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2015.1.30 輸入LNG由来ではなく、国内自然エネルギー由来の水素を使うべき ← 国富を流出させ、どうしても化石燃料を輸入したいのは、経産省と商社の怠惰にすぎない
  
2014.12.13日経新聞      2015.1.14西日本新聞     2015.1.3日経新聞    

(1)九電の再生エネ買取制限
 *1-1のように、九電が再生エネルギーの新規契約を中断したことにより、鹿児島県内だけで太陽光・風力発電の新規契約への回答保留が約1万5千件に上り、契約違反で困っている人が多い。これについて、九電は「九州の太陽光発電量は全国の4分の1を占め、他地域より急速に再生エネが加速した。このままでは電力の需給バランスが崩れ、安定供給できなくなる」などと説明したそうだが、一方で、川内原発を再稼働させようとしており、九電の説明には無理がある。

 もちろん、環境・景観・農業などを無視したメガソーラーの乱立は控えるべきだが、これは契約を結んで投資させる前に断らなければならないものであり、口頭の了承であっても契約は成立しており、契約違反には訴訟して損害賠償請求することができる。そのため、被害者は集団訴訟する方法もある。

 また、*1-2のように、九州経済産業局が福岡市で新ルールの説明を行った時も、「ルール変更で採算性が見えなくなった」などの不安や疑問の声が上がったそうだが、一方的なルール変更(契約変更)による損害も損害賠償請求できるし、九電ではなく新電力に電力を販売する方法もある。新電力は電力不足で九電より高く電力を購入するが、再生エネの収益で原発や火力発電の穴埋めなどを行う必要がないため、採算が合うだろう。

 そのため、*1-3のような「あきらめムード」にはなって欲しくないし、「九州では、再生エネ由来の電力が、電力需要を上回りそうなときに『出力抑制』を無制限に行えるように、一方的に契約を変更する」というのは、他の方法がないわけではないため、商取引の信義側に反している。そのため、一方的な契約変更による損害は、契約した事業者や個人の責任ではなく、契約変更した電力会社と国の責任であり、損害賠償請求ができるのだ。また、家庭用を含む全ての太陽光発電に出力抑制を拡大しつつ、安定電力がないから原発を再稼働させるというのは、今の時代、誰が聞いても呆れる。

(2)化石燃料の輸入に固執する日本政府
 *2-1のように、石油元売り大手の東燃ゼネラル石油が高効率の火力発電所を建設し、液化天然ガス(LNG)船でLNGを輸入して、売電や電力小売りにコスト競争力の高い電源を確保するそうだ。しかし、LNGは日本にはメタンハイドレートという形で大量に埋蔵されており、それを使えばLNGは輸入どころか輸出でき、国庫にも税外収入が入る。

 また、(1)の自然エネルギー由来の電力で水を電気分解すれば、水素と酸素がいくらでもできるのに、経産省は、2-2のように、「商業用水素発電所の実用化に向け国内調達だけでは水素が足りない」としてわざわざ化石燃料由来の水素を海外調達するために、来年度予算案に20億円を盛り込んだそうで、これは大変な無駄遣いだ。

 経産省や商社が化石燃料由来のエネルギーを輸入したがるのは、これまで世界で最も高い価格で化石燃料を輸入してきた人員を擁しているからだろうが、高い価格で買うのは誰にでもでき、安い価格で買ったり、高い価格で売ったりすることが難しいのであって、後者の方が国民経済や産業のために役立つのである。そのため、そういう人材は、LNGや水素の輸出部門に移動させるのがよいと考える。

(3)韓国では・・
 *3のように、韓国の現代自動車グループが、韓国南西部の光州を水素バレーに育てる計画を始め、水素と燃料電池車(FCV)で光州を世界トップの地位につけたいそうだ。そして、ディーゼル車100万台をFCVに置き換えれば、年間1兆5000億ウォン(約1600億円)の原油輸入代替効果をもたらし、二酸化炭素(CO2)排出量を年間210万トン減らせるとのことで、こちらの方がまともだ。

