる。九電はプールの容量増強や金属製容器に入れ陸上で一時保管する「乾式貯蔵」を検討している。玄海原発では、1号機で廃炉作業が始まっている一方、21年に運転期限の40年を迎える2号機について九電はまだ方針を決めていない。今後は、存廃の判断が注目される。地域の理解も課題だ。事故時の避難計画が必要な周辺30キロ圏の3県8市町のうち、4市が避難計画の実効性などを問題視して再稼働に反対を表明している。16日には原発前などで反原発団体の抗議活動があった。玄海4号機は17年1月に新規制基準に適合。5月24日にも再稼働する予定だったが、原子炉の冷却水を循環させるポンプの一部で異常が発生。緊急点検と修理作業を実施し、工程が約3週間遅れた。

*3-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/231896 (佐賀新聞 2018.6.17) 太陽光出力制御、今秋にも、九電、原発4基稼働実現で
 東松浦郡玄海町の九州電力玄海原発4号機が16日に再稼働し、太陽光発電の普及が進む九州で原発が4基動く環境が整った。電力供給力が大幅に増えるため、九電が、今秋の連休にも太陽光発電事業者の出力制御に踏み切る事態が現実味を帯びる。出力制御が頻発すれば太陽光事業者の収支に影響が出るのは必至だ。電力需要が少ない時期に供給が大幅に上回れば広域的な停電を引き起こす恐れがあり、電力会社に出力抑制が認められている。ただ、これまで離島では実施例があるが、九州本土といった広域で行えば全国で初となる。太陽光発電は晴天の昼間に発電量が増える一方、夜間は発電しないなど不安定な電源で電力会社にとって扱いにくい。九電はこれまでも火力発電の稼働率の調整や、揚水発電所で昼間に水をくみ上げて夜間に発電するなどしてきたが、さらに上回ると見込まれる場合、事前に太陽光事業者に対し出力制御を指示する。連休中などはオフィスや工場の電力需要が下がるほか、家庭などで冷暖房も使わなければ電力需要は下がる。九電によると、今年4~5月の大型連休中は供給電力に占める太陽光の割合が一時81%を超えた。今秋には川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)や玄海3、4号機がいずれも稼働している見通しだ。九電関係者は「原発が4基動き、電力需要が少なく晴天といった条件がそろえば、制御をすることになるだろう」と分析している。

<再生エネへのエネルギー転換へ>
PS(2018/6/23、27追加):川内原発の地元で世論調査を行った結果、*4-1のように、再エネへの移行を望む県民の強い意識が明らかになったそうだ。特に鹿児島県は、火山や地震で原発が危険な反面、地熱発電は期待できるため、再生エネの主力電源化を国より先行して実施すればよいと考える。また、玄海原発の周辺地域とされている唐津市は、原発事故が起これば1分以内に汚染され、帰還困難区域になる場所も多いため、リスクを負う以上、*4-2のように、原発の地元として「地元同意」の対象になるのが当然である。
 なお、*4-3のように、使用済核燃料の最終処分場所も決まっておらず、現在は原発建屋内の使用済核燃料プールに水につかっただけで大量に保管されており、九電は燃料の間隔を詰めるリラッキングや乾式貯蔵施設を検討しているそうだ。しかし、これは、原発周辺住民の安全性について、原発建設時よりも規制緩和された取り扱いであり、とても見過ごすことはできない。

   
30年以内の大地震発生         地熱発電とその資源分布

*4-1:https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=92345 (南日本新聞 2018/5/8) [原発世論調査] 再生エネへの転換を急げ
 調査で浮かび上がったのは、原発再稼働に対する賛否にかかわらず、再生可能エネルギーへの移行を望む県民の強い意識である。国や県は再生エネへの転換を積極的に進めるべきだ。南日本新聞社は九州電力川内原発について電話世論調査を行った。再稼働の賛否では「よくなかった」「どちらかといえばよくなかった」が計50.0%、「よかった」「どちらかといえばよかった」は合わせて43.7%だった。注目したいのが、それぞれの理由(複数回答)である。再稼働に否定的な理由は「できるだけ早く再生可能エネルギーに移行すべき」が最多の45.0%、次が「福島の事故原因が究明されていない」の33.5%だ。肯定派の理由も、「再生可能エネルギーへの移行まで当面必要」が43.7%で最も多く、2番目の「雇用、経済活動、地域の活性化維持に不可欠」の41.6%をわずかに上回った。今後の原発政策についての考えは、「すぐにやめるべき」「できるだけ早くやめるべき」を合わせると6割に迫る。再生エネへの期待と脱原発の支持は、根強いものがあると受け止めたい。県は、2018年度から5年間で取り組む再生エネ施策の指針となる新ビジョンを公表している。意義や目標を県民に丁寧に説明し、導入を促進してもらいたい。一方、国が示す再生エネの将来像は、まだまだ物足りないと言わざるを得ない。政府は先月、対象期間を30年から50年までに拡大した新しいエネルギー計画の骨子案を有識者会議に示した。再生エネの主力電源化を進めると明記したことは前進だ。だが、30年度の発電割合を原発20~22%、再生エネ22~24%とする方針は変更せず、50年の新たな数値目標も示さなかった。原発を「重要なベースロード電源」と位置づける考えは変えていない一方で、新増設については盛り込んでいない。これでは原発の在り方についても、曖昧にしたままといえよう。経済産業省によると、15年の再生エネの発電比率は英国25.9%、ドイツ30.6%に対し、日本は16年で15.3%と見劣りする。日本は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で、50年に温室効果ガスを8割削減する国際公約を掲げている。夏に閣議決定されるエネルギー基本計画で再生エネ推進の道筋を明確にできるか。国際社会も注目しているはずだ。

*4-2:http://qbiz.jp/article/136262/1/ (西日本新聞 2018年6月23日) 唐津市が「地元同意」要求へ 玄海原発巡り、市長意向
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の「地元同意」の範囲が県と同町に限られていることを巡り、町に隣接する同県唐津市の峰達郎市長は22日、市議会原発対策特別委員会で対象に同市も含めるよう求める考えを明らかにした。地元同意については3月、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働と運転延長に関し、半径30キロ圏内の5市が加えられた。これを受け特別委も運転延長などで同意範囲の拡大を議論していた。峰市長は「5キロ圏も30キロ圏も人口は唐津市が玄海町より多い。(7月の玄海町長選後に)新町長と話の場を設けたい」と述べた。これに対し特別委に招致されていた九電立地コミュニケーション本部の八木繁部長は「(玄海と)東海第2とはリンクしない」と慎重な立場だった。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/235911 (佐賀新聞 2018年6月27日) 玄海3、4号機 使用済み燃料対策「時間がない」 九電、危機感示す、県議会原子力特別委
 佐賀県議会の原子力安全・防災対策等特別委員会(八谷克幸委員長、11人)は26日、九州電力の幹部を参考人招致し、再稼働した玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の使用済み燃料対策や保守体制についてただした。九電幹部は使用済み燃料対策について「時間がない」と危機感を示しながらも、原子力規制委員会への申請や着工の時期については4号機の使用前検査が完了していないことなどを理由に「検討中」とするにとどめた。玄海原発の使用済み燃料は3号機が約7年、1、2号機とプールを共用する4号機が約5年で容量を超える見込み。九電は対策として燃料の間隔を詰めて貯蔵量を増やすリラッキングや、特殊な金属製の容器に入れて空冷する乾式貯蔵施設を検討している。現状を問われた山元春義取締役は「社内で詰めている状況で、(原子力)規制庁に相談する前の段階」と説明。東京電力ホールディングスと日本原子力発電が今年12月までに運用開始を目指している中間貯蔵施設(青森県むつ市)については、林田道生立地コミュニケーション本部副本部長が「活用は検討していない」と述べた。3号機で3月末に発生した2次系配管からの蒸気漏れに対し「明らかにさびが確認でき、現場の意識に問題があるのでは」と九電の保守・点検体制を疑問視する質疑も相次いだ。林田副本部長は「一つの担当課だけでなく、週に1回程度の会議体で情報を共有している」と改善策を説明。異常事態は全て自治体に連絡するよう安全協定を改定すべきではという意見には、否定的な見解を示した。2015年に再稼働した川内原発1、2号機(鹿児島県)と合わせ、九電の原発が4基体制となったことで、管内電源の約3割を原発が占めるという見通しも示された。

