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2019.8.1 日本の防衛・外交と日米安全保障条約について (2019年8月1、2、3、4、5、6、8、9日に追加あり)
    
   2019.7.26Goo      原発所在地  使用済核燃料所在地 2017.3.7朝日新聞

(図の説明:左図のように、北朝鮮が2019年7月25日に発射した短距離ミサイルは、方向を変えれば、釜山はじめ中央の2つの図の西日本にある原発及び大量の使用済核燃料保管場所に届く距離を飛行した。これは、核兵器を積まなくても、核攻撃して目標国の国力を削ぐことが可能であることを意味する。仮に釜山で原発が爆発すれば、右図のように、放射性物質は日本国内の広範囲を直撃し、対馬海流に乗って日本海に広がる)

    
    米軍基地の所在地とその面積       南西諸島     自衛隊の増強

(図の説明:左の2つの図のように、在日米軍基地は驚くほど多いが、現在は、その多くが不要だと思われる。また、1番右の図のように、自衛隊の増強計画も進んでいるが、どちらも日本国民や日本の領土・領海を護る目的に適合した最小限の規模にすべきだ)

(1)朝鮮半島・領土・ホルムズ海峡の問題について
1)日本と米国・韓国・北朝鮮の関係
 トランプ米大統領は、*1-1-1のように、米朝首脳会談後に米韓合同軍事演習の中止を表明し、米朝高官協議を通じて非核化に向けた道筋づくりを急ぐ考えだそうだ。

 しかし、*1-1-2に、トランプ米大統領が米朝首脳会談で朝鮮戦争の終結合意に署名して朝鮮戦争が終結すれば日本の横田基地にいる国連軍が撤退することになるため、それは日本の安全保障に影響し、日本にとって不利益だと書かれている。私は、1950年から70年近くも経過しているのに、日本のために朝鮮戦争終結を邪魔して現状維持を続けさせるのは利己的だと思うが、朝鮮戦争終結の条件には、朝鮮半島の民主化を課した方がよいし、朝鮮戦争を終結させて横田基地を返還してもらった方が日本も良いのではないかと思う。

 このような中、*1-1-3のように、2019年7月25日、北朝鮮が東部の元山付近から日本海に向けて飛翔体(韓国政府が「ミサイル」と特定)を発射し、その飛行距離は1発目が約430km(韓国、釜山に到達する距離)、2発目が約690km(日本、玄海原発・島根原発・伊方原発を含み四国に届く距離)だった。地図上でコンパスを回せばすぐわかるように、これは日本に届く日本を標的にするものだと思われる。しかし、日本政府が、これをミサイルと特定もできずに、「飛翔体」「情報を集める」と連発していたのは情けない。

2)竹島
 2019年7月23日には、*1-2-1・*1-2-2のように、ロシア機2機、中国機2機が、島根県の竹島(韓国名・独島)の韓国が主張する防空識別圏(KADIZ)に進入し、ロシア機1機が竹島上空を領空侵犯したため、韓国軍が戦闘機を緊急発進させて360発の警告射撃を行った。

 これに対し、日本の自衛隊機も緊急発進し、政府はロシアと韓国の両方に形式的に抗議したそうだが、これらの対応は、竹島の領有権が韓国にあることを世界に印象付けたように思う。

3)尖閣諸島
 日本が実効支配している尖閣諸島についても、*1-3-1・*1-3-2のように、沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海に領有権を主張する中国の公船が盛んに侵入し、中国海警局に所属する公船が領海の外側を2カ月以上連続航行したり、領海に侵入したりしたが、日本ではTVで報道されることもなく、海上保安庁が警戒を強めているだけだ。しかし、日中関係が良好か否かとは別に、これは国境警備であるため、本気で領有権を主張するのなら海上自衛隊が出るべきだ。

 日本の防衛省は、*3-2のように、尖閣諸島・南西諸島の防衛力強化を既にすませており、尖閣諸島の領有権が中国にあることを示したい中国の行為については、既に情報分析ばかりしている時期ではない筈だ。

4)ホルムズ海峡
 「イランが日本の船舶を攻撃した」として始まったホルムズ海峡の緊張は、*1-4-2のように、「船舶の安全確保に向けた有志連合」ができつつある。しかし、この有志連合は、国連安保理決議を経ずに行う軍事行動で、イランは日本の船舶を攻撃したことを否定しているため、平和憲法を有する日本の自衛隊が、自らの国境警備はさておいて、こういう場所に出ていくのは適切ではない。

 さらに、ホルムズ海峡は日本が輸入する原油の約8割が通るエネルギー供給の生命線と言われ続けているが、いつまでもここの原油にエネルギーの大半を依存していることこそ、日本が最も改善すべき問題だろう。

 なお、イランが6月に米軍の無人偵察機を撃墜し、7月には米軍がイランの無人機を撃墜したが、トランプ大統領は、6月に米軍の無人偵察機が撃墜された翌日には、イランへの報復攻撃を準備して攻撃10分前に中止を命じていたそうだ。これは、かなり乱暴な気がする。

 一方、英国のハント外相は、*1-4-1のように、中東のホルムズ海峡で英国船籍のタンカーがイランの革命防衛隊(イラン政府との関係は不明)に拿捕された問題については欧州各国と共同でこの付近を航行する船舶の安全を確保する作戦を展開する方針を発表し、イランへの圧力を強める米国主導の「有志連合」には一定の距離を置いたそうだ。

 では、「日本はどうすべきか?」については、イラン政府の指示ではない「海賊行為」なら、それに対応すべき組織は、日本の自衛隊ではなく、ホルムズ海峡を領海とする国の海上警察だと、私は考える。

5)核兵器廃絶
 核兵器については、(北朝鮮だけでなく)イランについても英国と米仏独中ロが対イラン間で核兵器開発を制限する代わりに金融制裁や原油取引制限などを緩和する合意を結び、米国は昨年5月、この合意から離脱したそうだ。

 しかし、核兵器を使えば地球が汚染されるため、どの国も核兵器を廃棄し核兵器の開発は中止して欲いもので、それこそ日本がはまり役になる最も重要な仕事だろう。これには、*4-1のような被爆地の活動も極めて重要だが、*4-2のように世界の宗教指導者が宗教の枠を超えてテロや核の問題について話し合い、原発も含めてメッセージを出すことは、日本人の想像以上に影響力があるかも知れない。

(2)日米安全保障条約について
 よくタブーに切り込む米国のトランプ大統領が、*2-1のように、「日米安全保障条約は米国にとって不公平な合意だ」と主張し、見直しに言及したそうだ。日本にとって日米安全保障条約は、平和憲法下の安全保障政策の基盤になってきただけに重大な発言なのだが、「トランプ氏の主張は正確な認識に基づかず、一方的だ」とするのも、日本をひいき目で見すぎである。

 何故なら、トランプ大統領は「日本が攻撃されたら米国は日本のために戦わなくてはならないが、米国が攻撃されても日本は戦わなくてもいい。不公平だ」と述べておられるからで、トランプ大統領に限らず米国大統領は米国の有権者によって選ばれるため、日本が基地を提供して在日米軍駐留経費・騒音対策費を負担していても、日本を護るために米国人の血が流れれば大統領の再選が危うくなり、他の人でも同じことを言う可能性が高いからである。また、近年は大陸間弾道ミサイルができ、サイバー攻撃も盛んになったため、基地の重要性は低下しているだろう。

 ここで考えておくべきことは、第二次世界大戦後、戦争をし続けてきた米軍に自衛隊が一体化しすぎて一緒に戦争をすることにならないためには、集団的自衛権の行使を解禁する安保関連法が制定されてしまった現在、日本国憲法の平和主義は絶対に守らなければならない最後の砦になったということだ。

 *2-2の日米安全保障条約の重要な点を見ると、「①前文:締約国は、他の平和愛好国と協同して国際平和と安全を維持する国際連合の任務が効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する」「②第4条:締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、日本の安全や極東における国際平和と安全に対する脅威が生じた時は一方の締約国の要請により協議する」「③第5条:各締約国は、日本の施政下にある領域での一方に対する武力攻撃が自国の平和と安全を危うくすることを認め、自国の憲法上の規定・手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」「④最後:この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合、この条約は、通告後一年で終了する」と書かれている。

 このうち①②③はよいが、④で1970年以降はどちらの締約国からも条約終了の意思を通告することができるとされており、日本は、自らの領土・領海を護ることをもっと真剣に考えなければならない。

 このような中、*2-3のように、改憲の国民投票に「賛成」が全体で52%、18~29歳の若者は63%というのは、戦争になればよほど大変になる若者が、それを理解した上で意見を持っているのか不明だ。

(3)米軍基地の返還を進めて1/10まで縮小しよう 
          ← 最優先は普天間基地の辺野古移設なき返還
 トランプ米政権は、*3-4のように、「同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だ」として、在日米軍駐留経費の日本側負担の3~5倍の増額を日本政府に求めているそうだ。確かに米国人から見れば米軍の外国駐留は公金の無駄遣いに見えそうだが、日本は米国とのFTAを通じて経済上の譲歩を迫られる可能性が高く、それでは日本経済を犠牲にするため、この機会に同盟のあり方を見直すのがよいと思う。

 例えば、①膨大な米軍基地を本当に必要な最小限の場所に絞り ②他は返還を進めて米軍基地を現在の1/10以下に減らし ③日本の国防のために本当に必要な場合は自衛隊基地を共用する などである。そうすれば、在日米軍駐留経費を現在の1/2以下に減らし、日米地位協定の問題を解決し、在日米軍には日本の防衛にのみ確実に付き合ってもらうことが可能になる。

 まずは、*3-1のように、基地を過重負担している沖縄の米軍基地を大きく減らし、全国知事会が言っているような跡地利用を行えば、新しい街づくりがやりやすくなって経済効果が高く、これは沖縄だけでなく他の地域でも同じだ。そして、米軍は、現在必要とされる国に配置換えすればよいだろう。

 なお、尖閣諸島を含む南西諸島の防衛のため、*3-2のように、沖縄県の石垣島・宮古島・与那国島、鹿児島県の奄美などに陸上自衛隊が配備されつつあるが、陸自だけで島嶼防衛は不可能であるため、海自・空自との連携は不可欠だ。しかし、住民を調査・監視したり、島嶼戦争の対スパイ戦の任務に当たらせるなどもってのほかであり、また、ここまで多くの島に基地を必要とするかも甚だ疑問だ。

 これまでの安全保障政策を見ていると、*3-3のように、国は、防衛省を拡大するために動いているだけで、本当に国民や領土を守るための行動はしておらず、セクショナリズムも太平洋戦争時と変わらないように見える。しかし、それでは困るし、日本国憲法にも反するのである。

<朝鮮半島・領土・ホルムズ海峡問題>
*1-1-1:http://qbiz.jp/article/135877/1/ (西日本新聞 2018年6月18日) 米韓軍事演習の中止「私が要請」 北朝鮮に譲歩の批判にトランプ氏
 トランプ米大統領は17日、米朝首脳会談後に表明した米韓合同軍事演習の中止について「私(から)の要請だ」とツイッターに書き込んだ。自分自身の判断に基づく提案であり、北朝鮮に譲歩したとの批判は当たらないとの主張。トランプ氏は最近、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と17日に電話協議する可能性を示唆した。今週にも始まるとされる米朝高官協議を通じて非核化に向けた道筋づくりを急ぐ考えだ。トランプ氏はこの日、北朝鮮に関し複数のツイートを投稿した。軍事演習は「非常に金がかかり、誠実な交渉に悪影響を及ぼす。挑発的でもある」と持論を繰り返した。一方で「交渉が決裂したら即座に(演習を)始められる」ともくぎを刺した。12日の首脳会談に関し「北朝鮮との非核化合意はアジア全域から称賛、祝福されている。彼らはとても幸せだ」とアピール。「わが国には、トランプに勝利を与えるくらいなら、歴史的な合意が失敗した方がましだと思う人がいる。大勢の命を救えるかもしれないのにだ!」と非難した。

*1-1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31476480X00C18A6PP8000/?nf=1 (日経新聞 2018/6/7) 「朝鮮国連軍」撤退なら日本は… 横田に後方司令部、北朝鮮 米朝首脳会談 政治 朝鮮半島
 トランプ米大統領は7日の安倍晋三首相との会談後の共同記者会見で、12日に予定する米朝首脳会談では朝鮮戦争の終結合意に署名する方向で調整していることを明らかにした。朝鮮戦争が正式に終結すれば、米軍を中心とする朝鮮国連軍の扱いが論点になる。日本の米軍横田基地(東京都)には朝鮮国連軍の後方司令部があり、平和協定を結べば撤退することになる。朝鮮国連軍の撤退は日本の安全保障にも影響する。
朝鮮国連軍は1950年6月の朝鮮戦争勃発に伴い、安全保障理事会決議に基づいて組織された。現在、司令部はソウルに置かれ、司令官は在韓米軍ブルックス司令官が兼務する。参加国はオーストラリア、カナダ、韓国、英国など18カ国。再び交戦状態になった場合は各国が戦力を派遣する。ただ、実際に部隊を常駐させておらず、防衛省幹部は「今は実態はほとんどない」と語る。もともと朝鮮国連軍は米軍が主体だ。休戦協定を結んだ後も韓国に残った在韓米軍が実質的な朝鮮国連軍になっている。もし国連軍としての撤退が決まっても、休戦協定後に結んだ米韓相互防衛条約に基づき在韓米軍としては駐留を続ける。朝鮮国連軍は「国連軍」を冠した唯一の事例だが、国連憲章で想定する正規の国連軍とは微妙に異なる。国連憲章第7章は安保理が経済制裁などでは不十分と判断した場合、集団安全保障の一環で軍事行動をとることができると定める。特別協定に基づき国連加盟国が提供する兵力で組織し、常任理事国の代表者らで組織する軍事参謀委員会が指揮する。だが冷戦下の米ソ対立もあり、これまでこうした正規の国連軍が組織されたことはない。朝鮮国連軍の派遣は、当時のソ連が安保理を欠席するなか米国の主導で決まった。実質的にも米国が指揮していた。派遣時の司令部は東京にあった。休戦協定締結後の1957年にソウルに移転し、日本に後方司令部が残った。当初は米軍キャンプ座間(神奈川県)に所在していたが、横田基地にある在日米軍司令部との調整が増えてきたため、2007年に同基地に移転した。現在は豪空軍大佐のウィリアムズ司令官を含め4人が常駐。朝鮮半島有事の際には韓国に兵力を送る支援をする。在日米軍の権利を定める日米地位協定と同じように、朝鮮国連軍地位協定もある。協定に基づき在日米軍のキャンプ座間のほか、横須賀基地(神奈川県)や普天間基地(沖縄県)など7カ所の使用を認めている。家族らに免税などの権利も与えている。朝鮮国連軍の枠組みが生かされている事例はいまもある。たとえば、海上で積み荷を移し替え北朝鮮に石油などを密輸する「瀬取り」の監視だ。4月末に始めたオーストラリアとカナダによる航空機での監視活動は、朝鮮国連軍地位協定に基づき米軍嘉手納基地(沖縄県)を利用した。外務省関係者は「国連の旗の下に連携しているという象徴的な意味がある」と話す。仮に朝鮮戦争の終結が宣言されれば、どこかの段階で朝鮮国連軍は撤退することになる。地位協定は、後方司令部について朝鮮国連軍撤退後、90日以内に撤退すると定める。だが朝鮮国連軍が撤退する条件などは明確でなく、外務省によると「国際社会で議論する必要がある」という。日本政府内には朝鮮国連軍が撤退しても「大きな影響はない」との見方が多いが、米国以外の軍の艦船や航空機は在日米軍の基地を使いにくくなる。多国間の連携に影響が出る可能性がある。