 また、2030年の燃料電池市場は世界で400兆ウォン、2040年の燃料電池産業は韓国国内で107兆ウォン、生産誘発効果は約23兆5千億ウォン、雇用効果は17万3298人と見込まれるそうだが、私が最初に言って日本で始まった水素でさえ、日本は外国を見て真似することしかできないとは情けない。そして、この理由こそが、改革すべき岩盤なのである。

(4)政府公用車も燃料電池車と電気自動車にすべき
 そのような中、*4のように、九大は大学の公用車として燃料電池車(FCV)を3月中旬にも導入し、トヨタ自動車の「ミライ」を導入するそうだ。九大が水素エネルギー分野の研究に力を入れているのはGoodだが、政府や地方自治体も燃料電池車や電気自動車の優秀さを知り、普及に先だってインフラの課題を理解し解決するために、公用車は燃料電池車(FCV)か電気自動車に早急に変えるべきである。

<電力会社の急な再生エネ買取制限>
*1-1:http://qbiz.jp/article/47065/1/
(西日本新聞 2014年10月3日) 怒号上がり会場騒然 鹿児島説明会に550人、再生エネ契約中断
 九州電力は2日、再生エネルギーの新規契約を中断したことについて、鹿児島県内の事業者向けの説明会を鹿児島市鴨池新町の県市町村自治会館で開いた。定員の200人を大きく上回る約550人が詰めかけ、九電は急きょ追加の説明会を同市与次郎2丁目の九電鹿児島支社でも開催した。九電によると、鹿児島県内で太陽光・風力発電の新規契約への回答保留は約1万5千件に上る。説明会で九電側は「九州の太陽光発電量は全国の4分の1を占め、他地域より急速に再生エネが加速した。このままでは電力の需給バランスが崩れ、安定供給できなくなる」などと説明。保留した契約が将来どうなるのかについては「なるだけ早く示したい」と述べるにとどめた。参加者からは「時期を示せ」「自己破産したらどうしてくれる」と怒号も上がり、会場は騒然とした。九電は3日も午後1時半から県自治会館で説明会を開く。
◆「老後どうなる」「無責任」
 「このままでは倒産だ」「対応が無責任すぎる」−。鹿児島県での再生エネ新規契約中断の説明会の参加者からは、不安や憤りの声が相次いだ。大崎町の自営業男性(31)は、太陽光発電への設備投資に銀行から1億円を借り入れ、既に土地購入と造成で5千万円を使ったという。「九電の営業担当者の『大丈夫』という言葉を信じて投資したのに…。契約の一律中止は納得できない」と怒りをあらわにした。同様に鹿屋市の会社員男性(59)は、来年の定年に備えて千数百坪の土地を約400万円で山中に購入。九電に個人で売電契約を申し込んでいた。有給休暇を取って説明会に参加したが、九電から納得のいく説明はなく、「年金生活の足しにしようと思っていたのだが…。私の老後はどうなるのか」と漏らした。鹿児島市の不動産会社に勤める男性(33)は、福島第1原発事故後、太陽光発電設備向けの土地の販売業務に当たってきた。「これまで業績は順調だったが、土地が売れなくなると、2、3億円の損害は免れない」とため息をついた。霧島市の電気工事会社の社員の男性(48)は、回答保留になった顧客の申し込みを数十件抱えている。「顧客に説明するため来たが、こんな内容では何の説明もできない。説明会の会場も狭すぎるし、九電は真摯(しんし)に対応する気があるのか」と不信感を募らせた。説明会の質疑応答では、「個別事情は把握していない」などと繰り返す九電の担当者に対し、参加者から「川内原発が再稼働すればますます電気が余るので、大変ですね」と皮肉の声も上がった。