<“空気” は読むだけのものか?>
PS(2018/6/24追加):私のことを、「“空気”が読めない(略して“KY”)」と批判したド阿呆な週刊誌があった。しかし、私は、「空気が読めない」のではなく、①“空気”を読んでも、間違っていれば勇気を持ってその“空気”を変え ②間違った“空気”でも、いちいち対応していると大変なので小さな問題なら無視している だけであり、他の人にも自己保身だけを考えるのではなく、淀んだ空気は勇気を持って変える努力をして欲しいと考えているのだ。
 また、 “空気”とは、1)どの範囲の“空気”かも定義しなければならないし 2)大勢の“空気”は善と限れるか についても考慮すべきだ。そのうち、1)については、身の回りや日本国内だけの空気を見ればよいわけではなく、2)については、差別やいじめのように、大勢で誤った行動をしている場合には、自分1人しかいなくても勇気を出して変えなければならない。そして、推薦入学世代の日本人には、その判断力・勇気・正義感が不足しているように思う。
 なお、無視すべき“空気”か、変えなければならない“空気”か、同調すべき“空気”かを判断するには、知識・経験・正義感・勇気などの総合力が必要で、それは教育や仕事を通じた研鑽の賜物であるため、*5の論調は的外れである。しかし、そもそも「空気を読む」という発想自体が、言わなくてもわかる同質性を前提としており、主体性にも欠ける。

*5:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21HAE_R20C17A9CR8000/ (日経新聞 2017/9/21) 必要な言葉の能力、「空気を読む」が大幅増 国語世論調査
 21日発表の文化庁の国語世論調査では「空気を読む」傾向が強まっていることが明らかになった。「これからの時代に特に必要な言葉の知識や能力」として「相手や場面を認識する能力」と回答した割合は19%で、2002年度の7%から大幅に増え、最も多い「説明したり発表したりする能力」(21%)に迫った。意見の表明や議論についての意識を聞いた質問では、人と意見が違うときに「なるべく事を荒立てないで収めたい方だ」という人の割合が62%で、同様の質問をした08年度より10ポイント高まった。交流サイト(SNS)などで特定の個人の投稿が拡散され、主に批判的なコメントが集まる「炎上」については「目撃した際に書き込みや拡散をするか」との問いに「(大体・たまに)すると思う」と答えた人の割合は3%にとどまった。年齢別で最も高いのは20代で、11%が「すると思う」と答えた。一方、言葉について困っていることや気になることを尋ねる質問(複数回答)には「流行語や新しい言葉の意味が分からない」と答えた人の割合が56%で、10年度より14ポイント高くなった。「年の離れた人たちが使っている言葉の意味が分からない」という人も31%と9ポイント増え、年代が上がると増える傾向があった。日本大の田中ゆかり教授は「(1980年前後生まれ以降を指す)デジタルネーティブ世代と高齢層の間では(言葉の)崖のようなものができつつある」とみている。

<玄海町・唐津市の新産業>
PS(2018/6/25追加):*6のように、各地で養蚕を先端技術でよみがえらせる取り組みが進んでいるそうだが、玄海町にもかつては桑畑があり、養蚕が下火になってからはタバコ栽培を行っている。しかし、タバコも健康に悪く、(遅ればせながら)日本でも禁止の方向にあるため、私は、玄海町は原発を辞めて山鹿市のような先端技術の養蚕を行い、医薬品や化粧品を九大・久光製薬・唐津市にある化粧品会社などと協力して作ってはどうかと考える。その方が高付加価値で、21世紀らしいスマートさがあるだろう。


