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2017.4.24 国の予算の使い方 (2017年4月25、26、27、28、30、5月4、20、27日追加)
 書くべきことは多いが、今日は、国の予算の使い方とそれを左右する基本的意思決定について記載する。なお、私は、前のパソコン(PC)にwindows XPを入れていて、そちらの方が使い勝手がよかったため最近まで使っていたが、XPではアクセスできないHPが増えたので、仕方なくwindows8.1が入っているPCを使うよう変更した。そうすると、ブログ写真の解説文字の位置が変わってしまう上、蓄積されたデータの移管にも苦労が多かった。そのため、ソフト会社は新ソフトを開発して「売らんかな」の販売戦略をとるのではなく、PCを事務作業や研究に使って価値あるデータをPCで蓄積している人の身になって考えて欲しいと思った次第である。

  
      フクイチの現状      諫早干拓地       玄海原発
        2016.6.30毎日新聞 ランドサット撮影  2017.4.13西日本新聞

(1)“国の責任”となる膨大な原発事故費用
1)フクイチの廃炉・賠償費用とその無駄遣い部分
 経産省は、2016年12月9日、*1-1のように、フクイチの廃炉・賠償などの費用総額が21兆5000億円にのぼるという見積もりを公表し、これまでの11兆円から倍増させた。

 その理由は、①廃炉費が2兆円から8兆円 ②賠償費が5兆4000億円から7兆9000億円 ③除染費が2兆5000億円から4兆円 ④中間貯蔵施設整備費が1兆1000億円から1兆6000億円に膨らんだ などだが、溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し方法などの詳細が決まっていないため、経産省は合理的な見積もりが困難としてそれを含めていない。これなら、また2倍になるのも時間の問題のように見えるが、④は最初から最終処分をすれば節約できる金額で、核燃料の取り出し費用も石棺にすれば不要だった。また、廃炉に長期間かけ、原子炉建屋のカバーを外して環境を汚し続けているのは、殺人に近い。

 さらに、経産省は、賠償総額7兆9000億円のうち2400億円程度を新電力にも負担させるようにして、巨額の事故処理費用を賄う方針だ。しかし、これでは、原発事故には責任のない会社や個人が原発事故の費用負担をすることとなり、電力市場が不公正な市場となって電力自由化の効果もそがれるため、事故を起こした会社が蓄えた資産を売却して廃炉費用を賄うのが筋である。

 なお、*1-2のように、2013年9月3日、フクイチから高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れているため、政府は約470億円(凍土壁建設費:320億円、浄化装置開発費:150億円)の国費を投じ、政府主導・国の全額負担で、①原子炉建屋への地下水の流入を遮断する凍土壁を設置し ②汚染水浄化装置を増設し ③汚染水漏れが見つかった急造タンクは溶接のしっかりしたタンクに入れ替え ④建屋に流れ込む地下水をくみ上げ ⑤地下坑道(トレンチ)にたまっている高濃度汚染水を除去し ⑥汚染水の海への漏洩を抑えるための地盤改良をする とした。

 しかし、それから約3年6か月後の現在も、原子力規制委員会が国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル3(重大な異常事象)に相当するとした汚染水問題は、課題のまま解決していない。これだけの国費を投入しても片付かない理由は、「総額470億円を投入。うち2013年度予算の予備費を210億円使い、対策を前倒し」というように使う金額を先に決め、汚染水問題の解決よりも景気対策が目的であるかのような予算の使い方をしているからだ。このように、事の重大性が全く理解できずに優先順位が滅茶苦茶な人は多いが、これなら石棺にすれば、汚染水問題は生じず、この470億円やタンクの設置費用は不要だったのである。

2)国は原発事故でどういう責任をとれるのか
 フクイチの場合は、これまで政府・電力会社が「原発は絶対に壊れず、安全でクリーンだ」と強く宣伝してきたため、政府や電力会社の宣伝を信じてきた住民に罪はない。そのため、原発事故の責任は、虚偽の宣伝をしてきた政府・電力会社にあり、住民は政府・電力会社に完全に復旧してもらい、復旧までに生じた損失についての損害賠償や慰謝料を受ける権利がある。ただし、実際には、除染しても完全には復旧できない地域が多く、そこに住んでいた人は損害賠償・慰謝料に加えて移転費用も請求できるわけである。
 
 しかし、*1-3のように、原発を再稼働して起こる今後の原発事故に対しては、「原発は絶対に壊れないので、安全でクリーンだ」と住民が信じれば、それは交付金目当てのご都合主義の信頼になるだろう。

 また、「万一事故が発生した場合、国は責任を持って対処する」と繰り返しているが、(1)1)の状況で、国が責任を持って対処しているとは言えず、故郷が汚染され復旧していないのに避難指示を解除されて困っている被害者も多い。さらに、原発事故は、復旧すること自体が困難で、その費用も高くつくというのが現実で、国民は、何度も原発事故処理費用のような後ろ向きの費用は負担したくないし、できないのである。

(2)玄海原発再稼働について
 佐賀県議会は、*2-1のように、過半数を占める自民党議員が「再稼働容認」、民進党は「条件付き再稼働容認」として、最稼働容認決議案を可決した。佐賀県知事は、「県民代表としての県議会決議を重く受け止め、再稼働に同意する見通し」で住民投票には否定的だが、佐賀新聞社が昨年秋に実施した県民世論調査では、反対が賛成を上回ったそうだ。私は、県議会議員選挙は原発再稼働のみを争点にして行うわけではないため、原発再稼働のみを争点とし、その賛成及び反対理由を明らかにして住民投票するのが、これからの方針を決め、それを遂行する覚悟を決める上で重要だと考える。

 なお、佐賀県内の3首長は原発再稼働に反対の意思を表明し、事故が起きれば県境は関係ないため、長崎県、福岡県からも反対・不安・懸念の表明が相次いでいる。

 このような中、*2-2、*2-3のように、2017年4月22日、世耕経産相が九電の瓜生道明社長の案内で玄海原発を視察し、午後に佐賀県庁で山口知事と会談し、山口知事は記者団に「大臣から国として責任を持つとの強い決意の言葉を頂いたので、(地元同意の判断は)できるだけ早くと思っている」と述べ、週明けにも地元同意を表明するそうだ。山口知事(東京大学法学部卒、総務省出身)は「手続きが大事」とよく言われるが、西日本新聞が書いているとおり、再稼働するための“儀式”は一歩ずつ進んでいるが、原発再稼働による住民リスクは親身に考えられていないように見える。

 そして、*2-4のように、山口知事は24日午後、「熟慮に熟慮を重ねた結果、原子力発電に頼らない社会を作るという強い思いを持ちつつ、現状においては(再稼働は)やむを得ないと判断した」として、九電玄海原発の再稼働に同意する考えを表明し、これで地元同意手続きが完了したそうだ。しかし、「手続きさえ踏めば、真実はどうでもよい」という発想が法学部卒の人に多く、「裁判で手続きさえ踏めば、無実の人を犯人に仕立て上げてもよい」という結果も招いているため、法学部教育は手続主義から真実追及主義に変更すべきである。

 なお、住民リスクの内容を重視する大学の元教員や医師らでつくる「福岡核問題研究会」の有志は、*2-5のように、「玄海原発が新規制基準に適合すると認めた原子力規制委員会の許可は不当だ」として、規制委員会に異議を申し立てる審査請求をすることを決めたそうだ。その理由は、①フクイチ後、フランスは総勢300人の緊急対応部隊を新設したが日本の新規制基準には対応する措置がなく、世界基準に程遠いこと ②規制委が重大事故時の住民避難などの対策の有効性を審査の対象にしていないこと などが、「法律が求める責務からの責任逃れであり違法」などとして、主に8項目を挙げているそうだ。また、*2-6のように、反原発団体も、「県民を犠牲にするな」と経産相に抗議している。

 さらに、2017年4月14日、*2-7のように「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が発足し、会見で小泉元首相は「国民全体で原発を止めていこうという強いうねりが起きているのを実感している」とし、「いずれ国政選挙で脱原発が大きな争点になる時がくる」と力を込められたそうで、やはり感がよいと思う。会長その他の役員は「顧問:細川護熙元首相、会長:城南信用金庫吉原毅相談役、副会長:中川秀直元自民党幹事長、島田晴雄(前千葉商科大学長)、佐藤弥右衛門(全国ご当地エネルギー協会代表理事)、事務局長:河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)、事務局次長:木村結(東電株主代表訴訟事務局長)、幹事:鎌田慧(ジャーナリスト)、佐々木寛(新潟国際情報大教授)、香山リカ(立教大教授)、三上元(元静岡県湖西市長)、永戸祐三(ワーカーズコープ理事長)」だそうだ。

(3)諫早干拓について
 *3-1、*3-2のように、諫早湾(長崎県)を鋼板で閉め切ってから20年が経過し、国の干拓事業で国内最大級の干潟は農地になり、諫早湾を含む有明海は漁業不振が深刻化した。そのため、2002~2016年度に、海底に砂を入れて耕したり、干潟に潮の流れをよくする水路を築いたりする工事をして、498億円という多額の公費を投入したが海は再生しなかった。自然の流れを壊した上で、海底に砂を入れて耕したり、干潟に潮の流れをよくする水路を築いたりするのが無意味なことは、やってみなくても明らかである。

 そのほか、国と自治体を合わせると、352億円の公費が投じられ、下水道を整備したり、水質を浄化したりして、調整池の水質改善を続けているそうだ。下水道の整備は干拓しなくても必要だが、水質浄化までしても調整池は富栄養化し、毎夏のようにアオコが大量に発生して、海の再生も池の水質改善も十分な効果が上がっていないのは、水が外に流れ出ないからである。逆に、有明海の方は貧栄養化して、養殖海苔が色落ちしたり、漁業不振になったりしているわけだ。

 そのため、調整池のアオコの調査を続ける熊本保健科学大の高橋徹教授(海洋生態学)は「病気なら検査して、診断し、効果のある治療法を選ぶ。有明海の異変では検査にあたる開門調査をしていない。それ抜きでは効果的な対策も不可能なのに、あてどもなく血税が投じられている」と述べている。

 この干拓事業をめぐっては複数の訴訟があり、干拓が有明海の漁業不振の原因だと疑う漁業者らは開門を求めて国を提訴し、2010年には福岡高裁で開門を命じる判決が確定したが、その後、長崎地裁が干拓地営農者の主張を認めて、国に開門を差し止める仮処分決定を決定したため、国は確定判決を履行できなくなり、2014年6月から「罰金」として漁業者側に間接強制金を支払っている。

 諫早湾干拓工事は1952年に、約1万ヘクタールの湾全体を農地にする大干拓構想として浮上し、米余り時代になって規模を縮小したものだ。そして、畑地開発や高潮・洪水防止に目的を変え、1989年に着工して、1997年4月14日に、ギロチンを思わせる293枚の鋼板で湾の3分の1が閉め切られ、長さ7キロの堤防内側は干潟が陸地になり、672ヘクタールの農地に変わった。総事業費は、2530億円(3.7億円/ヘクタール)だ。

