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2019.5.26 人類の移動経路・本能・歴史など (2019年5月27、28、29、30、31日、6月1、2、3日に追加あり)

2018.12.21読売新聞 日本人のルーツ    イヌイットの女性 現生人類の世界への拡散

(図の説明:左図は、北海道礼文町船泊遺跡で発掘された縄文女性の臼歯に残っていたDNAから復元された顔で、現在の日本人にもよく見かける顔だ。その日本人は、左から2番目の図のように、3000年以上前に渡来した縄文人と3000年前以降に渡来した弥生人に分けることができるが、渡来は何度も起こっており単純ではない。しかし、縄文人やアイヌ人が先住民であることは確かで、右から2番目の現在のイヌイット人女性の顔と似ている。なお、右図のように、現生人類の共通祖先は20万年前にアフリカで誕生し、他の人類と混血しながら世界に広がったことがわかっているが、今後の研究には法医学等の医学分野の貢献も期待される)

(1)人類の本能と文化
1)DNAから科学的に人類史を紐解くことができるようになった生命科学の革命
 中学・高校で「縄文人」「弥生人」などと使用した土器による分類を教わった時には、「納得できない」「歴史は暗記科目だ」と感じたが、現在ではDNA解析・比較文化・行動学などから科学的に現生人類であるホモサピエンスの発生と移動経路をトレースできるようになり、これは画期的なことだ。また、どの民族にも現生人類の移動経路は興味深く、移動経路が判明すれば人種差別や戦争を収束させる力にもなるだろう(http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/087/research/1.html 生命誌ジャーナル参照)。

 そのような中、*1-1のように、遺伝子を高速で読み取る装置を使って、1998年に日本列島北端の北海道礼文町船泊遺跡で発掘された縄文人の臼歯内DNAの遺伝情報(ゲノム)の99%を解読することに成功し、約3800年前の縄文人女性の顔が再現された。特徴は、「シミの目立つ濃い肌の色」「細く縮れた髪」「血液型はA型」「湿り気のある耳あか」「酒に強い」「脂肪の多いアシカなどを狩猟していた船泊の縄文人は、極端な高脂肪食でも健康を保てるよう適応した可能性が高い」などで、その顔は現在の日本でもよく見かける女性だ。

 この脂肪を分解しやすい遺伝子変異は、*1-2のように、北極圏に住むイヌイット等の7割で見つかるが、狩猟をしなくなった現在の日本人にはほとんど見られない。しかし、この遺伝子によって作られる酵素は、また高脂肪食になった日本人の高脂血症の解決に役立ちそうである。

 このような現生人類の移動経路や混血状況を調べるには、古代の日本人だけでなく現在の日本人・近隣や世界の人々の遺伝情報を比較する必要があり、それは既に始まっている。これに加えて、食物・農耕・言語・文字・宗教などの文化を比較すれば強力な裏付けになるわけだ。

 なお、古代人のDNA解析は、2010年に目覚ましい成果が相次ぎ、ドイツなどの研究チームがネアンデルタール人と現生人類との間に混血があったことを証明した。また、南シベリアのデニソワ洞穴で見つかった「デニソワ人」は、現在のパプアニューギニア人にDNAの一部を残しており、東アジア全体で暮らしていたとのことである。

2)差別に見られる意識の低さ
ア)部落差別について
 日本維新の会が今夏の参院選比例代表公認候補に決定していたフリーアナウンサーの長谷川氏が、*1-3のように、江戸時代に士農工商の下にあった穢多・非人に言及し、無知と偏見に基づく差別発言を行ったそうだ。

 しかし、非差別部落は士農工商の厳しい身分制度の下で、農工商の民衆を統治するために、さらに下の身分を作って「上を見るな、下を見ろ」と言って不満のはけ口とし、為政者が民衆を分断したのだということは日本史で勉強済である。また、2016年には部落差別解消推進法が成立しているため、今でもそれを繰り返しているのは、無知で情けない人たちだ。

 なお、人権意識の高まりによって、反差別のテーマが在日外国人・女性・障害者などへと裾野を広げたのはよいことだが、差別を助長するインターネット上の書き込みが多いのは何とかすべきである。

イ)高齢者差別について
 ざっくり言うと、人類を含む哺乳類は、食物が不足するなどの親の生存も危うい場合を除いて、子が生まれるといとしく感じて授乳し、子を護る本能がある。また、そういう本能を持たない個体のDNAは、子孫を残せないため残っていない。

 一方、親を大切にする本能は、種の保存に不可欠ではないので組み込まれておらず、人類は「親孝行」という言葉や文化を作って道徳として大切にしてきた。それが「親孝行」という言葉があっても、「子孝行」という言葉がない理由だと言われている。

 このような中、最近は、*1-4のように、若者と高齢者を対立軸として分断し、どちらに社会保障を振り向けるかという論調を政治家・行政・メディアが氾濫させており、一般人にもそうことを言う人が増えた。しかし、これは、これまで政府がサボってきた社会保障財源の引当不足という失政を、国民を若者と高齢者に分断して対立させることによってごまかす手段のお先棒をメディアが担ぎ、賢明でない国民が騙されているいつか見た光景である。

 さらに、*1-4は、「①投票者の4割を占める高齢者の意見が反映されやすいシルバー民主主義はよくない」「②社会保障給付は医療・年金・介護が約9割を占め、対象は主に高齢者」「③少子高齢化が進み、若い世代ほど給付より負担が重い」「④高齢者に給付の抑制や負担を求める案が現実的だが、当事者は受け入れがたい」「⑤『頑張って保険料を納付してきたのに、年金を減らされることは認められない』という高齢者は、冷静でなく感情的だ」としている。

 しかし、①の「高齢者割合が高まる」というのは、平均寿命から見て高齢者とされる年齢が低すぎるし、全体の傾向は人口構造を見ればずっと前からわかっていたことで、その人たちが働き盛りの間に納付した保険料を発生主義で引当てず、関係のないところに無駄遣いしていたのは、完全に政府の失政であり高齢者の責任ではない。さらに、シルバー民主主義は問題などとして、年齢で票の重みを変えるなどという発想は、民主主義を理解していないことが明らかだ。

 なお、「投票率は若者が低く、高齢者が高い」のは、これから働いて稼ぐことが可能な若者が政治に頼らず働くことに専念するのは自然であり、高齢者は選挙権を大切にしていると同時に、高齢になるほど既に保険料を支払っており、やり直しがきかないため、政治への依存度が高くなるからだ。また、日本のTV番組がぼやっとして普段から政治の論点を適格に議論して伝えていないのは、有権者全体が政治に無関心になるのを促進している。

 私自身は、自分の知識と経験から、子育て支援や教育無償化を一生懸命に進めてきたが、だからといって、②③④⑤のように、その財源は高齢者の社会保障分から分捕ればよいという本能丸出しで文化を捨てたような発想はしたことがない(マニフェスト・プロフィール参照)。

ウ)外国人差別について
 このような中、*1-5のように、2019年4月1日から本格的な外国人労働者の受け入れが始まったが、差別・暴言・冤罪の押し付けはなくなるだろうか。女性もまた、外国人同様、そのことを理由に、誹謗中傷や侮辱をされるなどの差別的対応を受けることが多いが、日本社会を支えている人に対する前近代的で不合理な価値観の押し付けは早々にやめるべきである。

(2)日本史の真実は・・
1)卑弥呼の里、佐賀県吉野ヶ里町と神崎市
 当時の文字による歴史記録である魏志倭人伝によると、*2-3のように、倭国は、末盧國、伊都国、奴国など玄界灘湾岸の国であることは明らかで、その南にあるとされる邪馬台国の位置は、中国の専門家が指摘するとおり、音と方角に注目すればよい。そのため、「日の国」邪馬台国は、九州の肥前と肥後の間、つまり*2-1の吉野ケ里遺跡の場所になると思われる。

 従って、女王に従わない邪馬台国の南にある狗奴国は、球磨国(熊本県)の聞き違いであると思われ、邪馬台国から水行20日とされる投馬国(とうまこく:所在地不明)は、投与国(とよこく)の読み違いで、それなら豊前と豊後のある大分県になる。

 なお、大分県宇佐市には宇佐神宮があり、それは八幡宮の総本社で古くから皇室の崇敬を受けており、主祭神は神功皇后、応神天皇、宗像三女神だ。また、大分県臼杵市は石仏で有名だ。また、何故なくなったのかは不明だが、『日本書紀』の神功紀に引用される『晋起居注』に、泰初2年(266年)に倭の女王の使者が朝貢したとの記述があり、現存する『晋書』武帝紀と四夷伝には、266年に倭人が朝貢したことは書かれているが、女王という記述は無いとのことである。

 そのため、卑弥呼の宗女とされる13歳の女王壹與(トヨ)は、投与国(大分県)の人で神功皇后だと考えられる。その後、日本書紀に書かれているとおり、応神天皇(=神武天皇と言われている)が東遷して大阪・奈良付近に都を作り、大和朝廷になったのだろう。

 *2-2には、「卑弥呼の死と壹與の王位継承は、それ程年月が経っていない」と書かれているが、その間に「倭国大乱」があったため、ある程度の時間はあったと思われる。そのため、今後の真実の追及には、遺伝子調査、まっすぐな視線での日本書紀や神社伝承などの再解読、中国史や中国の専門家による意図的でない裏付けが必要だ。