*1-1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASM7T4JLBM7TUHBI01P.html (朝日新聞 2019年7月25日) 北朝鮮の飛翔体は「ミサイル」 韓国政府が分析結果発表
 韓国軍の合同参謀本部は25日、北朝鮮が同日午前5時半すぎと同6時前に東部の元山付近から日本海に向け、短距離ミサイルをそれぞれ1発ずつ発射したと発表した。韓国政府は同日午後、「新型の短距離弾道ミサイル」だとする分析結果を発表した。国連安全保障理事会の決議に違反することになり、今後、韓米でさらに分析するとしている。韓国軍によると、飛行距離は1発目が約430キロ、2発目は約690キロ。高度はいずれも約50キロで、海上に落下したとみられる。北朝鮮のミサイル発射は5月9日以来。韓国外交省の李度勲(イドフン)朝鮮半島平和交渉本部長は金杉憲治・外務省アジア大洋州局長、米国のビーガン北朝鮮政策特別代表と電話会談。日米韓で情報共有することを確認した。安倍晋三首相は25日午前、静養先の山梨県で「我が国の安全保障に影響を与える事態ではないことは確認している」と述べ、ゴルフを続けた。5月9日のミサイルについて、日米は弾道ミサイルと分析したが、韓国は断定を避けてきた。韓国の専門家は、今回のミサイルは約50キロという高度から、5月に発射されたロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の改良型とみる。北朝鮮が再びミサイルを撃ったのは、非核化をめぐる米朝協議が思惑通りに進まず、米国を牽制(けんせい)して譲歩を迫る狙いがあるとの見方がある。北朝鮮はこのところ、米韓が8月に予定する合同軍事演習を繰り返し批判。先月の板門店での米朝首脳会談で合意した「実務者協議の再開に影響する」と反発していた。米韓の軍事演習は2017年まで毎夏実施されていたが、昨年6月にシンガポールであった初の米朝首脳会談を受け、トランプ米大統領が中止した。一方、今年は規模を縮小して行う予定だ。

*1-2-1:https://www.j-cast.com/2019/07/23363316.html?p=all (J-CASTニュース 2019/7/23) 竹島上空の韓国機「警告射撃」 ロシア、そして中国の思惑はどこにあるのか
 島根県の竹島(韓国名・独島)で、2019年7月23日午前、韓国が主張する「領空」をロシア空軍機が2度にわたって侵犯し、韓国軍は戦闘機を緊急発進させて警告射撃を行った。韓国軍の合同参謀本部が発表した。 韓国側は、ロシア機が韓国に対して「領空」侵犯したのは初めてだと説明している。特に韓国側が神経をとがらせているのは、「領空」侵犯の前に、中国機とロシア機がそろって、韓国が主張する防空識別圏(KADIZ)に進入したことだ。この狙いはどこにあるのか。
●ロシア機2機、中国機2機が韓国主張のADIZに進入
 韓国側の発表によると、ロシアの軍用機1機が午前9時9分ごろ、竹島上空の「領空」を侵犯。韓国軍は空軍の戦闘機を出撃させ、フレア投下と警告射撃などで対応したところ、ロシア機は9時12分に「領空」を抜け、さらにその3分後にKADIZの外に出た。だが、ロシア機は9時28分に再び「領空」を侵犯。韓国軍の警告射撃を再び受け、9時37分に竹島「領空」を離脱して北上し、9時56分頃KADIZを抜けた。ロシア機による「領空」侵犯は初めてだという。防空識別圏(ADIZ)は、領空に近づく航空機が敵機かどうかを判別するために設けられた空域のことで、他国機が事前通告なく飛行すると、国籍不明機として緊急発進の対象になりうる。中国はKADIZへの無断進入を繰り返しており、韓国が警戒する中での事案だ。今回の「領空」侵犯に先立って、中国、ロシアの軍用機が活発な動きを見せていた。6時44分、7時49分の2回にわたって中国機が2度にわたってKADIZに進入。その後、中国機は北朝鮮と韓国の海上の境界線にあたる、日本海上の北方限界線(NLL)付近まで上昇し、ロシア軍機2機と合流。8時40分頃、計4機で鬱陵島北方からKADIZに進入した。この後、別のロシア機が「領空」侵犯した。
●日本は韓国とロシアに抗議
 この背景にあるとみられるのが、韓国と米国が8月5日から23日にかけて予定している合同軍事演習だ。ソウル新聞では、「中ロの軍用機が東海(日本海)上空で合流して飛行したのは異例」で、「中ロの合同訓練を行ったものと推定される」とする軍関係者の声を紹介。米韓合同軍事演習を狙った「一種の対米圧迫形の『武力示威』だという分析も出ている」と伝えている。日本は韓国が竹島を「不法占拠」していると主張しており、竹島をADIZに指定できていない。ただ、今回のロシア機の行動に対して自衛隊機も緊急発進しており、日本はロシアと韓国の両方に抗議している。菅義偉官房長官は7月23日午後の記者会見で、「韓国軍用機が警告射撃を実施したことは、竹島の領有権に関する我が国の立場に照らして到底受け入れられずきわめて遺憾であり、韓国に対して強く抗議するとともに再発防止を求めた」
などと話した。

*1-2-2:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/404223 (佐賀新聞 2019年7月23日) ロシア軍機に警告射撃360発、竹島周辺、韓国軍「領空侵犯」
 韓国軍合同参謀本部は23日、島根県・竹島(韓国名・独島)周辺に領空侵犯したとするロシア軍機はA50空中警戒管制機で、2回の領空侵犯に対し、韓国軍機がロシア軍機の前方約1キロに向け計約360発の警告射撃をしたと明らかにした。ロシアや中国軍機は日本の防空識別圏にも入っており、菅義偉官房長官は23日の記者会見で、自衛隊機の緊急発進(スクランブル)で対応したと表明した。日本政府関係者によると、政府は韓ロ両政府に対し「わが国の領土での、こうした行為は受け入れられない」と外交ルートを通じて抗議した。韓国外務省当局者は「これを一蹴した」と述べた。

*1-3-1:https://digital.asahi.com/articles/ASM6L4VX0M6LUTIL01Y.html (朝日新聞 2019年6月24日) 中国公船の尖閣領海侵入、再び活発化 透ける習氏の思惑
 沖縄・尖閣諸島周辺の日本領海に、尖閣の領有権を主張する中国の公船が盛んに侵入している。日本の海上保安庁にあたる海警局に所属する公船は、領海の外側を2カ月以上連続で航行。これまでにない動きに、海保は警戒を強めている。その背景を読み解いた。尖閣をめぐる緊張関係は、民主党政権時代の2010年9月にさかのぼる。尖閣沖で海保の巡視船に衝突した中国漁船の船長が逮捕された事件をきっかけに、日本国内で領土保全を求める世論が高まった。その後、日本政府は12年9月に尖閣を国有化。以降、中国公船による領海への侵入や接続水域の航行が続いている。昨年まで減少傾向にあったその回数が目に見えて増え始めたのは、今年に入ってからだ。領海侵入は昨年9~11月は月1回、12月に国有化以降では初めてゼロとなった。ところが今年1~4月は毎月3回、5月は4回に増えた。6月19日までに侵入したのは延べ70隻に上り、すでに昨年1年間に並ぶ。接続水域の航行は、4月12日から6月14日にかけて過去最長の64日間連続を記録した。「依然として予断を許さない状況だ。事態をエスカレートさせることがないよう毅然(きぜん)として対応したい」。海保の岩並秀一長官は今月19日の会見でこう述べ、活発になる公船の動きに警戒感をあらわにした。なぜ突然、動きが活発になったのか。考えられるのは、中国軍が影響を与えている可能性だ。海警局は昨年7月、中央軍事委員会の指揮下にある部隊に編入された。日中関係に詳しい小原凡司・笹川平和財団上席研究員は、公船の動きは習近平・国家主席の意思にもとづくと分析する。「日中関係が良好になるなかで、国内からの『弱腰』批判を抑える政治的な意図があるのではないか」と指摘。「中国が尖閣を領有しようと圧力をかけ続ける長期的な構図は変わらない。海保はこうした動きに対応できるように体制の整備を急ぐべきだ」と訴える。ただ、現状では日中の「体制」には格差がある。中国は尖閣周辺に送る船の大型化を進める。大型になれば荒れた海でも安定して長期間活動でき、3千トン以上や5千トン以上の船も多くなった。今年に入ってからは8割ほどが3千トン以上という。一方の海保。尖閣警備に専従する巡視船計12隻を石垣島(沖縄県石垣市)と那覇市に配備しているが、ほとんどが1千トン級だ。ヘリコプターを2機搭載できる大型巡視船4隻を全国から順次派遣し、中国の大型船に対応している。さらに20年度中には6千~6500トンの3隻を鹿児島港に、21年度中に1隻を石垣島にそれぞれ新たに配備する方針を打ち出し、地元の自治体と調整している。尖閣周辺では中国海軍の軍艦も確認されており、日本側は神経をとがらせる。16年6月には戦闘艦艇が初めて接続水域に入ると、18年1月には潜水艦の航行も確認された。今月には沖縄本島と宮古島の間の公海を空母「遼寧」が航行した。通算で3度目のことだ。18年度の防衛白書は、中国側の動きについて「尖閣諸島周辺を含めてその活動範囲を一層拡大するなど、わが国周辺海空域における行動を一方的にエスカレートさせている」と指摘し、警戒している。防衛省は尖閣諸島を含む南西諸島の防衛強化を目的に、「日本版海兵隊」と言われる水陸機動団を昨年新設するなど「南西シフト」を進めている。尖閣周辺で見られる中国公船の動きに、海上自衛隊トップの山村浩海上幕僚長は18日の記者会見で「何か意図があって、命令があって彼らは動いているものだと思う」と述べ、「今後いろんな面で分析していく必要がある」と話した。

*1-3-2:https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0727/ym_190727_8905001501.html (BIGLOBE、読売新聞 2019年7月27日) 中国公船4隻、尖閣諸島沖領海に一時侵入
 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、27日午前10時17分から34分頃にかけ、中国公船4隻が相次いで沖縄県石垣市の尖閣諸島・久場島沖の領海に侵入した。4隻とも正午頃までに領海を出て同島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内を航行している。

*1-4-1:https://digital.asahi.com/articles/ASM7R23NHM7RUHBI003.html (朝日新聞 2019年7月23日) ホルムズ海峡、英は有志連合と距離 欧州各国と共同作戦
 中東のホルムズ海峡で英国船籍のタンカーがイランの精鋭部隊・革命防衛隊に拿捕(だほ)された問題で、英国のハント外相は22日、欧州各国と共同で、この付近を航行する船舶の安全を確保する作戦を展開する方針を発表した。イランへの圧力を強める米国主導の「有志連合」構想には一定の距離を置いた形だ。
●米主導の有志連合、慎重姿勢の国多く 自衛隊派遣には壁
 ハント外相は英議会で、イランの対応は「海賊行為」と非難。海峡に面したオマーンや米仏独などの外相と協議したと明かし、「この重要な地域で、乗組員と積み荷の安全な航行を支援するため、欧州主導で海上保護の作戦を展開するよう努める」と語った。ハント氏は「この作戦はイランに最大限の圧力をかける米国の政策の一部ではない。我々はイラン核合意の保護に引き続き努めている」と語った。イランを過度に刺激するのは避けた形だが、米国との協力については協議を続けるという。英国とイランの関係は急速に悪化している。英領ジブラルタル自治政府が今月4日、シリアに原油を輸送しようとした疑いのあるイランのタンカーを拿捕したことに、イラン側が強く反発。英国はペルシャ湾に配備した海軍艦艇で民間船舶を護衛しているが、英国の力だけではすべての船は守れないと指摘されていた。英国と米仏独中ロは2015年、イランとの間で、イランが核開発を制限する代わりに金融制裁や原油取引制限などを緩和する合意を結んだ。米国が昨年5月、この合意から離脱したが、欧州各国は維持を表明。英国は今回の問題があっても立場を変えておらず、一部で報道された制裁再開は見送った。