    桑畑        山鹿市、蚕の無菌栽培      遺伝子組み替え蚕の大量栽培

*6:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32129650S8A620C1ML0000/?nf=1 (日経新聞 2018/6/24) ハイテクが紡ぐ「蚕業革命」 通年生産・光る糸・医薬
 かつて日本の近代化を支えた養蚕を先端技術でよみがえらせる取り組みが各地で進んでいる。熊本県ではクリーンルームを備えた世界最大級の工場で繭の量産が始まり、新潟県や群馬県などの企業や農家は遺伝子組み換え技術を応用して光る生糸や化粧品・医薬品をつくり出そうとしている。政府も「蚕業(さんぎょう)革命」として後押しする。熊本県北部の山鹿市の廃校跡地。2017年に完成した洗練された外観の建物で繭の量産が始まった。求人案内のあつまるホールディングス(HD、熊本市)が約23億円を投じて建設した世界最大級の養蚕工場だ。延べ床面積は約4千平方メートル。高品質のシルクの原料を効率的に大量供給し、生産性向上を目指す。カイコは伝統的な飼育法では餌になる新鮮な桑の葉を確保できる春から秋に年3回程度しか繭が取れない。餌やりや掃除は手間がかかり、感染症にかかりやすい難点もある。ところが、あつまるHDの島田裕太常務執行役員は新工場で「年間を通して高品質の繭を出荷する」と強調する。熊本大学物質生命化学科の太田広人特任准教授らと連携し、カイコが1年を通じて食べ、餌やりの手間も減らせる人工飼料を開発している。近くの山頂の耕作放棄地に設けた25万平方メートルの桑畑で無農薬栽培した桑の葉を乾燥保存し、特殊な添加剤を加えて与える。工場は無菌のクリーンルームで感染症の危険もなくした。カイコにとり快適な温度や湿度も保つ。カイコは現在30万頭を飼い、できあがる繭を集める収繭(しゅうけん)も毎月手掛け始めた。3年で3千万頭とし、繭の生産量を年間50トンと国内最大の群馬県を上回る規模に増やす。高品質のシルクの原料を安定供給する体制を築き、「化粧品やバイオ医薬品などに応用範囲を広げる」(島田常務執行役員)。山鹿市の中嶋憲正市長は「新たな産業を生み出す大きな可能性がある」とみて、桑畑の候補地の紹介や廃校跡の提供などさまざまな形で事業を支援してきた。有数の産地だった山鹿市での養蚕復活へ、今後も「シルク産業に関連する研究施設の誘致など全面的に応援していく」方針だ。農林水産省によると、養蚕農家はピークの1930年に約220万戸あったが、現在は約350戸に激減し、高齢化も著しい。しかし、飼育管理方法の向上や遺伝子組み換え技術の応用により、新たな可能性が開けてきた。農水省は「農山漁村にバイオ産業と雇用を生み出せる」とみて蚕業革命と名付けたプロジェクトを各地で支援する。着物の手入れなどを手掛ける、きものブレイン(新潟県十日町市)も繭の通年生産に挑む。カイコに無菌状態で特殊なホルモンなどを加えた餌を与え生育を早める。現在の飼育数は養蚕に参入した3年前の3倍の180万頭に達する。岡元松男社長は「1300年の織物の歴史がある十日町で新たなシルク産業を生み出す」と意気込む。京ちりめんの産地、京都府京丹後市は市内の廃校の一角で京都工芸繊維大と連携してカイコを大量に育てる研究を進めている。現在3万~4万の飼育頭数を今秋には20万に引き上げる計画だ。生産設備のエム・エー・シー(新潟県上越市)は新潟県妙高市でカイコ4万頭の飼育を始めた。これらもクリーンルームなど生産管理手法を生かす。遺伝子組み換え技術などを用いて養蚕から新たな価値を生み出そうという動きも活発になってきた。群馬県の農家では17年、緑に発色する蛍光シルクを生み出す遺伝子組み換えカイコの飼育が始まった。組み換え生物を規制するカルタヘナ法に基づく農林水産相の承認を得て、「初めて研究室の外で飼育する」(農水省)取り組みだ。衣服のほか、光る壁紙などさまざまな生活用品への利用を見込む。群馬県蚕糸技術センター(前橋市)は青やオレンジ色に蛍光したり、色乗りが良くなったりするシルクの試験飼育も進める。シルク化粧品製造のアーダン(鹿児島県奄美市)は、生体になじみやすいなどシルクの特性を生かした独自技術で特許を取得した。繭に含まれるシルクフィブロインというたんぱく質を使い、傷口が直りやすく傷も残りにくい軟こうやフィルムの開発を進めている。遺伝子組み換えカイコを使い、一段と効果的な塗り薬も開発する。18年から奄美大島の1万8千平方メートルの畑で地元特産の島桑(しまぐわ)の栽培も始めた。同社の藤原義博・研究開発室長は「かつて栄えた奄美の養蚕で地域経済を活性化させたい」と話す。
■収益確保、需要開拓カギ
 「カイコの技術で日本は世界のトップランナー」。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)の門野敬子・新産業開拓研究領域長は強調する。養蚕が伝わった1~2世紀以降、飼育や品種改良の工夫が積み重ねられ、基礎的な研究の成果も相当の厚みがあるという。2000年にはカイコの遺伝子組み換えに農研機構が世界で初めて成功。組み換えを生かした研究開発に弾みが付いた。企業では日東紡グループが血液診断薬、免疫生物研究所が化粧品原料の保湿成分を製品化。蛍光色を持つ生糸を使ったウエディングドレスなども登場している。1つの繭から取れる糸の長さは千メートル強。細さは0.01~0.02ミリだが同じ重さの鉄線より切れにくい。主成分がたんぱく質であり、人体から異物として排除されにくいといった利点もある。繊維のほかにも、医薬品関連など多方面の企業から「問い合わせが入ってくる」(門野領域長)という。ただ、先端分野でも中国などの追い上げが急で、「シルク産業の先行きは決してバラ色ではない」と京都工芸繊維大学の森肇教授は指摘する。中国からさえ新興国へ生産が移り、価格の国際競争は極めて厳しい。独自性があっても光る糸など新素材がどれだけ受け入れられるかは不透明だ。先端シルクの含有量を調節して価格を抑えたり、医薬など高付加価値品の比重を高めたりして、収益を確保しつつニーズを切り開く戦略も求められる。

<ゼロ・エミッションへの転換>
PS(2018年6月26日追加):*7-1のように、東京都の小池知事は温暖化ガス削減に向けて、都内の新車販売に占める排ガスゼロ車の割合を、2030年までに5割へ引き上げる方針を出されたが、私は、これを野心的だとは思わない。何故なら、日本のEV(日産自動車)・FCV(三菱自動車)は、世界のZEV(Zero Emission Vehicle)の先駆けだったにもかかわらず、メディアやガソリン関係の会社をはじめとする抵抗勢力の妨害によって遅れ、現在では中国はじめ各国の後塵を拝しているからだ。そのため、東京都は、2020年のオリンピック時には、ZEV以外の都内への乗り入れを禁止するくらいの措置をとってもよく、そうすれば乗用車・トラック・バスなどのZEV化が一気に進んで、ZEVの製造コストが下がる。なお、奈良・京都のような歴史的建造物を有する地域も、排気ガスによる汚れを防ぐため、同様の規制をした方がよいと考える。
 また、ガソリン需要の低減に伴い、*7-2のように、ガソリンスタンドは廃業が相次いでいるそうだが、ガソリンスタンドの役に立つ部分は残して、洗車や自動車用・家庭用の(タンクに充填された)燃料電池交換など、臨機応変に新たなニーズに対応すればよいだろう。

*7-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180626&ng=DGKKZO32183000V20C18A6L83000 (日経新聞 2018年6月26日) 都、排ガスゼロ車5割目標 国へ対抗意識鮮明に
 東京都の小池百合子知事は温暖化ガスの削減に向け、環境に配慮した自動車の新たな普及目標を打ち出した。都内の新車販売に占める排ガスゼロ車の割合を、2030年までに5割へ引き上げる。国の目標の3割を大幅に上回る野心的な数値だ。かつて自身が主導した「クールビズ」のようなムーブメントの再来を狙うが、課題は多い。「『ゼブ』を流行語大賞にしたい」。5月下旬、小池知事は日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」のフォーラムで訴えた。ゼブ(ZEV)とは、EVや燃料電池車(FCV)などの排ガスゼロ車を意味するZero Emission Vehicleの略。メーカー関係者にはなじみがあっても、一般には知られていない。都の推定によると、17年度の排ガスゼロ車の新車販売比率は都内で約2%にとどまる。EVの普及を妨げているのはエネルギーに使う電池の問題が大きい。リーフの航続距離は400キロメートルでガソリン車と開きがある。「街乗り」には適しているが、充電を忘れると長距離ドライブは難しい。小池知事は「メーカーにはペダルを踏んで頂きたい」と、さらなる技術開発を促した。普及を進めていくためには、充電施設の整備も不可欠になる。都内にはガソリンスタンドが約1千カ所あるが、EVの急速充電が可能な施設は270カ所ほど。しかも、充電器を1、2台しか備えていない施設も多い。FCVの燃料補給に必要となる水素ステーションに至っては都内で14カ所しかない。それでも小池知事があえて野心的な目標を掲げるのは、国への対抗意識がありそうだ。新車販売に占める排ガスゼロ車の目標は国が30%なのに対し、都は50%。受動喫煙防止対策で国を上回る規制方針を掲げたのと同様だ。都幹部は「施策を担当する環境局には、知事から期待とともにプレッシャーがかかっているようだ」と明かす。都はマンションに充電設備を設置する際の補助を始めたほか、都営バス車両にFCVの導入を進めるなど対応を急ぐが、独自の取り組みだけでは限度がある。今後、都民や企業の賛同や協力を地道に取り付けていくことが求められる。小池知事は8月に4年任期の折り返しを迎える。かつて環境相も経験し、環境政策は最も得意と自負する分野の一つだ。排ガスゼロ車の普及を目指した取り組みは、「環境の小池」を強くアピールし、再選戦略につなげようとする思惑もみえる。