 また、*2-4のように、「百舌鳥・古市古墳群」の仁徳天皇陵古墳(大山古墳、堺市)などを日本政府がユネスコの世界遺産委員会に推薦し、6月に世界遺産への登録が決まるそうだが、この「仁徳天皇陵」をしっかり調査すれば古代史の真実がさらに明らかになると言われている。しかし、日本の考古学の専門家は未だにあまり調査していないのだ。

2)現代の皇室と邪馬台国・大和朝廷の関係

    
   2019.5.8東京新聞    2019.5.13朝日新聞   2019.5.14西日本新聞

(図の説明:左の2つは、奈良時代そのままの衣装で「期日奉告の儀」に望まれる天皇・皇后両陛下で、右から2番目は、「斎田点定の儀」で亀卜に使った亀の甲羅。一番右は、「百舌鳥・古市古墳群」の仁徳天皇陵だ)

 大嘗祭で神々に供える米を作る都道府県を選ぶ「斎田点定の儀」が、2019年5月13日午前に皇居で行われ、そのやり方は、*3のように、亀卜と呼ばれる亀の甲を焼く占いで、火であぶったひび割れの具合で吉凶を判断し、「吉」と出た都道府県を選ぶのだそうだ。

 亀卜は卑弥呼が行っていた占いと同じで、中国では殷代に既に亀卜を行っており、殷墟から見つかった卜亀は淡水性や陸ガメの甲羅であるのに対し、日本で出土する卜亀は全て海亀の甲羅で、『延喜式』によると、亀甲の調達は紀伊(伊勢神宮のある場所)が最も多く、卜部は対馬から10人、壱岐から5人、伊豆から5人が選ばれることが多いそうだ。

 そのため、現代の皇室の祖先は、大陸からの渡来系稲作民族で(それでも十分古い家系)、しばらく九州にいた後、東遷して大阪・奈良地域に行き、儀式には今でも亀卜などの歴史上重要な伝統が受け継がれていることがわかる。

注)日本国憲法に定められた「言論の自由」「表現の自由」は、こういうことを書いた時に、「不敬罪」等に問われないために作られた規定である。

・・参考資料・・
<人類の本能と文化>
*1-1:https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/feature/CO036740/20181221-OYTAT50007/ (読売新聞 2018/12/14) 縄文人の姿遺伝子で再現
 年間企画「平成時代~DNAの30年」最終部となる第4部は、遺伝子研究で活躍する各分野の専門家にその最前線や将来像などを聞く。初回は、古代人の骨に残されたDNAから人類史を解き明かす神澤秀明・国立科学博物館人類研究部研究員(33)だ。「船泊のDNA解析がうまくいったのは、根気と『骨運』が良かったおかげ」と話す神澤さん(茨城県つくば市で)「船泊のDNA解析がうまくいったのは、根気と『骨運』が良かったおかげ」と話す神澤さん(茨城県つくば市で)。東京・上野の国立科学博物館で、今年3月に公開された約3800年前の縄文人女性の顔(粘土像)は、少し風変わりだった。茶色い目。シミの目立つ、濃い色の肌。細く縮れた髪の毛。まるで見てきたようなこれらの特徴はすべて、昨年解読された縄文人女性の遺伝子データを基にした、国内初の復顔だった。「血液型はA型で、耳あかは湿り気があり、もしお酒があるなら強い女性だった。ここまで突き止められたことには自分も驚いた」。女性は1998年、日本列島の北端にある礼文れぶん島(北海道礼文町)の船泊ふなどまり遺跡で骨が発掘された。骨の形などから高齢の女性とまでは推定され、その後は札幌医科大で長く保管されていた。
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 2000年代後半、遺伝子を高速で読み取る装置「次世代シーケンサー」が普及し、ごく微量のDNAも解析可能になった。ただDNAは歳月を経ると分解するため、古代人の骨から採れる保証はない。「特に日本のような高温多湿な環境では分解しやすい。船泊は日本列島にある遺跡の中で最も寒く、DNAが残りやすいと目を付けた」。3年前に研究に着手。下あごの骨から抜いた臼歯の中を丁寧に削った試料を使って、試行錯誤を重ねながら解析した。その結果、現代人とほぼ同じ高い精度で、全遺伝情報(ゲノム)の99%を解読することに成功した。世界でもトップクラスの成果だ。この女性に特有の遺伝子の変異を調べると、脂肪をあまり代謝しない体質とわかった。現代では脂肪からエネルギーを採れないと低血糖などの病気になりかねない体質だが、脂肪が多いアシカなどを狩猟していた船泊の縄文人は、極端な高脂肪食でも健康を保てるように適応した可能性が高いという。「これまで想像するしかなかった祖先の本来の姿に加えて、どのような能力を持ち、どのような生活を送っていたのかまで、ゲノムでわかる時代になった」
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 生物の高校教師を目指して大学に進んだ。4年生だった08年、古代人のDNA解析を紹介する1冊の入門書に出会う。「日本人の起源を自分で解明できたら面白い。人類の歴史にDNAから切り込める可能性に、魅力を感じた」。大学院に進み、古代のDNA解析が先行する海外の論文を読んで手法を学びながら技量を磨いた。DNA解析の進歩で、何人ぐらいの集団で暮らしていたのか、どこの地域から渡ってきたのかもわかるようになったという。だが大陸から離れた列島に暮らす日本人のルーツにたどり着くには、日本に残っているDNAだけでは不十分だ。「東アジアに広げて解析すれば、稲作などの文化がどのように伝わってきたのかも見えるだろう」。古代史の扉を開く夢は、まだ始まったばかりだ。
◇古代人解析から新種発見
 古代人のDNA解析は、2010年に目覚ましい成果が相次いだ。ドイツなどの研究チームは絶滅した旧人・ネアンデルタール人のDNA情報を公開し、現生人類と混血していることを示した。アフリカから6万年前には移動を始めたとされる我々の祖先との間に、子どもを作っていたことになる。南シベリアのデニソワ洞穴で見つかった3万~5万年前の指などの骨は、新種の旧人と判明。全身骨格はなく、DNA解析で“発見”された初の人類で「デニソワ人」と命名された。現在のパプアニューギニアなどに住む人にDNAの一部が残っており、東アジア全体で暮らしていたらしい。日本でも三貫地さんがんじ貝塚(福島県)、伊川津いかわづ貝塚(愛知県)などから出た縄文人の骨の解析が進んでいる。
◇言語に関わる発見楽しみ
 アフリカで誕生したとされる人類は猿人、原人、旧人を経て現生人類(新人)になったと、学校で習った記憶がある。現生人類以外の人類は絶滅したが、DNA解析で判明した旧人と現生人類との混血は、現生人類の進化が複雑だったことを示している。絶滅した古代人類の能力を、私たちはDNAを通じて手に入れた可能性もある。言語の習得に必要とされる遺伝子のルーツが解明されれば、人類がいつどこで言語を獲得したのか、わかるかもしれないという。どんな新発見が広がるか、楽しみだ。

*1-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14012895.html (朝日新聞 2019年5月14日) 縄文人は脂っこいもの好き? 脂肪分解しやすい遺伝子解析
 北海道にいた縄文人は脂っこい食べ物が好きだった? 国立科学博物館などの研究チームは13日、北海道礼文島の船泊(ふなどまり)遺跡から出土した縄文人の全ゲノム(遺伝情報)について、世界で初めて高精度な解析に成功したと発表した。北極圏に住む人たちのように、脂肪を分解しやすい遺伝子の変異が見つかった。遺跡からは海獣の骨が見つかっており、アシカなどを狩猟していた生活様式が遺伝子情報からも裏付けられた形だ。科博の神澤秀明研究員らは、礼文島で発掘された約3800年前の女性の臼歯からDNAを抽出することに成功。高い精度で解析した遺伝子の特徴から、この女性は、脂っこい食べ物を食べてもおなかを壊したり、体調を崩したりしないような高脂肪食の代謝に有利な特徴があることがわかった。こうした特徴は、イヌイットら北極圏に住む人たちの7割で見つかるが、狩猟生活をしなくなった現在の日本人にはほとんど見られなくなっているという。当時、中国大陸ではすでに農耕が始まっていたが、縄文人はなお狩猟に頼っていたらしい。チームは昨年、遺伝子情報の解析結果の一部から、この縄文人女性は目が茶色で髪の毛は細く縮れ、肌は色が濃く、シミがあったと推測。今回さらに、お酒に強く、耳あかは湿ったタイプだったこともわかった。神澤さんは「古代人のゲノム研究で常に参照されるデータになる。現代人にみられる遺伝的な病気の起源を知ることにも重要だ」と話している。