*1-4-2:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/451127 (沖縄タイムス社説 2019年7月28日) [有志連合参加要請]緊張緩和へ役割果たせ
 緊張感が高まる中東・イラン沖のホルムズ海峡周辺を巡り、ポンペオ米国務長官は日本に船舶の安全確保に向けた有志連合への参加を呼び掛けている。テレビニュースのインタビューで明らかにしたもので、米国が公式に日本に参加要請を認めるのは初めて。有志連合は国連安保理決議などを経ずに行う軍事行動である。米側は対イラン包囲網の構築を目指し結成を急ぎたい考えだが、各国は慎重姿勢を崩さない。岩屋毅防衛相も自衛隊派遣に否定的な見解を重ねて示している。日本船舶への攻撃が続いているわけでもなく、法的根拠もはっきりない。当然の判断だ。ホルムズ海峡は、タンカーが通過できる幅は6キロ程度にすぎない。日本が輸入する原油の約8割が通り、エネルギー供給の生命線である。なぜ、軍事的衝突が懸念される事態を招いたのか。原因はトランプ米大統領にある。イラン核合意は、2002年に核開発計画が発覚したイランと、核兵器保有を止めたい米英仏中ロにドイツを加えた6カ国が15年7月に合意した。オバマ米政権時代のことで、イランが核開発を大幅に制限する見返りに制裁を解除し、イランは原油輸出などができるようなった。しかしトランプ大統領は18年5月、核合意から一方的に脱退し制裁を全面復活。イランの反発を引き起こした。米国主導の有志連合に大義はないのである。日本は米国に言われるがまま追従することがあってはならない。
    ■    ■
 有志連合は5月と6月に相次いだタンカー攻撃をイランの行為と決めつけた米国の発案である。イランは関与を否定。米国がイランの脅威をあおり、軍事的圧力を高める狙いがあるとみられる。米国はイランとの衝突のリスクを抑えるのが有志連合の目的と主張するが、実際は対イラン包囲網である。イラク戦争を思い出す。米国はイラクが大量破壊兵器を保有していると主張してイラク攻撃を始めたが、大量破壊兵器はなかった。同じ過ちを繰り返してはならない。6月にイランが米軍の無人偵察機を、7月には米軍がイランの無人機を撃墜した。報復はエスカレートしている。震撼(しんかん)させたのはトランプ大統領が6月の米国の無人偵察機撃墜を受け、翌日にイランへの報復攻撃を準備。攻撃の10分前に中止を命じていたことを明かしたことだ。軍事衝突が起きかねない事態だ。
    ■    ■
 6月には安倍晋三首相が最高指導者ハメネイ氏らと会談するなど米国との仲介役を目指した。大きな成果を上げることはできなかったものの、緊張緩和に向けたその後の動きが見られない。イランは日本と伝統的な友好国である。日本が有志連合に参加すれば、仲介の会談は何だったのか。イランからは敵性国とみられ、長く築いてきた友好関係が損なわれるのは間違いないだろう。日本の役割は、国際社会と歩調を合わせ、イランだけでなく、トランプ大統領にも、自制を促すよう外交努力を尽くすことである。

<日米安全保障条約と米国のスタンス>
*2-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/395893 (佐賀新聞 2019年7月4日) 日米安保見直し発言、認識を正し、本質の議論を
 米国のトランプ大統領が日米安全保障条約について「米国にとって不公平な合意だ」と主張し、見直しに言及した。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)後の記者会見での発言で、「条約破棄は全く考えていない」としたものの、以前から安倍晋三首相にも問題提起していると述べた。戦後日本の安保政策の基軸となってきた日米安保条約に関わる、極めて重大な発言である。だが、トランプ氏の主張は正確な認識に基づかず、一方的過ぎる。日本政府は日米間で条約見直しの議論は一切ないと否定するが、まず大統領に認識を正すよう求めていく必要があろう。発言の背景には、日米貿易交渉に安保政策を絡めて取引材料とする狙いもあるだろう。その真意を見極めたい。日米の同盟関係は近年、自衛隊と米軍の一体化が進んでいる。今回の発言も日本の役割拡大を求める圧力の一環ともみられる。その現状でいいのか。あるべき同盟関係の姿や、今後の日本の安保政策について本質的な議論に取り組むべきだ。トランプ氏は記者会見で「日本が攻撃されたら米国は日本のために戦わなくてはならないが、米国が攻撃されても日本は戦わなくてもいい。不公平だ」と述べた。2016年の大統領選中にも同様の主張をしているが、現職大統領としての発言であり、看過できない。まず、その認識を正すべきだ。1960年に全面改定された日米安保条約は、第5条で日本有事の際に米国が日本を守ると義務付ける一方、第6条で日本が極東の安定確保のため米軍に基地を提供すると定めている。それぞれのリスクとコストが非対称的なため、以前から米国に不満があったのも事実だ。トランプ氏の発言には来年の大統領選をにらんだ国内向けの側面もあるだろう。だが在日米軍基地は、世界に展開する米軍の戦略的拠点として米国のメリットになっている。一方、日本は年約2千億円の在日米軍駐留経費のほか騒音対策費など応分の負担をしている。「双方の義務はバランスが取れている」というのが日本政府の見解だ。この認識を改めて確認すべきだ。トランプ氏の発言には、この夏から本格化する貿易交渉で日本に譲歩を迫る戦略や、対日貿易赤字削減のための巨額の防衛装備品購入を求める狙いもあるだろう。駐留経費負担の増額を要求してくる可能性もある。だが、圧力の下で交渉の主導権を握られる事態は避けなければならない。公正な交渉を進めるべきだ。解せないのは、G20の際に行われた首脳会談での安倍首相の対応だ。安保条約に対するトランプ氏の不満は来日直前に米メディアが報じていた。にもかかわらず首相は真意をたださなかったという。トランプ氏の会見後、首相は「自衛隊と憲法の関係で何ができるかは説明してきた」と述べたが、日米間でどういう協議があったのかを国民にきちんと説明すべきだ。安倍政権の下、安保政策は対米偏重が進んできた。集団的自衛権の行使を解禁する安保関連法を制定、日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定し、日米連携の一層の緊密化を掲げる。だが、米国の戦略に巻き込まれる懸念も膨らむ。近隣諸国との関係構築に努め、安保環境を整備していく構想に日本が主体的に取り組むべきではないか。

*2-2:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
 日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よつて、次のとおり協定する。
第一条 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。
第三条 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。
第四条 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
第七条 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。
第八条 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。
第九条 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。
第十条 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
 日本国のために
   岸信介
   藤山愛一郎
   石井光次郎
   足立正
   朝海浩一郎
 アメリカ合衆国のために
   クリスチャン・A・ハーター
   ダグラス・マックアーサー二世
   J・グレイアム・パースンズ

*2-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190729&ng=DGKKZO47891420Y9A720C1PE8000 (日経新聞 2019年7月29日) 改憲国民投票「賛成」52% 18~29歳では63%、世論調査 無党派43%、反対上回る
 日本経済新聞社の26~28日の世論調査で、安倍晋三首相が自身の自民党総裁任期中に憲法改正の国民投票を実施したいと表明したことについて聞いた。首相の考えに賛成と答えた人は52%で反対の33%を上回った。18~29歳では賛成が63%を占め、無党派層でも賛成が43%と反対を10ポイント上回った。首相の党総裁任期は2021年9月まで。首相は参院選投開票日の21日に民放番組で「総裁任期中に改憲の国会発議と国民投票を実施したいか」を問われて「期限ありきではないが私の任期中に何とか実現したい」と述べていた。今回の調査で「任期中の国民投票」への賛否を世代別に見ると、若年層ほど賛成が多く、反対が少なかった。18~29歳は賛成が63%、反対が26%だった。18~39歳でみても賛成が64%で反対が25%、40~59歳は同58%と30%、60歳以上は同43%と40%だった。高齢層ほど反対が多かったが、全世代で賛成が上回った。内閣支持層では賛成が67%にのぼったのに対し、内閣不支持層では賛成が36%で反対が54%だった。自公以外の野党の支持層でも反対が50%で賛成の43%を上回り、立憲民主党の支持層では反対が6割を超えた。一方で無党派層では賛成が反対を上回った。今回の調査は国民投票の実施についての考え方を聞いており、改憲そのものの是非を質問したわけではない。6月の前回調査では、首相が20年に新憲法を施行する考えを示すことへの賛否を聞き、賛成が37%、反対が45%だった。この時も18~29歳は賛成が55%で反対が35%、60歳以上は賛成が27%で反対が55%と若年層ほど賛成が多かった。首相は今回の参院選で改憲の是非ではなく「改憲の議論をすべきかどうか」を訴えてきた。改憲そのものより、その前段階である国民投票の方が賛成が多い今回の結果をみると、首相の参院選戦略は一定の成果を上げたともいえそうだ。参院選では自民党や公明党、日本維新の会など憲法改正に前向きな勢力が3分の2を割り込んだ。この結果については内閣支持層でも「ちょうどよい」が52%に上った。「もっと多くてもよかった」は30%、「もっと少なくてもよかった」は9%だった。内閣不支持層ではトップは「もっと少なくてもよかった」の43%で「ちょうどよい」が28%、「もっと多くてもよかった」が21%だった。首相に期待する政策では改憲を求める声は乏しい。7つの政策を示し複数回答で聞くと「憲法改正」と答えた人は10%で7位だった。トップは「社会保障の充実」の46%で「景気回復」の39%、「外交・安全保障」の29.5%、「教育の充実」の28.8%が続いた。18年12月~19年5月まで過去5回の同様の質問でも「憲法改正」と答えた人は10~11%で7位が続いていた。

<普天間基地の辺野古移設>
*3-1:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-544708.html (琉球新報社説 2017年7月30日) 全国知事会 沖縄の現状理解広げたい
 2008~15年の8年間に在日米軍人・軍属とその家族による犯罪摘発件数が沖縄県だけで全国の総数の47・4%を占めていることが分かった。全国知事会に設置されている米軍基地負担に関する研究会のまとめで判明した。全国47都道府県のうち、1県だけで全体の半数近くの米軍関係犯罪が摘発されている実態は、沖縄への過重な基地集中を意味する。基地に起因する事故、騒音や環境汚染などの基地公害に加え、治安悪化という大きな負担も県民が背負わされている。基地の過重負担を解消しなければ、こうした状況は今後も続くことになる。たまったものではない。研究会は16年7月に設置された。翁長雄志沖縄県知事の「沖縄の基地問題をわがこととして真剣に考えてもらうようお願いしたい」との要望を受けてのものだ。これまで3回の研究会を開催し、沖縄の基地負担の現状や日米同盟などについて問題意識の共有を重ねている。28日に岩手県で開催された全国知事会議ではこのほか、在沖米軍基地の現状や跡地利用の経済効果などの報告があり、研究会座長の上田清司埼玉県知事が「基地関連収入の比重は大幅に低下しており『沖縄は基地の経済でもっている。基地とは離れられない』という話は誤解だと共通認識を持てるのではないか」と指摘した。全国知事会のこうした沖縄への理解を深め、誤解を解く取り組みを高く評価したい。全国知事会だけでなく、沖縄の基地問題に取り組む全国的な動きが出ている。全国都道府県議会議長会が25日の総会で、米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」の確実な実現要求を盛り込んだ議案を採択した。沖縄側からの提案に呼応したものだ。「5年以内の運用停止」は13年、当時の仲井真弘多県知事が要請し、安倍晋三首相が「最大限実現するよう努力したい」と受け入れた約束だ。しかし首相は翁長知事が名護市辺野古への新基地建設に反対していることを理由に実現困難との姿勢に転じた。47都道府県の議会議長のうち42人が政権与党の自民党所属だ。全国議長会で「5年以内」が都道府県議会の総意として採択された意義は大きい。一方で、まだ認識を全国で共有できていない動きもみられた。今年2月の全国町村議会議長会で、沖縄側から基地関係協議会の設置を求める動議が出されたが、賛成8、反対37で否決された。議長会の国への要望活動に影響することを懸念したためだ。極めて残念だ。全国知事会の研究会は10月後半以降に、日米地位協定を主題に会議を開く予定だ。翁長知事が求めた「沖縄の基地問題をわがこととして真剣に考えてもらう」取り組みが知事会にとどまらず、今後も各界に広がるよう期待したい。

*3-2:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-949264.html (琉球新報 2019年7月6日) 陸自、宮古・与那国に情報保全隊 専門家「住民監視も」
 宮古島市と与那国町への陸上自衛隊配備に関し、自衛隊内外の情報を収集・整理する情報保全隊も配置されていたことが5日までに分かった。情報公開請求で組織図を明らかにした軍事評論家の小西誠氏は「住民を調査・監視し、島嶼(とうしょ)戦争の対スパイ戦の任務に当たることが想定される」と指摘している。情報保全隊は2007年に自衛隊のイラク派遣反対の活動をした団体・個人を監視し、問題となった。防衛省によると、宮古島と与那国島に配置された情報保全隊はそれぞれ数人程度。県内の自衛隊増強と連動して警備隊とミサイル部隊が発足した鹿児島県奄美市の駐屯地にも情報保全隊が配置された。石垣市で建設中の駐屯地にも完成後、配置される可能性がある。県内ではすでに陸海空の情報保全隊が配置され、那覇市を拠点に活動している。南西方面での防衛力強化に向けた離島への陸自配備でさらに活動が拡大することになる。宮古島や与那国島への部隊配備に当たって政府は事前に情報保全隊を配置する計画は説明していなかった。防衛省の担当者は情報保全隊について「重要文書や情報の保管など内部管理の部隊で、北海道から沖縄まで配置されている。与那国や宮古島への配置が特別というわけではない」と説明した。宮古島駐屯地は今年3月に警備隊380人で開設された。20年以降、ミサイル部隊も配備され計700~800人規模になる計画だ。先立って与那国島には16年から160人規模の沿岸監視隊が駐屯している。

*3-3:https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019032902000140.html (東京新聞 2019年3月29日) 「国は国民を守らない」 安保法施行3年 違憲訴訟原告の戦争孤児
 二十九日で施行三年となった安全保障関連法は違憲だとする集団訴訟の審理が、全国二十二の地裁で進んでいる。原告総数は七千六百七十五人。東京地裁での訴訟の原告で戦争孤児の金田茉莉(まり)さん(83)=埼玉県蕨市=は、安保法によって他国を武力で守る集団的自衛権の行使に道を開いたことで「日本がアメリカの手先になって、戦争に巻き込まれる可能性が高まっている」と危機感を募らせる。「国の政策で疎開による孤児がでたのに、国は孤児たちを保護してくれませんでした」。東京地裁で十八日にあった口頭弁論で、金田さんはこう強調した。東京大空襲直後の一九四五年三月十日朝、九歳だった金田さんは学童疎開先の宮城県から東京に戻った。列車が着いた上野は一面、焼け野原。浅草の自宅は焼失し、母と姉、妹が死亡。父は幼いころに病死しており、孤児になった。九人の大家族の親戚に預けられ、「朝から晩まで小間使いのように働かされ、『親と一緒に死んでいたら良かったのにね』と言われた」。子育てが終わり、戦争孤児の聞き取りを始めると、自分以上の壮絶な体験を知った。金田さんは「上野の地下道は戦争孤児であふれ、大勢の子どもたちが餓死し凍死した。お金も食べ物もなく『浮浪児』になった孤児は捕まってトラックに山積みにされ『収容所』に送られたり、親戚宅を逃げ出して人身売買されたり、農家で奴隷のようにこきつかわれたりした」と説明。「戦争になったら弱者は捨てられる」と感じる。二〇一九年度から五年間で購入する兵器を定めた政府の中期防衛力整備計画(中期防)は安保法などで変質した国防の在り方を装備面で追認し、日米の軍事一体化を進めたのが最大の特徴。一九年度予算の防衛費は五兆二千五百七十四億円と、過去最大を更新した。「軍事費をどんどん使い憲法も変え、戦争をする国にしようとしている」と金田さん。「『国を守るためには自衛隊が必要だ』なんて言っても、国は国民を守らない。昔も『聖戦だ』とかうまいことを言い、私たちをだました。守ってもくれなかった」と語る。金田さんは長年、戦争孤児の証言や資料を集めて実態を伝えてきたことが評価され、一九年度の吉川英治文化賞の受賞が決まった。「悲惨な体験の記憶を封印している戦争孤児は少なくない。それでも話してくれる人が増えているのは、再び戦争孤児をつくってはいけないとの必死の思いから。私たちが遺言として残しておかなくちゃいけない」
<安保法制違憲訴訟> 集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法は違憲だとして、同法に基づく自衛隊出動の差し止めや、憲法が保障する平和的生存権などの侵害に対する国家賠償を求め、東京や大阪、名古屋など全国22地裁で25件の集団訴訟が起こされている。

