■CALENDAR■
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30       
<<前月 2018年09月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2018.5.5 セクハラと女性差別の範囲(2018年5月6、7、8、12、16、17、19、22日追加)

                 2018.4.30日経新聞

(図の説明:セクハラを受ける相手は同じ会社の上司が多いが、顧客・銀行・監督官庁等の場合は事業主だけでは対応できない上、セクハラ被害を受ける人は仕事の遂行力(=能力)がないことになるため、被害を訴えにくい。その結果、被害者は相談することができなかったり、相談してもマイナスの結果になったりすることが多いわけだ。従って、「セクハラは女性蔑視に基づく女性に対する人権侵害である」という社会的コンセンサスが必要であり、現代のセクハラの範囲は、性に直接まつわる言動だけでなく、女性上司を軽く見て部下が女性上司の指示を無視したり、銀行が女性事業者への融資に消極的だったり、相手方の担当者が女性の場合に嫌な顔をしたりするなど多岐に渡るのである)

(1)政治家や行政官のゴシップ
1)財務事務次官のセクハラについて
 財務省は、*1-1のように、2018年4月16日、週刊新潮で報じられた福田次官の女性記者に対するセクハラ疑惑に関する福田氏からの聞き取り調査の結果を発表し、福田氏は「報道は事実と異なる」「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」「相手が本当に女性記者かも全く分からない」「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」などと疑惑を否定し、記者クラブ加盟社に女性記者の調査への協力を要請した。

 私は、テレ朝(もしくは朝日新聞)の記者に、あやふやな情報を週刊文春に持って行かれ、事実とは異なるキャリアウーマン否定のヘイト記事を書かれて大変な迷惑をしたことがあるため(私が「名誉棄損」「侮辱」で提訴して勝訴済)、「テレ朝の記者が週刊新潮に情報を持ち込むのはどうか」と思ったが、週刊新潮の音声データはごく初歩のセクハラ発言で、本当にこのような発言をしたとすれば、福田次官に認識の低さと脇の甘さを感じざるを得ない。

 しかし、私も、*1-2のように、セクハラは問題だと考えるが、セクハラにせよパワハラにせよ被害者・加害者の職業は無関係であり、加害者扱いされたからといってそれが事実とは限らないため、証拠で確認することは必要不可欠である。また、「部下である官僚のセクハラで大臣が辞めろ」という要求は、報道各社のスタッフの誰かがセクハラをしても、その監督責任を理由として必ず社長が辞めなければならないわけではないのと同じで、法の下の平等に反する。

2)ある議員の認識について
 自民党の長尾衆院議員が、*1-3のように、セクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄されたそうだが、この女性蔑視の認識が男性に悪びれもせずセクハラさせる理由だろう。つまり、「セクハラは魅力ある女性に対して行うもので、議員のような女性はこれに該当せず、一般にセクハラされた女性は喜ぶものだ」という根拠なき妄想である。

 こういう男性は、遊び相手の女性と奥さんしか知らず、女性とセックス抜きの対等な立場で友人になったり、競争で女性に負けたりしたことがないのだろうと思うので、ここではっきり言っておくが、女性にも好みがあるので相手によってはセクハラをされると嫌悪感を感じ、仕事の邪魔をして足を引っ張る人は男女を問わず大嫌いなのである。

 さらに、私は、公認会計士や税理士などのプロ集団の中にいる時はこれほど初歩的なセクハラを受けたことはないが、国会議員になっていろいろな人と関わるようになると、初歩的なセクハラ発言から高度なセクハラまで、いちいち指摘すればきりがないほど出合ったので、女性国会議員はセクハラと縁遠くはないと思う。

3)セクハラの罪
 麻生財務相(77歳、戦前生まれの九州男児)は、2018年5月4日、*1-4のように、「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいう理由で処分した」「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」と発言されたそうだ。

 セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法で定義されており、「事業主が、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けたり、または性的な言動により当該労働者の就業環境が害されたりすることのないよう雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とされている。そのため、(1)1)の事業主(社長)が責任を取らなければならない場合とは、雇用管理上必要な措置を講じていない場合だが、その場合も厚労大臣による行政指導が行われるものの、事業主に対する罰則はない。(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf#search=%27%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9D%87%E7%AD%89%E6%B3%95%E6%8C%87%E9%87%9D%27 参照)

 また、職場におけるセクシュアルハラスメントは「対価型」と「環境型」の二つに分類され、上記のケースは対価型と環境型が合わさっているようである。

 そして、セクシュアルハラスメントを受けた労働者は、被害を回復するため、セクシュアルハラスメントの行為者やその雇い主である企業に対して損害賠償を請求することが可能で、裁判例では、セクシュアルハラスメントが被害者の人格権ないし人格的利益を侵害したと認められる場合には不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を認めている。

 なお、日本一、女性蔑視がきついと思われる鹿児島県の南日本新聞も、*1-5のように、「セクハラは人権侵害で許されない行為」「被害者に隙があったのではないかなどの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然」「男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない」と書いており、かなり進歩している。

4)セクハラの範囲
 ここまで書いてきたのは、性的言動を行うあからさまなセクハラだが、セクハラには、「女性は馬鹿で能力がないかのような表現をする」「女性の昇進を評価で妨げる」「女性にはリーダーの資質がないかのような先入観を植え付ける」「強い女性は悪い女性であるかのように書く」など、性的な言動は伴わないが仕事に悪影響を与える深刻な嫌がらせも多く存在する。

 そのため、性的言動を行うあからさまなセクハラはもちろんだが、性的言動は伴わないけれども仕事に悪影響を与えるこのような深刻な嫌がらせも現代のセクハラの範囲には含めるべきだ。そして、これは、米国では今から30年くらい前の1980年代後半には既に言われていたことである(「セクシャルハラスメントの社会学」参照)。

(2)セクハラへの対応
1)メディアの対応
 日経新聞社が、働く女性1000人に緊急調査したところ、*2-1のように、セクハラを受けた6割超が「仕事に悪影響を与えるから我慢した」そうで、女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められるとしている。ただし、ここでも「セクハラは性的な言動による嫌がらせ」とセクハラを狭く定義しているが、働きやすい環境とは、女性蔑視により女性の価値を減じられない環境のことである。

 なお、*2-2の民放労連や*2-3の新聞労連は、「財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントは看過できない」と抗議しており、それ自体はよいと思うが、米国のハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントは、芸能関係者が女優に対して行ったセクハラを発端とし、「#Me Too」として全世界に広がりを見せているのである。

 そのため、私は、放送産業内での女性に対するセクハラもなくすべきで、メディア内でセクハラや女性蔑視に関する認識が高まれば、社会の認識は変革できると考える。

2)総務大臣の対応
 野田総務相は、*2-4のように、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにされたが、それには、セクハラの範囲を性的言動に限らず広げて環境を整えることを義務化し、罰則をつけるのがよいと考える。

 ただ、セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が、財務次官にそのような性癖のあることがわかっていたのなら、録音するよりも他の記者と2人以上で行った方が、マイクをとりあげられる心配もなく、確実に身を護る方法になっただろう。

(3)セクハラの根源には、女性を性的対象としか見ない女性蔑視・女性差別があること
 「世界経済フォーラム」の2017年の男女格差指数で144カ国中138位(日本の順位は、144か国中114位であり、他の先進国よりもずっとサウジアラビアに近い)のサウジアラビアでは、*3のように、ムハンマド皇太子が改革を進めており、就業する女性割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げて、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁し、女性が働ける職場も増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可を廃止したそうだ。

 しかし、①男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーがいたり ②女性が給油係として働くことを中傷したり ③兄弟でさえ冷たい視線を投げかけたり するのに対して、女性が個人的に対応することは不可能であるため、サウジアラビアは早急に女子差別撤廃条約(http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/joyaku.html 参照)の締約国となり、日本と同様に男女雇用機会均等法を作るのがよいと考える。

