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2016.7.28 医療・介護に関する政府・行政・メディアが作りあげた誤った論理を鵜呑みにしたのが、植松容疑者が障害者を刺殺した動機だろう (2016年7月30、31日、2016年9月16、23、25日に追加あり)
(1)精神障害者差別の根源は刑法39条であること
 厚労省は、*1-3のように、相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を受け、再発防止のために措置入院のあり方を見直す有識者会議を設置し、措置入院を解除した患者を継続的に支援(?)する体制を作るとのことだ。そして、その内容は、入院解除の判断や解除後の警察との連携などのフォローアップ体制に関する法改正やガイドラインづくりで、対応がいやに速やかである。

 しかし、忘れてならないのは、精神病院は精神障害者を治療する場所であって拘置所でも監獄でもないため、大量殺人(テロ?)に手を染めそうな人を精神障害者として精神科医が監視するのは無理があるということだ。アメリカでは、精神障害者のふりをして罪を免れて精神病院に行った人の話が、1975年に「カッコーの巣の上で」という映画になっており、深い映画であるため見ることをお勧めする。

 また、日本で悪質な殺人事件が起こるたびに、「犯人は精神障害者だった」とされる理由は、*1-4のように、刑法が39条で「心神喪失者の行為は、罰しない」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と定めており、罰の軽減を図って犯罪時に「心神喪失だった」「心神耗弱だった」とワンパターンの弁護を行うからである。もちろん、人を殺す時の精神状態は正常ではないのかもしれないが、それをすべて責任能力がないため罰っせられないとする心神喪失や罪が軽減される心神耗弱に当たるとすれば、罰せられる人はいなくなる。

 そして、このような理由で精神障害者と認定された人を除けば、実際に精神障害者が殺人を犯す割合は、一般の人が殺人を犯す割合より低いと言われている。

 にもかかわらず、これらの対応の結果、*1-5のように、「刑法39条の精神疾患が有る人は、人を殺しても罪に問われないと言う法律、これって可笑しくない?」「つまり獣に罰を与えても無駄でしょ!? って理屈な訳?」「刑罰が人以下で人権だけ主張されてもねぇ・・・」というイメージが一般の人について、刑法39条とメディアの報道の仕方が、本当の精神障害者に対する言われなき差別を作っているのである。

 また、その答えが、「もう大丈夫です。心神喪失者等医療観察法が制定されましたから」「人の形をした人ならざる者に人権は不要です。その事を国も認めました」「これで事実上一生監視下に置かれる事と成ります」というのもふるっている。

(2)それでは、植松容疑者の障害者刺殺の動機は何か
 障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人を刺殺し、26人にけがをさせた事件で、*1-1のように、植松容疑者(26)の犯行は、「精神障害か」「違法薬物のせいか」とされている。

 しかし、植松容疑者は、2016年2月15日、衆議院議長公邸を訪ね、土下座で頼み込んだ上で大島理森議長にあてた今回の事件を示唆する内容の手紙を渡し、その手紙には「私は障害者総勢470名を抹殺することができる」と記していた。さらに、*1-2のように、「意思疎通ができない人たちをナイフで刺した」「障害者なんていなくなればいい」とも供述しており、殺人後の現在は、「遺族の方には、突然のお別れをさせるようになってしまって心から謝罪したい」と話しているが、被害者本人への謝罪は全くない。つまり、普段から障害者を自分と同じ人間と見ておらず、この世に存在してはならないもののように考えていた確信犯であることがわかる。

 「車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在する」「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」「重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があればいつでも実行できる」などとも述べているが、これらは、植松容疑者の信念であり、大麻による薬物中毒や精神異常が原因ではないように見える。

(3)では、植松容疑者の信念はどうして作られたのか
 行政・メディアは、*2-1のように、「社会保障を軸に『岩盤歳出』に切り込め」として、①インフレ政策をとり ②消費税率を引き上げ ③高齢者に対する社会保障を中心とする歳出の削減・抑制をすべきだと連日訴えている。

 そして、その理由を、高齢化で膨らむ一方の社会保障費を“効率化”するため、ゆとりのある高齢者の自己負担を増やし給付を真に困っている高齢者に重点化して、子ども・子育て支援は充実するとしているが、このような政策を進めた結果、実際には年金生活者は財産権を侵害されて生活に困窮している人が多く、介護殺人も起こった。

 そのため、*2-1の論調の人は、植松容疑者のように刃物で高齢者を手にかけることはなかったが、間接的に殺人や泥棒をしたことになり、「社会保障費を“効率化”することだけが重要だ」というメッセージを流し続けてきた人は、若者に誤りを擦りこみ続けたのである。

 なお、*2-1に、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を待たずに、政府は17年度予算から歳出抑制の具体策を打ち出していくべきだとも書かれている。しかし、政府が診療報酬や介護報酬をカットし続けたことは、これらのサービスに従事している人たちに過度の労働を強いるなど多くの問題を引き起こしているとともに、本物のニーズ(需要)を削ってGDPを下げているのだ。

 また、*2-2のように、経産省は企業と連携して会社員の健康情報のデータベース化に向けた取り組みを強化するそうだが、最近の過度のデータ収集ではプライバシーの侵害になりそうである。

 さらに、*2-3のように、厚労省は、2018年度の介護保険制度改正に向けた本格的論議を開始し、日常生活で部分的な介助が必要な「要介護1、2」の認定者に対する掃除や調理、買い物など生活援助サービスの給付を減らす予定とのことだが、要介護度の低い人が自宅療養できるためには支援が必要であるため、生活援助サービスのカットは介護が必要な人やそれを支える家族の負担を重くする。

 最後に、介護保険制度ができた当時、年3兆6千億円だった介護給付費は現在10兆円を超えて、今後10年間は団塊の世代の高齢化が進んで給付費はさらに増大するとのことだが、それは当たり前であり、あらかじめわかっていたことだ。そして、多くの人が介護保険料を支払っていない現在、働く人すべてが介護保険料を支払う介護保険制度にすれば、それは解決できる筈である。