 造成された農地は長崎県の公社が国から51億円で買い取り、2008年から営農が始まって、個人・法人計40事業者が農地を借りて野菜などを作っている。1ヘクタールあたり約3.7億円かけて造成された農地だが、リース料は年20万円/ヘクタールで、総事業費をカバーし終わるまでには1850年かかる。そのため、1事業者の面積は平均16.7ヘクタールと大規模経営でよいが、国の事業としての費用対効果は低かったと言わざるを得ない。

 しかし、私は、公共事業は短期的に見れば費用対効果が悪くても、将来の地域振興を考えると必要なものもあり、「費用対効果が悪いから、その公共事業はやらない」と即座に言うべきではないと考えている。それでも、諫早湾の干拓工事は、戦後の米不足時代に湾全体を農地にする大干拓構想として浮上し、米余り時代になってから規模を縮小し、目的を畑作や高潮・洪水防止に変更して行っているもので、一度決めたら何があっても中止しない国の公共工事のあり方とそれによる膨大な無駄遣いが問題なのである。さらに、食料自給率向上のためには、畑作もよいが漁業も大切であるのに、農水省や国土交通省は、これまで水産業(海の環境保全が必要)は眼中にないかのような政策をとってきており、それが間違いだったのだ。

 政府の公共事業費は、景気対策のためと称して、1990年代に毎年のように当初予算で9兆円台を計上し、1998年度は当初と補正の合計が15兆円近くに達して、「大型公共事業=環境破壊、税の無駄遣い」と批判された。東日本大震災の復興事業においても、本当に必要な公共事業だけをなるべく安い価格で行うのではなく、国民の血税を使って高い価格で行う有害無益な公共事業も含まれているのが残念だ。

 これらの状況は、宮入長崎大名誉教授が言われるように、「農水省は諫早湾干拓事業の費用対効果を算出する際、失われる干潟の浄化能力や漁業被害を勘定に入れなかった。そのつけを今払っており、終わりの見えない国民の血税による後始末」になっており、調和した自然の大きな力を無視した公共事業は、国民に無限の負担を強いるのである。

 なお、*3-2に書かれている諫干開門差し止め請求訴訟判決骨子で、開門反対派は、 ①開門すれば農地に塩害など重大な被害が発生する恐れがある ②開門で漁場環境が改善する可能性は高くない ③開門調査で堤防閉め切りと漁獲量減少の関連性解明の見込みは不明 と主張し、判決も、開門で堤防内の調整池に海水が入り込み、農地に塩害や潮風害、農業用水の一部喪失が発生する恐れがあるため、生活などの基盤に直接関わり重大」と指摘している。

 しかし、①については、半島・島・有明海の他の干拓地では堤防が無くても農作物ができているので根拠がなく、②③は、本明川、田古里川、船津川、境川、深海川、二反田川、有明川、西郷川、神代川、土黒川などから流入していたミネラルが海へ拡散するのを堤防の閉め切りで不自然に止めてしまったことが原因であることは誰が見ても明らかである。そのため、それを確認するために開門調査をしようとしているわけなのだ。

 さらに、開門しても、諫早湾には多くの川が流れ込んでいるため、調整池は完全な塩水にはならないが、仮に塩水になったとしても、*3-3のように、「ウオータープラザ北九州」は海水と下水から飲用水レベルの真水を精製する技術も確立しており、諫早市は下水道を整備しているため、その下水道から農業用水を作ることは容易で、むしろ精製しすぎずに窒素やリンが少し残っている方が、肥料が節約できそうである。

(4)これだけ1000億円単位の無駄遣いが多いのに、福祉・教育だけは消費税を上げなければ財源がないとするのはおかしいこと
 そもそも、保険とは、「将来起こるかもしれないリスクに対して、予測される発生確率に見合った一定の保険料を加入者が負担して万一の事故に備える制度で、さまざまな事故や災害から生命・財産を守る為の合理的な防衛策」とされている(http://www.nihondaikyo.or.jp/insurance/08.aspx 参照)。

1)介護保険の負担増について
 2017年4月15日、*4-1のように、与党が、高所得者のサービス利用時の負担割合を2割から3割に引き上げ、大企業社員や公務員らの保険料負担を増やす内容の介護保険関連法案の採決を強行した。この間、TVは森友学園問題や殺人の容疑者(犯人と確定していない)が捕まったという話ばかりをいっせいに行い、介護保険関連法案に関する報道は極めて少なかった。
 
 しかし、痛みがあるか否か以前に、将来起こるかもしれないリスクに対して、そのリスクが発生する確率に見合って保険料を支払っているのに、保険給付が行われる段階になって給付額に所得制限を設けるのでは、保険とは言えない。その上、介護保険で言っている“現役並み所得”というのは、「単身世帯で年収383万円以上、夫婦世帯では年収520万円以上」と、夫婦で医療費や介護費を負担しなければならない高齢者夫婦にとって、高所得とは言えない金額だ。

 そして、これによって節約されるのは、健康な生産年齢人口の人のために、景気対策と称して政府が行った1000億円単位の無駄遣いのほんの数%なのだから、どこか大きく間違っている。

 つまり、厚労省管轄の保険設計は、保険料の支払い時と給付時の両方において所得で差をつけており、とても保険とは言いがたく、税だとすれば二重課税になっているのである。

2)“こども保険”構想?
 自民党の小泉進次郎衆議院議員を中心とする若手議員でつくる小委員会が、*4-2のように、2017年3月29日に、「少子化に歯止めをかけるため」として、「こども保険」構想を発表したそうだ。

 「こども保険」を子育て支援の財源にするという根拠は、子どもが必要な保育・教育などを受けられないリスクをなくすことだそうだが、子どもが必要な保育・教育を受けられなければ、その子は稼ぎ手になれず、国の発展にも寄与できないため、それは個人のリスクというよりも、政府の予算の使い方における優先順位の問題である。つまり、教育や保育は、本人のためであると同時に国の礎でもあるため、1000億円単位や1兆円単位の無駄遣いをしながら、「財源がない」などと言って疎かにすべきものではないのだ。

 私自身は、幼児教育は3歳から始め、それ以前を保育として、幼児教育以降は義務教育として無償化するのがよいと考える。そして、3歳未満(0、1、2歳)の保育は、夫婦で交互に育児休暇をとれば家庭で行うという選択肢もできるため、高くない保育費を徴収するのがよいだろう。また、義務教育は高校卒業の18歳までとし、中学・高校は一貫校として行く学校を選択でき、入試を受ける形式にするのがよいと考える。

 そのため、「子ども保険」は不要で、保育・教育の費用は、堂々と一般財源から出せばよい。

<膨大な原発事故費用>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H0H_Z01C16A2000000/ (日経新聞 2016/12/9) 福島廃炉・賠償費21.5兆円に倍増 経産省が公表
 経済産業省は9日午前、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉や賠償などの費用総額が21兆5000億円にのぼるとの見積もりを公表した。廃炉費用が8兆円に上振れしたことなどにより、これまでの想定の11兆円から倍増した。賠償費用の一部を新たに新電力にも負担させるようにして、巨額の事故処理費用を賄う。経産省が9日示した見積もりでは、廃炉は従来の2兆円から8兆円に、賠償は5兆4000億円から7兆9000億円に、除染は2兆5000億円から4兆円に、中間貯蔵施設の整備費用は1兆1000億円から1兆6000億円にそれぞれ膨らむ。このうち廃炉費用は原子力損害賠償・廃炉等支援機構が国内外の有識者へのヒアリングに基づく試算として示した。ただ、溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し方法など廃炉の詳細はまだ決まっておらず、経産省は合理的な見積もりは現段階で困難としている。東京電力ホールディングスは9日午前に開かれた「東京電力改革・1F問題委員会」で送配電や原子力事業で再編・統合を検討する方針を示した。両事業の再編で企業価値を高め、廃炉費用を捻出する。国は東電向けの無利子融資枠を今の9兆円から13兆5000億円に引き上げるほか、廃炉費用を積み立てて管理する基金をつくり、長期に及ぶ廃炉や賠償が円滑に進むようにする。賠償総額7兆9000億円のうち、新電力による負担は2400億円程度になる。新電力が40年かけて支払う場合、新電力を利用する標準家庭の電気代に月平均で18円が上乗せさせる計算となる。

*1-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF03004_T00C13A9MM0000/ (日経新聞 2013/9/3)福島原発、汚染水対策に470億円 政府が基本方針、遮水壁、建設前倒し
 東京電力福島第1原子力発電所から高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れている問題で、政府は3日、約470億円の国費を投じ政府主導で解決する方針を固めた。国の全額負担で原子炉建屋への地下水の流入を遮断する凍土壁を設置するほか、汚染水を浄化する装置も増設する。東京電力主体の従来の対策よりも前倒しで事態を解決できるようにする。3日に開いた原子力災害対策本部で汚染水対策の基本方針を示した。安倍晋三首相は「世界中が注視している。政府一丸となって取り組みたい」と述べた。対策費は凍土壁の建設費で320億円、浄化装置の開発費で150億円と見積もった。対策費のうち約210億円は2013年度予算の予備費でまかない、年度内に対策に取りかかる。約2年の工期がかかる凍土壁の建設を前倒しする。対策費は概算で、凍土壁や浄化装置の開発が難航すれば上振れする可能性がある。凍土壁は建屋のまわりの土を冷却剤の循環により凍らせて地下水の浸透を防ぐ設備。原発内にたまった汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)も、東電が設置する3系統に加え、国が高機能な浄化設備を増設する。汚染水漏れが見つかった急造タンクは溶接のしっかりしたタンクに入れ替える。汚染水対策に向けた体制も強化する。従来は経済産業省や原子力規制庁が汚染水問題に対処していたが、国土交通省や農林水産省も加えた関係閣僚会議を発足させる。地下水や土壌改良の専門家を集め、政府一丸で対策にあたる態勢を整える。東電や地元との連携を深めるため、国の現地事務所も新設。福島第1原発の周辺に常駐する担当官を増やし、情報収集や対策協議を密にする。基本方針には、▽建屋に流れ込む地下水くみ上げ▽地下坑道(トレンチ)にたまっている高濃度汚染水の除去▽汚染水の海への漏洩を抑えるための地盤改良――などを盛り込んだ。個々の対策の実施計画も明らかにし、早期解決に向けた姿勢を内外に示す。東電は7月下旬、福島第1原発から汚染水が海洋に流出している可能性を認め、流出量を1日300トンと推計した。対策は後手に回り、8月には汚染水をためるタンクからの漏洩が見つかるなど事態は悪化の一途をたどっていた。原子力規制委員会は汚染水問題が、国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル3(重大な異常事象)に相当するとの評価を決定。国内外に懸念が広がっているため、政府は「対策を東電任せにせず、国が前面に立つ」(安倍首相)との姿勢を打ち出していた。
<政府の主な汚染水対策>
■体制・資金
・経済産業省や国土交通省などが関係閣僚会議を設置。東京電力や地元と連携する現地事務所を新設し、国の担当官が常駐
・総額470億円を投入。うち2013年度予算の予備費を210億円つかい、対策を前倒し
■対  策
・建屋を凍った土で覆う遮水壁の設置(320億円)
・汚染水から放射性物質を取り除く装置を新設(150億円)

