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2014.2.5 介護の負担は、まちづくりのやり方で軽減できる。(2014.2.8追加あり)
   

(1)路地の長屋から、緑が多くて便利な集合住宅は?
 *1に書かれているように、東京には木造住宅密集地域が多いが、これは区画整理を行い、道を広くして、瀟洒な集合住宅にまとめるのがよいだろう。住民が老人の場合、家の建替費用を出せないケースが多いため、古い住居と新しい住居の交換が必要だ。診療所、訪問看護・介護サービス、ショートステイ、託児所、レストラン、スーパーなど、老人や共働き夫婦に便利なインフラを建物内や近くに配置して、21世紀のコンセプトである「死ぬまで家庭で過ごせる環境」を作れば、抵抗する人は少ないと思う。

 また、*2のように、国交省は老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めたそうだが、市街地の地上部分の容積率を緩和することも重要である。

(2)介護と医療の連携について
 高齢化では東京より一歩先を行く九州で、*3のように、ITを利用した支援サービスや有料老人ホームへの新規参入など、介護投資が盛んに行われている。しかし、厚労省がしばしば制度の見直しを行うのは経営上のリスク要因だ。また、介護費用の総額を抑制する場合は、介護利用者へのサービスの質と量を落とさずに行わなければ、介護サービスの利用者が生命線を断たれることになる。

 なお、*4のように、厚労省は通常国会に医療と介護を見直し、一本化した法案を提出するそうだが、国民は健康保険料と介護保険料は別に支払っている。そのため、受給する段になると一本化するというのは、やり方の説明が重要であり、単なる負担増・給付減が目的であれば、健康保険制度や介護保険制度の理念が消えてしまうため、要注意だ。

*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10956070.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月1日) (都知事選2014 論点を問う)木造密集、遅れる防災
 幅8メートルの道路に接する公園近くに、3階建て共同住宅が立つ。低層の木造住宅が密集する東京都墨田区の京島3丁目の一角で、区画整理が進んでいる。岩田ふみさん(75)は2011年、夫婦で移り住んだ。以前の住まいは約100メートル離れた木造の長屋。入り組んだ路地は狭く、消防車も入れなかった。「しっかりした家に住めて安心」。都と区は1983年、京島2、3丁目地区で災害に強い街づくりに乗り出した。震災時に火災延焼の危険性が高い木造住宅密集地域(木密)を解消するため、道路を拡張し、住宅建て替えや移転を支援する制度を創設。都市開発業者と連携し、地権者らと交渉を重ねている。岩田さんの旧宅周辺で区画整理されたのは約2千平方メートルで、12年かかった。それでも区の幹部は「ここはうまく進んだ。そんな地区ばかりではない」。土地や建物の権利関係が複雑な上、住み慣れた家の建て替えに抵抗感を示す住民は少なくない。国土交通省によると、木密地域など震災時の延焼危険性や避難の困難度が高い地区は、全国に5745ヘクタール。東京に1683ヘクタールが集中する。都は12年度、木密解消に向け、住宅移転に補助金を出して都営住宅などをあっせんする一方、過度に密集する地域で強制力のある手法を検討する「特区制度」を導入した。首都直下地震に備え、都知事選の候補者は防災を訴える。行政の支援や住民の防災意識向上に論戦が交わされる。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0101G_R00C14A2CR8000/
(日経新聞 2014/2/1) 国交省、老人ホームの容積率緩和 地下室造りやすく
 国土交通省は1日、老人ホームの容積率の規定を緩和し、地下室を造りやすくする方針を決めた。地価が高い都市部など限られた敷地でも、物置や浴室などを地下に設置し、地上部分の居住空間を広く取ることができるようになる。今通常国会に提出する建築基準法改正案に盛り込む。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合で、土地に対してどのくらいの大きさの建物を建てられるかを示す。現行法では老人ホームの場合、延べ床面積に地下部分も含めるので、地下室を造れば、地上部分が狭くなる。改正案では、延べ床面積の3分の1を上限に、地下室の面積を差し引いて容積率を計算する。これにより、容積率を上限まで使って建物を造る場合でも、地上階の面積を減らさずにある程度の広さの地下室を造ることができる。この規定は現行法で住宅に適用されている。国交省は、老人ホームが実質的に居住の場だと考え、住宅と同じ扱いにする。通所施設は対象に含まない。ただ地下室は、老人福祉法に基づく厚生労働省の省令により、居間や寝室といった居住スペースに使うことはできない。国交省の担当者は「高齢化社会でホーム増設のニーズが高まる中、空間を有効活用してもらいたい」と話している。〔共同〕

