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2012,05,29, Tuesday
同じテーマを述べた朝日新聞と佐賀新聞の記事を参考にしながら、読売新聞の「国会事故調査委員会」の質問に関する報道の仕方を批判します。報道による情報開示の仕方が悪ければ、有権者である国民は正しい判断ができず、その結果、選挙結果を誤らせて民主主義を崩壊させるので、それを変えたいからです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120529-OYT1T00179.htm?from=main1 (2012年5月29日7時55分 読売新聞) ●菅氏の怒声「私の夫婦げんかより小さな声だ」 ←批判1:原発事故処理という重大なテーマの見出しを菅前首相の夫婦げんかという矮小なテーマに すり替えており、このメディアの記者の質が疑われる。他紙は、内容を要約した見出しである。 ●福島原発全面撤退問題を巡っては、14日の国会事故調で、東電の勝俣恒久会長は「(全面撤退の要請は)全く事実ではない」と否定している。これに対し、菅氏はこの日の聴取で、全面撤退と受け止めた経緯について、「(昨年3月)15日の午前3時頃、海江田経済産業相から『東電が撤退したいと言ってきている』という連絡があった」と明言。「何としても抑え込まないといけない。命を懸けてもやらざるを得ないとの認識を持っており、撤退ということを聞いてとんでもないことだと感じた」と語った。菅氏は同日午前4時17分、首相官邸に清水社長を呼び、「撤退はあり得ませんよ」と通告した際に、「清水社長は『わかりました』と言っただけ。『そんなこと言っていない』とかいう反論は一切なかった」とも述べ、官邸の反発を受けて、東電側が全面撤退の主張を撤回したとの認識を強調した。 ←批判2:福島第1原発事故の発生時に官房長官だった枝野幸男経済産業相も27日に、国会の事故 調査委員会の参考人として出席し、東電の清水正孝社長(当時)から、作業員を全面撤退さ せる考えを電話で自らに伝えてきたと述べ、当時のニュースもそれを告げていたにもかかわら ず、記事は、「14日の国会事故調で、東電の勝俣恒久会長は『(全面撤退の要請は)全く事 実ではない』と否定している」と掲載し、全面撤退の要請は、菅前首相の妄想だったかのよう な記述をしている。これは、事実を歪めた報道である。 ←批判3:仮に菅前首相が、自分は官邸の椅子に座りながら、「命を懸けてもやれ」と東電に指示したと したら、読売新聞は、どういう批判をしただろうか?「自分は安全な場所にいながら、現場労働 者の命はどうでもよいのか」など想像に難くないが、作業員が全面撤退したら、3000万人が 避難を余儀なくされ、首都圏は壊滅したのである。報道は、とにかく政治家を批判さえすれば よいのではなく、ことの重要性を理解した公正な情報を読者に伝えるべきである。 ●事故直後からの東電の対応について、菅氏は「東電から(官邸に)派遣された技術担当の武黒一郎フェローから色々話を聞いたが、原子炉の状況はどうだとか、こういう形で対策を打つべきだとか、そういう話は残念ながら一切なかった」と証言し、不信感を強めていたことを明らかにした。菅氏は事故調で、撤退問題をきっかけに政府と東電による「事故対策統合本部」を東電本店に設置することを決意したことや、東電本店に出向いた時に幹部を前に「現場から撤退しても、放射能はどんどん広がっていく。撤退しても逃げ切れない」と呼びかけたことなどを次々と説明した。 ←批判4:原発事故に関する的確な状況説明があり、普段から持っていた住民の安全のための対策 の説明、SPEEDY情報の開示などが行われ、粛々と事故処理が行われていれば、菅前首 相が声を荒げる必要はなく、現場に行って指示したり、他の専門家を連れてきたりする必要 もなかった筈である。問題は、それができなかったことにあり、それができないことを何とか カバーしようとした菅前首相にはない。 ←批判5:「現場から撤退しても、放射能はどんどん広がっていく。撤退しても逃げ切れない」と説明し なければわからないような人が、東電幹部を勤めていること自体がおかしい。説明する人が 逆であり、運転免許を持っていない人が東電という会社を運転しているようなものである。 しかし、原発は、自動車事故とは異なり、犠牲者の数が1000万人単位であるため、さらに 何重にも防備していなければならなかった筈で、私は、呆れてものが言えない。 ●ただ、こうした菅氏の言動について、委員からは「撤退しないことはわかっていたはずなのに、首相が東電本店に乗り込んで来て『何で撤退するんだ』と、どなる姿は反省すべきではないか」との批判もあった。菅氏は「どなった」とされた点に関しては、「不快に受け止められたとしたら申し訳ない」と陳謝したが、「私の夫婦げんかよりは小さな声でしゃべったつもりだが、はっきりものを言うために多少声が大きくなった」などと釈明した。