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2013.2.23 農業における経営管理とコスト低減について (農業会計基準導入の必要性も)
      
      サトウキビ畑             梅畑              レタス畑

(1)農業経営合理化のため、農業会計の導入が必要
 *3のように、日本には農業に関する会計基準がなく、農業者は所得税申告目的の経理をしているのみである。しかし、これでは、経営に資する内部管理、融資のための基礎資料、出資者・貢献者に対する正確な利益配分ができない。一方、国際会計基準には、第41号に農業に関する基準が定められており、他国は、これに近い会計基準を使っている(こう言っては失礼だが、スリランカでも使っている)。今後、農業を生産性の高い儲かる産業にするためには、まず、正確な収益と費用の計算を行い、正確なコスト管理と利益配分を可能にしなければならない。そのため、国際会計基準41号を参考にして、わが国に農業会計基準を導入するのは、まったなしである。

(2)農業のコスト低減のためには、規模の拡大とエネルギーの転換などが必要
①規模の拡大
 *1に書かれているように、耕地の規模を拡大して機械化することによって、農業のコスト低減が可能であるため、2005年以降、集落営農や農業法人化が推奨されてきた。このほかにも、パートナーシップ(任意組合)によって複数の農家が集まり、それぞれの貢献度に応じて正確に収益を分配しながら、規模拡大を達成する方法もある。私は、複数の農家が集まって一つの企業体として行動するには、まずはパートナーシップ(任意組合)の方が入りやすいと思う。

②エネルギーの転換など
 *2のように、現在では、ビニールハウス等で温度や日照時間を管理して、いつでも作物を出荷できるようにする農業も盛んだ。そして、私が衆議院議員の時に、「燃油の値段が上がって困った」等の陳情が毎年のようになされてきたが、それは、これまで重油で温めていたため、原油の値段に左右されていたからだ。そのため、ここに、地中熱や国産の安価な再生可能エネルギーを使ってしっかりと温度管理を行えば、かなりのコスト低減が見込まれる。そのほか、飼料や有機肥料などに関するコスト低減策もあり、いかに気候を活かし、国産の安いものを使って、質を落とさずにコスト低減を行うかが、今後の農業の鍵となる。

 なお、これらについては、製造業やサービス業で監査をしてきた公認会計士やコンサルティング会社に、世界の事例をしっかりリサーチさせて方針案を作らせる方法が、安上がりで失敗が少ないだろう。

注:コスト低減とは、大きなパラダイム変化によってダイナミックにコストを減らすことであり、コスト削減とは、既存のパラダイムの中で改善し続けることによってコストを減らすことである。

      
    北海道のじゃがいも畑           養豚場              養鶏場

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2390921.article.html
(佐賀新聞 2013年2月2日)税制面でメリット 集落営農法人化で研修会
 集落営農の法人化をテーマにした研修会が31日、佐賀市で開かれた。農業経営コンサルタントで税理士の森剛一氏が講演し、法人化を早く進めたほうが税制面で大きなメリットを受けられると解説した。森氏は、任意組合の集落営農は個人に所得税が課税されるため内部留保が難しく、長く続ければ続けるほど法人化は困難になると指摘。法人化の一般的な形態である農事組合法人は消費税の還付を受けられるなど税制上のメリットが大きいことから、「集落営農は早く法人化したほうが得策」と話した。ただ、農事組合法人は事業内容が農業関連に限定され、総会議決が1人1票制で迅速な意思決定が難しいなどの問題点もあり、森氏は「事業内容に制約のない株式会社への組織変更も検討したほうがいい」とアドバイスした。研修会は県やJAなどでつくる佐城地域担い手育成支援チームが主催し、集落営農のリーダーら約200人が参加した。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/349300
(西日本新聞 2013年2月21日) 燃料に間伐材 ビニールハウスで重油と併用
 福岡県は、新年度から園芸農家のビニールハウスを、木質チップボイラーと既存の重油暖房機を併用して温度管理する「ハイブリッド暖房システム」の実証実験を始める。使い道の少ない間伐材を燃料として利用し、高騰する重油の使用量を減らしコスト削減を図る。担当者は「一石二鳥の取り組み。効果を実証し、福岡方式として定着させて農家の経営安定につなげたい」としている。県によると、冬場にハウスの暖房に使うA重油の1リットル当たりの価格は、2002年の40円台から上昇を続け、昨年は89円にまで高騰し、農家の経営を圧迫している。一方、成長の途中で伐採される間伐材は、建築木材に適さず需要が少ない。山から運び出すコストも高く、利用が進んでいないのが現状だ。県の推計では、間伐材の9割以上が未利用のまま山に放置されているという。
 実証実験は、複数の園芸農家が集まる1ヘクタール規模の園芸団地で行う。木質チップボイラーと複数のハウスを配管でつなぎ、加熱した水を各ハウス内に設けた熱交換器に送り、温風にして室内を温める。一定の室温まではボイラーで上昇させ、これまで各ハウス内に設置していた重油暖房機は補助的に使う。これにより重油使用量を75%程度削減できると見込んでいる。間伐材は、建築木材などに使う木と一緒に山から運ぶことで輸送コストを圧縮し、団地周辺の木質チップ工場で加工する。県は、ボイラー費用など関連事業費約6千万円を13年度一般会計当初予算案に計上した。暖房が必要になる11月の運用開始を目指し、実証実験を行う園芸団地1カ所を選ぶ。15年度までコスト削減効果を検証して実用化のめどを付ける。