*3:http://qbiz.jp/article/31404/1/ (西日本新聞 2014年1月31日) 介護ビジネス再び活況 老人ホーム参入続々 IT活用で新サービス
 九州で介護関連ビジネスが再び活況を帯びている。ITを利用した支援サービスや、有料老人ホームへの新規参入などが相次ぐ。近年、介護が必要になった高齢者が急速に増えていることも背景にありそうだ。介護ビジネス最前線を追った。福岡市南区の「ケアプランセンターやよい」の事務所。要介護認定を受けた人の介護プランを作成していたケアマネジャーの永田やよいさん(58)が、タブレット端末に指を掛ける。画面に、市内の介護施設の空き状況や設備の有無が表示された。永田さんは「利用者の希望に合った施設を探す手間が省けます」と話す。ITベンチャー企業のウェルモ(福岡市)が開発したシステム。昨年末、市内のケアマネ事業所400カ所に端末を貸し出し、介護施設の検索に役立てている。ウェルモの鹿野佑介社長は「検索の利用状況を蓄積し、他の事業にも生かしたい」と語る。
  ◇   ◇
 結婚式場運営のアイ・ケイ・ケイ(佐賀県伊万里市)と、調剤薬局チェーンの総合メディカル(福岡市)が昨年、それぞれ住宅型有料老人ホームを開設した。両社とも口をそろえて「本業の経験や人材を生かせる」と介護事業に参入。さらに、既存の老人ホーム運営会社を買収したのも共通する。既に老人ホームを運営する福岡地所(同)は、新たに、サービス付き高齢者向け住宅を福岡市博多区に建設中。入居者の初期費用が比較的安く人気があるため、同社はこの住宅の拡大に力を入れる。
  ◇   ◇
 厚生労働省の集計では、九州7県の要介護・要支援認定者は昨年3月末で約68万2千人。5年前に比べ10万人以上増えた。増加率はこの3年間が毎年4%台で、それ以前の1〜2%台に比べハイペースで推移。人口が多い団塊の世代が65歳に達したためとみられる。2000年に介護保険制度がスタートして以来、企業の介護ビジネス参入が続いた。しかし大手業者の不正問題をはじめ、介護報酬の低さや人手不足などから、収益性は必ずしも高くないとの認識が浸透。それでも介護を必要とする人が増える中、ここにきて再び参入機運が高まっている。一方、厚生労働省は来年4月からの制度見直しで介護サービスの「効率化・重点化」をさらに徹底する方針。介護報酬の総額が抑制される可能性もある。参入企業にとって、利用者へのサービス充実と収益確保をどう両立するか、今後の課題は大きい。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011102000099.html
(東京新聞 2014年1月11日) 負担増の追及回避? 介護+医療 一括法案提出へ 厚労省
 厚生労働省は二十四日召集の通常国会に介護保険と医療の見直しを一本化した法案を提出する。国民生活に大きく影響する個別の法案を一本化するのは異例。厚労省は医療と介護の連携強化方針に基づく対応と説明している。しかし、野党からは「負担増を国会で追及される機会を減らしたいのだろう」と反発が出ている。一括法案は、介護保険関連で(1)一割の利用者負担を一定以上の所得がある人は二割に引き上げ(2)特別養護老人ホームに入所できる人を原則として中重度の「要介護3~5」に限定-などが入る。医療関連では都道府県の医療計画策定を介護に合わせ五年ごとから六年ごとに変えることや在宅医療・介護推進の基金設置などが盛り込まれる。医療法や介護保険法の見直し部分を一括法案にまとめる。厚労省幹部は「医療と介護は不可分の関係にある」と、一本化の必要性を強調する。しかし、国会対策上の狙いもある。介護保険の見直しは負担増・給付減がめじろ押しで、民主党などは反対する見通し。一方、医療・介護の連携強化には野党も反対しにくいため、抱き合わせで徹底抗戦を封じようというわけだ。民主党の厚労関係議員は「前代未聞だ。これを認めたら、年金や介護など何でも一括化できることになってしまう。わが党は分割を求めていく」と述べた。与党の自民党にも批判がある。昨年十二月に開かれた自民党会合で厚労省が一本化方針を説明したところ「医療と介護は全然違う話だ。なぜ一括になるのか」などと批判が相次いだ。参院法制局の元参事で「国会とは何か」の著書がある清野正哉・会津大上級准教授は「一括化は政府が追及されたくないときやどさくさ紛れに法改正したいときによく使う手法だ。審議が進みやすいし、手続きの瑕疵が指摘されにくい」と説明している。