東電本店に当時いた職員らはどなったと受け止めており、菅氏が批判を受ける可能性もある。 ←批判6:こうした菅氏の言動について、委員からは「撤退しないことはわかっていたはずなのに、首 相が東電本店に乗り込んで来て『何で撤退するんだ』と、どなる姿は反省すべきではないか」 との批判もあったそうだが、全面撤退の要請があったのに、「撤退しないことはわかっていた はず」とは、この委員は、偏向しているのではないか? ←批判7:「菅氏がどなったと東電本店に当時いた職員が受け止めている」と批判した委員がいるが、 この委員は、自分が手術台に乗っている時に、医療ミスをしそうになった部下の医師を医長 の医師がどなって「それじゃない!」と言っても批判するのだろうか。原発事故には、3000万 人の命と財産がかかっていたのだから、東電職員がどなられたと受け止める口調で指示した からと言って、委員が菅氏を批判するのはおかしい。東電は、原発を一箇所に多数林立させ、 何の防備もしていなかったことを猛省すべきなのであり、どんなに怒鳴られようと不快に受け 止めるような立場ではないのである。原発事故の一義的責任は東電にあり、東電だけでは 対処できないから国が手伝っているに過ぎない。もし、東電が、「国の方針に従って原発を 作った」と弁解したいのであれば、東電は技術者を多く擁している民間会社なのだから、危 ないと判断すれば拒否権もあったのだということを指摘しておく。 http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2213648.article.html (佐賀新聞 2012年05月28日 18時57分) 菅前首相、避難対策「不十分」 / 過剰介入の批判には反論 菅直人前首相は28日、国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会に参考人として出席し「事故を止められなかったことを、あらためて心からおわびする」と述べ、津波への事前の備えや事故後の避難対策が「不十分だった」と陳謝した。また事故発生当日、原子力災害の緊急事態宣言を出すのに手間取ったことを認めた。 しかし、委員側が、現場作業への菅氏の過剰な介入として批判が強い現地視察や発電所長への電話連絡などの経緯を追及すると、菅氏は「判断に役立った」などと強く反論した。 菅氏は避難対策について「屋内退避が(1カ月以上と)長くなった。おわび申し上げたい」と語った。 参考1:http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY201205280524.html (朝日新聞 2012年5月28日23時21分) 「原発事故に責任」菅氏謝罪 国会事故調 東電批判も 東京電力福島第一原発事故を検証する「国会事故調査委員会」(黒川清委員長)が28日、菅直人前首相を参考人招致した。菅氏は事故の責任が国にあることを明確にし、「責任者として事故を止められなかったことを心からおわび申し上げる」と陳謝した。 事故の責任を認めながらも、3時間近くに及んだ質疑では自身の判断の正当性を強調。さらに東電や電気事業連合会を「原子力ムラ」と断じ、原子力安全・保安院とともに厳しい批判を随所で展開した。 これまでの国会事故調では、菅氏が事故直後、現場に過剰介入したことに対する疑問が示されていた。菅氏は、福島第一原発の吉田昌郎所長(当時)に「電話で話したのは2度」と反論。「的確な情報が上がっていれば必要性は少なかった」と述べ、事故直後に福島第一原発の視察を強行したことの意義を強調した。 ←批判8:菅前首相が現場に行ったことに対して、過剰介入との批判を多くのメディアが行っているが、 現場を知って対策を考えるのは理科系の人の発想であり、私は、批判の方がおかしいと思 っている。状況に関する完璧な報告がなされて対応に心配がなかったならともかく、そうで ない以上は、菅前首相が現場に行って状況を把握したかったのはよくわかる。福島第一原 発の吉田所長・東電・経済産業省だけでは、自衛隊や全国の消防隊を派遣するなどの さまざまな対応策を検討することはできないし、大切なのは、危険を回避するプロセスでは なく、危険を回避できたという結果だからである。 ←批判9:なお、メディアは、当時、大本営発表をしていただけだったが、何故、自分たちは現場に足を 運んだり情報公開請求をしたりして、事実をつかみ、正確な報道をしようとしなかったのか? ここが、我が国の民主主義の闇である。
| 報道の問題点::2012.4~2012.10 | 10:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
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