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/424128 (佐賀新聞 2017年4月24日) 玄海再稼働へ、事故時対応約束 今村氏発言後引き、「国が責任」に疑念
 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に同意するかどうか、佐賀県知事の最終判断が目前に迫った。万一事故が発生した場合、国は「責任を持って対処する」と繰り返すが、福島第1原発事故の自主避難者の帰還を巡って「本人の責任、判断だ」と発言して撤回した今村雅弘復興相の言動が後を引き、国への疑念はくすぶる。福島事故への対応は、原発事故に対する国の責任の取り方の先例になるだけに、厳しい視線が注がれている。
▽故郷が汚染 
 「今村さんって佐賀出身でしょ? ふるさとが放射能に汚染されてみないと、私たちの痛みは分からないんでしょうか」。福島市から佐賀市に自主避難している渡辺弘幸さん(55)は、ため息交じりにつぶやいた。事故直後、原発から約60キロ離れた福島市にも放射性物質が飛来した。国の避難指示は出なかったが、持病が心配で、母親を連れて避難することを決意した。だが、母親は「どうせこの先、長くないから」と残り、1人でふるさとを離れた。1年半前、事故で足を骨折して仕事を続けられなくなった。自主避難者に対する住宅の無償提供支援が3月で終了し、家賃が重くのしかかる。「自分の判断で避難したから、自己責任と言われればそうかもしれないが、原発を推進してきた国の責任はどうなる」
▽にじむ距離感 
 事故の翌年、2012年6月にできた「原発事故子ども・被災者支援法」は、被災者の生活支援を、原発を推進してきた国の責務として行うと定め、自主避難者も救済対象にしている。衆参両院の全会一致で可決され、今村氏も賛成した。避難者の支援活動に取り組み、法案作りに関わった福田健治弁護士は「今村氏は行政トップとして法を誠実に執行する立場なのに、支援法の規定を知らなかったんだろうか」と嘆く。
政府は「福島への帰還こそが早期復興につながる」として、避難指示の解除を段階的に進め、避難者への生活支援策を縮小していった。支援法も、具体的な施策を決める段階で対象者が限定され、支援の中身が形骸化していった。今村発言の半月前の3月17日、避難住民らが起こした集団訴訟で前橋地裁(群馬県)は、原発事故の国の過失責任を認める判決を出した。放射性物質への恐怖や不安にさらされずに暮らす「平穏生活権」が侵害されていると指摘した。国は引き続き争う姿勢で、避難者との距離感がにじむ。
▽切り捨て 
 福島原発事故による広域避難の実態を、鳥栖市などで調査してきた立教大学の関礼子教授(社会学)は懸念する。「社会の中で、事故の記憶とともに被災地への関心が薄れていっている。そうした中、政府が示す姿勢は、被害を受けた人たちを切り捨てようとしているようにも映る」。その上で、今村氏の発言は避難者だけに関わる問題ではないと強調する。「原発の再稼働を進めたい国が『責任を取る』と言った場合の、責任の取り方とはどういうものなのか、今の対応が先行事例になる。原発立地地域の人たちは自分の身に引き寄せて、見ておく必要がある」

<原発再稼働>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/421590 (佐賀新聞 2017年4月14日) 県議会の玄海再稼働容認、住民の安全最優先に判断を
 九州電力玄海3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、佐賀県議会が同意した。過半数を占める自民党の「再稼働容認」とする決議案が賛成多数で可決された。既に原発のある玄海町は同意している。決議を「極めて重く受け止める」とした知事は同意する見通しだが、不安や反対の声は根強い。判断を下す際の十分な説明が必要だ。臨時県議会では3本の決議案が提出された。自民などは、電力の安定供給といった観点から「再稼働の必要性が求められる」と提案し、避難計画の充実や地域振興などを国に求めた。民進などは、条件付きながら「再稼働せざるを得ない」、共産などは「拙速な判断と同意をしないよう強く求める」と主張した。しかし十分な議論が尽くされたのか、疑問も残る。知事は再稼働に同意するかどうかの判断の前提として、県議会の意思表示を求めていた。臨時県議会の12日の質疑でも、県民の代表としての議会の意見が大切であることを繰り返し表明。住民投票に否定的な答弁をしたのは、その裏返しともいえよう。地方自治を支えているのは首長と議員を住民が直接選挙で選ぶ「二元代表制」で、間接民主主義をとっている。原発再稼働というテーマが、多数決になじむのかという論議もあろう。再稼働に前向きだった自民党の案が通るのは予想された。しかし、県民にはいろいろな意見があり、佐賀新聞社が昨年秋に実施した県民世論調査では、反対が賛成を上回った。不安に感じる県民がいる以上、知事は十分に留意する必要がある。県主催の住民説明会、知事と県内20市町長との懇談会も開催した。伊万里市長ら3首長が再稼働に反対の意思を表明し、ここにきて長崎、福岡県から反対や不安、懸念の表明が相次いでいる。事故が起きれば、県境は関係ない。地元同意の範囲をめぐる議論が起きるのも、当然といえる。地元同意に法律上の明確な規定はない。このため臨時県議会の質疑では、議員から知事に対し、現在より広い範囲の同意を必要とするよう、法的な整備も含めて国に求める意見が出た。知事も「根本の議論が必要」と応じた。今後の判断に際し、隣県も含めた住民や首長の声を真摯(しんし)に酌(く)んでほしい。与野党を問わず、避難計画を実効性のあるものにすべきという主張は根強い。20市町長との懇談会でも、多くの首長が条件付きで再稼働に賛成する立場を表明した上で、福島原発事故の被害の長期化とともに、事故時の避難者の受け入れに不安を訴えた。「道路が混雑し、地震の場合は住民の避難も困難になる」「道路も整備しないとパニックになる」などと、懸念と対策を求める声が相次いだ。県議会の質疑では、避難計画は国が審査して同意を与える法整備が必要との提案があった。「それも一考に値する」として知事は、国にどういう提言ができるか検討すると答弁した。原発は国策である以上、国がしっかり対応すべき課題ではあるが、任せるだけではいけない。県レベルでも周知や渋滞などの対策が求められる。再稼働へ向けた手続きは進んだ。ひとたび原発が動けば、後戻りはできないとの覚悟がいる。知事は住民の安全を最優先に慎重に判断してほしい。

*2-2:http://qbiz.jp/article/108174/1/ (西日本新聞 2017年4月22日) 世耕経産相が玄海原発視察
 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に向けて、世耕弘成経済産業相は22日、九電の瓜生道明社長の案内で同原発を視察し、原子力規制委員会が新規制基準適合を認めた安全対策を確認した。午後には佐賀県庁で山口祥義知事と会談する。山口知事は世耕氏との会談で再稼働や事故時などの「国の責任」を再確認し、週明けにも地元同意を表明する方針。一方、玄海原発30キロ圏の8市町のうち半数の同県伊万里、長崎県松浦、平戸、壱岐の4市長は反対を表明している。世耕氏は玄海原発で、東京電力福島第1原発事故後に配備した移動式大容量ポンプ車や格納容器が破損した場合に放射性物質の飛散を防ぐ放水砲などを見て回った。山口知事との会談後には鹿児島県薩摩川内市で九電川内原発も視察する。

*2-3:http://qbiz.jp/article/108179/1/ (西日本新聞 2017年4月23日) 玄海原発、24日にも再稼働同意 佐賀知事、経産相と会談
 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に向けて、佐賀県の山口祥義知事は22日、世耕弘成経済産業相と県庁で会談した。山口知事は会談後、記者団に「大臣から国として責任を持つとの強い決意の言葉を頂いた。(地元同意の判断は)できるだけ早くと思っている」と述べ、週明けの24日にも同意を表明する考えを示した。山口知事は、同意を判断する際の最終手続きとして世耕氏との会談を国に要請していた。会談で世耕氏は「原子力政策に政府として責任を持つ」と述べ、再稼働への理解を求めた。山口知事は「言葉は重く受け止める」と評価した。知事は、住民説明会では反対の声が大半で、県内の市長3人も反対していると伝え、使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物の最終処分での取り組み加速▽原子力に依存しない経済社会の確立▽避難計画の充実、原子力災害対策の継続的見直し−など6項目を求めた。国が避難計画策定を義務付ける玄海原発30キロ圏の8市町のうち、同県伊万里、長崎県松浦、平戸、壱岐の4市長は反対している。事実上、県と玄海町に限られている地元同意の範囲拡大について、世耕氏は記者会見で「同意は法律上、再稼働の要件とはなっていない」と否定的見解を示した。会談に先立ち、世耕氏は玄海原発を訪れ、福島第1原発事故後に配備した移動式大容量ポンプ車などの安全対策を確認した。山口知事との会談後には、鹿児島県薩摩川内市で九電川内原発も視察した。
●再稼働へ“儀式”着々
 佐賀県玄海町の九州電力玄海原発再稼働に向け、同県の山口祥義知事が「地元同意」を判断する際の最終手続きとして国に求めた世耕弘成経済産業相との会談が22日、終わった。国が避難計画策定を義務付ける原発30キロ圏の4市長が反対し、県庁前で住民団体の約100人が「再稼働やめろ」「県民の話を聞け」と声を響かせる中、知事は24日にも再稼働同意を表明する見通しで、世耕氏との会談にはセレモニー色がにじんだ。会談で山口知事は「県民から寄せられた意見のほとんどは再稼働に反対」と訴え、福岡、長崎両県にも不安や反対の声が多いと強調したが、世耕氏が「政府として責任を持ってエネルギー政策、原子力政策を進める」と応じると「大臣の発言は重く受け止める」とあっさり評価。「今後も地元の意見に真摯(しんし)に向き合っていただきたい」と述べ、約25分間で会談は終了した。佐賀県では1月以降、県の住民説明会や第三者委員会、県内全ての首長との懇談、担当大臣との会談など、知事が同意を判断するための意見集約が進められてきた。しかし、玄海原発の再稼働は山口知事が初当選した2015年1月の知事選の公約。知事は今月13日の県議会の容認決議を重視する考えも示していた。会談後、山口知事は記者団に判断条件は出そろったかと問われ「そうですね。あとは今日、話を頂いたことを考えて説明したい。できるだけ早く」と述べた。世耕氏は「佐賀県の皆さんに再稼働を進める政府方針を説明する良い機会になった」と満足そうに話した。府方針を説明する良い機会になった」と満足そうに話した。