PS(2014.2.8追加):*5のように、訪問看護・介護ステーションは、高齢者だけでなく、障害児や病児はじめ、誰にでも対応できるし、使えるようにすれば便利だと思う。

*5:http://qbiz.jp/article/31901/1/
(西日本新聞 2014年2月8日) 福岡市、重症児の短期預かり事業へ 訪問看護施設を活用
 たんの吸引など日常的な医療的ケアを必要とする重症心身障害児・者を自宅で介護する親の負担を減らそうと、福岡市は新年度、顔なじみの訪問看護師らを訪問看護ステーションに派遣して重症児を短期間預かるモデル事業に着手する。事業費は数百万円。国は重症児を病院などで一時預かる短期入所制度を設けているが、重症児は年齢が低いほど環境の変化で体調を崩しやすく、15歳以下を受け入れる病院は福岡市に1カ所だけ。厚生労働省は「同様の取り組みは聞いたことがなく、国としても注視したい」とする。事業は、障害児の親などでつくる同市のNPO法人「ニコちゃんの会」と共同で実施。計画では、ステーションの一室を借り、重症児が日常的に利用している訪問看護師やヘルパーを一時的に配置して2泊3日程度預かる。利用は体調が安定している時に限り、医師との連絡を密接にする。安全性や費用を検証し、2015年度以降の制度化を目指す。市内に94ある訪問看護ステーションや359の訪問介護事業所を足場に、預かり先を増やす考えだ。市内の重症心身障害児・者は約800人で、うち約600人が在宅。たんの吸引に加え、導尿、経管栄養の補給、体位変換などのケアが日常的に必要で、介護する側の負担は重い。市は本年度、福岡都市圏の医療機関に意識調査を実施。回答した23機関はいずれも15歳以下の受け入れはできないとし、リスクや手がかかることを理由に挙げた。一方、介護する家族は「病気になっても入院できない」「法事など大切な行事に出られない」などの悩みを抱き、「短期間、安心して預けられる場所を」との声を市に寄せていた。人工呼吸器が必要な1歳の子どもがいる市内の母親(36)は「この1年、旅行や外泊はおろか睡眠も十分取れない。顔なじみの人がケアしてくれるのなら安心だ」と歓迎した。

| 2014年東京都知事選::2014.2~ | 03:54 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.2.5 脱原発と東京都知事選の争点について
        
フクイチ後の陸地汚染   フクイチ後の海の汚染        農業用電気トラック

(1)九州の立地自治体トップも東京都知事の原発争点化に理解
 *1に書かれているように、東京は首都で最大の電力消費地で、選挙結果は国の原発政策や原発再稼働の議論にも影響を与えるため、九州の立地自治体の首長も選挙戦の行方を注目している。九州電力川内原発が立地する鹿児島県の伊藤知事は、「知事選というのは何を討論してもいい。強弱はあるが、(原発が)立地するしないにかかわらず、いろんなテーマについて幅広く議論されればいい」と、原発の争点化に一定の理解を示したそうである。

 また、九電玄海原発がある佐賀県の古川知事は「都民に一定の関心があるから議論になるのだろう。一人の政治家として原発問題をどう考えるのかを明確にするのは、有権者が投票を判断する要素となりうるので意味がある」「脱原発を政策に掲げるのであれば、実現までのプロセスを明確にすべきだ」とのことである。しかし、実現までのプロセスは既に明確で、後はやる気の問題だ。

 立地市町である薩摩川内市長と玄海町長は警戒しているそうだが、もう次に進んで、普通の企業を誘致するなどの方法での地域振興を考えるべき時期だ。時代が進み、ツールもあるので、歴史を進める抵抗勢力になってはならない。

(2)「原発は低コストで、公害がない」と言う者に告ぐ
 *2によれば、東京電力の福島第一原発事故による損害賠償額の見込みは、5兆円から9兆円に増え、それは除染費用などが加わったためで、賠償には公的資金が使われることになったそうだ。ただし、この除染費用は一部の地域に関するもので、関東・東北・北海道全域の汚染という公害を、受益者負担で復旧すべくカバーしたものではない。