*1-3:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/512841/ (西日本新聞社説 2019/5/24) 部落差別発言 「人権」の原点に立ち返れ
 無知と偏見に基づく看過できない差別発言である。全国的に顔が知られているフリーアナウンサー長谷川豊氏(43)が講演で、江戸時代の身分制度に言及した。部落解放同盟が出した抗議文によると、「士農工商の下に、穢多(えた)・非人(ひにん)、人間以下の存在がいる」と発言した。さらに「人間以下と設定された人たちも性欲などがあります。当然、乱暴なども働きます」と述べた。一般的な暴漢からの身の守り方に話をつなげたかったようだ。
▼問題点どこにある
 どこが差別に当たるのか-。第一に「穢多・非人」のくだりである。実際に存在した身分だ。劣悪な住環境に置かれ、まさに「人間以下」の扱いを受けていたとされる。為政者による民衆の分断支配に利用されたのだ。その呼称は今、差別をなくす研究や運動の中では歴史的な用語として、むしろ積極的に登場する。ただ、一般的には被差別部落へのさげすみの言葉としてしばしば用いられる。長谷川氏のように、何の注釈もなく世にさらせば「差別語のばらまき」にすぎない。第二は、そうした被差別者を「プロなんだから、犯罪の」と決めつけ、集団暴行を働くかのように発言している点だ。解放同盟の抗議文は21日付で出され、当該部分について根拠をただしている。長谷川氏は翌日、自身の公式ホームページで、こう釈明した。〈今、自分で(講演録を)読んでも訳が分かりません。まず身分制度の話と暴漢に襲われる話が全くリンクしていません〉。その上で〈弁解の余地のない差別発言〉と認め、〈これから「人権」について全力で真剣に学んでいく〉と記した。講演全体の趣旨がどうあれ、当然の対応である。長谷川氏については、日本維新の会が、今夏参院選の比例代表公認候補に決定していた。超党派による議員立法で2016年に部落差別解消推進法が成立している。長谷川氏が、そうした法律にものっとって人権を擁護すべき国会議員の候補として、適格性に欠けるのは明らかではないか。以前、人工透析患者の尊厳を踏みにじる暴言もあった。同氏が元はフジテレビアナウンサーだったことも、報道メディアの一員として私たちは問題提起し、自省もしなければならない。言葉は人の命さえ奪う「凶器」になる-。言論人として最も肝に銘じなければならないことだ。12年には、週刊朝日(朝日新聞出版)が橋下徹大阪市長(当時)の出自と被差別部落の地名を一方的に暴く形で、橋下氏に関する連載を始めた。同氏の名を差別的、侮辱的な呼び方で記すなどして社会的批判を浴びた。連載は1回で打ち切られた。1970年代に社会問題化した部落地名総鑑事件に匹敵する確信犯的な差別事件だ。私たちがショックを受けるのは、運動団体を中心に長年にわたって行政、教育機関、メディアなどが、時には激しくぶつかり合いながら築いてきた「反差別」の取り組みが、こんなに簡単に足元から崩れ去るのかという現実だ。日本の反差別運動の原点は、被差別部落の人々が22年に結成した全国水平社にある。解放同盟の前身だ。有名な宣言文で「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と高らかにうたった。
▼同和は終わったか
 「穢多・非人」という身分は1871年、明治政府による解放令で廃止された。だが、実態は何ら変わらなかった。水平社誕生の歴史的背景だ。水平社の運動は当初、差別言動を行った個人に対する糾弾闘争が主だった。それでも差別はなくならない。偏見を生む劣悪な住環境などを改善しない限り、差別は続くのではないか。そうした問題意識から「同和問題の解決は国の責務であり国民的課題」として1969年に初の事業法が制定された。学校や職場で教育や啓発が進んだ。その後、反差別のテーマは在日コリアン、女性、障害者、性的少数者(LGBT)などへと大きく裾野を広げていった。人権運動の歴史的な前進である。一方で、懸念された問題が今、現実化しているように思えてならない。「同和問題は終わった」とする風潮である。近年、大きな問題となっているのは差別を助長するようなインターネット上の書き込みだ。「部落差別」を初めて法律名に入れた差別解消推進法は、そうした新しい事態への対応策として生まれた。反差別運動は今、原点に立ち返る時期を迎えているのではないか。私たちはそう考える。

*1-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26419410R00C18A2000000/ (日経新聞 2018/2/2) 進むシルバー民主主義 65歳以上が投票者の4割
 国会議員はよく「国民や有権者の意見を聞く」と口にする。この「国民」「有権者」とは、どのような人をイメージしているのだろう。若者なのか、高齢者なのか。少子高齢化が続くなか、近年は高齢者の意見が反映されやすい「シルバー民主主義」という言葉が広がっている。国会議員を選ぶ票はどの世代が投じているのかを分析した。「頑張って保険料を納付してきたのに、年金を減らされることは認められない」。日本維新の会の足立康史幹事長代理は最近、こう言われて驚いた。相手は年配の支持者。普段は冷静な人だが、高齢の富裕層に年金抑制を求める政策案への意見を尋ねると、急に感情的になったからだ。社会保障給付はいま医療・年金・介護が約9割を占め、対象は主に高齢者。少子高齢化が進み、若い世代ほど給付より負担が重い。高齢者に給付の抑制や負担を求める案が現実的だが、当事者は受け入れがたい。選挙区を回る政治家はその空気を肌で感じる。いまは「シルバー民主主義」といわれている。高齢者の投票行動が大きな影響力を持つ2つの構造的な現象があるからだ。(1)急速な少子高齢化で、人口に占める高齢者の割合が高まっている(2)投票率は若者は低く、高齢者は高い――という要素だ。まず高齢者の割合だ。2017年10月時点の総務省の人口推計の概算値は1億2672万人。このうち65歳以上は27.7%。一方、20~30歳代は21.7%にとどまる。次に投票率をみてみよう。同省が昨年10月の衆院選で年齢別投票者数を抽出調査した結果をみると、投票率は年齢が上がるごとに高くなる傾向が顕著だ。5歳ごとの年齢階層別では、60~64歳から75~79歳までは全て7割を超える高水準だ。それが50歳代は6割台、40歳代は5割台、30歳代は4割台、20歳代は3割台と、きれいに下がっていく。2つの調査をもとに、実際に投票した有権者の数を推計してみた。5歳ごとの年齢階層別で最も投票者が多いのは65~69歳で、700万人を超えた。この層は、第2次世界大戦直後のベビーブームに生まれた「団塊世代」。子育てを終えて年金を受給し始めている人が多い世代が、選挙で「大票田」になっている。65歳以上の高齢者は投票者全体の4割近くにのぼる。65~69歳を除く40歳以上の各世代はそれぞれ500万人前後。それが30歳代以下では若くなるほど投票者が減り、20~24歳は200万人を割った。18~39歳は全体の2割にとどまる。子育て世代やこれから結婚や出産を考える世代の票は存在感が薄い。過去の推定投票者数と比べると、団塊世代が年をとるにつれ「高齢者の声」がどんどん大きくなることが分かる。1980年の衆院選で最も投票者が多かった年齢層はこの時に30~34歳だった団塊世代で、800万人近くいた。年齢階層別の投票者数の分布は、年齢が上がるほど先細りになる右下がりの三角形に近い。子育てまっただ中の世代の票が厚みを持ち、65歳以上の高齢者は全体の約13%と、存在感は大きくなかった。その20年後の2000年衆院選。団塊世代は50~54歳になり、やはり最多投票層だった。投票者数の分布は高齢者と若年層が少ない山の形。この時は「大票田」の年齢層はまだ働く現役世代だった。これまでの傾向を考えれば、今後も投票者数の分布はさらに右肩上がりの三角形になる可能性がありそうだ。安倍晋三首相は昨年の衆院選で「全世代型社会保障」を打ち出した。財政健全化に充てる財源の一部を、子育て支援や教育無償化に回す。借金返済は将来に先送りする。「若者と高齢者の対立ではなく、生まれる前の将来世代にツケを押し付け、若者も高齢者も給付を受けているのが現実だ」。中部圏社会経済研究所の島沢諭主席研究員はこう指摘する。シルバー民主主義は、有権者間の世代間不公平から、有権者と非有権者の間の不公平の時代に入ろうとしている。問題は高齢者の発言力が強いことだけではない。18歳未満やこれから生まれてくる世代の声を誰がどのように政治に反映するかだ。
■将来世代の意思は?
 シルバー民主主義への問題意識から、若者の投票をできるだけ政治に反映させる工夫も出てきている。2016年からは選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に下げ、若い有権者を増やした。13年にはインターネットを使った選挙活動を解禁し、若者の政治参加を促した。それだけでは足りない――。そう考える学者は選挙制度改革も提案している。例えば「世代別選挙区制度」。選挙区を年齢階層別に分け、各世代の代表の政治家を選ぶ構想だ。30歳代以下は青年区、40~50歳代は中年区、60歳代以上は老年区と分け、各世代の有権者数に比例した定数を割り当てる。若い世代の投票率が低くても、各世代の人口に比例した議会構成にできる。政治が短期的な視点にならない仕組みにするのは「余命別選挙制度」。余命に応じて投票権に重みをつけ、若い人の一票を高齢者の一票よりも重くする。投票権を持たない将来世代に配慮する制度もある。「ドメイン投票方式」だ。投票権を持たない未成年に投票権を与え、その親が代わりに投票する仕組みだ。とはいえ、こうした選挙制度改革が実施できるかというと、かなり難しい。いま大きな影響力を持つ高齢者の世代が反対するのは必至だからだ。理論としての研究にとどまり、現実政治の俎上(そじょう)に上ることは期待薄だ。八代尚宏・昭和女子大学特命教授は「借金依存の年金制度は現時点で大きなリスクがある。高齢者に自分の問題だと説明すれば、ある程度の負担増は受け入れられる」と強調する。高齢者票の反発を恐れず説明しなければならない。
■各世代で応分負担を
 大阪市長などを務めた橋下徹氏が、70歳以上の市民が無料で乗車できた市営地下鉄・バスについて、利用者の負担を求めたことがある。橋下氏がその後、政治生命を懸けて「大阪都構想」の住民投票に臨み、反対多数で敗れた。報道各社がその時に実施した出口調査では、20~60歳代は過半数が賛成していた。一方で70歳代は6割以上が反対だった。市民の人気が高いとされていた橋下氏は「高齢者層に負けた」とも言われた。有権者の年齢別の割合をみると、国・地方問わずどんな政策でも高齢者の存在は無視できない。だが将来世代にツケを残すことは許されない。政治家は遠回りでも、社会保障や財政の実態を正面から説明し、各世代に少しずつ負担を求めるしかないのではないだろうか。