<政治家・行政官のゴシップ>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201804/CK2018041702000123.html (東京新聞 2018年4月17日) 【経済】女性記者に協力要請 財務省調査 次官セクハラ否定
 財務省は十六日、週刊新潮で報じられた福田淳一次官の女性記者に対するセクハラ疑惑について、福田氏からの聞き取り調査の結果を発表した。福田氏は「報道は事実と異なる」として疑惑を否定した上で、辞任しない考えを表明した。財務省は同省と顧問契約を結んでいる弁護士に委託して調査を続ける方針を示し、記者クラブ加盟社には女性記者の調査への協力を要請した。立憲民主党など野党は政府に福田氏の更迭を重ねて要求した。財務省によると、福田氏の部下である矢野康治官房長が福田氏から聴取。福田氏は週刊新潮が自社のニュースサイトで公開した音声データについて「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」と話し「相手が本当に女性記者かも全く分からない」と答えた。ただ、音声が福田氏自身のものかについては明確にしていない。福田氏が複数の女性にセクハラ発言をしていたと報じられた点に関しては「女性が接客しているお店に行き、女性と言葉遊びを楽しむことはある」としながらも「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」と答えた。福田氏は新潮社を名誉毀損(きそん)で訴える準備を進めているという。進退については「反省の上、緊張感を持って職務に取り組む」と辞任を否定した。先週十二日発売の週刊新潮は福田氏が会食などの席で、財務省担当の女性記者に「胸触っていい?」などのセクハラ言動を繰り返していたと報道。麻生太郎財務相は内部調査せず、口頭注意でとどめる方針を示していたが、十三日に音声データが公開され、一転して調査を指示した。麻生氏は十六日の参院決算委員会で国費を使って弁護士に調査を依頼したことに関し「双方の言い分を聞くのは当然だ」と述べた。週刊新潮編集部は、「記事は全て事実に基づいたものです」とコメントした。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20180430/ddm/005/070/002000c (毎日新聞社説 2018年4月30日) セクハラと日本社会 これが21世紀の先進国か
 セクハラの実態を正確につかむことは不可能に近い。被害がなかなか報告されないのだ。なぜか。 財務事務次官を辞任した福田淳一氏のセクハラ問題は、その答えをわかりすぎるほどわからせてくれた。調査もせず口頭注意で済ませる。それが発覚直後の財務省の態度だった。報道した週刊新潮が問題発言の録音を公開し、「調査」を始めたが、被害者に「名乗り出よ」と言わんばかりの乱暴な手法だった。福田氏は「全体として見るとセクハラではない」と説明にならない説明を繰り返し、法廷で争うという。だが最も深刻なのは、次官を監督する立場にある閣僚が、セクハラの本質やその重大性をおよそ理解しているとは言い難い点である。
●被害者批判の理不尽
 「(加害者扱いを受けている)福田の人権は、なしってわけですか」「(福田氏が女性に)はめられて訴えられたとの意見も世の中にはある」。安倍政権ナンバー2の副総理でもある麻生太郎財務相は、福田氏をかばう一方で、被害女性があたかも福田氏をワナにかけたかのような発言をためらいもなく重ねた。財務省はようやく福田氏のセクハラを認め、処分を発表したが、その場に麻生氏の姿はなかった。セクハラと正面から向き合うという姿勢がみじんも感じられない。21世紀の先進国政府で起きているとは信じ難い恥ずべき事態である。「女性の活躍」を看板政策に掲げる安倍晋三首相はなぜ怒らないのか。さらに驚くのは、女性側の仕事に制限を求めるような主張が少なくないことだ。日本の経済界を代表する経団連の榊原定征会長は、福田氏の行為を「極めて不見識」と批判する一方、記者が異性と1対1で会うことは「さまざまな誤解を生みかねない」と記者会見で述べた。取材を受ける側の大半が男性である現状と合わせて考えれば、女性記者は誤解を招かぬよう夜間の1対1の取材は控えよ、という意味になる。また、異性間のセクハラのみを前提にするのも時代遅れだ。影響力のある人たちによる見当違いの発言は、被害者たたきをしても構わないという間違ったサインとなる。インターネット上で中傷が勢いづく。セクハラに甘い環境はそのままで、被害はいつまでも減らない。今回のセクハラ問題は被害者が記者だったことから、報道する側の倫理を問う意見も少なくなかった。まず、セクハラにせよパワハラにせよ、被害者の職業は無関係だということを指摘しておく。政治家でも警察官でも被害者は守られるべきだ。その上で述べたい。セクハラの立証は非常に厳しい。音声や画像など客観的証拠が乏しければ、逆に加害者から名誉毀損(きそん)で訴えられかねない。今回の録音は被害を訴える際不可欠な証拠である。
●社会全体が損をする
 セクハラ被害の報告を受けたテレビ朝日は自ら財務省に抗議し、そのことを報じるべきだった。それができなかったがために、記者はやむなく情報を週刊誌に提供した模様だ。もし彼女が途中であきらめていたら、今も福田氏はセクハラ発言を続けていたことだろう。今回の事例は氷山の一角だ。声を上げられないまま精神を病んだり、命を絶ったりする被害者もいる。発信の手段を持つ記者でさえ、セクハラと闘おうとすればひどい目に遭う。今回の事例が多くの女性に無力感を与え、口をつぐむ被害者が増えはしないか心配だ。あらゆるハラスメントは悪い。ただ、男性被害者も多いパワハラに対し、セクハラの被害者は女性に集中している。有効な防止策が打たれず被害が闇に葬られ続ける背景には、改善を主導できる地位にあまりにも女性が少ない現実がある。働く女性が性的対象としてしか見られない、尊厳が傷つけられてもあまり問題にされない社会で損をするのは女性ばかりではない。社会全体が活力を失い、国際社会からも尊敬されない国になる。英国では先週、女性の参政権100周年を記念し、運動家ミリセント・フォーセットの銅像が国会議事堂前の広場に建立された。「勇気は至る所で勇気を呼ぶ」。自身の演説の一節を記した旗を手にしている。基本的な権利を守ろうと立ち上がった一人の勇気がつぶされ、至る所で勇気の芽が摘まれる。そんな国は、現代の国際社会で名誉ある地位を占めることなどできない。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4S32YLL4SUTFK005.html (朝日新聞 2018年4月24日) 自民・長尾氏が謝罪 「セクハラと縁遠い方々」ツイート
 財務省の福田淳一事務次官のセクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄(やゆ)した自民党の長尾敬衆院議員(大阪14区)は24日朝、国会内で記者団に「『縁遠い』という表現は全くもって不適切だった。心から反省している」と陳謝した。長尾氏は「前回の厚生労働委員会の審議中、審議拒否という形で『#Me Too』行動されていた議員のみなさんの姿を拝見し、憤りを禁じ得なかった」と釈明した。長尾氏は20日、自身のツイッターに「#Me Too」と書いたプラカードを掲げて黒い服装で抗議する女性議員らの写真を掲載し、「セクハラはあってはなりません。こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!」などと書き込み、後に削除した。

*1-4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-712938.html (琉球新報 2018年5月5日) 減給理由は「役所に迷惑」 次官セクハラ巡り麻生氏
 麻生太郎財務相は4日、女性記者へのセクハラを報じられ財務事務次官を辞任した福田淳一氏について「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいろんな表現があるが、(そういう理由で)処分した」と述べた。マニラでの記者会見で語った。セクハラ行為を認定した上で減給とした財務省の対応とは食い違う説明になる。麻生氏は「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」とも発言した。その上で、福田氏がセクハラを否定していることを踏まえ「(福田氏の)人権を考えないといけない。言い分を聞かないと公平を欠く」と、これまでの主張を繰り返した。