<“無駄”削減が本当の動機ではないのか>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12483228.html
(朝日新聞 2016年7月28日) 手すりに複数職員縛る 議長宛て手紙通り 相模原19人刺殺
 相模原市緑区千木良(ちぎら)の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡し、26人がけがをした事件で、殺人などの容疑で送検された植松聖(さとし)容疑者(26)が、5人前後の職員を結束バンドで縛りつけたうえで入所者を襲っていたことが神奈川県警への取材でわかった。2月に衆院議長に宛てた手紙に記された「作戦」通りの内容で、県警は計画的に事件を起こしたとみて調べている。
■自宅に違法薬物か
 県警は27日、園近くの植松容疑者宅を捜索。植物片とみられるものが付着した容器を押収した。危険ドラッグや大麻などの違法薬物の疑いがあるとみて調べる。捜索では、事件について記したメモもあった。県警や県関係者によると、東棟1階から侵入した植松容疑者は、寝ていた入所者らを次々に刺した後に西棟1階に移動。居合わせた職員2人の指や腕をプラスチック製の結束バンドで縛り、手すりにつないで動けない状態にした。縛られた職員の一人は「殺されると思い、怖かった」と話しているという。ほかにも3人前後が結束バンドで縛られた。植松容疑者はさらに西棟の2階へ移動。居室を回り、約50分間で計45人を襲ったとみられている。植松容疑者は2月、大島理森衆院議長に宛てた手紙の中で、障害者施設で多数を殺害する「作戦内容」として、「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡をとれなくします」「職員は傷つけず、速やかに作戦を実行します」などと記していた。また、司法解剖の結果、遺体の致命傷は首や腹、背中など上半身に集中していた。施設内では血のついた2本の包丁が押収され、凶器とみられる刃物はこれで計5本となった。植松容疑者は「突然のお別れをさせるようになってしまって遺族の方には心から謝罪したい」と話しているという。園を運営する社会福祉法人かながわ共同会は27日に記者会見し、米山勝彦理事長は「尊い生命が失われ、強い怒り、憤り、悲しみを禁じ得ません。19人の方々が亡くなり、負傷者が出たことを心よりおわび申し上げます」と述べた。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12481359.html (朝日新聞 2016年7月27日) 重度障害者、標的か 相模原19人刺殺、容疑者「意思疎通できぬ人刺した」
 相模原市緑区千木良(ちぎら)の障害者施設「津久井やまゆり園」で26日未明、刃物を持った男が入所者らを襲い、19人が死亡、26人がけがをした事件で、神奈川県警に殺人未遂などの容疑で逮捕された元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)が、「意思の疎通ができない人たちをナイフで刺した」と供述していることが県警への取材でわかった。県警は植松容疑者が身勝手な動機から、重度の障害者を狙って事件を起こしたとみて調べる。県警は27日、容疑を殺人に切り替え、横浜地検に送検する。警察庁によると、平成元(1989)年以降、最も死者の数が多い殺人事件となった。消防や県などによると、亡くなったのはいずれも入所者で、41~67歳の男性9人と、19~70歳の女性10人。けが人のうち、重傷者が13人という。けが人には職員2人も含まれていた。植松容疑者の逮捕容疑は、26日午前2時ごろ、同園で入所者の女性(19)を刺して殺害しようとしたというもの。県警の調べに対して容疑を認め、「障害者なんていなくなればいい」とも話しているという。植松容疑者は東居住棟の1階東側の窓をハンマーで割って施設に侵入し、結束バンドを使って施設職員を拘束。所持していた包丁やナイフを使い、次々に入所者を刺したという。津久井署には午前3時ごろ1人で出頭。持参したかばんには、血が付いた刃物3本が入っていた。また、乗ってきた車の後部座席からは、少量の血液が付いた結束バンドも見つかった。同園は県が設置し、指定管理者である社会福祉法人かながわ共同会が運営。神奈川県北西部にあり、東京都や山梨県との境に近い。県などによると、知的障害者ら149人が長期で入所中。敷地は3万890平方メートル、建物は延べ床面積約1万1900平方メートル。2階建ての居住棟が東西に2棟あり、20人ずつが「ホーム」と呼ばれるエリアに分かれて暮らしていた。
■2月に施設退職
 捜査関係者によると、植松容疑者は今年2月15日、衆院議長公邸を訪ね、土下座で頼み込んだうえで大島理森議長にあてた手紙を渡していた。手紙は「私は障害者総勢470名を抹殺することができる」として、今回の事件を示唆するかのような内容だった。手紙は「標的」にやまゆり園を含む2施設を挙げ、「作戦」として、夜間に事件を起こすことや結束バンドで職員の動きを封じること、事件後は自首することなどを記していた。いずれも事件時の実際の行動と同様の内容だ。手紙では障害者について「車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在」するとし、「私の目標は(複数の障害がある)重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」などと自分勝手な考えを示していた。神奈川県や相模原市によると、植松容疑者は2012年12月から同園に勤務していたが、今年2月18日、園の関係者に「重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があれば、いつでも実行できる」などと話したため、話し合ったうえで19日に退職願を提出してもらった。市は精神保健福祉法に基づいて植松容疑者を措置入院させた。入院中には植松容疑者の尿と血液の検査から大麻使用が判明。その後、症状が改善されたとして、家族と同居することを条件に、3月2日に医師の判断で退院させていたという。退院を受け、県警のアドバイスで4月、同園の防犯カメラが16台増設されたという。
■「命の重さに思いを」障害者団体
 知的障害のある当事者と家族らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」は26日夜、会のホームページで声明を公表した。「職員体制の薄い時間帯を突き、抵抗できない知的障害のある人を狙った計画的かつ凶悪残忍な犯行であり、到底許すことはできません」と激しい憤りを表明している。さらに「このような事件が二度と起きないよう、事件の背景を徹底的に究明することが必要」と指摘。被害者や遺族・家族、入所者に対する十分なケアを求め、「早期に対応することと中長期に対応することを分けて迅速に行いつつ、深く議論をして今後の教訓にしてください」と再発防止策の検討を要求した。その上で「今回の事件を機に、障害のある人一人ひとりの命の重さに思いを馳(は)せてほしい」と国民に訴えた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12483220.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2016年7月28日) 措置入院、あり方検討 厚労省、相模原19人刺殺受け
 相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を受けて、厚生労働省は、再発防止に向けて措置入院のあり方を見直す有識者会議を8月にも設置する調整に入った。措置入院を解除した患者に対し、継続的に支援する体制づくりが課題となる。措置入院は精神保健福祉法に基づき、自分や他人を傷つける恐れがある場合に都道府県知事らが患者本人の同意なしに入院させられる仕組み。植松聖容疑者は2月に緊急で措置入院し、3月に退院した。厚労省は措置入院解除後の植松容疑者の行動や解除の判断のあり方、警察との連携などの調査に着手。現状では「退院後のフォローアップ体制」がないことから、有識者会議で検討を進め、必要に応じて法改正やガイドラインづくりを行う考えだ。塩崎恭久厚労相は27日に事件現場を視察後、記者団に「措置入院後の十分なフォローアップができていなかったという指摘がある。こういった点もよく考えていかなければならない」と述べた。