*2-4:http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC24H32_U7A420C1000000/?dg=1&nf=1 (日経新聞 2017/4/24) 玄海原発再稼働に同意、佐賀知事「重い決断」
 佐賀県の山口祥義知事は24日午後、同県庁で記者会見を開き、九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に同意する考えを表明した。山口知事は「熟慮に熟慮を重ねた結果、原子力発電に頼らない社会をつくるという強い思いを持ちつつ、現状においては(再稼働は)やむを得ないと判断した」と述べた。知事の表明で、再稼働に向けた地元同意の手続きは完了。福島原発事故を受けて新規制基準が導入された以降では、鹿児島県(川内原発)、愛媛県(伊方原発)、福井県(高浜原発)に続き4例目となった。地元同意をめぐっては立地自治体の玄海町が3月初旬までに同意を表明し、佐賀県議会も13日に容認決議を行った。ただ、福島の事故の大きさゆえに、県民の不安の声は根強く、「非常に重い判断だった」と知事。「県民83万人全員が同じ方向を向くことはない。我が国のエネルギー事情を考えたとき、火力発電がフルパワーで稼働して環境問題もある中で、総合的に判断した」と最終判断の理由を説明した。山口知事は会見に先立ち、世耕弘成経済産業相に電話で再稼働同意を伝達。22日の会談で国側が示した原発政策の実行に加え、「自然エネルギーの普及促進を改めてお願いした」と述べた。今後の焦点は玄海原発3、4号機がいつ稼働するかに移る。原子力規制委員会が現場で設備を確認する使用前検査などが必要で、稼働は今秋メドになる見通しだ。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/422599 (佐賀新聞 2017年4月18日) 玄海原発、基準適合は不当 福岡の研究会が規制委に異議申し立てへ
 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県東松浦郡玄海町)が、新規制基準に適合すると認めた原子力規制委員会の許可は不当だとして、大学の元教員や医師らでつくる「福岡核問題研究会」の有志は、規制委員会に異議を申し立てる審査請求をすることを決めた。研究会の有志5人が、行政不服審査法に基づき、許可の取り消しや、執行停止(再稼働の停止)を求める。審査請求期限の18日までに手続きする。理由として、福島第1原発事故の後、フランスは総勢300人の緊急対応部隊を新設したが、日本の新規制基準には対応する措置がなく、「世界基準に程遠いこと」や、規制委がそもそも重大事故時の住民避難などの対策の有効性を審査の対象にしていないことが、「法律が求める責務からの責任逃れであり違法」などと主に8項目を挙げている。研究会メンバーが17日、佐賀県庁で会見を開き、豊島耕一佐賀大学名誉教授は「県議会は安全性が認められたとしているが、実際には程遠い状況」と批判した。

*2-6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/423954 (佐賀新聞 2017年4月23日) 反原発団体、経産相に抗議「県民犠牲にするな」
「県民を犠牲にするな」。玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働を巡り、山口祥義佐賀県知事と世耕弘成経済産業相が22日面会した県庁の前では、反原発の市民団体が抗議行動した。原発再稼働に前のめりの姿勢を示す国や手続きを着々と進める山口知事に対し、集まった約150人が怒りの声を上げた。午後2時18分、世耕経産相を乗せた車が急速度で正門から中に入り、参加者は「合意なき国策を押し付けるな」と声を張り上げた。県平和運動センターの原口郁哉議長は「知事は反対や疑問の声に答えずに再稼働へのステップを積み重ねている」と批判した。知事と面談して経産相が県庁を後にする午後3時10分まで約50分にわたり、「無責任な同意は許さない」などとシュプレヒコールした。参加した徳光清孝県議(社民)は「知事の同意後も再稼働まで時間がある。阻止するため粘り強く取り組む」、武藤明美県議(共産)も「福島の原発事故や自主避難者に対する復興相の失言で明らかなように、国も電力会社も原発に責任は取れない」と非難した。玄海原発の運転差し止め訴訟を続ける市民団体の石丸初美代表は「命や生活が脅かされ、核のごみも未来に押し付ける原発を続けられるわけがない。大臣は知事ではなく県民に説明するべき」と訴えた。経産相が視察した玄海原発の前でも抗議活動が行われた。

*2-7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017041502000133.html (東京新聞 2017年4月15日) 原発ゼロ・自然エネ連盟 発足 小泉元首相「国民運動に」
 各地で活動する脱原発や自然エネルギー推進団体の連携を目指す全国組織「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が十四日発足し、東京都内で記者会見を開いた。顧問に就任した小泉純一郎元首相は「自民党と革新勢力双方の支持者を巻き込んだ国民運動にしていく」と訴えた。福島第一原発の事故後に全国で進められた脱原発の運動は、連携がなく広がりを欠いていたとの判断から設立を決めた。全国組織として事務所を置き、講演会や意見交換会の開催、政府への提言、優れた活動をした団体の表彰などを行う。会見で小泉氏は「国民全体で原発を止めていこうという強いうねりが起きているのを実感している」と強調。その上で「いずれは国政選挙においても脱原発が大きな争点になる時がくる」と力を込めた。会長には、経営者として脱原発を訴えてきた城南信用金庫の吉原毅相談役が就任。吉原氏は「原発が経済的にも採算が合わないのは明らかで、自然エネルギー化は世界の流れだ。日本全国の声を結集していく」とあいさつした。連盟には約百五十の団体が参加する予定。主な役員は次の通り。
 顧問=細川護熙(元首相)▽副会長=中川秀直(元自民党幹事長)島田晴雄(前千葉商科大学長)佐藤弥右衛門(全国ご当地エネルギー協会代表理事)▽事務局長=河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)▽事務局次長=木村結(東電株主代表訴訟事務局長)▽幹事=鎌田慧(ジャーナリスト)佐々木寛(新潟国際情報大教授)香山リカ(立教大教授)三上元(元静岡県湖西市長)永戸祐三(ワーカーズコープ理事長)

<諫早干拓>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12878773.html
(朝日新聞 2017年4月6日) 諫早、止まらぬ税金投入 国の干拓事業、湾閉め切り20年
 国の干拓事業で、諫早湾(長崎県)を鋼板で閉め切った「ギロチン」から14日で20年。国内最大級の干潟は農地になったが、湾を含む有明海は漁業不振が深刻化し、海の再生などに多額の公費投入が続く。巨費を投じた大型事業は、今も先が見えない。
■海再生498億円/判決守れず「罰金」
 2008年に完成した干拓事業。今も続く支出のうち、最も規模が大きいのが有明海再生事業だ。湾が閉め切られた3年後の00年、有明海特産のノリが大凶作に見舞われた。干拓事業との因果関係を調べるため、農林水産省の第三者委員会は、短・中・長期の開門調査を提言した。だが、農水省は中長期の開門をしない代わりに再生事業を始めた。02~16年度の事業費(予算ベース)は計498億円。海底に砂を入れて耕したり、干潟に潮の流れをよくする水路を築いたりしている。もう一つの大きな支出は堤防の内側の調整池の水質改善だ。淡水化され、干拓地の農業用水になるが、生活排水などが流れ込むと水質が悪化しやすい。そこで長崎県などが下水道整備や水質浄化を進めてきた。04~15年度に国と自治体合わせて352億円(決算ベース)の公費を投じた。それでも池では毎夏のようにアオコが大量に発生している。海の再生も池の水質改善も十分な効果が上がらないまま、毎年続いている。調整池のアオコの調査を続ける熊本保健科学大の高橋徹教授(海洋生態学)は「病気なら検査して、診断し、効果のある治療法を選ぶ。有明海の異変では検査にあたる開門調査をしていない。それ抜きでは効果的な対策も不可能なのに、あてどもなく血税が投じられている」と話す。公金投入は、こうした事業だけにとどまらない。干拓事業をめぐっては複数の訴訟が争われている。干拓が有明海の漁業不振の原因と疑う漁業者らは開門を求めて国を提訴。10年に開門を命じる福岡高裁判決が確定した。一方、長崎地裁は干拓地の営農者の主張を認め、国に開門を差し止める仮処分決定を出した。国は確定判決を履行できなくなり、14年6月から「罰金」として漁業者側に間接強制金を支払っている。現在は1日あたり90万円、3月10日時点で総額7億6500万円に上る。判決を履行するまで積み上がり、このままだと年内に10億円を超える。仮に開門すると、国は農業者側に罰金を支払う義務も負っていて、どちらに転んでも支払いは続く。漁業者らは強制金を海の再生のための基金に積み立てている。その一人、佐賀県太良町の平方宣清(のぶきよ)さん(64)は言う。「国の役人は自分の懐が痛まないから、こんな異常な状況を放置しておける。納税者としては納得できない」
■低い費用対効果
 諫早湾干拓は戦後間もない1952年、約1万ヘクタールの湾全体を農地にする大干拓構想として浮上した。その後、米が余る時代になり2度、規模を縮小。畑地開発や高潮・洪水防止に目的を変え、89年に着工した。97年4月14日、ギロチンを思わせる293枚の鋼板で湾の3分の1を閉め切った。長さ7キロの堤防の内側は干潟が陸地になり、672ヘクタールの農地に姿を変えた。総事業費は2530億円。造成された農地は長崎県の公社が国から51億円で買い取った。2008年から営農が始まり、個人・法人の計40事業者が農地を借りて野菜などを作る。1ヘクタールあたり約3億7648万円をかけて造成された農地。リース料は1ヘクタールあたり年20万円(標準額。当初は15万円)だ。1事業者の面積は平均16・7ヘクタールの大規模経営で、11年度の県の調査ではタマネギやニンジンなど主力5品目で計約2万3千トンの収穫があった。ただ、リース料の未納などでこれまでに9事業者が干拓地を去った。事業の費用対効果は農水省の試算で0・81。当初は1・03だったが難工事のため事業費が予定の倍近くに膨らみ、望ましいとされる1を割り込んで費用が事業効果を上回っている。
■大型事業、復活の動き 震災復興やアベノミクスで
 政府の公共事業費は、バブル崩壊後の90年代半ばから00年代初めがピークだった。自民党政権は景気対策のため毎年のように当初予算で9兆円台を計上。98年度には当初と補正の合計が15兆円近くに達した。一方で長良川河口堰(かこうぜき)(三重県)の反対運動が呼び水になり、大型公共事業が「環境破壊」「税の無駄遣い」と批判の的になる。01年には「構造改革」を掲げた小泉政権が発足し、公共事業費は削減に転じた。09年、「コンクリートから人へ」を掲げた民主党に政権交代すると、「事業仕分け」などにより削減が進んだ。だが、11年の東日本大震災後、野田政権は一転、復興費を含む公共事業費を増やした。高速道路や新幹線など、凍結していた大型事業の復活も認めた。安倍政権は「アベノミクス」の「第2の矢」で財政出動を掲げる。「国土強靱(きょうじん)化」をうたい、防潮堤や道路など災害に備えたインフラの整備が進む。当初予算は14年度から6兆円弱での微増が続く。関門など全国6海峡をトンネルや橋で結ぶプロジェクトなど凍結された事業の復活を、防災の名の下でめざす動きも活発だ。
■教訓学びとって
 宮入興一・長崎大名誉教授(財政学)の話 農水省は、諫早湾干拓事業の費用対効果を算出する際、失われる干潟の浄化能力や、漁業の被害を勘定に入れていなかった。そのつけを今払っているということだろう。国民の血税による終わりの見えない後始末だと言える。公共事業が無限の国民負担を強いることもあるという、最悪の事例だ。この教訓を、国も納税者も学びとらなければならない。

