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2014,10,20, Monday
2014.10.19朝日新聞 2014.10.19東京新聞 (1)小渕経産相の資金収支問題について *1-1に書かれているように、小渕経産相は地区毎に会費を集め、大型バス26台を連ねて後援会の女性を観劇会に招待し、支援者は、これを年に1度の楽しみにしていたそうだ。会費は、全員から1万2千円ずつ小渕事務所が集めたと言われているが、*1-2のように、支出が収入を大幅に上回っており、小渕事務所から会費以上の利益供与があれば、その金額は公職選挙法が禁じる選挙区内の有権者への買収行為にあたる。また、議員本人も挨拶や話をしているので、その行事を知らなかった筈はなく、今更、調査することはあるまい。 そして、この問題は、*1-3、*1-4に書かれているように、ただ謝って、看板閣僚の傷が浅いうちに大臣を辞任すればよいという話ではなく、真に買収行為があれば公職選挙法違反であり、収支報告書の虚偽記載があれば政治資金規正法違反であるため、その点を明確にすべきなのである。 なお、平成19年12月に政治資金規正法が大きく改正され、平成21年1月1日から国会議員関係政治団体の支出の公開などに関して、会計帳簿の記載、収支報告書の作成は会計責任者に責務が課され、政治資金監査も義務付けられた(http://www.soumu.go.jp/main_content/000077911.pdf#search='%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E5%93%A1+%E5%8F%8E%E6%94%AF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E7%9B%A3%E6%9F%BB' 参照)。 その制度改正には、私(平成17年~21年:自民党衆議院議員)も参加して監査制度を導入し、平成21年1月1日以降は公認会計士等の監査人(会計のプロ)が収支報告書を監査しているため、本来なら違法性のある行為や妥当でない会計処理は、事前にブロックできなければならない筈なのである。そのため、質問者は担当した監査人にも適法意見を出した理由を聞くべきであり、収支報告書に関する責任は、公務で忙しい議員ではなく会計責任者と監査人にある。 何故なら、一般会社に例えれば、国会議員は営業・技術畑の社長で、会計責任者が経理部長に当たるため、社長は、会計については重要な事項に関しては報告を受けて承認し、知っていなければならないが、細かい事務処理にまでは関与しておらず、経理部長が普段から監査人と相談しながら適切な会計処理をしていなければならないからである。 (2)メディアの報道の仕方と日本の民主主義の危機について *2に、「秘書の一人が、ここでは観劇会の参加者一人ひとりが実費を払ったかどうかを確認している最中と話した」と書かれているが、数千万円にも上る収支差や支出の方針については、今、確認するようなことではなく、計画時もしくは収支報告書の提出前には小渕氏自身の承認を受けておくべきものである。しかし、メディアは、下仁田ネギをもらったためか(?)、この真実を語ることがなかった。 そして、「経産相になった時には、初の女性総理に近づいたとうれしく思った」などと記載しているが、小渕氏が初の女性総理では、他の女性が全員それ以下のようで、たまったものではない。また、「お金にきれいな人というイメージだったので、すごく残念」という点も、国費で支給される政治資金は本物の政治活動だけで赤字になるため、数千万円にも上る支出超過をして後援会を観劇会などのバスツアーに招待できるのは、まさに業界と癒着があり、資金が潤沢だからにほかならず、どういう根拠で、そのようなイメージを持っているのか不明である。 つまり、国民を不幸にする政策を打ち出しても、このようにして当選を重ねているのであり、メディアはこの本質を指摘することができずに、「より若い人が活躍できるように」「子どもを産みやすいように」「今回の問題で辞任するとしたら残念。早く第一線に戻ってきてほしい」等と話す姿が印象的だったなどと記載しているのだ。 なお、「自分が自分が、という目立ちたがりが政治家には多いが、そういうところがみじんもなかった。社会のためにとの思いがとても強い人だ」などと述べた評論家もいるが、政治家は実力主義の社会であり、何をしたかで評価されるのが当たり前で、そのためには誰がやったかを正確に把握しなければ正しい投票行動は起こり得ないものである。