*1-4:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html 刑法 (抜粋)
(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。
2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

*1-5:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1354030598
刑法39条(精神疾患が有る人は、人を殺しても罪に問われないと言う法律)
Q:これって可笑しくない?
  補足つまり獣に罰を与えても無駄でしょ!?って理屈な訳?
  刑罰が人以下で人権だけ主張されてもねぇ・・・
A:もう大丈夫です。心神喪失者等医療観察法が制定されましたから。http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/index.html
  人の形をした人ならざる者に人権は不要です。その事を国も認めました。これで事実上一生監視下に置かれる事と成ります。以前は不起訴処分となり、精神保健法により慣例として措置入院されていました。しかもたった1人の精神科医の判断で退院出来てしまうのです。一般の病院ですから、うつ病になって入院したら大量殺人の異常者が隣の部屋と言う事もあり得ます。医療観察法が有る今は、裁判の替わりに検察と弁護士と裁判官と精神科医による審査、検察と弁護士と裁判官と精神科医による審査で退院可。専用の精神科病院に強制入院ですから、大量殺人の異常者が隣の部屋と言う事もありません。

<高齢者の医療・介護について>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160727&ng=DGKKZO05306920X20C16A7EA1000 (日経新聞社説 2016.7.27) 社会保障を軸に「岩盤歳出」に切り込め
 日本の財政は先進国で最悪の状態にある。この立て直しには、具体的な計画が必要だ。安倍晋三政権はその点を忘れてはならない。安倍政権は消費税率を10%に引き上げる時期について、2017年4月から19年10月へと再び延期することを決めた。これを踏まえて内閣府は中長期の経済財政に関する試算をまとめた。名目経済成長率が3%以上で推移する経済再生ケースをみると、20年度時点で国と地方をあわせた基礎的財政収支は5.5兆円の赤字になる。名目成長率が1%台半ば程度の現実的なケースだと、9.2兆円の赤字になるという。いずれの場合も今年1月時点の試算よりも赤字幅は縮小する。消費増税を再延期するのに数字が改善するのは、17年度予算での歳出抑制を織り込んだからだ。前提の置き方しだいで試算値はかわるので、幅を持ってみる必要はある。それでも20年度に基礎的財政収支を黒字にするという目標を達成するハードルが高いことが改めて浮き彫りになった。名目成長率が高くなれば税収増が期待できる。0%台にとどまっている日本の潜在成長率を高めるための構造改革は、財政健全化の面からみても不可欠だ。同時に、政権は歳出の削減・抑制から逃げてはならない。消費増税を再延期するのであればなおのこと、長年手つかずの「岩盤歳出」に切り込んでほしい。大事なのは、高齢化で膨らむ一方の社会保障費を効率化する視点だ。医療や介護では、所得や資産にゆとりのある高齢者の自己負担を増やす方向は避けられない。給付は真に困っている人に重点化し、子ども・子育て支援は充実する。そんなメリハリのある改革が急務だ。18年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を待たずに、政府は17年度予算から歳出抑制の具体策を打ち出していくべきだ。地方財政や公共事業費も聖域を設けず、厳しく見直してほしい。政府の経済財政諮問会議の民間議員は、補正予算などに頼らず民需主導で成長できれば、20年度時点の基礎的財政赤字を1兆円未満に縮小できるとの見方を示した。しかし、楽観的な経済想定を前提に中長期の財政健全化計画をたてるのは危うい。いつまでに、何をやり、どの程度、財政収支を改善するか。堅実で具体的な計画を固めなくてはならない。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H07_Y6A620C1PP8000/
(日経新聞 2016/6/26) 経産省、会社員の健康情報収集 医療費削減狙う
 経済産業省は企業と連携し、会社員の健康情報のデータベース化に向けた取り組みを強化する。7月から1140人の糖尿病に関する情報をデータベース化し、2017年以降は高脂血症や高血圧にも対象を広げる。取り組みにはトヨタ自動車や三菱地所、NTTデータ、テルモなど大手企業や医療機関が参加する。7月から各社の糖尿病軽症患者計760人、予備軍計380人全員から同意を取り、糖尿病のデータを集める。ウエアラブル端末で日々の体重や歩数を記録し、糖尿病の指標となる「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」も職場で計測する。運動不足や体重増加が目立つ社員を、自動的に抽出して産業医が指導。健康保険組合の負担や国の医療費の削減につなげる。データベースは情報を匿名化したうえで、研究者にも活用してもらえるようにする。17年以降は、高脂血症と高血圧の患者も対象に加え、生活習慣病全般のデータを集められるようにする。経産省は関連費用を来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。官公庁が集まる東京・霞が関でも同様の取り組みを進める。今夏以降に、経産省職員から糖尿病の軽症患者数十人を選び、ウエアラブル端末でデータを計測。その後は、厚生労働省など他省庁にも協力をあおいで対象を拡大する。

