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2012.6.17 原発再稼働推進論者の論理には無理が多いこと
 日経新聞が、最も典型的な原発再稼働推進論を展開しており、下の記事に、うまくその要約がなされているので、これに反論する形で、原発再稼働推進論者の論理の無理を指摘します。 雷

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1600D_W2A610C1000001/
大飯原発の再稼働を政府決定  (日経新聞 2012/6/16)

●野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は16日午前、首相官邸で協議し、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)3、4号機の再稼働を正式に決めた。福井県の西川一誠知事が再稼働への同意を表明したためだ。国内のすべての原発が止まった状態はほぼ2カ月ぶりに解消する。

←(批判1)国内のすべての原発が止まった状態を早く脱し、原発なしでも困らないという実績を作られるのを阻止したことを白状している。

●関電の管内で、予期せぬ停電などを通じて暮らしや企業活動が深刻な打撃を受ける危険性はやわらぎそうだ。

←(批判2)原発再稼働がなければ、病院や信号機の停電で命にかかわるというふれ込みの脅しもあったが、そもそも、計画停電するためには重要性の順位があるのが当然であり、病院や信号機を他と同じ次元で停電させざるを得ないシステムにしているというのがおかしい。もし、選択的に停電させることができないシステムになっており、重要部分にも通常の電力供給網一つしかないのであれば、事故や地震など災害時の危機管理ができていないということであり、それを問題にすべきである。なお、病院や信号機など命にかかわるものは、もともと自家発電その他で十分にバックアップしておくべきである。

←(批判3)企業活動への深刻な打撃は、①今まで原発に頼らせて自然エネルギーの普及を阻害してきたこと ②自国で算出できる天然ガスなどのエネルギー開発をせずに安易な輸入燃料に頼らせてきたこと ③電力自由化や発送電分離を行わなかったこと 等が原因であり、経済産業省(特に、資源エネルギー庁)のミスである。そして、原発再稼働を推し進めることは、それらを改善し環境と両立しながら経済成長する機会をさらに阻害する。

●首相は協議で「再稼働することを政府の最終判断とする」と語った。そのうえで「政権として原子力行政への国民の信頼回復に向けてさらなる取り組みを進める決意だ」と強調した。協議に先立ち、首相は西川知事と会談。知事が「国の安全確保のいっそうの努力と支援の約束を頂いたので(再稼働に)同意する決意を伝えたい」と述べたのに対し「決断に深く感謝申し上げる」と謝意を表明した。知事は再稼働への消費地の理解を深めることや、日本海側の津波や地震の調査推進など8項目の要望も首相に伝えた。

←(批判4)何度も書いたが、野田首相や西川知事に原発の安全性を判断する能力はないし、責任をとると言っても、どう責任をとるのか明らかにしておらず、本当は責任などとれるわけがない。そのような状況で、消費地の理解を深めるなどというのは不誠実であるし、日本海側の津波や地震の調査が今まで行われておらず、そのままで今から再稼働しようとしているのは、無謀としか言いようがない。

●昨年3月の東日本大震災で東京電力福島第1原発の事故が起きてから、原発の運転再開が決まったのは初めて。国内にある原発50基は北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が5月5日に定期検査に入って以来、約42年ぶりに全基が運転停止となっていた。政府が大飯原発の再稼働を正式に決めたのを受け、関電はただちに準備作業を始める。最初の3号機のフル稼働まで約3週間かかり、次の4号機も含めると2基が共にフル稼働するのは最短で7月24日になる見通しだ。

←(批判5)「待ってました!」と言わんばかりの関電の対応であるが、負けてはならない。

●政府などの試算によると、大飯原発が再稼働しなければ関電管内では猛暑だった一昨年夏のピーク時に比べて15%の電力が足りなくなる。無秩序に停電が起こる可能性が高まり、企業の経済活動や家庭生活に支障が出かねない情勢だった。再稼働により、こうした最悪の事態は避けられる公算が大きくなった。ただ、関電の見通しでは一昨年並みの猛暑になれば、昨年の節電効果を反映しても8月の電力需給の余裕度を示す「予備率」はゼロになる。このため、需給が逼迫した場合に備えて関電は事前に時間や対象地域を決めて停電を実施する「計画停電」の準備は続ける。

←(批判6)いつも「関電管内で猛暑だった一昨年夏のピーク時」と比べ、その後、何ら節電対策を行っていないという前提で話を進めているところに無理がある。LED電球の使用や節電型家電への買い替え、太陽光発電をはじめとするさまざまな自家発電装置により、もう、15%くらいの節電はできていなければならない筈である。関東ではできるのに、関西ではできないとでも言うのだろうか?

●政府は早期の大飯再稼働をめざしていたが、立地自治体の福井県の同意を得られなかっただけでなく、消費地である周辺自治体が慎重な姿勢を崩さなかったため、手続きが滞っていた。首相は経済活動やエネルギー安全保障の観点から「原発は重要な電源」と表明しており、運転を止めているほかの原発の再稼働もめざす方針。年内は伊方(愛媛県)、泊(北海道)の2原発の再稼働が課題になる。

←(批判7)全貌が見えていない首相が表明したからといって、「原発は重要な電源」とはならない。また、手続きをすれば危険なものが安全になるということもない。さらに、原子力燃料は、外国依存であるためエネルギー安全保障には資さない上、原発が爆発すれば大きな自損事故となり、自らの国土を崩壊させるとともに、外国にも迷惑をかけることが福島第一原発事故で証明されたのに、何を血迷ったことを書いているのだろうか。

←(批判8)そして、やはり運転を止めている他の原発の再稼働を進めるきっかけとするのであるから、野田首相は全く民意を汲んでおらず、不信任に値する。

←(批判9)さらに、この記事は日経新聞の社説に掲載されていたものであり、日経新聞の中でも選ばれた記者が書いたと思われる。それでも、このような聞きかじりのコメントを連ねて全体としては結果ありきの深みのない社説を出すというのは、新聞社自体のスタンスがわかると同時に、(文系であろう)記者の能力や志の低さを感じさせる。こういうのを「暗記型秀才」というのであろうが、全く論理性がないことに自らは気がつかないのだろうか?

| 原発::2012.6~8 | 03:07 PM | comments (x) | trackback (x) |

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