つまり、やったことをアピールせずに、観劇会への招待で後援会を固めることこそ、本末転倒で民主主義を後退させるものなのだ。 (3)原発問題の方が、莫大な資金の流れだ 私が、(1)(2)のように思っていたところ、*3の自民党衆議院議員 河野太郎氏のブログの「原発の本当のコストはいくら」という記載が目に入り、そのとおりだと思った。確かに、小渕経産大臣は、議員として政治資金にもおかしなことがあってはならないが、参議院本会議で「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えている」と答弁している以上、何故そうなのかを質問されれば、正確に答えることができなければならない。 ここで、官僚の作文をのみこんで答弁するだけでは、男女を問わず、大臣どころか国会議員としても価値がない。いくらTVや後援会の前で「頑張る」「努力する」と頭を下げても、知識と経験に基づいた思考力がなければ、それは実行しようがないのである。 *1-1:http://mainichi.jp/shimen/news/20141019ddm041010068000c.html (毎日新聞 2014年10月19日) 小渕経産相:辞任不可避 観劇会、支援者「年1度の楽しみ」 地区で会費集金/大型バス26台 「観劇会は大勢の人が集まる華やかな場所。年に1度の楽しみにしている支援者も多かった」。今月8日、東京・明治座で開かれた小渕氏の観劇会に出席した群馬県渋川市の女性(72)はそう話す。小渕優子後援会の複数の女性によると、観劇会の準備は夏ごろ始まり、各地区の支持者らに案内チラシを配って希望者を募り、会費を集める。この女性が担当する地区には今年10人の希望者がおり、全員から1万2000円ずつ受け取って小渕事務所の人に渡したという。会費は毎回1万2000円だったといい、地元の秘書に渡したケースもあった。ある地区は今年、当日午前6時半に集合した。群馬県内各地から大型バスが26台用意されていたといい、車内ではお茶菓子とペットボトル入りのお茶が配られた。劇場に到着すると、1、2階はほぼ満席だったという。座席表では1、2階席で約1200席になるため、約1000人は劇場にいたとみられる。公平にするため席は事前にくじ引きで決め、地区ごとに着席した。観劇会は後援会の女性大会として開かれ、会場に着くと後援会幹部らのあいさつから始まる。小渕氏は今年、閣僚就任から間もなかったため欠席したが、子供を連れて登壇した年もあり、その時は「普段お世話になっております。朝早くからご苦労様です」などとあいさつしたという。参加者は劇場内で弁当の昼食をとり、今年は正午から休憩などを挟んで午後3時半まで天童よしみさんの劇と歌謡ショーがあった。その後は真っすぐ群馬へ戻り、午後6時ごろに解散となった。以前は9月に開催し、帰りに巣鴨や浅草に寄る1時間ほどの自由時間があり、買い物などを楽しんだこともあったという。女性は「必要な会費は全額きちんと支払っている。なぜ疑惑を持たれるような収支報告になっているのか見当もつかない」と困惑した表情を浮かべた。ほかの70代の女性部地区役員は「小渕さんはこれまで持ち上げられ過ぎていて、どこかに気の緩みがあったのではないか。この際きっぱりと閣僚を辞め、まだ若いのだから出直した方がいい」と厳しい口調で話した。 ◇小渕氏、言葉少なく 東京都渋谷区の小渕優子氏の自宅前には、早朝から記者やカメラマンが多数詰め、出張のため自宅を出るのを待ち構えた。改造内閣の「看板」として小渕氏を起用した安倍晋三首相の私邸が、約80メートル先にある。出張先は愛知県。三菱重工業の工場で開かれる小型ジェット旅客機の完成記念式典に出る予定だった。しかし「現地での混乱を避ける」(経済産業省)として急きょキャンセル。午後2時20分ごろ、警察官が三角コーンで規制する中、玄関にぴたりと横付けされたワンボックスカーにうつむいたまま無表情で乗り込み、霞が関の経産省へ向かった。玄関口で報道陣の取材に応じたが、その時間は約40秒。「(きょう首相と会う予定は)ありません」。硬い表情だった。「辞任の考えは?」。畳み掛ける質問に、「今やらなければならないことは、政治資金の問題についてしっかり調査すること」と返すのが精いっぱいだった。同省職員によると、小渕氏はその後約3時間半、大臣室にこもっていた。午後6時過ぎ、居残る大勢の報道陣に何度か軽く会釈するそぶりを見せたが、投げかけられた質問に一切応じず、車で立ち去った。