*2-3:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0068891.html
(北海道新聞 2016/7/25) 軽度者の介護 暮らしを守れる制度に
 要介護度の低い人は、今の暮らしを守り続けられるのだろうか。そう心配する声すら出ている。厚生労働省の社会保障審議会は、2018年度の介護保険制度改正に向けた本格的論議を開始した。3年に1度の見直しで、年内の取りまとめを目指している。焦点は、日常生活で部分的な介助が必要な「要介護1、2」の認定者に対するサービスの扱いだ。政府は社会保障費抑制を狙いに、掃除や調理、買い物など生活援助サービスの給付を減らし、車いすなど福祉用具の貸与も自己負担化する方向だ。そうなれば、介護が必要な人や支える家族の生活が大きく揺らぎかねない。介護に当たる家族の負担が重くなれば、政府が掲げる「介護離職ゼロ」にも逆行する。制度改正に当たっては、老後の安心を何よりも重視すべきだ。審議会にまず求めたいのは、過去の見直しについての検証だ。前回の見直しでは、要介護より軽度の「要支援」認定者を介護保険の対象から外し、ボランティアなども活用した市町村事業に移行することを決めた。現在はその移行途中だが、当初からサービスも担う受け皿が不足するとの見方があり、実際にまだ移行できていない市町村が少なくない。要支援者の状況を含めた分析が欠かせない。一方、今回の改正で心配なのは、「要介護1、2」認定者向けのサービスを縮小したり保険対象外にした場合の影響だ。負担の重さから利用をためらい、体調が維持できなくなれば、要介護度が重くなって結果的に介護給付費を押し上げかねない。それでは本末転倒だ。超高齢社会の急速な進展によって、介護保険制度の維持が厳しくなっているのは確かだろう。制度ができた当時、年3兆6千億円だった介護給付費は現在、10兆円を超えている。その上、今後10年間は団塊の世代の高齢化が進み、給付費はさらに増大する。できるだけ無駄をなくすことは必要だ。しかし、安心してサービスを使えないようでは制度の信頼性が薄れる。利用者の経済状況に応じた負担割合の細分化など、弱者にしわ寄せがこないような工夫も視野に入れるべきだろう。小手先の手直しでは対応できなくなりつつある現実も、直視しなければならない。制度の設計を根本的に見直す時期に来ているのではないか。


PS(2016.7.30追加):上のほか、2013年12月6日に成立し、2014年12月10日から施行されている特定秘密保護法も、*3の日本精神神経学会(専門家集団)の見解のとおり、精神障害者を見当違いに差別する法律である。そのため、偏見と差別に満ちた「らい予防法」の1996年廃止後、この特定秘密保護法が衆参両院を通って成立・施行されたことに呆れるが、何でも決める政治がよいわけではない。

*3:http://aichi-hkn.jp/system/140516-162235.html (日本精神神経学会2014年3月15日発表 《一部抜粋》) 特定秘密保護法における適性評価制度に反対する見解
(一)精神疾患、精神障害に対する偏見、差別を助長し、患者、精神障害者が安心して
   医療・福祉を受ける基本的人権を侵害する。
   内閣官房による逐条解説によれば、次のように記されている。「精神疾患により
   意識の混濁・喪失等が生じたり、薬物依存・アルコール依存症が症状に見られたり
   するという事実は、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれ
   ないことを示唆していることから、こうした事実が見受けられる者には、本人に
   その意図がなくても特別秘密を漏らしてしまうおそれがあると評価しうると考えられ
   る。」ここでは、神経疾患であるてんかんや意識障害に関する事柄が精神疾患の
   問題として述べられるという全く見当違いな記述がなされている。このような杜撰な
   認識で法が成立し、かつ、それによって調査されるなどということは許されること
   ではない。なによりも、精神疾患患者が「自己を律して行動する能力が十分でなく」
   「特別秘密を漏らしてしまうおそれがある」とすること自体が、精神障害者に対する
   差別にほかならない。さらに、精神障害者に対する「何をするかわからない者」と
   いう偏見を利用し、不気味さを強調して秘密保護の必要をあおり立て、秘密保全に
   係わる国民統制のためのスケープゴートにすることは法治国家として許されるもの
   ではない。
(二)医療情報の提供義務は、医学・医療の根本原則(守秘義務)を破壊する。……(略)
(三)精神科医療全体が本法の監視対象になる危険性が高い。
   特定秘密の範囲が広範かつ秘密であるため、適性調査の対象が無制限に広がる
   おそれがある。しかも行政機関の長が行う適性評価は上記のように秘密保全部署
   がその情報の確認をすることとなり、精神疾患を有する者及びその疑いのある者
   及び精神科医療機関及び精神科医、精神科医療に係る職種にある者は医療の
   倫理に反する調査に直面することになる。


PS(2016年7月31日追加):*4の元職員が「津久井やまゆり園」に侵入して入所者を襲い、19人に死亡・26人に重軽傷を負わせた事件で、同園の経営者は誠実そうな人柄であったため問題にされていないが、このような状況で退職した元職員がいる場合には、鍵を変えたり、他の職員に注意を促したり、警察と連携したり、警備会社と厳重な契約をしたりして警備を厳しくするのが、入居者を護るための正当な注意だが、何故、それをやらなかったのだろうか。
 なお、医療系の教育を受けた人は、「救える命は救う」という教育を受けているため、「生きている命を殺す」というのは安楽死の議論があったとしても慎重なのだが、他学部出身の人が福祉や医療を語ると、この基礎教育ができていないため、“効率性”のみを重視して短絡的になりがちだ。そして、日本の高齢者施設や障がい者施設で入居者のケアをしている人は、急に需要が増えて医療・福祉系の教育を受けていない人が多いため、人材というこのサービス(産業)の要の部分が心もとないのである。