*1-2:http://qbiz.jp/article/54799/1/
(西日本新聞 2015年1月30日) 電力買い取り、新制度に不安 九州経産局が再生エネ説明会
 太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度のルール変更に伴い、九州経済産業局は29日、福岡市で新ルールの説明会を開催した。九州各地から集まった事業者や個人からは「ルール変更で採算性が見えなくなった」など不安や疑問の声が上がった。予定の300人を大幅に上回る500人以上が参加。経済産業省資源エネルギー庁の担当者が、26日から適用された新ルールで九州では、需要を上回りそうなときに電力会社が事業者に発電を止めてもらうなどの「出力抑制」を無制限に行えるようになったことなどを説明した。会場からは「時間制の出力抑制は、1回当たりどれくらいの長さか」「再生エネの接続可能量を定期的に見直すとしているが、どれくらいの期間か」などの質問が続出。これらに対し、同庁担当者は「出力抑制の公正、公平なルールを早期に整備したい」「接続可能量の見直し期間は決まっていないが、1年ごとぐらいになると思う」と答えた。終了後、再生エネ事業を展開する機械メーカー(東京)の担当者は「出力抑制が無制限となるため、事業性の試算ができなくなる。もともと国の制度設計に甘さがあった」と指摘。福岡市の事業者は「今後は、新規計画を進めるのは難しい」との見通しを示した。出力抑制は、出力500キロワット以上の大型設備だけでなく、家庭用を含む全ての太陽光発電に拡大。3月末までに契約した出力10キロワット未満の太陽光発電は対象から外れるが、4月からは新ルールが適用される。住宅用太陽光発電の施工を手掛ける福岡県筑紫野市の事業者は「お客から多くの相談を受けるが、説明会ではよく分からなかった」と困惑した表情。「2月4日にも九州電力の説明会があるので、そちらにも参加して対応を考える」と述べた。再生エネの買い取り制度について国は、価格改定を現在の1年ごとから半年ごとに変更するなどの検討を進めている。事業者や個人にとって、いかに採算予見性などを示せるかが、今後の普及の鍵となりそうだ。

*1-3:http://qbiz.jp/article/54799/1/
(西日本新聞 2015年1月30日) 再エネ事業化、あきらめムード 福岡、新制度説明会に500人超
 太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度のルール変更に伴い、九州経済産業局は29日、福岡市で新ルールの説明会を開催した。九州各地から集まった事業者や個人からは「ルール変更で採算性が見えなくなった」など不安や疑問の声が上がった。予定の300人を大幅に上回る500人以上が参加。経済産業省資源エネルギー庁の担当者が、26日から適用された新ルールで九州では、需要を上回りそうなときに電力会社が事業者に発電を止めてもらうなどの「出力抑制」を無制限に行えるようになったことなどを説明した。会場からは「時間制の出力抑制は、1回当たりどれくらいの長さか」「再生エネの接続可能量を定期的に見直すとしているが、どれくらいの期間か」などの質問が続出。これらに対し、同庁担当者は「出力抑制の公正、公平なルールを早期に整備したい」「接続可能量の見直し期間は決まっていないが、1年ごとぐらいになると思う」と答えた。終了後、再生エネ事業を展開する機械メーカー(東京)の担当者は「出力抑制が無制限となるため、事業性の試算ができなくなる。もともと国の制度設計に甘さがあった」と指摘。福岡市の事業者は「今後は、新規計画を進めるのは難しい」との見通しを示した。出力抑制は、出力500キロワット以上の大型設備だけでなく、家庭用を含む全ての太陽光発電に拡大。3月末までに契約した出力10キロワット未満の太陽光発電は対象から外れるが、4月からは新ルールが適用される。住宅用太陽光発電の施工を手掛ける福岡県筑紫野市の事業者は「お客から多くの相談を受けるが、説明会ではよく分からなかった」と困惑した表情。「2月4日にも九州電力の説明会があるので、そちらにも参加して対応を考える」と述べた。再生エネの買い取り制度について国は、価格改定を現在の1年ごとから半年ごとに変更するなどの検討を進めている。事業者や個人にとって、いかに採算予見性などを示せるかが、今後の普及の鍵となりそうだ。