 そして、原発事故に備える保険料を十分支払わずに、「原発はコストが低い」という主張が聞かれるが、原発事故時の尻拭いは国民にさせているのだから、それこそ無責任である。再稼働の議論は、まず公害の補償を自らで保険料を支払ってから始めるべきで、原発でなくても電気は起こせる。

(3)その他の発電方法も進んでいる
 *3のように、最大出力が1.5万キロワット未満の中規模地熱発電所の建設計画が相次いでおり、電気をまとめ買いして安く供給している中央電力が熊本県で新設発電所を運転開始したり、オリックスと東芝が岐阜県で2015年の運転開始を目指したりしている。これは、景気対策と称して札束をどぶに捨てるのではなく、次の時代にプラスになる投資を行うものであり、経営環境に敏感なオリックスの高橋事業開発部長も「(自由化を控え)電力市場は夜明け前。新たなビジネスの柱にしたい」と話しているそうだ。火山が多い日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位であり、地熱開発が活況を呈しつつあるのは、燃料費支出が不要な発電方法だけに期待される。

 また、*4のように、三菱自動車と発電メーカーのニチコンが、太陽光発電による「農業用充電ステーション」の本格稼働を始めたそうだ。農業では、今までA重油によるエネルギーを使ってきたが、燃油の値上がりによって、損失を出したり、廃業したりするケースが多かった。そのため、エネルギーだけでなく、農業用機器やトラックなども、電気か水素燃料を使えるようにし、地中熱も利用すれば、コスト・ダウンした近代経営にシフトできる。

(4)電力自由化の好影響
 *5のように、ソフトバンクが、今春から大口顧客の企業向けに電力の小売り事業に参入する方針で、2016年に電力小売りが全面自由化されるのに合わせて、一般家庭向けの電力販売も検討するそうだ。

 エネルギーのためには何を犠牲にしてもよいということはなく、景観や土地利用も重要であるため、大規模太陽光発電所の建設より屋根貸しを使ってほしいが、「原発がなければ、安定して電力を供給できない」「原発を再稼働しなければ電気料金の値上げをする」などと既に合理性の崩れたことを言っている、政府の保護に慣れた旧電力会社よりも、新電力の方がずっと期待できる。

*1:http://qbiz.jp/article/31504/1/
(西日本新聞 2014年2月1日) 原発争点化に一定の理解 九州の立地自治体トップ
 原発・エネルギー政策が主要な争点となった東京都知事選(9日投開票)。首都・東京は全国最大の電力消費地であり、選挙結果は国の原発政策や原発再稼働の議論にも影響を与えるだけに、九州の立地自治体の首長も選挙戦の行方を注目している。「知事選というのは何を討論してもいい。強弱はあるが、(原発が)立地するしないにかかわらず、いろんなテーマについて幅広く議論されればいい」。九州電力川内原発が立地する鹿児島県の伊藤祐一郎知事は31日の定例記者会見で、原発の争点化に一定の理解を示した。ただ、「有権者はいろんなことを聞きたい」とも述べ、五輪や福祉政策などの幅広い議論も求めた。九電玄海原発がある佐賀県の古川康知事は「都民に一定の関心があるから議論になるのだろう。一人の政治家として原発問題をどう考えるのかを明確にするのは、有権者が投票を判断する要素となりうるので意味がある」との認識を示した。その上で「脱原発を政策に掲げるのであれば、実現までのプロセスを明確にすべきだ」と注文も付けた。一方、立地市町は警戒感を隠さない。玄海原発の再稼働を求めている佐賀県玄海町の岸本英雄町長は「東京は電力の一大消費地。その首長の考え方は国の原子力政策の方向性や、原発を頼りにしている地域の動向にも影響を及ぼす可能性がある」と懸念した。鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は「即原発ゼロ」を訴える候補が当選した場合について「国のエネルギー政策に影響が出ないかという危惧はある。無視するわけにはいかなくなるだろう」と述べた。