*3-2:http://mainichi.jp/articles/20170417/k00/00e/040/253000c (毎日新聞2017年4月17日) 諫早訴訟:開門差し止め命じる判決 長崎地裁
 国営諫早湾干拓事業(諫干、長崎県)の干拓地の営農者らが国に潮受け堤防の開門差し止めを求めた訴訟で、長崎地裁は17日、開門差し止めを命じる判決を言い渡した。松葉佐(まつばさ)隆之裁判長(武田瑞佳裁判長代読)は、もし開門すれば「農地に塩害などの重大な被害が発生する恐れがある」として、事前対策工事によって被害は防げるとする国の主張を退けた。諫干を巡る訴訟で、開門差し止めを命じる判決は初めて。2010年に国に5年間の開門調査を命じた福岡高裁判決が確定しているが、確定判決と逆の請求を認める判決は極めて異例。堤防閉め切りから今年で20年を経て“司法判断のねじれ”は一層深まった。国側補助参加人の漁業者側は控訴の意向を示したが、国が2週間以内に控訴しなければ判決が確定することから対応が注目される。判決は開門で堤防内の調整池に海水が入り込み「農地に塩害や潮風害、農業用水の一部喪失が発生する恐れがある。生活などの基盤に直接関わり重大」と指摘。これに比べ、国が主張する開門による漁場環境の改善効果は高くなく、開門調査で漁獲量減少との関連性を解明できる見込みは不明だと判断した。潮風害などを防ぐ事前対策工事も「実効性に疑問があるものがある」と結論づけた。判決を受け、山本有二農相は「判決内容を詳細に分析し関係省庁と連携しつつ適切に対応したい」とコメントした。訴訟は11年、福岡高裁確定判決への対抗措置として営農者らが起こした。長崎地裁は13年、営農者らが申し立てた開門差し止めの仮処分を認める決定を出し、国が不服を申し立てた異議審(15年)でも決定を支持した。開門差し止め訴訟を巡っては長崎地裁が16年1月に開門しない前提の和解を勧告したが今年3月に和解協議が決裂した。
●諫干開門差し止め請求訴訟判決骨子
・国に開門差し止めを命じる
・開門すれば農地に塩害など重大な被害が発生する恐れがある
・開門で漁場環境が改善する可能性は高くない
・開門調査で堤防閉め切りと漁獲量減少の関連性解明の見込みは不明
【ことば】国営諫早湾干拓事業
 大規模農地造成や低平地の水害対策を目的に1997年に湾内を全長7キロの潮受け堤防で閉め切った。2008年に完成し、総事業費約2530億円。約670ヘクタールの農地は、長崎県が全額出資する県農業振興公社が国から約51億円で購入し、営農者(個人・法人計40)に貸し付け、野菜や麦が栽培されている。農業産出額は年間計34億円。

*3-3:http://qbiz.jp/article/105683/1/ (西日本新聞 2017年3月16日) 南アで真水化事業へ 北九州市が日立と覚書
 北九州市は15日、南アフリカ東部のダーバン市で新たな水ビジネスを始める日立製作所(東京)と連携協力する覚書を結んだ。同社は、北九州市が民間企業に無償貸与している研究施設「ウオータープラザ北九州」(小倉北区西港町)で海水と下水から飲用水レベルの真水を精製する技術を確立しており、今後、ダーバン市で実証事業を手掛け、北九州市が現地スタッフを同研究施設に招き人材育成に当たる。記者会見した同社などによると、ダーバン市関係者が2013年に同研究施設を視察したことをきっかけに実証事業のオファーが来た。現地は少雨による慢性的な水不足に陥っているという。同社は飲用水の供給を依頼されており、現地施設を19年9月に完成させ、1日6250トン(2万〜3万人分)を精製。将来的に商用化して10万トン(40万〜50万人分)の供給につなげたい考えだ。11年に開業した同研究施設は、海外の89カ国を含め7700人が視察。今後、ダーバン市の海水や下水の水質に近づけた条件での実験も行っていく。北橋健治市長は「水資源が乏しい他国への普及も考えられ、官民の連携をさらに深めたい」と話した。

<財源は消費税とする福祉・教育、他の税収は何に使うのか>
*4-1:https://www.ehime-np.co.jp/article/news201704165417 (愛媛新聞社説 2017年4月16日) 介護法案強行採決 国民に視線を向けて議論尽くせ
 衆院厚生労働委員会で、与党が介護保険関連法改正案の採決を強行した。民進党議員が質疑で森友学園問題を取り上げたことに、与党が反発した結果だ。法案は、高所得者のサービス利用時の負担割合を2割から3割に引き上げ、大企業社員や公務員らの保険料負担を増やすなど、国民への影響は大きく、十分な審議が欠かせない。痛みを強いる内容でもあり、理解を得るには丁寧な説明が必要だ。にもかかわらず、その責務を放棄して、不都合なことにふたをするような身勝手な国会運営は到底容認できない。与党は「法案以外の質問をするのは、十分に質疑をしたという証拠だ」と正当化するが、実質合意していた採決予定日まで2日を残していた。議論を尽くしていないことは、与党側も認識していたはずだ。この後、衆院本会議が見送られるなど国会は混乱。貴重な審議時間も失われてしまった。「法案以外の質問」を理由に審議を打ち切り、採決することがまかり通れば、民進党議員が非難したように「言論封殺」と言わざるを得ない。ましてや、今回の強行採決の背景に、森友学園問題に関わる「安倍晋三首相擁護」があったことは想像に難くない。首相に都合が悪い質問は許さないとばかりの与党の姿勢は、「言論の府」として看過できない。首相には国民の疑問に対し、正面から向き合い答える義務がある。安倍内閣の支持率は高水準を維持し、自民党内で首相の座を脅かす有力な対抗馬は見当たらないのが現状だ。首相や政権はこの状況に甘んじ、説明責任をなおざりにしていると言われても仕方あるまい。周囲も首相の意思を忖度(そんたく)しすぎではないか。国会議員が視線を向けるべきは時の権力者ではなく、国民であるという基本をいま一度認識すべきだ。介護法案は18日に衆院通過の見通しで、審議の場を参院に移す。「良識の府」である参院は政争が目に余る衆院を反面教師に、「数の力」に頼むのではなく議論を重ねてほしい。自民党の政権復帰、第2次安倍内閣の発足から4年4カ月。政権や与党による国民軽視や、議論封じ込めの「暴走」は今回が初めてではない。今なお懸念が根強い特定秘密保護法、安全保障関連法などでも強行採決。沖縄県の米軍普天間飛行場移設では、反対する沖縄の民意をよそに、政府が名護市辺野古沖で基地建設を強行する。政権の傲慢(ごうまん)な姿勢に、危うさが募る。今国会では「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案、衆院小選挙区の新区割りに関する公選法改正案など、与野党の激しい対立が予想される法案が残っている。介護法案と同様の手法で採決をごり押しするようなことは断じて許されないと、政権や与党は肝に銘じなければならない。

*4-2:https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0405.html(NHK 2017.4.16) ビジネス特集:子育て世帯の負担軽減?“こども保険”構想
 増える待機児童、広がる教育格差。子どものいる家庭にとって心配事は増える一方です。自民党の小委員会は、子育て世帯を支援するため、今の公的年金の仕組みのように、働く人や企業などから保険料を徴収して子育て世帯の負担の軽減に充てる新たな仕組み、「こども保険」構想を発表しました。働き盛り世代に重くのしかかる子育ての出費。その軽減につながるのでしょうか?
●社会全体で支える「こども保険」
 自民党の小泉進次郎衆議院議員を中心とする若手議員でつくる小委員会は、3月29日、少子化に歯止めをかけるため、新しい社会保障制度として「こども保険」構想を発表しました。「年金、医療、介護には社会保険があるが、喫緊の課題である子育てに社会保険がない」として、子どもが必要な保育や教育などを受けられないリスクをなくそうと、社会全体で支えるとしています。具体的には「公的年金」や「介護保険」の仕組みのように、保険料を徴収して社会全体で子育て世代を支援する新たな保険制度をつくろうというものです。今の厚生年金や国民年金の保険料に上乗せする形で、働く人と企業などから幅広く徴収します。徴収した財源は、小学校入学前の子どもがいる世帯に対し、児童手当に上乗せしたり、待機児童の解消に向けて保育所の整備に充てたりするとしています。当面の案として、企業と働く人から賃金の0.1%ずつの保険料を集める案が考えられています。国民年金の加入者の場合、月160円を徴収します。小委員会によると、子どもが2人いる30代の世帯では、年収400万円の場合、月に240円の保険料の負担増となり、子どもが2人(高校生の場合は児童手当はない)いる50代の世帯では、年収800万円の場合、月に500円の保険料負担の増加になると試算しています。「こども保険」によって、およそ3400億円の財源が確保できることから、児童手当に上乗せする場合、子ども1人当たり月5000円を加算することなどが可能だとしています。
●幼児教育や保育の無償化も視野に
 小委員会は、医療や介護の改革が同時に進めば、企業と働く人から徴収する、「こども保険」の保険料率をそれぞれ0.5%まで引き上げ(国民年金の加入者は月830円に引き上げ)、財源の規模をおよそ1兆7000億円まで増やせるとしています。この場合、例えば小学校に入学する前の子どもがいる世帯には、子ども1人当たり2万5000円が支給できるようになるため、児童手当と合わせると、幼児教育や保育を実質的に無償化できるとしています。小委員会のメンバーは「医療・介護保険料は高齢化で今後も徐々に引き上げられることが予想されるが、改革を行うことで給付の伸びを抑えることはできる。まずは、なんとか0.1%の保険料でも導入したい」と話しています。小委員会では今の社会保障制度が高齢者偏重ではないかという問題意識もあり、「こども保険」の創設を「全世代型社会保険」の第一歩としたいという思いもあるといいます。厚生労働省によりますと、「待機児童」は去年10月の時点で、全国で4万7738人。2年連続で増えており、東京は1万2232人と4分の1を占めています。国は女性の就業率の向上なども念頭に十分な保育の受け皿を確保することを目指していますが、財源などの面で険しい道のりであることは言うまでもありません。今回の「こども保険」は、子育て支援の安定財源になり得るのではないかという期待も出ているのです。
●負担だけが増える世帯も
 しかし、小さな子どもがいない世帯にとっては、「こども保険」の保険料の負担だけが増えることになるため、実現に向けて慎重論が出ることは確実。小委員会でも、子どもがいない人たちの理解をどのように得るかが実現のカギになるとみていて、「子どもがいない人も、将来、社会保障の給付を受ける側になる。社会保障制度の持続性を担保するのは、若い世代がどれだけいるかだ。若い人を支援するということは、子どもがいる、いないに関係なく、社会全体の持続可能性につながる」と説明しています。また、政府内では「保険制度は、自分にふりかかるリスクに対し、個々が保険料を納めて制度として成りたっているので、子育て支援の財源は、保険制度にはなじまず、一般財源でやるべきではないか」という意見や、「保険料の徴収の対象が勤労者と事業者となっていて、『全世代型の社会保障』といいながら、高齢者からの徴収がないのは疑問だ」などという指摘も出ています。
●保険方式浮上の背景に財源問題
「こども保険」構想の背景には、「教育格差」の問題が指摘される中、与野党で「教育無償化」を進めようという議論が出ていることもあります。これまでに財源として消費税や国が使いみちを教育に限定した新たな国債「教育国債」を発行する案などが浮上しています。しかし、消費税を10%に引き上げた場合の使いみちはすでに決まっているほか、さらなる引き上げがいつになるかわからず、財源として当てにできるものではありません。「教育国債」の発行も「名を変えた赤字国債だ」という慎重論が根強く、実現に向けてハードルの高さが指摘されているのです。こうした中で出てきたのが、保険の仕組みというわけです。とはいえ「こども保険」は、まだ構想段階。使いみちなど、制度の詳細が決まったわけではなく、今後、自民党内に新たに特命委員会を設けて検討していくことになっています。「少子化対策」が言われて久しいですが、抜本的な対策は待ったなし。今後どういう議論が展開されていくのか注目していきたいと思います。