*7-2:http://qbiz.jp/article/136361/1/ (西日本新聞 2018年6月26日) 廃業GSを解体せず活用 コインランドリーや車販売店に 屋根や駐車空間を生かし
 九州各地で廃業が相次ぐガソリンスタンド(GS)の跡地を、新たな店舗として活用する動きがさらに広がっている。建物を解体すると多額のコストがかかるため、屋根や事務所をそのまま利用。幹線道路沿いにあり駐車スペースも広いなど、GS特有の立地を生かしている。一方で残ったGSの拠点網をどう維持するか課題も多い。「大型トラックなども入れるよう道路からの間口が広く、お客さまが出入りしやすい」と説明するのは、コインランドリーを運営するWASHハウス(宮崎市)。同社は現在、九州の7カ所でGS跡地に出店。そのうち大分県と宮崎県の2カ所は、屋根や事務所などの建物をそのまま使っている。屋根が広く、雨天でも洗濯物がぬれずに済むなどのメリットがある。毎月1〜2回、子どもの布団の洗濯で挾間店(大分県由布市)を利用する近所の主婦(40)は、「屋根で日陰があり、暑い日も車の中で待てる」と話す。福岡市博多区の国道3号沿いにある福岡夜間救急動物病院も、2004年にGS跡地を活用して開業。幹線道路沿いで、遠方から駆け込む人にも屋根が目立つことなどが出店の決め手になったという。
   ◇    ◇
 GS運営会社も、跡地を活用した別業態の店舗運営に乗り出している。大分県と宮崎県でGS87店舗を運営する東九州石油(大分市)は、14年に新古車の販売業務を開始。16年には、閉店した大分県由布市挾間町のGSを、自動車販売店に改装した。通常、GSを更地に戻すには、地下にあるタンクや、店を囲む高さ2メートルの防火壁などの撤去費用が数百万から1千万円近くかかる。そのため同社も防火壁や事務所、洗車機はそのまま活用。敷地内に販売車を並べ、事務所は商談ルームに改装した。管理部本部の竹内誠治課長は「GSで給油していただいたお客さまに、車の買い替えから洗車、車検、保険手続きまで一括して請け負うことでサービスを強化したい」と話す。
   ◇    ◇
 GSの転換が続く背景には、ガソリンの需要減によるGS運営会社の経営悪化がある。自動車の燃費が向上したのに加え、11年の消防法改正で、古い地下タンクの改修が義務付けられたことも、廃業を加速させた。資源エネルギー庁によると、九州の給油所数は1994年度末の8223カ所から毎年減少し、16年度末には4369カ所とほぼ半減した。建物や地下タンクの撤去費用を出せないGSの中には、「休業」扱いで何年も閉店したままの店も少なくない。一方で、地域のインフラとしてGSの店舗網の維持も求められている。GSの経営改善を後押しするため、経済産業省は現在、規制緩和を検討。収益力向上のため、コンビニ併設などサービスの多角化や、電気自動車(EV)の充電設備や燃料電池車への水素供給など次世代燃料への対応、IT活用による人手不足解消などを後押しする方針だ。

<原発の高コスト体質>
PS(2018年7月5日追加):*8-1のように、世界では再エネのコストが下がり、再エネの短所と言われていたことも解決しつつあるのに、「エネルギー基本計画」で原発を「ベースロード電源」と位置付け、原発依存度をフクイチ以前に戻そうとしているのは、日本特有の思考停止であり、技術進歩の邪魔をしているものである。また、*8-2のように、原発は発電ゼロでも維持管理に膨大な人手を要し、使用済核燃料の保管にも資金と人手を要するものだ。

*8-1:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-753138.html (琉球新報社説 2018年7月5日)  エネルギー計画 見せかけだけの原発低減
 中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」を政府が閣議決定した。原子力発電については、2014年の前計画同様、可能な限り依存度を低減させる―とうたいながら、エネルギー供給の安定性に寄与する「ベースロード電源」と位置付けている。11年3月11日の福島第1原発事故によって明白になったのは原子力の制御技術に重大な不備があることだ。事故はいまなお収束に至らず、避難指示の対象は約2万4千人に上る。原発周辺住民の多くは「絶対安全」と力説する政府や東京電力の宣伝を信じた揚げ句、住まいや生活の糧を奪われ、健康を脅かされた。「国策詐欺」の被害者と言っていい。原発の安全性に対する不信感がある中で、政府は30年度の電源構成比率を15年に決定、原発は20~22%とした。エネルギー基本計画は、その実現を目指す方針を盛り込んでいる。原発の発電割合を見ると、東日本大震災前の10年度は25・1%だったが、原発事故を機に急落し16年度は1・7%にすぎない。20~22%の目標値は現状から比べると大幅な増大になる。経済産業省資源エネルギー庁がホームページに公開した資料「新しいエネルギー基本計画の概要」には、震災前と30年度(目標)の電源構成比率が記され、16年度の数値には触れていない。「依存度を低減させる」というのは表向きで、実際は、原発事故以前の水準に近づけようとしている。まるで「羊頭狗肉(ようとうくにく)」だ。政府は、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発について再稼働を進める方針だが、目標の実現には30基程度を稼働させる必要があり、非現実的との指摘がある。本音では、原発の新増設も視野に入れているのだろう。もともと10年のエネルギー基本計画では30年までに14基以上の原発を増設すると明記していた。原発の運転に伴い生成される猛毒のプルトニウムは「地獄の王の元素」と呼ばれる。プルトニウム239の場合、放射能が半分になる半減期は約2万4千年。気が遠くなるほどの年月だ。これほどの長い間、どうやって核のごみを管理できるのか。原発は、短期的には経済上のメリットをもたらすかもしれないが、放射能を完全に制御する技術が確立されていない中では、子々孫々に災いの種を残すだけだ。新たなエネルギー基本計画が、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱などの再生可能エネルギーを「主力電源化」すると明記したのは当然の流れと言えよう。日本の再生エネへの取り組みは欧州などに比べて立ち遅れている。集中的に研究開発を進めることで、真の意味で「原発依存度の低減」を実現すべきだ。