*3-4:https://www.asahi.com/articles/DA3S14122366.html (朝日新聞 2019年8月1日) 米軍駐留費負担「大幅増を」 日本に「5倍」要求も
 トランプ米政権が、在日米軍駐留経費の日本側負担について、大幅な増額を日本政府に求めていたことがわかった。各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向に基づくとみられる。来年にも始まる経費負担をめぐる日米交渉は、同盟関係を不安定にさせかねない厳しいものになりそうだ。複数の米政府関係者によると、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月21、22日に来日し、谷内正太郎国家安全保障局長らと会談した際に要求したという。今後の交渉で求める可能性がある増額の規模として日本側に示した数字について、関係者の一人は「5倍」、別の関係者は「3倍以上」と述べた。ただ、交渉前の「言い値」の可能性もある。米メディアは3月、トランプ政権が駐留経費の総額にその5割以上を加えた額の支払いを同盟国に求めることを検討していると報道。現在の5~6倍に当たる額を要求される国も出てくるとしていた。「思いやり予算」とも呼ばれる在日米軍駐留経費の日本側負担は2016~20年度の5年間で計9465億円に及ぶ。オバマ前政権と結んだ現在の経費負担に関する特別協定は21年3月末に期限を迎え、新たな協定を結ぶ交渉が来年始まる予定だ。日本は思いやり予算以外に、米軍再編関係費なども負担しており、総額は年約6千億円になる。米政府関係者は、ボルトン氏が具体的に、どの予算を増額させたい意向を示したかについては明らかにしていない。トランプ氏は米軍の外国駐留は公金の無駄遣いだと訴え、同盟国に「公平な負担」を求めている。在日米軍についても、駐留経費を日本が全額負担しなければ、米軍の撤退もありうると牽制(けんせい)してきた。ボルトン氏は日本の後に韓国も訪問。日米韓の各政府関係者によると、24日にソウルで康京和(カンギョンファ)外相らと会談し、在韓米軍の駐留経費負担の大幅増額を求めるトランプ氏の意向を伝えたという。米国はともにアジアの同盟国である日韓に同時に負担増を要求した形だ。菅義偉官房長官は31日午後の記者会見で、米国が米軍駐留経費の日本側負担について5倍増を提示したという朝日新聞の報道について「そのような事実はない」と述べた。その上で、「現在、在日米軍駐留経費は日米両政府の合意に基づき、適切に分担されていると考えている」と語った。

<核兵器>
*4-1:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/517063/ (西日本新聞 2019/6/9) 原爆の惨状伝える詩引用 長崎平和宣言、市が素案を提示
 長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる「長崎平和宣言」の第2回起草委員会が8日、長崎市内で開かれ、市が素案を示した。核兵器を巡る米国とロシアの対立による不透明な情勢を懸念して原爆の非人道性を訴えるため、原爆投下直後の光景を表した詩を引用。「核の傘」にある日本や、保有国に廃絶を迫る文言が盛り込まれた。委員からは、さらに強い表現を求める声も上がった。宣言の冒頭に引用する詩は、爆風や熱線で傷ついた遺体、現場の惨状を描く内容で素案の3割を占める。市によると異例のケースとしており、すべての委員が賛同した。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて保有国には核軍縮を、日本には北東アジアの非核兵器地帯構想の実現を求める文言も示されたが、委員からは軍縮を「義務」として強く迫るべきだ、との意見があった。憲法の平和理念への言及がないことも指摘された。7月6日の第3回起草委で修正案を示し、同月末ごろ決定する。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK845TW3K84PTFC01D.html (朝日新聞 2017年8月5日) 世界の宗教指導者、比叡山から「核廃絶」 宗教の枠超え
 世界の宗教指導者らが宗教の枠を超えてテロや核の問題などについて話し合う「世界宗教者平和の祈りの集い」は4日、比叡山延暦寺(大津市)で、核廃絶を強く訴えるなどの「比叡山メッセージ2017」を採択した。2日間の日程で行われた集いは、この日閉幕した。メッセージでは、7月に採択された核兵器禁止条約を念頭に、「核兵器の廃絶は、高齢になった被爆者が存命している今こそ、さらに強く訴えていくべきである」と指摘。原発について「原子力の利用の限界を深く自覚し(中略)核廃棄物を残す核エネルギーの利用に未来がない」と訴えた。国連の持続可能な開発目標(SDGs、エスディージーズ)にも言及。「地球上の誰一人として取り残さない」という理念について「まさに宗教者の立場と一致しており、これを強く支持したい」とした。主催した日本宗教代表者会議の事務局顧問、杉谷義純さんは記者会見で「日本は被爆国でありながら核の傘にあり、核兵器禁止条約に批准していない。人間の生みだしたものは人間の力で解決する。条約がすべての国で批准されることを望む」と話した。

<日韓問題>
PS(2019年8月1、2、3、5日追加): *5-1のように、ポンペオ米国務長官が輸出規制や元徴用工訴訟問題で対立が深まる日韓両政府に対し、日韓両国が「休止協定」への署名を検討するよう提案したそうだ。私は、元徴用工訴訟問題に関する韓国の司法判決にも異議はあるが、それとは別に、韓国は北朝鮮と親密になっており、北朝鮮はミサイル実験をして日本を脅かしたり、中国・ロシアと親密であったりする上、韓国もまた日本に対して好意を持っている態度はしていない。そのため、日本政府が韓国を「ホワイト国」から除外して輸出管理をする普通の国にするのは当然であり、時間稼ぎに妥協するのはむしろよくないと考える。
 なお、*5-2のように、2019年8月2日の午前2時59分及び午前3時23分に、北朝鮮が東部ハムギョン(咸鏡)南道ヨンフン(永興)付近から日本海に向けて短距離ミサイルを発射し、トランプ大統領は「短距離ミサイルに関してはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と発射中止などの約束は交わしていない」として問題視しない考えを示されたそうだ。日本政府は、「現時点において、わが国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」としているが、発射する位置・方向・ミサイルの種類を変えれば、米国には届かなくても日本のどこでも射程内になるということであるため、悠長に考えすぎるのは問題だろう。
 一方、韓国の文在寅大統領は、*5-3のように、日本が韓国を「ホワイト国」のリストから外す政令改正を決めたことに関して臨時閣僚会議を開き、「①今後起こる事態の責任は全面的に日本政府にある」「②日本の措置は元徴用工訴訟の報復だ」「③相応する措置をとる」「④加害者である日本が盗っ人たけだけしい」と非難したそうだ。②は、元徴用工訴訟で韓国の最高裁判所が日本に損害賠償判決を出したたことに関する発言だが、日韓両政府とも1965年の日韓請求権協定で解決したとしているため、元徴用工に対する賠償は韓国政府が責任を持って行うべきで、これこそ、日本は国際司法裁判所に提訴すればよかったのだ。なお、徴用工は「挺身隊」として徴用されたそうだが、日本人である私の母や叔母も女学校時代に勉強もできずに「挺身隊」と呼ばれて工場で働かされており、当時は日本人の多くも強制労働に近いものをさせられていたようだ。そのようなわけで、元徴用工訴訟に端を発していたとしても、①③は韓国の誤りであり、曾祖父母の時代に起こった被害に関して、④のように現在の日本人に何度も謝罪や損害賠償を求めて金を引き出そうとするのを、決して容認すべきでない。
 さらに、*5-4のように、「⑤韓国政府は元徴用工訴訟に関する政府間協議を『司法の判断を尊重する』として対応しなかった」「⑥韓国社会では日本製品の不買運動や日本旅行自粛、自治体や民間の交流事業を相次いで中止するなど対抗の動きが広がっている」「⑦韓国も日本を『ホワイト国』から除外し、日本だけが入る最下位のランクを作った」など、韓国政府はかなり意地が悪いが、日本政府の悪い点は、これらを理路整然と国際社会にアピールするように言えない点であり、この問題は妥協すれば解決するどころか何度も同じことが起こると思われるのだ。
 しかし、出口は見えており、それはトランプ大統領と文在寅大統領という役者が揃っている間に朝鮮戦争を終わらせ、南北朝鮮が協力して経済発展することである。その後、朝鮮半島が日本にとって「ホワイト国」であるか否かは状況次第だ。
 また、*5-5のように、韓国政府が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を示唆しているが、日本に対していくつもひどいことをしながら軍事情報包括保護協定もあったものではない。日本の自衛隊も韓国から情報をもらわなければ人工衛星かミサイルかの判別さえできないわけではないだろうから、今後の朝鮮半島の状況が見えるまで更新しなくてよいと考える。


    2019.7.25中日新聞                      Livedoor
                    日韓の主張比較

*5-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48000050R30C19A7000000/ (日経新聞 2019/7/31) 米、日韓対立仲介の意向 ホワイト国除外延期促す
 ポンペオ米国務長官は30日、輸出規制や元徴用工訴訟問題で対立が深まる日韓両政府に対し、仲介に乗り出す考えを示した。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に参加するためバンコクに向かう機内で記者団に明らかにした。「両国はすばらしいパートナー国だ。前進する道を見つけるよう勧める予定だ」と述べた。日韓の関係悪化を食い止める糸口を探るとみられる。日米韓3カ国は31日、8月2日にバンコクで3カ国外相会談を開く方向で調整に入った。ポンペオ氏が、日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会って関係改善に向けて調整する。ポンペオ氏は「両国にとって望ましい落としどころが見つかるよう手助けができれば、それは米国にとっても明確に重要なことだ」とも述べた。ロイター通信は30日、米政府高官が、日韓両国が一定期間は新たな対抗措置を取らない「休止協定」への署名を検討するよう提案したと報じた。日本政府は8月2日にも、輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する方向で調整しており、延期をうながす内容とみられる。同高官は協定に関して、日韓が協議する時間を稼ぐことが目的だと説明した。協定の有効期間は定めず、日韓が抱える問題を根本的に解決するものではないとも指摘した。トランプ政権は当初、歴史問題などがからむ日韓問題への関与に慎重な立場をとっていた。だが日韓関係の悪化に拍車がかかると、米国務省高官は26日に「両国の緊張を懸念している」と語った。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も7月下旬に日韓を訪れていた。トランプ大統領は19日、日韓の緊張緩和に向けた仲介を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領から依頼されたと明らかにし、日本からも要請があれば仲介を検討する考えを表明していた。

*5-2:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190802/k10012018361000.html (NHK 2019年8月2日) 北朝鮮 ミサイル2発を発射 米大統領は問題視せず
 アメリカ国防総省は北朝鮮がけさ早く2発のミサイルを発射したと明らかにしました。この1週間余りで発射が相次ぐなか、トランプ大統領は短距離ミサイルは問題視しない考えを改めて示し、北朝鮮に非核化協議に応じるよう呼びかけていく姿勢を強調しました。アメリカ国防総省は北朝鮮が日本時間の2日、2発のミサイルを発射したと明らかにしました。韓国軍の合同参謀本部によりますと、2日午前2時59分ごろと午前3時23分ごろ、短距離の飛しょう体を東部ハムギョン(咸鏡)南道ヨンフン(永興)付近から日本海に向けて発射したということです。北朝鮮は先月25日に短距離弾道ミサイルとみられる飛しょう体2発を、先月31日にも飛しょう体2発を発射していて、北朝鮮による発射はこの1週間余りで3回目になります。トランプ大統領は相次ぐ北朝鮮の発射について記者団の取材に対し、「私としては問題ない。ありふれた短距離ミサイルだ。われわれは短距離ミサイルについては何も合意していない」と述べ、短距離ミサイルに関してはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と発射中止などの約束は交わしていないとして、問題視しない考えを改めて示しました。さらに「北朝鮮との交渉を続けるか」と問われたのに対し、「そのとおりだ。なぜならこれまで短距離ミサイルは協議していない。協議しているのは核だ」と述べ、北朝鮮との対話路線を維持し、非核化協議に応じるよう呼びかけていく姿勢を強調しました。ただアメリカ政府内では、短距離弾道ミサイルであれば国連の安全保障理事会の決議に違反するという指摘が出ているほか、トランプ大統領とキム委員長が3回目の米朝首脳会談で合意した非核化の実務協議もいまだ再開されていません。さらに北朝鮮は米韓が今月予定している合同軍事演習に強く反発していて、米朝の対話路線の行方は一段と不透明になっています。
●北東に向け複数の飛しょう体
 防衛省幹部によりますと、2日午前3時ごろ、北朝鮮が、北朝鮮から北東に向かって複数の飛しょう体を発射したということです。防衛省は、軌道や種類、飛しょう距離などについて分析を進めています。
●政府「日本の安全保障に影響与えず」
 北朝鮮が新たに飛しょう体を発射したことについて、政府は、「わが国の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点において、わが国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」としています。
●岩屋防衛相「警戒・監視に万全を期すように指示」
 岩屋防衛大臣は、午前6時半ごろ、防衛省で記者団に対し、「きょう午前3時前後に、北朝鮮が何らかの飛しょう体を発射したと承知している。幹部会議で、情報の収集と分析に努めている。引き続き、警戒・監視に万全を期すように指示した」と述べました。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/ASM824JR2M82UHBI01B.html?iref=comtop_8_07 (朝日新聞2019年8月2日)文大統領「日本、盗っ人猛々しい」 ホワイト国除外で
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は2日午後、臨時の閣僚会議を開き、安倍政権が輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めたことについて、「とても無謀な決定であり、深い遺憾を表明する」と語った。文氏は、米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた提案に、日本は「応えることはなかった」と非難した。そのうえで、「今後起こる事態の責任は全面的に日本政府にあることをはっきり警告する」と語った。文氏はまた、今回の日本の措置について、元徴用工訴訟で昨年10月に韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた判決に対する「明白な経済報復だ」と指摘。「人類の普遍的な価値と国際法の大原則に違反する」とも訴えた。さらに、韓国経済への攻撃であり、その未来の成長を妨げようとする明らかな意図を持つものだと主張。「両国関係における重大な挑戦だ。利己的な弊害をもたらす行為として国際社会からの指弾を免れることはできない」と語った。今後の対応についても言及。「相応する措置を断固としてとる。日本は経済強国だが、対抗できる手段は持っている」と訴えた。また、「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と強い言葉で非難した。一方で、「悪循環は望まない。止まることができる方法はたった一つ、日本政府が一方的で不当な措置を一日も早く撤回し、対話の道に出てくることだ」と呼びかけた。韓国の国民に対しては、「この挑戦をむしろ機会と捉え、新しい経済の跳躍の契機とすれば、我々は十分に日本に勝つことができる」「勝利の歴史を国民とともにもう一度つくる。我々は成し遂げられる」と呼びかけた。