式典を欠席したことについて、三菱グループのある幹部は渋い調子で言った。「経産相から直接プロジェクト支援の言葉をいただけるに越したことはないが、我々は民間企業として粛々と事業を進めていくだけだ」。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141019&ng=DGKDASFS18H0U_Y4A011C1MM8000(日経新聞2014.10.19)小渕経産相、週明け辞任へ、収支問題 調査報告後に 小渕優子経済産業相は18日、関連政治団体の不透明な収支を巡る問題の調査結果を週明けに報告した後、安倍晋三首相に辞表を提出する意向を固めた。すでに首相周辺には辞意を伝えており、首相は小渕氏の辞表を受け入れる方針だ。第2次安倍内閣発足後、閣僚が辞任するのは初めてで、今後の政権運営に影響を与えるのは避けられない。問題になっているのは小渕氏が関係する政治団体「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が開いた支援者向けの「観劇会」の費用だ。両団体の政治資金収支報告書によると、参加者から集めたとみられる収入と劇場側への支出に食い違いがあり、支出が収入を大幅に上回っている。2010年と11年の差額は合わせて約2600万円に上り、参加者が負担すべき差額分を政治団体が肩代わりしていた場合、公職選挙法が禁じる選挙区内の有権者への「寄付」行為にあたる。衆院選のあった12年も観劇会を開いたとみられるにもかかわらず、収支の記載がない。小渕氏は18日、経産省内で記者団に「今、私がやらなければならないことは自身の政治資金に関する問題をしっかり調査することだ」と述べた。一連の問題についての調査結果を週明けの20日にも報告する意向だが、小渕氏自身が「納得できる説明をするのは難しい」と首相周辺に伝えており、調査結果を報告した後、収支問題の責任を取って首相に辞表を提出する方向となった。首相周辺は18日夜、小渕氏の進退について「首相官邸が判断する問題ではなく、小渕氏自身が判断すべき問題だ」と述べ、小渕氏が辞表を提出すれば首相は受け入れるとの見通しを示した。そのうえで「第2次安倍政権になって初めての試練だ。早く決着した方がいい」とも語り、辞任により早期収拾を図るべきだとの認識を示した。首相は後任選びを急ぐ。女性登用を重視した9月の内閣改造で看板閣僚として起用した小渕氏が辞任に追い込まれる事態になったことから、後任は慎重に選ぶ考えだ。 *1-3:http://qbiz.jp/article/48028/1/ (西日本新聞 2014年10月19日) 小渕経産相、辞任不可避 政治資金問題 首相に進退一任 政治団体の不正支出疑惑をめぐり、小渕優子経済産業相の閣僚辞任は18日、避けられない情勢となった。首相周辺によると、小渕氏は進退を安倍晋三首相に一任した。自民党関係者は「傷が浅いうちに辞めさせるのが官邸の判断だ」と語った。首相は同日午後、イタリアから帰国し、そのまま公邸に入って今後の対応を検討した。近く小渕氏と会い、辞任させる方向で最終決断する見通しだ。閣僚が辞任すれば、2012年12月の第2次安倍政権発足後、初めてとなる。9月の内閣改造から1カ月余りで主要閣僚が辞任に追い込まれれば、政権のダメージは大きい。首相の任命責任も問われそうだ。小渕氏は同日、愛知県で開かれる国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の機体完成記念式典に出席予定だったが、「混乱を回避するため」(経産省広報室)としてキャンセルした。午後、都内の自宅から経産省に登庁。記者団から辞任する考えかと問われ、「今、私とその政治資金に関わるさまざまな問題について調査をしっかりやっているということだ」と述べ、進退については言及しなかった。同日中に首相と会う予定も「ない」と答えた。一方、首相はイタリア・ミラノでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の出席を終え、政府専用機で帰国。公邸から電話で菅義偉官房長官らと対応を協議したとみられる。同日夕、都内の自宅に戻る際、記者団から小渕氏の進退を問われたが、何も語らなかった。与党内では、辞任は不可避との見方が広がっている。だが、小渕氏が辞任すれば、野党側が「うちわ」問題で松島みどり法相への辞任圧力を強める懸念があることから、政府高官の一人は「そんなに早く決める話じゃない」と早期辞任には否定的見方を示した。小渕氏の不正支出疑惑をめぐり、野党は週明け20日の衆院地方創生に関する特別委員会で、さらに追及する構えだ。