<化石燃料の輸入と原発に固執する日本政府>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150129&ng=DGKKZO82516690Y5A120C1TJ2000 (日経新聞 2015.1.29) 東燃ゼネがLNG火力、最大200万キロワット、静岡ガスと連携 電力小売りにらむ
 石油元売り大手の東燃ゼネラル石油は静岡市に高効率の火力発電所を建設する。液化天然ガス(LNG)を燃料とし最大200万キロワットの発電能力を備える。投資額は1500億~2千億円で、稼働は2021年以降の予定。静岡ガスなどとの連携を見込む。エネルギー事業の多角化を打ち出した東燃ゼネが大型火力発電設備を持つのは初めて。電力会社への売電や電力小売りに向けコスト競争力の高い電源を確保する。建設に必要な環境アセスメント(影響評価)に向け、前段階となる環境配慮書を28日に経済産業省と静岡県、静岡市に提出した。静岡市の清水港近くにある東燃ゼネの敷地内に建設する。同所には東燃ゼネの油槽所や、静ガスと共同出資するLNG貯蔵施設がある。LNG船を受け入れる桟橋など発電所運営に必要なインフラがそろっている。燃料費は石炭の方が安いが設備投資を抑えられる。発電はまず100万キロワット規模で始め、需要に応じ200万キロワットまで拡大できるように設計する。石油元売り、都市ガス大手など異業種が建設を計画している発電所は数十万~100万キロワット級が多く、200万キロワットが実現すれば最大級になる。電気は東京電力や中部電力への売電に加え、一部は16年に全面自由化される小売りに回すことも視野に入れる。東燃ゼネはエコカーの普及でガソリンなどの需要が減るなか電力事業を新たな収益源に育てる考えだ。出遅れ気味だったエネルギー事業の多角化では、今回のLNG火力が本格的な最初のプロジェクトとなる。発電事業には、電力小売り参入を表明している静ガスのほか、東電や三井物産も参加を検討している。東電は域外での電力販売に力を入れており、域外に電源を確保できるメリットがある。三井物産はLNG取引量を増やせる。コンバインドサイクル(複合発電)と呼ぶ高効率の火力発電方式を採用する。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて効率よく電気をつくる。二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質の排出も抑えられる。建設資金は事業が生み出すキャッシュフローを返済原資とするプロジェクトファイナンスで調達する考えだ。大手銀のほか地元地銀や県などとも調整している。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150129&ng=DGKKASDF28H0T_Y5A120C1EE8000 (日経新聞 2015.1.29)
経済水素発電の実用化を支援 経産省、企業の調達費補助
 経済産業省は、商業用水素発電所の実用化に向け、企業支援に乗り出す。まず水素の海外調達などの取り組みにかかる費用の3分の2まで補助する制度を創設。来年度予算案に20億円を盛り込んだ。今後は水素発電の実証設備や安全規制などの整備を進める考えだ。水素は発電時に二酸化炭素を排出しないため注目されている。2030年以降、水素による電気が家庭にとどく環境を整える。工場などが自家発電で水素を使うケースはあるが、商業用の大型水素発電所はまだない。経産省は昨年10月、実用化に向けた有識者会議を立ち上げた。今年度中に水素発電の導入に向けた経済面や制度面の課題を整理し、政策に生かす。実現には、水素の流通量が少ないことが課題だ。経産省によると、今は1立方メートル当たり20円から30円台後半を中心に取引され、市場への流通量は年間3億立方メートルほど。100万キロワット級の水素発電所1基で年間約24億立方メートルの水素が必要とみられ、国内調達だけでは水素が足りない。