*4:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=180289
(沖縄タイムス社説 2016年7月27日) [障がい者施設殺傷]兆候は幾つも出ていた
 相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」に元職員の男(26)が刃物を持って押し入り、入所者を次々襲った事件は、19人が死亡、26人が重軽傷を負った。殺人事件の犠牲者数としては戦後最悪とみられる。未明の就寝の時間帯を狙った卑劣な犯行である。警察に出頭し逮捕された男は容疑を認め、「意思疎通できない人たちをナイフで刺した。障がい者なんていなくなってしまえ」などと供述しているという。就寝中に突然、命を奪われた犠牲者の理不尽さを思うと、残忍な蛮行に憤りを抑えることができない。神奈川県警捜査本部は、容疑を殺人未遂から殺人に切り替え、取り調べる方針だ。動機は何なのか。男は2012年12月に非常勤職員として採用され、13年4月には常勤職員となった。今年2月に施設関係者に「障がい者を殺す」と話したため、警察が事情聴取した。警察にも「重度障がい者の大量殺人は、日本国の指示があればいつでも実行する」と供述したため、市が精神保健福祉法に基づき措置入院させた。男は退職した。病院の尿検査で男から大麻の陽性反応が出ていたが、市は症状がよくなったとして約2週間で退院させていた。男はこれに先立つ2月、同施設を「標的とする」と犯行を予告するような手紙を衆院議長公邸に持参していた。手紙は「職員の少ない夜勤に決行する」などと今回の事件を想起させる内容だ。退院後の男の病状を確認するなど、行政の対応は十分だったのだろうか。厳しく検証しなければならない。
■    ■
 「津久井やまゆり園」には6月末時点で、19~75歳の149人が長期入所していた。全員が介助が必要な重度の知的障がい者だ。施設の管理体制はどうだったのだろうか。事件当時は夜勤の職員8人と警備員1人の計9人態勢で当たっていた。施設には部屋12室を1ユニットとし、計8ユニットがあり、それぞれ職員が1人ずつ付き添っていた。男は1階の窓ガラスをハンマーで割り、そこから施設内に侵入したとみられる。入所者は侵入者に自力では抵抗できない。その上、未明の就寝中に、刃物を持った男に突然襲われたことも被害者が多数に上った要因である。障がい者らの入所施設は、厚生労働省によると、全国に約2600あり、約13万人が入所している。侵入者に対する防犯対策など国の規定はなく、現場に委ねられているのが現状だ。緊急通報体制の在り方や訓練など社会的弱者が入所する施設の危機管理体制を点検する必要がある。
■    ■
 自分勝手な思い込みを絶対化し、他者への寛容をなくする。今回の事件は障がい者を標的にした犯罪「ヘイトクライム」である。障がい者に対し強い差別と偏見を持ち、存在そのものを否定するような男のゆがんだ考えはどのようにして形成されたのだろうか。知的障がい者施設に勤務したことと関係があるのだろうか。捜査当局は全容解明を急いでほしい。


<日本で公的に堂々と行われている精神障害者差別>
PS(2016年9月16日追加):*5-1のように、「津久井やまゆり園」の重度障害者刺殺事件に関し、厚労省は、殺人容疑で逮捕された元職員の植松容疑者が措置入院させられていた病院や相模原市の対応を「不十分」とする検証結果を公表し、内容は「措置入院した植松容疑者は『大麻使用による精神および行動の障害』と診断されたが、病院側に薬物による精神障害の専門性が不足していた」とした。しかし、大麻などの薬物使用は犯罪であって精神病ではないため、精神病院に措置入院させること自体おかしく、また、大麻使用による精神障害で重度障害者だけを選んで刺し殺すという計画的な犯行をすることも考えにくいため、犯行前から準備していたかのように、厚労省が津久井やまゆり園事件を機会に精神病、措置入院、その後の“支援(?)”という路線を強化するのは、ますますおかしいのである。
 しかし、我が国では、近年、精神障害者に対する差別が次第にひどくなり、2013年12月には、*5-2のように特定秘密保護法が成立し、「精神疾患の既往歴のある人は秘密保持能力がないため特定秘密を扱う適性がない」ということになったが、実際には、精神疾患の既往歴と秘密保持能力に関する相関関係はなく、特定秘密保護法制定前にそれを調査した形跡もない。そのため、この法律は差別を助長して不当に就業機会を奪うことになっており、これで精神障害者に何を支援しようというのかも疑問に思われ、まず日本国憲法に定められているとおり、「基本的人権の侵害」等をなくすべきなのである。
 ちなみに、*5-3のように、欧州諸国における精神科入院全体に占める強制入院の割合は、Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)、Ireland(10.9%)、Italy(12.1%)、France(12.5%)、Netherland(13.2%)、UK(13.5%)、German(17.7%)、Austria(18%)、Finland(21.6%)、Sweden(30%)であるのに対し、我が国は40%以上となっており、その理由は、①強制入院要件の厳格性の欠如 ②入院を回避する代替手段の欠如 などで繰り返し批判され、医療または家族から独立した代理人(ソーシャルワーカーや弁護士等)の関与が義務付けられているEU 諸国では、そうでない国に比べて強制入院の割合が有意に低くなっているそうだ。

*5-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9H22S3J9HUBQU001.html
(朝日新聞 2016年9月15日) 措置入院中の対応「不十分」/相模原事件で厚労省が検証
 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡した事件で、厚生労働省は14日、殺人容疑で再逮捕された元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)が措置入院していた病院や相模原市の対応を「不十分」とする検証結果を公表した。退院後に支援を続けなかったことを問題視し、現行制度の見直しが「必要不可欠」と指摘している。有識者9人による厚労省の検証・再発防止策検討チーム(座長=山本輝之成城大教授)がまとめた。検証結果を踏まえ、再発防止策の検討に入る。植松容疑者は職場の障害者施設で「障害者は安楽死させたほうがよい」などと発言し、2月19日に緊急で相模原市の北里大学東病院に措置入院。退院後の7月26日に事件が起きており、病院や相模原市の対応を検証していた。検証によると、措置入院をした植松容疑者は「大麻使用による精神および行動の障害」と診断されたが、病院側に薬物による精神障害の専門性が不足していることを指摘。大麻使用による精神障害のみで「『障害者を刺し殺さなければならない』という発言が生じることは考えにくい」として、入院中に生活歴の調査や心理検査を行っていれば診断や治療方針が異なった可能性にも触れて、病院側の対応に疑問を示した。一方、12日後に退院したことには「指定医としての標準的な判断だった」として問題なしとした。ただ、措置入院を判断した2人のうち1人は不正に指定医の資格を取った疑いがあり、資格を失った。これには「信頼を損ねたことは重大な問題」と明記した。措置入院を解除する際に病院が相模原市に提出した「症状消退届」には退院後の支援策が記入されず、市も詳細を確認せず解除を決めている。症状消退届への記入や退院後の継続的な支援は精神保健福祉法で義務づけられていないが、再発防止に向けて制度の見直しによる対応を求めた。検証結果について、北里大学東病院は「厚労省から直接、指摘や指導があったわけではないので詳細がわからず、病院としてコメントできない」。相模原市の熊坂誠・健康福祉局長は「指摘を重く受け止めている」と語った。
<措置入院>精神障害が原因で本人や他人を傷つける恐れがある場合、本人の同意がなくても精神科病院に入院させることができる仕組み。精神保健福祉法に基づいて指定医が診察し、この結果を踏まえて知事か政令指定市長が決める。近年は増加傾向にあり、2014年度は6861人で、10年前の1・36倍になった。一方、平均入院日数は10年間で半減している。