<予算から見た辺野古埋め立て>
PS(2017年4月25日追加):誰もが望む普天間基地の返還のためなら、既に滑走路のある離島は多く、そこに基地を移転すれば埋め立てなど不要で予算も少なくてすむ。にもかかわらず、*5-1、*5-2のように、辺野古でも大量の予算を使うことが目的であるかのように誰のメリットにもならない埋め立て工事が始まり、その結果は、諫早干拓事業と同様に、大量の血税を使って自然を壊し回復不能にして、沖縄の資産を破壊する結果になると思われる。

   
  辺野古の海   2016.12.28東京新聞 2017.4.25沖縄タイムス 2016.12.27朝日新聞

*5-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK4S7HDWK4STPOB009.html?iref=comtop_8_06 (朝日新聞 2017年4月25日) 辺野古埋め立て護岸工事始まる 政府、5年で完了めざす
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、政府は25日午前、名護市辺野古沿岸部を埋め立てる護岸工事を始め、海に砕石が沈められた。工事が進めば、原状回復は困難になる。日米両政府が普天間返還合意をしてから21年が経ち、大きな節目を迎えた。辺野古の大浦湾に面した米軍キャンプ・シュワブ北側の浜辺では、午前9時20分ごろ、砂浜に設置された大型クレーンが動き出し、網に入れられた数十個の砕石をつり上げて、波打ち際に沈めた。護岸造成の地盤として海底に敷く捨て石とみられ、計5袋が海に入れられた。その後、午前11時時点までに目立った動きはない。この日着工したのは、埋め立て予定地の最も北に位置する場所。沖縄防衛局は今後、予定地の外側を囲む護岸を造成し、海を囲み終えた場所から年度内にも土砂の投入を始め、5年間での埋め立て完了を目指す。政府は当初、今月中旬の護岸工事着工も想定していたが、安倍政権と翁長雄志(おながたけし)知事の両者が支援する候補の一騎打ちとなったうるま市長選(23日投開票)が終わってからの着手となった。一方、県には25日朝、沖縄防衛局から「きょう着工する」と連絡があり、情報収集に追われた。基地問題を担当する県の吉田勝広・政策調整監は現地で工事の様子を確認し、「まるで沖縄の声を聞かない強引なやり方だ」と憤った。翁長雄志知事は、埋め立て工事に必要な「岩礁破砕許可」の期限が3月末に切れていると主張しており、工事により海底の岩礁が破壊されているのが確認されれば、工事差し止め訴訟を検討している。埋め立て承認の撤回や、県民の民意を改めて示す「県民投票」の可能性も模索している。普天間移設計画は、1995年の米兵による少女暴行事件を機に浮上した。日米は96年、普天間の返還に合意。計画は曲折を経て、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てて、滑走路2本をV字形に配置する現行案になった。県内で反対運動が続く中、13年12月、当時の仲井真弘多(ひろかず)知事が政府からの埋め立て申請を承認。しかし、「辺野古阻止」を掲げて当選した翁長知事が15年10月にこの承認を取り消し、政府が県を提訴。16年12月の最高裁で県の敗訴が確定し、政府は護岸工事着工に向けて準備工事を急いでいた。

*5-2:http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/80555 (沖縄タイムス 2017.4.25) 辺野古の工事再開、知事は「あらゆる手法で」阻止姿勢 違法確認訴訟・敗訴から1カ月 
名護市辺野古の新基地建設を巡る違法確認訴訟の最高裁判決で沖縄県が敗訴してから20日で1カ月となった。敗訴を受け、翁長雄志知事は自身の承認取り消し処分を取り消し、国は昨年12月27日にキャンプ・シュワブ沿岸部の埋め立てに向けた工事を再開した。県は工事開始前の事前協議を求めているが国は応じておらず、本体工事に向けフロートの設置作業を急いでいる。知事は取り消し処分を取り消す一方、新基地建設は「あらゆる手法で阻止する」との姿勢を崩していない。3月で期限を迎える岩礁破砕許可やサンゴを移植する際の特別採捕許可、埋め立て本体工事の設計変更申請の不許可など知事権限を行使する考えだ。現在、県は2013年の埋め立て承認時に付した留意事項に基づく事前協議や岩礁破砕許可の条件が守られているかを確認するため海中に設置するコンクリートブロックの大きさや個数などの報告を求めている。だが、19日までに防衛局から返事はなく、県は国の留意事項違反などを根拠に承認の撤回を検討しているほか、県民投票の実施も視野に入れている。また、31日からは訪米し米議会関係者や有識者らに直接、辺野古計画の見直しを求める。一方、防衛局は抗議する市民らが臨時制限区域に立ち入らないようロープを張る新たなフロートの設置を進めているほか、報道各社に取材船で臨時制限区域に入らないよう呼び掛ける文書を送付するなど、警備態勢を強化している。国は国内最大級の作業船を導入し、早ければ月内にもボーリング調査を開始する予定で、護岸建設などの本体工事着手に向けた態勢を早急に整える考えだ。


PS(2017年4月26日追加):*6-1のように、今村復興大臣が「社会資本の毀損も25兆円という数字があり、まだ東北のほうだったからよかったが、もっと首都圏に近かったりすると莫大な額になる」と述べたのは、首都圏だったら数千兆円の損害になったかもしれないので真実ではあるが、「東北のほうだったからよかった」という言葉は、被害者自身は1人であっても大変なので不要だった。その点、新復興大臣の吉野氏は、東日本大震災復興特別委員長及び環境副大臣等を務め、まさにフクイチの地元である衆院福島5区選出の衆議院議員であるため、より真剣に東北の復興に取り組まれると考える。なお、原発が人口密度の低い地域に建設されたのは、まさに今村氏が述べた理由によるのだが、原発事故が起これば10km圏、30km圏どころか250km圏まで汚染されることが明白になったのである。
 そのため、*6-2のように、再エネによる発電を地域主導・産直で進めると、「原発は避けて再エネの電気を使いたい」という需要を満たすことができる上、エネルギー代金が地域から外に流出せずにすむので、生協だけでなく、全農も発電・配電子会社を作って地域に電力を供給すれば、再エネ開発が進んでよいと考える。

*6-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170425/k10010961341000.html (NHK 2017年4月25日) 今村復興相の後任に吉野正芳氏を起用 安倍首相方針固める
 安倍総理大臣は今村復興大臣が東日本大震災に関連し、被災者を傷つける発言をした責任を取りたいとして辞任する意向を固めたことを受けて、後任に、衆議院の東日本大震災復興特別委員長で、環境副大臣などを務めた自民党の吉野正芳氏を起用する方針を固めました。今村復興大臣は25日、みずからが所属する自民党二階派のパーティーで講演し、東日本大震災に関連して「社会資本などの毀損も、いろんな勘定のしかたがあるが、25兆円という数字もある。これは、まだ、東北のほうだったからよかったが、もっと首都圏に近かったりすると、ばく大な額になる」と述べました。今村大臣はその後、発言を撤回し謝罪しましたが、このあと同じパーティーに出席した安倍総理大臣は「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言で、総理大臣として、おわびをさせていただきたい」と述べ、陳謝しました。こうした中、今村大臣は被災者を傷つける発言をした責任を取りたいとして、復興大臣を辞任する意向を固め、26日午前、総理大臣官邸で安倍総理大臣に辞表を提出する見通しです。これを受けて安倍総理大臣は、内閣の重要課題と位置づける東日本大震災からの復興や、国会審議などへの影響を最小限に抑えるため、後任人事の調整に入り、今村大臣の後任に衆議院の東日本大震災復興特別委員長で、環境副大臣などを務めた自民党の吉野正芳氏を起用する方針を固めました。