*1-5:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181024-00010000-wordleaf-bus_all (The Capital Tribune Japan 2018/10/24) 本格的に外国人労働者を受け入れへ、差別や暴言はなくなるのか
 安倍政権が本格的な外国人労働者の受け入れに舵を切ったことで、今後、より多くの外国人労働者が日本にやってくることになりました。コンビニ業界や外食産業などは外国人労働者がいないと業務が成り立たない状況ですが、日本人の利用客による暴言など、日本側がこの状況に対応できないケースも目立ちます。都市部のコンビニでは従業員のほとんどが外国人というケースも珍しくありませんが、一部の利用客が、日本語がそれほど上手ではない店員に対して「まともな日本語を話せ」「何言ってんだかわかんねーよ」などといった暴言を浴びせているという事例がネットで報告されています。基本的にコンビニの場合、一定以上の日本語能力がなければ採用されませんので、まったくコミュニケーションが取れないという状況ではないと考えられます。あるコンビニでは店舗のオーナーが「暖かい目で見て欲しい」とわざわざ張り紙を出した事例もあります。法務省の調査によると、外国人であることを理由に侮辱されるなど差別的な対応を受けた経験のある外国人は約3割となっています。もっとも多いのは「見知らぬ人」で全体の53.3%、続いて、職場の上司や同僚、取引先など仕事関係が38%、近隣住民が19.3%、公務員や公共機関の職員が12.9%となっています。諸外国でも移民やマイノリティに対して一部の国民が暴言を吐くというのは時々見られる光景ですが、都市部を中心にここまで外国人労働者が増えているにもかかわらず、日常的な場所でこうした暴言が散見されるというのは、同質社会である日本ならではといってよいでしょう(ニューヨークなどに行くと、英語をほとんど話せないタクシー運転手がいたりしますので、これにいちいちクレームを付けていてはキリがないというのが現実です)。日本で仕事をするなら日本とまったく同レベルの会話ができなければ困るという意見もあるようですが、彼等は日本に押しかけているわけではありません。深刻な人手不足に対応するため、むしろ政府が積極的に外国人労働者を招致しているというのが現実です。日本の相対的な賃金レベルは下がる一方ですから、日本の方から積極的にお願いしないと日本に来てくれなくなるかもしれません。日本はいまだに前近代的なムラ社会の風習を引きずっていますから、同じ日本人同士でも、ライフスタイルや価値観が違う人とはうまくコミュニケーションを取れない人が少なくありません。外国人とうまくコミュニケーションできない本当の理由はこのあたりにありそうです。しかし、日本は国民の選択として外国人の積極的な受け入れを決断したわけですから、対応は待ったなしといってよいでしょう。

<日本史の真実>
*2-1:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/saga/article/510436/ (西日本新聞 2019年5月16日) 人気呼ぶ吉野ケ里歴史公園 多彩な遊具や体験イベント 2年連続で来園者最多 [佐賀県]
 吉野ケ里歴史公園(神埼市、吉野ケ里町)が人気を集めている。昨年度の年間来園者数は77万3969人に達し、2年連続で過去最多を更新。歴史ファンというよりも、家族連れが目立つ。来園者の声を聞き、その魅力を探った。「子どもが『行こう』ってせがむんです」。伊藤明美さん(38)は福岡市から長男の類都君(5)を連れて遊びに来た。自宅近くの公園は狭く、老朽化などで遊具が撤去されたところも少なくないという。吉野ケ里歴史公園は面積約104ヘクタールと広大。西口に近い「古代の原ゾーン」の「遊びの原」が類都君のお気に入りだ。トランポリンのように軟らかいドーム形の遊具「ふわふわドーム」で、1時間以上飛んでいることも。「毎日でも来たい」と類都君。アスレチックやローラー滑り台などの大型遊具が充実し、そばにスタッフが常駐して安全に遊べる。お昼時になると、「野外炊事コーナー」から食欲を誘う香りが漂う。利用を申し込めば火気が使用でき、テントを張ってバーベキューを楽しめる。家族や友人とパーティーを開いていた鳥栖市の池田秀さん(29)は「近くに病院もトイレもあり、小さい子どもが一緒でも気軽にアウトドア気分を味わえる」。芝生広場「弥生の大野」で、長女と大玉を転がしていた佐賀市の江口あいさん(41)は「歴史を勉強するための場所というイメージが強かったが、こんなに楽しめるとは思わなかった」。雑貨などを販売する公園北口のイベントに訪れたが、子どもが一日中遊べる場所があると「ママ友」に聞き、西口エリアにも足を伸ばした。来園者の増加を後押しするのは、家族連れをターゲットにした料金見直しもある。子ども連れの入園料が無料になる県発行の招待券「子育てし大“券”」(期間限定)の配布が2016年度に始まり、昨年4月から中学生以下の入園料が無料となった。人気の西口エリアから、復元された竪穴住居などが並ぶ東口エリアの「環壕集落ゾーン」に来園者を呼び込もうと定期的にイベントを開催。熱気球に乗って上空から遺跡を見学できる遺跡展望は毎回子どもたちに人気だ。今月は18、19の両日午前9時から開かれる。今年の来園状況も順調だ。4月28日~5月6日までの10連休には昨年同期比で約2万人増の12万8633人が訪れた。公園担当者は「身近で楽しい『公園』として足を運んでもらうことから、遺跡の歴史にも興味を持ってもらえたらうれしい」と話している。
●来園者数の推移
 吉野ケ里歴史公園の来園者は開園初年度の2001年度に68万1041人となったが、3年後の04年度には41万5079人にまで落ち込んだ。火おこしなど古代体験ができる施設などを整備し、イベントなどを打ち出したことで、来園者は増加傾向に転じた。15年度に初めて70万人台を突破すると、17年度は73万5770人となり、過去最多を更新。18年度は、さらに約3万8千人上回った。

*2-2:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E4%B8%8E (ウィキペディア、台与より抜粋) 
●臺與
 臺與(「とよ」あるいは「いよ」、生没年不詳)は、日本の弥生時代3世紀に『三国志 (歴史書)』、魏志倭人伝中の邪馬台国を都とした倭の女王卑弥呼の宗女にして、卑弥呼の跡を13歳で継いだとされる女性である。魏志倭人伝中では「壹與」であるが、後代の書である『梁書』『北史』では「臺與」と記述されている。「台与」は「臺與」の代用。臺與の表記・読みについては異説が多く詳細は後記。
●事跡
 魏志倭人伝によると、正始8年(247年)に帯方郡太守として王頎が着任した。倭国は帯方郡へ載斯烏越ら使者を派遣し、親魏倭王の女王卑彌呼に未だ従わない狗奴国の男王卑弥弓呼を攻撃中であると(王頎に)報告した。太守は塞曹掾史の張政らを派遣し、詔書および黄幢(魏帝軍旗)を難升米(なしめ)に授けて和平を仲介した。後に女王卑弥呼が死ぬと径百余歩の大きな塚を作り、奴婢百余人を殉葬した。ところが、後継者として立てた男王を不服として国が内乱状態となり、千余人が誅殺し合った。改めて卑彌呼の宗女である壹與を13歳の女王として立てた結果、倭国は遂に安定した。張政らは(幼くして新女王となった)壹與に対し、檄文の内容を判りやすく具体的に説明した。壹與は倭国大夫率善中郎將の掖邪狗ら二十人を随行させた上で張政らを帰還させた。その際、男女生口三十人を献上すると共に白珠五千孔、靑大勾珠二枚および異文雑錦二十匹を貢いだ。とされる。 張政が倭に渡った正始8年から卑弥呼の死と壹與の王位継承は、それ程年月が経っていないと思われる。『日本書紀』の神功紀に引用される『晋起居注』(現存しない)に泰初(「泰始」の誤り)2年(266年)に、倭の女王の使者が朝貢したとの記述がある。現存する『晋書』武帝紀と四夷伝では、266年に倭人が朝貢したことは書かれているが、女王という記述は無い。卑弥呼#神功皇后説にもあるように、江戸時代にはこの女王は卑弥呼と考えられていたが、卑弥呼は249年(正始10年)までに逝去(『梁書』)してしまっていることから、近年ではこの倭国女王は台与のことであると考えられている。なお、この正始10年(4月に改元されて嘉平元年)(249年)は、中国では曹操に始まる曹氏の魏から、司馬懿に始まる司馬氏の晋へ禅譲革命が行われる265年12月(泰始元年)に至る契機となった年である。この朝貢の記録を最後に中国の史書から邪馬台国や倭に関する記録が途絶え、次に現れるのは150年の後の義熙9年(413年)の倭王讃の朝貢(倭の五王)である。台与と後のヤマト王権との関係は諸説あってはっきりしない。人物の比定については諸説ある。