*8-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13392314.html (朝日新聞 2018年3月8日) 発電ゼロ、人手は膨大 未稼働原発、千人単位で連日作業
 発電ゼロの原発に、5年間で計5兆円超ものお金が電気代からつぎ込まれていた。核燃料を扱う特殊な施設。止まっていても再稼働が見通せなくても、維持・管理には毎日数千人単位の人手が必要だ。東日本大震災で原子炉建屋にひびが入った東北電力女川原発(宮城県)。3基とも震災以降、一度も動いていない。しかし原発内では毎日、東北電やプラントメーカー、建設業者の作業員ら計約2千人が働いている。震災前より数百~1千人ほど多いという。3基はいずれも「定期検査中」の位置づけだ。原発は止まっていても、法令に基づき約1年に1度、安全維持のための検査が義務づけられている。防潮堤のかさ上げなど安全対策工事も加わる。女川原発の神田貴生・報道担当課長は「順番に1基ずつ止める通常の定期検査より、同時に止まっている今の方が作業は多い」と説明する。3基は運転開始から16~33年。女川3基と東通原発1号機(青森県)に費やした「原子力発電費」は2016年度、940億円だった。神田課長は「適合性審査が進む2号機に続き、1、3号機も準備が整えば審査の申請を考えたい」と話す。総発電量で世界最大規模の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)。福島第一原発事故の処理にあたる東電にとって、6、7号機の再稼働は会社の命運を握る。構内では約6千人が作業する。12年の全基停止から6年、作業員数は変わらない。東電によると、発電していなくても機器の保守や点検があり、防潮堤や貯水池、軽油の地下タンクの整備など一連の安全対策工事(6800億円)が続く。平日は毎朝、入構する車両で正門前に渋滞ができる。地元の電気設備業「品田電業社」(従業員35人)は、社員6人が同原発構内で作業している。品田史夫社長(44)は「安全対策工事で、売り上げに占める原発の割合は増えた」と話す一方、同工事の完了を見越し、「再稼働すれば東電は原発の設備投資を増やすはず」と期待を寄せる。
<電力各社でつくる電気事業連合会の話> エネルギー自給率が極めて低い日本の実情を考えれば、原子力を含めた多様なオプションを持っておくべきだ。このため電力各社は原発の安全確保に万全を期すため必要となる経営資源を投入し、対策及び設備の維持管理を行っている。安全が確認されたプラントについては立地地域をはじめ、広く社会の理解を得た上で、有効活用していきたいと考えている。
■<視点>現実みすえた選択必要
 平均すれば年に1兆円。福島原発事故後、中堅国の国家予算に匹敵する金額が毎年、発電ゼロの原発に費やされてきた。いまだ5万人超が避難する原発事故から7年近く。原子力規制委員会の審査は厳格化し、小型で老朽化した原発ほど再稼働のメリットは小さくなった。それでも電力各社は「いったん再稼働すれば効率的」と、維持費をかけ続けている。変化の兆しもある。関電は昨年12月、大飯1、2号機(福井県)の廃炉を決めた。再稼働には安全対策費がかさみ、大型炉でも採算が合わないと判断したとみられる。廃炉を選んでも費用はかかるが、原子力発電費から切り離され、支出の使途や日程は明確になる。原発には自然災害リスクや放射性廃棄物の最終処分という未解決の問題がある。世論調査でも再稼働に反対の意見が多い。発電ゼロで維持費を投じ続け、再稼働を求めるのか、廃炉か。厳しい選別が迫られている。

<健康被害等の大きなコスト>
PS(2018年7月11日追加):*9-1のように、東京電力福島第1原発事故の後、福島県内の全ての子ども38万人を対象に実施している甲状腺検査は2011年度に開始され、2018年に4巡目が始まって、これまでがんと確定したのは162人、疑いが36人いるが、これにも11人の集計漏れがあり、甲状腺癌の発生率は高い。
 放射線の人体への影響は、*9-2のように、2015年8月25日に休刊に追い込まれた月間宝島が2015年4月号に記載しているとおり、1)周産期死亡率の上昇 2)小児甲状腺癌の発症率上昇 3)白血病・その他の癌の年齢調整発症率上昇 4)急性心筋梗塞の年齢調整死亡率上昇 などがある。そして、*9-3のように、チェルノブイリ原発事故のケースに基づいて、原因分析も既に行われている。そのため、放射性物質が人体や動植物に与える影響を知らせることは、福島県の人への差別ではなく、正当な注意を行うための重要な情報であり、放射性物質の影響を過小評価すれば、大人も子どもも、いきとどいた健康診断や病気を発症した場合の正確な補償が行われないというむごい事態になる。
 それにもかかわらず、「不安を煽る」として、生物に対する膨大なコストを測定する正確な疫学調査も行わず、*9-4のように、経産省主導で次世代原子炉を官民共同開発し、「冷却に水ではなくガスを使うため非常時も水蒸気爆発を起こす懸念がない」などとしているのはあまりにも馬鹿げた無駄遣いである。原子炉を冷却した後の高温で放射脳を帯びた大量のガスは空気中に排出するのだろうが、それでは緊急時どころか平時から原発周辺では放射性物質関連の病気が多発することになり、気温も上がるからだ。



   
               2015.3.24、2015.3.9宝島ほか
                
*9-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018070701001949.html (東京新聞 2018年7月7日) 福島の甲状腺がん集計漏れ11人 検査の信頼性揺らぐ
 東京電力福島第1原発事故の後、福島県が県内全ての子ども約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、集計から漏れていた甲状腺がん患者が11人いることが7日、関係者への取材で分かった。事故当時4歳以下も1人いた。県内で多く見つかっている子どもの甲状腺がんと事故との因果関係を調べる検査の信頼性が揺らいだ格好だ。福島市で8日に開かれる県の「県民健康調査」検討委員会の部会で報告される。県の検査は2011年度に開始、今年5月から4巡目が始まった。これまでがんと確定したのは162人、疑いは36人に上る。