*6-2:https://www.agrinews.co.jp/p40701.html (日本農業新聞論説 2017年4月25日) 再エネ発電 地域主導で産直もっと
 農山村にある太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(生物由来資源)の再生可能エネルギーによる発電を地域主導でもっと進めたい。これまでは大手企業の地方進出による大規模発電が目立ち、開発トラブルも絶えない。一方で、安全でクリーンな再エネ電気を望む国民は多い。地元での収入確保と消費者との結び付きの両方がかなう、産直型の再エネ発電に挑む価値は大いにあろう。一般家庭が電気の購入契約先を自由に選べる電力自由化が、4月で2年目に入った。大手電力10社の地域独占が崩れ、電気小売り事業に新規参入する企業「新電力」も増えた。だが、この1年で契約を大手電力から新電力に切り替えた家庭は全体のわずか5.4%。しかも、その切り替えは大都市圏に集中し、新電力が少ない地方は低調だ。東京電力福島第1原子力発電所事故以来、「原発は嫌だ」「再エネ電気を使いたい」という安全・安心志向の家庭は多い。それでも契約切り替えが少ないのは、再エネ電気を供給する新電力がごく一部に限られるからだろう。実際、農山村で発電された再エネ電気をいわば産直契約で主体的に扱う新電力は、ほとんど生協系でしか見当たらない。首都圏で先行しているのは、生活クラブとパルシステムの2生協。組合員に野菜や果実、米、肉・卵、牛乳など共に、再エネ電気の共同購入を勧めている。脱原発、地球温暖化防止に向けた実践的な消費者運動との位置付けだ。だが、両生協とも子会社の新電力は採算ベースには乗っていない。供給規模が小さく、薄利多売で利益を得る電力事業では苦戦が続く。農山村側に産直契約をしてくれるところが少なく、今後も組合員への供給量は段階的にしか増やせない。他方、大手企業による地方での再エネ発電は増えているが、売電先は地域の大手電力会社が大半だ。目的が売電利益だけなら、あえて産直型にはしない。結局、地元で再エネ電気を扱う新電力が育たず、消費者が使いたくても購入先がない地域がかなりある。発電では売電先の選定が重要だ。国の再エネ電気の固定価格買取制度を使えば、どこに売っても同額で差がない。ならば、こだわりの消費者とつながる新電力に売る産直型の方が、お互いの顔が見える関係を築ける。地方での購入可能地域の拡大にも役立つ。わが国の2015年度の再エネ発電は電力全体の14%にすぎないが、ここ数年で増加。政府は地球温暖化防止の国際約束として30年度には22~24%にまで高める。農山村での発電は地域主導が望ましい。そのための農山漁村再エネ法施行から3年になるが、実施への基本計画作成は昨年末で29市町村にとどまる。環境先進国ドイツのように、安全・クリーンの価値を認め合う産直連携を広げながら、再エネ発電を増やしたい。


PS(2017年4月27日追加):鹿児島県の川内原発も、過疎地にあるため原発適地とされたよい例だろうが、原発事故時には「風下になった地域では農地が汚染され、長期にわたって農作物が汚染される」「汚染水で付近の海が汚染されて水産業ができなくなる」「汚染範囲は原発の周囲に留まらない」「大地震・津波・大規模な火山噴火が発生する可能性もある」などは考慮されておらず、*7-1のような専門委員会のご都合主義の安全宣言も信頼に値しないことは証明済である。そのため、*7-2のように、少なくとも30キロ圏内の市町村の意見は聞くべきだ。
 さらに、私は、対馬市などの日本海側の関連地域が、韓国の裁判所に提訴することによって、韓国釜山地区にある古里原発等の危険性を問えば、韓国内でも原発の危険性に関する意識が上がるのではないかと考える。

*7-1:http://qbiz.jp/article/107269/1/ (西日本新聞 2017年4月27日) 川内2号機「問題なし」 鹿児島県専門委
 鹿児島県は26日、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の安全性などを議論する専門委員会の本年度第1回会合を開いた。九電が2号機で実施した特別点検と定期検査の結果、特に問題なかったと報告。委員から指摘が出ていた、ゆっくり繰り返す長い揺れ「長周期地震動」についても「影響は及ばない」と回答した。会合後、座長の宮町宏樹鹿児島大大学院教授は「1、2号機の装置は同じ。5月に予定する次回会合で1号機と同様に問題ないと了承する」との見通しを示した。専門委は次回に意見を取りまとめて三反園訓(みたぞの・さとし)知事に提出し、これを基に知事が2号機の稼働の是非を判断するとみられる。2号機は既に定期検査を終え、3月24日に営業運転に復帰している。

*7-2:http://qbiz.jp/article/108270/1/ (西日本新聞 2017年4月25日) 「再稼働、長崎の声黙殺か」 30キロ圏内、住民 憤りと落胆と 玄海原発 佐賀知事同意
 佐賀県の山口祥義知事が玄海原発(同県玄海町)再稼働への同意を表明した24日、原発30キロ圏内にある長崎県内の住民からは「長崎の声は黙殺か」などと憤りや落胆の声が上がった。原発から8キロに位置する松浦市鷹島町にある新松浦漁協の志水正信組合長(69)は「鷹島では住民説明会が1度あっただけ。漁業者として再稼働同意は残念で許し難い。反対の意思を伝える海上デモの準備を進める」と怒りの声。一方、同市議会の高橋勝幸議長は「佐賀県知事は国策を重く受け止めたのだろう。それぞれの立場がある」と述べるにとどめた。30キロ圏内に含まれる平戸市田平町の森文明さん(64)は「国の政策が上意下達され、地方はないがしろにされる政治状況はいかがなものか」と苦言。同市大久保町の障害者支援施設「平戸祐生園」の佐藤慎一郎園長は「国は再稼働を急がず、万一の場合の補償や支援も含め、30キロ圏内の住民に時間をかけて説明してほしい」。同市議会の辻賢治議長は「市民の安全、安心を考えれば、実効性のある避難計画の確立が国の関与で万全なものにならない限り、議会として反対の立場は変わらない」と話した。壱岐市郷ノ浦町の特別養護老人ホーム「光の苑」の武原光志施設長(66)は「入所者が60人いる。再稼働するのであれば避難先などの環境を整えてほしい」と曇った表情。同市で反対活動をしている「玄海原発再稼働に反対する市民の会」の中山忠治会長(69)は「同意の判断は残念。署名活動は4月で終わるが、脱原発を目指し、今後も反対運動を続ける」と強調した。県内では30キロ圏内の松浦、平戸、壱岐、佐世保の4市が連携し、避難計画などへの国・九電の関与を県を通して求めている。中村法道県知事は「佐賀県知事は総合的に判断されたと認識している。関係自治体と連携し、諸課題の解決に努めたい」とするコメントを発表。松浦市の友広郁洋市長は「大型連休明けにも県と4市で協議の場を設けることになった」と話した。
●壱岐市議会も再稼働反対
 壱岐市議会は24日の本会議で、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働に反対する意見書案を全会一致で可決した。原発から30キロ圏内にある長崎県内の市議会では平戸、松浦両市が既に可決している。意見書では「県は住民説明会で再稼働への理解を求めているが、市民からは安全性や避難への不安をぬぐえないなどの声が相次いでる」「市は30キロ圏内地域の中では最も人口が多い離島で、事故が発生すれば壊滅的な打撃を受ける。離島からの避難は船舶が主で、全島民が避難するには5日半かかる」などと指摘。その上で「国の責任で、原発の安全性検証の手段や実効性ある避難計画などが確立されることがなければ、市民の安全を守ることができないと判断し、市民の理解が得られない限り、玄海原発再稼働に反対する」などとしている。


PS(2017年4月28、30日追加): 「教育無償化のために憲法改正が必要」とする意見があるが、日本国憲法で規定されているのは、*9-1の「第23条:学問の自由」「第26条:教育を受ける権利、義務教育の無償」であるため、3歳~18歳を義務教育と法律に定めれば、憲法を変更しなくても幼児教育から中等教育までの無償化を憲法で規定できる。これにより、16年(現在なら4年制大学まで卒業できる期間)かけて幼児教育から中等教育までを無償で行うため、親の経済力にかかわらず、子は必要な教育を受けることができるようになる。また、3歳くらいの早い時期から始めた方がよい科目も始められ、全体としては充実した内容を、しっかり教育することができる。そして、教育は、国にとっては投資であるため、一般財源からその費用を出すべきだ。
 なお、*9-2のように、教育改革よりも憲法の変更を目的として「高等教育も無償化すべき」と主張する人もいるが、高等教育を受ける必要があるか否かは職業によって異なり、初等・中等教育を充実していれば教養や見識のある市民を育てることができる。そのため、高等教育は、①公立大学の授業料を月額1万円程度まで下げる ②公立大学の入学金も10万円程度まで下げる ③高等教育で学んでもらいたい学生には、性別や国籍を問わず生活費も賄える奨学金を渡す ④安価で質の良い学生寮を整備する などの政策の方が、教育の機会均等や平等には憲法変更より有効だと考える。そして、奨学金は、国や地方自治体だけでなく、高等教育を受けた人材を活用する企業やその大学の卒業生などが作って給付対象者を選別してもよいだろう。

*9-1:http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM (日本国憲法 関連個所抜粋) 
第23条 学問の自由は、これを保障する。
第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける
     権利を有する。
   2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせ
     る義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

*9-2:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170318-00081574-playboyz-pol (Yahoo:週プレNEWS 2017/3/18) 「高等教育無償化」は警戒すべき! 安倍首相が目論む“憲法9条改正”への布石
 安倍首相が次期衆院選を2018年秋以降に先送りする検討を始めたという。その思惑はどこにあるのか?『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、これは安倍首相の“憲法9条改正へのシナリオ”だと警戒する。
* * *
 次期衆院選について、「首相が任期満了ギリギリの2018年秋以降に先送りする検討を始めた」と、新聞各紙が伝えている。次期衆院選はこれまで、今年の秋と予測する声が大半だった。それをさらに1年も先送りにする。これが本当なら安倍首相の思惑はどこにあるのだろうか? その答えを知るカギのひとつが3月5日の自民党大会にあった。この冒頭のあいさつで、首相はこう力説したという。「憲法改正に向け、具体的な議論をリードする。それが自民党の歴史的使命だ」。昨年の党大会では、安倍首相は改憲についてひと言も触れていない。その時と比べると、大きな変化だ。現在、自民は衆参で改正発議に必要な3分の2の議席を持っている。おそらく、首相はその議席数をキープできる来年末までに、憲法改正をやり遂げてしまおうと腹を固めたのだ。ただし、首相が狙う9条改正は容易ではない。平和憲法は広く国民の間に根づいており、そのシンボルである9条の改正には極めて強い抵抗が予想される。そこで首相が新たに持ち出そうとしている改憲項目がある。「教育無償化」だ。憲法26条では、「義務教育は無償」と書かれているが、これを受けて実際に行なわれているのは小・中学校までの無償化である。本来は、今すぐにでも義務教育の範囲を拡大して高校の無償化を実施すればよい。しかし、その前に、憲法の条文を改正して、高校まで入ることを明文化しようというのだ。教育無償化を高等教育にまで拡大するため、憲法改正したいと提案されて、表立って反対できる人は少ないだろう。望めばだれでも国の負担で高等教育を受けられる制度が憲法で保障されることは、良いに決まっている。だが、注目すべきは憲法改正による教育無償化を最も熱心に主張しているのが、「日本維新の会」ということだ。安倍・自民が憲法改正の最初のメニューに教育無償化を打ち出すということは、維新の政策を受け入れたことを意味する。そこに首相の計算が透けて見える。まずは来年の秋までに26条の改憲を実現させることで、教育無償化の言いだしっぺの維新に花を持たせる。国民の憲法改正アレルギーが払拭されるとともに、当然、維新の評価・支持率も高まるだろう。その上で自民、維新で憲法改正の連合軍を作り、次期衆院選を戦う。次の選挙で自民は30前後議席を減らすとの選挙分析があるものの、そのマイナス分を維新が他の政党に競り勝って確保してくれれば、全体としては改正の発議に必要な衆参3分の2の勢力を維持できる。来年9月には首相は3期目の党総裁選に勝利して、21年9月までの長期政権運営に乗り出しているはずだ。衆院選で維新とともに3分の2を取れば、いよいよ、本丸の9条改憲への道筋がはっきり見えてくる。このシナリオに死角があるとすれば、小物感の強い松井一郎府知事の下で維新の党勢がじり貧になっていることだろう。しかし、来年秋までに橋下氏が政界復帰するという観測がここに来て急速に高まっている。維新関係者の希望的観測かもしれないが、橋下氏が登場すれば、維新フィーバー再来も夢ではない。教育費をタダにする――国民が歓迎しそうな改憲メニューを“9条改正”の布石にしようと目論む安倍・自民。警戒を怠ってはならない。
●古賀茂明(こが・しげあき)
 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年に退官。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)。インターネットサイト『Synapse』にて「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中