*2-3:https://blog.goo.ne.jp/ikejun_2018/e/27ebfe56cbbabe9e590698fe8cfd7248 (Goo 2018.4.30より抜粋) 「魏志倭人伝」 晋の時代の台与(トヨ)
 「魏志倭人伝」の最後に登場するのが、卑弥呼の宗女とされる13歳の女王 台与(トヨ)。魏志倭人伝をまとめたのが、晋の時代の陳寿で、台与が貢物を贈り、国づくりを学んだのも晋の国からです。台与の存在の信ぴょう性は非常に高いです。急に年齢13歳とまで紹介されています。一方で、台与の宮殿がどこになったのかは記載がありません。
理由
1、漢の時代の倭国
  伊都国、奴国など玄界灘湾岸の国々+その南にある21国
2、魏の議題の倭国
  1に加えて、さらに南にある邪馬台国と水行20日で行ける投馬国。女王に従わない邪馬台国の南にある狗奴国
3、晋の時代の倭国
  2に加えて、「瀬戸内海の国々+近畿」と広がりがあった。と考えます。つまり、台与の宮殿は、奴国、邪馬台国でも投馬国でもなく、まだ名前が付けられていない。西日本のどこかにあった国ではないでしょうか。そして、張政らは(幼くして新女王となった)壹與に対し、檄文の内容を判りやすく具体的に説明した。壹與は倭国大夫率善中郎將の掖邪狗ら二十人を随行させた上で張政らを帰還させた。つまり大陸から国づくりを教わった。大陸主導の元で新しい国づくりが行われた。その際、男女生口三十人を献上すると共に白珠五千孔、靑大勾珠二枚および異文雑錦二十匹を貢いだ。そのお礼に台与が貢物を贈ったと云うことに・・・。後の大和朝廷の聖徳太子らが隋に遣隋使、唐に遣唐使を派遣しますが、それより以前に台与が大陸の文化や国の統治の方法を学んだと云うことです。台与が参考にした大陸の晋の国も滅び、五胡十六国の戦国時代へ、宋、隋、唐と大国がまとめたのは、6世紀ぐらい、日本では飛鳥時代になります。台与の記述を最後の中国大陸の歴史書「史記」から倭国の記載がなくなります。

*2-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44296100W9A420C1000000/?n_cid=BMSR3P001_201905140021 (日経新聞 2019年5月16日) 「仁徳天皇陵」含む古墳群、世界遺産に 諮問機関が勧告
 世界文化遺産への登録を目指す「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)について文化庁は14日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が登録すべきだと勧告したと発表した。仁徳天皇陵古墳(大山古墳、堺市)など日本政府が推薦していた49基の古墳すべてが対象。6月に始まるユネスコの世界遺産委員会で正式に登録が決まる見通しだ。諮問機関は国際記念物遺跡会議(イコモス)。14日未明に記者会見した文化庁の説明によると、勧告は古墳群を「傑出した古墳時代の埋葬の伝統と社会政治的構造を証明している」と評価。「顕著な普遍的価値」を認めた。資産の価値に関する疑問点などの指摘はなかったという。日本政府は古墳群を古代日本の政治や文化、建築技術を知る貴重な資産として推薦。仁徳天皇陵をはじめ宮内庁が皇室の祖先の墓とする「陵墓」が29基含まれており、陵墓が世界遺産に登録されれば初めてとなる。世界遺産委は6月30日~7月10日にアゼルバイジャンのバクーで開かれる。日本国内には文化遺産が18件、自然遺産が4件あり、古墳群が登録されれば23件目。日本からの登録は7年連続となる。古墳群は大阪府南部の百舌鳥地域(堺市)と古市地域(羽曳野市、藤井寺市)にあり、当時の政治や文化の中心地の一つに当たる。現存する89基のうち形がよく残っている4世紀後半から5世紀後半の49基を構成資産とした。

<現代の皇室と邪馬台国・大和朝廷の関係>
*3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14012750.html (朝日新聞2019年5月13日)亀の甲で占い、「吉」は栃木・京都 宮中三殿「斎田点定の儀」 「大嘗祭」の米産地選ぶ
 天皇の代替わりに伴って11月に行われる皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」で、神々に供える米を作る都道府県を選ぶ「斎田(さいでん)点定の儀」が13日午前、皇居・宮中三殿で行われた。亀卜(きぼく)と呼ばれる亀の甲を焼く占いで、東から栃木県が、西から京都府が選ばれた。アオウミガメの甲羅を将棋の駒形(縦24センチ、横15センチ)に加工したものを火であぶり、ひび割れの具合で吉凶を判断し、「吉」と出た都道府県を選ぶ神事。宮内庁によると、大嘗祭で供えられる米をつくる地方を定める亀卜は、古くから行われてきたという。東京を中心に東日本の18都道県を「悠紀(ゆき)の地方」、残りの西日本29府県を「主基(すき)の地方」とし、米を作る「斎田」を設ける都道府県が一つずつ選ばれる。平成の大嘗祭に伴う儀式では、秋田、大分両県が選ばれた。儀式は13日午前10時ごろ、国中の神々をまつる神殿の前庭に設けた「斎舎(さいしゃ)」の幕内で始まり、40分ほどで終了した。天皇陛下は立ち会わず、山本信一郎長官から宮殿で結果の報告を受けて決裁する。その後、宮内庁が選ばれた自治体に連絡し、協力を依頼。具体的にどこに「斎田」を設けるかなどを今後協議していく。同庁によると、古来、斎田で作られた米は皇室に献上されてきたが、日本国憲法下で初めて行われた平成の代替わりの際は、生産者に代金を支払って購入した。今回も、同様の対応をとるという。

<女性天皇・女系天皇について>
PS(2019年5月27日追加): 皇位継承資格を男系に限定していたのは、科学的な生物学・遺伝学が広まっていなかった時代に、生殖に関しては「男が種、女は畑」と考えられていたからで、畑が肥えていようがいまいが、大根の種を蒔けば大根、キャベツの種を蒔けばキャベツしかできないのと同じに考えていたからだ。しかし、現在では、科学的に「男性も女性も種を作るのに半々に貢献しており、その上、女性が畑も提供している」ことが明らかになったため、皇位継承資格を男系に限る必要はなくなったのである。
 また、男子に限定したのは、大日本帝国憲法第11条で天皇に軍の統帥権を持たせた明治以降からであり、それ以前は女性天皇が何人もいる。従って、日本国憲法の下では男子というのも不要な制限であり、女性・女系天皇はもはや何の問題もなく、女性・女系天皇に対する反対は根拠なき女性差別になっているため、*4の結果になっているのだ。

 
       2019.5.27朝日新聞            2019.5.27毎日新聞

(図の説明:令和天皇初の国賓としてトランプ米大統領が来られ、よい歓迎を受けられた。ただし、いつも思うのは、雅子皇后の帽子は大きすぎ、それを目深にかぶるため顔が半分くらいしか見えず、おしゃれでない。そのため、自分の美しさを殺さず活かすファッションや姿勢を工夫されてはいかがかと存ずる。よいファッションアドバイザーをつけるのも一考かもしれない)

*4:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041200827&g=soc (時事 2019年4月12日) 女系・女性天皇に賛成7割=時事世論調査
 時事通信の4月の世論調査で、男系男子に限られている現在の皇位継承資格を女系・女性皇族にも広げるべきか尋ねたところ、「広げるべきだ」が69.8%だった。「広げるべきではない」は11.2%、「どちらとも言えない・分からない」は19.0%だった。政府は女系・女性天皇に慎重な姿勢を示しているが、回答者の約7割が女系・女性天皇を容認していることが明らかになった形だ。皇族数の減少対策となる女性宮家創設の賛否に関しても、「賛成」69.7%、「反対」10.3%、「どちらとも言えない・分からない」20.0%となった。現在の天皇陛下にどのような感情を抱いているかについては、「尊敬の念を抱いている」44.0%、「好感を抱いている」39.5%、「特に何の感情も抱いていない」15.5%などだった。

<生命科学のもう一つの革命、再生医療>
PS(2019年5月28、30日追加):*5のように、人工透析患者の皮膚から人工血管を作製し、その患者さんに移植して人工透析をやりやすくする臨床研究が始まるそうだ。人工血管もいろいろな場所で役立つが、人工透析患者に使うのなら腎臓を作って移植した方が透析不要になって患者さんの幸せに繋がりそうである。そして、人工腎臓もバイオ3Dプリンターでできるかも知れないが、絹糸や絹布などの蛋白質素材で腎臓の形を作って土台にし、患者さんの幹細胞を培養すれば、複雑な形も比較的簡単にできそうに思う。
 また、*5-2のように、東京大と米スタンフォード大などのチームが、造血幹細胞を市販の液体のりの成分で大量培養することに成功し、専門家もびっくりしたそうだ。こうなると、培養しながらの3Dプリンター等での造形が容易になるだろう。