*5-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO108.html 特定秘密の保護に関する法律 (平成二十五年十二月十三日法律第百八号)
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 特定秘密の指定等(第三条―第五条)
 第三章 特定秘密の提供(第六条―第十条)
 第四章 特定秘密の取扱者の制限(第十一条)
 第五章 適性評価(第十二条―第十七条)
 第六章 雑則(第十八条―第二十二条)
 第七章 罰則(第二十三条―第二十七条)
 附則
   第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
<中略>
   第四章 特定秘密の取扱者の制限
第十一条  特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。
一  行政機関の長
二  国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
三  内閣官房副長官
四  内閣総理大臣補佐官
五  副大臣
六  大臣政務官
七  前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者
第五章 適性評価
(行政機関の長による適性評価の実施)
第十二条  行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
一  当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
二  当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
三  当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
2  適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一  特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
二  犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三  情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
四  薬物の濫用及び影響に関する事項
五  精神疾患に関する事項
六  飲酒についての節度に関する事項
七  信用状態その他の経済的な状況に関する事項
3  適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
一  前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
二  前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
三  評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
4  行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
<以下略>

*5-3:http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_25/pdf/s1.pdf#search='%E4%BA%BA%E5%8F%A310%E4%B8%87%E5%AF%BE+%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%97%85%E6%82%A3%E8%80%85+%E5%9B%BD%E5%88%A5%E6%AF%94%E8%BC%83' (2015年8月31日) 障害者政策委員会 ヒアリング資料:欧州諸国との比較からみる我が国の精神科強制入院制度の課題 、(公財)東京都医学総合研究所 西田 淳志
I.医療保護入院、代弁者制度について
■ 欧州諸国における精神科入院全体に占める強制入院割合1
(低):Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)
(中):Ireland(10.9%)、Italy(12.1%)、France(12.5%)、Netherland(13.2%)、UK(13.5%)、
(高):German(17.7%)、Austria(18%)、Finland(21.6%)、Sweden(30%)
*1『厚生労働科学研究 精神障害者への対応への国際比較に関する研究(主任研究者:中根允文)(2011)』
■ 我が国の現状(平成24 年時点)
強制入院(医療保護入院を含む)割合:40%以上
強制入院発生頻度(届出数):160 人以上(対人口10 万)
⇒ 自由権規約、および拷問等禁止条約に関する日本政府報告への総括所見:
強制入院要件の厳格性欠如、入院を回避する代替手段の欠如、強制入院の最終手段性、等々の問題について繰り返し批判されている
■ 強制入院割合と関連する制度要因2
強制入院手続きに医療から独立した代理人(アドボケイトカウンセラー、ソーシャルワーカー、弁護士等)の関与が義務付けられているEU 諸国では、そうでない国々に比べ強制入院の割合が有意に低い。
例)Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)、Ireland(10.9%)、
Netherland(13.2%)、Austria(18%)
*2『精神障害者の強制入院ならびに非自発的医療:EU 加盟国の法制度と実践に関する最終報告書(2002)』
◇ 代弁者が実質的なアドボカシーを担える仕組みの要件◇
1. 強制入院手続きに関与が義務付けられている各国のアドボケイトカウンセラーやソーシャルワーカーは、医療から独立している(大前提)
2. 法律機関等に所属を置き、医療(または家族)からの独立性を担保したアドボケーター制度 (以下略)


PS(2016年9月23日追加):*6のように、刑事責任能力を判断するため「精神障害等の疑いがある容疑者や被告を数カ月にわたって病院などで拘束する『鑑定留置』が急増している」とのことだが、①精神障害が罪の原因となるのか ②過去に精神科への通院歴があったことを精神障害と言えるのか など、論理的におかしく、科学的調査を行うべきことが多い。にもかかわらず、精神病歴のある人は罪人予備軍であるかのような誤解を与えたり、弁護士が精神障害により免責を主張したりなど、刑法39条による精神障害者差別、冤罪、不当な免責などが進みつつあるのは問題だ。そして、鑑定医を増やす努力がされているとのことだが、鑑定経験や人生経験の浅い精神科医が、このような犯罪を犯す場合の精神の正常と異常の堺の判定を正確にできるのかも疑問に思う。
(*ちなみに、私は1975年頃、東大医学部保健学科の学生だった時、精神衛生の実習で、東京都の女性センターで、何度も売春して捕まってくる女性の心理カウンセラーの実習をしたことがあり、相手から「あんたみたいにめぐまれた人に話しても理解できるわけないでしょ」と言われ、本当に理解できなかったので参ったことがある。その人は戦争中に子供時代を過ごして学校に行けず、計算をしたり、文字を書いたりすることができないため、他の仕事を見つけにくい人だった。その時、私は、心理カウンセラーが相談にきた相手の心理を分析しても問題は解決せず、そうなった背景を変えるべきだと心から思った)