*2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S10955961.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年2月1日) (記者有論)原発再稼働 保険料を払ってから議論を 経済部・松浦新
 東京電力の福島第一原発事故による損害賠償額の見込みが、5兆円から9兆円に増えた。除染費用などが加わったためで、東電から助けを求められた国は、電気料金にかかっている「電源開発促進税」と、東電に出資した株式の将来の売却益を充てることを決めた。これで賠償に公的資金が使われることになった。原発事故の後、国と電力業界は原子力損害賠償支援機構(原賠機構)という仕組みを作った。被害者救済のため、とりあえず5兆円を上限に発足し、東電に賠償資金を提供する。「保険料」は東電を含む原発を持つ11社が負担する。その枠が9兆円になった。この仕組みを作ったのは、電力業界が入っていた原発の損害保険では1200億円までしか出ず、役に立たなかったためで、自動車事故の後に損害保険に加入するような超法規的措置だ。自動車保険なら賠償額は契約で決めて、それに見合った保険料を支払う。実際の賠償額が足りなければ自分で払うしかない。ところが、電力業界は事故後に保険を作り、賠償額が増えたら保険料を上げるという異例ずくめの対応を行っている。5兆円枠でも、原発を持つ11社は保険料である「一般負担金」を年間で計1630億円支払うはずだった。ところが、電力業界は、電気料金の値上げが追いついていないなどと主張して、年間で計1008億円しか納めていない。枠が9兆円になれば、今後決まる負担額は3千億円近くになる計算だが、政府の支援があることで抑えられる。こんな好都合な保険に入れてもらっているのに、東電は事故の当事者として上乗せして払うはずの「特別負担金」も赤字経営を理由に払っていない。黒字になったら払うという「ある時払い」だが、その金額も決まっていない。にもかかわらず、東電は新潟県の柏崎刈羽原発を再稼働したいという。自動車保険の手当てが不十分なまま事故を起こし、賠償の面倒を見てもらっている人が、次の保険でも十分な手当てをしないうちに、また車を運転したいと言い出したら、周りがそれを許すだろうか。東電は「再稼働できなければ電気料金が上がる」と、消費者を不安にさせる。しかし、原発事故に備える保険料を十分に払わず、「原発はコストが低い」と主張するのは無責任だ。再稼働の議論は、まず相応の保険料を支払ってから始めるべきだ。

*3:http://mainichi.jp/shimen/news/20140204ddm008020079000c.html 
(毎日新聞 2014年2月4日) 地熱発電:全国で活況 中規模1.5万キロワット未満、買い取り価格高め 資源量世界3位、震災で見直され
 最大出力が1・5万キロワット未満の中規模地熱発電所の建設計画が相次いでいる。電気をまとめ買いしてマンション向けに安く供給している中央電力(東京都千代田区)が4月、熊本県で国内15年ぶりの新設発電所を運転開始。オリックスと東芝も岐阜県で2015年春ごろの運転開始を目指す。ほかにも全国に数十の計画があり、中規模地熱発電に脚光があたっている。「都市部のマンション顧客と地域をつなぎたい」。中央電力の平野泰敏副社長は地熱発電への参入理由をこう説明する。熊本県小国町の温泉街の住民で作る会社「わいた会」から発電所の建設・運営を受託。計画の2000キロワットは1500世帯分の電気を賄うにとどまるが、1000キロワット超の地熱発電所の新設は、1999年の東京電力八丈島発電所以来だ。地熱開発は、温泉量減少を懸念する地元との関係が支障になることも多い。今回は、電力大手が開発する地熱発電ほど規模が大きくなく、収益を「わいた会」と分け合うことなど、地元と連携して進めることで軌道に乗った。中央電力は今後5年間で同規模の発電所5カ所を建設する方針。当面は電力大手に売電するが、将来はマンション向けの電力供給も視野に入れる。オリックスと東芝は岐阜県高山市で15年春ごろの運転開始を目指す。北海道や東北、九州など年数カ所のペースで建設する考えだ。オリックスの高橋英丈事業開発部長は「(自由化を控え)電力市場は夜明け前。新たなビジネスの柱にしたい」と話す。大規模な地熱発電所は通常、環境アセスだけで3〜4年かかるが、中規模地熱は対象外。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格も1キロワット時あたり42円(1・5万キロワット以上は27・3円)と高めに設定され、新規参入の背中を押している。火山が多い日本の地熱資源量は米国、インドネシアに次ぐ世界3位。地熱発電の可能性は大きいが、地元の反対や国立・国定公園内の建設規制などハードルが多く、低迷が続いた。しかし、東日本大震災後に見直され、規制緩和のほか、政府はアセス短縮も検討。出光興産や国際石油開発帝石など10社は、福島県の磐梯朝日国立公園で、国内最大となる27万キロワットの大規模開発を計画。20年代初めの運転開始を目指す。経済産業省によると、商社や石油会社、自治体、温泉組合などが全国20カ所で調査事業を実施中。前段階にあたる事前調査も42カ所で動いており、地熱開発は活況を呈しつつある。
◇地熱発電
 地中深くまで井戸を掘削し、噴き上がる蒸気や熱でタービンを回転させて発電する方法。再生可能エネルギーの中でも太陽光や風力と異なり気象条件を問わず、安定した発電量を得られる。日本には、原発約20基分にあたる2300万キロワット以上の資源があるとされるが、総発電量に占める割合は0・3%(12年度)にとどまる。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=25806
(日本農業新聞 2014/2/4) 農業用充電ステーション始動 再生エネで復興へ 宮城県岩沼市
 三菱自動車工業(東京都港区)と発電メーカーのニチコン(京都市)が宮城県岩沼市で取り組む再生可能エネルギーの農業利用試験で、太陽光発電による「農業用充電ステーション」の本格稼働が始まった。3日に開所式を開き、市や県、関係機関へ施設を披露。東日本大震災からの復興に向け、エネルギーから農産物まで地元生産する農業生産システムの実現に動き出した。ステーションは三菱自工の電気自動車のバンタイプ「ミニキャブ・ミーブ」と、軽トラックタイプ「ミニキャブ・ミーブ トラック」への充電施設。設置した太陽光パネルは1日平均80キロワット時の発電量で、一般家庭が1日に使う電力のおよそ4戸分を蓄える。電気自動車へは30分で80%の給電が可能だ。電気を「つくる」「使う」「運ぶ」を基本コンセプトに自動車5台に電力を供給する。人や物の運搬の他、自動車自体が蓄電池となって電気を運び、専用給電装置で農機や農業用施設の電力に使う。昨夏から試験に協力し、軽トラックとバンを使うキュウリ農家の寒風澤敦司さん(45)は「電気は草刈り機などの電源に使っている。今後は電源のない水田などでも使いたい」と話す。キュウリを栽培するハウスは津波被害を受けなかったが、震災後は停電で換気やかん水ができなかった。「暗闇は人を不安にさせた。これからは非常時の電源として地域でも使える」と期待する。試験は農水省と復興庁の食料生産地域再生のための先端技術展開事業の一つ。充電施設を運営するニチコンは「電源がない中山間地の農地にも電気が運べる。普及には経済性と利便性が大事。二酸化炭素(CO2)削減効果なども調べ、普及させたい」と説明。自動車の走行距離や利用電力量、発電量と充電量などデータを集積し、利用可能なシステムの構築を目指す。