*1-5:https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=92281 (南日本新聞 2018/5/4) [セクハラ問題] 人権侵害の認識持とう
 財務省は事務次官を辞任した福田淳一氏の女性記者へのセクハラ行為を認め、処分を発表した。福田氏の女性記者に対する言動は言うまでもなく、この問題を巡る財務省の対応や国会議員の発言はセクハラに対する理解不足や常識のなさを露呈した。その感覚の鈍さに驚くばかりだ。厚生労働省では局長が女性職員に対するセクハラで懲戒処分を受けた。これを機に、セクハラは人権侵害で許されない行為だという認識を社会全体で改めて共有したい。国内でセクハラという言葉が浸透したのは1989年である。上司から言葉による性的嫌がらせを受け退職を余儀なくされた女性が、元上司と会社に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴。地裁は女性の訴えを認めた。初めてのセクハラ訴訟は広く関心を集めた。被害者を法的に救済すべきだとの認識が高まり、改正男女雇用機会均等法で99年に事業主にセクハラ防止配慮義務が課された。だが、今回の財務省の件で、法制化から約20年がたっても理解が深まっていない状況が浮き彫りになった。セクハラは職場での労働者の意に反する性的言動が対象となる。力関係を背景に弱い立場の人に対し、歓迎されない性的関心を一方的に向けることで起きることが多い。性的な冗談やからかいも含まれる。被害者、加害者ともに性別を問わない。意図はどうであれ、相手に不快な思いをさせればセクハラだ。被害者に対する「隙があったのではないか」などの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然といえよう。防止のためには、どんな言動がセクハラに当たるか認識しなくてはならない。企業側は研修の場や情報の提供に努める必要がある。法制化に伴い、各職場で相談窓口の設置など環境改善が進んでいる。だが、問題が大きくなることや二次被害を恐れ、被害者が声を上げにくい状況にも配慮したい。鹿児島労働局にはセクハラに関する相談が2016年度に79件、17年度も70件近く寄せられた。企業側は防止策が有効に機能するよう一層努めてもらいたい。これまで、被害者の大半を占める女性の側がセクハラをうまくかわすことが求められる傾向にあった。周囲には見て見ぬふりをした人もいるのではないか。だが、それではセクハラはなくせまい。男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない。

<セクハラへのメディア等の対応>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180430&ng=DGKKZO29923370X20C18A4TY5000 (日経新聞 2018年4月30日) セクハラ受けた6割超が我慢「仕事に悪影響」、働く女性1000人 緊急調査
 財務省事務次官の辞任に発展したセクハラ疑惑の問題を受け、日本経済新聞社は、働く女性1000人を対象にセクハラに関する緊急調査を実施。被害に遭った女性の6割超が「我慢した」と答え、その多くが「仕事に悪影響を及ぼすから」と相談もできずにいる実態が分かった。女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められる。セクハラは性的な言動による嫌がらせのこと。1986年の男女雇用機会均等法の施行により女性の社会進出が進んだことや、企業の海外進出が進み、米国で日本企業が現地社員らに訴えられたことなどで、経営課題として認識されるようになった。企業には、99年施行の改正男女雇用機会均等法でセクハラ防止の配慮義務が課され、2007年の法改正でセクハラ対策は措置義務になった。だが意識改革はなかなか進んでいない。男性中心の企業文化が残るなか、被害に遭っても行動に出られない女性が多い。セクハラを受けた女性(全体の42.5%)にその際の対応(複数回答)を尋ねると「我慢した」は相手が社内の場合(以下、社内)で61.3%。相手が社外の場合(以下、社外)は67.7%と7割近くに高まる。女性らの間に、かえって状況悪化を招きかねないとの懸念が強いとみられる。我慢した理由(複数回答)は「仕事に悪影響が出るから」が社内外を問わず最多。社外は57.8%と6割近くで社内(42.2%)を15ポイント以上引き離す。商談への影響を考え、社内以上に対応に苦慮している。続いて多かったのは、社内・社外ともに「相談しても状況は改善・解消しないと思った」で3割超だ。過半数が我慢する一方、少数ながら被害を受けて動く人もいる。相手に「直接抗議した」は社内の場合で18.4%。「相談した」は社内・社外ともに24%台だった。相談した相手(複数回答)は、社内外ともに「会社の同僚」が4割超でトップ(社内49.5%、社外42.4%)。専門的な対応が見込める「会社の相談窓口・担当者」は社内の場合で24.2%。「労働局」は同7.7%だった。ただ、相談しても状況の改善・解消にはつながりにくいようだ。相談した人にその後の状況を聞くと、社内の場合、過去からの案件も含め「改善・解消」は17.6%にとどまった。一方で「すべて何も変わらなかった」は28.6%と3割近く。これに「一部は改善・解消」(53.9%)を合わせると、相談しても納得できなかった案件がある割合は82.5%と8割を超える。法律では企業にセクハラ相談窓口の整備が義務付けられている。職場のセクハラ防止策(複数回答)はどうなっているか尋ねたところ、最も回答割合が高い「セクハラ防止に向けた社内規定がある」でも28.4%と3割に満たない。「社内に相談窓口がある」は24.8%。「セクハラ防止のための研修がある」は14.8%。対策の遅れが目立った。仕事相手からのセクハラ防止に向けて必要なこと(複数回答)を尋ねると「社会全体として男性の意識改革を進める」が45.5%でトップ。被害実態に関する自由回答にも「大人なんだからそれくらい良いだろ、とこっちが悪いみたいな言い方をされた」(メーカー営業、35歳)などの記述があり、セクハラ被害への認識は男女に大きな開きがある。「セクハラ」という言葉が日本企業に広まったのは80年代後半のこと。いつまで女性は我慢しなければいけないのか。男性が被害者の痛みと真剣に向き合わないと問題は解決しない。
*【調査の概要】正社員・正職員として働く20~50代の女性を対象に2018年4月24~26日、調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代250人ずつ計1000人から回答を得た。

*2-2:http://www.minpororen.jp/?cat=7 (日本民間放送労働組合連合会中央執行委員長 赤塚オホロ 2018年4月25日) 声明・報告:民放連へ「セクハラ問題」で緊急の申し入れ
一般社団法人日本民間放送連盟会長 井上弘 殿
 財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、民間放送各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるよう強く申し入れます。

*2-3:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180422-1.html (新聞労連 2018年4月22日) セクハラに我慢するのはもうやめよう
 権力を笠に着る者たちからの、人としての尊厳を傷つけられる行為に我慢するのはやめよう。「私に非があったのかもしれない」と自分を責めるのはもうやめよう。同僚や先輩、上司に訴えても聞き入れられず、「受け流せ」「事を荒立てるな」と言われて黙認され、屈辱的な気持ちを抱えてきた。取材先で、取引先で、社内で、耐えることが評価の材料にされ、都合の良いルールを押しつけられてきた。訴えようとすると、「会社の恥を出すな」「面倒な奴」だと揶揄され、なかったことにされてきた。財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑を訴えた仲間をはじめ、これまでも意を決してセクハラを訴え出た仲間に敬意を表したい。守ってくれると信じて打ち明けた上司に受け止めてもらえなかった仲間の気持ちを思うと、どんなにつらく、腹立たしい思いをしたのだろう。私たちもショックで、悔しくてならない。仲間の勇気ある行動に続いて、私たちは手を携え、真実を追求し、向き合っていく。健全なジャーナリズム組織であり続けるために、会社は最優先で私たちの人権を守ってきただろうか。セクハラを黙殺するような対応を取り、泣き寝入りを強いることがあってはならない。社内・社外ともにセクハラは断固として許さないという強い決意や、加害者と闘う姿勢を見せてほしい。もし、取材先や取引先の担当から女性を外せば問題は起きない、と考えているとしたら、根本的解決から逃げている。セクハラや性暴力を告発する米国発の「#MeToo」運動を、自らの身に引きつけて振り返ってみると、私たちも長い間セクハラをやり過ごしてきた。セクハラで傷つき、職を辞した仲間たちを見てきた。これ以上、このような状況を見過ごし、受け入れることはできない。こんな不条理や屈辱はもう終わりにしよう。セクハラは性差別であり、性暴力であり、人権侵害だ。力の差を利用したセクハラの容認は、人権侵害と権力側の暴挙を許しているのと同じことだ。そうした態度が、権力側に見透かされ、つけ入る隙を与えている。私たちが無くしていかなければならないのは、セクハラ行為と、その加害者や行為を黙認する態度や組織だ。性差を超えて、立ち向かおう。仕事にセクハラはいらない。私たちは、言葉を社会に届ける専門職集団だ。セクハラにNOと言おう。言葉でNOと示そう。私たちは一人じゃない。
女性集会参加者一同