この場での小渕氏の説明を見て進退を判断すべきだとの声もある。 *1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141019&ng=DGKDASFS18H0L_Y4A011C1PE8000 (日経新聞 2014.10.19) 首相、早期収拾狙う、小渕経産相の辞表受理へ 看板閣僚の将来配慮 イタリア訪問から帰国した安倍晋三首相は18日、小渕優子経済産業相の関連政治団体の不透明な収支問題の事態収拾に着手した。小渕氏は週明けの調査結果の報告後に辞任する方向で、首相は後任選びも急ぐ。早期辞任により政権運営への打撃を最小限に抑えるとともに、将来の首相候補の一人とも目される小渕氏をこれ以上、批判の矢面に立たせないようにする配慮も働いたとみられる。首相は午後3時すぎに羽田空港に到着し、そのまま首相公邸に入った。政府関係者から小渕氏の問題の経緯について報告を受けるとともに、政府・与党の幹部と電話で今後の対応などを話し合ったとみられる。首相は公邸に1時間ほど滞在した後、私邸に戻った。愛知県への出張をとりやめた小渕氏は午後、経産省にこもった。週明けに予定する関連政治団体や資金管理団体の不透明な収支に関する調査の報告の段取りなどを関係者らと打ち合わせたとみられる。小渕氏は夕方に無言で経産省を後にした。首相周辺は同日夜、まず小渕氏が調査結果を報告するのを待つとしたうえで「第1次安倍内閣では内閣支持率ばかりを気にして判断が遅れたが、今回は国政を遅滞させないことを基本方針にやる」と指摘。調査結果の報告後、速やかに辞任するとの見通しを示した。早期辞任による決着は政権運営への影響だけでなく、小渕氏への配慮もにじむ。女性として最年少で入閣した小渕氏は安倍内閣の看板閣僚であるだけでなく、将来の首相候補の一人と見る向きもある。政府関係者は「この問題で政治家としての小渕優子を殺してはいけない」と早期辞任が望ましい理由を説明する。しかし、小渕氏が辞任しても、新任閣僚をめぐって混乱した事態を直ちに収拾できるかどうかは予断を許さない。「野党はほかの閣僚の問題を追及してくるのではないか」。自民党幹部はこう身構える。第1次安倍政権は「政治とカネ」の問題が絡んだ閣僚の辞任が相次ぎ、支持率低下につながった。閣僚経験者は「小渕氏で前例を作ると、再び『辞任ドミノ』が始まる」と危機感をあらわにし、参院幹部は「副大臣や政務官にも波及する」と警戒する。やり玉に挙がりそうなのが選挙区で討議資料として「うちわ」を有権者に配った松島みどり法相だ。政府高官は「小渕さんと比べれば些末(さまつ)な問題だ」として小渕氏の問題とは分けて考えるとするが、今後も厳しい追及が予想されるだけに「小渕氏と一緒に辞めた方が政権へのダメージは少ない」(閣僚経験者)との見方もある。後任選びは慎重にならざるを得ない。自民党内では「国会会期中であり、後任は経験者か商工族がよい」(自民党幹部)との声が上がる。原子力発電所の再稼働など重要課題を抱えるため「重量級のベテランを起用すべきだ」(党三役経験者)との意見も出ている。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11409709.html (朝日新聞 2014年10月19日) 小渕氏地元、広がる動揺 「出直して」の声も 後援会などをめぐる「政治とカネ」の問題で、小渕優子経済産業相の辞任論が噴出した。小渕氏の地元・群馬の支援者や、小渕氏の政策に期待した人々の間では18日、戸惑いや落胆が広がった。一方で、「辞任やむなし」の声も上がる。18日夕、群馬県高崎市の住宅街にある小渕氏の後援会事務所。秘書ら数人がいるだけで、訪れる人は少ない。秘書の一人は「ここでは観劇会の参加者一人ひとりが実費を払ったかどうか確認している最中。(進退の話は)まったく聞いていない」。内閣改造で9月3日に大臣に就任した後は、自民党県連の行事で1度、前橋市入りしたほかは群馬に戻っていないという。小渕氏は、後援会などが、支援者らの観劇会費用を一部負担したり、収支を政治資金収支報告書に記載しなかったりしたとの疑いをもたれている。重要閣僚への起用を「首相へのステップ」と喜んだ支援者には、動揺が広がる。後援会幹部の一人は「進退については聞いておらず、何とも言いようがない」と戸惑いを隠せない。ただ、別の後援会幹部は「大臣になれば周囲の目は厳しくなる。まだ若いので、反省するところは反省して、出直してほしい」。県議の一人も「収支報告書の記載が食い違う問題は言い訳できない。