*5:http://qbiz.jp/article/31434/1/
(西日本新聞 2014年1月31日) ソフトバンク、電力小売り参入へ 通信とのセット割も
 大手通信事業のソフトバンクが、今春から電力の小売り事業に参入する方針であることが31日、分かった。大口顧客の企業向けに始める。その後、2016年をめどに電力小売りが全面自由化されるのに合わせた一般家庭向けの電力販売も検討する。通信サービスとのセット割引も検討するもようだ。ソフトバンクの電力小売り参入で、電力料金の引き下げ競争が激しくなる可能性がある。ソフトバンクは傘下のSBエナジー(東京)が中心となって、各地に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設するなど、発電事業に取り組んできた。メガソーラーで発電した電気などを販売する予定で、すでにSBエナジー子会社のSBパワー(東京)が経済産業省に新電力として届け出ている。


PS(2014.2.5追加):私も飯田氏同様、脱原発を争点に押し上げてくれた細川・小泉チームを支持するが、*6のように「過去の自らの過ちを認め・・」として、過去に原発を進めたことを批判して謝罪を要求するのは脱原発派を分断するだけであり、いかがなものかと思う。何故なら、既に建設され稼働している原発は、そう言っている人と同様、首相であっても事故前には止められなかったからだ。だから、今がチャンスなのである。また、日本人は「謝罪することが最も大切で、謝罪すれば水に流す」という考え方をする人が多いが、①悪くない人が謝罪しても、(誰かの気は収まるかもしれないが)何も変化しない ②水に流せばさらに何も変わらない ということに思いをいたすべきである。こちらの方が国際標準の価値観だ。

*6:【細川護煕・小泉純一郎 支持宣言】二人の元総理が、安定した立場も見栄も恥も外聞も捨てて、過去の自らの過ちを認めた上で、原発推進に暴走する国政を問うて、 都知事選に挑戦している、その決意と覚悟を全面的に応援します。飯田哲也 (エネルギー革命家)

| 2014年東京都知事選::2014.1.1~2 | 09:54 AM | comments (x) | trackback (x) |

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