*6:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9Q4QJ1J9QUTIL00G.html
(朝日新聞 2016年9月23日) 「鑑定留置」裁判員導入後に急増 医師不足、育成が急務
 刑事責任能力を判断するため、精神障害などの疑いがある容疑者や被告を数カ月にわたって病院などで拘束する「鑑定留置」が急増している。市民が裁判員として加わるようになり、判断しやすくする狙いが検察側にある。ただ、鑑定に携わる医師は不足しており、学会などが人材育成を急いでいる。
■責任能力、判断しやすく
 「精神鑑定のおかげで、責任能力について迷わず判断できた」。今年3月に東京地裁であった裁判員裁判。自宅マンション13階から長男(当時5)を投げ落としたとして、女(36)が殺人などの罪に問われた。裁判員を務めた男性は、被告人席の女の身ぶりや表情を注意深く見守った。女は精神科への通院歴があったことなどから、起訴前と起訴後に計2度の鑑定を受けていた。鑑定結果は鑑定医が法廷で説明。その結果をふまえ、弁護側は「障害の影響があり責任の非難は軽減される」と訴えていたが、検察側は「(被告の)障害は、過度に有利にくむべき事情ではない」と主張した。裁判員裁判では、難しい専門用語をわかりやすく言い換える配慮もされている。裁判員の男性は「身近に同じような障害のある人がいないので、自分の感覚だけで判断するのは難しかった。鑑定書類を読み、鑑定医の証言を法廷で聞いて、総合的に考えた」。判決は懲役11年。「障害の程度は軽度で犯行に影響したとは認められず、責任を軽減する事情として重視できない」との判断だった。最高裁によると、鑑定留置が認められた件数は2009年に裁判員制度が始まる前は年間250件前後だったが、その後は急増。14年は564件だった。起訴前に検察側が請求する鑑定と、起訴後に裁判所が職権で行う鑑定があるが、特に増えているのは起訴前の件数だ。今年7月に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件でも、起訴前に容疑者が鑑定留置された。ある検察幹部は「法廷で被告の様子がおかしいと感じると、裁判員は責任能力を疑う。検察が鑑定した上で起訴すれば、犯行当時に責任能力があったとわかってもらえる」。別の検察幹部は「取り調べの録音・録画が進み、弁護人は自白が任意にされたものかを争点にしにくくなり、責任能力を争うようになった。検察として先手を打つ意味合いもある」と打ち明ける。こうした検察側の狙いを、弁護側も注視する。日本弁護士連合会で責任能力をめぐる対策チームの委員を務める田岡直博弁護士はこう分析する。「検察側は起訴するケースを絞り込み、裁判員裁判での立証の負担を減らしているのだろう。鑑定で有利な結果を得て確実に有罪に結びつける一方で、危ない橋は渡らない」。田岡弁護士は「責任能力を争うスキルで、弁護側は検察側に立ち遅れている」と認める。弁護側が独自に依頼する「私的鑑定」を増やす必要性もあるとしつつ、「どんな鑑定結果についても裁判員を説得できるよう、研修などを通して態勢を強化したい」と話す。
■医師育成追いつかず
 急増する鑑定に、医師の育成が追いついていない。日本司法精神医学会理事の五十嵐禎人(よしと)・千葉大教授は「経験の浅い医師にも依頼が増えた。質が落ちている可能性は否定できない」と語る。五十嵐教授によると、鑑定医には特別な資格は要らないが、精神障害を診断したり、犯行に与えた影響を分析したりするスキルが必要だ。学会では14年、鑑定医の認定制度を始め、これまでに約30人が認定された。過去に担当した鑑定書5件の提出を求めるなど経験を重視している。大学院で養成する動きもある。東京医科歯科大の大学院は昨秋、国内で初めてという「犯罪精神医学専門チーム」を設けた。今春から若手の精神科医2人が週1回、ベテラン鑑定医の岡田幸之(たかゆき)教授のもとで犯罪精神医学を研究したり、実例を分析したりしている。岡田教授は「犯罪を扱う精神医学者は非常にマイナーな存在。国内での教育の場はほとんどなかった」と話す。「1人の患者と長時間向き合って判断する仕事のやりがいを知ってもらい、ごく限られた医師に依頼が偏る現状を変えたい」
     ◇
〈鑑定留置〉 精神状態などを調べるため、逮捕後の容疑者や起訴後の被告の身柄を数カ月にわたって病院などで拘束すること。刑事訴訟法に基づく手続きで、検察官が請求して裁判所が認める場合と、裁判所の職権による場合がある。鑑定では、成育歴や生活状況のほか、犯行の動機が了解できるかや計画性、違法性の認識などについて調べられ、その結果は捜査や裁判で刑事責任能力を判断する材料となる。勾留期間中に半日から1日で行われる「簡易鑑定」とは区別される。


PS(2016年9月25日追加):*7のように、全て同じ4階のフロアでトラブルが発生していたとして、神奈川県警は「点滴への異物混入は殺人事件」と一本化して捜査を進めているが、点滴袋が無施錠の状態で保管され誰でも手に取れる状態であったことは病院内の管理に甘さがあるものの、点滴液の中に薬剤を混合する目的で界面活性剤が含まれている可能性も合わせて考えるべきだ。何故なら、この病院では4階に多かったようだが、高齢者や重症者などの弱っている人が、長期間その薬を使い続けると中毒死することがあるかも知れず、その方が影響が大きいからだ。警察が、メーカーの製造物責任を考えず(その結果メーカーを保護し)、被害者を犯人に仕立て上げ、自白により証拠を造って結論に合わない証拠を無視した事件に東住吉冤罪事件(http://www.jca.apc.org/~hs_enzai/jikentoha.html)があり、警察(→メディア)の古くてステレオタイプな筋書きには要注意なのである。