長引けば本人や政権の傷が広がるだけ。若いのだから早く辞めて出直した方がいい」と辞任は仕方ないとの考えだ。父の恵三元首相の時代から地区の後援会幹部を務める中之条町の女性(83)は、問題の観劇会にも参加してきたという。「経産相になった時には、初の女性総理に近づいたとうれしく思った。お金にきれいな人というイメージだったので、すごく残念。しっかり説明してほしい」。(吉浜織恵、井上怜) ■福島支援、あの約束は… 少子化や原発問題など、政策面で小渕氏に期待した人たちの失望も大きい。経済評論家の勝間和代さん(45)は、小渕氏が少子化担当相を務めた2008年、政府の少子化対策プロジェクトのメンバーとして知り合った。「より若い人が活躍できるように」「子どもを産みやすいように」と、淡々と話す姿が印象的だったという。「自分が自分が、という目立ちたがりが政治家には多いが、そういうところがみじんもなかった。社会のためにとの思いがとても強い人だ」と話す。政策ののみ込みも早く、有能な政治家だと感じていた。「今回の問題で辞任するとしたら、残念。くじけず、早く第一線に戻ってきてほしい」。福島県川内村の遠藤雄幸村長は先月、経産相就任後に村を訪れた小渕氏に復興策の支援を求めた。原発事故後に村が誘致した工場を視察し、避難先から戻れない子が多い小学校で児童たちと触れ合った。「住民が安心して暮らせるよう支援したい」と約束した小渕氏。「政治家は『知らなかった』という釈明では済まされない。こんなにも早く辞任の話が持ち上がるなんて、がっかりだ」。(藤生明、岡本進) ■政治資金、絶えぬ疑惑 「政治とカネ」をめぐり閣僚が責任を問われるケースは近年も相次いでいる。06年9月発足の第1次安倍内閣。当時の佐田玄一郎行政改革担当相は、関連の政治団体に事務所の実体がないのに、政治資金収支報告書に、事務所費など約7800万円を支出したと記載しているのが発覚。同年12月に辞任した。翌年1月には松岡利勝農林水産相の資金管理団体が、家賃のいらない議員会館に事務所を置いているのに、年間計数千万円の事務所費や光熱水費を計上していたことが発覚。松岡氏は自殺した。後を継いだ赤城徳彦農水相も、実家を政治団体の主な事務所と届けながら、多額の事務所費などを計上していた問題を追及され、辞任に追い込まれた。次の遠藤武彦農水相は自身が組合長を務める農業共済組合に補助金の不正受給疑惑が浮上。9月に辞任すると、まもなく安倍晋三首相も辞意を表明した。民主党政権下では菅直人内閣の11年に前原誠司外相が外国人から違法な献金を受けたとして辞任。野田佳彦内閣でも12年、田中慶秋法相に外国人が経営する企業からの献金が発覚し、辞任につながった。(大西史晃) *3:http://www.taro.org/2014/10/post-1537.php (衆議院議員 河野太郎 2014年10月17日) 原発の本当のコストはいくらか 小渕経産大臣の政治資金に関して、国会でも質問が飛んでいる。もちろん政治資金の流れにおかしなことがあってはならない。しかし、経産大臣に国会で金の話を質問するならば、もっと突っ込みどころがあるはずだ。10月2日の参議院本会議で小渕大臣は、「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています」と答弁している。 本当にそうなのか。 10月8日の参議院予算委員会で、政府は「原発のコストについてはキロワットアワー当たり8.9円以上となっておりまして、その他の電源に比べて低廉なものと認識をしています」と答弁している。これは福島の事故の費用が5兆8000億円であるとして計算された数字だ。2011年のコスト等検証委員会の計算である。この計算の前提は、福島第一原発の1号機から4号機の4基を除く50基の原発がすべて再稼働され、その後、40年間稼働するというものだ。しかし、実際の福島の事故の費用はこれをはるかに超えている。 立命館大学の大島堅一教授の試算では 損害賠償額 4兆9088億円 賠償対応費用 777億円 除染費用 2兆4800億円 中間貯蔵施設1兆0600億円 事故収束費用2兆1675億円 行政対応費用 3878億円 合計 11兆0819億円 原発の発電コストと経産省が称するものにこの費用を加えたものを、50基の原発が40年で発電する電力量で割ると、キロワットアワーあたりの原発の発電コストは9.4円になる。さらに、これを現実的な試算に置き換えてみる。