<韓国では>
*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150130&ng=DGKKZO82568680Z20C15A1FFE000 (日経新聞 2015.1.30) 現代自会長の「水素愛」 光州で産業集積進むか
 現代自動車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長の「水素愛」が、韓国南西部の光州で花開く。(政府の新産業育成施設の)光州創造経済革新センターが27日開かれ、光州を水素バレーに育てる計画が始まった。鄭会長は昨年、スポーツ多目的車(SUV)「ツーソン」がベースの燃料電池車(FCV)を披露しただけに、光州が世界トップの地位につける役割を果たすことが期待される。これは鄭会長が強調してきた「水素自動車の経済学」から始まった戦略に沿ったものだ。韓国自動車産業研究所によると、ディーゼル車100万台をFCVに置き換えた場合、年間1兆5000億ウォン(約1600億円)の原油輸入代替効果をもたらす。FCV100万台の運用で、二酸化炭素(CO2)の排出量は年間210万トンほど減らせる。日経BPクリーンテック研究所によると、2030年の世界の燃料電池市場は400兆ウォン。ブ・キョンジン・ソウル大教授は「40年の燃料電池産業は国内で107兆ウォンに達し、生産誘発効果は約23兆5千億ウォン、雇用効果は17万3298人と見込まれる」と説明する。光州のインフラは魅力的だ。現代自の関係者は「水素の生産基地である麗水産業団地が近く、光州科学技術院、全南大学など研究施設が充実している」と指摘。関連企業も多く、産学連携でFCV関連技術の競争力を引き上げる計画を示す。だが現代自グループは水素バレー構想には慎重だ。構想は光州圏の議員らが作ったもので、20年までに総額8347億ウォンを投じ、光州を自動車100万台生産都市にするという内容だ。現代自グループは光州に40万台を追加生産できる設備を整える必要があるが、人件費が中国の3倍かかり、対応できないとの立場を示している。

<政府公用車も燃料電池車と電気自動車にすべき>
*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150129&ng=DGKKZO82499970Y5A120C1TCQ000 (日経新聞 2015.1.29) 九州大、公用車に「ミライ」導入
 九州大学は大学の公用車として燃料電池車(FCV)を3月中旬にも導入すると発表した。トヨタ自動車の「ミライ」を導入する。FCVは燃料電池の開発を含む研究に活用したり、学長が使用したりする。イベントなどで貸し出して住民への情報発信にも利用する。九大は現在、移転を進める伊都キャンパス(福岡市西区、福岡県糸島市)内で水素エネルギー分野の研究に力を入れている。キャンパス内ではFCVの燃料となる水素を製造、貯蔵する水素ステーションを備え、水素を電気に変える燃料電池を研究している。


PS(2015年1月31日追加):*5-1に、2030年時点の電源構成比率(エネルギーミックス)について、有識者会議の坂根委員長の発言が掲載されているが、「①再生エネはコスト高」「②理想と現実は分けるべき」「③温暖化対策の観点から原発は20%台必要」「④再生エネは出力が天候に左右される欠点がある」「⑤再生エネの買い取り価格も電気料金に上乗せされる」「⑥発電実績(13年度で11%)や国民負担のバランスを勘案すると、比率は20%台前半が現実的」などとして、「⑦新たなエネルギーミックスでも原発を一定水準確保する」と結論づけている。
 しかし、①④は、再エネが導入されてから10年程度で機器や蓄電池・水素燃料などが進歩し、*5-2のように、建設してから50年以上経ても重要なことが何一つ解決していない原発とは比較にならないほど解決している。また、③は環境の視点で人にとって最も悪いのは原発由来の放射性物質であることを意図的に隠蔽しており、⑤については輸入化石燃料はすこぶる高い上、原発こそ最も国民負担の多いエネルギーだという証明済の事実を無視している。さらに、②のように「理想と現実は違う」として何でも妥協して短期的視野で安きに流れるのをよいこととするのが文系の駄目なところであり、こういう意識に基づいた判断がせっかくの先進技術を殺して日本経済を停滞させているのである。
 また、⑥の発電実績は、太陽光発電は原発とは異なり、受け入れ電力会社が買取拒否するほど短期間に伸びたことで有用性が証明済であり、このように、⑦の結論を導くために再生エネへの言いがかりや論理の不備・こじつけが多すぎるのは、見兼ねるものがある。