*5-4:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/408654 (佐賀新聞 2019年8月3日) 対韓国輸出規制 冷静に対立解きほぐせ
 不信と対立が拡大しながら悪循環する状況をコントロールする覚悟があるのだろうか。日本政府が輸出管理で優遇措置を与える「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。これを受け、韓国の文在寅大統領は「盗っ人たけだけしい」「状況悪化の責任は日本政府にある」などと強い口調で反発した。元徴用工訴訟で韓国最高裁が昨年10月、日本企業に賠償支払いを命じる確定判決を出して以降、日韓政府間の議論はかみ合わないまま、時間だけを浪費してしまった。事態収拾のために日本が要請した政府間協議について、「司法の判断を尊重する」と具体的な対応を先送りしてきた韓国の姿勢が葛藤の根底にあるのは明らか。だが、韓国に対応を迫る手段として、日本が通商カードを持ち出すことに効果があるとも言い切れない。それは、半導体材料の対韓輸出手続きの厳格化を実施してからこの約1カ月の動きを見ても明白だ。韓国は国会の与野党対立を一時休戦して超党派での対応に乗り出し、韓国社会では日本製品の不買運動や日本旅行自粛、自治体や民間の交流事業を相次いで中止するなど、これまでにない対抗の動きが広がっている。このような険悪な流れを沈静化させる構えを両国政府が見せないまま決定された「ホワイト国」除外方針は、文字通り「火に油を注ぐ」結果を招きつつある。対話により摩擦を解きほぐす環境づくりが今こそ求められている。日本は通商分野での圧力を徹底させれば、韓国は遠からず譲歩してくると予測しているようだが、読み誤る危険性を抱えている。日本統治下の1919年に起きた抵抗運動「三・一運動」から今年で100年の節目を迎えている韓国では、民族意識が高まっている。特に、日本統治からの解放記念日「光復節」を8月15日に控えた時点での「ホワイト国」除外決定は、日本の「暴挙」(韓国メディア)と受け止められている。文大統領は談話で、「日本がわれわれの経済を攻撃」しているとの厳しい認識を示したことも、歴史的な意識が背景にあろう。韓国政府は対抗措置の一つとして、韓国も日本を「ホワイト国」から除外すると表明した。65年の国交正常化以来、両国企業人の努力によって積み上げられてきた相互依存の経済環境が損なわれるのは確実だ。日韓両政府が全面衝突している現状が長期化、さらに常態化することは、北東アジアの経済圏だけでなく、安全保障環境も不安定にする。米国は、新たな措置を取らず時間をかけて交渉する「据え置き協定」の仲裁案の受け入れを日韓両国に働きかけている。対立が深刻化すれば、北東アジアの安全保障を巡る日米韓3カ国の連携に支障が出かねないとの懸念からだ。米国は、現在の対決局面が日韓2国間の問題として収拾する一線を越えているとの危機感を抱いているのだろう。日韓両首脳は、米国だけでなく国際社会からどのような視線が注がれているのかを冷静に考え、真剣に対立を解きほぐす努力をすべきだ。米国の仲裁案も検討する価値がある。関係修復の可能性すら摘み取ってしまうような応酬は、日韓双方の国益を損なう打撃となって跳ね返ってくるのだ。

*5-5:https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019080501001849.html (東京新聞 2019年8月5日) 規制継続なら軍事協定破棄、韓国 米に日本説得を要求
 韓国政府が8月下旬に更新の判断期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、日本が強硬な輸出規制を続けるなら破棄するとして、規制撤回を日本に働き掛けるよう米政府に求めたことが5日、分かった。米当局者が明らかにした。米政府は北朝鮮への対処で日米韓連携に亀裂が生じるのを懸念しており、エスパー米国防長官が7日以降、日韓両国を訪問、協定維持を働き掛ける。安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外した日本に対抗し、韓国が軍事協定を盾に取り米国により積極的な仲介を求めた形だ。

<北方領土問題>
PS(2019年8月4日追加):北方四島の領土問題は、*6-1のように、「2島だけの返還」に後退しても打開できなかった。これについて、朝日新聞は、いつものように「安倍政権の失敗だ」としているが、ロシアはアジア諸国とは異なり、特定の人との繋がりではなく論理で動く国であるため、日本国内で安倍首相を引きずりおろそうとする力が強まり、安倍政権の持続が危うくなれば、四島返還どころか、*6-2のように、何とかかんとか言って一島も返還しないだろう。何故なら、その方がロシアにとっては国益だからで、安倍首相の努力が足りなかったことが原因ではない。むしろ、北方領土返還交渉のための努力をしている最中に、世界が見ている日本の報道などが、安倍批判・ロシア批判・プーチン批判をし続けたような視野の狭い無責任な報道が大きなスキームをぶち壊したと私は思う。
 また、1991年12月にソ連が崩壊し、1993年にエリツィン大統領が4島返還に合意した時に即4島を返還してもらい、そのかわり日本がロシアに経済協力していれば両方に国益があったので4島返還も実現した筈だが、今では島を返還することにロシア側の国益はなくなったのだ。これは、「先送り」が好きで「現状維持」や「安定」を過度に嗜好する日本人が唯一のタイミングを逸した大失敗なのであり、交渉決裂時の首相や政治家に責任を負わせても「覆水、盆に返らず」であることを素直に認めて改善しなければ、今後とも同じようなことが続くだろう。
 なお、*6-3のように、ロシアのメドベージェフ首相が北方領土の択捉島を四年ぶりに訪問され、日本政府が外交ルートを通じて訪問に抗議したそうだが、形だけの抗議よりも行動の方が強いのは明らかである。


2019.1.22朝日新聞   2019.1.19産経新聞      面積で2等分する解決法

(図の説明:1番左の図のように、エリツィン大統領が4島返還に合意したが、左から2番目の図のように、現在、ロシアは1島も返還しないという理論構成をしている。もともと日本好きだったプーチン大統領は、右から2番目の図のように、面積で2等分することを提案したこともあり、1番右の図のように、他国との交渉でも面積で2等分する解決法が多いが、日本は経済協力した上に放棄させられそうなのだ。私自身は、国後島まで返還してもらい、両国ともあまり開発せずに千島列島とあわせて世界自然遺産にするのがよいと思う)

*6-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14078207.html (朝日新聞社説 2019年7月2日) 日ロの交渉 失敗認め構想練り直せ
 ロシアとの平和条約交渉の行き詰まりが明らかになった。北方四島の領土問題について「2島だけの返還」へ譲歩したが、打開できなかった。安倍政権はこの失敗を率直に認め、交渉の構えを見直すべきだ。プーチン大統領が来日するG20会議を機に、大筋合意を打ち出したい。安倍政権内にはそんな思惑もあったが、結局、具体的な成果はなかった。昨年11月の日ロ首脳会談以降の動きは、日本の一方的な譲歩だった。「四島返還」や「固有の領土」の言葉は封印された。日本外交の概要をまとめた外交青書では、「四島は日本に帰属する」との見解が消された。一方のロシアは、強硬な原則論を繰り返している。四島をロシア領と認めない限り交渉できないとし、「北方領土」という用語も受け入れない。日本の安全保障政策の根幹である日米安保体制をも問題視している。11月の会談後、安倍首相は領土問題について二つの合意があると国民に説明してきた。(1)歯舞(はぼまい)と色丹(しこたん)の引き渡しを記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速する(2)自らの手で終止符を打つ決意をプーチン氏と共有している――。だが、いずれの点でも実質が伴っていなかった。56年宣言についてプーチン氏は、2島の主権の引き渡しは確約されていないと主張し、日本側と根本から相いれない。また、プーチン氏は領土問題を「自らの手で解決する」とは一度も公言していない。プーチン氏は昨年9月、「前提条件のない平和条約」の締結を突然提案した。領土問題を棚上げする意図だったが、安倍氏は「条約が必要だという意欲の表れ」と受け止めて、2島だけを交渉対象とする方針に転換した。大きな判断ミスだ。両首脳の会談は今回の大阪で26回目。2人だけの意見交換も長時間重ねてきた。なのに真意をつかめていなかったとすれば、稚拙というしかない。ロシアの対米関係悪化や中国への接近などの国際情勢を十分に考慮せず、首脳間の個人的関係を頼む「抱きつき外交」では道は開けないことがはっきりした。7月の参院選前に成果を上げようと前のめりになった面もあっただろう。領土問題での方針変更について、安倍氏は国会で正面から説明していない。クリミア半島の併合など国際法違反を犯したロシアと今、平和条約をめざすことにも疑問符がつく。ロシアとの建設的な対話は続けながら、平和条約の交渉は巨視的な思考で取り組むべきだ。独り相撲をこれ以上、続けるべきではない。

*6-2:https://toyokeizai.net/articles/-/150477 (東洋経済 2016/12/20) プーチン氏「2島さえ返さない」発言の衝撃度、日ロ首脳会談で北方領土問題は振り出しに
 久しぶりに注目された日ロ首脳会談だったが、結果は自民党の二階俊博幹事長が「国民の大半はがっかりしている」と発言したように、外交的成果の乏しいものだった。特に最大の関心事である北方領土問題については、公表された文書にも安倍晋三首相とプーチン大統領との共同記者会見でも、言及されることさえなかった。12月16日の首脳会談終了後、深夜までテレビ番組をはしごした安倍首相が強調したのは、4島の元住民の墓参など自由訪問の拡充の検討や、4島での共同経済活動を実現するための交渉開始で合意したことだった。領土問題で一歩も譲らないロシアに対し、経済分野での協力で日ロ間の協議をつなぎとめるというあたりが真相だろう。2日間の過密スケジュールをこなした安倍首相が休む間もなくメディアに露出し成果を強調したのは、それだけ国民の期待とかけ離れたものだったと自覚している表れだろう。欧米諸国の首脳に比べると、権威主義国家であるロシアのプーチン大統領が議会やメディアに登場して自らの考えを語る機会は少ない。それだけに首脳会談後の12月16日に行われた共同記者会見、さらには12月14日朝刊に掲載された日本テレビと読売新聞によるプーチン大統領への単独インタビューは、プーチン大統領が日ロ関係や北方領土問題、さらには現在の世界情勢などをどう考えているかを知る絶好の機会となった。そこで明らかになったのは以下のような点である。プーチン氏「4島一括返還は議題にすらできない」。まず北方領土問題だが、プーチン大統領の基本的立場は、「日本とロシアとの間に領土問題はない。あると考えているのは日本である」(日本テレビ・読売新聞の単独インタビュー)であって、長く交渉が途絶えていた冷戦時代のソビエト連邦と変わらないものだった。ただプーチン大統領は、1956年に鳩山一郎首相(当時、以下同じ)がソ連を訪問してブルガーニン首相との間で合意した「日ソ共同宣言」については、両国が批准した法律的文書として、その有効性を認めている。問題はその解釈だ。共同宣言には「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」と書かれている。プーチン大統領は、共同宣言に書かれているのは4島ではなく、歯舞、色丹の2島であるにもかかわらず、日本は4島の返還を持ちだしてきた。「これは共同宣言の枠を超えている。まったく別の話だ」と主張している。つまりプーチン大統領は、日ソ共同宣言は認めるが、それは平和条約締結後の2島引き渡しを書いているだけで、日本政府がこれまで主張してきた4島一括返還などということは議題にもできないという立場である。今回の首脳会談でもこの立場に変化はなかったようで、共同記者会見で両首脳からは「4島の協議」という言葉さえ出てこなかった。これまで日ロ間では、1993年10月に細川護熙首相とエリツィン大統領が、「北方4島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」という東京宣言に合意し、2001年3月には森喜朗首相とプーチン大統領が東京宣言の内容を再確認している。さらに2003年1月に、プーチン大統領は小泉純一郎首相との会談で、日ソ共同宣言や東京宣言など日ロ間の一連の合意を平和条約交渉の基礎であると確認した。つまりプーチン大統領は「4島の帰属問題」を協議することを一度は認めていたのだが、いまはそれを完全に否定している。そして、安倍首相の発言を見る限り、日本側もそれを跳ね返すことはできなかったようだ。つまり北方領土交渉は振り出しに戻ったといえるだろう。
●2島を返還すればロシア軍の活動は制約される
 そればかりではない。プーチン大統領は共同記者会見で別の問題も提起している。記者会見の終盤に大統領は次のような発言をした。「(1956年の共同宣言合意の時)米国のダレス国務長官が日本に対して実質的に最後通牒を突きつけた。もし日本が米国の利益に反することをするのなら、沖縄は完全に米国の管轄権に属すことになる、というものだった。なぜ私が今、この話を述べるのか。現在、ロシアはウラジオストック周辺に2つの大きな海軍基地を持ち、我々の艦船が太平洋に出て行く。一方、日本と米国の間には安全保障条約があり、条約上の義務を負っている。我々が柔軟性について述べる時、我々は日本の同僚と友人がこれらすべての微妙さとロシア側の懸念を考慮することを望む」。この発言は非常にわかりにくい。そのためか日本のメディアはほとんど報じていない。まず、ダレス国務長官の発言は、当時の日ソ交渉過程で二島返還論受け入れに傾いた重光外相に対し、「承服しがたい。もし日本が国後、択捉をソ連に帰属させたら、沖縄をアメリカの領土とする」と述べた事件のことであり、この発言は「ダレスの恫喝」として知られる。当時は冷戦の真っただ中で、米国は日本がソ連に接近し西側陣営に風穴があくことを極度に警戒しており、ダレス長官の発言には日ソ交渉の進展を妨害する明確な意図があった。プーチン大統領が「ダレスの恫喝」を引き合いに出して米国に言及したのは、1956年と同じように現在もオホーツク海周辺で米軍とロシア軍が緊張関係にあることを示したのだ。したがって、仮にロシアが2島を日本に帰した場合、その島が日米安保条約の適用対象になれば、オホーツク海などでのロシア軍の活動が制約を受けることになる。安全保障政策上、ロシアはそういう事態は受け入れることができないという意思を示したのだ。つまり、共同宣言には平和条約締結後の2島引き渡しを書いているが、ロシアの安全保障政策上、自国の利益が保てないのであれば引き渡しはもとより、条約締結さえ難しいということを意味する発言なのである。同時に「日本の同僚と友人がこれらすべての微妙さとロシア側の懸念を考慮することを望む」というのは、米国との同盟関係にある日本が米国の意に沿わないことをどこまでやれますかという挑発的な問いかけにもなっている。
●米ロ関係に縛られ、独自外交の展開は困難
 そして、プーチン大統領の発言はさらに踏み込んだ。「1956年の日ソ共同宣言は2島の日本への返還を想定しているが、どのような基礎の上で行われるのかは明らかではない。確かに共同宣言は発効したが、そこには平和条約締結の後に、とも記されている」。日本側は当然、日本の領土として返還されることを意味していると主張している。しかし、プーチン大統領は共同宣言にはどういう条件で引き渡すかまでは書かれていないと解釈している。つまり、「引き渡し」は主権を含むのか施政権などそれ以外にとどまるのか明確ではないというのだ。ロシアからすれば、仮に日本に引き渡しても、その後、米軍が日米安保条約に基づいてその島に軍事施設を作るなど自由に使えるようになってはたまったものではない。したがって、引き渡しについての言質を与えようとしていないのである。プーチン大統領がここまで強い態度に出た背景には、近年の米ロ関係の悪化があるだろう。実際、日ロ首脳会談が行われているその日に、米国では中央情報局(CIA)が米国大統領選で共和党のトランプ氏が勝つようロシアがサイバー攻撃を仕掛けたと調査結果を公表し、オバマ大統領が記者会見で「これはプーチン大統領の関与なしにロシアでは起きないことだ」とプーチン大統領を名指しで批判している。そんな空気の中で、米国と同盟関係にある日本と蜜月関係を築くことなどできようはずもない。日ソ共同宣言から60年たっても、北方領土問題は米ロ関係に縛られ、日本が独自外交を展開することは難しい問題なのである。