*5-1:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/513677/ (西日本新聞 2019/5/28) 人工血管を患者に移植 バイオ3Dプリンターで作製 佐大チーム
 佐賀大医学部の中山功一教授(臓器再生医工学)らの研究チームが、人間の細胞から立体的な構造体をつくる「バイオ3Dプリンター」を使い、人工透析患者の皮膚から人工血管を作製し、患者に移植する臨床研究を始める見通しとなった。国から認可された審査委員会に研究計画を申請済みで、承認後に着手する。中山教授によると、人工素材を使わずにヒトの細胞から人工血管を作るため、アレルギー反応や細菌の感染リスクを抑制する効果が期待できるという。バイオ3Dプリンターは、患者の脇や脚の皮膚から採取した細胞を培養し、約1万個の細胞の塊(直径約0・5ミリ)をつくり、その塊を剣山のように並べた針に刺して積み重ね、3次元データの設定通りに形成する。複数の串刺し状の塊がくっつき、直径約5ミリ、長さ約5センチのチューブ状の人工血管ができるという。人工透析は、腎不全の患者の体内から血液を取り出し、機械で浄化して戻す治療法。血液を取り出しやすくする血管(シャント)が必要になるが、樹脂製の血管は内部が詰まる場合があるという。このため、シャントの代わりに3Dプリンターで作った人工血管を3-4人の患者に移植し、半年ほどかけて安全性や効果を確認する。中山教授は「バイオ3Dプリンターで作製した人工血管の移植は世界でも珍しい。他の臓器の作製にも応用できるだろう」としている。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14035348.html (朝日新聞 2019年5月30日) 造血幹細胞、のりで大量培養 高価な培養液以上、専門家びっくり 東大など、マウスで成功
 白血病の治療で重要な細胞を大量に培養することに、東京大と米スタンフォード大などのチームがマウスで成功した。これまでは高価な培養液でもほとんど増やせなかったのが、市販の液体のりの成分で培養できたという。白血病などの画期的な治療法につながる可能性があり、専門家は「まさにコロンブスの卵だ」と驚いている。白血球や赤血球に変われる造血幹細胞は、0・5リットルで数万円するような培養液でも増やすことが難しい。このため、白血病の治療はドナーの骨髄や臍帯血(さいたいけつ)の移植に頼る場面が多かった。東京大の山崎聡特任准教授らは、培養液の成分などをしらみつぶしに検討。その一つであるポリビニルアルコール(PVA)で培養したところ、幹細胞を数百倍にできたという。PVAは洗濯のりや液体のりの主成分。山崎さんは実際、コンビニの液体のりでも培養できることを確認した。共著者で理化学研究所で細胞バンクを手がける中村幸夫室長は「結果を疑うほど驚いた。研究者はみんな目からウロコではないか」と話した。論文は30日に英科学誌ネイチャーに掲載される。

<知的障害者・精神障害者差別が起こる理由、犯人の前職など>
PS(2019年5月29日、6月1、2、3日追加):*6-1のように、昨日、川崎市内のバス停で多くの小学生が刃物で襲われる事件が起き、小6の女児と見送りに来た父親が犠牲になった。2001年には大阪教育大附属池田小学校で小学生の無差別殺傷事件が発生しており、このような場合に必ずほのめかされるのが「精神障害者か知的障害者の犯行」だ。これは、刑法が39条で「心神喪失者の行為は罰しない、心神耗弱者の行為は刑を減軽する」と規定しているのが原因だが、メディアがこぞって心神喪失者か心神耗弱者(注:どちらも定義なし)の犯行であるかのように言い立て、近年おかしな病名が増えた精神科の専門家が「予備軍は多い」などと語るのも問題だ。何故なら、それなら「予備軍」と考えられる人はすべてあらかじめ閉じ込めておくのが「登下校中の子どもをあらゆる悲劇から守る手立て」になるが、これは差別に基づく著しい人権侵害に至る危険な思想だからである。
 なお、*6-2のように、私立カリタス小学校の児童ら19人を殺傷して自殺した岩崎容疑者(51歳)は、刃渡り30cmの2本の包丁を黒い手袋を着用した両手に持って短時間で多数の人を殺傷したそうだが、こんな長い包丁を使って短時間に何人も殺せる人の前職は自衛官か肉屋・魚屋か、自殺までしたのなら元自衛官が誰かに頼まれて行ったのかと疑問に思われ、前職が全く開示されないのが不思議だった。
 さらに、*6-3のように、福岡市博多区板付の路上で、息子(40代)が「10年くらい前から引きこもりで仕事をしないため注意した」という母と妹を襲った後、自殺したと書かれている。10年くらい前の2008年にはリーマン・ショックがあり、企業は介護保険制度の支払いが40歳から始まるため40歳前後の人を解雇することが多く、その後は正規雇用の仕事がないまま10年近くを過ごして犯行に及んだのかもしれない。これは、岩崎容疑者にも近いが、中途退社すると就業上の不利益を受ける社会はおかしく、「引きこもり=異常」というのも変である。ちなみに、出産直後の主婦は買い物にも行けないほどの引きこもり状態を強制されるし、夫の転勤について行った専業主婦も引きこもらざるを得ないことが多いため、これは何とかすべきだ。
 このような中、*6-4のように、元農水次官が「引きこもり」と思われる44歳の長男を刺殺したそうで、偏見に満ちた報道で「引きこもり」の当事者は最後の居場所を無くしている。また、*6-5のように、引きこもりの経験者や家族会が、「①事件と引きこもりを先入観で短絡的に結びつける報道は、無関係な引きこもり当事者を深く傷つけ、誤解と偏見を助長する」「②引きこもり状態にある人が、このような事件を引き起こすわけではない」「③無関係な他者に対し危害を加えるような事態に至るケースは極めてまれだ」と、メディアにおける事件の報じ方に言及し、危機感を表明したのは当然のことだ。しかし、ここで、「バッシングではなく支援を」と精神科医が過去の西鉄バスジャック事件や新潟の少女監禁事件を引き合いに出しているのは「引きこもり⊂精神障害者=他者に危害を加える人、殺人犯予備軍」というレッテルを貼っており、「犯罪防止」や「支援」という名目でやろうとしていることが問題なのである。
 そして、「犯罪防止」という名目で行われ始めた人権侵害には、*6-6のような大きく規制緩和されて6月1日から施行されている改正通信傍受法(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64915 参照)に基づく警察の通信傍受がある。そのため、これを正当化するために「日本にも、危険な人はこんなに多い」とメディアを使って差別的な広報をしているのなら、とんでもない話だ。また、通信傍受する理由はどうにでもつけられるため、犯罪とは無関係な人でも意図的に傍受されることがありえ、この法律は日本国憲法21条の「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」に反するわけである。
 なお、障害者差別に関して、*6-7のように、「福岡トライアスロン」が約100人の障害者をボランティアスタッフとして参加させるのは、爽やかな明るさのあるトライアスロンらしい貢献で好ましいが、裏方ではなく競技に参加させることはできないのだろうか?

*6-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14033840.html?iref=comtop_tenjin_n (朝日新聞 2019年5月29日) (天声人語)朝のバス停の悲劇
 「あの日、駅で『行ってきます』って笑顔で言ってくれたよね。あの笑顔が最後だった。もうお話しできないんだね」。大阪・付属池田小事件(2001年)で亡くなった小2女児、山下玲奈さんの遺族が翌年、そんな手記を本紙に寄せた▼感情を抑え、思い出を淡々とつづる。「車の中で宇多田ヒカルさんの歌、よく歌ってくれたよね」「小学生新聞の作文コーナーに応募したいと言って、作文用紙を買ったね」。普段着のように自然な口調が哀(かな)しみを誘う▼手記に胸を打たれた音楽家らが、鎮魂の楽曲「子守歌」を作る。「もう一度会いたいよ」「何のためにこの世に出てきたのでしょうか」「ずっと一緒だからね」。母の思いがメロディーに乗り、人々の胸に届けられてきた▼多くの小学生らが刃物で襲われるという凄惨(せいさん)な事件がまたしても起きた。犠牲者の一人は小6の女児である。いつもと変わらぬ朝を迎え、いつものバス停に立った。スクールバスに乗り込む直前に未来が絶たれるなど、だれに予測できただろう▼川崎市内の現場にはきのう、雨の中、住民らが次々に献花に訪れた。白いユリ、紅のガーベラ、黄色のヒマワリ……。登下校中の子どもをあらゆる悲劇から守る手立てはないものか。花々を見ながら考え込んだ▼〈逆縁の花の別れでありにけり〉山崎美代子。かつて本紙の俳壇に載った句である。病気であれ事故であれ、子に先立たれた親の苦しみは海より深い。時がたっても遺族の悲しみが消えることはない。

*6-2:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/380373 (佐賀新聞 5月29日) 手袋着用、短時間で多数殺害図る、川崎19人殺傷、動機を捜査
 川崎市多摩区でスクールバスを待っていた私立カリタス小の児童ら19人が殺傷された事件で、自殺した岩崎隆一容疑者(51)=同市麻生区=が襲撃時、手袋を着けていたことが29日、神奈川県警への取材で分かった。県警は凶器の包丁が滑らないようにし、短時間に大勢を殺害できるよう周到に準備したとみて捜査。同日の家宅捜索でノートなど数十点を押収した。動機や計画を示唆するものは見つからなかった。県警によると、岩崎容疑者は自宅最寄りの小田急線読売ランド前駅と登戸駅の防犯カメラ映像では手袋をしていなかった。現場近くでは手袋をした姿が写っており、襲撃直前に着用したとみられる。