*7:http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/09/25/kiji/K20160925013418490.html (スポニチ 2016年9月25日) 点滴異物混入で患者死亡病院トラブルまみれ…全て同じ4階フロア
 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者の点滴に異物が混入され殺害された事件で、同院の4階でトラブルが相次いでいたことが24日、分かった。飲料への異物混入などが春から続発し、事件と同時期に入院患者3人が亡くなっていた。この日会見した高橋洋一院長は、殺害事件の犯人について「院内の人物の可能性も否定できない」と話した。最初の異変は今年4月。看護師用のエプロンが切り裂かれているのが見つかった。さらに6月20日には、患者1人のカルテ数枚が抜き取られていたことが発覚した。病院はスタッフへの聞き取りを実施。横浜市は7月上旬に情報提供のメールから、エプロン切り裂きの事実を把握した。8月には、女性看護師がペットボトル飲料を飲もうとして違和感を訴えた。ボトル上部から、注射針ほどの穴が見つかっており、飲料は「漂白剤のような」味がしたという。病院側によると、これらのトラブルは全て4階で発生している。市医療安全課によると、エプロン切り裂きを市に情報提供した同じ差出人からメールがあり、「飲んでしまい、唇がただれた」と記されていた。その後、病院関係者から所轄の神奈川署にトラブルの相談があったという。同院では今月20日に殺害された横浜市港北区の無職八巻信雄さん(88)の他にも、点滴を受けていた別の80代の男性患者2人が18日に死亡。点滴は受けていなかったが、90代の女性患者も八巻さんと同じ20日に亡くなった。4人が入院していたのも4階で、院内のトラブルも合わせて全て同じ階で起きたことになる。八巻さんの遺体や点滴袋からは、ヘアリンスや殺菌剤などに使う界面活性剤の成分が検出されていたことも、捜査関係者への取材から分かった。一般に市販されているものの可能性がある。点滴袋の中に微量の気泡があるのを担当の女性看護師が見つけ、異変を察知した。袋に目立った穴や破れはなかったという。点滴袋は、4階フロアのナースステーションに無施錠の状態で保管。誰でも手に取ることが可能な時間帯もあり、近くに界面剤成分を含む製品があったことも判明。神奈川署特別捜査本部は、何者かが不特定に患者を狙って在庫の点滴袋に界面剤を混入させた疑いもあるとみて鑑定を急ぐ。高橋洋一院長によると、同院は「(病気が進行した)終末医療の患者が多い」という。犯人について「院内の人物の可能性も否定できない」と話した。川崎老人ホーム連続殺人事件など、高齢者施設での虐待事件などが相次いでいることにも触れ「我々の考えられないような感情を持つ若い方もいるのかもしれない。今回がその流れで起きているならば残念」と漏らした。
▽界面活性剤 1つの分子の中に、水になじみやすい「親水性」と、水になじみにくい「親油性」の2つの部分を持つ。性質の異なる2つの物質の境界面(界面)に働きかけ、水と油のように混じり合わないものを混ぜ合わせる働きをする。せっけんや洗剤の主成分。誤って飲んだ場合、嘔吐(おうと)や吐血などの症状が考えられ、肝機能障害や、肺水腫による呼吸困難から死亡するケースもある。
▽川崎老人ホーム連続殺人事件 川崎市幸区のホームで14年11~12月、入居者3人が転落死。初動捜査で変死と処理されたが、16年2月に元職員の男を逮捕。15年、ホームでの窃盗で逮捕されていた
▽大口病院のトラブル
 ▼4月 4階で看護師のエプロンが切り裂かれる
 ▼6月20日 患者1人のカルテ数枚が抜き取られていたことが発覚。後日一部が、院内で見つかる
 ▼7月 市にエプロン切り裂きについて情報提供のメール
 ▼8月 病院スタッフの飲み物に異物が混入。市にメール。病院が神奈川県警に相談
 ▼9月2日 市が定期立ち入り検査でトラブル再発防止を指示
 ▼14日 八巻さんが入院
 ▼18日 4階に入院し、点滴を受けていた80代の男性患者2人が死亡。病死と診断
 ▼19日午後10時ごろ 30代の女性看護師が4階の部屋にいた八巻さんの点滴を交換
 ▼20日午前4時ごろ 八巻さんの心拍が低下しアラームが作動
 ▼同4時55分ごろ 八巻さんが死亡
 ▼同10時45分ごろ 病院が神奈川県警に「点滴に異物が混入された可能性がある」と通報
 ▼同日 4階に入院し、点滴を受けていない90代の女性が死亡。病死と診断
 ▼23日 県警が八巻さんの死亡を殺人と断定し、特別捜査本部を設置


PS(2016年9月26日):確かに現在は、*8のように、高齢によるものも含む障害者の人権や社会の受入におけるバリアフリーを正面から要求すべき時だ。

*8:http://qbiz.jp/article/94657/1/ (西日本新聞 2016年9月26日) 「障害者の権利」をテーマに全国大会 水俣病、ハンセン病から学ぶ
 障害者の共同作業所などでつくる全国団体「きょうされん」の全国大会が10月22、23両日、熊本市の県立劇場などで開かれる。熊本地震のため見送りも検討されたが「災害時こそ障害者の権利を守らなければいけない」と、開催を決めた。水俣病公式確認60年、らい予防法廃止20年の節目も踏まえ、胎児性水俣病患者やハンセン病元患者も登壇。実行委員会は25日、熊本市に集まり、日程や運営面の最終確認をした。大会は全国40支部の持ち回りで開かれ、九州では2010年の福岡市以来3回目。「障害者権利条約をこの国の文化に」をテーマに、水俣病やハンセン病を巡り、命と人権を軽視された歴史を通して差別や障壁のない社会の実現を目指す。22日は午後1時から、第2次世界大戦中のドイツで障害者が虐殺されていた事実を掘り起こしたきょうされんの藤井克徳専務理事が「憲法公布70年の今年、わたしたちが進むべき道とは」と題し基調報告。「熊本から伝えるプログラム」として、胎児性水俣病患者の金子雄二さん(61)や菊池恵楓園入所者自治会の志村康会長(83)たちの半生から、国策によって踏みにじられた人権を考え、今後の展望について理解を深めるシンポジウムもある。午後4時からは、県立劇場と熊本学園大の計16会場で分科会を実施。各事業所が支援活動などの取り組みを紹介するほか、障害者との交流会、水俣病患者やハンセン病元患者との対話を通して「平和」を考える討論会もある。23日も午前9時から各分科会を開く。副実行委員長を務める山下順子きょうされん熊本支部長は「4月の地震では全国から多くの温かい支援をいただいた。感謝を伝える大会にもしたい」と話している。実行委事務局=096(342)4951。

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