現在、我が国にある50基の原発がすべて再稼働するものとするが、それぞれの原発は建設から40年経ったところで運転を停止するとして計算すると、11.4円になる(大島堅一教授の試算による)。もちろん福島第一原発の5、6号機は再稼働しないし、日本原電の原子炉も再稼働できないだろう。その他にも再稼働しないものは少なからずあるはずだ。だとすると、原発のコストはさらに高くなる。とてもじゃないが「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています」などとは言えない。小渕経産大臣に、国会で、金の質問をするならば、まず、こっちのほうから質問するべきではないか。 ちなみに 損害賠償額 4兆9088億円 電力消費者負担 賠償対応費用 777億円 電力消費者負担 除染費用 2兆4800億円 支援機構の株の売却益を想定* 中間貯蔵施設1兆0600億円 国民負担 事故収束費用2兆1675億円 電力消費者負担 行政対応費用 3878億円 国民負担 *国が1兆円で買った東電の株を3.5兆円で売却し、その利益2.5兆円を充当する。事故費用のうち、東京電力が自らの利益で負担したのは、災害特別損失の10-12年度の合計額1兆259億円と新総合特別事業計画で積み増した1兆円の合計2兆259億円と原子力損害賠償支援機構への特別負担金だけだという(大島堅一教授による)。ちなみに2013年度までの特別負担金は500億円。 PS(2014.10.21追加):*4のように、小渕氏が自分の事務所のことに関して第三者であるかのように、「これまで気付かなかった」「全体像がわからないので、一から調べてもらうしかない」と言うのなら、小渕氏は、これまで自らの政治活動を自分で意思決定して主体的にやってきたのではないことになる。それは、「監督責任が十分でなかった」のではなく、すべてお膳立てしてもらって活動していたにすぎず、政治家として何をやりたいかの主体性すらないことを意味するため、これが何かの「星」ならば、他の女性議員はすべてそれ以下のようで、誰も納得しないだろう。また、「ワインのことは知っているが、選挙区外の方に配っていると思っていた。調査をしたい」というのも第三者的すぎる。 しかしながら、*5をはじめとして、この件によって「女性は・・」と言う論調が出るのは、男性に変な人がいてもすべての男性が変だとは言われないのと同様、論理的ではなく男性中心社会の女性蔑視だ。 *4:http://mainichi.jp/shimen/news/20141020dde041010068000c.html (毎日新聞 2014年10月20日) 安倍内閣:閣僚ダブル辞任(その1) 自民の星、痛い失点 小渕氏「甘かった」 女性5人を「看板」閣僚に起用し、支持率を保ってきた第2次安倍改造内閣の一角が、大きく崩れた。「すべてが甘かった」。小渕優子経済産業相(40)は自身の政治資金疑惑を説明できず、50日足らずでつまずいた。地元で「うちわ」を配り公職選挙法違反の疑いで告発されていた松島みどり法相(58)も同じ日に辞任し、関係者に衝撃が広がった。小渕氏は午前9時40分すぎ、濃紺のスーツ姿で経産省10階の記者会見室に現れた。カメラのフラッシュを浴び、緊張した表情で時折髪に手をやりながら、指摘された疑惑について現段階での調査内容を説明した。地元の下仁田ネギやこんにゃく、ベビー用品、化粧品……。政治資金で買った数々の「物品」について、「会社や団体が経済活動の中で関係者に経費で社交儀礼をするのと同じ」と述べ、政治活動の経費として認められるものだと強調した。政治団体が開いた支援者向け観劇会については、「年間2000人が参加した」とし、集めた実費を管理する通帳や支援者からの申込用紙のコピーの束を一枚一枚、記者団に示した。「入場料は相当安くしていただいている」などと述べ、集金も確実に行われていたと強調した。しかし、肝心の収支の差額の生じた理由については説明できず、「実際の記載には私も大きな疑問がある」と疑惑を認めた。質疑では、この差額を巡る質問が多く出た。時折言いよどみ、宙をにらんで涙をこらえる場面もあった。開催料の負担については改めて自身の関与を否定したが、「なぜこれまで気付かなかったのか」との質問に一瞬顔をこわばらせ、「長年、子供のころからずっと一緒に過ごしてきた信頼するスタッフに管理してもらってきた」。ひと呼吸を置いて「監督責任が十分でなかったと思っている」と、うつむいた。記者の追及はやまない。自身が代表の資金管理団体も、観劇の開催費用を負担していた事実を突きつけられると「全体像がわからないので、(第三者に)一から調べてもらうしかない」とかわすのがせいいっぱい。