*6-3:https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201908/CK2019080302000131.html (東京新聞 2019年8月3日) ロ首相、4年ぶり択捉島 日本側抗議 工場・学校など視察
 ロシアのメドベージェフ首相は二日、北方領土の択捉島(えとろふとう)を四年ぶりに訪問した。日本政府の中止要請に応じず強行した。インタファクス通信などが伝えた。ロシアによる実効支配を誇示し、日本との領土交渉で譲歩しない姿勢を示す狙いがあるとみられる。日本政府は外交ルートを通じ、訪問に強く抗議した。メドベージェフ氏は北方領土を事実上管轄する極東サハリン州訪問の一環として択捉島入り。水産加工場や学校、住宅の建設現場、温泉施設などを視察。現地に駐留するロシア軍の戦闘機乗務員らも激励した。河野太郎外相は二日、「日本の一貫した立場と相いれず、国民感情を傷つけて極めて遺憾だ。領土問題が未解決で、平和条約交渉が行われる中、受け入れられない」との談話を発表。外務省の正木靖欧州局長がロシアのビリチェフスキー駐日臨時代理大使に抗議した。一方、メドベージェフ氏は現地で記者団の取材に応じ、日本の抗議について「われわれの領土を訪れるのに何の心配もいらない。日本側の怒りが伝えられるほど、今後も訪問の理由が増える」と反論した。メドベージェフ氏は大統領だった二〇一〇年十一月、ロシア大統領としては初の北方領土訪問として、国後島(くなしりとう)に上陸。首相となってからも一二年七月に国後、一五年八月には択捉を訪れ、今回が計四度目の訪問となった。

<慰安婦像は芸術か?>
PS(2019年8月5日追加):*7-1の「あいちトリエンナーレ2019」で、「表現の不自由展・その後」と題して、慰安婦像を「表現の場から排除された芸術作品」として展示し、「①感情を揺さぶるのが芸術なのに、『誰かの感情を害する』という理由で自由な表現が制限された」「②政治的主張をする企画展ではない」と主張しているのに、私は最初に記事を読んだ時から違和感を覚えた。何故なら、慰安婦像は、設置された場所からわかるように、まさに②の政治的主張のために作られた立看の立体版であって芸術ではなく、既に日韓請求権協定によって解決済で韓国政府が対応すべきものだからだ。また、慰安婦像の設置によって傷つけられるのは、元慰安婦の女性・慰安婦を募集した人・利用した人などであり、真実性が最も重要で、興味本位で“自由な表現”をすれば名誉棄損・侮辱・人権侵害の性格を持つものである。
 このような中、*7-2のように、「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況」として実行委が企画全体の中止を決め、芸術監督を務める津田氏が「想定を超えた抗議があり、表現の自由を後退させてしまった」と述べ、ペンクラブも「展示は続けられるべきだ」と声明を発表したそうだが、慰安婦像には(これまでの経緯から明らかなように)存命の加害者と被害者がおり、被害者にとっては二次的セクハラに当たるもので、制作者が真実性を無視して自由に話を作ったり、受け手が自由に鑑賞したりすればよいという性格のものではない。

  
あいちトリエンナーレ        世界で設置されている慰安婦像
 2019の慰安婦像

*7-1:https://digital.asahi.com/articles/ASM7W5KJPM7WOIPE00M.html?ref=weekly_mail&spMailingID=2593510&spUserID=MTAxNDQ3NTg5MjY5S0&spJobID=1060016657&spReportId=MTA2MDAxNjY1NwS2 (朝日新聞 2019年7月31日) 表現の場を奪われた作品展 少女像・九条俳句…再び問う
 3年に1度開かれる国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」が8月1日、名古屋市と愛知県豊田市で開幕する。国内外のアーティスト90組以上が参加。美術館や劇場、街なかを作品で彩る。10月14日まで。2010年に始まり、4回目となる今回は、ジャーナリストの津田大介さんが芸術監督を務め、「情の時代」をテーマに掲げた。感情、情報、情け。3種類の「情」にまつわる作品が各会場に並ぶ。国際現代美術▽パフォーミングアーツ(舞台芸術)▽映像▽音楽▽ラーニングの5部門があり、モチーフや手法を複合的に組み合わせた作品も多い。なかには、部門を超えて来場者らと語り合う「エクステンション企画」を出展するアーティストもいる。
●津田大介さん「実物見て、判断する場を」
 8月1日に愛知県で開幕する国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、企画展「表現の不自由展・その後」が開かれる。愛知芸術文化センター(名古屋市東区)を会場に、様々な理由で表現の場を奪われたという二十数点の作品が展示される。なかには、慰安婦をめぐって日本と韓国との間で論争になっている少女像も含まれる。今回の企画展は、2012年に東京の新宿ニコンサロンが、韓国人写真家安世鴻(アンセホン)さんによる元慰安婦の写真展をいったん中止にした問題をきっかけに、市民による実行委員会が東京・練馬のギャラリーで15年に開いた表現の不自由展の続編にあたる。今回のあいちトリエンナーレで芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介さんは、15年の表現の不自由展を鑑賞し、「表現の場から排除された作品群に衝撃を受けた」という。昨年、当時の実行委員に再び開催することを打診。新たに結成した5人の実行委員会とともに準備を進めてきた。15年以降に展示できなかった作品も加え、17組が出品する。展示されるのは、安さんの作品のほか、さいたま市の公民館だよりへの掲載を拒否された憲法9条をテーマにした俳句など。少女像は、韓国人彫刻家のキム・ソギョンさんと夫のキム・ウンソンさんが「元慰安婦の苦痛を記憶する」ための象徴として手がけ、「平和の少女像」と呼んでいる。今回は15年と同じ2体を展示する。このうち、韓国の日本大使館前などに設置されている像のミニチュアは、12年に東京都美術館で展示されたが、途中で撤去されたものだ。公立施設での展示は、それ以来となる。元徴用工への補償問題などで日韓関係が悪化するなか、主催者側には、会場での妨害活動などを懸念する声もあったが、警察などとも連携して警備を整え、展示することを決めた。津田さんは「感情を揺さぶるのが芸術なのに、『誰かの感情を害する』という理由で、自由な表現が制限されるケースが増えている。政治的主張をする企画展ではない。実物を見て、それぞれが判断する場を提供したい」と話している。

*7-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080402000215.html (東京新聞 2019年8月4日) 少女像展示の企画展、中止 津田氏「表現の自由後退」
 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会は三日、慰安婦を象徴した「平和の少女像」などの展示を同日までで中止すると発表した。実行委会長の大村秀章・同県知事が記者会見し「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況だ」と理由を述べた。少女像は国内の美術館やイベントで近年、撤去や公開中止となった作品を集めた企画「表現の不自由展・その後」の一つとして出品。実行委は企画全体の中止を決めた。事務局によると、開幕からの二日間で抗議の電話とメールは計約千四百件に上ったという。大村知事は「(抗議が)これ以上エスカレートすると、安心安全の確保が難しい」と説明。事務局に「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」とのファクスがあったことも明らかにした。芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏も会見し、「想定を超えた抗議があった。表現の自由を後退させてしまった」と述べた。一方、不自由展の実施団体は「中止決定は一方的に通告されたもので、契約書の趣旨に反する行為。法的対抗手段も検討している」との抗議声明を出した。実行委会長代行の河村たかし名古屋市長は二日、大村知事に抗議文を出し少女像などの展示中止を要求。文化庁の補助事業でもあり、菅義偉官房長官も同日、補助金交付を慎重に判断する考えを示した。
◆政治的圧力 検閲につながる ペンクラブ声明
 中止が決まった企画展について、日本ペンクラブ(吉岡忍会長)は3日、「展示は続けられるべきだ」との声明を発表した。声明は芸術について「制作者が自由に制作し、受け手もまた自由に鑑賞する。同感であれ、反発であれ、制作と鑑賞の間に意思を疎通し合う空間がなければ、芸術の意義は失われ、社会の推進力たる自由の気風も萎縮させてしまう」と強調。河村たかし名古屋市長や菅義偉官房長官の発言にも触れ、「政治的圧力そのものであり、憲法21条2項が禁じている検閲にもつながる」と批判している。

<原発の廃炉と使用済核燃料、LNG、再エネのコスト比較>
PS(2019年8月6日追加):東日本大震災時の原発事故を境に、原発は経済的に見合わなくなり既に「大廃炉時代」に入っていて、東電の福島第二原発廃炉も、*8-1のように正式に決定したそうだ。しかし、①危険な廃炉作業に当たる人材 ②40年超とする完了までの長時間 ③使用済核燃料と廃炉解体で生じる大量の放射性廃棄物の処分 などの負の遺産が山積みで、特に②③については、40年超も「とりあえず原発敷地内の地上で仮置きする」というのは、これまでずっと書いてきたように怖いことである。また、廃炉やこれらのごみ処理費用は、誰がどういう形で負担するのかを明確にして、すべて原発のコストに加えなければ、他のエネルギー源との正確なコスト比較はできないわけだ。
 そのような中、正確なコスト比較もせず、*8-2のように、1910年代に、チャーチルが「世界の産油国から分散して調達すれば問題ない」と主張したのを引き合いに出して、「エネルギー安保には調達先の多様性があればよい」と記載している記事もあるが、欧州はじめ世界では、*8-4のように、既に再エネを急増させており、これが正解だ。そのため、今から燃料用にロシアからLNGを購入するシステムを整えるのは無駄遣いで、LNGなら日本近海に大量に存在するため、輸出することを考えたほうがよいくらいなのである。
 また、*8-3のように、経産省は、「再エネは、固定価格買い取り制度により、買い取り費用が電気を使う家庭や企業への賦課金で賄われて毎月の電気料金に上乗せされるので、国民負担の増大に繋がった」としているが、再エネのコストは賦課金で賄われた金額が全てであるため、税金で支払われるコストやさまざまなリスクも含めて正確な原価計算をすれば、再エネは、今でも原発や化石燃料と比較して国民負担が少ない上、環境や安全保障にも優れている。従って、発電時のコストを下げることは重要であるものの、「再エネのコストが高く、国民負担の増大に繋がった」という表現は印象操作である。


                   *8-4より
  世界の再エネ導入量     世界の太陽光発電導入量    世界の再エネ投資額 

(図の説明:左図のように、世界の再エネ導入量は等比級数的に増加し、中央の図のように、特に太陽光発電で著しく増加した。また、右図のように、再エネへの投資額も増えている。その理由は、日本のように結果ありきの無茶な議論を展開せず、論理的思考をするからだ)