*3:http://muses.muses.tottori-u.ac.jp/dept/E/paper/bachelor/policy/nagatoshi.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%9F%BA%E6%BA%96' (食料政策学研究室 永利 和裕) 国際会計基準41号「農業」が農業会計に及ぼす影響
Ⅰ.緒論
 近年、我が国では経済活動の国際化が急速に進み、その結果として、経済活動を支える会計領域も国際化せざるを得ない状況にある。すなわち、経済活動を国際的に展開するためには、世界的に認められた特定の基準に従って会計処理を行って会計情報が作成されることが必要とされている。このような会計の世界基準として国際会計基準(以下、IASという)が作成された。現在、日本の会計基準はこのIASを徐々に組み込んでいる。このIASの中に、農業経営活動の会計処理に関する会計基準を意味するIAS41号「農業」(以下、IAS41という)がある。早晩、この基準が日本の農業会計に導入されることは明らかである。そこで、本研究では、IAS41が、将来的に日本の会計基準に導入されることを想定して、このIAS41が日本の農業会計にどのような影響を及ぼすかを理論的に明らかにして、今後の農業会計のあり方について検討していく。

Ⅱ.研究・分析方法及び参考文献・資料
 まず第1に、IASの必要性と日本に導入されるようになった背景を明らかにする。第2に、IAS41を含め、IASについて詳しく述べる。第3に、IASが日本の会計制度に及ぼす影響について検討する。第4に、IAS41を日本の農業会計に導入する場合の課題について検討する。そして、最終的には、今後の農業会計はどうあるべきかを検討していく。
【主な参考文献・資料】
菊地 泰次『農業会計学』明文書房 1986年
三輪 豊明『国際会計基準入門の入門』PHP研究所 2003年
工藤 賢資『複式農業簿記入門』富民協会 1999年

Ⅲ.研究結果とその考察
 以下では、上述した研究方法によって、明らかにした4点について述べたい。
 まず第1に、IASの必要性と日本に導入される背景である。その1として、その必要性であるが、国際的な経済活動を行うためには、世界各国の誰(投資家や銀行などの利害関係者)が見ても明らかな会計情報を提示することが必要となる。これがIASの必要性である。その2として、日本に導入される背景であるが、日本においても国際的に経済活動を行う企業、すなわち多国籍企業が増加したことと、日本の会計基準は国際的に通用する基準ではないと指摘されたことがある。
 第2に、IASとIAS41についてである。その1としてIASであるが、これは1973年に設立された国際会計基準委員会(IASC)によって作成されたものである。なお、IASは数次の改訂を経て、35に及ぶ基準から成っている。その2としてIAS41であるが、これは①農業活動における会計処理、②関連する財務諸表の表示、③開示について定めたものであり、35に及ぶIASの1つである。この基準の適用の範囲は生物資産、農産物、政府補助金の3つである。また、生物資産、農産物の測定方法は、「生物資産は、当初認識時及び貸借対照表日において、その見積販売費用控除後の公正価値で測定し、農産物は、収穫時点において、その見積販売費用控除後の公正価値で測定しなければならない」とされている。
 第3に、IASが日本の会計制度に及ぼす影響についてである。日本の会計制度は商法、証券取引法、法人税法、の3つの法律から成立しており、それぞれの法律を改廃する際には、企業会計審議会により作成された「企業会計原則」を考慮しなければならないとされている。しかし、企業会計審議会により、IASを考慮した新たな会計基準が発表され、今後、日本の会計制度は、IASを中心としたものに移行していくものと考えられている。
 第4に、IAS41を日本の農業会計に導入する場合の課題であるが、以下の2つがある。1つ目の課題であるが、日本の農業会計では、農産物を含めて資産の評価は、取得原価主義を採用している。これに対してIAS41を導入すると、見積販売時費用控除後の公正価値で評価されることになり、原則的に活発な市場で成立した市場価格に基づいて評価が行われることになる。課題は、活発な市場が存在しない場合、いかに公正価値を決定するかである。数種類の測定方法がガイドラインとしてあげられているが、測定の信頼性を高めるには、さらに具体的なガイドラインが必要である。2つ目の課題であるが、IAS41では、生物資産は公正価値で評価するが、公正価値の変動分を損益計算書に計上すれば、そこでは未実現の利益が計上される。課題は、このような未実現利益は明記し、他の利益と区分することである。

Ⅳ.結論
 IAS41を日本の農業会計に導入するには、上述した2つの課題をいかに解決するかが重要である。また、「企業会計原則」に相当する「農業会計原則」確立も必要であろう。

| 農林漁業::2013.6~2014.1 | 04:26 PM | comments (x) | trackback (x) |

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