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2006,12,16, Saturday
佐賀市文化会館で、佐賀県弁護士会の主催により、「多重債務問題の 真の解決に向けて」という会合が開かれました。私は、貸金業規正法を 成立させた原動力となったことを評価され、パネラーとして参加させて いただきました。 現在、我が国における多重債務者は約200万人といわれており、2004 年度における自己破産の申し立て件数は21万件を超え、経済・生活苦 を原因とする自殺者数は約8千人を数えます。そして、この悲劇的な状況 が生まれた背景として、貸金業における高金利や過剰融資があります。 現在、「利息制限法」の上限金利は、年20%であるのに対し、刑事罰の 対象となる「出資法」上の上限金利は29.2%であり、両者の間に乖離が 生じています。そして、最高裁判所の判決では、利息制限法の上限金利 20%を越える金利での貸し付けは、無効との判決が出ています。 そのため、出資法の上限金利を利息制限法と同じ20%まで引き下げると いう法案が、第165回臨時国会で、前回一致で通りましたが、原動力とし てはいろいろな苦労がありました。 また、「みなし弁済」規定(貸金業規制法43条)も撤廃されますし、日掛け 金融の特例も廃止となることになりました。 保証料に関しても、貸金業者と提携関係にある保証会社が取る高額の 保証料が、金利と合計すると出資法の上限金利を上回るような高額の 実質金利を、借り手に負担させることがよくあります。そのため、貸付金 のリスクに対して金利と重複してとっている保証料は、金利と合算して 考えることになりました。 広告規制については、借り手が、消費者金融から借り入れを行う背景に は、少なからず新聞、雑誌、インターネット、看板、ビラやテレビコマーシ ャルの影響があると言われています。そのため、こうした広告の規制に ついても、考えることになりました。 過剰融資や違法行為を生まないためには、貸し手のコンプライアンス意識 の徹底や倫理感の高揚が必要であり、貸金業者の社会的責任(CSR)も 強く求められます。この点に関連して、貸金業への参入を、適格性ある業者 に限定するため、貸金業取り扱い責任者などの貸金業を行うためには、純 資産が5000万円以上でなければならないことになりました。 なお、監督行政の実効性を担保するため、現在の行政処分の登録取り消 しや業務停止処分に加えて、業務改善命令を導入することになりました。 無担保の消費者金融を利用し、多重債務へ陥る借り手の中には、本来、 社会保証によって手当されなければならないような人も多く存在します。 そのため、生活保護、失業保険、雇用確保などの社会保障で救済すべき 人たちについて、セイフティーネットによる解決策を充実していく必要があ ります。
| 主に衆議院議員時代の活動 | 01:30 PM | comments (x) | trackback (x) |
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