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018042902000126.html (東京新聞 2018年4月29日) 【政治】セクハラ防止「法整備検討」 野田総務相、被害経験も語る
 野田聖子女性活躍担当相は二十八日、前財務次官のセクハラ問題を踏まえ、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにした。「セクハラを完全に解決できるよう法律をつくり替えるのか、新法をつくるのか、いろんなやり方がある」と、神戸市で開かれたシンポジウムで述べた。野田氏はセクハラの実態を把握するため、新聞やテレビなどの女性記者と懇談の場を設ける意向を示しており、法整備の議論に活用するとみられる。シンポジウムでは、自身の落選中に男性有権者からセクハラを受けていたことを明かし「耐えて耐えて耐えるしかなかった」と振り返った。セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が福田氏と一対一で会食したことに、一部から批判が出ていることについては「それをしなければ生きていけないというシチュエーションは実際にある。私もそういう経験をした」と理解を示した。

<女性差別とセクハラ>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201805/CK2018050402000131.html (東京新聞 2018年5月4日) 【国際】<サウジ維新 普通の国へ>(上)女性初のGS管理者 自由へのハンドル応援
 ペルシャ湾に面したサウジアラビア東部アルコバール。海水浴場のそばにあるガソリンスタンドの店で、全身を覆う黒い衣装アバヤ(ニカブ)を着たメルバト・ブクハリさん(43)が慌ただしく動き回っていた。サウジ初といわれる女性のスタンド管理責任者。「清掃は行き届いているか」など毎週本社に提出する点検表に従って確認作業を続ける。昨年十月の開店から携わり、六月に迫る女性の自動車運転解禁を見据えて工夫を凝らした店だ。男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーが一人で給油できるようにコイン式を導入した。飲食店やホテル、子どもの遊具広場を備えた複合施設の中にあり「女性が訪れやすいようにするには、きれいなのが一番」と胸を張る。ところが、同じ言葉をツイッターに投稿した途端、「女性が給油係として働いている」と勘違いした人たちの中傷が相次いだ。「私は管理職です。給油ノズルは握らない」。そう釈明しても、兄弟でさえ冷たい視線を投げかけた。「この侮辱は、後に続く女性のために乗り越えなければならない階段ね」とブクハリさん。会社は病院経営やホテル事業も手掛け、女性社員が三割を占める。イスラム教スンニ派の中でも戒律が厳しいワッハーブ派が主流のサウジは、女性は「保護する存在」との教えに基づき、家事育児に専念すべきだとの考えが根強い男社会だ。「世界経済フォーラム」が策定した二〇一七年の男女格差指数では百四十四カ国中、百三十八位。ブクハリさんは十六歳でお見合い結婚し、子育てしながら高校に通った。しかし、望んでいた大学進学はかなわなかった。そんなブクハリさんにとって、ムハンマド皇太子が進める改革は「ドアが開いた」ようで、まぶしく映る。改革プランでは、就業する女性の割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げ、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁。女性が働ける職場は増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可も廃止した。ブクハリさんはスタンド管理の傍ら、新事業開始の準備にも追われている。起業したい女性に月一千リアル(約三万円)で展示場所を貸し、自作のデザイン雑貨や刺しゅう作品、香水などを販売してもらう計画だ。「今は考えている時ではない。好きなことに挑戦しチャンスをつかまないと時間の無駄になる」。アバヤからのぞく目が力強く輝いた。
    ◇  ◇
 中東の産油国サウジアラビアで、次期国王と目されるムハンマド皇太子(32)が二〇一六年四月に国家改革プラン「ビジョン2030」を発表してから二年が過ぎた。石油依存からの脱却を目指す構造改革は、イスラム教の教えを厳格に守るお国柄も変えようとしている。伝統と変革のはざまで揺れるサウジを歩いた。

<日本の銀行は、女性や新規事業に配慮してきたか>
PS(2018年5月6、7日追加):*4の「郵貯銀行の上限撤廃は民業圧迫の懸念が拭えない」という記事は誤っている。何故なら、郵貯銀行は、2017年9月30日現在、金融機関2.27%・金融商品取引業者0.28%・その他法人74.45%・外国法人等1.82%・個人その他21.16%が45億株の資本金のすべてを占めており、政府及び地方公共団体の出資は0であるため、既に官業ではなく民業だからだ。従って、顧客の利便性を高めるのは民間企業として当然で、その経営方法は公取法等の我が国の法律に違反しない限り自由である。
 それでも郵貯銀行の限度額撤廃で地銀からの預金流出が起こるとすれば、それは、長い期間、銀行業務をやってきたにもかかわらず、顧客を育てファンを増やすことをしなかった地銀側の怠慢によるだろう。私がこう言う理由は、日本の銀行は優秀な人材を採用してきたにもかかわらず、著しく男尊女卑で、顧客ニーズよりも金融庁(旧大蔵省)を見て仕事をし、女性行員のアイデアや女性事業者の立場はあまり考慮せず、顧客ニーズをとらえた仕事をしてこなかったことを知っているからだ。そのため、競争相手が増え、本当の顧客ニーズをつかまなければやっていけない(当たり前の)状況になるのはよいことなのである。
 なお、*4-2のような空き家改修にあわせて銀行が残りの資金を提供するなど、人口減少社会でも本当に必要とされる信用性の高い債権は、いくらでも創造できる。
 また、*4-3のように、「離島留学」が広がっているそうだが、これは「過疎地の活性化」に役立つだけでなく、透き通った海と山が近い離島で子どもたちを過ごさせれば、自然に親しみ、都会でゲームをしているよりずっと感性の形成に役立つ。そのため、東京・大阪などの大都市だけでなく、福岡・佐賀などの地方都市の子どもにもこういう教育は必要で、国交省だけでなく文科省や財務省も推奨して、そのための空家や学校の改修費は優遇すればよいと考える。なお、公務員や企業など大人の研修施設や研究所も離島の空き校舎を改修して作れば、自然に近い環境で繁華街に繰り出すこともなく、研修や研究に集中できるだろう。

*4-1:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/186826 (北海道新聞 2018年5月6日) 郵貯の上限撤廃 民業圧迫の懸念拭えぬ
 郵便貯金の預入限度額について、ゆうちょ銀行の親会社・日本郵政が撤廃を求めている。退職金などまとまったお金を受け入れられるよう仕組みを改め、利便性を高めたいのだという。道内などの過疎地には、ゆうちょ銀しか預け先がない地域もあり、利便性向上は必要だ。だが、地方銀行の代理店になるといった形で民間と連携・協業すれば、限度額を撤廃しなくとも使い勝手は良くなるだろう。政府が間接的に所有するゆうちょ銀は、国の信用を後ろ盾に巨額の貯金を集めている。民間との間で、公平な競争条件が確保されているとは言えまい。地銀からの預金流出など地域金融に歪(ゆが)みも生じさせかねない限度額撤廃は、時期尚早ではないか。この問題を審議している政府の郵政民営化委員会には慎重な検討を求めたい。政府が過半を出資する日本郵政は、将来ゆうちょ銀株を手放すことにしている。ただ、完全民営化の具体的道筋は未定だ。そうした中で、官業肥大の歯止めだけをなくす規制緩和に幅広い理解が得られるとは思えない。見過ごせないのは、日本郵政が限度額撤廃を求める理由として利便性向上のほか、事務コスト削減や省力化を挙げていることだ。限度額は、通常貯金と定期・定額貯金の口座を合計して1人1300万円と定められている。1300万円を超えた場合、利用者に通知したり振替貯金(無利子、上限なし)に移したりする。この費用と手間を省きたいという理屈だが、それはまず、ゆうちょ銀が現在のシステムを改善して解決すべきことだ。国内金融機関で飛び抜けて多額な180兆円の貯金を有するゆうちょ銀が、さらにお金を集めることにも危うさを覚える。ゆうちょ銀には融資業務がなく、貯金は運用に回す。超低金利を受け、運用では低利回りの日本国債を減らし、高利回り・高リスクの外国債券を増やしてきた。限度額撤廃で貯金がさらに集まれば外債比率が一段と高まり、運用リスクが上昇しかねない。巨大なゆうちょ銀の経営が揺らげば、日本経済全体に影を落とそう。古くから預貯金獲得を競ってきた地銀と郵貯は最近、地域活性化を後押しする投資基金の創設などで手を組む場面が増えている。ゆうちょ銀の拡大は協調の機運に水を差し、双方に無益な競争を再燃させる恐れもある。