自身が女性閣僚の目玉と期待されていた点を聞かれると、「私自身は目玉かどうか分からない」とうなだれた。東日本大震災からの福島県の復興については「議員の一人として次の世代のためにしっかりやりたい」とくやしげな表情を見せた。終了間際に、小渕氏は再度、深々と頭を下げた。「私は一から出直そうと思っている」と述べたが、最後には「もう一度、ゼロから信頼を取り戻すよう、出直します」と言い換え、目をうるませた。 ◇ずさん経理に驚きの声 経済産業相を辞任した小渕優子氏が関係する政治団体の政治資金収支報告書では、つじつまの合わない記載が次々見つかり、自身も記者会見で多額の不記載を認めた。「いまだにこんな会計処理をしているのか。信じられない」。政界からも驚きの声が漏れる。問題となった観劇会は小渕氏の支援者ら約2000人が地元・群馬県から大型バスに乗り、東京・明治座で有名歌手らの公演を見る。昼食時には弁当も配られるという。閣僚経験のあるベテラン議員の元秘書によると、小渕氏以外の国会議員も支援者との交流イベントを開いている。「後援会員に知り合いを誘ってきてもらう。支援者を増やす重要な機会」で「国会見学ツアー」などの名称で地元秘書がバスで引率。観劇会同様、日帰り食事付きが一般的だ。元秘書は「昔は議員側が持ち出すのが普通だったが、第1次安倍内閣(06〜07年)で閣僚が次々と辞めた後は改めたはず。各政党は秘書を集め、会計処理に関する勉強会も開いている。小渕氏側の処理は旧態依然としている。ずさん過ぎて信じられない」と語る。識者の見方も厳しい。日大法学部の岩井奉信教授(政治学)は「普通は帳尻を合わせるはずで、事務所の会計がずさんなのか脇が甘いのか」と首をひねる。「複数の団体に収支を分散させたため、各団体が『全体では合っている』と思っていたのかもしれず、ミスのような感じもする」と推測する。 ◇「選挙区外と思っていた」−−ワイン贈呈問題 記者会見では、小渕氏の地元事務所が選挙区内の男性に対し、小渕氏の顔写真などがラベルに印刷されたワインを贈った問題についても質問が出た。小渕氏は「ワインのことは知っているが、選挙区外の方に配っていると思っていた。調査をしたい」と述べた。また、自身の資金管理団体でベビー用品や下仁田ネギ、親族経営の服飾雑貨店などに支出を計上したことについては「政治活動のための贈答品。選挙区内でお配りしたことはないと承知している」と述べた。 ◇オンブズマン、告発状を提出 公選法違反などで 市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は20日、小渕優子氏に対する公選法違反(利益供与)と政治資金規正法違反の両容疑の告発状を、東京地検に提出した。同オンブズマンは、小渕氏の地元後援会が支援者向け観劇会の費用の一部を肩代わりした疑いがあり、公選法が禁じる有権者への利益供与にあたると指摘。収入と支出を政治資金収支報告書に正しく記載しなかったとしている。 *5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC2000E_Q4A021C1EA2000/ (日経新聞 2014/10/20) 女性閣僚が安倍政権の「地雷」 中国国営メディア論評 【北京=大越匡洋】中国の国営新華社は20日、小渕優子経済産業相、松島みどり法相の辞任について「安倍晋三首相が9月の内閣改造で重視した女性閣僚が政権の『地雷』になっている。安倍政権に重大な打撃となる」と報じた。高市早苗総務相らほかの女性閣僚が靖国神社に参拝したことにも触れ「国内外の世論の疑問と非難を引き起こした」と批判した。欧米メディアも20日、女性2閣僚の辞任を相次いで速報した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は「女性の活用で経済を再生しようとしていた安倍政権に打撃となる」と分析。英国放送協会(BBC)も「小渕氏は将来の首相候補とされるが、疑惑が持ち上がった」指摘した。米紙ワシントン・ポストは日本が消費再増税の是非を判断する時期に差し掛かっていることを踏まえ「2人の辞任は難しい時期にある安倍政権に暗い影を落とした」と報じた。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 09:40 AM | comments (x) | trackback (x) |
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