*9-2:http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/2015-03.html (宝島 2015年3月25日) 福島県の汚染地帯で新たな異変発覚!「胎児」「赤ちゃん」の死亡がなぜ多発するのか?~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第6回 後編】~
 最新2013年の「人口動態統計」データを入手した取材班は、高い放射能汚染に晒されている「17の市町村」で、周産期死亡率が急上昇している事実に辿り着いた。ジャーナリストが自力で行なう「原発事故による健康への影響調査」最終回!
■小児甲状腺ガン、急性心筋梗塞「汚染17市町村」で同時多発
 福島第一原発事故発生当時、18歳以下だった福島県民の人口は36万7707人。そのうち、14年12月末時点で甲状腺ガン、またはその疑いがある子どもの合計は117人である。この数字をもとに、福島県全体の小児甲状腺ガン発症率を計算してみると、10万人当たり31.8人となる。これでも相当な発症率であり、十分「多発」といえる。14年度の検査で新たに「甲状腺ガン、またはその疑いがある」と判定されたのは8人だが、そのうちの6人が「汚染17市町村」の子どもたちである。「汚染17市町村」における小児甲状腺ガン発症率を計算してみると、同33.0人と県平均を上回り、より多発していることがわかった。「汚染17市町村」では、急性心筋梗塞も多発している。【図5】は、同地域における過去5年間の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率を求めたものだ。最新13年の年齢調整死亡率は、福島県全体(同27.54人)を上回る同29.14人。おまけにこの数値は、12年(同29.97人)から“高止まり”している。つまり「汚染17市町村」が、福島県全体の同死亡率を押し上げていた。周産期死亡率、小児甲状腺ガン発症率、さらには急性心筋梗塞年齢調整死亡率のいずれもが、「汚染17市町村」で高くなる。これは、福島第一原発事故による「健康被害」そのものではないのか。それとも、偶然の一致なのか。本誌取材班は、東京電力を取材した。同社への質問は、
①原発事故発生後の「福島県における周産期死亡率の上昇」は、原発事故の影響によるものと
  考えるか。
②原発事故発生後の「汚染17市町村における周産期死亡率の上昇」は、原発事故の影響による
  ものと考えるか。
③「汚染17市町村」で周産期死亡率と急性心筋梗塞年齢調整死亡率がともに上昇していること
  は、この中に、被曝による「健康被害」が内包されている可能性を強く示唆している。
  これに対する見解をお聞きしたい。
という3点である。取材依頼書を送ったところ、東京電力広報部から電話がかかってきた。
       *
「(記事を)読む方が、心配になったりするような内容ではないんでしょうかね?」
─「心配になる内容」とは?
「質問書をいただいた限りだと、『震災以降、率が上がっている』といったところで、特に不安を煽るような内容になったりするのかなと、個人的に思ったものですから」
─「不安を煽る」とはどういうことでしょうか?質問した内容はすべて、国が公表したデータなど、事実(ファクト)に基づくものです。
「ファクトですか」
─はい。
「国等(とう)にも当社と同様にお聞きになった上で、記事にされるんでしょうかね?」
─はい。そうです。
      *
 その後、同社広報部からファクスで次のような“回答”が送られてきた。「人口動態統計での各死亡率等についての数値の変化については、さまざまな要因が複合的に関係していると思われ、それら変化と福島原子力事故との関係については、当社として分かりかねます」。しかし、「分かりかねる」で済む話ではない。そもそも、日本国民の「不安を煽る」不始末を仕出かしたのは東京電力なのである。それを棚に上げ、事実を指摘されただけで「不安を煽る」などという感情的かつ非科学的あるいは非論理的な言葉で因縁をつけてくるとは、不見識も甚だしい。自分の会社の不始末が「国民の不安を煽っている」という自覚と反省が不十分なようだ。猛省を促したい。<東京電力は、原因究明を「県民健康調査」に丸投げした>
■環境省「放射線健康管理」の正体を暴く
 続いて、国民の健康問題を所管する厚生労働省に尋ねた。
      *
「それは、環境省のほうに聞いていただく話かと思います」
─原発事故による住民の健康問題は、環境省に一本化されていると?
「そうですね」
      *
 ご指名に基づき、環境省を取材する。面談での取材は「国会対応のため、担当者の時間が取れない」との理由で頑なに拒まれ、質問への回答は、同省総合環境政策局環境保健部放射線健康管理担当参事官室よりメールで寄せられた。回答は以下のとおり。
「昨年12月22 日に公表された、『東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議』の中間取りまとめによれば、
●放射線被ばくにより遺伝性影響の増加が識別されるとは予想されないと判断する。
●さらに、今般の事故による住民の被ばく線量に鑑みると、不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない。とされています」。環境省は、たとえ周産期死亡率や急性心筋梗塞年齢調整死亡率が増加したとしても、それは原発事故の影響ではない─とした。その根拠は「専門家会議の中間取りまとめ」が、原発事故の影響でそうした疾患が増加することを予想していないからなのだという。ちなみに、「専門家会議」を所管しているのは、この回答の発信元である同省の「放射線健康管理担当参事官室」である。科学の権威たちが揃って予想だにしないことが起きたのが福島第一原発事故だったはずだが、あくまで「予想」に固執する環境省は同じ轍(てつ)を踏みそうだ。もちろん、科学が重視すべきは「予想」より「現実」である。環境省の説が正しいとすれば、原因は別のところにあることになり、それを明らかにするのが科学であり、それは環境省が拠りどころとする「専門家会議」の仕事のはずだ。だが、その原因を特定しないまま、環境省は端から全否定しようとするのである。なぜ、環境省は現実から目を逸らし、真正面から向き合おうとしないのか。身も蓋もない言い方だが、環境省が現実に目を向けることができないのは、昨年12月に出したばかりの「中間取りまとめ」を、環境省自身が否定することになりかねないからなのである。つまり、本誌取材班の検証で明らかになった「汚染17市町村」での周産期死亡率や急性心筋梗塞年齢調整死亡率の増加の事実は、「専門家会議の中間取りまとめ」の「予想」結果を根底から覆しつつ「権威」を失墜させ、その贋物性を白日の下に曝け出してしまうものだった。「中間取りまとめ」が予想していない疾患の増加はすべて「原発事故の健康被害ではない」として、頭ごなしに否定する環境省の姿勢は、かつて「日本の原発は事故を起こさない」と盛んに喧伝してきた電力御用学者たちの姿を彷彿とさせる。2012年7月に出された国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の報告書は、「歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電力事業者の『虜』となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」としていた。環境省もまた、電気事業者の「虜」となっているようだ。そう言われて悔しければ、「現実に向き合う」ほかに名誉挽回の道はない。このように不甲斐なく、頼りにならない環境省のおかげで、このままでは「汚染17市町村」での“健康異変”は十把一絡(じっぱひとから)げにされ、かつて「水俣病」が発覚当初に奇病扱いされたように、原因不明の奇病「福島病」とされてしまいそうである。メチル水銀中毒である「水俣病」に地域の名前が付けられたのは、加害企業の責任をごまかすべく御用学者が暗躍し、「砒素(ひそ)中毒説」などを唱えたことにより、原因究明が遅れたことが原因だった。これにより、病気に地域名が付けられ、被害者救済も大幅に遅れることになったのである。従って、「汚染17市町村」で多発する病気に「福島」の名が冠されるようになった時の原因と責任は、すべて環境省にある。(『宝島』2015年4月号)