*4-2:https://www.agrinews.co.jp/p43998.html?page=1 (日本農業新聞 2018年5月6日) 空き家改修費を助成 営農と生活 共に支援 山口県
 山口県は、雇用と独立双方での就農者の増加、定着を目指し、営農と生活を共に支援する事業の強化に乗り出した。従業員や構成員として受け入れる集落営農法人やJAに対し、住居となる空き家の改修費用を助成。住居の確保が就農の支障となる例が多いことから「県域では珍しい」(県農業振興課)パッケージ支援に踏み切った。法人など、就業者を受け入れる経営体を対象に、2017年度に事業を始めた。事業主体と住宅所有者が、5年以上の賃貸契約を結ぶことが条件。1カ所当たり改修費300万円を上限に、市町と3分の1ずつ助成する。18年度は、雇用以外に独立就農者を受け入れるJAなどにも門戸を広げた。営農面では、新規就業者らの受け入れに必要な機械や施設の整備を支援する事業がある。補助率は3分の1、整備費は10アール当たり2000万円が上限。住宅支援と合わせ、18年度は1億7400万円を計上した。県は「住む場所がなく、希望先に就農できないという声も多い。営農だけではなく、生活とのパッケージ支援が必要だ」(同課)と説明する。美祢市の農事組合法人第13営農組合では4月、福岡県から移住した常盤雄一さん(52)、佳子さん(51)夫妻が就業した。同法人は、集落にある築45年の空き家を、水回りを中心に約300万円かけて改修。県の事業を活用した。自己負担分の約100万円も法人が出した。夫妻は県立農業大学校で1年間、水稲や野菜栽培の基礎を学んだ。法人の一員として、米麦の基幹作業を担いながら、アスパラガス栽培を手掛ける。雄一さんは「独立就農は農地確保や初期投資のハードルが高く、就業を選んだ。生活拠点がなく資金面も余裕がなかったので事業は助かる」と喜ぶ。経営面積47ヘクタールの同法人は、高齢化や離農による人材難に悩んでいた。代表の吉村徹さん(71)は「新たな人材の確保、定着には周年の仕事と収入はもちろん、生活のサポートが不可欠だ」と強調する。

*4-3:http://qbiz.jp/article/133251/1/ (西日本新聞 2018年5月7日) 「離島留学」広がる 3年で倍の18市町村に 過疎地の活性化に期待
 自然豊かな島の小中学校に島外の子供を受け入れる「離島留学」が広がりつつある。人口流出と少子高齢化が進む中でも児童・生徒を確保して学校を存続させ、地域活性化につなげる狙いもある。子供たちにとっては、住民らに見守られて、島の伝統や文化に触れる貴重な機会になる。
●人のつながりや自然が魅力
 伊勢湾に浮かぶ答志島(三重県鳥羽市)は2018年度から留学制度を始め、名古屋市の岸上沙耶子さん(34)と小学1年の正太郎君(6)が親子で移住する「家族留学」を決めた。旅行で訪れたことがあり、夫も理解してくれたという。受け入れた子供には、地元のワカメ養殖などを体験してもらう。背景には中学校の生徒が22年度に30人を下回る見通しで、統廃合の対象となることへの危機感があった。沙耶子さんは「みんな子供を気にかけてくれて暮らしやすい。子供も年上の友達ができて自立心がついてきた」と話す。最初の3カ月は改装した空き家に月1万円で住むことができ、市から月2万円の補助金が2年間まで受けられる。島の有志らでつくる留学実施委員会の浜口正久会長(49)は「人のつながりが島の魅力。留学をきっかけに島に愛着を持つ人が増えてほしい」と歓迎する。
●九州の離島も次々と
 離島留学は、島内の家庭で子供を受け入れる「里親型」も多く、食費などに充てる委託料として月6万〜7万円程度を保護者らから受け取る。多くの自治体は離島振興法に基づく活性化交付金で委託料の一部を負担。16年度からは自治体負担の半額を国が支援できるようになった。このほか沖縄や鹿児島・奄美群島でも特別措置法に基づく留学制度がある。国土交通省によると、活性化交付金を使える離島留学は15年度の3県9市町村が18年度は7県18市町村へ増加。九州では、福岡県の地島(宗像市)、長崎県の久賀島(五島市)、佐賀県の馬渡島(唐津市)などで実施された。18年度は新たに長崎県の小値賀島(小値賀町)でも夏以降に児童・生徒を迎える見通し。国交省の担当者は「離島の暮らしを体験し、魅力を感じてもらえれば地域の活性化につながる」と期待する。

<セクハラに罰則は必要であること>
PS(2018年5月8日追加):*5-1の麻生財務相が、「セクハラ罪はない」「セクハラは親告罪で、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にならない」と言われたのは現在の事実であり、加害者が福田前財務事務次官であれ誰であれ、法の下に平等でなければならないのは確かだ。しかし、罰則がなければザル法であり、被害者の不利益が大きすぎるため、私は、*5-2で野田総務相が「セクハラへ罰則を必要なら検討する」とされているのは甘すぎるくらいで、洗練された巧妙なセクハラも含めて、ただちに罰則をつけるべきだと考える。
 なお、*5-3のように、「セクハラ発言は、受け流した世代の責任だ」と言うのは簡単だが、実際に責任をとることはできない。何故なら、セクハラの定義ができたのは1985年だが、未だ罰則もない状態で、立場が下の女性からは受け流すかかわす以外にやりようがなかったからである。さらに、セクハラに苦労していたのは、セクハラの定義ができた1985年以降だけではなく、それ以前はもっとひどかったわけで、それにもかかわらずセクハラに関係する法律は未だザル法で、実質的に社会を変える機会はやっときたということなのだ。

*5-1:http://qbiz.jp/article/133345/1/ (西日本新聞 2018年5月8日) 麻生氏、また「セクハラ罪ない」 持論重ねて主張、反発必至
 麻生太郎財務相は8日の閣議後の記者会見で、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題に関連し「『セクハラ罪』という罪はない」との持論を改めて主張した。訪問先のマニラで行った4日の会見で同様の発言をし、女性団体関係者らに抗議の動きが広がっていた。8日の会見で記者が「批判が出ている」とただしたのに対し、麻生氏は「事実を述べただけだ」と答えた。セクハラを容認する意図はないとも強調したが、重ねての発言に反発が強まるのは必至だ。麻生氏は「セクハラ罪はない」と述べる一方で「親告罪であり、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にはならない」との説明も繰り返した。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13483039.html (朝日新聞 2018年5月8日) セクハラへ罰則、「必要なら検討」 野田総務相が言及
 財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ問題を受け、野田聖子総務相兼男女共同参画担当相は7日、BS11の番組収録で、セクハラへの罰則を含めた法規制について「必要があれば検討していけばいい」と述べた。内閣府に有識者会議を設けて幅広く対策を検討する考えも示した。野田氏は、大型連休中に報道機関を含む民間企業で働く女性らから、セクハラ被害などの実態を聞き取ったという。具体的な内容には触れなかったが、収録後に記者団に対し「麻生大臣もセクハラ罪はないとおっしゃった。触ったらわいせつ罪などになるが、(セクハラの)言動はないとするならば議論しないといけない」と述べ、「(罰則が)あった方が抑止力になるのか、考えていきたい」と話した。会議の設置時期については「まだ考えていない」とした。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13482941.html (朝日新聞 2018年5月8日) (HUFFPOST)セクハラ発言、受け流した世代の責任
 財務省の福田淳一事務次官(4月に辞任)によるテレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題で、ハフポスト日本版編集主幹の長野智子さん=写真=が声を上げた。同局の「サンデーステーション」キャスターも務める長野さんは、「85年、私はアナウンサーになった。セクハラ発言『乗り越えてきた』世代が感じる責任」(4月21日)で、思いを明かした。長野さんは1985年、フジテレビにアナウンサーとして入局。当時、女性に対するセクハラ発言などは日常的に飛び交っていたが、この年、男女雇用機会均等法が成立していただけに、女性たちは「だから女は」と言われないよう、必死に耐え、受け流してきたという。福田氏は報道陣に対し、「言葉遊びのところが批判を受けて、なるほど今の時代はそうなのかと」と発言。長野さんは「昔は平気だったと言いたいのか」と憤り、「こういう男性を増長させたのは我々世代の女性なのか」とも記した。社会の様々な問題を伝えるメディア業界が変わらなければ、「社会は変わらない」とし、自身も努力したいと語った。