*6-3:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/514897/ (西日本新聞 2019/6/1) 母と妹襲い男自殺か 2人重傷「生活巡り口論」 博多区
 31日午後5時10分ごろ、福岡市博多区板付4丁目の路上で、通行人から「女性が倒れており、家族に殴られたと話している」と119番があった。博多署によると、女性は「帰宅したら兄に刺されたので逃げてきた」と話し、近くの市営板付南住宅の一室で、男女2人が血を流して倒れていた。3人は病院に搬送され、男は死亡し、女性2人は重傷。3人は母親と兄、妹とみられる。署によると、路上で倒れていた40代の女性は、刃物によるとみられる刺し傷が胸にあった。室内にいた母親とみられる70代の女性は署員に「息子は引きこもりで仕事もせず、注意したら口論になり殴られた」という趣旨の話をしたという。頭を金づちのような物で殴られていた。この団地の一室では、署員が駆け付ける直前に、布団などが燃える火災もあった。死亡した男は腹部から出血しており、署は2人を襲った後に自殺したとみて、殺人未遂事件として調べる。近所の小学6年の女児(11)は「部屋で友達と遊んでいたら、隣の住民から『火事だから外に出て』と言われた。頭が血で染まった女性が救急車に運ばれているのを見た。本当にびっくりした」と話した。一家と長年付き合いのある70代女性は「母親と一昨日に会った際も変わった様子はなかった。息子さんは10年ぐらい前に1人暮らしを始めたと聞いていたので、戻ってきたのも知らなかった。最近は会っていない」と驚いた様子だった。

*6-4:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14039677.html (朝日新聞 2019年6月2日) 元農水次官、殺人容疑 44歳長男を刺す 警視庁捜査
 自宅で長男(44)を刺したとして、警視庁は1日、東京都練馬区早宮4丁目、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕し、発表した。熊沢容疑者は調べに「間違いない」と供述し、容疑を認めているという。長男は搬送先の病院で死亡し、同庁は容疑を殺人に切り替えて調べている。練馬署によると、逮捕容疑は1日午後3時半ごろ自宅で、長男の無職英一郎さんの胸などを包丁で複数回刺し、殺害しようとしたというもの。同40分ごろ熊沢容疑者から110番通報があり、署員が駆けつけると、英一郎さんが1階和室の布団の上で仰向けに倒れていた。熊沢容疑者は妻、英一郎さんと3人暮らし。同庁は当時の詳しい状況や動機の解明を進める。熊沢容疑者は旧農林省出身で、農林水産審議官などを歴任し、2001年から事務次官。05年から駐チェコ大使も務めた。近くに住む男性(86)は「一家は10年ほど前に引っ越してきた。長男らしい男性は一度も見たことがない」と話した。

*6-5:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14039661.html (朝日新聞 2019年6月2日) ひきこもり報道、偏見が怖い 川崎殺傷で「懸念」声明相次ぐ
 川崎市の路上で児童らが殺傷された事件で、直後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)が、長期間就労せずひきこもり傾向にあったことが関連して報じられていることについて、「ひきこもる人への偏見を助長しかねない」と懸念する声が当事者からあがっている。ひきこもり経験者や家族会が1日までに相次いで見解、声明を公表した。
■事件と結びつけ「当事者傷つく」
 「ひきこもりは危険という偏見をこれ以上かぶせられるのはたまらない」。東京都内で1日に開かれた「ひきこもり親子・公開対論」。中高年ひきこもりの当事者や家族らが集う「ひ老会」の主宰者、ぼそっと池井多さん(57)は事件を報じるメディアの影響に言及し、危機感を表明した。自ら長期のひきこもり経験がある。「私だってむしゃくしゃしてブラックな気分になることはある。でも、それは私が50代でひきこもりだから、なのか。そうは思わない」。ひきこもり経験者でつくる「ひきこもりUX会議」(林恭子・代表理事)は31日、声明を公表した。「『事件を悲しみ犯行を憎むこと』が『ひきこもる人たちをひとくくりに否定すること』に向かいかねない」と危惧。事件とひきこもりを先入観で短絡的に結びつけるような報道は、「無関係のひきこもり当事者を深く傷つけ、誤解と偏見を助長する」とし、報道機関に慎重な対応を求めた。一方、KHJ全国ひきこもり家族会連合会(伊藤正俊、中垣内正和・共同代表)も1日に声明を公表。「自分の子も事件を起こしてしまうのでは」と衝撃を受けた親からの相談が増えている実態を明かしたうえで、「ひきこもり状態にある人が、このような事件を引き起こすわけではない」「無関係な他者に対し危害を加えるような事態に至るケースは極めてまれ」だと指摘した。そのうえで、縦割りをこえた行政の支援構築や、家族会などの居場所につながることの重要性を訴えた。
■バッシングではなく支援を
 精神科医の斎藤環・筑波大教授の話 過去に、西鉄バスジャック事件や新潟の少女監禁事件でも、当事者へのレッテル貼りとバッシングがセットでなされ、支援の充実にはつながらないということが繰り返され、今回も懸念している。一方で、当事者たちがこれだけ発信していることは、20年前からすると大きな一歩だ。支援を当事者主体のものに変えていくきっかけにしてほしい。

*6-6:https://digital.asahi.com/articles/ASM2G4RCVM2GUTIL01M.html (朝日新聞 2019年2月15日) 警察の通信傍受、昨年1万回超 12事件で82人を逮捕
 法務省は15日、全国の警察が昨年1年間に通信傍受法に基づいて傍受した携帯電話の通話は計1万359回だったと発表した。傍受した通話のうち、犯罪に関連するものは約1割の1318回だったという。12の事件で計82人の逮捕につながったという。2000年8月に施行された通信傍受法は当初、対象犯罪を薬物、銃器、組織的殺人、集団密航の4類型に限定していた。16年12月施行の改正法で窃盗、詐欺、恐喝、児童ポルノの提供・製造など9類型が追加された。昨年1年間の12事件のうち、8事件が改正法で新たに対象犯罪になった犯罪だった。捜査幹部によると、法改正で想定していたのは組織的な窃盗団や特殊詐欺の犯行グループへの実施という。法務省は傍受を実施した都道府県警や事件の内容は明らかにしていない。

*6-7:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/515303/ (西日本新聞 2019/6/3) 障害者100人が運営スタッフに 30日、福岡トライアスロン
 福岡市東区の西戸崎と志賀島を舞台にした「福岡トライアスロン」(30日)に、市内の福祉施設に通う約100人の障害者がボランティアスタッフとして参加する。これほど多くの障害者がスポーツ大会運営の裏方として活動するのは珍しいという。医師など市民有志でつくる大会実行委員会は「共生のまちづくりの一歩にしたい」と話している。大会は2017年に初開催され、2回目。約600人が出場予定で、バイクの受け渡しやコース管理など運営業務が多岐にわたるため、千人以上のボランティア確保が必要になっている。今年、福岡市で「障がい者差別解消条例」が施行されたこともあり、実行委は「働きやすい環境を整備すれば、障害に関係なく責任を持って大会を支えてくれる」と市内の関係団体に協力を呼び掛けた。大会には身体や知的、精神などの障害がある約100人が参加、健常者とともにチームを組んで選手を支える。具体的には選手に配るゼッケンなどの袋詰めのほか、大会前日の選手受付、当日の給水、表彰式なども支援する。障害者施設で作った物品販売や飲食コーナー、楽器演奏、ダンスでも大会を盛り上げる。実行委は車いす利用者が使いやすいようテーブルの高さを統一し、言葉で理解が難しい人には絵や写真で業務を説明した。協力に応じたNPO法人「福岡市障害者関係団体協議会」の中原義隆理事長は「これほどの規模でボランティア参加する大会は初めて。本人たちにとっても自信になる」と話している。

<近年の人類移動事情>
PS(2019年5月31日追加):*7-1のように、外国人就労拡大をする改正入管難民法の4月施行を受け、福岡県・市町村・業界団体・留学生支援団体などの官民56団体が、2019年6月に九州初となる「福岡県外国人材受入対策協議会」を発足させるそうで、他地域でも参考になる。
 また、*7-2のように、新在留資格「特定技能」外食分野の第2回国内試験の受験申し込みが外国人食品産業技能評価機構HPで始まると、申し込み殺到で受け付け開始直後から申し込みフォームが開けなくなったそうだ。しかし、*7-4のように、日本に移住して日本人妻や家族と故国のイタリア野菜を生産するイタリア人シェフや田舎暮らしに憧れて循環型の農業を目指す地域おこし協力隊のスペイン人のような方もおり、外国人だからこそ思いつくことも多い。さらに、*7-3のように、カンボジア(カボチャの古里)から来た農業実習生が新在留資格「特定技能1号」に移行するそうだが、様々な可能性を持って働く人たちであるため、せっかく日本語が通じるようになった真面目な外国人を追い出すようなことがないようにすべきだ。
 なお、最近、うちの近くでベトナム人をよく見かけるようになったが、同時にスーパーでパクチーが売られるようになり、うどんに入れて食べると爽やかで美味しい。ベトナムでは米粉麺(フォー)に入れて一般に食べられるが、その米粉麺とスープが売られていないのは残念だ。