PS(2017.5.4追加): 100%の人が高等教育を受けるわけではないため、高等教育の無償化はむしろ不公平を招く。また、義務でない場合の無償化は対象者の意思決定に誤った影響を与えるため、サービスを利用する人に少しは負担させる形式の方がよく、これは、誰が対象であれ医療費の無料化も同じである。さらに、憲法をいじる必要のない教育無償化をだしにして、自民党憲法改正草案のような非民主国家に逆戻りさせる憲法改悪が行われるきっかけにされるのは大きな問題だ。首相は「2020年を新しい憲法が施行される年にして、日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだ」と言っておられるが、①どういう新しい国に生まれ変わるために ②現行憲法のどこが不備だから ③どのように変えたいのか を具体的に示すべきである。そうすれば、その夢の適切性や意図どおりになるか否かについて、次のディスカッションができるのだが、「憲法をよく読んだことはないが、(敗戦後に押し付けられた憲法だから)現行憲法を変更すること自体が夢」で、説明は国民を説得するための手段にすぎないというのは論外なのだ。

  
     2016.8.12東京新聞     昭和天皇の御名御璽      ポイント  

(図の説明:これまで「敗戦後に日本の国力を弱めるため米国によって押し付けられた」と説明されることが多かった日本国憲法9条は、実は幣原首相が提案したものだと米上院でマッカーサーが証言していた。その憲法には、①国民主権 ②平和主義と戦力不保持 ③基本的人権の尊重 が記載されており、昭和天皇が深く喜んで交付せしめるとしている)

*10:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170504&ng=DGKKZO16046710U7A500C1PE8000 (日経新聞 2017.5.4) 首相メッセージ要旨 高等教育無償化にも意欲
 安倍晋三首相(自民党総裁)のビデオメッセージの要旨は次の通り。憲法は国の未来、理想の姿を語るものだ。私たち国会議員はこの国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならない時期にきている。例えば憲法9条。今日、災害救助を含め、命懸けで24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く任務を果たしている自衛隊の姿に対し、国民の信頼は9割を超える。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在する。「自衛隊は違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任だ。私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきだ。もちろん、9条の平和主義の理念については未来に向けて、しっかりと堅持していかなければならない。「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方は、国民的な議論に値するだろう。教育の問題。70年前、現行憲法の下で制度化された普通教育の無償化は、戦後の発展の大きな原動力となった。70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならない。私はかねがね夏季オリンピック、パラリンピックが開催される2020年を未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきた。20年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っている。自民党総裁として憲法改正に向けた基本的な考え方を述べた。これを契機に国民的な議論が深まっていくことを切に願う。


PS(2017.5.20追加):政府は、子育てや教育にかかる負担を社会全体で分かち合うと称して、*11のように、教育無償化や待機児童対策の財源として年金等の保険料に上乗せして徴収する“こども保険”制度の検討に入るそうだが、教育財源の不足は教育に対する国家予算の優先順位が低すぎるのが問題なので、公的保険等で国民負担を増やして教育費用を賄おうという発想はセンスが悪すぎる。また、今後、子育て費用のかかるリスクがない人(既に自前で子育てを済んだ人やさまざまな理由で子どもを持っていない人)にまで保険料を支払わせるのは不公正である上、保険制度にも合わないため、もし“子ども保険”を作るとすれば、今後、子育てで費用がかかるリスクのある人で保険に入りたい人に限るべきだ。そのため、“子ども保険”を作るとすれば私的保険が適しており、その点は誰もがリスクを有する年金・医療・介護とは根本的に異なる。

*11:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170520&ng=DGKKZO16659010Q7A520C1MM8000 (日経新聞 2017.5.20) こども保険検討へ、教育向け新財源、税・拠出金と比較
 政府は、教育無償化や待機児童解消などをまかなう新たな財源として、年金などの保険料に上乗せして徴収する「こども保険」制度の検討に入る。税金や企業からの拠出金でまかなう案などと比較検討し、早ければ年内にも方向性を出す。少子高齢化が急速に進む中、子育てや教育にかかる負担を社会全体でどう分かち合うのか。財政論を超えて国民的な議論を呼びそうだ。政府は6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)でアベノミクスの柱の一つとして教育や子育てといった人材投資の強化を盛り込む。財源として(1)税(2)拠出金(3)社会保険料――の3案を明示する。具体的な検討は今夏にも政府内に「人材投資会議」(仮称)を新設し、教育無償化の範囲などと併せて進める見通しだ。「こども保険」構想はもともとは自民党の小泉進次郎氏ら若手議員が小学校就学前の教育費の負担軽減策として打ち出したものだ。小泉氏らの提言によると、まずは社会保険料を勤労者、事業者とも0.1%ずつ上乗せして徴収。それによって得られる約3400億円で、児童手当を1人当たり月5000円増やすことができるとしている。さらに保険料の上乗せを0.5%まで増やせば、集まる財源は約1.7兆円。小学校入学前の子ども約600万人に児童手当を月2万5000円加算できるため、幼児教育・保育を実質的に無料にできる計算だ。最終的には上乗せ率を1.0%まで引き上げ、財源規模を3兆円規模に増やすことを想定する。「こども保険」の特徴は、現役世代で負担を共有し、将来世代へのツケの先送りを避けられることだ。並行して検討する税金でも消費税ならば国民全体から広く集められるが、すでに10%までの使い道は決まっている。社会保険は税金と異なり他の使途に使われることもなく、給付と負担の関係が明確で、国民の理解が得られやすいとの読みもある。政府が教育や子育て支援に必要な新しい財源の本格的な検討に入るのは、高齢化による社会保障の膨張が避けられない中で、新たな施策へ振り向ける財政的な余裕がなくなっていることがある。これまで日本の社会保障は高齢者優遇に偏っているとの声が強かった。自民党も選挙を意識して社会保障の削減には後ろ向きで、その分、子育てや教育への予算配分がおろそかにされてきた。「こども保険」の検討によって、社会保障の歳出抑制などの議論にも一石を投じる可能性がある。


PS(2017.5.27追加): *12のように、維新の党の提案を入れる形で自民党が進めようとしている高等教育無償化は、憲法9条変更のだしにすぎず、このような動機で憲法を変更すべきではない。また、日本国憲法は26条で義務教育の無償化をうたっているが、高等教育の無償化を禁じてはいないため、高等教育の無償化もやろうと思えばいつでもできる。そして、私は、国民全員を利する教育・社会保障を財源論とセットにして増税のだしに使うべきでもないと考えている。
 なお、どこまでが義務教育で、幼児教育・初等教育・中等教育・高等教育かは時代によって変わってよく、平成20年度で97%を超える生徒が進学している高校は、残る3%の進学できない生徒が人生で不利益を蒙らないためにも、義務教育にすべきだろう。
 そのため、私は、大学以降を高等教育とし、幼稚園から高校までを義務教育として無償化するのがよいと考える。また、大学の奨学金も、(子の方が未来に適合した考え方をする場合が多いのだが)親子で教育に関する考え方が一致するとは限らず、世帯収入が多いからといって100%の親が子の望む進学に金を出すとは限らないため、世帯収入とは関係なく学生全員を対象として渡すべきだと考える。そのよい例は、東大女子学生で、地方出身の女子生徒が東大に進学するのを周囲や社会に阻害されず、生活の心配なく受験できるように、東大女子同窓会が支払う女子学生への奨学金は合格前に内定し、東大が女子寮の便宜を図るようになっている。

*12:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0113953.html (北海道新聞 2017.5.27) 教育の無償化 改憲と切り離すべきだ
 安倍晋三首相が改憲の具体的項目として、9条への自衛隊明記とともに、高等教育までの無償化を挙げた。憲法は義務教育を無償と定めている。これを大学など高等教育まで拡大するよう、憲法に書き込むとの提案だ。貧富の差に関係なく、誰でも大学で学べる社会の実現に異論はない。だが、無償化は改憲しなくても可能だ。事実、民主党政権時代には高校が無償化されている。首相は誰もが賛同する教育無償化とセットにすることで、反対が根強い9条改正に踏み込もうとしているかのようにも映る。無償化が必要と考えるなら、改憲論議と切り離して、すぐにでも取り組むべきである。憲法は26条で義務教育の無償化をうたっている。その対象拡大を禁じているわけではない。だからこそ、民主党政権下で高校無償化法が成立し、公立高校の授業料は免除、私立高校にも就学支援金が支給され、事実上無償化が実現した。これを、選挙目当ての「ばらまき」と批判したのは野党だった自民党だ。事実、政権交代後は所得制限を設け、制度を後退させた。にもかかわらず、突然の「変節」である。教育無償化については、日本維新の会も憲法による規定を求めている。9条改正という目的達成に向け、維新の協力を得るために無償化を「だし」にするような手法であるなら、到底認めがたい。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の国内総生産に占める教育機関への公的支出割合は、比較可能な33カ国中32位だ。教育費の多くを家庭が負担している。こうした実態が少子化の一因にもなっている。教育の無償化は喫緊の課題なのだ。幼児教育から高等教育まで無償にすると、年間4兆円以上が必要とされる。財源を巡っては教育国債発行や、社会保険料引き上げによるこども保険創設などが出ているが、いずれも決め手に欠ける。さらに、世帯収入に関係なく全員を対象とするのか、無償化の範囲は幼児教育だけか、高等教育まで含むのか―など、実現に向けては難問が山積みだ。解決には、国会が党派の壁を取り払って、活発な議論を展開することが欠かせない。無償化を本当に実現したいのであれば、対立点の少なくない憲法を絡めて提唱したところで、逆効果ではないか。

| 年金・社会保障::2013.8~2017.4 | 10:46 PM | comments (x) | trackback (x) |

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