*8-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019080302000140.html (東京新聞社説 2019年8月3日) 福島第二原発 大廃炉時代の範となれ
 東京電力福島第二原発の廃炉が正式に決定した。3・11を境に経済的に見合わなくなったこともあり、世はすでに「大廃炉時代」に入っている。出遅れを取り戻し、時代の先頭を走ってもらいたい。福島県と県内の全市町村が、県内の全原発を廃炉にするよう求めていた。住民感情に照らしてみれば、当然のことではないか。原発事故から八年余。東電は再稼働による収益改善にこだわった。「遅すぎた決断」との批判も、また当然だ。廃炉決定の報告を受けた福島県の内堀雅雄知事は、安堵(あんど)の表情を見せたという。だが、本当に大変なのはこれからだ。三基がメルトダウン(炉心溶融)を起こした第一原発と合わせて計十基。同時並行の廃炉事業は世界に例がなく、並大抵のことではない。完了までに四十年超とする東電の見込み通りに作業が進む保証はない。危険な作業に携わる人材が、将来にわたって確保できるかどうかも定かでない。それ以上にやっかいなのが、廃炉に伴う“ごみ”である。まずは使用済み核燃料。福島第二原発の燃料プールには、四基計一万七十六体が保管されている。搬出先は「今後検討」。とりあえずは空冷の金属容器に入れて、地上で厳重管理(乾式貯蔵)するしかない。原発敷地内での仮置きだ。その上、廃炉解体によって生じる放射性廃棄物の総量は、五万トンを超えるという。どうすれば、福島は心から安堵できるのか。核のごみの最終処分場を探し始めてかれこれ二十年。いまだ候補地が見つかる気配はない。東電は、もう一つある柏崎刈羽原発の再稼働に前向きだ。しかし、こと原子力に関しては、未曽有の事故の当事者として、ごみ処理を含む廃炉事業に全力を傾注すべきではないか。福島の事故以前に表明した三基を含め計二十四基が廃炉を決めた。「大廃炉時代」は、とうに始まっていた。法律で定められた四十年の寿命が尽きて廃炉に至る原発は、今後も増える。なのに、政府は運転延長や新増設を視野に入れ、原発を「基幹電源」に位置付けたままである。時代遅れというしかない。効率的な廃炉技術の開発や最終処分場の選定を政府も全力で後押ししつつ、再生可能エネルギーの普及を加速-。廃炉時代とは、そういう時代なのではないか。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190805&ng=DGKKZO48193210U9A800C1TJC000 (日経新聞 2019年8月5日) エネルギー安保に多様性 編集委員 竹田忍 北極圏、新たな選択肢に
 原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡で米英両国とイランが対立、緊張が増している。非中東のエネルギー資源を求める各国は今、北極圏に熱い視線を注ぐ。米地質調査所(USGS)によればこの地域に眠る未発見の石油は世界の13%、天然ガスは30%を占める。ロシアのエネルギー・金融研究所のアレクセイ・グロモフ・エネルギー担当部長は1月、新潟市の講演で「ロシアのガス輸出で大半を占める欧州は再生可能エネルギーが急増している。今後のガス輸出は東方に向かう」と東アジア重視を強調した。呼応するかのように三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月、ロシア企業が北極圏で進める液化天然ガス(LNG)事業「アークティック2」に計10%の出資を表明した。同月には北極海に面したロシアのヤマル半島で生産したLNGを積んだタンカーが北極海を西に進み、ヨーロッパを回りスエズ運河経由で「戸畑LNG基地」(北九州市)に到着した。これが「西回り北極海航路」というルートだ。同基地を管理する北九州エル・エヌ・ジーには九州電力と日本製鉄が出資している。だが今後、重要なのは北極海を東進して、ロシアとアラスカの間を通る「東回り北極海航路」だ。温暖化で夏季は海氷が緩み、ベーリング海を通るルートが使えるようになった。ヤマルから東アジアへの航海日数は西回りに比べ18日短縮でき、二酸化炭素(CO2)排出量が約30%減る。西部ガスは中国などに向かう東回り北極海航路のLNG中継基地に自社施設を活用する構想を打ち出した。大気汚染対策で石炭から天然ガスへの切り替えを急ぐ中国は東回り北極海航路の最適ルート開拓に精力的だ。中国沿岸部から日本海を経て宗谷海峡を抜け、オホーツク海を北上、ベーリング海から北極海に入る。ただロシアはオホーツク海に安全保障の中核を担うミサイル搭載原子力潜水艦を配備している。防衛省防衛研究所の兵頭慎治・地域研究部長は「オホーツク海を頻繁に通過する中国船にロシアは神経をとがらせている」と話す。千島列島に新規配備する地対艦ミサイルでロシアがにらみを利かせる相手は、北極海航路を行く西側諸国の船に限らない。米国への対抗策で結びつく中ロの蜜月は盤石と言い難い。その点、日本の立ち位置は地域の信頼関係醸成に役立つのではないか。ロシアから北極圏の石油・ガスを輸入することに地政学的リスクはある。だが大阪ガスの尾崎裕会長は「北極圏開発に巨費を投じたロシアは資源を売って早期回収したいはず」と読む。エネルギー安全保障の要諦は分散化だ。海軍大臣だったチャーチルは1910年代に燃料を石炭から石油に転換し、英海軍の近代化に成功した。英国産石炭から輸入の石油への切り替えに反対は強かったが、チャーチルは世界の産油国から分散して調達すれば問題ないと主張し押し切った。「エネルギー白書2019」によれば日本の原油の中東依存度は87.3%と極端に高い。北極圏という新たな選択肢は日本にとって貴重であり、企業が果たす役割も大きい。

*8-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190806&ng=DGKKZO48225300V00C19A8EA2000 (日経新聞 2019年8月6日) 再エネ、コスト重視 普及優先の買取制から転換 経産省、市場活用へ新制度
 経済産業省は5日、太陽光や風力発電の事業者がつくった電気を大手電力があらかじめ決めた価格で買い取る制度を新規認定分から終了し、別の制度に切り替える案をまとめた。東日本大震災後に再生可能エネルギーの普及を最優先した「量」重視の現行制度は、国民負担の増大につながったためだ。発電時のコストを下げさせる「価格」重視への転換を図る。5日の総合資源エネルギー調査会の小委員会で中間整理案として示した。今後詳細を詰めたうえで2020年にも関連法の改正を目指す。固定価格買い取り制度(FIT)は11年の震災や原子力発電所事故などで再生エネの導入機運が高まる中で12年から始まった。買い取り費用は、電気を使う家庭や企業などから広く集める賦課金でまかなわれ、毎月の電気料金に上乗せされている。当初、事業用太陽光の買い取り価格は1キロワット時あたり40円と「普及を急ぎ海外比で割高に設定してしまった」(経産省幹部)。価格を年々引き下げ19年度には同14円となったものの、国民負担は膨らみ続けた。19年度の買い取り費用のうち、家庭や企業に転嫁する分は約2.4兆円と、消費税に換算すると1%程度に相当する。中間整理案では大規模の事業用太陽光や風力について、発電事業者自らが販売先を見つけたり、電力卸市場で売ったりすることを求める代わりに「投資回収について一定の予見性を確保できる仕組み」を新たに目指すとした。卸市場で電力価格が急落して基準価格を下回った場合に国が補填する仕組みなどが有力だ。切り替えは「電源ごとの案件の形成状況を見ながら」としており、普及が進んだ太陽光から先に適用する見通し。新制度が適用されるのは新規認定する案件で、既存案件は認定から20年の買い取り期間が終わるまで現行制度のままとなり、国民負担の引き下げにつながるまでには時間がかかる。家庭用太陽光は現行制度から変わらず、余剰電力を固定価格で一定期間買い取る。ただ前身となる家庭用太陽光を対象にした余剰電力買い取り制度は09年に始まっており、19年11月から10年間の買い取り期間が終わる「卒FIT」の家庭が出始める。この電力では電力の安定調達や集客を狙い、大手電力や新電力、小売りなどの企業が争奪戦を繰り広げている。

*8-4:https://www.isep.or.jp/archives/library/11103 (自然エネルギー世界白書 訳:認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 2018年6月4日) REN21「自然エネルギー世界白書2018」公表:電力部門の変革は加速している − しかし、熱利用と交通でも早急な対策が求められている
●178GWの自然エネルギーが2017年に全世界で導入された。
 REN21の自然エネルギー世界白書(GSR)2018によれば、自然エネルギー発電設備は2017年に世界の発電容量の正味増加分の70%を占め、近年で最大の増加となった。しかし、合わせて世界の最終エネルギー需要の5分の4を占める熱利用と交通部門での自然エネルギー利用は、電力部門に比べて大きく遅れをとったままである。
●世界の自然エネルギー発電設備導入量(2007〜2017年)
 本日発表されたGSR2018は、世界の自然エネルギーの概況を最も包括的に示す年次報告書である。太陽光発電の新設容量は記録的な規模となった:2017年に新設された太陽光発電の設備容量は前(2016)年と比べて29%増の98GWだった。これは、石炭火力発電、天然ガス発電、原子力発電の正味拡大分の合計よりも多かった。風力発電も自然エネルギー発電の拡大に貢献し、世界全体で52GWが新設された。
●世界の太陽光発電設備導入量(国・地域別 2007〜2017年)
 新設自然エネルギー発電への投資は、火力発電への巨額の補助金が現在もあるにもかかわらず、火力発電所と原子力発電所の正味追加分への投資額の2倍以上となった。2017年には発電部門への投資の3分の2以上が自然エネルギーへと向けられた。その理由は、自然エネルギー発電のコスト競争力が高まっていることに加え、今後も電力分野での自然エネルギー割合は増加の一途をたどると考えられているからである。
●世界の自然エネルギー電力・燃料への新規投資(先進国・新興国・途上国 2007〜2017年)
 自然エネルギーへの投資は特定の地域に集中している:2017年の世界の自然エネルギー投資の約75%が中国と欧州、米国に向けられた。しかしながら、GDPあたりの投資額で見ると、マーシャル諸島、ルワンダ、ソロモン諸島、ギニアビサウ、その他多くの発展途上国において、先進国や新興経済国と同等かそれ以上の投資が行われている。もし世界がパリ協定に基づく目標を達成しようとするならば、熱利用部門と交通部門は電力部門と同じ道筋を、速く辿る必要がある。ところが熱利用と交通部門では以下の状況が見られる:
熱利用部門では自然エネルギーの導入はほとんど進まなかった:現代的な自然エネルギーは2015年に世界全体の熱生産量合計の約10%を供給したにすぎない。電力部門の自然エネルギー目標は146カ国が設定している一方で、熱利用部門の自然エネルギー利用の国家目標は全世界で48カ国にしかない。小さな変化は起こっている。例えばインドでは、太陽熱利用機器の導入量は2016年と比べて2017年に約25%増加した。中国は2020年までに建築物の冷房負荷の2%を太陽熱エネルギーにより賄う目標を持っている。交通部門では、依然として化石燃料が圧倒的に優勢ではあるものの、電動化が進むことで自然エネルギー導入の機会となりうる:毎年3,000万台以上の電動二輪車や電動三輪自動車が世界の道路輸送で増加しており、120万台の電気自動車が2017年に販売され、2016年と比べて約58%増加した。電力は交通部門のエネルギー需要の1.3%を供給し、その4分の1が自然エネルギーによるものであった。さらにバイオ燃料は2.9%を供給した。しかしながら、全体として見ると、交通部門のエネルギー需要の92%は石油により賄われており、交通部門での自然エネルギーの利用目標を定めているのは42カ国にすぎない。
●最終エネルギー消費における自然エネルギー(部門別 2015年)
 これらの部門を転換していくためには、正しい政策枠組みを実現することが必要であり、遅れている部門での自然エネルギー技術のイノベーションと発展を刺激する必要がある。「『電気』イコール『エネルギー』とみなすことは自己満足につながっている」とラナ・アディブREN21事務局長は述べる。「我々は100%自然エネルギー電力の未来への道筋へ急速に突き進んでいるかもしれない。しかし、熱利用と交通となると、まるで時間がいくらでもあるかのように、ゆったりと進んでいる。残念ながら残された時間は多くはない」。アルソロス・ゼルボスREN21議長はこう付け加える:「エネルギー転換を実現するためには、政府による政治的リーダーシップが必要となる。化石燃料と原子力への補助金をやめること、必要なインフラへの投資を行うこと、熱利用と交通部門への意欲的な目標と政策を確立することがその例である。こうしたリーダーシップがなければ、世界が気候変動と持続可能な発展に向けた誓約を達成することは難しくなるだろう」

<食料とエネルギーの安全保障>
PS(2019年8月8日追加):*9-1のように、再処理工場でのリサイクルが破綻し、(地震に弱い)原子炉近くの高所にあるプールの使用済核燃料が1万5350トンに達して、プールの収容能力が数年で限界になるため、原子力規制委員会が(最終処分場は探さず)使用済核燃料をキャスクに収めて原発敷地内の地上で空冷する「乾式貯蔵」の「仮置き場」設置を容認し、これにより安全を徹底すべき最終処分が30~40年先送りされる。乾式貯蔵用のキャスクは、フクイチが津波に襲われた時も大きな問題がなかったそうだが、①建物が流されればキャスクも飛散する ②地上にあれば火災やミサイル攻撃のリスクがある ③地上にあれば放射線被害のリスクもある などの問題があり、今度はこれらを想定外にするというのは無防備すぎる。また、④保管を容認する自治体に交付金を支払わなければならず(誰がいくら支払うのか?) ⑤多くの地域に分散保管すれば管理の甘い所も出る わけである。
 原発事故は、人体に放射線が直接あたるだけでなく、汚染された土壌で栽培された放射性物質を含む食品を食べることによっても、心臓病や癌になるリスクを増やす。そのため、*9-2-1・*9-2-2のように、2018年5月2日現在でも食品の出荷制限があり、除染されていない山に生えるキノコや山菜は(味が変わらなくても)食べられない。そして、これは、農林漁業や国民にとって大きな損失なのだ。
 そのような中、政府がTPPやEUとのEPAなどで貿易自由化を行い、日本の農業は現在のところ敗退しているため、農業生産基盤はさらに弱体化しつつあり、*9-3のように、2018年度の食料自給率はカロリーベースで37%と前年度からさらに1%下がって過去最低になった。これでは、食糧・エネルギーの安全保障には程遠く、第二次産業における日本の優位性は、繊維や家電を見ればわかるとおり永続するものではないため、第一次産業による食料やエネルギーの自給率も高めておかなければ、望むものが入手できない時代が到来するのである。

   
2018.5.16    原発事故時の土壌汚染        主要国の食料自給率
 Livedoor
(図の説明:1番左の図のように、使用済核燃料は各原発の原子炉近くのプールで満杯に近くなっており、フクイチ事故時は使用済核燃料も爆発して、左から2番目の図のように、放射性物質が風に乗って東日本の広範囲に拡散した。これが玄海原発で起こると、左から3番目の図のように、放射性物質は九州一円に拡散して農林漁業地帯を汚染するが、これは泊原発や柏崎刈羽原発などでも同じだ。このように農林漁業を軽視した結果、日本の2018年度の食料自給率はカロリーベースで37%と、1番右の図のように先進国の中でも著しく低くなっている)