*7-1:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/513963/ (西日本新聞 2019/5/29) 福岡県、外国人材受け入れへ協議会 官民56団体連携
 外国人就労を拡大する改正入管難民法の4月施行を受け、福岡県や市町村、業界団体、留学生支援団体などは6月に「県外国人材受入対策協議会」を発足させる。生活、労働情報や課題を共有し、受け入れ環境向上を図る狙いだ。外国人材に関連した官民の横断的な組織の設立は九州で初めて。県は9月にも市町村と連携した広域の外国人相談窓口の設置を予定している。法務省によると、県内の在留外国人は7万3876人(昨年6月現在)。改正法は新たな在留資格「特定技能」を創設。県内でも農業、介護、建設などの分野に従事する外国人数の増加が見込まれる。協議会は県に事務局を置き、福岡市、北九州市、県市長会、県町村会、福岡労働局をはじめ、農業や介護のほか外食、宿泊、建設など13業種の業界団体を含む計56団体で構成。アンケートなどで就労や生活面の不安、事業者が抱く制度の課題点や困り事を把握し、必要な対策につなげる。新設する相談窓口は「県外国人相談センター」(仮称)。政令市を除く58市町村に寄せられる相談をセンターと共有できるネットワーク体制を構築する。(1)外国人と担当の市町村職員(2)センターのスタッフ(3)通訳業者‐の3者が機器で同時通話できるシステムを活用。スタッフが生活、就労、医療など相談内容次第で各専門機関にもつなぐ。県は、関連経費として計約2300万円を2019年度一般会計当初予算案に計上する方針。

*7-2:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/512757/ (西日本新聞 2019/5/24) 外食特定技能試験のHP申し込み殺到 数時間アクセス困難に
 外国人労働者受け入れ拡大で創設された在留資格「特定技能」の外食分野の第2回国内試験(全国7会場)の受験申し込みが23日、外国人食品産業技能評価機構のホームページ(HP)上で始まったものの、申し込みが殺到しアクセスしにくい状態が数時間続いた。3月下旬に募集した初回分は半日で定員に達したため、機構はサーバーの容量を増強し備えていたが「予想を上回った」(事務局)という。東京会場分はこの日で定員(640人)に達した。外食分野の第2回試験は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡で6月24-28日に実施。定員は計2032人で、この日の午前10時に受け付けを始めた。本紙「あなたの特命取材班」に寄せられた情報によると、受け付け開始直後から申し込みフォームが開けなくなり、機構によると、昼すぎまでその状態が続発。その後も申し込みに必要な仮登録メールが送信されないトラブルが起きた。申請締め切りは今月29日だが、機構は「トラブルが起きた場合に対応が難しいため、土日は受け付けを停止する」としている。特定技能の在留資格を得るためには、各分野の技能測定試験に加えて、日本語能力試験に合格する必要がある。両方の試験に合格した後に出入国在留管理局に申請し、審査を経て資格を取得することになる。外食分野を管轄する農林水産省によると、外食業では留学生を中心に約14万人の外国人が働いている。特定技能では今後5年間で最大約5万3千人の受け入れを見込んでいる。

*7-3:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/506135/ (西日本新聞 2019/4/27) 特定技能1号 初認定 カンボジア農業実習生2人 登録支援機関は福岡など8件
 外国人労働者の受け入れを拡大する新制度で、出入国在留管理庁は26日、農業に従事する技能実習生でカンボジア国籍の20代女性2人が新たな在留資格「特定技能1号」に移行すると発表した。4月に運用が始まった新制度での認定は初めて。受け入れ企業に代わって外国人の生活をサポートする「登録支援機関」には、福岡県と鹿児島県の中小企業各1件を含む8件が全国で登録された。特定技能は人手不足が深刻な介護や建設、農業など14業種で、今後5年間で約34万人を受け入れる。外国人労働者は日本語能力と技能試験に合格すれば最長5年間働くことができる。特定技能1号にはアジアの元技能実習生23人、日本で実習中の4人の計27人が申請、2人が認められた。2人は大阪府の会社で受け入れられ、和歌山県御坊市で農業に従事。新制度では3年以上の技能実習修了者は技能試験が免除されることになっており、2人はこの要件で移行した。26日に在留資格の変更許可の通知書を送付。手続きが終われば、特定技能1号の在留カードが交付される。登録支援機関には人材派遣会社や日本語学校など1176件の申請があり、うち行政書士など個人2件、中小企業など法人6件が登録された。九州7県を管轄する福岡局への申請は78件。入管庁の佐々木聖子長官は「在留資格の変更や(本国からの)呼び戻しが多いのは予想通りで、これから審査をして徐々に増やしていく。登録支援機関が社会に定着していくようにしたい」と述べた。

*7-4:https://www.agrinews.co.jp/p47783.html (日本農業新聞 2019年5月29日) 海越えて移住「満足」 日本が古里
 日本は第二の古里──。遠く離れた異国に移住し、日本人の妻や家族と共に農業や農村暮らしに夢を描く外国人がいる。故国のイタリア野菜を生産するシェフや、田舎暮らしに憧れ循環型の農業を目指す農場を立ち上げた地域おこし協力隊員。必死に取り組む姿に地域の人々も、目を細める。積極的に地域の活動にも関わり、欠かせない存在になっている。
●故国の野菜80種 農家シェフ順風 イタリア→福岡県福津市 シルビオさん夫妻
 福岡県福津市に、国内で流通するイタリア野菜の草分けがいる。イタリア出身のカラナンテ・シルビオさん(41)と同市出身の花田愛さん(40)夫妻だ。日本に移り住んだ11年前は国内でイタリア野菜が手に入らず、自ら作り始めた。現在は、3・5ヘクタールの畑で年間80種の野菜を栽培する。トロペア、渦巻きビーツ、アーティチョーク……。夫妻が手掛ける野菜は、どれも一般のスーパーでは見掛けないマイナー品目だ。現在は種苗メーカーから種子が販売され作る農家も出てきているが、移住した当初は手に入らなかった。シルビオさんはイタリアで修業を積んだ料理人。日本の野菜でも代用できないか試したが、思った味が出せなかった。農業は素人だったが、自ら作ることを決意。周辺農家の指導を受けつつ、小さな畑から栽培を始めた。イタリア野菜は、日本で作るのが難しいとされる。気候の違いからだ。夫妻は、さまざまなイタリア野菜を育てて味見。同市の気候に適した種を探した。独特の香りや苦味が弱いなど、課題があった場合は植え付け時期や水管理を変えて工夫。地域に合った作り方を少しずつ研究していった。料理人とあってイタリア野菜の味わいに精通していたことも役立った。「味や食感を確かめながら、本場の味に近づけた」と振り返る。風変わりな野菜を作る異国人とその妻。当初は地域住民も遠巻きにしていたが、真面目に農業に取り組む2人の姿を見て協力するようになった。3・5ヘクタールと広大な農地も、地元民の声掛けで集まったという。2018年度には宗像市、福津市、JAむなかたでつくるむなかた地域活性化機構から、農業功労賞を受けるなど、今では同市を代表する農家の一人となった。17年12月には、イタリア料理店アプテカ・フレーゴを開店。生産したイタリア野菜を巧みに使い、振る舞っている。地場産のタコをメイン食材にしたパスタも、自家製の新鮮なハーブ「フェンネル」を添えると、本場の味に変貌する。店には直売コーナーを設け、料理に使った食材を並べる。シルビオさんの料理を気に入った客が、購入していく。店で使う分は一部。作った野菜のほとんどは、福岡市内のスーパー、全国のイタリア料理店や和食店などに卸す。営業活動はほとんどしていないが、口コミで出荷先がどんどん広がっているという。農業を始めてから、自分で汗を流して食材を作り、調理して食べる生活に魅了されたという夫妻。「移住して感じた食の大切さを、店に来た客にも伝えていきたい」と話す。
●豊かな水と人情 夢は循環型農業 スペイン→新潟県上越市 エミリオさん
 スペイン出身のガルシア・バランコ・エミリオさん(38)と瀧田典子さん(32)夫妻は、畜産農家を目指して2人の子どもと共に新潟県上越市柿崎区にやって来た。エミリオさんは現役の地域おこし協力隊員。活動を通して地域に溶け込み、2017年に農場「黒岩パーマカルチャーファーム」を立ち上げ、循環型農業の実践に夢を描く。パーマカルチャーは、オーストラリアで提唱された永続的な農業を指す概念で、世界各地で取り組まれているという。農場ではウコッケイの他、水田2アールでアイガモ農法に挑戦。有機野菜作りにも汗を流す。ウコッケイは10羽から50羽に増やし、卵の販売に乗り出した。有精卵は、地域の直売所や飲食店で1日約10~20個(1個120円)を販売。「こくがある」と、評判は上々だ。来日して愛知県で3年間過ごした後、16年に上越市の地域おこし協力隊に就任。今秋に任期を終える。「自然を大切にして、田舎で暮らしたい」と柿崎区に飛び込んだ。豊かな湧き水と森林、温かい人情が移住の決め手だったという。今後はウコッケイを250羽、ヤギ7頭を100頭に増やす計画。6月にはブロイラー40羽を飼育する予定だ。飼っている動物のふんから堆肥を作り、土を守る農業を実践していく。エミリオさんは「再生可能な農業でコミュニティーをつくり、新たな移住者5家族ほどを呼び込みたい」と将来の夢を描く。夫妻は、地域活動に積極的に参加し、住民から頼りにされるまでになった。今後は、豚や牛の導入も視野に循環型の永続的農業を取り入れていく考えだ。

| 教育・研究開発::2016.12~2020.10 | 04:00 PM | comments (x) | trackback (x) |

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