<女性の価値は子を産むことだけとは!>
PS(2018年5月12日追加):*6のように、「①あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけで、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」「②必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」などと言う為政者は少なくないため、私は、「それなら老後に年金をもらわなくてもいいので、契約で支払った分を直ちに返して欲しい」と言いたくなる。そうすると、独身やDINKSで働き続けた人には多くの払い戻しがあるが、専業主婦で子育てした主婦には借りこそあれ払い戻しはなく、その借りは、夫や子に払ってもらうのが筋だということが目に見えてわかるからである。また、人生にはいろいろな生き甲斐や成果があるため、「子どもに恵まれなかった」などという哀れみの文言は不要であり、「本当に公平・公正にやればこうなる」ということは、明確にしておくべきだ。
 さらに、専業主婦と子のいる夫は、妻と子の扶養控除を取って所得税もかなり減額されており、国や地方自治体が払う教育費は独身やDINKSの夫婦が支払った多額の税金で賄われていることも忘れてはならない。「しかし、少子化だから・・・」と言う人も少なくないが、このように言われながら育った子より外国人労働者の方がずっと高齢者に親切であろうし、そもそも少子化になった理由は厚労省はじめ政府の政策ミスであるため、仕事を選んで子を持てなかった人に対しては損害賠償をすることこそあれ、その人の責任にすべきではないのである。
 また、結婚式の席上で①②のようなことを言うのは、「いろいろなことを同時に考えられない」という意味で頭の悪さ丸出しである上、「子を産むことだけが貴女の価値だ」と言っている点で花嫁やその家族に失礼である(なお、子を産むだけなら、人間より鮭や蛙の方が優秀だ)。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018051001001831.html (東京新聞 2018年5月10日) 「3人以上の子どもを」と発言 自民・加藤氏、その後撤回
 自民党の加藤寛治衆院議員(72)=長崎2区=が10日の細田派会合で、結婚披露宴に出席した際に「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼び掛けていると紹介した。会合に出席した女性議員らから「これこそセクハラだ」と不快感を示す声が続出。その後、加藤氏は発言を撤回するコメントを発表した。会合で加藤氏は「いくら努力しても子どもに恵まれない方がおり、無理を言うのは酷だ」と指摘。披露宴では若い女性に対し「あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけですから、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」などと話していることを紹介した。

<政治分野の男女共同参画推進法成立>
PS(2018年5月16、17日追加):*7-1のように、「政治分野の男女共同参画推進法」が、5月16日に参院本会議で全会一致により可決・成立したが、TVはどの局もお天気(暑い)、新潟県での女児殺害(犯人が捕まった)などを繰り返すニュースばかりで、最も重要な「政治分野の男女共同参画推進法」については、その成立も意味も議論の過程も問題点も報道する局がないので、私は驚いた。カネか女に関わるゴシップにしか興味のないのが、現在の報道番組作成者のレベルだが、このような情報提供では選挙で国民が正しい選択をするのは難しい。
 しかし、高知新聞は、2018年5月17日、*7-2のように、①女性参政権が認められて70年以上経つのに女性議員の割合は国・地方とも著しく低い ②1980年代から政治分野の男女均等化を進めてきた海外とは歴然とした差がある ③条文は政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど自主的に取り組むよう努めることも規定しており、各党に積極的対応が求められる ④日本の衆院は10.1%で世界でも下位に位置し、都道府県議会の状況も厳しい ⑤高知県はその平均も下回る5.4%に留まる 等として、「社会の意識から変えていくきっかけにしたい」と書いており、この状況は田舎に行くほど著しいように思う。
 なお、*7-3のように、朝日新聞が、2018年5月17日、「赤松良子さんはじめ女性たちの粘りが道を広げた」と書いているのはよいが、私は、ずっと全力投球してきたのに社会から理不尽な差別を受け、遅れさせられたり不利益を蒙ったりしたため、女性差別によって蒙った損害については損害賠償請求したいくらいであって、悔しいから初めて頑張るようなレベルの低い人間ではない。そのため、「悔しさを力に」などと言うのは差別された側に対して著しく失礼な態度であり、何を考えているのかと思う。

   
           2018.5.17東京新聞   2018.5.17日経新聞

(図の説明:自民党・国民民主党・日本維新の会・公明党の女性国会議員割合は、10%代かそれ以下で著しく低いが、地方議員に占める女性割合はさらに低い。この状況が、男性目線に偏った政策ばかり行われてきた理由であると考えられ、当面、各党とも2020年までに女性議員の割合を30%以上にすることが目標となるだろう。しかし、女性でも票集めのパンダばかりでは政策を合理的に変更することはできないため《票も大切ではあるが・・》、人選は重要だ)

*7-1:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-719806.html (琉球新報 2018年5月16日) 政治:選挙の候補者数「男女均等」に 政治分野の共同参画法が成立
 議員立法の「政治分野の男女共同参画推進法」が16日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。国会や地方議会の女性議員を増やすため、選挙の候補者数を「できる限り男女均等」にするよう政党に促す。遅れている女性の政界進出を後押しする狙いだが、努力義務にとどめているため、各党の実行力が課題となる。条文は、衆院選や参院選、地方議会選に臨む政党と政治団体は、男女の候補者数の目標設定に「自主的に取り組むよう努める」と規定。国や地方自治体は(1)実態調査(2)啓発活動(3)環境整備(4)人材育成―で協力するよう求めた。罰則はない。公布日に施行される。

*7-2:https://www.kochinews.co.jp/article/183612/ (高知新聞 2018年5月17日) 【女性の政治進出】社会の意識から変えよう
 国会や地方議会の女性議員を増やすための「政治分野の男女共同参画推進法」が参院本会議で可決され、成立した。衆院選や参院選、地方議会選挙で男女の立候補者数を「できる限り均等」にすることを目指す。女性の参政権が認められて70年以上がたつが、女性議員の割合は国、地方ともに著しく低いのが現状だ。国際比較でも歴然とした差がある。女性の政界進出の遅れや共同参画社会の未熟さを象徴するものだ。新法は、男女が共同して参画する「民主政治の発展」を目的に掲げている。罰則のない努力義務ではあるが、全会一致で成立した。各党などには積極的な対応が求められる。条文は、政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど「自主的に取り組むよう努める」ことも規定した。国や自治体には、国内外の実態調査や啓発活動、人材育成などを要請している。海外では1980年代から、政治分野の男女均等化が進んできた。国によっては法で候補者や議席に男女の比率を定めたり、政党が自主的に均等化に取り組んだりしている。国会議員の国際組織「列国議会同盟」(本部ジュネーブ)によると、昨年の国会議員(下院もしくは一院制)の平均女性比率は23.6%と、4人に1人に近い。先進7カ国ではフランスが約40%に上る。これに対し日本の衆院は10.1%で、世界でも下位集団に位置する。先進7カ国では最下位である。都道府県議会の状況も厳しい。総務省によると、2016年末時点の女性議員割合は全国平均9.9%と1割に満たない。高知県はその平均も大きく下回る5.4%にとどまっている。新法が超党派の議員立法でようやく成立し、努力義務にとどまったことも、日本の政界の意識を示すものだろう。過去、女性を「産む機械」と発言した国会議員がいた。都議会では、男性議員が質問中の女性議員に「産めないのか」などとやじを飛ばし、批判された。最近は財務省のセクハラ問題で政府中枢の人権感覚が疑われている。女性議員が少ない現実と問題の根はつながっていよう。政官界だけの問題ではない。女性への偏見や女性の社会進出の遅れは社会全体の課題といえる。スイスの国際機関が発表した17年版「男女格差報告」で、日本の男女の平等さは144カ国中114位だった。企業の女性の管理職登用も遅々としている。子どもが保育園に入れず、女性が仕事復帰を諦めるケースが後を絶たない。子育てや家事は男性より女性の負担が大きい傾向にある。こうした問題が解決しなければ、女性の議員候補者も増えまい。新法の効果には不安も拭えないが、重要な一歩ではある。社会の意識から変えていくきっかけにしたい。もちろん先達となるべきは政界や官界の意識改革であろう。関係機関の姿勢が問われる。