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190808&ng=DGKKZO48347160X00C19A8EA1000 (日経新聞 2019.8.8) 使用済み核燃料、収容限界、原発内に「仮置き場」 規制委が容認
 原子力発電所の稼働で出た使用済み核燃料を、敷地内に一時保管する取り組みが始まる。核燃料を国内でリサイクルする工場の完成が遅れ、数年以内に収容能力が限界に近づく原発が出てくるためだ。原子力規制委員会は「仮置き場」の設置を容認し、6月から審査に本腰を入れ始めた。原発の運転を続けるための苦肉の策だが、問題の先送りにすぎず原発の安定稼働に課題は残る。
●7割超ふさがる
 使用済み核燃料は熱を帯び、原子炉近くのプールなどで冷やす。そのプールの収容能力が足りなくなろうとしている。電気事業連合会によると全国17原発の収容能力は2万950トン。2019年3月時点で1万5350トン分がふさがり、受け入れ能力は3割を切った。11年の東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準の下、運転を始めた原発にとっては深刻な問題だ。使用済み核燃料の保管が難しければ、運転はできない。電力各社は、プールに代わる保管場所の確保に躍起になっている。九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県)では収容能力の8割超まで増えた。「貯蔵状況は非常に逼迫している」(豊嶋直幸取締役)。原発の運転と定期検査を4回(約5年)繰り返すと、プールに収まりきらなくなる。九電はプール外の「仮置き場」やプール内で核燃料の間隔を狭める措置の認可を規制委に申請した。規制委は九電の管理方針を了承し、6月以降、施設の本格的な審査に入った。仮置き場などが認められたら、さらに10回分(約13年)の余裕ができる見込みという。他社も頭を抱える。伊方原発(愛媛県)を持つ四国電力は18年5月、浜岡原発(静岡県)を保有する中部電力は15年1月に仮置き場などの措置を申請した。北海道電力や、東北電力も対応策を検討中だ。
●工場の完成遅れ
 使用済み核燃料は、青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場でリサイクルするはずだった。しかし1997年に完成予定だった再処理工場は、トラブル続きで完成は2021年度以降にずれ込む。再処理はかつては海外に任せたこともあったが、原則は国内で実施する。一時保管の場所を探さなければならなくなった。
規制委も対応を迫られる。3月、仮置きや輸送に使う金属製容器「キャスク」の耐震性や強度に関する規制基準を示した。仮置きでは、使用済み核燃料をキャスクに収め地上で空冷する。「乾式貯蔵」という方法だ。規制基準を通った型式のキャスクは全国共通で使えるようにする。東日本大震災時に福島第1原発で乾式貯蔵のキャスクが津波に襲われたが、大きな問題はなかった。規制委の更田豊志委員長も「乾式貯蔵施設を設け、プール内の貯蔵量を増やさない努力が安全上は望ましい」と話す。関西電力は原発内での仮置きは想定していないとの立場だ。同社の全原発が立地する福井県の西川一誠前知事が県外での保管を強く求めてきた。ただ、最近では福井県内の一部の自治体から一時的な乾式貯蔵の受け入れ容認論が出ている。4月の知事選に勝利した杉本達治氏は県外の一時保管を前提としながらも、原発立地自治体の議論も踏まえて県内での一時的な乾式貯蔵にも含みを持たせている。関電は「福井県と約束する県外の候補地選定を急ぐ」(岩根茂樹社長)としているが、福井県内での一時的な乾式貯蔵が選択肢として存在感を高める可能性がある。全国の原発で乾式貯蔵が進めば当面の保管場所を確保できそうだが、問題が解決したわけではない。再処理工場の完成は20回以上延期した経緯があり、先行きは見通せない。再処理では、原爆の原料になるプルトニウムが出る。厳密な管理という別の問題も抱える。

*9-2-1:http://blog.livedoor.jp/masawat1977/tag/%E8%A2%AB%E6%9B%9D?p=3 (Livedoor 2018年05月16日) 原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等:平成30年5月2日現在
 5月2日現在の食品の出荷制限情報をご覧ください。これは、東日本全域が汚染された証拠であり、浄化されるまで何世紀かかるかわからない。キノコ採りも山菜採りも、生存中は控えるべきだろう。「食べて応援」される方は、自己責任でお願いいたします。放射性核種は、福島第一原発から、大気中へ太平洋へと、現在も放出されている。

*9-2-2:https://www.mhlw.go.jp/file/01-Kinkyujouhou-11135000-Shokuhinanzenbu-Kanshianzenka/0000186805.pdf (厚労省 平成30年6月13日現在)原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等

*9-3:https://www.agrinews.co.jp/p48394.html (日本農業新聞 2019年8月7日) 食料自給37%最低に 18年度 米凶作93年度と並ぶ
 農水省は6日、2018年度の食料自給率がカロリーベースで37%と前年度から1ポイント下がり、過去最低となったことを明らかにした。小麦、大豆の主産地である北海道が天候不順で生産が大幅に減ったことに加え、両品目や畜産物などの生産が全国で増えていないことが要因。生産基盤の弱体化に歯止めがかからず、食料安全保障の確立には程遠い現状が浮き彫りになった。食料自給率は、国内の食料消費を国内の食料生産で、どの程度賄えるかを示す指標。37%は、冷夏で米が大凶作に見舞われた1993年度と並び、記録がある60年度以来、過去最低の数値だ。小数点以下を含めると18年度は37・33%で、93年度の37・37%を下回る。生産額ベースの自給率は66%。過去2番目に低かった前年度と同じだった。カロリーベースの低下要因について同省は、北海道の天候不順による不作を挙げた。18年度の小麦生産量は前年度比16%減、大豆が17%減で「面積当たり収量が近年にない低水準となり、生産が大きく減少した」(大臣官房)と説明する。牛肉や乳製品の輸入増加も要因に挙げ、国内生産の増加を上回って輸入が増えたとした。環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の影響は、発効から2、3カ月のため、今回の自給率への影響には否定的な見方を示した。中長期的に見て自給率は09年度以降、下がり続けている。引き下げ要因になった品目のうち、小麦の生産量は77万トン、大豆は21万トンと最近5年間で最も少ない。牛肉は48万トンで、15年度に50万トンを割り込んで以来、40万トン台が続く。また、食料の潜在生産能力を試算する「食料自給力」の指標も示した。栄養バランスを考慮して米、小麦、大豆中心に作付けする場合、1人1日当たりに供給できるのは1429キロカロリーと、前年度から5キロカロリー減少した。農地面積の減少や面積当たりの生産量の伸び悩みで、低下傾向で推移している。
[解説] 生産基盤の再建急務
 食料自給率が過去最低に落ち込んだ背景にあるのは、生産基盤の弱体化だ。自給率目標を示す新たな食料・農業・農村基本計画で、食料安全保障を担保する展望を示すことができるか。政府は重い課題を突き付けられている。現行のカロリーベース目標は、現実的な目標とするため、以前の50%から45%に引き下げた。だが、自給率が上向く兆しは見えず、目標との隔たりは広がるばかりだ。最後に45%を上回ったのは、1994年度。その後も40%前後で長く推移したが、大きく上昇した年はなく、近年は再び下降局面に入った。現在は小麦や大豆、畜産物の自給率の低さが目立っているが、人と農地の基盤の縮小に歯止めをかけなければ、中長期的には、他の品目の安定供給も危うくなる。農水省によると、直近の農業経営体数は約119万件で5年間で2割減った。法人化や農地集積は進むが、大半を占める家族経営体の離農を補うには至っていない。顕在化する生産基盤の弱体化に歯止めをかけて、自給率を引き上げ、食料安全保障を確立するための具体策が求められている。

<中国も民主的な先進国になるべき時だ>
PS(2019年8月9日追加): *10-2のように、米国が中国の人民元安値誘導を非難して「為替操作国」の認定をしたことについて、愛媛新聞は「米の圧力強化は、対立を深めるだけだ」と記載しているが、公正な貿易を行うためのルールを護ることは言う必要がある。
 何故なら、中国の人民元は、*10-1のように、中国人民銀行が「基準値」を示し、この上下2%以内の価格でしか取引できない「管理変動相場制」を採用しており、これは人民銀行が元安に導けば中国の輸出に有利になる仕組みで、円・ドル・ユーロなどが採用している「変動相場制」とは異なるからだ。そのため、GDPが世界第二位となり先進国の仲間入りを果たした中国は、①「変動相場制」に移行し ②進出企業への技術移転の強要をやめ ③知的財産権の侵害で公正競争を歪めないよう、経済先進国としての構造改革を進めるべきだ。
 さらに、*10-3のように、香港における「逃亡犯条例」改正案への抗議デモに関し、中国国営中央テレビ(CCTV)が「米外交官が、裏で糸を引いて香港を混乱に陥れた黒幕」と報じ、デモの学生指導者と接触した米外交官の写真や個人情報を流出させたそうだが、香港人の抗議デモは香港人の真の要求のように見えるので、改革開放から40年経過した現在、中国は新憲法を作って本当の民主化を行うべき時期に来ていると思う。


 2017.10.19     2018.2.4        2018.12.18      2018.12.4
  毎日新聞      産経新聞         朝日新聞        時事

(図の説明:1番左の図のように、中国は鄧小平主席の時に改革開放を始め、左から2番目の図のように著しい経済成長を遂げ、右から2番目の図のように、現在は世界第2位の経済大国になった。しかし、民主主義や人権の尊重はあまり進んでいないように見える。ジェンダーギャップ指数は、1番右の図のように、儒教の影響か中国100位・日本114位・韓国118位と並んで下の方にいるが、自分の本当の意見を言える女性リーダーが多いと政治も変化するだろう)

*10-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/economic_confe/list/CK2015081402000196.html (東京新聞 2015年8月14日) 人民元相場 仕組みは? 取引目安 当局決定
 中国人民銀行(中央銀行)が三日連続で、通貨・人民元の価値を下げる「切り下げ」に踏み切った。急激な元安への誘導で世界を驚かせた中国特有の制度とは、どんな仕組みなのか。あらためて整理してみた。
Q そもそも通貨の価値はどうやって決まるの。
A 円やドル、ユーロなどの通貨は、市場での自由な取引で他の通貨に対する価値が決まる「変動相場制」をとっている。だが、人民元は「管理変動相場制」と呼ばれていて、中国当局が管理をしている。急激に元高が進み中国企業の輸出競争力が落ちるなど、中国経済に悪影響が出るのを防ぐためだ。
Q 具体的にはどうやって管理するのかな。
A 日本の日銀のような存在の人民銀が、取引の目安になる「基準値」を毎朝市場に示し、この値の上下2%以内の範囲でしか取引できないように制限している。制限を超えそうな場合は、当局がドル買いなどの市場介入をして防ぐといわれている。
Q 今回、制度に変化があったの。
A 人民銀が基準値の決め方を変えて、大幅な元安に誘導した。これまでは、国内の銀行から聞き取った為替レートに基づいて基準値を決めていたが、十一日からは前日の終値を参考に算出するようにした。中国当局は「基準値と市場の実勢レートとの差が大きくなっていたため」と説明しているが、詳しい算出方法は明らかにしておらず、透明性に不安が残る。
Q 今後はどうなるの。
A 切り下げ幅は、三日間で計約4・6%だった。人民銀は、基準値と市場の食い違いが修正されたとして、今後は大幅な引き下げをせず、相場を安定させる方針を示した。ただ、新興国などが自国の輸出競争力を上げるため、中国に対抗して切り下げを行う「通貨安競争」に発展する可能性もあり、市場の動揺が収束するかはまだ分からない。

*10-2:https://www.ehime-np.co.jp/article/news201908090014 (愛媛新聞社説 2019年8月9日) 中国を為替操作国認定 米の圧力強化 対立深めるだけだ
 トランプ米政権は中国が貿易を有利にするため人民元を安値誘導していると非難し、「為替操作国」の認定に踏み切った。中国の為替操作国認定は25年ぶりで、米国は制裁を視野に是正を強く迫る構えだ。米中対立は貿易分野から通貨政策にも拡大し、泥沼の様相を見せ始めた。各国の金融市場は動揺し、株安や円高が進む。二大経済国による対立のエスカレートは、当事国のみならず世界経済そのものを危うくしかねない。双方は制裁と報復の応酬をやめ、対話によって解決の糸口を探すべきだ。発端はトランプ米大統領が中国からの輸入品3千億ドル(32兆円)分に、10%の追加制裁関税を課すと表明したことだった。9月1日に発動する予定で、実現すれば中国からのほぼ全ての輸入品が追加関税対象となる。米側による為替操作国認定はこの追加関税の効果を維持するのが狙いだ。対ドルで11年ぶりの安値水準にある人民元が、さらに下落すれば追加関税分が相殺され、制裁効果は薄れる。追加関税と為替操作国認定を立て続けに打ち出すことで、中国に圧力をかけ、譲歩を引き出したい考えとみられる。だが、トランプ氏のやり方は乱暴だと言わざるを得ない。6月下旬の米中首脳会談では米国が新たな制裁関税の発動を見送り、協議継続で一致していた。トランプ氏は協議が進まないことにしびれを切らし、わずか1カ月余りで合意を破棄したことになる。来年の大統領選再選に向け、支持者へのアピールを狙ったのは明らかだ。トランプ氏がドル安につなげようと、利下げ圧力を強めていることも問題だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は10年7カ月ぶりに利下げを実施したが、トランプ氏は不満を示し、さらなる利下げを要求している。米中が本格的な通貨安競争に突入すれば各国を巻き込み、世界経済が消耗戦に陥るのは必至だ。米国には自制が不可欠で、中国を為替操作国と断じておきながら、ドル安に誘導しようとするのは筋が通らないと認識しなければならない。中国は米国の制裁拡大に反発し、中国企業による米農産品の新規購入を停止するなど対抗措置を強めている。しかし強硬策で応酬しても出口は遠のくだけだ。中国にも批判されるべき点はある。人民元相場は当局の管理下にあり、これまでも透明性が問題視されてきた。技術移転の強要や外国企業に対する知的財産権侵害は公正な競争をゆがめている。中国は米国との対話と並行して、責任ある大国として構造改革を進めるべきだ。米中対立のあおりで円高が進む日本は警戒を強めたい。自動車など基幹産業の業績に影響が出始めており、10月の消費税増税を控え、国内景気の腰折れリスクが高まっている。事態の早期打開に向け、日本は国際社会と連携し、米中に粘り強く歩み寄りを促さなければならない。

*10-3:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/08/post-12734.php (Newsweek 2019年8月9日) 香港デモ指導者と接触の米外交官を中国がリーク? 米政府「中国は暴力的政権」と批判
 米国務省のオルタガス報道官は8日の記者会見で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案への抗議デモに関し、デモの学生指導者と接触した米外交官の写真や個人情報を流出させたとして中国政府を「暴力的な政権」と呼んで批判した。中国系香港紙の大公報は、香港の米総領事館員がデモの学生指導者らと接触する様子を撮った写真を報じた。これについて香港にある中国外務省の出先機関は8日、米国に説明を求めた。オルタガス報道官は「米外交官の個人情報や写真、子供の名前を流出させることは正式な抗議ではなく、暴力的な政権がやることだ」と批判。「責任ある国家の振る舞いではない」と断じた。外交官の名前やどのような個人情報が流出したかについては言及しなかった。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、中国国営中央テレビ(CCTV)はこの米外交官が「裏で糸を引いて香港を混乱に陥れた黒幕」だと報じた。オルタガス氏は、米国やその他諸国の外交官は、反体制派の指導者を含めてさまざまな人々と面会するのが仕事だと強調した。

| 外交・防衛::2014.9~2019.8 | 12:38 PM | comments (x) | trackback (x) |

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