*9-3:https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-7051 (中村ブログ2011/10/12より抜粋)
  最近、セシウムの毒性に関する大変重要な冊子が、茨城大学名誉教授久保田護氏により翻訳、自費出版されました。元ゴメリ医大学長、バンダジェフスキー博士の『人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響―チェルノブイリの教訓セシウム137による内臓の病変と対策―』です。(この本は売り切れて、新しい本『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響: チェルノブイリ・原発事故被曝の病理データ』(合同出版社)が出ています)。食物中のセシウム摂取による内部被曝の研究がほとんどない中、バンダジェフスキー博士は、大学病院で死亡した患者を解剖し、心臓、腎臓、肝臓などに蓄積したセシウム137の量と臓器の細胞組織の変化との環境を調べ、体内のセシウム137による被曝は低線量でも危険との結論に達しました。
以下に要点をまとめます。
【体全体への影響】
*セシウム137の体内における慢性被曝により、細胞の発育と活力プロセスがゆがめられ、体内器官(心臓、肝臓、腎臓)の不調の原因になる。
*大抵いくつかの器官が同時に放射線の毒作用を受け、代謝機能不全を引き起こす。
*セシウムの濃度に応じて、活力機構の破壊、たんぱく質の破壊が導かれ、組織発育が阻害される。
*セシウムの影響による体の病理変化は、合併症状を示し、長寿命体内放射能症候群(SLIR)といわれる。SLIRは、セシウムが体内に入ったときに現れ、その程度は入った量と時間とに相関する。
*SLIRは、血管、内分泌、免疫、生殖、消化、排尿、胆汁の系における組織的機能変化で明らかになっている。
*SLIRを引き起こすセシウムの量は、年齢、性別、系の機能の状態に依存するが、体内放射能レベルが50Bq/kg以上の子供は機関や系にかなりの病理変化を持っていた。心筋における代謝不調は20Bq/kgで記録された。
*汚染地帯、非汚染地帯の双方で、わずかな量の体内セシウムであっても、心臓、肝臓、腎臓をはじめとする生命維持に必要な器官への毒性効果が見られる。
【心臓への影響】
*生命維持に必要な多くの系で乱れが生じるが、その最初は心臓血管系である。心筋のように、細胞増殖が無視できるかまったくない器官や組織は、代謝プロセスや膜細胞組織に大きな影響が生じるため、最大の損傷を受ける。
*ミンスクの子供は20Bq/kg以上のセシウム137濃度を持ち、85%が心電図に病理変化を記録している。
*ミンスクの子供で、まれに体内放射能が認められない場合もあるが、その25%に心電図変化がある。このように濃度が低くても、心筋に重大な代謝変化を起こすのに十分である。
【血管系への影響】
*血管系が侵され、高血圧が幼児期からも見られることがある。
*セシウムは血管壁の抗血栓活性を減退させる。
*血管系の病理学的変化は、脳、心臓、腎臓、その他の機関の細胞の破壊を導く。
*体内のセシウム濃度の高い子供の間で、白血球の数の減少が見られた。最初に減ったのがバチルス核好中球と単球であり、同時にリンパ球の数が増大した。
*動物実験では、絶対的赤血球数と相対的核好中白血球の数の減少が起きた。
*40キュリー/km2以上の地域から汚染の少ない地域に移住した子供の骨髄球の生理状態が回復したことは注目に値する。
【腎臓への影響】
*セシウムは腎臓機能を破壊し、他の器官への毒作用や動脈高血圧をもたらす。ゴメリにおける突然死の89%が腎臓破壊を伴っている。
*腎臓もセシウムの影響を強く受けるが、放射線による腎臓の症状は特徴がある。また病気の進行が早く、悪性の動脈高血圧がしばしば急速に進む。2-3年すると、腎臓の損傷は慢性腎機能不全、脳と心臓との合併症、ハイパーニトロゲンミアを進展させる。
【肝臓への影響】
*肝臓においては、胎児肝臓病や肝硬変のような厳しい病理学的プロセスが導かれる。
*免疫系の損傷により、汚染地ではウィルス性肝炎が増大し、肝臓の機能不全と肝臓ガンの原因となっている。
【甲状腺への影響】
*セシウムは、甲状腺異常にヨウ素との相乗関係を持って寄与し、自己免疫甲状腺炎や甲状腺ガンの原因となる。
【母体と胎児への影響】
*セシウムは女性の生殖系の内分泌系機能の乱れをもたらし、不妊の重要因子となりえる。また、妊婦と胎児両方でホルモンの不調の原因となる。
*月経サイクルの不調、子宮筋腫、性器の炎症も見られる。
*母乳を通じ、母体は汚染が低くなるが、子供にセシウム汚染は移行する。多くの系がこの時期に作られるので、子供の体に悪影響を与える。
*1998年のゴメリ州での死亡率は14%に達したが、出生率は9%(発育不全と先天的障害者含む)だった。妊娠初期における胎児の死亡率がかなり高かった。
*セシウムは胎児の肝臓病を引き起こし、その場合胎児は肝臓に限らず、前進の代謝の乱れが生じる。
【免疫系への影響】
*免疫不全により、結核が増加している。
*免疫系の障害が、体内放射能に起因することは、中性白血球の食作用能力の減退で証明されている。
【神経系への影響】
*神経系は体内放射能に真っ先に反応する。脳の各部位、特に大脳半球に影響を及ぼし、さまざまな発育不良に反映される。
*生命維持に不可欠なアミンや神経に作用するアミノ酸の内部被曝による変動は外部被曝と比べ、顕著である。
*セシウム137の体内量と自律神経系の機能障害は相関する。
*動物実験で発情期のメスに神経反応の組織障害が起こる。
*ウクライナの学者は、大脳の差半球で辺縁系小胞体組織の異常があると述べている。
【消化器系】
*セシウムが体内に長期間入っている子供に、慢性胃腸病を引き起こす。
【視覚器官】
*ベトカとスベチロビッチ(15―40キュリー/km2)に住んでいる子供では、子供の視覚器官の変化はそれぞれ93.4%と94.6%だった。
*白内障発生率とセシウム137の量に明白な正比例関係が見られた。
【相乗作用】
*セシウムの影響は、ニコチン、アルコール、ハイポダイナミアと相乗して憎悪される。
【男女差】
*セシウムは男性により多く取り込まれやすく、女性より男性により強い影響が出ており、より多くのガン、心臓血管不調、寿命の低下が見られる。
【疫学調査】
*1976年と1995年のベラルーシの比較。悪性の腎臓腫瘍が男4倍以上、女2.8倍以上。悪性膀胱腫瘍が男2倍以上、女1.9倍以上。悪性甲状線腫瘍が男3.4倍以上 女5.6倍以上。悪性結腸腫瘍は男女とも2.1倍以上。
*ゴメリ州では腎臓ガンは男5倍、女3.76倍。甲状線ガンは男5倍、女10倍となった。
【セシウム排出製剤】
*セシウムの排出に、カリエイ土を加えたペクチン製剤のペクトパルは最も将来性がある製剤のひとつだが、セシウムが人体に入るのを防ぐほうが、それを排出したり乱れた代謝を正常にするより容易なことを心に留めるべきである。
     *      *      *
「チェルノブイリ原発事故による健康被害は、甲状腺ガンだけ」というのがウソだということが様々なデータや証言、動画などから明らかになっている。
★チェルノブイリによる放射能災害  国際共同研究報告書
ウクライナにおける事故影響の概要 から抜粋 
ドミトロ・M・グロジンスキー:ウクライナ科学アカデミー・細胞生物学遺伝子工学研究所(ウクライナ)
 穀物,野菜,牧草,果物,牛乳,乳製品,肉そして卵までもが放射能で汚染され,その汚染は時には,それらの食物を廃棄しなければならないほど強いものであった。ウクライナ人全体の被曝は主として,チェルノブイリ事故後に強制避難させられた地域以外の放射能汚染によってもたらされた。
<放射線生態学的影響>
 チェルノブイリ事故による放射線生態学的影響の主なものは以下のとおりである。
1、厖大な核分裂生成物が大気中に放出され,生態系に侵入した.放射能は,地上の生態系のあらゆる部分に拡がり,結果的に,微生物,きのこ,植物,昆虫,その他の動物,そして人間まで,すべての生き物が放射能で汚染された。
2、 放射能は地下水に移動し,また表層の水をも汚染した。
3、放射能が食物連鎖に入り込み,人間に達した.大人も子供も,また人間の周囲にあるあらゆるものが放射能で汚染された.たとえば,キエフ中心部の樹木の葉は,1986年に7万~40万Bq/kgの放射能を含んでいた。
4、放射能が生物圏に侵入したため,多数の人間を含めて,すべての生き物に対して,被曝を与えることとなった.チェルノブイリ原発事故の放射性降下物から人間が被曝する経路には次の3つがある.第1に,地表に沈着した放射性物質からの外部被曝,第2に,大気中を漂う放射性物質の吸入,第3に,汚染した食べ物を食べることである.全体の被曝の中で,汚染した食べ物を食べることから生じる被曝が特に大きい.外部被曝に比べて内部被曝の方が,はるかに高い生物学的な影響をおよぼすことにも注意しておこう。
5、天然のバックグラウンド以上に被曝することは,人間にさまざまな病気を引き起こすし,放射能汚染地域の動植物群の状態を変化させる。
<子供たちの健康状態>
 チェルノブイリ事故で被曝した子供では,1987年から1996年まで慢性疾患がたえず増加してきた.表14は,チェルノブイリ被災地域の子供の発病率と罹病率の値である。この約10年間で,罹病率は2.1倍に,発病率は2.5倍に増加した.罹病率の増加が最も激しいのは,腫瘍,先天的欠陥,血液,造血器系の病気であった.最も罹病率が高いのは,第3グループ(厳重な放射線管理下の住民)の子供たちである.同じ期間において,ウクライナ全体の子供の罹病率は,20.8%減少していることを指摘しておく。このように,被災地域の子供たちの罹病率は,全ウクライナ平均での子供の罹病率をはるかに超えている。同じ期間に,先天的欠陥の発生率は5.7倍に,循環器系および造血器系の罹病率は5.4倍に増加している。他の地域の子供に比べ,問題の子供たちのガン発生率も明らかに大きい.被災地域の子供の,腫瘍発生率は1987年からの10年間で3.6倍に増加している.ガンの種類によって,その死亡率の増加傾向は,必ずしも一定していない.しかし,汚染地域の子供のガン死亡率は,他の地域の子供よりも大きくなっている.