*7-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13497275.html (朝日新聞 2018年5月17日) 女性たちの粘り、道広げた 候補者均等法「次世代のために」
 「私たちがやるしかない」――。女性議員を増やすことをめざす候補者男女均等法の成立に向けて尽力したのは、中心メンバーが70~80代の女性たちだった。性別ゆえに悔しい思いを重ね、何年もかけて粘り強く訴えてきた。その思いに刺激を受けた若い世代も、動き始めている。
■「長かったね」
 16日、東京・永田町にある国会の傍聴席には、法を後押しした約60人の女性たちの姿があった。電光掲示板に「賛成234、反対0」と表示され、法が可決した瞬間、小さくどよめきが起こった。傍聴したのは、女性の政治参画をめざす市民団体「クオータ制を推進する会(Qの会)」のメンバーら。「長かったね」「これからが大事だね」と喜びを分かち合った。国会議事堂の前で記念撮影をした際、女性たちは一輪のカーネーションを手にしていた。会の代表を務める赤松良子さん(88)は1985年、職場での男女平等に道を開いた「男女雇用機会均等法」を旧労働省の局長として成立させ、「均等法の母」と呼ばれる。「候補者男女均等法」が成立したこの日、赤松さんは体調不良で国会に来ることができなかったが、二つの「均等法の母」になった赤松さんへの感謝を込めたという。結婚退職が当たり前だった時代から働く女性の地位向上に力を尽くした赤松さんが、退官後に力を注いだのが政治への女性の進出だった。99年から女性候補に資金援助する活動を始めたが、女性議員がなかなか増えない。「日本は男女格差の国際ランキングで順位がとんでもなく低い。何とか引き上げるためには、政治に女性を増やさなきゃ」。そこで、候補者に占める男女の割合を定めるなどの仕組みが必要だと、会を2012年に立ち上げた。
■悔しさを力に
 会に集まったのは、志を同じくする労働省時代の同期や後輩、議員経験者、女性団体の活動を続けてきた高齢女性たちだった。議員会館で集会を開いては議員らを呼んで機運を高め、15年2月に超党派の議連が発足した。各政党での女性の進出への理解度の差や与野党間の対立もあり、法は何度も頓挫したが、粘り強くロビー活動を続けた。議員会館では衆参合わせて700人を超える議員の部屋をチラシを持って訪ね歩き、法の必要性を訴えて回った。赤松さんの労働省の後輩で、のちに参院議員を2期務めた川橋幸子さん(80)は、「1人だと心が折れちゃうから、2~3人のグループを3班つくって、半日かけて回った。みんな70歳を超えているから、本当に肉体労働だった」と振り返る。入省当時、霞が関で女性を採用していたのは労働省だけ。子連れで地方へ赴任した際は「(夫を)置き去り赴任」と批判された。「私たちの世代はずいぶん悔しい思いをした。次世代の女性たちのためにもっと道を広げたい」。そんな思いが、この法のためにかけずり回る原動力になった。メンバーがそれぞれの現役時代の経験や人脈を持ち寄り、会結成から6年で悲願がかなった。乳がんと闘いながら活動した埼玉県八潮市議の矢沢江美子さん(71)は、「私たちがやるしかない、という使命感があった」と振り返る。
■若い世代動く
 活動は、若い世代も巻き込んだ。母の友人に誘われて参加した武蔵野市の天野妙さん(43)は、議員会館での集会開催や議員へのアプローチなどのノウハウを学び、のちに待機児童問題を訴える「#保育園に入りたい」運動のリーダーになった。女性が直面する様々な課題を解決していこうと高校時代に学生団体を立ち上げた都内の私立大1年、大山友理さん(18)も「Qの会の人たちの強い思いに刺激を受けた」一人だ。女性議員が少ないことは「当たり前の風景」すぎて疑問を持たずにきたが、「専業主婦は『活躍』の対象外?」「女性だけが仕事も育児も頑張らなきゃいけないの?」といったモヤモヤした思いの一因は、議会の多様性のなさにあるのでは、と思うようになった。「多様な議員の姿は、社会にもプラスの影響を与えてくれるのでは」と期待している。

<セクハラへのILOの介入>
PS(2018年5月19日追加):女性に対して仕事上の不利益を与えることを罪だと思わない社会では、*8-1のように、女性への賃金格差だけでなく年金格差も生まれ、女性の経済的不利益は計り知れない。そして、これは、本人の努力で改善することのできないものであるため、私は、*8-2のように、国連の国際労働機関(ILO)が職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を作って拘束力を伴わせることに賛成だ。また、ハラスメントの定義は、「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす行為・慣行」にすればよいと考える。

*8-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201712/CK2017121402000167.html (東京新聞 2017年12月14日) 【暮らし】<年金プア 不安の中で>79歳女性 月額9万4000円、貯蓄200万円 賃金格差が受給額に直結
 夫が病気で働けなくなったなどの事情から女性が家計を支えた場合、老後に年金受給額が少なく、苦しい生活を強いられるケースが多い。会社員など厚生年金加入者の年金受給額は給与額に比例する仕組みで、女性は多くの場合、男性より大幅に給与が抑えられてきたからだ。中部地方に住む79歳の女性の事例をもとに、女性の老後について考えてみた。女性は平屋建ての古い一軒家に一人暮らし。周辺には農地が目立つ。腰を痛めており、リハビリ施設に通っている。昨年亡くなった夫との間に娘が三人。「毎年の正月に三人がそろって来てくれます。『ずっと元気でいてね』と言ってくれ、うれしいです」。収入は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた月額九万四千円余り。介護保険料やリハビリ費用、眼科などの医療費を除いた約八万円でやりくりしている。わずかな農地で若いころから兼業農家の生活を送り、今も野菜は自分が食べる分は作っているという。それでも、冠婚葬祭など急な出費があったときは赤字になる。貯金は約二百万円あるが「介護の施設に入るようになったら、出費がかさんで貯金がいずれ尽き、娘に迷惑をかける。それが嫌なんです」と漏らした。四十五年前、会社員だった夫が脳梗塞で倒れ、半身不随に。夫の障害厚生年金で月額約五万円が支給されたが、まだ幼い娘三人を抱え、女性は勤めに出ざるを得なくなった。それ以降、六十六歳まで、繊維工場や清掃会社などでパート従業員として働いた。仕事のある平日は午前八時に工場に出勤して午後五時すぎに帰宅。自宅では食事の用意などの家事をこなし、床に就くのはいつも日付が変わってからだった。時期によっては早朝に農作業をする日もあった。それでも収入は手取りで月十五万円ほどと、正社員の男性の半分以下だった。低い給与額が、そのまま年金受給額にはね返る。「せめて男性並みだったら、年金受給額はあと五万円は多かったのでは。近所の寄り合いで、同じ年頃の男性があちこち旅行に行ったという話を耳にすると、落ち込みます」
◆1人暮らしの女性 厳しい老後の生活
 女性の社会進出が進んだといわれているが、非正規雇用が多く、給与所得は男性に比べてまだまだ低い。国税庁の二〇一五年分の民間給与実態統計によると、女性の給与所得者の年間給与額の平均は二百八十万円。男性の五百二十一万円の約54%の水準だ。これがそのまま年金の受給額に直結する。厚生労働省がまとめた一五年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均受給月額は、男性が十六万六千百二十円、女性は十万二千百三十一円と男性より約六万四千円も少なかった。受給月額別の受給者数のデータでは、男性は十七万~二十二万円が最も多く、女性は大半が七万~十二万円だった=グラフ参照。働く女性が増える一方、結婚する男女は減少傾向で、給与所得の低い一人暮らしの女性が増えているとみられる。将来的には、年金受給額が低い「年金プア」の高齢女性が増えるとの指摘もある。年金受給者の実態を調べている岐阜経済大の高木博史准教授は「一人暮らしの年金受給者の場合、生活は女性の方が苦しいと考えられる。放置すると孤独死につながるケースもある。行政などは実態把握から始めて対策を考えるべきだ」と解説する。