     
 2014.1.19            2015.1.31西日本新聞         2014.7.8京都新聞  
 西日本新聞
*5-1:http://qbiz.jp/article/54890/1/
(西日本新聞 2015年1月31日) どうなるエネルギーミックス 原発と再生エネが焦点
 経済産業省は30日、有識者による「長期エネルギー需給見通し小委員会」(委員長・坂根正弘コマツ相談役)の初会合を開き、2030年時点の電源構成比率(エネルギーミックス)に関する議論を始めた。温暖化対策がテーマになるとみられる6月のドイツ・サミットまでに結論をまとめたい考え。委員会は再生可能エネルギーや原発、火力の発電コストを再検証し、安定供給や安全性、自給率、環境への適合性などを踏まえ最適な電源構成を決める。坂根委員長は「まずは省エネと再生エネをどこまで導入できるか、徹底的に議論したい」と述べた。会合では再生エネについて「エネルギーの自給率向上や温暖化対策につながる」と導入拡大を求める意見が出た一方で、「再生エネはコスト増につながる。中小企業は電気料金値上げであえいでおり、理想と現実を分けて考えるべきだ」と慎重な声も相次いだ。
   ■    ■
 経済産業省が30日に始めた電源構成比率(エネルギーミックス)の議論は、東京電力福島第1原発事故や環境問題などを踏まえ、原発と再生可能エネルギーをどう位置付けるのかが最大の焦点だ。論点をQ&Aで整理する。
 Q エネルギーミックスとは。
 A 国民生活や企業活動に不可欠な電力の需要を、どう賄うかを示す重要な指標だ。経済性や環境性
   などを勘案して原子力、火力、太陽光などの再生可能エネルギーの配分を決める。1960年代から
   3〜5年ごとに見直し、2000年代以降はエネルギー基本計画に合わせて策定している。政府は
   昨年4月に新しい計画を閣議決定したが、その際は電源構成比率は盛り込まなかった。前回は
   民主党政権時代の10年に示されており、5年ぶりの見直しになる。
 Q 注目点は。
 A 原発の位置付けになる。前回は20年後(2030年)の原発比率を約50%とした。原発は二酸化炭
   素(CO2)を排出せず環境に優しく、発電コストも低いという考え方だ。当時(09年度実績)の原発
   の発電比率は29%。2倍近くに増えることになり、九州電力が川内原発(鹿児島県薩摩川内市)に
   3号機建設計画を進めるなど、原発拡大の機運が高まった。それが、11年3月の福島第1原発事
   故で一変。民主党政権は12年に原発ゼロ方針を打ち出した。ところが、政権を奪回した自民党は
   原発活用路線に戻し、昨年4月のエネルギー基本計画に原発を「重要なベースロード電源」と明記
   した。新たなエネルギーミックスでも原発を一定水準確保する方針だ。
 Q 政府は、原発の運転期間を原則40年としている。原発の比率は自然に下がっていくのでは。
 A ルールを厳格に適用すると、48基ある原発は30年に18基になる。建設が進む2基が稼働すれ
   ば発電比率は15%程度になる。ただ、原発は条件を満たせば60年まで運転を延長できる。
   政府は「原発依存度を可能な限り低減する」としているが、温暖化対策の観点から20%台は必要
   との声がある。
 Q 再生エネはどうなりそうか。
 A 国民の原発不信は根強く、政府は前回の「約20%」を上回る水準とする方針だ。再生エネは欧州
   などで導入が進むが、出力が天候に左右されるなどの欠点もある。増やすには広域で電力を融通
   するための連系線増強や補助電源の確保が必要で、多額のコストがかかる。コストも、再生エネ
   の買い取り価格も電気料金に上乗せされる。再生エネの発電実績(13年度で11%)や国民負担
   のバランスを勘案すると、比率は20%台前半が現実的なところとみられている。

*5-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015012801001163.html
(東京新聞 2015年1月28日) もんじゅ、未点検機器約7千点に 報告書で不備
 日本原子力研究開発機構は28日、事実上の運転禁止命令が出ている高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、昨年12月に原子力規制委員会に提出した機器保全計画の見直し報告書に不備があり、未点検機器が約500点増え、7千点近くに上ると明らかにした。敦賀市役所で記者会見した機構幹部は「確認が甘かった」と謝罪した。機構によると、不備があったのは禁止命令解除に必要な報告書で、保安規定の変更申請とともに昨年12月、規制委に提出した。その後確認作業を進めると、1次系ポンプに関する機器などが未点検の数に含まれていなかったことが分かった。

| 資源・エネルギー::2014.10~2015.4 | 10:44 PM | comments (x) | trackback (x) |

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