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180711&ng=DGKKZO32841680Q8A710C1MM8000 (日経新聞 2018年7月11日) 次世代原子炉、官民で 年度内に協議体 安全・コスト減に力
 官民が共同で次世代の原子炉の開発に乗り出す。経済産業省は2018年度中をめどに、電力大手や原子炉メーカーなどが参加する協議体を作る検討に入った。より安全性を高めた低コストの原子炉の開発や事業化で連携する。東日本大震災後、国内の原発の稼働は落ち込んでいる。各社が協力する場を設けて新設を後押しし、業界再編の布石にすることも狙う。3日に閣議決定した新たなエネルギー基本計画では、原子力を今後も重要な電源として活用していく方針を示したが、活用に向けた具体策は先送りしていた。原発の新増設や建て替えを進めやすくするため、官民で協力する体制を整える。国内では2011年の東京電力・福島第1原発の事故後にすべての原発が停止。再稼働したのは関西電力や九州電力などの計9基のみだ。経産省は2030年の電源構成について原発で20~22%をめざすが、30基程度の稼働が必要となる。現在の大型炉は100万キロワット規模など大量の発電が可能だが、建設や安全対策の投資がかさむ。官民が共同で開発する次世代炉は、大型炉の改良のほか出力が10万~30万キロワット程度の小型炉も検討する。大型炉の建設費は1兆円規模だが、数千億円に抑えられる。「高温ガス炉」は冷却に水ではなくガスを使うため非常時も水蒸気爆発を起こす懸念がない。国内の原発は稼働から数十年が経過しているものが多いが、次世代炉は最新の制御技術などを導入。緊急時に被害が広がりにくいシステムを備える。経産省は電力大手各社に協議体への参画を打診する。東京電力ホールディングス(HD)や関西電力は国の要請があれば前向きに検討する方向だ。三菱重工業や日立製作所など原子炉メーカー、原発の建設を担うゼネコンにも参加を促す。国内の原発は大震災前のように稼働基数が増えず廃炉のコストも増える。次世代炉を実用化しても使用済み燃料の負担は残り、大手電力9社が別々に手がけていくのは厳しいとの見方もある。経産省は水素や高性能な蓄電池、分散型エネルギーなど、他の分野でも官民で連携する枠組みをつくる。原発の再稼働には慎重な世論もある。原発一辺倒でなく幅広い技術の研究開発に取り組み、エネルギーを安定供給できる体制をめざす。

<漁業の低迷理由は?>
PS(2018年7月12日):水産業は、良質の蛋白質を摂取するために重要で、我が国では優位性の高い産業である筈だが、*10のように、漁獲高は一貫して減少し、海面漁業の生産量はピーク時の3割・養殖業がやっと横ばいだそうだ。
 そして、海面漁業が九州、全国ともに減少している要因は、「1)海洋環境の変動などによる資源量の減少のためか」「2)業務ではなく調査していないため分からない」と書かれているが、1)の海洋環境変動には、海水温が上がって海藻はじめ海中の食物連鎖が維持できにくくなっていることがあり、その理由には、①地球温暖化 ②原発温排水の影響 ③海底火山噴火の活発化などが考えられる。そのほか、公海における他国の漁獲高上昇や日本における燃油価格高騰・賃金上昇で漁業が成り立たなくなり、廃業が増えて後継者も少ないことなど、2)のように、業務でないから調査しないわけには決していかず、しっかり調査して問題解決すべきである。何故なら、日本人も、ITやアニメや製造業だけを行い、食品は輸入して食べていけるわけではないからだ。

*10:http://qbiz.jp/article/136703/1/ (西日本新聞 2018年6月30日) 「漁獲」九州も減少傾向 山岡知且・九州農政局生産流通消費統計課長 漁業ピークの3割 養殖横ばい 17年86万トン全国2割
 沿岸に黒潮と対馬海流が流れ、サバ、アジ、イワシなどの豊かな漁場に恵まれている九州。漁業や養殖業が盛んで、生産量は全国の約2割を占めている。ただ海洋環境の変動などによる資源量の減少のためか、海面漁業の漁獲量は全国と同様に減少傾向だ。九州における海面漁業・養殖業の生産量調査を担当する九州農政局生産流通消費統計課の山岡知且(ともあき)課長に生産量の推移や特徴などを聞いた。九州の海面漁業・養殖業の生産量について1956年から調査を続けている。最新データの2017年は速報値で85万7725トン。うち海面漁業の漁獲量は56万6739トン(全体の66・1%)。海面養殖業の収穫量は29万986トン(33・9%)となっている。全国の生産量は424万2300トンで、うち海面漁業と海面養殖業はそれぞれ325て万7700トン(全体の76・8%)と98万4600トン(23・2%)。全国に占める九州の割合は生産量全体で20・2%。海面漁業17・4%、養殖業29・6%だ。九州は人口や面積、経済規模が全国のほぼ1割で「1割経済」と言われるが、漁業分野はこれを大きく上回り、活発に展開されていることを数字が物語っている。九州で漁獲量が多い上位5魚種は(1)サバ類約13万9千トン(2)イワシ類約12万7千トン(3)アジ類約8万8千トン(4)マグロ類約3万9千トン(5)カツオ類約2万7千トン−の順。県別では長崎県が約31万7千トンでダントツ。2番手は宮崎県の約9万7千トンとなっている。ただ海面漁業は九州、全国ともに減少傾向だ。九州の17年はピーク時(1988年、約191万5千トン)の29・6%、全国はピーク時(84年、1150万トン)の28・3%と、いずれも過去最高時の3割程度に落ち込んでいる。減少傾向の要因については私たちの業務では調査していないため、分からない。一方、九州の海面養殖業は2008年の32万811トンが過去最高で、ここ30年は24万〜32万トンの間で推移している。17年の種類別は板ノリが15万6730トン(主産地は佐賀、福岡、熊本)、ブリが6万4132トン(主産地は鹿児島、大分、宮崎)。カンパチは鹿児島だけで1万8299トンある。

| 資源・エネルギー::2017.1~ | 11:39 AM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