*8-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201805/CK2018051902000138.html (東京新聞 2018年5月19日) 【政治】ILO、セクハラに初の国際基準 拘束力伴う条約目指す
 国連の国際労働機関(ILO)は年次総会を二十八日から六月八日までスイス・ジュネーブで開き、職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を話し合う。セクハラを含め、仕事に関わるハラスメント全般を直接扱った国際基準はこれまでなく、今回の議論を経て来年の総会で採択を目指す。条約で基準に拘束力を持たせることができるかどうかが焦点となる。ILOはハラスメントを世界共通の深刻な差別としてとらえた議論を二〇〇九年にまとめ、加盟各国に適切な措置を呼び掛けてきた。今回の総会では、加盟百八十七カ国の政府・労働者・使用者の代表が、事前に各国の見解をまとめた「たたき台」を基に討議する。基準を(1)拘束力を伴う条約(2)拘束力のない勧告(3)拘束力を伴う条約を勧告で補完-のいずれにするかが議論の争点となる。ハラスメントの定義や対象となる労働者や行為者の範囲、防止措置や被害者支援も議論する。たたき台は最も拘束力のある(3)を支持し、ハラスメントを「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす」「許容しがたい一連の行為と慣行」と定義。労働者の範囲は求職者やボランティアなども包括的に設定する内容となっている。ILOがたたき台の作成に先立ち八十カ国の現状を調査した結果、仕事に関する暴力やハラスメントを規制する国は六十カ国で、日本は「規制がない国」に分類された。日本は、男女雇用機会均等法で職場のセクハラ防止措置を事業主に義務付けるが、セクハラの定義や禁止規定はなく、被害者保護、救済の壁になっている。

<女性議員増加の効用>
PS(2018年5月22日追加):日本の衆議院議員の女性比率は1割強(193カ国中158位)で、*9-1のように、男女の候補者数を均等にすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」が成立したが、立候補しても当選しなければ議員にはなれない。そして、女性の政界進出を阻む壁は、外注費以上の報酬があれば外注も可能な育児・介護負担ではなく、「知識や経験があって論理的思考ができるのは男であり、女は感情的で実績もなく劣っている」という有権者の意識で、この先入観を作っているのは、メディアの偏見に満ち満ちた表現なのである。
 なお、知識や経験のある女性議員が増えれば、*9-2のような「要介護高齢者が2025年度には770万人になり、社会保障費が大幅に増加するのは問題だ」という発想はなくなるだろう。何故なら、(私が提案してできた)介護保険制度がなく、家族がすべての世話をしなければならない状態では、家族の負担が大きすぎ、専門家でもないため十分なケアができず、家庭崩壊に繋がることすらあることを、女性は容易に想像できるからである。
 では、*9-3のように、「2040年度に190兆円に上る」と推計される介護費用を誰が支払うのかについては、まず介護費用の徴収面で高齢者に偏って負担をさせているのは公平でも公正でもないため、直接ケアする負担を免れている家族のうち働いている人のすべて(全世代)で負担するのが妥当だ。また支出面では、「介護保険が出るから」と、本当は不要だったり高すぎる価格設定をしたりした器具を1割負担で買えるようにしておくのも問題である。
 そのほか、私が、このブログで何度も書いているとおり、日本の海洋資源を開発して税外収入を得ることは国民負担を減らす究極の方法になるが、*9-4のように、政府は(私が提案して)2008年に策定された海洋基本計画を、資源開発から安保重視へ転換する閣議決定したそうで、国民負担を減らすどころか増やすように工夫しているようだ。そもそも領海や海洋権益を守る必要があるのは海洋資源があるからで、領土や外国から資源を輸入するための航行の自由を守ることだけが重要なのではない。つまり、女性議員が増えると、国民生活を豊かにするために知恵を絞る人が増えるのである。

      
 2018.5.21日経新聞            2018.5.22西日本新聞

(図の説明:介護保険料は、物価水準が安く高齢者の多い事情のある地域で高くなっているが、地域によって異なるのが問題なのであり、国で統一すべきだ。また、社会保障費がこれだけ伸びるということは、それに関わる産業も伸びが大きいということであるため、一般企業が参入して洗練された高齢化製品を作るのがよいと思われる。なお、国民負担を重くすればするほど、国民生活は貧困になり、可処分所得が減るため実需が減る)

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180520&ng=DGKKZO30735470Z10C18A5EA1000 (日経新聞社説 2018年5月20日) 政治にもっと女性の力を
 政治分野における男女共同参画推進法が成立した。国政選挙と地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指している。多様な人材が議会に参加し、より現実に即したきめ細かな政策の実現につながることを期待したい。法案は超党派の議員立法で提出され、衆参両院で全会一致で可決された。政党や政治団体に対し、数値目標の設定などの自主的な取り組みを促す内容だ。強制力はなく、理念法ではある。それでも大きな一歩だろう。日本の政治は国際的にみて、あまりに女性の進出が遅れてきた。世界の国会議員が参加する列国議会同盟によると、日本の衆院の女性比率は1割強で、193カ国中158位にとどまる。市区町村議会では、女性が1人もいないところが2割を占める。海外には男女格差を是正しようと、候補者数や議席数の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を法で義務付けている国もある。だが日本の現状を考えれば、一足飛びには弊害があるだろう。まずは女性候補者の発掘と育成に真剣に取り組むべきだ。与野党各党は選挙のたびに、「男女共同参画」や「女性活躍」の推進を公約の柱として訴えてきた。しかし党本部や地方組織での候補者選びは、ベテランの男性幹部が担う場合が多く、人材の発掘が政治家の親族や支持団体の幹部ら男性に偏ってきた面がある。意欲と能力ある人材は、地域に必ずいる。さまざまな視点や経歴を持つ候補者が増えれば、投票する選択肢が広がるだろう。来年は春に統一地方選、夏に参院選がある。私たちも有権者として政党の取り組みを注視したい。女性の政界進出を阻む社会的な要因も直視すべきだ。託児所の整備などは大事だが、問題はそれだけではない。女性に偏った育児や介護の負担、政治は男性のものという意識などが壁になっている。根っこの部分から変えていかねばならない。

*9-2:http://qbiz.jp/article/134220/1/ (西日本新聞 2018年5月22日) 要介護高齢者25年度に770万人
 65歳以上のうち介護が必要になる人が、7年後の2025年度に全国で現在より約141万人増え、1.22倍の約770万人と推計されることが、47都道府県の介護保険事業支援計画を基にした共同通信の集計で20日、分かった。25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、社会保障費の大幅増が予想されることから「2025年問題」と呼ばれる。介護保険も要介護者数の増加で費用が膨らみ、財源確保策が課題となるほか、サービスの整備や担い手不足への対策が求められそうだ。介護の必要度は、最も軽い要支援1から最重度の要介護5まで7段階に分かれる。要介護認定を受けた人は17年12月現在では約629万人。25年度にかけて要介護者が最も急激に増えるのは、千葉県で1.37倍。神奈川県の1.35倍、埼玉県の1.34倍と続く。増加幅が小さいのは和歌山、島根両県の1.05倍、山形県の1.07倍などだった。高齢者人口に占める要介護者数の割合(要介護認定率)は、全国平均で17年12月の18.1%から25年度には21.3%に上昇する見通し。最も高くなるのは大阪府で25.9%。最も低いのは山梨県の17.2%。厚生労働省の3年前の集計では、25年度の要介護者数は約826万人と推計されており、今回は約56万人減った。17年の要介護者も3年前の推計値に比べ、既に約39万人少なくなっている。介護予防の取り組みが進んだことや、高齢者の健康意識の高まりなどが作用したとみられる。

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/220073 (佐賀新聞 2018年5月21日) 40年度の社会保障費190兆円、政府が推計公表
 政府は21日の経済財政諮問会議で、医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費について、高齢者数がピークに近づく2040年度に約190兆円に上るとの推計結果を初めて公表した。18年度の約121兆円から1・5倍以上に膨らむ。給付費の財源は主に国と自治体の公費や保険料で賄われ、18年度と比べ公費、保険料とも30兆円超増やす必要がある。政府は推計を基に、長期的な視野に立った費用抑制策や税・保険料負担の在り方を検討していくことになる。190兆円は18年度予算の一般会計総額の約2倍に相当する。

| 男女平等::2015.5~ | 06:32 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